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特開2022-144561装身具用台座、及び該装身具用台座を用いた装身具
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  • 特開-装身具用台座、及び該装身具用台座を用いた装身具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144561
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】装身具用台座、及び該装身具用台座を用いた装身具
(51)【国際特許分類】
   A44C 17/02 20060101AFI20220926BHJP
   A44C 1/00 20060101ALI20220926BHJP
   A44C 9/00 20060101ALI20220926BHJP
   A44C 25/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A44C17/02
A44C1/00
A44C9/00
A44C25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045618
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】599164721
【氏名又は名称】風間 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151390
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 淨宗
(72)【発明者】
【氏名】風間 哲夫
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA01
3B114AA02
3B114BD06
3B114HH04
(57)【要約】
【課題】装身具において装飾物を据え付けるための装身具用台座及びこれを用いた装身具に関し、該装身具を正面以外から観察した場合でも視認され難く、また、複数の装飾物を据え付ける際に視認され難く、該装身具の美観性の向上に資する台座及びこれを用いた装身具を提供する。
【解決手段】装身具用台座1は、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物2を据え付けるための装身具用台座であって、平板状の部材で形成されており、装飾物収容空間1aと装飾物据付部1bと固定部1cとを備えている。装飾物収容空間1aはその内部に装飾物2の端部を収容するための空間である。装飾物据付部1bは装飾物収容空間1aの内部に収容した装飾物2の外周面を接しさせ、装飾物2を据え付けるための箇所であり、その外周は装飾物2の最大外周よりも小さいものとする。固定部1cは装身具Aに装身具用台座1を固定する箇所である。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装身具用台座に据え付けた装飾物を収容するための内容物収容空間を備えた装身具において、該内容物収容空間内に設置される装身具用台座であって、該装身具用台座は、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物を据え付けるための装身具用台座であって、平板状の部材によって形成されており、装飾物収容空間と、装飾物据付部と、固定部とを備えていて、該装飾物収容空間は、その内部に該装飾物の端部を収容するための空間であり、該装飾物据付部は、該装飾物収容空間の内部に収容した該装飾物の外周面を接しさせ、該装飾物を据え付けるための箇所であって、その外周は該装飾物の最大外周よりも小さいものとし、該固定部は、該装身具に該装身具用台座を固定するための箇所であることを特徴とする装身具用台座。
【請求項2】
請求項1に記載した装身具用台座であって、前記装飾物を複数据え付けるための装身具用台座であって、前記装飾物収容空間と前記装飾物据付部とを複数備えているとともに、連結部を備えており、該連結部は、該装飾物据付部を相互に連結するための箇所であって、該装身具用台座に据え付けられた該装飾物が相互に接する箇所に対応させて設けられていることを特徴とする装身具用台座。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した装身具用台座であって、前記固定部に装飾性が備えられていることを特徴とする装身具用台座。
【請求項4】
請求項1から3までの何れかに記載した装身具用台座を用いた装身具であって、前記装身具用台座と、前記装飾物と、カバー部材と、枠部材とを備えていて、該装身具用台座に据え付けた該装飾物を収容するための内容物収容空間を備えており、該装飾物は、該装身具に装飾性を発揮させるための部材であり、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物であって、前記装飾物収容空間の内部にその端部が収容されるとともに、その外周面が前記装飾物据付部に接するようにして該装身具用台座に据え付けられており、該装身具用台座は、前記固定部を介して、該装身具に固定されており、該カバー部材は、透明性のある板状の部材であって、該装飾物の表面を覆うようにして設けられており、該枠部材は、該装飾物を据え付けた該装身具用台座及び該カバー部材と結合することで、これらを一体的なものとして形成することにより、該装身具を形成するための部材であることを特徴とする装身具。
【請求項5】
請求項4に記載した装身具であって、前記枠部材に装飾性が備えられていることを特徴とする装身具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ブローチ、指輪、ブレスレット、ネックレスといった各種の装身具において、宝石などの各種の装飾物を据え付けるための装身具用台座に関するものであり、かつ、該装身具用台座を用いた装身具にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
従前、装身具において装飾物を所定の位置に据え付けるための装身具用台座ないし該装身具用台座を用いた装身具が提案されているところである。例えば、少なくとも2個以上の宝石を使用する装身具において、貴金属あるいは金属製の台の複数面に予め孔等の設置場所が設けられていて、その台に宝石を設置した後、宝石の正面及び裏面に透明ガラスを置いた後、透明ガラスを固定することによって宝石を固定する装身具が提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。このような装身具用台座に装飾物を据え付けることによって、装飾物を所定の位置に安定的に固定することができる。また、爪で装飾物を固定する場合はそれが装飾具の外部にあって視認され易いのに対し、上記のような装身具用台座で装飾物を固定する場合は該装身具用台座が該装飾物に覆われて視認され難くなるため、装身具の美観性を向上させることができる。
【0003】
しかしながら、装身具用台座に装飾物を据え付けた際に、該装飾物によって覆われていない部分から該装身具用台座を視認できてしまうと、該装飾物が引き立たなくなる等して、装身具の美観性が低下してしまう。そこで、筒状の装身具用台座の上端部を装飾物の縁部で覆うことによって、該装身具用台座を視認することができないようにして、装身具の美観性を損なわないようにした装身具用台座に装飾物を取り付ける方法が提案されている(例えば、下記の特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-212063号公報
【特許文献2】米国特許第5713219号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、まず、上記の従来技術に係る装身具用台座に装飾物を取り付ける方法によれば、該装身具を正面から見た場合は、該装身具用台座が視認され難いものの、それを異なる角度から見た場合は、容易に該装身具用台座が視認されてしまい、該装身具の美観性が低下してしまうという問題がある。そこで、本願発明が解決しようとする第1の課題は、装身具において装飾物を据え付けるための装身具用台座及びこれを用いた装身具に関し、該装身具を正面以外から観察した場合でも視認され難い台座及びこれを用いた装身具を提供することにある。
【0006】
また、上記の従来技術に係る装身具用台座に装飾物を取り付ける方法によれば、該装身具を正面から見たときにあって、単一の装飾物を据え付ける場合には、該装身具用台座は視認され難くなるものの、特に複数の装飾物を据え付ける場合には、該装飾物の間隙から容易に該装身具用台座が視認されてしまい、該装身具の美観性が低下してしまうという問題がある。そこで、本願発明が解決しようとする第2の課題は、装身具において装飾物を据え付けるための装身具用台座及びこれを用いた装身具に関し、特に複数の装飾物を据え付ける際に視認され難い台座及びこれを用いた装身具を提供することにある。
【0007】
更に、上記の従来技術に係る装身具用台座は、一般に装飾物を据え付けるためにのみ用いる部材であって、それ自体には装飾性が備わっていないため、装身具の美観性の向上に資することができないといった問題があった。そこで、本願発明が解決しようとする第3の課題は、装身具において装飾物を据え付けるための装身具用台座及びこれを用いた装身具に関し、該装身具用台座に装飾性を備えさせることにより、該装身具の美観性の向上に資することができる台座及びこれを用いた装身具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上記の課題を解決するために提案されたものであり、以下の構成を有するものである。以下では、本願発明の構成を理解することを補助するために、本願に添付した図面に表示した番号及び符号をあわせて記載する。
【0009】
請求項1に係る装身具用台座(1)は、装身具用台座(1)に据え付けた装飾物(2)を収容するための内容物収容空間(A1)を備えた装身具(A)において、内容物収容空間(A1)内に設置される装身具用台座(1)である。装身具用台座(1)は、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物(2)を据え付けるための装身具用台座であって、平板状の部材によって形成されており、装飾物収容空間(1a)と、装飾物据付部(1b)と、固定部(1c)とを備えている。装飾物収容空間(1a)は、その内部に装飾物(2)の端部を収容するための空間である。装飾物据付部(1b)は、装飾物収容空間(1a)の内部に収容した装飾物(2)の外周面を接しさせ、装飾物(2)を据え付けるための箇所であって、その外周は装飾物(2)の最大外周よりも小さいものとする。固定部(1c)は、装身具(A)に装身具用台座(1)を固定するための箇所である。
【0010】
請求項2に係る装身具用台座(1)は、請求項1に記載した装身具用台座であって、装飾物(2)を複数据え付けるための装身具用台座であって、装飾物収容空間(1a)と装飾物据付部(1b)とを複数備えているとともに、連結部(1d)を備えている。連結部(1d)は、装飾物据付部(1b)を相互に連結するための箇所であって、装身具用台座(1)に据え付けられた装飾物(2)が相互に接する箇所に対応させて設けられている。
【0011】
請求項3に係る装身具用台座(1)は、請求項1又は2に記載した装身具用台座であって、固定部(1c)に装飾性が備えられている。
【0012】
請求項4に係る装身具(A)は、請求項1から3までの何れかに記載した装身具用台座を用いた装身具であって、装身具用台座(1)と、装飾物(2)と、カバー部材(3)と、枠部材(4)とを備えており、装身具用台座(1)に据え付けた装飾物(2)を収容するための内容物収容空間(A1)を備えている。装飾物(2)は、装身具(A)に装飾性を発揮させるための部材であり、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物であって、装飾物収容空間(1a)の内部にその端部が収容されるとともに、その外周面が装飾物据付部(1b)に接するようにして装身具用台座(1)に据え付けられている。装身具用台座(1)は、固定部(1c)を介して、装身具(A)に固定されている。カバー部材(3)は、透明性のある板状の部材であって、装飾物(2)の表面を覆うようにして設けられている。枠部材(4)は、装飾物(2)を据え付けた装身具用台座(1)及びカバー部材(3)と結合することで、これらを一体的なものとして形成することにより、装身具(A)を形成するための部材である。
【0013】
請求項5に係る装身具(A)は、請求項4に記載した装身具(A)であって、枠部材(4)に装飾性が備えられている。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る装身具用台座、及び該装身具用台座を用いた装身具は、上記の通りの構成であるから、以下のような効果を奏することができる。
【0015】
まず、請求項1に記載した装身具用台座(1)は、前記のように、装飾物据付部(1b)の外周が装飾物(2)の最大外周よりも小さいものである。そのため、装身具用台座(1)は、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物(2)を据え付けた際に、装身具(A)の正面側である装飾物(2)が外方へと拡がっている側が装飾物(2)の表面によって覆われるため、容易に装身具用台座(1)を視認することができなくなる。また、装身具用台座(1)は、平板状の部材によって形成されている。従って、請求項1に記載した本願発明に係る装身具用台座及びこれを利用した請求項4に記載した装身具は、装身具において装飾物を据え付けるための装身具用台座及びこれを用いた装身具に関し、該装身具を正面以外から観察した場合でも、視認され難い台座及びこれを用いた装身具を提供するという本願発明が解決しようとする第1の課題を解決することができる。
【0016】
また、請求項2に記載した装身具用台座(1)は、前記のように、装身具用台座(1)に据え付けられた複数の装飾物(2)が相互に接する箇所に対応させて連結部(1d)が設けられている。そのため、装身具用台座(1)は、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物(2)を据え付けた際に、連結部(1d)が装飾物(2)の表面によって覆われるため、容易に装身具用台座(1)を視認することができなくなる。従って、請求項2に記載した本願発明に係る装身具用台座及びこれを利用した請求項4に記載した装身具は、装身具において装飾物を据え付けるための装身具用台座及びこれを用いた装身具に関し、特に複数の装飾物を据え付ける際に、視認され難い台座及びこれを用いた装身具を提供するという本願発明が解決しようとする第2の課題を解決することができる。
【0017】
もちろん、請求項1及び2に記載した装身具用台座(1)並びにこれを利用した請求項4に記載した装身具(A)は、前記のような装身具用台座(1)に装飾物(2)を据え付けることによって、装飾物(2)を所定の位置に安定的に固定することができる。また、装飾具(A)の外部にあって視認され易い爪で装飾物(2)を固定することがないため、装身具(A)の美観性を損なうことがない。
【0018】
請求項3に係る装身具用台座(1)は、請求項1又は2に記載した装身具用台座であって、固定部(1c)に装飾性が備えられている。固定部(1c)は、装身具(A)において装飾物(2)を配置する位置などによっては、装飾物(2)の表面によって覆うことが困難であって視認され易くなる場合もあるところ、逆に固定部(1c)に装飾性を備えさせることによって、装身具(A)の美観性の向上に資することができる。従って、請求項3に記載した本願発明に係る装身具用台座及びこれを利用した請求項4に記載した装身具は、装身具において装飾物を据え付けるための装身具用台座及びこれを用いた装身具に関し、該装身具用台座に装飾性を備えさせることにより、該装身具の美観性の向上に資することができる台座及びこれを用いた装身具を提供するという本願発明が解決しようとする第3の課題を解決することができる。また、請求項5に係る装身具(A)は、枠部材(4)に装飾性が備えられているところ、装身具(A)の美観性を向上させるのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明の第一実施形態に係る装身具用台座の正面図である。
図2】本願発明の第一実施形態に係る装身具用台座を用いた装身具の正面図である。
図3】本願発明の第一実施形態に係る装身具用台座を用いた装身具の概略構造図である。
図4】本願発明の第二実施形態に係る装身具用台座の正面図である。
図5】本願発明の第二実施形態に係る装身具用台座を用いた装身具の正面図である。
図6】本願発明の第二実施形態に係る装身具用台座を用いた装身具の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本願発明の第一実施形態に係る装身具用台座(1)及びその台座を用いた装身具(A)の構造について、添付図面に基づいて説明する。
【0021】
装身具用台座(1)は、図1に図示するように、装身具用台座(1)に据え付けた装飾物(2)を収容するための内容物収容空間(A1)を備えた装身具(A)において、内容物収容空間(A1)内に設置される装身具用台座(1)である。ここで、装身具(A)には、ブローチ、指輪、ブレスレット、ネックレスといった各種の装身具が含まれる。装身具用台座(1)は、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物 (2)を据え付けるための装身具用台座であって、平板状の部材によって形成されており、金属製の薄板などによって形成することができる。ここで、装身具用台座(1)は、以下のように、装飾物収容空間(1a)と、装飾物据付部(1b)と、固定部(1c)とを備えている。
【0022】
装飾物収容空間(1a)は、図1に図示するように、その内部に装飾物の端部を収容するための空間である。例えば、装身具用台座(1)に孔部を穿設して、装飾物収容空間(1a)とすることができる。装飾物収容空間(1a)は、図では正面視正円状の孔部であるが、装飾物(2)の形態等に応じて、その形状等を適宜変更することができる。
【0023】
装飾物据付部(1b)は、図1に図示するように、装飾物収容空間(1a)の内部に収容した装飾物(2)の外周面を接しさせ、これを据え付けるための箇所である。具体的には、装飾物収容空間(1a)が装身具用台座(1)に穿設された孔部である場合には、装飾物(2)の外周面が接することになる装飾物収容空間(1a)の内周面を備える箇所のことである。また、装飾物据付部(1b)は、その外周を装飾物(2)の最大外周よりも小さいものとする。具体的には、装飾物収容空間(1a)が装身具用台座(1)に穿設された孔部である場合には、その内周を装飾物(2)において最も拡がっている箇所の外周の一回り小さなものとする。
【0024】
固定部(1c)は、図1に図示するように、装身具(A)に装身具用台座(1)を固定するための箇所である。図では、装飾物据付部(1b)から外方に1箇所突出させた箇所を固定部(1c)とし、これを枠部材(4)に取り付けることにより、装身具(A)に装身具用台座(1)を固定しているが、そのような態様に限定されるものではない。例えば、装飾物(2)の形状や重量に応じて、固定部(1c)の個数や形態を適宜変更することができる。
【0025】
また、固定部(1c)は、装飾物(2)の形態等によっては、装飾物(2)の表面によって覆うことが困難であって視認され易い場合もあるところ、そのような場合には、図1に図示するように、固定部(1c)に装飾材(1e)を取り付けるなどして装飾性を備えさせるのが好適である。図では、ハート形をモチーフにした金属製の平板状の部材で形成した装飾板を装飾材(1e)として用いているが、固定部(1c)に装飾性を備えさせることができれば、特にこのような態様に限定されるものではない。
【0026】
以上が、本願発明の第一実施形態に係る装身具用台座(1)の構造についての説明である。次に、上記の装身具用台座(1)を用いた装身具(A)の構造について、添付図面に基づいて説明する。
【0027】
装身具(A)は、前記の本願発明の一実施形態に係る装身具用台座(1)を用いた装身具であって、図2及び3に図示するように、装身具用台座(1)と、装飾物(2)と、カバー部材(3)と、枠部材(4)とを備えており、装身具用台座(1)に据え付けた装飾物(2)を収容するための内容物収容空間(A1)を備えている。
【0028】
装飾物(2)は、図2及び3に図示するように、装身具(A)に装飾性を発揮させるための部材であって、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物である。装飾物(2)としては、例えば内方から外方へと拡がるようにカットした各種の宝石等を用いることができる。装飾物(2)は、装飾物収容空間(1a)の内部にその端部が収容されるとともに、その外周面が装飾物据付部(1b)に接するようにして装身具用台座(1)に据え付けられている。
【0029】
装身具用台座(1)は、図2及び3に図示するように、固定部(1c)によって、装身具(A)に固定されている。図では、枠部材(4)の側面に固定部(1c)を嵌入するための切り欠きである固定溝(4b)を設け、装身具用台座(1)に1箇所設けた固定部(1c)を固定溝(4b)に固定部(1c)を嵌入させることにより、装身具用台座(1)を装身具(A)に固定しているが、特にこのような態様に限定されるものではない。また、装身具用台座(1)と枠部材(4)とを別個に形成しておき、これらを後から接着する等して一体化させてもよいが、これらを最初から一体的なものとして形成することもできる。
【0030】
装身具用台座(1)は、前記のように、装飾物据付部(1b)の外周が装飾物(2)の最大外周よりも小さいものである。そのため、装身具用台座(1)は、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物(2)を据え付けた際に、装身具(A)の正面側である装飾物(2)が外方へと拡がっている側が装飾物(2)の表面によって覆われるため、容易に装身具用台座(1)を視認することができなくなる。そうすると、装身具(A)を正面以外から観察した場合でも、装身具用台座(1)が視認され難くなっているのである。
【0031】
装身具用台座(1)は、前記のように、固定部(1c)に装飾性が備えられている。固定部(1c)は、装飾物(2)を内容物収容空間(A1)の中心部に配置するといったように装身具(A)において装飾物(2)を配置する位置などによっては、装飾物(2)の表面によって覆うことが困難であって視認され易い場合もあるところ、そのような場合には、逆に固定部(1c)に装飾性を備えさせることによって、装身具(A)の美観性の向上に資することができるのである。
【0032】
カバー部材(3)は、図2及び3に図示するように、透明性のある板状の部材であって、装飾物(2)の表面を覆うようにして設けられている。カバー部材(3)としては、例えば、所定の形状に形成した透明なガラス板や合成樹脂製の板状部材を用いることができる。装身具(A)の破損を防ぐことを所望するのであれば、サファイアガラスといった相当の強度を備えた透明性のある板状の部材を用いるのが好適である。尚、カバー部材(3)は、装飾物(2)の表面側だけでなく、図3に図示するように、適宜その裏面側に設けてもよい。
【0033】
枠部材(4)は、図2及び3に図示するように、装飾物(2)を据え付けた装身具用台座(1)及びカバー部材(3)と結合することで、これらを一体的なものとして形成することにより、装身具(A)を形成するための部材である。枠部材(4)は、貴金属製の円筒状部材であって、装身具(A)の正面に位置する側を内側に折り曲げて、カバー部材(3)を当接させるためのカバー部材当接部(4a)を設けている。もっとも、枠部材(4)は、装飾物(2)を据え付けた装身具用台座(1)及びカバー部材(3)と結合できるのであれば、特にその形態は限定されない。
【0034】
また、特にカバー部材当接部(4a)は装身具(A)の正面側に位置するところ、ここに装飾的な模様を施すなどして、枠部材(4)に装飾性を備えさせてもよい。図では、カバー部材当接部(4a)にハート形をモチーフにした模様を彫刻しているが、枠部材(4)に装飾性を備えさせることができれば、特にこのような態様に限定されるものではない。枠部材(4)に装飾性を備えさせることは、装身具(A)の美観性を向上させるのに好適である。また、固定部(1c)が視認され易い場合は、カバー部材当接部(4a)で覆ったり、それとあわせて装飾材(1e)を適宜取り付けるなどして、これが視認され難くすることもできる。
【0035】
もちろん、装身具用台座(1)及びこれを利用した装身具(A)は、前記のような装身具用台座(1)に装飾物(2)を据え付けることによって、装飾物(2)を所定の位置に安定的に固定することができる。また、装飾具(A)の外部にあって視認され易い爪で装飾物(2)を固定することがないため、装身具(A)の美観性を損なうことがない。
【0036】
以上が、本願発明の第一実施形態に係る装身具用台座(1)及びその台座を用いた装身具(A)の構造についての説明である。次に、本願発明の第二実施形態に係る装身具用台座(1)及びその台座を用いた装身具(A)について、添付図面に基づいて説明する。尚、本願発明の第二実施形態に係る装身具用台座(1)及びその台座を用いた装身具(A)の構造は、下記の事項以外、前記の第一実施形態に係る装身具用台座(1)及びその台座を用いた装身具(A)の構造と同一である。
【0037】
装身具用台座(1)は、図4に図示するように、装飾物 (2)を複数据え付けるための装身具用台座であって、装飾物収容空間(1a)と装飾物据付部(1b)とを複数備えているとともに、連結部(1d)を備えている。図では、装飾物収容空間(1a)と装飾物据付部(1b)とは、1個の装飾物の周囲を6個の装飾物が取り囲むように計7個の装飾物(2)を配置できるように設けられているが、装身具(A)に用いる装飾物(2)の個数と配置にあわせて適宜これを設けることができる。
【0038】
固定部(1c)は、図4では、上下2箇所の装飾物据付部(1b)から外方に突出した箇所を固定部(1c)として設け、これを枠部材に取り付けることにより、装身具(A)に装身具用台座(1)を固定しているが、そのような態様に限られるものではない。例えば、連結部(1d)に固定部(1c)を兼ねさせて、連結部(1d)を固定部(1c)として枠部材(4)に取り付けることにより、装身具(A)に装身具用台座(1)を固定することもできる。尚、図5及び6に図示するように、固定部(1c)の表面が装飾物(2)及びカバー部材当接部(4a)によって覆われる場合は、前記のように、装飾材(1e)を取り付ける等して装飾性を備えさせる必要はない。
【0039】
連結部(1d)は、図4に図示するように、装飾物据付部(1b)を相互に連結するための箇所であって、装身具用台座(1)に据え付けられた装飾物(2)が相互に接する箇所に対応させて設けられている。具体的には、装飾物据付部(1b)に装飾物(2)を据え付けた際に、それらが相互に接する箇所の下面に位置するように、連結部(1d)が設けられている。
【0040】
装飾物(2)は、図5及び6に図示するように、同一の形状及び大きさからなる計7個の装飾物からなり、1個の装飾物の周囲を6個の装飾物が取り囲むように配置されている。もっとも、複数の装飾物(2)を備えるのであれば、異なる形状及び大きさからなる装飾物(2)を組み合わせて用いることもできるし、その個数も特に限定されない。また、一部の装飾物を高い位置に据え付け、他の装飾物を低い位置に据え付ける等して変化をもたせるといったことも可能であり、その配置も特に限定されない。
【0041】
装身具用台座(1)は、図5及び6に図示するように、固定部(1c)によって、装身具(A)に固定されている。図では、2箇所の固定部(1c)をそれぞれ枠部材(4)に固定することによって、装身具用台座(1)を装身具(A)に固定しているが、特にこのような態様に限定されるものではない。
【0042】
装身具用台座(1)は、前記のように、装身具用台座(1)に据え付けられた複数の装飾物(2)が相互に接する箇所に対応させて連結部(1d)が設けられている。そのため、装身具用台座(1)は、内方から外方へと拡がる形状を備える装飾物(2)を据え付けた際に、連結部(1d)が装飾物(2)の表面によって覆われるため、容易に装身具用台座(1)を視認することができなくなる。
【符号の説明】
【0043】
1 装身具用台座
1a 装飾物収容空間
1b 装飾物据付部
1c 固定部
1d 連結部
1e 装飾材
2 装飾物
3 カバー部材
4 枠部材
4a カバー部材当接部
4b 固定溝
A 装身具
A1 内容物収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6