IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大昌精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-立型研削盤 図1
  • 特開-立型研削盤 図2
  • 特開-立型研削盤 図3
  • 特開-立型研削盤 図4
  • 特開-立型研削盤 図5
  • 特開-立型研削盤 図6
  • 特開-立型研削盤 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144572
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】立型研削盤
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/04 20060101AFI20220926BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20220926BHJP
【FI】
B24B7/04 B
B24B41/06 A
B24B41/06 L
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045639
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000205801
【氏名又は名称】大昌精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】中内 貴博
(72)【発明者】
【氏名】新谷 晃司
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB73
3C034BB75
3C034BB76
3C034DD20
3C043BA03
3C043BA16
3C043CC04
3C043DD05
3C043EE03
(57)【要約】
【課題】小さなワークを高精度かつ能率良く、上面研削を行う立型研削盤を提供する。
【解決手段】複数本のワーク保持回転軸体1を有し、遊星ギア機構Gによって、この回転軸体1に自転運動Jと公転運動Kを起こさせる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研削用ワーク(W)が着脱自在に取着されるワーク保持部(2)を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体(1)を、ワークドライブ軸(3)上に複数本具備し、
ワークドライブ用駆動モータ(M1 )の回転を、上記ワーク保持回転軸体(1)に伝達するワークドライブ回転伝達系(R1 )に於て、複数本の上記ワーク保持回転軸体(1)を、自転及び公転の両運動を起こす遊星ギア機構(G)が、設けられたことを特徴とする立型研削盤。
【請求項2】
被研削用ワーク(W)が着脱自在に取着されるワーク保持部(2)を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体(1)を、ワークドライブ軸(3)上に複数本具備し、
ワークドライブ用駆動モータ(M1 )の回転を、上記ワーク保持回転軸体(1)に伝達するワークドライブ回転伝達系(R1 )に於て、複数本の上記ワーク保持回転軸体(1)を、自転及び公転の両運動(J)(K)を起こす遊星ギア機構(G)を、具備する研削加工構造体(Y)を、複数個、インデックステーブル(4)上に、周方向均等に配設し、
上記インデックステーブル(4)を中心鉛直軸心(L4 )廻りに回転させて、ワーク研削ステーション(S1 )とワーク脱着ステーション(S2 )とに、停止させるインデックス駆動手段(10)を、具備することを特徴とする立型研削盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立型研削盤に係り、特にインデックスタイプ立型片面平面研削盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立型研削盤として、ワークドライブ機構を有するインデックスタイプ立型片面平面研削盤が、公知である(特許文献1、及び、図6図7参照)。
図6の一部断面要部正面図と、図7の平面図に示すように、従来のインデックスタイプ立型片面平面研削盤は、インデックステーブル51を備え、このインデックステーブル51は、鉛直状軸心52廻りに間欠的に回転駆動される。被研削用ワークWは回転軸体53の上面54に保持され、図6の下方図外に設けた電動モータによって、鉛直軸心L53廻りに、回転(自転)すると共に、上方から下降(矢印N参照)して接近する研削砥石55によって、ワーク上面が、研削加工される。
図7に於て、右側のワークWは、研削加工される研削位置に在ると共に、左側のワークWは、ワーク着脱位置に在る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-46753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6図7に示すように、ワークWは、回転軸体53の軸心L53上に、単数個だけ保持した状態で、軸心L53廻りに回転しつつ、矢印N方向に下降してくる研削砥石55(の下面)によって、研削されるのであるが、ワークWが小さい場合には、円環状砥石55の幅W55が狭い(小さい)ものを、使用せねばならない。
【0005】
即ち、図7に示した平面視に於て、ワークWの上面の(研削後の)平面度を向上させるためには、ワークWの外周線が、砥石55の内周56と外周57を抜ける必要がある。そのために、ワークWが小さい場合に、砥石55の幅W55も狭くせねばならない。
【0006】
従って、従来の図6図7に示した立型研削盤では、(i)ワークWの上面の平面度及び表面粗さを向上させることが難しいという問題、(ii)研削砥石55をワークサイズに合わせて頻繁に交換せねばならないという問題、があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点(i)(ii)を解決して、ワークの研削面の平面度及び表面粗さを向上すること、及び、研削砥石の交換頻度を低減して、全体の研削作業の効率を改善することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、被研削用ワークが着脱自在に取着されるワーク保持部を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体を、ワークドライブ軸上に複数本具備し、ワークドライブ用駆動モータの回転を、上記ワーク保持回転軸体に伝達するワークドライブ回転伝達系に於て、複数本の上記ワーク保持回転軸体を、自転及び公転の両運動を起こす遊星ギア機構が、設けられている。
また、被研削用ワークが着脱自在に取着されるワーク保持部を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体を、ワークドライブ軸上に複数本具備し、ワークドライブ用駆動モータの回転を、上記ワーク保持回転軸体に伝達するワークドライブ回転伝達系に於て、複数本の上記ワーク保持回転軸体を、自転及び公転の両運動を起こす遊星ギア機構を、具備する研削加工構造体を、複数個、インデックステーブル上に、周方向均等に配設し、上記インデックステーブルを中心鉛直軸心廻りに回転させて、ワーク研削ステーションとワーク脱着ステーションとに、停止させるインデックス駆動手段を、具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、研削砥石の幅の大きいものが適用可能となる。従って、1つの研削砥石によって、研削加工できるワークの種類が増加できる。言い換えれば、遊星運動を行うことによりワーク研削面が均等に砥石面に当たり、ワークWの上面(被研削面)の平面度が向上し、表面粗さも著しく改善される。また、研削砥石の交換頻度を低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の一形態を示す一部断面正面図である。
図2】要部拡大正面断面図である。
図3】本発明の平面説明図である。
図4図1の(IV-IV)断面拡大図である。
図5】ワークの形状の一具体例及び作動を説明した斜視図である。
図6】従来例を示す要部の一部断面正面図である。
図7】従来例の平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1図5に於て、Wは被研削用ワークであって、図例では、小さなギアーを例示する。1はワーク保持回転軸体であって、その上端に、ワークWが着脱自在に取着されるワーク保持部2を有する。図1図4では、この鉛直状ワーク保持回転軸体1を4本配置した場合を、例示する。
【0012】
3はワークドライブ軸であり、2本のワークドライブ軸3,3の各々に、4本のワーク保持回転軸体1が軸受8,8にて回転可能に枢着されている。
4はインデックステーブルであり、中心鉛直軸心L4 廻りに間欠的に回転するように設けられる。インデックステーブル4は、上記鉛直軸心L4 に沿って下方へ延伸状のテーブル軸部11を有し、軸受12,12を介して、固定円筒体13の内部に枢支されている。
【0013】
14は研削盤ベースを示し、これに固定円筒体13が固着されている。また、鉛直軸心L4 廻りにインデックステーブル4のテーブル軸部11を、間欠的に回転駆動するためのインデックス駆動手段10が設けられている。
このインデックス駆動手段10は、インデックス駆動モータM4 と、上記テーブル軸部11の下端に固着された大ギアー15と、これに噛合する小ギアー16と、この小ギアー16の軸の下端に固着のプーリ17と、上記モータM4 の出力軸に固着の駆動プーリ18と、両プーリ17,18を連動させるように懸架されたベルト19等から、構成される。
【0014】
また、M1 ,M2 は、ワークドライブ用駆動モータであって、一方のモータM1 はワーク研削側に対応し、他方のモータM2 はワーク脱着側に対応する。
そして、ワークドライブ用駆動モータM1 の回転を、前述の4本のワーク保持回転軸体1に伝達するワークドライブ回転伝達系R1 に於て、複数本(図例では4本)のワーク保持回転軸体1を、自転及び公転の両運動J,Kを起こす遊星ギア機構Gが、設けられている(図2及び図4参照)。
【0015】
図1図5に示す実施形態では、複数本(4本)の各ワーク保持回転軸体1の下端部に、遊星ギア20を固設する。さらに、インデックステーブル4の上面に固着された円筒体21の内周面21Aに所定肉厚の円環状内突条22を形成して、この内突条22の内周端縁に内歯車23を設ける。この内歯車23に、4個の遊星ギア20を噛合させることによって、遊星ギア20が、自転J及び公転Kの両運動───遊星運動───を起こす。このような遊星ギア機構Gによって、ワーク保持回転軸体1及び(その上に取着の)ワークWは、図5に示す如く、自転運動J及び公転運動Kを起こす。自転運動Jは軸心L1 廻りの回転運動であり、公転運動Kは軸心L3 廻りの回転運動である。
【0016】
図1図3に於て、25は上方から下降して、ワークWの上面に接近可能な研削砥石であり、平面視円環状で、その砥石幅W25は、複数個のワークWを同時に研削するために、従来の砥石幅W55図7参照)よりも大きい。
【0017】
図3から判るように、砥石25の内周・外周をワークWは自転Jと公転Kを行いつつ、通過する。
従って、砥石25の研削面が不均等磨耗せずに済み、これに伴って、ワークWの被研削仕上面の平面度,表面粗さ等の品質が優秀なものとなる。
【0018】
本発明は、上述したような研削加工構造体Yをインデックステーブル4上に2個(複数個)均等に───図例では180°をもって───配設した構成であると言い換えることもできる。
【0019】
即ち、本発明は、被研削用ワークWが着脱自在に取着されるワーク保持部2を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体1を、ワークドライブ軸3上に複数本具備し、ワークドライブ用駆動モータM1 の回転を、ワーク保持回転軸体1に伝達するワークドライブ回転伝達系R1 に於て、複数本のワーク保持回転軸体1を、自転及び公転の両運動J,Kを起こす遊星ギア機構Gを、具備する研削加工構造体Yを、複数個、インデックステーブル4上に、周方向均等に配設し、インデックステーブル4を中心鉛直軸心L4 廻りに回転させて、ワーク研削ステーションS1 とワーク脱着ステーションS2 とに、停止させるインデックス駆動手段10を、具備する。
【0020】
なお、被研削用ワークWが、回転軸体1のワーク保持部2と一体に自転Jするように拘束するための拘束保持手段を、ワーク保持部2の上面に備える。
例えば、ワークが平面視円形以外の異形───例えば四角や六角等の多角形、楕円形、図5に示した歯形状等───であれば、その異形のワーク輪郭よりも僅かに大き目の凹窪部、又は、その異形のワーク輪郭の一部に係止する1本又は複数本の係止ピン等を、ワーク保持部2の上面に設けて、拘束保持手段とする。
【0021】
なお、図示の実施形態では、各ワーク保持部2に、4本のワーク保持回転軸体1及び4個のワークWが設けられる場合を例示したが、これを2本(2個)や3本(3個)とすることも可能であり、更に、5本(5個)や6本(6個)とすることも自由である。
【0022】
本発明は、以上詳述したように、被研削用ワークWが着脱自在に取着されるワーク保持部2を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体1を、ワークドライブ軸3上に複数本具備し、ワークドライブ用駆動モータM1 の回転を、上記ワーク保持回転軸体1に伝達するワークドライブ回転伝達系R1 に於て、複数本の上記ワーク保持回転軸体1を、自転及び公転の両運動を起こす遊星ギア機構Gが、設けられている構成であるので、ワークWの上面の平面度及び表面粗さが著しく改善できる。しかも、複数個のワークWを同時かつ均等に加工され、研削作業能率も改善できる。また、砥石25の交換頻度を減少できる。
【0023】
また、被研削用ワークWが着脱自在に取着されるワーク保持部2を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体1を、ワークドライブ軸3上に複数本具備し、ワークドライブ用駆動モータM1 の回転を、上記ワーク保持回転軸体1に伝達するワークドライブ回転伝達系R1 に於て、複数本の上記ワーク保持回転軸体1を、自転及び公転の両運動J,Kを起こす遊星ギア機構Gを、具備する研削加工構造体Yを、複数個、インデックステーブル4上に、周方向均等に配設し、上記インデックステーブル4を中心鉛直軸心L4 廻りに回転させて、ワーク研削ステーションS1 とワーク脱着ステーションS2 とに、停止させるインデックス駆動手段10を、具備する構成であるので、ワーク研削ステーションS1 にて研削加工作業中に、別の場所───ワーク脱着ステーションS2 ───において、研削後のワークWの取出し、及び、新しいワークWの取着を、行うことが可能であり、一層、作業能率が改善される。しかも、研削加工構造体Yに於ての研削加工は、ワーク平面度が高いと共に、表面粗さが優れている。かつ、研削作業能率も改善できる。
【符号の説明】
【0024】
1 ワーク保持回転軸体
2 ワーク保持部
3 ワークドライブ軸
4 インデックステーブル
10 インデックス駆動手段
W 被研削用ワーク
4 中心鉛直軸心
1 ワークドライブ用駆動モータ
1 ワークドライブ回転伝達系
遊星ギア機構
Y 研削加工構造体
1 ワーク研削ステーション
2 ワーク脱着ステーション
J 自転運動
K 公転運動
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の鉛直状のワークドライブ軸(3)を備え、該各ワークドライブ軸(3)上に鉛直状のワーク保持回転軸体(1)を複数本ずつ配設し、該ワーク保持回転軸体(1)は被研削用ワーク(W)が着脱自在に取着されるワーク保持部(2)を上端に有し、
ワークドライブ用駆動モータ(M1 )の回転を、上記ワークドライブ軸(3)を介して上記ワーク保持回転軸体(1)に伝達するワークドライブ回転伝達系(R1 )に於て、遊星ギア機構(G)が、設けられ、
上記遊星ギア機構(G)は、上記各ワーク保持回転軸体(1)の下端部に固設された遊星ギア(20)と、上記各ワークドライブ軸(3)を包囲する円筒体(21)と、上記各円筒体(21)の内面に設けられた内歯車(23)とを、備え、複数の上記遊星ギア(20)を上記内歯車(23)に噛合させることによって、上記ワーク保持回転軸体(1)、自転及び公転の両運動(J)(K)を起こすように構成したことを特徴とする立型研削盤。
【請求項2】
複数本の鉛直状のワークドライブ軸(3)を備え、該各ワークドライブ軸(3)上に鉛直状のワーク保持回転軸体(1)を複数本ずつ配設し、該ワーク保持回転軸体(1)は被研削用ワーク(W)が着脱自在に取着されるワーク保持部(2)を上端に有し、
ワークドライブ用駆動モータ(M1 )の回転を、上記ワークドライブ軸(3)を介して上記ワーク保持回転軸体(1)に伝達するワークドライブ回転伝達系(R1 )に於て、遊星ギア機構(G)が、設けられ、
上記遊星ギア機構(G)は、上記各ワーク保持回転軸体(1)の下端部に固設された遊星ギア(20)と、上記各ワークドライブ軸(3)を包囲する円筒体(21)と、上記各円筒体(21)の内面に設けられた内歯車(23)とを、備え、複数の上記遊星ギア(20)を上記内歯車(23)に噛合させることによって、上記ワーク保持回転軸体(1)、自転及び公転の両運動(J)(K)を起こすように構成した研削加工構造体(Y)を、複数個、インデックステーブル(4)上に、周方向均等に配設し、
上記インデックステーブル(4)を中心鉛直軸心(L4 )廻りに回転させて、ワーク研削ステーション(S1 )とワーク脱着ステーション(S2 )とに、停止させるインデックス駆動手段(10)を、具備することを特徴とする立型研削盤。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立型研削盤に係り、特にインデックスタイプ立型片面平面研削盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立型研削盤として、ワークドライブ機構を有するインデックスタイプ立型片面平面研削盤が、公知である(特許文献1、及び、図6図7参照)。
図6の一部断面要部正面図と、図7の平面図に示すように、従来のインデックスタイプ立型片面平面研削盤は、インデックステーブル51を備え、このインデックステーブル51は、鉛直状軸心52廻りに間欠的に回転駆動される。被研削用ワークWは回転軸体53の上面54に保持され、図6の下方図外に設けた電動モータによって、鉛直軸心L53廻りに、回転(自転)すると共に、上方から下降(矢印N参照)して接近する研削砥石55によって、ワーク上面が、研削加工される。
図7に於て、右側のワークWは、研削加工される研削位置に在ると共に、左側のワークWは、ワーク着脱位置に在る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-46753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6図7に示すように、ワークWは、回転軸体53の軸心L53上に、単数個だけ保持した状態で、軸心L53廻りに回転しつつ、矢印N方向に下降してくる研削砥石55(の下面)によって、研削されるのであるが、ワークWが小さい場合には、円環状砥石55の幅W55が狭い(小さい)ものを、使用せねばならない。
【0005】
即ち、図7に示した平面視に於て、ワークWの上面の(研削後の)平面度を向上させるためには、ワークWの外周線が、砥石55の内周56と外周57を抜ける必要がある。そのために、ワークWが小さい場合に、砥石55の幅W55も狭くせねばならない。
【0006】
従って、従来の図6図7に示した立型研削盤では、(i)ワークWの上面の平面度及び表面粗さを向上させることが難しいという問題、(ii)研削砥石55をワークサイズに合わせて頻繁に交換せねばならないという問題、があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点(i)(ii)を解決して、ワークの研削面の平面度及び表面粗さを向上すること、及び、研削砥石の交換頻度を低減して、全体の研削作業の効率を改善することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、複数本の鉛直状のワークドライブ軸を備え、該各ワークドライブ軸上に鉛直状のワーク保持回転軸体を複数本ずつ配設し、該ワーク保持回転軸体は被研削用ワークが着脱自在に取着されるワーク保持部を上端に有し、ワークドライブ用駆動モータの回転を、上記ワークドライブ軸を介して上記ワーク保持回転軸体に伝達するワークドライブ回転伝達系に於て、遊星ギア機構が、設けられ、上記遊星ギア機構は、上記各ワーク保持回転軸体の下端部に固設された遊星ギアと、上記各ワークドライブ軸を包囲する円筒体と、上記各円筒体の内面に設けられた内歯車とを、備え、複数の上記遊星ギアを上記内歯車に噛合させることによって、上記ワーク保持回転軸体、自転及び公転の両運動を起こすように構成した。
【0009】
また、複数本の鉛直状のワークドライブ軸を備え、該各ワークドライブ軸上に鉛直状のワーク保持回転軸体を複数本ずつ配設し、該ワーク保持回転軸体は被研削用ワークが着脱自在に取着されるワーク保持部を上端に有し、ワークドライブ用駆動モータの回転を、上記ワークドライブ軸を介して上記ワーク保持回転軸体に伝達するワークドライブ回転伝達系に於て、遊星ギア機構が、設けられ、上記遊星ギア機構は、上記各ワーク保持回転軸体の下端部に固設された遊星ギアと、上記各ワークドライブ軸を包囲する円筒体と、上記各円筒体の内面に設けられた内歯車とを、備え、複数の上記遊星ギアを上記内歯車に噛合させることによって、上記ワーク保持回転軸体、自転及び公転の両運動を起こすように構成した研削加工構造体を、複数個、インデックステーブル上に、周方向均等に配設し、 上記インデックステーブルを中心鉛直軸心廻りに回転させて、ワーク研削ステーションとワーク脱着ステーションとに、停止させるインデックス駆動手段を、具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、研削砥石の幅の大きいものが適用可能となる。従って、1つの研削砥石によって、研削加工できるワークの種類が増加できる。言い換えれば、遊星運動を行うことによりワーク研削面が均等に砥石面に当たり、ワークWの上面(被研削面)の平面度が向上し、表面粗さも著しく改善される。また、研削砥石の交換頻度を低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の一形態を示す一部断面正面図である。
図2】要部拡大正面断面図である。
図3】本発明の平面説明図である。
図4図1の(IV-IV)断面拡大図である。
図5】ワークの形状の一具体例及び作動を説明した斜視図である。
図6】従来例を示す要部の一部断面正面図である。
図7】従来例の平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1図5に於て、Wは被研削用ワークであって、図例では、小さなギアーを例示する。1はワーク保持回転軸体であって、その上端に、ワークWが着脱自在に取着されるワーク保持部2を有する。図1図4では、この鉛直状ワーク保持回転軸体1を4本配置した場合を、例示する。
【0013】
3はワークドライブ軸であり、2本のワークドライブ軸3,3の各々に、4本のワーク保持回転軸体1が軸受8,8にて回転可能に枢着されている。
4はインデックステーブルであり、中心鉛直軸心L4 廻りに間欠的に回転するように設けられる。インデックステーブル4は、上記鉛直軸心L4 に沿って下方へ延伸状のテーブル軸部11を有し、軸受12,12を介して、固定円筒体13の内部に枢支されている。
【0014】
14は研削盤ベースを示し、これに固定円筒体13が固着されている。また、鉛直軸心L4 廻りにインデックステーブル4のテーブル軸部11を、間欠的に回転駆動するためのインデックス駆動手段10が設けられている。
このインデックス駆動手段10は、インデックス駆動モータM4 と、上記テーブル軸部11の下端に固着された大ギアー15と、これに噛合する小ギアー16と、この小ギアー16の軸の下端に固着のプーリ17と、上記モータM4 の出力軸に固着の駆動プーリ18と、両プーリ17,18を連動させるように懸架されたベルト19等から、構成される。
【0015】
また、M1 ,M2 は、ワークドライブ用駆動モータであって、一方のモータM1 はワーク研削側に対応し、他方のモータM2 はワーク脱着側に対応する。
そして、ワークドライブ用駆動モータM1 の回転を、前述の4本のワーク保持回転軸体1に伝達するワークドライブ回転伝達系R1 に於て、複数本(図例では4本)のワーク保持回転軸体1を、自転及び公転の両運動J,Kを起こす遊星ギア機構Gが、設けられている(図2及び図4参照)。
【0016】
図1図5に示す実施形態では、複数本(4本)の各ワーク保持回転軸体1の下端部に、遊星ギア20を固設する。さらに、インデックステーブル4の上面に固着された円筒体21の内周面21Aに所定肉厚の円環状内突条22を形成して、この内突条22の内周端縁に内歯車23を設ける。この内歯車23に、4個の遊星ギア20を噛合させることによって、遊星ギア20が、自転J及び公転Kの両運動───遊星運動───を起こす。このような遊星ギア機構Gによって、ワーク保持回転軸体1及び(その上に取着の)ワークWは、図5に示す如く、自転運動J及び公転運動Kを起こす。自転運動Jは軸心L1 廻りの回転運動であり、公転運動Kは軸心L3 廻りの回転運動である。
【0017】
図1図3に於て、25は上方から下降して、ワークWの上面に接近可能な研削砥石であり、平面視円環状で、その砥石幅W25は、複数個のワークWを同時に研削するために、従来の砥石幅W55図7参照)よりも大きい。
【0018】
図3から判るように、砥石25の内周・外周をワークWは自転Jと公転Kを行いつつ、通過する。
従って、砥石25の研削面が不均等磨耗せずに済み、これに伴って、ワークWの被研削仕上面の平面度,表面粗さ等の品質が優秀なものとなる。
【0019】
本発明は、上述したような研削加工構造体Yをインデックステーブル4上に2個(複数個)均等に───図例では180°をもって───配設した構成であると言い換えることもできる。
【0020】
即ち、本発明は、被研削用ワークWが着脱自在に取着されるワーク保持部2を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体1を、ワークドライブ軸3上に複数本具備し、ワークドライブ用駆動モータM1 の回転を、ワーク保持回転軸体1に伝達するワークドライブ回転伝達系R1 に於て、複数本のワーク保持回転軸体1を、自転及び公転の両運動J,Kを起こす遊星ギア機構Gを、具備する研削加工構造体Yを、複数個、インデックステーブル4上に、周方向均等に配設し、インデックステーブル4を中心鉛直軸心L4 廻りに回転させて、ワーク研削ステーションS1 とワーク脱着ステーションS2 とに、停止させるインデックス駆動手段10を、具備する。
【0021】
なお、被研削用ワークWが、回転軸体1のワーク保持部2と一体に自転Jするように拘束するための拘束保持手段を、ワーク保持部2の上面に備える。
例えば、ワークが平面視円形以外の異形───例えば四角や六角等の多角形、楕円形、図5に示した歯形状等───であれば、その異形のワーク輪郭よりも僅かに大き目の凹窪部、又は、その異形のワーク輪郭の一部に係止する1本又は複数本の係止ピン等を、ワーク保持部2の上面に設けて、拘束保持手段とする。
【0022】
なお、図示の実施形態では、各ワークドライブ軸3に、4本のワーク保持回転軸体1及び4個のワークWが設けられる場合を例示したが、これを2本(2個)や3本(3個)とすることも可能であり、更に、5本(5個)や6本(6個)とすることも自由である。
【0023】
本発明は、以上詳述したように、被研削用ワークWが着脱自在に取着されるワーク保持部2を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体1を、ワークドライブ軸3上に複数本具備し、ワークドライブ用駆動モータM1 の回転を、上記ワーク保持回転軸体1に伝達するワークドライブ回転伝達系R1 に於て、複数本の上記ワーク保持回転軸体1を、自転及び公転の両運動を起こす遊星ギア機構Gが、設けられている構成であるので、ワークWの上面の平面度及び表面粗さが著しく改善できる。しかも、複数個のワークWを同時かつ均等に加工され、研削作業能率も改善できる。また、砥石25の交換頻度を減少できる。
【0024】
また、被研削用ワークWが着脱自在に取着されるワーク保持部2を上端に有する鉛直状のワーク保持回転軸体1を、ワークドライブ軸3上に複数本具備し、ワークドライブ用駆動モータM1 の回転を、上記ワーク保持回転軸体1に伝達するワークドライブ回転伝達系R1 に於て、複数本の上記ワーク保持回転軸体1を、自転及び公転の両運動J,Kを起こす遊星ギア機構Gを、具備する研削加工構造体Yを、複数個、インデックステーブル4上に、周方向均等に配設し、上記インデックステーブル4を中心鉛直軸心L4 廻りに回転させて、ワーク研削ステーションS1 とワーク脱着ステーションS2 とに、停止させるインデックス駆動手段10を、具備する構成であるので、ワーク研削ステーションS1 にて研削加工作業中に、別の場所───ワーク脱着ステーションS2 ───において、研削後のワークWの取出し、及び、新しいワークWの取着を、行うことが可能であり、一層、作業能率が改善される。しかも、研削加工構造体Yに於ての研削加工は、ワーク平面度が高いと共に、表面粗さが優れている。かつ、研削作業能率も改善できる。
【符号の説明】
【0025】
1 ワーク保持回転軸体
2 ワーク保持部
3 ワークドライブ軸
4 インデックステーブル
10 インデックス駆動手段
20 遊星ギア
21 円筒体
23 内歯車
W 被研削用ワーク
4 中心鉛直軸心
1 ワークドライブ用駆動モータ
1 ワークドライブ回転伝達系
G 遊星ギア機構
Y 研削加工構造体
1 ワーク研削ステーション
2 ワーク脱着ステーション
J 自転運動
K 公転運動