(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144585
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】チーム評価システムおよびチーム評価方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20120101AFI20220926BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045658
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】513098341
【氏名又は名称】ANAホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500027275
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 英明
(72)【発明者】
【氏名】奥津 千尋
(72)【発明者】
【氏名】高山 文博
(72)【発明者】
【氏名】相本 佳史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】定量的データに基づいてチーム構成員を選定するとともに、チームの実績を定量的な予測評価が求められる。
【解決手段】複数の評価対象チーム構成員により構成される評価対象チームの実績の予測評価値の算出を行うチーム評価システムであって、前記チーム評価システムは、複数人のそれぞれの個人の特徴を数値化した個人特性データを格納するメモリ部と、前記複数人から任意に選択された複数の学習チーム構成員により編成される複数の学習チームのそれぞれについて、前記メモリ部から読み出した前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと、前記複数の学習チームのそれぞれについての実績の評価を数値化した学習チーム実績評価値と、を学習データセットとして前記メモリ部に格納する処理部と、を備えるチーム評価システムにより解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の評価対象チーム構成員により構成される評価対象チームの実績の予測評価値の算出を行うチーム評価システムであって、
前記チーム評価システムは、
複数人のそれぞれの個人の特徴を数値化した個人特性データを格納するメモリ部と、
前記複数人から任意に選択された複数の学習チーム構成員により編成される複数の学習チームのそれぞれについて、前記メモリ部から読み出した前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと、前記複数の学習チームのそれぞれについての実績の評価を数値化した学習チーム実績評価値と、を学習データセットとして前記メモリ部に格納する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと前記学習チーム実績評価値とから予測モデルを構築して前記メモリ部に格納し、
前記評価対象チームを構成する前記複数の評価対象チーム構成員の前記個人特性データを前記予測モデルに入力して、前記予測評価値の前記算出を行うチーム評価システム。
【請求項2】
請求項1に記載のチーム評価システムであって、
前記個人特性データは前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータであるチーム評価システム。
【請求項3】
請求項2に記載のチーム評価システムであって、
前記予測モデルは、前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータのそれぞれぞれの大小関係の分布と、前記学習チーム実績評価値との大小関係の分布とが同じ関係になるように同定される評価関数であるチーム評価システム。
【請求項4】
請求項3に記載のチーム評価システムであって、
前記予測モデルは、前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータを説明変数とし、前記学習チーム実績評価値を目的変数として、前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータのそれぞれについて閾値に対する分類枝として構築される決定木によって画定されるチーム評価システム。
【請求項5】
請求項2に記載のチーム評価システムであって、
前記予測モデルは、前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータのそれぞれに重みづけ係数を乗じた値と前記学習チーム実績評価値との差が最小となるように構築されるモデルであるチーム評価システム。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載のチーム評価システムであって、
前記処理部は、複数の前記評価対象チームを作成し、前記複数の前記評価対象チームのそれぞれについて前記予測評価値の前記算出をおこない、前記複数の前記評価対象チームのうち、前記複数の前記評価対象チームのそれぞれについて算出した前記予測評価値が最大値となる前記評価対象チームを最適チームとして出力するチーム評価システム。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載のチーム評価システムであって、
前記学習チームおよび前記評価対象チームは一の航空便に搭乗するキャビンアテンダントのチームであって、
前記複数人と前記学習チーム構成員と前記複数の評価対象チーム構成員とはキャビンアテンダントであり、
前記複数のパラメータのそれぞれは、個人の性格を標準化したパーソナリティ系の数値データと、業務に対する性向を標準化したメンタル系の数値データと、英語力などの業務上のスキルを標準化した数値データと、に対応し、
前記学習チーム実績評価値は、前記一の学習チームを構成する複数の学習チーム構成員が評価した値、または前記一の学習チームが搭乗した航空便の乗客が評価した値であるチーム評価システム。
【請求項8】
メモリ部と処理部とを備えるチーム評価システムにより、複数の評価対象チーム構成員により構成される評価対象チームの実績の予測評価値の算出を行うチーム評価方法であって、
前記チーム評価方法は、
複数人のそれぞれの個人の特徴を数値化した個人特性データを前記メモリ部に格納する工程と、
前記複数人から任意に選択された複数の学習チーム構成員により編成される複数の学習チームのそれぞれについて、前記メモリ部から読み出した前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと、前記複数の学習チームのそれぞれについての実績の評価を数値化した学習チーム実績評価値と、を学習データセットとして前記メモリ部に格納する工程と、
前記処理部により前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと前記学習チーム実績評価値とから予測モデルを構築して、前記メモリ部に格納する工程と、
前記処理部により、前記評価対象チームを構成する前記複数の評価対象チーム構成員の前記個人特性データを前記予測モデルに入力して、前記予測評価値の前記算出を行う工程と、を備えるチーム評価方法。
【請求項9】
請求項8に記載のチーム評価方法であって、
前記個人特性データは前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータであるチーム評価方法。
【請求項10】
請求項9に記載のチーム評価方法であって、
前記予測モデルは、前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータのそれぞれぞれの大小関係の分布と、前記学習チーム実績評価値との大小関係の分布とが同じ関係になるように同定される評価関数であるチーム評価方法。
【請求項11】
請求項10に記載のチーム評価方法であって、
前記予測モデルは、前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータを説明変数とし、前記学習チーム実績評価値を目的変数として、前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータのそれぞれについて閾値に対する分類枝として構築される決定木によって画定されるチーム評価方法。
【請求項12】
請求項9に記載のチーム評価方法であって、
前記予測モデルは、前記複数人のそれぞれの特徴を代表する複数のパラメータのそれぞれに重みづけ係数を乗じた値と前記学習チーム実績評価値との差が最小となるように構築されるモデルであるチーム評価方法。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか一項に記載のチーム評価方法であって、
複数の前記評価対象チームを作成し、前記複数の前記評価対象チームのそれぞれについて前記予測評価値の前記算出をおこない、前記複数の前記評価対象チームのうち、前記複数の前記評価対象チームのそれぞれについて算出した前記予測評価値が最大値となる前記評価対象チームを最適チームとして出力する工程を備える、チーム評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチーム構成員により構成されるチームの予測評価値を計算するチーム評価システムおよびチーム評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチーム構成員によりチームを編成する場合に、そのチームが最高の実績をもたらすためには、いわゆる互いに相性が良いチーム構成員を選定して編成することが不可欠である。能力が最も高いチーム構成員のみでチームを編成した場合には、平均的には良い実績をもたらすことが期待されるが、そのチーム構成員の相性が悪い場合には、期待したほど実績が高くないこともある。逆に、能力が必ずしも高くないチーム構成員によりチームを編成した場合であっても、チーム構成員の相性が良い場合には、そのチームがよい実績をもたらすこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従前、相性の良いチーム構成員を選定するには、チームを編成する者の勘や経験によるところが大きく、さらには編成したチームがもたらす実績を予測することは困難であった。そのため、相性の良いチーム構成員の選定にあっては定量的データに基づいてチーム構成員の選定を行うことが求められる。たとえば、特許文献1では、医療チームに必要とされる条件に適合するチームの構成員の候補を選定する手法ないし手段を開示している。しかし、特許文献1を代表とする従来技術は、必要とされるチームの構成員の条件に適合する定量的データと合致するチームの構成員の候補を抽出し、またはチームの構成員の個々のデータの相関関係から良好な関係を構築できるより良いチームの構成員を選択するものである。すなわち、従来技術では、チームの構成員として必要となる条件の提示を前提としており、編成したチームが高い実績を出せるかについては依然として不確定性がある。そのため、定量的データに基づいてチーム構成員を選定するとともに、チームの実績を定量的な予測評価が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
複数の評価対象チーム構成員により構成される評価対象チームの実績の予測評価値の算出を行うチーム評価システムであって、前記チーム評価システムは、複数人のそれぞれの個人の特徴を数値化した個人特性データを格納するメモリ部と、前記複数人から任意に選択された複数の学習チーム構成員により編成される複数の学習チームのそれぞれについて、前記メモリ部から読み出した前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと、前記複数の学習チームのそれぞれについての実績の評価を数値化した学習チーム実績評価値と、を学習データセットとして前記メモリ部に格納する処理部と、を備え、前記処理部は、前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと前記学習チーム実績評価値とから予測モデルを構築して前記メモリ部に格納し、前記評価対象チームを構成する前記複数の評価対象チーム構成員の前記個人特性データを前記予測モデルに入力して、前記予測評価値の前記算出を行うチーム評価システムにより解決する。
【0006】
メモリ部と処理部とを備えるチーム評価システムにより、複数の評価対象チーム構成員により構成される評価対象チームの実績の予測評価値の算出を行うチーム評価方法であって、前記チーム評価方法は、複数人のそれぞれの個人の特徴を数値化した個人特性データを前記メモリ部に格納する工程と、前記複数人から任意に選択された複数の学習チーム構成員により編成される複数の学習チームのそれぞれについて、前記メモリ部から読み出した前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと、前記複数の学習チームのそれぞれについての実績の評価を数値化した学習チーム実績評価値と、を学習データセットとして前記メモリ部に格納する工程と、前記処理部により前記複数の学習チーム構成員の前記個人特性データと前記学習チーム実績評価値とから予測モデルを構築して、前記メモリ部に格納する工程と、前記処理部により、前記評価対象チームを構成する前記複数の評価対象チーム構成員の前記個人特性データを前記予測モデルに入力して、前記予測評価値の前記算出を行う工程とを備えるチーム評価方法により解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、定量的データに基づいてチーム構成員を選定するとともに、チームの実績を定量的な予測評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1および第2の実施の形態であるチーム評価システムの構成を示している。
【
図2】本発明の第1の実施の形態であるチーム評価システムの予測評価フローの概念を示した説明図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態であるチーム評価システムの学習プロセスにおいて準備する基礎データを示した説明図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態であるチーム評価システムの学習プロセスにおいて準備する学習データセットを示した説明図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態であるチーム評価システムの学習プロセスにおいて画定される決定木の概念を示した説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態であるチーム評価システムの評価プロセスにおいて準備する、評価すべき評価対象チームの評価データセットを示した説明図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態であるチーム評価システムの評価プロセスにおいて準備する、評価すべき複数の評価対象チームの評価データセットを示した説明図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態であるチーム評価システムの学習プロセスにおいて準備する基礎データを示した説明図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態であるチーム評価システムの学習プロセスにおいて準備する学習データセットを示した説明図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態であるチーム評価システムの評価プロセスにおいて準備する、評価すべき評価対象チームの評価データセットを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の第1の実施の形態)
図1から
図7を参照して、本発明の第1の実施の形態としてのチーム評価システム1について説明する。
図1はチーム評価システム1の構成を示している。
図2はチーム評価システム1の予測評価フローを示している。
図3は、チームを編成する上で候補となるチーム構成員について学習プロセスにおいて準備する基礎データを示している。
図4は、学習プロセスにおいて準備する、候補となるチーム構成員で構成されるチームの学習データセットを示している。
図5は学習プロセスにおける決定木の画定方法の概念を示している。
図6は、評価プロセスにおいて準備する、評価すべき評価対象チームの評価データセットを示している。
図7は、評価プロセスにおいて準備する、評価すべき複数の評価対象チームの評価データセットを示している。
【0010】
本発明の第1の実施の形態のチーム評価システム1は、人数枠p人のチーム構成員からなるチームを評価するシステムである。チーム評価システム1が適用できるチームは、たとえば、複数人で一つの業務を完遂させるチーム,企業のビジネスユニットとしてのチーム,団体スポーツ競技としてのチームなど、複数のチーム構成員からなるチームである限り、様々な種類のチームに適用できる。人数枠はチームとして要求される任意の人数p人として決定される。
【0011】
(チーム評価システムの構成)
チーム評価システム1は、処理部2とメモリ部3と出力装置4とを備えている。処理部2は、予測評価フローを備えるソフトウェアを実行する処理装置としてのプロセッサである。メモリ部3は、学習プロセス(P1)と評価プロセス(P2)とのそれぞれにおいて必要となるデータを格納する記憶装置である。出力装置4は、学習プロセス(P1)と評価プロセス(P2)とのそれぞれにおいて必要となるデータを出力する手段であって、たとえばディスプレイまたはプリンタである。
【0012】
(予測評価フロー)
処理部2が実行する予測評価フローは、学習プロセス(P1)と評価プロセス(P2)とを備える。学習プロセス(P1)は、学習データセット作成ステップ(S11)と、それに続いて実行される予測モデル作成ステップ(S12)とを備える。学習データセット作成ステップ(S11)では学習データセットを作成し、予測モデル作成ステップ(S12)では予測モデルPMを構築する。評価プロセス(P2)は評価データセット作成ステップ(S21)と、それに続いて実行される評価演算ステップ(S22)とを備える。評価データセット作成ステップ(S21)では評価データセットを作成し、評価演算ステップ(S22)では最終的な出力としての予測結果たる評価値を計算する。
【0013】
(学習プロセス(P1)/学習データセット作成ステップ(S11))
まず、
図3と
図4とを参照して、学習プロセス(P1)について説明する。学習データセット作成プロセス(S11)では、チームを編成する上で候補となるチーム構成員の個々の指標となる基礎データDPを準備するステップを実行し、その後に学習データセットDTrGrの作成のステップが実行される。
【0014】
まず、学習プロセス(P1)の基礎データDPの作成ステップについて説明する。基礎データDPの準備にあたっては、候補となるチーム構成員の人数は任意のn人として選定できる。このn人の選定はチームの人数枠p人よりも多い人数であって、チーム構成員として多様な候補者を選定する。多ければ多いほど、その候補者の多様性に広がりがあればあるほど、予測モデル作成ステップ(S12)において作成される予測モデルの精度を高くすることができる。その結果、評価プロセス(P2)における実績の評価の結果の精度が高くなる。この実施の形態の説明では、予測モデルのための候補となるチーム構成員Mtri(i=1~n)を例として説明する。
【0015】
基礎データDPは、候補となるチーム構成員Mtri(i=1~n)の個々についての基礎データDPi(i=1~n)からなる。基礎データDPi(i=1~n)は、任意のm個の個人特性データであって複数のパラメータからなる個人特性パラメータxij(i=1~n,j=1~m)からなる。任意のm個の個人特性パラメータxij(i=1~n)のそれぞれは、チーム構成員Mtri(i=1~n)の個人特性を代表化して数値化した指標であって、チームを編成する上で必要となる要素についての値である。すなわち、個人特性パラメータxij(j=1~m)は、チーム構成員Mtri(i=1~n)の第j列(i=1~m)のデータは、チーム構成員Mtri(i=1~n)の全員に同一に選択される任意の特性パラメータである。任意の特性パラメータは、チーム構成員Mtri(i=1~n)の個々について、性格,価値観,思考傾向,物事に対する姿勢,個人的スキルなど、チーム構成員として影響が高いと考えられる要素を評価項目として選択することができる。評価項目が、チーム構成員として影響を与えそうであるが実際に影響を与えるかが不明な要素であっても選択することができる。チーム評価システム1は、基礎データDPi(i=1~n)として選択されている個人特性パラメータxij(j=1~m)の中からその影響の度合を考慮して結果を出すことができる。チーム構成員Mtri(i=1~n)についての個人特性パラメータxij(j=1~m)の個数mは、自由に選択することができる。
【0016】
個人特性パラメータxij(j=1~m)のいずれも、本人または所定の評価者が、個人特性パラメータxij(j=1~m)として画定された評価項目について、所定の基準で評価して数値化した数値データである。たとえば、本人または所定の評価者が、その評価項目について1点から10点までの10段階で評価した評価値とすることができる。第j列(j=1~n)の個人特性パラメータxij(j=1~m)の値がとる範囲は、その評価項目の特性に応じて設定することができる。すべての列において、個人特性パラメータxij(j=1~m)の値がとる範囲を共通にする必要はない。一方で、たとえば、個人特性パラメータxij(j=1~m)の値を標準化して、すべての列の個人特性パラメータxij(j=1~m)の値が0から1の範囲となるように、個人特性パラメータxij(j=1~m)がとる値の範囲を共通にしてもよい。
【0017】
図3の例でいえば、n人のチーム構成員Mtr1,・・・,Mtri,・・・,Mtrnのそれぞれについて、基礎データDPtr1,・・・,DPtri,・・・DPtrnを準備する。このとき、第1列データ属性x11,・・・,xi1,・・・xn1は、たとえば性格としての「外向性」を表す数値として設定することができる。第1列データ属性x11,・・・,xi1,・・・xn1は、チーム構成員Mtr1,・・・,Mtri,・・・,Mtrnのそれぞれについての同様に、性格としての「外向性」を表す数値データとして、属性が共通である。第2列データ属性(不図示),・・・,第j列データ属性,・・・,第m列データ属性も同様である。
【0018】
また、第1列データ属性から第10列データ属性(第2列データ属性から第10列データ属性まで不図示)を大分類としてのパーソナリティ系のデータ群とし,第11列データ属性から第20列データ属性(不図示)を大分類としての業務に対する精神系のデータ群とし、第21列データ属性から第30列データ属性(不図示)を大分類としてのスキル系のデータ群とすることができる。そして、それぞれの大分類の中で、個人特性パラメータxij(j=1~m)を選択することができる。たとえば、パーソナリティ系のデータ群の中で、第1列データから第5列データ属性(第2列データ属性から第5列データ属性まで不図示)までは、性格の五大特性ないし五大因子といわれる「外向性」,「誠実性ないし勤勉性」,「協調性」,「開放性」,「情緒などの神経症傾向」を、それぞれ、個人特性パラメータxi1,xi2,xi3,xi4,xi5(xi2~xi5まで不図示)として割り当てることができる。
【0019】
基礎データDPは、その準備ステップにおいて、必要に応じて、メモリ部3に格納される。基礎データDPは、必要に応じて、上記手順により、逐次更新される。基礎データDPが準備できた後には学習データセットDTrGrの作成ステップに移行する。
【0020】
続いて、学習プロセス(P1)の学習データセットDTrGrの作成ステップについて説明する。学習データセットDTrGrはp人の学習チーム構成員からなる学習チームについての実績の予測モデルの基礎となる学習データである。学習データセットDTrGrの作成ステップでは、基礎データDPの対象となっている学習チーム構成員の候補Mtr1,・・・,Mtri,・・・,Mtrnから、p人を抽出して組み合わせて学習データ用の学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])を編成する。学習データ用の学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])は複数である必要があるので、理論的には2以上の任意の数となるが、なるべく多い学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])でデータを作成するほうが評価結果の精度が高くなる。一つの学習チームのp人の学習チーム構成員を抽出して組み合わせる際には、任意の学習チーム構成員の候補Mtr1,・・・,Mtri,・・・,Mtrnから抽出して自由に組み合わせることができる。また、学習データセットDTrGrの個数は任意の個数で自由に設定できる。多種多様な学習チーム構成員の組み合わせを用いて、学習データセットDTrGrの個数を多くすれば多くするほど、予測モデル作成ステップ(S12)において作成される予測モデルの精度を高くすることができる。その結果、評価プロセス(P2)における実績の評価の結果の精度も高くなる。以下、この実施の形態の説明では、
図4に示すように、学習チーム構成員の人数が3人(p=3)となる学習チームの実績の評価を予測する例で説明する。
【0021】
まず、基礎データDPの候補となる学習チーム構成員の候補Mtri(i=1~n)から3人の学習チーム構成員Mtria,Mtrib,Mtric(ia,ib,icは1~nのうちの任意の数)を抽出して、学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])を編成する。たとえば、
図4の例では、学習チームTrGr1は学習チーム構成員Mtr1,Mtr38,Mtr257が抽出されて編成され、学習チームTrGr2は学習チーム構成員Mtr27,Mtr189,Mtr324が抽出されて編成される。これとともに、学習チームを構成する学習チーム構成員Mtri(i=1~n)の基礎データDPiをメモリ部3から読み出して組み合わせ、学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])の学習用個人データ群とする。
【0022】
ここで、学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])に対する学習チーム実績評価値Xkを割り当てる。学習チーム実績評価値Xkは、学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])の実績を所定の基準で数値化した数値データであり、任意の実績項目について数値化した数値とすることができる。学習チーム実績評価値Xkは代表的には一の値とすることができる。実績項目を複数で設定する場合には、その複数の値の平均値をとし、またはその複数の値の和とするなど、数学的ないし統計的な様々な処理によって複数の値を一の値とすることができる。さらには、学習チーム実績評価値Xkは代表的には一の値とせずに、学習チーム実績評価値Xkを複数の実績項目のそれぞれについて数値化した複数の値とすることもできる。学習チーム実績評価値Xkの値の範囲は、最終的にチーム評価システム1が処理部2によって評価すべき評価対象チームについて評価を行った最終的な出力値の範囲に対応するので、学習チーム実績評価値Xkの値として予定される上限値と下限値が最終的な出力値の上限値と下限値に対応するように予め決定しておく。たとえば、学習チームについて評価を行った最終的な出力値の範囲を0から10の値に分布させる場合には、学習チーム実績評価値Xkの値の範囲も0から10の値に分布させるように設定しておく。
【0023】
学習チーム実績評価値Xkの対象となる実績項目は、学習チームの実績を代表化できる限り、自由に選択できる。学習チームの実績の代表化がより現実の学習チームを表す代表値として適切であればあるほど、予測モデル作成ステップ(S12)において作成される予測モデルの精度を高くすることができる。その結果、評価プロセス(P2)における実績の評価の結果の精度も高くなる。学習チーム実績評価値Xkは、学習チームの実績を代表化した数値として、学習チーム構成員Mtri(i=1~n)の特性パラメータとは無関係に定められるパラメータであって、学習チーム構成員Mtri(i=1~n)を意識することなく独立的に定められるパラメータである。
【0024】
学習チーム実績評価値Xkの対象となる実績項目は、たとえば、その学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])の学習チーム構成員Mtria,Mtrib,Mtric(ia,ib,icは1~nのうちの任意の数)が感じた学習チームの雰囲気とすることができる。すなわち、学習チームTrGrk(k=2以上)の学習チーム構成員Mtria,Mtrib,Mtric(ia,ib,icは1~nのうちの任意の数)のそれぞれが感じた学習チームの雰囲気を所定の基準に応じて評価した数値である。学習チーム構成員Mtria,Mtrib,Mtric(ia,ib,icは1~nのうちの任意の数)が、自分が感じた学習チームの雰囲気を10段階評価で、それぞれ、5点、7点、8点と評価した場合、その平均値をとってXkの5点とすることができる。または、Xkを、最高点の8点と最低点の5点とを排除した中間値としての7点とすることもできる。
【0025】
さらには、学習チーム実績評価値Xkを、学習チームが出した数値としての実績値とすることもできる。たとえば、団体スポーツの場合には任意のチームが出した年間の得点などの数値をそのまま学習チーム実績評価値Xkとし、または企業の営業部門のチームの場合であれば任意のチームの年間売り上げ金額をそのまま学習チーム実績評価値Xkとすることもできる。チームとしての実績を代表化できる限り、学習チーム実績評価値Xkの対象となる実績項目を自由に選択できる。
【0026】
全学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])に対して、学習チーム実績評価値Xkが学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])の学習用個人データ群に対応する値とされて、学習チームの学習データセットDTrGrk(k=2以上)として、メモリ部3に保存される。
図6の例でいえば、学習チームTrGr1は学習チーム構成員Mtr1,Mtr38,Mtr257で構成させて、その学習チーム構成員Mtr1,Mtr38,Mtr257のそれぞれの基礎データDPtr1,DPtr38,DPtr257をメモリ部3から読み出して組み合わせた学習用個人データ群と学習チーム実績評価値X1とを組み合わせて学習データセットDTrGr1とする。同様に、学習チームTrGr2は学習チーム構成員Mtr27,Mtr189,Mtr324で構成させて、その学習チーム構成員Mtr27,Mtr189,Mtr324のそれぞれの基礎データDPtr27,DPtr189,DPtr324をメモリ部3から読み出して組み合わせた学習用個人データ群と学習チーム実績評価値X2とを組み合わせて学習データセットDTrGr2とする。一般化した学習チームTrGrkは学習チーム構成員Mtria,Mtrib,Mtricで構成させて、その学習チーム構成員Mtr27,Mtr189,Mtr324のそれぞれの基礎データDPtria,DPtrib,DPtricをメモリ部3から読み出して組み合わせた学習用個人データ群と学習チーム実績評価値Xkとを組み合わせて学習データセットDTrGrkとする。学習データセットDTrGr1,DTrGr2,・・・DTrGrk,・・は、学習データセットDTrGrとしてメモリ部3に保存される。なお、本実施の形態において表現される「組み合わせ」の意義は、データ上関連付けるだけ意味を含むものであって、一個のデータ群とすることのみならず、複数のデータ群に対して、それらを関連付けるデータを作成することも含む。
図3から
図7に示したデータは、本願発明を理解しやすいように代表的かつ概念的に表現しているのみであり、組み合わせられたデータが
図3から
図7に示される形式として作成されることのみを表現しているものではない。
【0027】
(学習プロセス(P1)/予測モデルと予測モデル作成ステップ(S12))
続いて、予測モデルPMを作成する予測モデル作成ステップ(S12)について説明する。予測モデルPMは、後述する評価プロセス(P2)において、評価すべき評価対象チームに対して準備した評価データセットを評価する際の評価基準であり、様々な処理方法に基づいて構築することができる。代表的手法として、予測モデルPMは統計的処理で構築することができる。また、別の代表的手法として、予測モデルPMは分析的処理で構築することができる。統計的処理および分析的処理のいずれにおいても、機械学習または深層学習を適用することができる。以下、統計的処理により構築される予測モデルPMSと、分析的処理に基づく予測モデルPMAとを説明する。
【0028】
まず、統計的処理により構築される予測モデルPMSについて説明する。統計的処理により構築される予測モデルPMSは、以下の式(1)のように、学習用データセット作成のために編成された学習チーム構成員Mtria,Mtrib,Mtricについて、前記学習プロセス(P1)の基礎データDPないし学習データセットDTrGrで説明した任意の第j列データ特性(j=1~m)である個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)を説明変数として、それらの重みづけ係数であるデータ群Cj(j)[j=1~m]として画定される。したがって、C(j)[k=1~m]の個数は、任意の一人に注目すると、前記基礎データDPないし学習データセットDTrGrで評価項目と同じ個数であるm個である。
PMS=C(j)[j=1~m]・・・(式1)
【0029】
そして、予測モデルPMSである重みづけ係数C(j)[j=1~m]は、学習データセットDTrGrを目的変数として、これらすべての学習データセットDTrGrに対して、以下の偏差量Dev(k)[k=2~s]が最小となるように決定される。偏差量Dev(k)[k=2~s]はなるべく0となるように決定することが好ましい。学習プロセス(P1)で作成されるすべての学習データセットDTrGrの全個数をsとすると以下で表される。
Dev(k)[k=2~s]
= Xk(k=2~s)-{ΣC(j)・(xtriaj[j=1~m]+xtribj[j=1~m]+xtricj[j=1~m])}・・・(式2)
【0030】
(式2)における偏差量Dev(k)[k=2~s]の意義は、目的変数としての「学習チーム実績評価値Xk」と、説明変数としての「学習データセットDTrGrkの任意のチームを構成する学習チーム構成員の全ての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)の和について重みづけ係数C(j)[j=1~m]を乗じた値」との差分であることを意味する。式(2)を、
図4のTrGr1の例を使用して具体的に表すと、以下のようになる。
Dev(1)
=X1-{C(1)・x11+C(2)・x12+C(3)・x13+・・・}
-{C(1)・x381+C(2)・x382+C(3)・x383+・・・}
-{C(1)・x2571+C(2)・x2572+C(3)・x2573+・・・}
【0031】
すなわち、チームTrGr1の例では、偏差量Dev(1)は、目的変数であるTrGr1の学習チーム実績評価値X1と説明変数であるTrGr1の学習チーム構成員Mtr1,Mtr38,Mtr257のそれぞれの個人特性パラメータの和について重みづけ係数C(j)[j=1~m]を乗じた値との差分量である。そして、予測モデルPMSであるC(j)[j=1~m]は、学習データセットDTrGrkのチームを構成する全てのチームTrGrk(k=2~s)についてこの偏差量Dev(k)[k=2~s]が最小となるように決定される。
【0032】
予測モデルPMSである重みづけ係数C(j)[j=1~m]を求める上で、学習チーム構成員の個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)のについて、評価項目ごとに必要な個数の値に統合してもよい。たとえば、前記の
図3および
図4の例では、第1列データ属性x11,・・・,xi1,・・・xn1は、性格としての「外向性」を評価項目とする数値として例示しているが、学習データセットDTrGrkのチームを構成する学習チーム構成員の人数分の数値が存在するので、これを人数分より少ない値に統合することができる。統合した結果の値の個数は任意に決定できる。チームTrGr1の例では、学習チーム構成員Mtr1,Mtr38,Mtr257の構成員の性格としての「外向性」を評価項目とする個人特性データを構成する個人特性パラメータの第1列データ属性x11,x381,x2571の3つのデータを一個に統合することができる。統合にあたっては、たとえば、これらの数値の平均値とすることもできる。統計的に意味がある方法である限り、統合する手法は限定されない。学習チーム構成員の人数分より少ない値に統合することにより、予測モデルPMSである重みづけ係数C(j)[j=1~m]の個数を減らすことができ、偏差量Dev(k)[k=2~s]を最小化する計算負荷を小さくすることができる。
【0033】
続いて、分析的処理に基づく予測モデルPMAについて説明する。分析的処理に基づく予測モデルPMAは、学習チーム実績評価値Xkと、学習データセットDTrGrkのチームを構成する学習チーム構成員Mtria,Mtrib,Mtricの全ての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)のとをパラメータとする評価関数f(xij)[i=1~n,j=1~m,k=2~s]である。
PMA=f(xtriaj,xtribj,xtricj)[j=1~m]
・・・(式3)
【0034】
(式3)の予測モデルPMAの評価関数f(xtriaj,xtribj,xtricj)[j=1~m] は、学習チームの全てに対して、学習チーム構成員Mtria,Mtrib,Mtricの全ての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大小関係の順位付けを画定するものである。すなわち、予測モデルPMAの評価関数f(xtriaj,xtribj,xtricj)[j=1~m] は、xtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大きなものから順位付けを画定するものである。このとき、すべての要素が大きい、またはすべての要素が小さいものについては、大小関係の順位付けの決定は容易であるが、たとえば、あるチームはxtribj(j=1~m)が大きくxtricj(j=1~m)の値は小さいが,他のチームはxtricj(j=1~m)の値が大きくxtribj(j=1~m)が小さい場合のように、順位付けが困難な場合もある。このような場合には、評価項目である個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)のそれぞれの項目の重みづけを行って、学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小関係(すなわち高いものから)の順位づけと、合致するように調整する。個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大小関係(高いものから)の順位付けと、学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小関係(高いものから)の順位づけと、を合致させて評価関数fを構築する方法には、さまざまな方法が選択でき、一つの方法には限られない。たとえば、最適な評価関数fは、たとえば、次のように決定することができる。
【0035】
分析的処理に基づく予測モデルPMAは、たとえば、いわゆる決定木分析の手法を用いることができる。決定木分析の手法の適用にあたっては、分類木分析の手法や、回帰木分析の手法など、一般的な決定木分析の手法が使用できる。たとえば、個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)を説明変数として、個人特性パラメータのそれぞれについて、任意の閾値δを定め、学習データセットDTrGrkのチームを構成する学習チーム構成員の全ての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)について、それぞれについて定めた閾値δに対し、閾値δより大きいか、閾値δと等しいか、閾値δより小さいかなど、閾値δとの比較条件を閾値に対する分類枝として、目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)がどのように分布するかを判定して構築する。閾値δは可変であり、閾値δを変更しながら、個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)の変数領域のそれぞれに対して、学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の変数領域が対応するように決定木を画定する。
図5を参照して具体的に説明すると、たとえば個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)のうち、最初の個人特性パラメータxtria1,個人特性パラメータxtrib1,xtric1の値について、閾値δ1以上であるか、または閾値δ1未満であるかを判定し、それぞれに対して、そのときの目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の分布を判定する。続いて、最初の個人特性パラメータxtria1,xtrib1,xtric1の値が閾値δ1以上の群について、個人特性パラメータxtria2,個人特性パラメータxtrib2,xtric2の値が閾値δ2以上であるか、または閾値δ2未満であるかを判定し、それぞれについて目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)がどのように分布するかを判定する。これを、説明変数であるすべての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),個人特性パラメータxtribj(j=1~m),個人特性パラメータxtricj(j=1~m)に対して実行して、説明変数であるすべての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大小と、目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小と、が対応するように、すべての閾値δ1,δ2,δ3・・・が選択される。この過程において、説明変数であるすべての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大小と、目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小と、が対応するような個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)と閾値δ1,δ2,δ3・・が選択され、
図5の決定木の領域Tの部分の分類枝と各分類枝における閾値δが決定される。この分類枝および閾値δの選択においては、エントロピーや不純度という決定木を画定する上で一般的に使用される指標が最も小さくなるように、説明変数であるすべての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大小と、目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小と、が対応するように、すべての閾値δ1,δ2,δ3・・・が選択される。たとえば、説明変数のうちの任意の個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大小が、目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小に対応しない場合には、閾値δを変更し、それでも、その個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大小が、目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小に対応しない場合には、その個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)は説明変数としては排除される。
【0036】
また、任意の個人パラメータについて、個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)について、一部は閾値δ以上であるものの、それ以外は閾値δ未満となる群も存在する。たとえば、xtria1とxtrib1は閾値δ1以上であるが、xtric1は閾値δ1未満となる群である。このような群は、説明変数について個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)について少なくとも何個以上が閾値δ1以上であるか、または閾値δ1未満であるかとの分類枝を作り、これに対する目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小を分類する。そして、最終的に、説明変数であるすべての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)の大小と、目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小と、が対応するように、すべての閾値δ1,δ2,δ3・・・を選択して決定木を画定する。決定木により画定される説明変数としての個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)と閾値δを分類枝した目的変数の学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の関係が予測モデルPMAとしてのf(xtriaj,xtribj,xtricj)[j=1~m] である。決定木の画定は必ずしも一意に画定されるものではなく、分類枝と閾値δにより様々な決定木が存在し、これに対応した予測モデルPMAモデルが存在する。決定木の構築を行う上での分析的処理は機械学習や深層学習により行うことができる。
【0037】
以上に基づいて、統計的処理に基づく予測モデルPMSまたは分析的処理に基づく予測モデルPMAなどを代表とする予測モデルPMが構築され、メモリ部3に保存される。メモリ部3に保存された予測モデルPMは評価プロセス(P2)で必要に応じて読みだされて使用される。
【0038】
(評価プロセス(P2)/評価データセット作成ステップ(S21))
続いて、
図6を参照して、評価プロセス(P2)について説明する。まず、評価プロセス(P2)では、評価データセット作成プロセス(S21)が実行される。処理部2は、評価データセット作成プロセス(S21)を実行して、評価データセットDEvGrを作成する。評価データセットDEvGrは、評価すべき評価対象チームのデータである。評価データセットDEvGrは、予測モデルPMを適用するものであるため、学習データセットDTrGrのデータと対応していなければならない。すなわち、評価データセットDEvGrの評価対象チームの人数と、学習データセットDTrGrの各チームの学習チーム構成員の人数とは合致している必要がある。また、評価データセットDEvGrの個人特性パラメータxij(i=1~n,j=1~m)の評価項目および順序ないし対応関係は基礎データDPの個人特性パラメータxij(i=1~n,j=1~m)の評価項目および順序対応関係と合致している必要がある。すなわち、
図6の例でいえば、評価データセットDEvGrは、評価データセットDEvGrは人数がp人の評価対象チームであって、特に前記の学習プロセス(P1)の例では、任意のp人を3人としているので、評価対象チーム構成員Mev1,Mev2,Mev3からなる評価対象チームEvGrの評価用評価データセットである。評価データセットDEvGrの個人特性パラメータの第1列データ属性xev11,xev21,xev31は基礎データDPにおける第1列データ属性xi1(i=1~n)と対応している。同様に、評価データセットDEvGrの個人特性パラメータの第j列データ属性xev1j,xev2j,xev3jは基礎データDPにおける第j列データ属性xij(i=1~n)と対応し、第m列データ属性xev1m,xev2m,xev3mは基礎データDPにおける第m列データ属性xmj(i=1~n)と対応する。
【0039】
評価データセットDEvGrを構成する評価対象チーム構成員Mev1,Mev2,Mev3は、基礎データDPのチーム構成員の候補TrMi(i=1からn)のいずれかであってもよく、または基礎データDPのチーム構成員の候補TrMi(i=1からn)に属していなくてもよい。換言すれば、評価データセットDEvGrを構成する評価対象チーム構成員の候補は基礎データDPのチーム構成員の候補から選択してもよく、またはチーム構成員の候補として全く異なる構成員から選択してもよい。基礎データDPと学習データセットDTrGrと対応するように評価データセットDEvGrが作成できる限り、評価対象チーム構成員の候補は自由に選定できる。評価データセットDEvGrは、一つの評価対象チームを評価する場合には、その評価対象チームのみのデータを有するデータセットすればよい。
【0040】
一方で、複数のチームを評価したい場合には、複数のチーム要素のデータを有するように、評価データセットDEvGrを作成することができる。たとえば、
図7に示すように、評価データセットDEvGrを、任意のq個の評価対象チームのデータDEvGr1・・・DEvGria・・・DEvGrqからなるデータセットとしてもよい。この場合であっても、評価データセットDEvGrを構成する任意のq個の評価対象チームの評価データセットDEvGria(ia=1~q)のそれぞれは一つの評価対象チームのデータを有するデータセットと同様に、基礎データDPと学習データセットDTrGrと対応するように評価データセットDEvGrが作成される必要がある。複数の評価対象チーム要素のデータを有する評価データセットDEvGrにより複数の評価対象チームを評価することにより、その複数の評価対象チームの中から最適な評価対象チーム構成員で編成される最適チームを導き出すことができる。
【0041】
(評価プロセス(P2)/評価演算ステップ(S22))
続いて、
図6および
図7を参照して、評価演算ステップ(S22)について説明する。評価データセットDEvGrを入力として、予測モデルPMに基づいて、評価データセットDEvGrに対する評価値を計算する。
図6に示す一つの評価対象チーム要素のデータを有する評価データセットDEvGrでは、評価データセットDEvGrを予測モデルPMに入力して、評価すべき評価対象チームの実績の予測評価値EV1を計算する。
図7に示す複数の評価対象チームのデータを有する評価データセットDEvGrでは、任意のq個の評価対象チームの評価データセットDEvGria(ia=1~q)を予測モデルPMに入力して予測評価値EVia(ia=1~q)を計算する。計算された予測評価値Ev1またはEVia(ia=1~q)のいずれの場合も、前述のとおり、学習チーム実績評価値Xkの値の範囲を決めた際に予め設定した上限値と下限値で画定される範囲に予定通り分布する。その範囲内における分布の中での得られた予測評価値の大きさで、望ましく適切なチームであるか、望ましくない不適切なチームであるか、を直接判定することができる。予測評価値は、ディスプレイまたはプリンタなどの出力装置4に出力される。
【0042】
予測評価値は、具体的には、たとえば以下の通りに計算される。予測モデルPMが統計的処理に基づいて構築された予測モデルPMSを使用する場合には、評価演算ステップ(S22)において、予測評価値Ev1は予測モデルPMSを求めた際の式(2)に基づいて、以下のように計算される。前記のとおり、予測モデルPMSの重みづけ係数C(j)[j=1~m]は、予測モデルPMSの構築の段階で、偏差量Dev(k)[k=2~s]が0になるように決定されているので、予測モデルPMSの重みづけ係数C(j)[j=1~m]を評価データセットDEvGrの対応する個人特性パラメータxevij,xevij,xevij[i=1~q,j=1~m]に乗じた和が予測評価値Ev1(式4)となる。
Ev1={ΣC(j)・xevij[i=1~q,j=1~m]}
={C(1)・xev11+C(2)・xev12+・・・}
+{C(1)・xev21+C(2)・xev22+・・・}
+{C(1)・xev31+C(2)・xev32+・・・}
・・・(式4)
【0043】
複数の評価対象チームのデータを有する評価データセットDEvGrを用いて予測評価値EVia(ia=1~q)を計算する場合において、それぞれの予測評価値EVia(ia=1~q)を計算する場合も上記式(4)により同様に求められる。予測評価値EVia(ia=1~q)が最も高いもの(最大値)が最適なチーム構成員により編成された最適チームであることを意味する。
【0044】
予測モデルPMが分析的処理に基づいて構築された予測モデルPMAを使用する場合には、評価演算ステップ(S22)において、予測評価値Ev1は、予測モデルPMAの式(4)の評価関数f(xij)[i=1~n,j=1~m]に評価データセットDEvGrの対応する個人特性パラメータxevij,xevij,xevij[i=1~q,j=1~m]を代入することで得られた値となる。
【0045】
(第2の実施の形態)
以上、本発明のチーム評価システム1の実施の形態として、属性が同格である一種類の複数のチーム構成員からなるチームを編成する形態を説明した。しかし、たとえば教師と生徒という属性が異なる複数(2以上)の属性の複数のチーム構成員からなる学校の学級など、複数の属性のチーム構成員からなるチームを編成する場合にも適用できる。以下、
図8から
図10を参照して、本発明の第2の実施の形態として、2以上の属性のチーム構成員からなるチームを編成する実施の形態について説明する。
図8は、第2の実施の形態の学習プロセスにおいて準備する基礎データを示している。
図9は、第2の実施の形態の学習プロセスにおいて準備する学習データセットを示している。
図10は、第2の実施の形態の評価プロセスにおいて準備する、評価すべき評価対象チームの評価データセットを示している。
【0046】
複数の属性の構成員からなるチームを編成するチーム評価システム1の構成は前記の実施の形態と同じである。また、予測評価フローが学習プロセス(P1)と評価プロセス(P2)とを備える点も同じである。さらに、学習プロセス(P1)が学習データセット作成ステップ(S11)と予測モデル作成ステップ(S12)とを備える点と、評価プロセス(P2)は評価データセット作成ステップ(S21)と、それに続いて実行される評価演算ステップ(S22)とを備える点も同じである。以下、この実施の形態について、それぞれのステップにおいて、異なる点を中心に説明する。説明上、代表例として、チーム構成員の属性が2つの例(第1属性と第2属性)であって、第1属性3人と第2属性1人の4人のチーム構成員で編成されるチームの例を用いて説明する。
【0047】
(学習プロセス(P1)/学習データセット作成ステップ(S11))
図8を参照して、学習プロセス(P1)について説明する。学習データセット作成プロセス(S11)では、チームを編成する上での候補となる学習チーム構成員について、属性の異なる学習チーム構成員のグループごとに個々の指標となる基礎データDPa,DPbを作成する。基礎データDPaおよびDPbのそれぞれの作成の仕方は、第1の実施の形態と同様であって、第1の属性の学習チーム構成員Matri(i=1~na)と第2の属性の学習チーム構成員Mbtri(i=1~nb)とのそれぞれについて、基礎データDPatri(i=1~na)とDPbtri(i=1~nb)とを作成する。属性の異なる学習チーム構成員の基礎データDPatri(i=1~na)とDPbtri(i=1~nb)とにおいて、任意の第j列データ属性は、必ずしも同一である必要はなく、代表的には異なる。属性の異なる学習チーム構成員のグループごとに基礎データDPa,DPbを作成する以外は第1の実施の形態と同じである。
【0048】
基礎データDPaとDPbとの作成の後には、第1の実施の形態と同様に学習データセットDTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])を作成する。学習データセットDTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])は任意の個数とできる点は第1の実施の形態と同様である。
図9は、第2の実施の形態における任意の学習チームTrGrkについての学習データセットDTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])を示している。第2の実施の形態の例では、まず、第1属性の学習チーム構成員Matria,Matrib,Matricの3人のそれぞれの基礎データDPaia,DPaib,DPaic,と、第2属性の学習チーム構成員Mbtriの基礎データDPbiとを組み合わせて、学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])の学習用個人データ群とする。続いて、学習用個人データ群に学習チームTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])に対する学習チーム実績評価値Xkを割り当てて学習データセットDTrGrk(k=2以上の任意の数[k=2~s])を作成する。学習チーム実績評価値Xkの決定は、第1の実施の形態と同じである。学習データセットDTrGrk(k=1以上の任意の数)の作成においては、異なる属性の基礎データを組み合わせることを除いては、第1の実施の形態と同様である。以上が、第2の実施の形態における学習プロセス(P1)である。
【0049】
(学習プロセス(P1)/予測モデルと予測モデル作成ステップ(S12))
続いて、第2の実施の形態における予測モデルPMを作成する予測モデル作成ステップ(S12)について説明する。予測モデルPMの構築は、第1の実施の形態とほぼ同じであり、予測モデルPMは統計的処理、または分析的処理で構築することができる点は第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態では、学習データセットDTrGrk(k=1以上の任意の数)に異なる属性の学習チーム構成員の個人データが混在するので、予測モデルPMの構築の際に、同一の属性ごとに決定する点が異なる。この点を、以下、具体的に説明する。
【0050】
まず、統計的処理により構築される予測モデルPMSについて説明する。第2の実施の形態における予測モデルPMSである重みづけ係数は、属性の数に応じた個数の係数群で表される。ここでは説明上、第1属性の基礎データDPaをデータ源とする学習用個人データ群のDPaia,DPaib,DPaicと第2属性の基礎データDPbの基礎データDPbをデータ源とする学習用個人データ群のDPbiとの、2つの属性の個人特性パラメータとを例にしているので、下記(式5)の通り、予測モデルPMSは、それぞれC1(j)とC2(j)との2つの重みづけ係数の群となる。
PMS=(C1(j),C2(j))[j=1~m] ・・・(式5)
【0051】
予測モデルPMSである重みづけ係数(C1(j),C2(j))[j=1~m] の決定にあたっては、第1の実施の形態と同様に、すべての学習データセットDTrGrに対して、以下の偏差量Dev(k)[k=2~s]が最小となるように決定される。偏差量Dev(k)[k=2~s]はなるべく0となるように決定することが好ましい。学習プロセス(P1)で作成されるすべての学習データセットDTrGrの全個数をsとすると、第1の実施の形態と同様に、以下で表される。
Dev(k)[k=2~s]
= Xk(k=2~s)-{ΣC1(j)・(xtriaj[j=1~m]+xtribj[j=1~m]+xtricj[j=1~m])+ΣC2(j)・ytrij[j=1~m]} ・・・(式6)
【0052】
分析的処理に基づく予測モデルPMAについても、第1の実施の形態と同じように、学習データセットDTrGrkの学習チームを構成する全ての属性の全ての学習チーム構成員の個人特性パラメータxtriaj,xtribj,xtricj,ytrij[j=1~m]をパラメータとする評価関数として、下記のように表すことができる。複数の属性の個人特性パラメータを使用する点以外は第1の実施の形態と全く同じである。
PMA=f(xtriaj,xtribj,xtricj,ytrij)
[j=1~m] ・・・(式7)
【0053】
(式7)の予測モデルPMAの評価関数の同定にあたっては、決定木の画定の段階で、分類枝と閾値δの選択において、エントロピーや不純度の最小化を経て、説明変数の個人特性パラメータxtriaj,xtribj,xtricj,ytrij[j=1~m]の大小関係と目的変数である学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小関係とが対応するように、調整される。エントロピーを最小化するように分類枝と閾値δを選択するということは、目的変数である学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小関係のばらつきが最も小さくなるように、説明変数である各個人特性パラメータxtriaj,xtribj,xtricj,ytrij[j=1~m]に対して分類枝と閾値δを選択することを意味する。一方、不純度を最小化するように分類枝と閾値δを選択するということは、目的変数である学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)の大小関係に矛盾がでるものが最も少なくなるように、説明変数である各個人特性パラメータxtriaj,xtribj,xtricj,ytrij[j=1~m]に対して分類枝と閾値δを選択することを意味する。その結果として、(式7)の予測モデルPMAの評価関数は、個人特性パラメータxtriaj(j=1~m),xtribj(j=1~m),xtricj(j=1~m)を入力値として、学習チーム実績評価値Xk(k=2~s)を一意に出力地として決定することができる関数として画定される。
【0054】
(評価プロセス(P2)/評価データセット作成ステップ(S21))
続いて、
図10を参照して、評価プロセス(P2)の評価データセットDEvGrについて説明する。評価データセットDEvGrの作成も、第1の実施の形態と同様に、学習データセットDTrGrkのデータと対応していなければならない点で同じである。したがって、評価データセットDEvGrは、編成しようとする評価対象チームにおいて、同一の属性に属する人数が学習データセットDTrGrkのデータに対応するように同様の構成で作成されなければならない。すなわち、第2の実施の形態では、前記の通り、第1属性の学習チーム構成員の人数を3人とし、第2属性の学習チーム構成員の人数を1人として学習データセットDTrGrkを例として作成するように説明を行っているので、評価データセットDEvGrの作成も、これに対応するように、第1属性の評価対象チーム構成員の人数を3人(Maev1,Maev2,Maev3)とし、第2属性の評価対象チーム構成員の人数を1人(Mbev)の個人特性パラメータを組み合わせて作成する。評価データセットDEvGrを1つだけ作成して一の予測評価値を得るようにするか、評価データセットDEvGrを複数作成して最高の予測評価値となる最適なチーム編成を導出するかについては、第1の実施の形態と全く同様である。
【0055】
(評価プロセス(P2)/評価演算ステップ(S22))
評価演算ステップ(S22)については第1の実施の形態と同じく、説明する。評価データセットDEvGrを入力として、予測モデルPMに基づいて、評価データセットDEvGrに対する予測評価値を計算すればよい。
【0056】
以上、本願発明の実施の形態を説明したが、具体的には以下の実施例1から4のように適用される。
【実施例0057】
(実施例1)
まず、実施例1について説明する。実施例1は、属性が同格の複数のチーム構成員からなるチームを編成する第1の実施の形態の一実施例である。実施例1では、一つの航空便におけるキャビンアテンダント(以下、CAと呼ぶ)のチームの編成に適用する例である。この場合、基礎データDPにおけるチーム構成員Mtri(i=1~n)として搭乗可能なCAが選択される。基礎データDPを構成する任意のチーム構成員Mtri(i=1~n)たるCAの個人特性パラメータxij(j=1~m)は、たとえば、大分類として「パーソナリティ系データ」,「仕事・メンタル系データ」,「スキル系データ」が選択される。「パーソナリティ系データ」としては、性格の五大特性である「外向性」,「誠実性ないし勤勉性」,「協調性」,「開放性」,「情緒などの神経症傾向」をはじめとして、「人間的信頼性」や「自立性」として選択できる。「仕事・メンタル系データ」としては、「精神的復元力」,「労働過剰回避傾向性」などを選択できる。「スキル系データ」としては、「英語力」などが選択できる。これらを個人特性パラメータxij(j=1~m)のそれぞれに対応させて、それぞれについて、10段階の評価を数値として当てはめる。
【0058】
実際に運航した複数の便のCAのチームを学習データセットDTrGrの学習データ用のチームTrGrk(k=2以上)とする。そして、その運航後におけるCAチームのそれぞれにおいて、学習チーム実績評価値Xkを決定する。たとえば、学習チーム実績評価値XkはそのCAのチームの各人が感じたチームの雰囲気および成果の自己採点の平均値とすることができる。その学習チーム実績評価値Xkと前記の個人特性パラメータxij(j=1~m)とを組み合わせて学習データセットDTrGrを作成すればよい。これに基づいて予測モデルPMを構築する。
【0059】
将来運航が予定される航空便のCAのチームを決定する際には、その便での乗務が予定される複数のCAの個人特性パラメータで評価データセットDEvGrを作成する。評価データセットDEvGrを予測モデルPMに適用して、そのCAのチームの予測評価値EV1を計算する。
【0060】
また将来運航が予定される航空便のCAのチームを決定する際に、未だ乗務するCAのチームが決まっていないときに、最適なチームを編成したいときには、考えられる任意のqチームのCAのチームを編成して評価データセットDEvGrを作成する。qチームのCAのチームについて評価データセットDEvGrを予測モデルPMに適用して、そのすべてのCAのチームについて予測評価値EVia(ia=1~q)を計算する。得られた予測評価値EVia(ia=1~q)の中で、最高の値のCAのチームが最適なチームとして評価できる。
【0061】
(実施例2)
続いて、実施例2について説明する。実施例2も実施例1と同様に、属性が一種類で同格の複数のチーム構成員からなるチームを編成する第1の実施の形態の別の実施例である。実施例2は、野球やサッカーなどのスポーツにおけるチームにおいての選手の編成に適用する例である。実施例2は、実施例1よりも、チームの実績が数値化しやすい事例である。この場合も、前記の実施例1と同様に基礎データDPを作成する。基礎データDPを構成する任意のチーム構成員Mtri(i=1~n)たるCAの個人特性パラメータxij(j=1~m)としては、CAのチームの場合と異なり、特にその競技で求められる評価項目を選択すればよい。また、学習データ用のチームTrGrk(k=2以上)の作成において、学習チーム実績評価値Xkを決定する際にも、その競技におけるチームの過去の得点数など、スポーツチームの実績を代表的に数値化できる評価項目を適用することができる。予測モデルPMの構築と、チームについての予測評価値EV1または予測評価値EVia(ia=1~q)の計算は実施例1と同様である。
【0062】
(実施例3)
続いて、実施例3について説明する。実施例3は、実施例1および実施例2と異なり、実施例1は、複数の属性の複数のチーム構成員からなるチームを編成する第2の実施の形態の一実施例である。実施例3は、雇用者(雇用する者)と求職者(雇用される者)とで一つのチームを編成する例である。この実施例では、雇用者(雇用する者)を第1属性とし求職者(雇用される者)を第2属性として、前記の第2の実施の形態を適用する。第1属性の基礎データDPaと第2属性の基礎データDPbとの作成においては、共通の評価項目を設定することは当然可能であるとともに、さらには属性に応じた特徴的な評価項目をも自由に設定することができる。
【0063】
実施例3としては、その他、第1属性を教師とし、第2属性を生徒とする学校や塾のクラスの編成に代表される教育分野での適用や、第1属性を医師とし第2属性を患者とする病院などの医療チームの編成に代表される医療分野での適用や、第1属性を介護士とし第2属性を被介護者とする介護チームの編成に代表される介護分野での適用などに適用できる。