(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144571
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】広告表示システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220926BHJP
G09F 21/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
G09F21/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045638
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清野 譲
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】費用の増加を抑制することが可能な広告表示システムを提供する。
【解決手段】広告表示システム10は、車内に設置された監視用カメラユニット5を搭載した照明装置および表示装置1を備える。ここで、監視用カメラユニット5は、車内を撮影するカメラ20と、カメラ20により撮影された画像データから乗客を認識し、認識された乗客の情報を乗客情報として、表示装置1に送信する処理ユニット21とを備え、表示装置1は、乗客情報に応じた広告を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視用カメラユニットを搭載し、車内に設置された照明装置と、前記車内に設置された表示装置とを備える広告表示システムであって、
前記監視用カメラユニットは、
前記車内を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された画像データから乗客を認識し、認識された乗客の情報を乗客情報として、前記表示装置に送信する処理ユニットと、
を備え、
前記表示装置は、前記乗客情報に応じた広告を表示する、広告表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の広告表示システムにおいて、
前記処理ユニットは、前記カメラにより撮影された画像データを格納する外部記録媒体を備える、広告表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告表示システムに関し、例えば、電車等の車内に設置された表示装置に広告を表示する広告表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に表示される広告コンテンツの表示態様を最適化する技術が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、デジタルサイネージにカメラを設け、カメラによってユーザを撮影し、広告コンテンツの表示態様の最適化を図ることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、デジタルサイネージに、新たにカメラを設けることが必要とされる。そのため、費用が増加すると言う課題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載されている一実施の形態に係る広告表示システムを、簡単に述べると、次の通りである。
【0006】
すなわち、広告表示システムは、車内に設置された監視用カメラユニットを搭載した照明装置および表示装置を備える。ここで、監視用カメラユニットは、車内を撮影するカメラと、カメラにより撮影された画像データから乗客を認識し、認識された乗客の情報を乗客情報として、表示装置に送信する処理ユニットとを備え、表示装置は、乗客情報に応じた広告を表示する。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、費用の増加を抑制することが可能な広告表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る広告表示システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態に係る広告表示システムの動作を説明するためのフローチャート図である。
【
図3】実施の形態に係る広告テーブルを示す図である。
【
図4】実施の形態に係る広告表示システムが設置された電車を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。
【0011】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
(実施の形態)
実施の形態に係る広告表示システムは、車両に設置された監視用あるいは防犯用カメラユニットを搭載した照明装置(以下、監視用カメラユニット搭載照明装置または監視用カメラ付き照明とも称する)と、表示装置とによって構成されている。車両としては、種々のものが考えられるが、以下の説明では、電車を例として説明する。
【0013】
<監視用カメラ付き照明と表示装置が設置された電車>
図4は、実施の形態に係る広告表示システムが設置された電車を説明するための模式図である。
図4には、電車の車両内が描かれている。
【0014】
図4において、100は、電車を示し、1は、電車100の車両内側に設置された表示装置を示している。表示装置1は、広告、ニュース等を表示するデイスプレイと、デイスプレイを制御する処理ユニットとによって構成されている。また、2は、電車100の車両内側に設置された広告紙を示している。勿論、広告紙2の代わりに、表示装置1と同様な表示装置を、広告紙2の位置に設置するようにしてもよい。
【0015】
図4において、3は、電車100の車両内側であって、天井側に設置された監視用カメラ付き照明(監視用カメラユニット搭載照明装置)を示している。
図4では、監視用カメラ付き照明3は、直管の蛍光灯(LED灯)4と監視用カメラユニット5とによって構成されている。通電されることにより蛍光灯4が点灯し、蛍光灯4によって車両内が照らされることになる。監視用カメラユニット5は、カメラと処理ユニットとを備えている。
図4では、監視用カメラユニット5から露出したカメラのレンズ部が符号6で示されている。
【0016】
図4において、M1、M2およびF1は、電車100の乗客を示している。ここでは、乗客M1およびM2は男性であり、F1は女性である。
図4では、乗客が3名の場合が例示されているが、勿論、乗客の数はこれに限定されるものでない。また、
図4では、乗客として、女性よりも男性が多い場合が示されているが、勿論、これに限定されるものではない。
図4において、符号Fは、乗客の顔を示し、符号EYは、乗客の目を示している。
【0017】
乗客M1、M2およびF1の目EYは、表示装置1に向いており、3人の乗客が、表示装置1に表示されている広告を見ている状態が、
図4に示されている。
【0018】
実施の形態1に係る広告表示システムは、表示装置1と、監視用カメラ付き照明3とによって構成されている。後で詳しく説明するが、監視用カメラ付き照明3によって、乗客に関する乗客情報が生成され、表示装置1に供給され、表示装置1は乗客情報に応じた広告を表示する。これにより、乗客に適した内容の広告を表示することが可能となる。
【0019】
<広告表示システムの構成>
次に広告表示システムを、図面を用いて説明する。
図1は、実施の形態に係る広告表示システムの構成を示すブロック図である。
図1において、10は、広告表示システムを示している。実施の形態に係る広告表示システム10は、前記したように監視用カメラ付き照明3と表示装置1とによって構成されている。監視用カメラ付き照明3は、
図4に示したように、蛍光灯4と監視用カメラユニット5とを備えているが、
図1には、監視用カメラ付き照明3の監視用カメラユニット5の部分のみが示されている。
【0020】
監視用カメラユニット5は、カメラ20と、処理ユニット21とを備えている。処理ユニット21は、マイクロプロセッサ22と、記憶装置23と、外部記憶媒体24と、通信装置25とを備えている。記憶装置23は、マイクロプロセッサ22を制御するプログラムが格納されたプログラム記憶領域と、カメラ20によって撮影された画像データ等を格納するデータ記憶領域とを備えている。マイクロプロセッサ22は、プログラム記憶領域に格納されたプログラムに従って、カメラ20を制御するとともに、カメラ20によって撮影された画像データをデータ記憶領域に格納する。また、プログラムに従って、マイクロプロセッサ22は、データ記憶領域に格納された画像データを外部記憶媒体24に書き込み、更にデータ記憶領域に格納された画像データに対して画像認識の処理を行い、処理結果を通信装置25に供給する。通信装置25は、供給された処理結果を無線40で送信する。
【0021】
マイクロプロセッサ22において実施される画像認識の処理によって、画像データから乗客が認識され、さらに乗客の属性が認識される。認識された乗客の属性が、乗客情報として無線40で送信されることになる。
【0022】
外部記憶媒体24は、例えば、所謂SD(Secure Digital)メモリカードであり、着脱可能となっている。外部記憶媒体24には、例えば1日分の画像データが格納される。外部記憶媒体24は、例えば1日の電車の運行の終了時に、取り出され、新たな外部記憶媒体が、処理ユニット21に取り付けられる。取り外された外部記憶媒体24に格納された画像データは、例えば監視用のデータとして、電車100とは物理的に離れた場所に存在する管理装置に蓄積される。
【0023】
表示装置1は、デイスプレイ30と、処理ユニット31とを備えている。処理ユニット31は、マイクロプロセッサ32と、記憶装置33、34と、通信装置35とを備えている。
【0024】
記憶装置33には、例えばマイクロプロセッサ32を動作させるためのプログラムが格納されている。また、記憶装置33には、複数の乗客情報とそれぞれの乗客情報に対応する広告データとが、テーブル(以下、広告テーブルとも称する)として格納されている。記憶装置33に格納されるテーブルは、例えば広告主によって生成される。
【0025】
通信装置35は、通信装置25から無線40で送信された乗客情報を受信し、マイクロプロセッサ32へ出力する。マイクロプロセッサ32は、供給された乗客情報に基づいて、広告テーブルを検索し、供給された乗客情報に対応する広告データを選択し、選択した広告データをデイスプレイ30によって表示する。これにより、カメラ20によって撮影された画像データから認識された乗客の属性に応じた広告が、車内に存在する乗客に向けてデイスプレイ30によって表示されることになる。また、監視用の画像データが、外部記憶媒体24によって提供されることになる。
【0026】
<広告表示システムの動作>
次に、広告表示システム10の動作を、図面を用いて説明する。
図2は、実施の形態に係る広告表示システムの動作を説明するためのフローチャート図である。
図2において、紙面の左側は、監視用カメラ付き照明3(監視用カメラユニット5)の動作を表し、紙面の右側は、表示装置1の動作を表している。監視用カメラユニット5は、マイクロプロセッサ22によって制御され、表示装置1は、マイクロプロセッサ32によって制御される。そのため、
図2は、マイクロプロセッサ22および32により行われる制御を示していると見なしてもよい。
【0027】
先ず、監視用カメラユニット5の動作を説明する。ステップS50で、監視用カメラユニット5の電源が投入される。ステップS51では、電源が遮断されたか否かの判定が行われる。電源が遮断された場合(Y)には、ステップS52において、監視用カメラユニット5の動作が終了する。電源が投入状態の場合(N)、次にステップS53が実行される。
【0028】
ステップS53では、カメラ20によって、車内が撮影される。撮影により取得された画像データは、ステップS54において、記憶装置23のデータ記憶領域に格納される。次にステップS55において、データ記憶領域に格納された画像データが、外部記憶媒体24に書き込まれる。
【0029】
その後、ステップS56において、データ記憶領域に格納された画像データに対して画像認識の処理が行われる。この画像認識の処理において、画像データから乗客が認識され、さらに認識された乗客の属性が認識される。ここでは、乗客の属性として、性別および年齢層を例として説明する。すなわち、画像認識の処理によって、乗客の顔F(
図4)から、認識された乗客の性別および年齢層の推定が行われる。これにより、カメラ20によって撮影された画像データから、乗客の人数、各乗客の性別および年齢層に関する属性が求められ、ステップS57において、通信装置25により乗客情報として無線40で送信される。
【0030】
図4を例にして述べると、乗客情報によって、乗客は3名であり、性別に関する属性では、男性(M1、M2)が2名、女性(F1)が1名であり、年齢層に関する属性では、男性の年齢層は、例えば30代(M1)、60代(M2)、20代(F1)であることが、表示装置1に通知される。
【0031】
ステップS57の後は、ステップS51に戻り、ステップS51が実行される。これにより、前記したステップS52またはステップS53~S57が繰り返されることになる。
【0032】
次に、表示装置1の動作を説明する。ステップS10で、表示装置1の電源が投入される。ステップS11では、電源が遮断されたか否かの判定が行われる。電源が遮断された場合(Y)には、ステップS12において、表示装置1の動作が終了する。電源が投入状態の場合(N)、次にステップS13が実行される。
【0033】
ステップS13において、通信装置35が、無線40で乗客情報を受信したか否かの判定が行われる。乗客情報を受信した場合(Y)には、次にステップS14が実行され、乗客情報を受信していない場合(N)には、次にステップS15を実行する。
【0034】
ステップS14では、記憶装置34に格納されている広告テーブルと、乗客情報とに基づいて、表示する広告データの選択が行われる。広告テーブルの一例を、図面を用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る広告テーブルを示す図である。
【0035】
広告テーブルは、特に制限されないが、広告主によって生成され、提供される。広告テーブルには、乗客の属性において、最多数となるものに対応した広告データが登録される。ここでも、乗客の属性として、性別、年齢層を例にして説明する。男性が女性に比べて多い場合(男性多数)に広告として表示するのに適した広告データが、
図3に示すように、広告データ1として広告テーブルに登録され、反対に女性が男性に比べて多い場合(女性多数)に広告として表示するのに適した広告データが、
図3に示すように、広告データ2として登録される。また、年齢層の属性では、乗客のうち最多数の年齢層に適した広告データが、広告テーブルに登録される。
図3に示した例では、20歳代の乗客が最多数の場合(20歳代多数)に適した広告データが、広告データ3として登録され、60歳代の乗客が最多数の場合(60歳代多数)に適した広告データが、広告データnとして登録されている。
【0036】
ステップS14では、乗客情報によって通知された男性および女性の人数(性別に関する属性の人数)および各年齢層の人数(各年齢層に関する属性の人数)によって、広告テーブルから、広告データを検索し、広告データを選択する。
図4の例では、乗客情報によって、男性が2名で、女性が1名であることが通知されるため、男性多数に対応する広告データ1が選択される。
【0037】
選択された広告データは、ステップS15において、デイスプレイ30において表示され、乗客に提供される。
【0038】
ステップS15の後は、ステップS11に戻り、前記した処理が繰り返されることになる。
【0039】
男性多数の場合を例にして説明したが、勿論、女性が多い場合(女性多数)には、女性多数に対応する広告データ2がステップS14で選択されることになる。また、乗客情報によって、例えば20代の乗客が、他の年齢層の乗客に比べて多い(最多数)ことが通知された場合(20歳代多数)には、ステップS14では、20代の人に適した広告データ3が選択され、選択された広告データ3が、ステップS15で表示されることになる。この場合、20代の乗客の内、女性が多い場合と、男性が多い場合とで異なる広告データを広告テーブルに登録して、より適切な広告を表示するようにしてもよい。
【0040】
実施の形態においては、監視用の画像データを取得するためのカメラ20が、乗客情報を取得するためのカメラとしても兼用される。すなわち、新たな専用のカメラを設置しなくても、乗客に適した広告データを選択して、表示することが可能となる。その結果、費用の増加を抑制した広告表示システムを提供することが可能である。
【0041】
<変形例>
実施の形態では、乗客の顔Fを認識して、乗客の属性(性別、年齢層)を推定し、乗客情報を生成する例を示した。変形例においては、
図2に示したステップS55において、乗客の目EYが認識され、乗客の視線が解析される。解析した視線を基にして、表示装置1に表示されている広告に乗客が関心を示しているか否か示す関心度データが生成され、乗客情報として出力される。関心度データは、例えば広告に向けられている視線の時間である。表示装置1においては、広告テーブルに、関心度に対応した広告データが登録されている。例えば所定のしきい値よりも低い関心度に対しては、広告の表示時間を短縮した広告データが、広告テーブルに登録され、前記所定のしきい値よりも高い関心度に対しては、表示時間の長い広告データが登録されている。これにより、関心度の高い広告に対しては、長い時間を用いて詳しく表示することが可能となる。
【0042】
広告主が、広告テーブルを生成する場合、前記乗客情報は、電車を運営する会社等から広告主に対して販売するようにしてもよい。この場合、乗客情報を販売する新たなビジネスモデルとしてもよい。この販売ビジネスモデルによれば、乗客情報を販売することにより、電車を運営する会社等は収入の増加を図ることが可能となり、広告主はより適切な広告の表示により、販売する物品の個数を伸ばすことが可能となる。
【0043】
実施の形態では、表示装置1が、乗客情報を基にして、最多数の性別、最多数の年齢層を求める場合を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、監視用カメラユニット5において、乗客情報から最多数の性別、最多数の年齢層を求め、表示装置1に送信するようにしてもよい。これにより、表示装置1における処理の軽減を図ることが可能である。
【0044】
また、記憶装置23のデータ記憶領域に格納された画像データは、外部記憶媒体24ではなく、通信装置25に供給するようにしてもよい。この場合、通信装置25は、供給された画像データを、電車から物理的に離れた場所に存在する管理装置に無線で送信する。これにより、外部記憶媒体を用いずに、管理装置に監視用の画像データを蓄積することが可能である。外部記憶媒体24が無くても、監視用の画像データを蓄積することが可能であるため、監視用カメラユニット5の小型化および低価格化を図ることが可能である。
【0045】
画像認識の処理により認識された乗客の属性および関心度データは、乗客の情報であるため、監視用カメラユニット5は、乗客の情報を、乗客情報として送信していると見なすことができる。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 表示装置
2 広告紙
3 監視用カメラ付き照明
4 蛍光灯
5 監視用カメラユニット
10 広告表示システム
20 カメラ
21、31 処理ユニット
22、32 マイクロプロセッサ
23、33、34 記憶装置
24 外部記憶媒体
25、35 通信装置
30 デイスプレイ