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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144629
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220926BHJP
【FI】
F21S2/00 413
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045714
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真文
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA26
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA19
3K244EA02
3K244EA13
3K244EC27
3K244ED25
3K244GA01
3K244GB02
3K244GB08
3K244GB13
3K244GC02
3K244GC07
3K244GC13
(57)【要約】
【課題】薄型であり、かつ、出光方向を変化させることが出来る照明装置を実現する。
【解決手段】
導光板10の第1の方向に延在する第1の側面に第1のLED40が配置し、第1の側面と対向する第2の側面に第2のLED40が配置し、前記導光板10において、前記第1のLED40が配置され、前記第2の方向に延在する領域を第1の領域とし、前記第2のLED40が配置され、前記第2の方向に延在する領域を第2の領域とし、前記導光板10の上にプリズムシート30が配置し、前記プリズムシート30には、前記第1の方向に延在し、前記第2の方向に配列してプリズムが形成され、前記プリズムの第1面は、前記プリズムシート30の法線方向と第1の角度を有し、前記プリズムの第2面は、前記プリズムシートの法線方向と第2の角度を有し、前記第2の角度は前記第1の角度よりも大きいことを特徴とする照明装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在する第1の側面と前記第1の側面と対向して前記第1の方向に延在する第2の側面を有する導光板を有し、前記第1の側面に第1のLEDが配置し、前記第2の側面に第2のLEDが配置した照明装置であって、
前記導光板において、前記第1のLEDが配置され、前記第2の方向に延在する領域を第1の領域とし、前記第2のLEDが配置され、前記第2の方向に延在する領域を第2の領域とし、
前記導光板の上にプリズムシートが配置し、
前記プリズムシートには、前記第1の方向に延在し、前記第2の方向に配列してプリズムが形成され、
前記プリズムの第1面は、前記プリズムシートの法線方向と第1の角度を有し、前記プリズムの第2面は、前記プリズムシートの法線方向と第2の角度を有し、前記第2の角度は前記第1の角度よりも大きいことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記プリズムシートの前記プリズムの前記第1面を全反射して前記プリズムシートから出射する光の前記プリズムシートの法線とのなす角度は、前記プリズムシートの前記プリズムの前記第2面を全反射して前記プリズムシートから出射する光の前記プリズムシートの法線とのなす角度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記プリズムシートの前記プリズムの前記第1面を全反射して前記プリズムシートから出射する光は、前記プリズムシートの法線方向であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記導光板の上面には、前記第2の方向に延在して前記第1の方向に配列する第1のプリズムが形成され、
前記導光板の下面には、前記第1の方向に延在して前記第2の方向に配列する第2のプリズムが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記導光板の上面に形成された第1のプリズムのピッチ及び高さは、前記プリズムシートに形成されたプリズムのピッチ及び高さよりも小さく、
前記導光板の下面に形成された第2のプリズムのピッチ及び高さは、前記プリズムシートに形成されたプリズムのピッチ及び高さよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記プリズムシートの前記プリズムが形成された面は、前記プリズムシートの前記導光板に対向する面であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1のLEDのみが点灯した時の出射光の方向は、前記第2のLEDのみが点灯した時の出射光の方向とは異なることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
第1の方向に延在する第1の側面と前記第1の側面と対向して前記第1の方向に延在する第2の側面を有する導光板を有し、前記第1の側面または前記第2の側面に第1のLED及び第2のLEDが配置した照明装置であって、
前記導光板において、前記第1のLEDが配置され、前記第2の方向に延在する領域を第1の領域とし、前記第2のLEDが配置され、前記第2の方向に延在する領域を第2の領域とし、
前記導光板の上に第1のプリズムシートが配置し、
前記第1のプリズムシートの上に第2のプリズムシートが配置し、
前記第1のプリズムシートに形成された第1のプリズムは、第1の方向に延在して第2の方向に配列し、
前記第1のプリズムシートから出射する光は第1のプリズムシートの法線方向であり、
前記第1のプリズムシートの上に配置した第2のプリズムシートには、前記第1の領域に対応して前記第1の方向に延在して前記第2の方向に配列した第2のプリズムが形成された第3の領域と、前記第2の領域に対応して、プリズムが存在しない第4の領域が形成され、
前記第4の領域を出射する光の出射方向は、前記第2のプリズムシートの法線方向であり、前記第3の領域を出射する光の出射方向は、前記第2のプリズムシートの法線方向と角度をなしていることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
前記第1のプリズムシートに形成されたプリズムの断面は2等辺三角形であり、前記第2のプリズムシートに形成されたプリズムシートの断面は直角3角形であることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1のLEDと前記第2のLEDは、前記導光板の前記第1の側面に配置していることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1のLEDと前記第2のLEDは、前記導光板の前記第1の側面及び前記第2の側面に配置していることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項12】
前記第2のプリズムシートの前記第3の領域と前記第4の領域は、一体のシートとして形成されていることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項13】
前記第2のプリズムシートの前記第3の領域と前記第4の領域は、別体のシートとして形成されていることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項14】
前記導光板の上面には、前記第2の方向に延在して前記第1の方向に配列する第3のプリズムが形成され、
前記導光板の下面には、前記第1の方向に延在して前記第2の方向に配列する第4のプリズムが形成されていることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項15】
前記導光板の上面に形成された前記第3のプリズムのピッチ及び高さは、前記第2のプリズムシートに形成された第2のプリズムのピッチ及び高さよりも小さく、
前記導光板の下面に形成された前記第4のプリズムのピッチ及び高さは、前記第2のプリズムシートに形成された第2のプリズムのピッチ及び高さよりも小さいことを特徴とする請求項14に記載の照明装置。
【請求項16】
前記第1のプリズムシートの前記第1のプリズムが形成された面は、前記第1のプリズムシートの前記導光板に対向する面であり、前記第2のプリズムシートの前記第2のプリズムが形成された面は、前記第2のプリズムシートの前記第1のプリズムシートに対向する面でありることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項17】
前記第1のLEDのみが点灯した時の出射光の方向は、前記第2のLEDのみが点灯した時の出射光の方向とは異なることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出射方向を容易に変換することが出来る、あるいは、複数の方向にコリメート光を出射することが出来る薄型の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機や電車の各座席にコリメートされた光を投射する需要がある。また、自動車等で、目的によって別な角度で光を放射したい場合がある。一方、光源から異なる角度で光を放射したい場合がある。このような場合、例えば、光源の角度を変える、光源からの出射光に対して反射板を配置して出射角度を変える、光源からの出射光に対してレンズを配置して出射角度を変える等の手段がある。
【0003】
特許文献1には、1個の光源から出射する光の角度を変化させる構成が記載されている。具体的には、直下型の光源の上に出射光の角度を変えるための屈折手段を載置した構成が記載されている。これらの屈折手段として、レンズ、プリズム、液体レンズ、液晶レンズ等を用いることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、液晶レンズを用いて、光ビーム形状を制御する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-69409号公報
【特許文献2】US2019/0025657 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
飛行機や電車の各座席にコリメートされた光を投射する場合、あるいは、自動車等で、機能によって別な角度で光を放射したい場合、例えば、飛行機等の座席毎に照明装置を配置してもよいが、この場合、照明器具の数が多くなり、重量やスペースが問題になる。
【0007】
1個の光源から出射する光の方向を変えるために、光源を回転させて出射角度を変えることもできるが、この場合、機械的な駆動装置が必要になり、照明装置が大型化してしまう。また、光源の出射側に光の屈折手段を配置する方法は、屈折手段を配置することによる装置の大型化が問題となり、さらに、屈折手段を駆動する手段も必要となる。
【0008】
本発明の課題は、薄型で、スペースをとらず、かつ、光の出射角度を容易に変えることが出来る照明装置を実現することである。また、本発明の他の課題は、薄型で、スペースをとらず、かつ、複数の方向に、コリメートされた出射光を放出することが出来る照明装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)第1の方向に延在する第1の側面と前記第1の側面と対向して前記第1の方向に延在する第2の側面を有する導光板を有し、前記第1の側面に第1のLEDが配置し、前記第2の側面に第2のLEDが配置した照明装置であって、前記導光板において、前記第1のLEDが配置され、前記第2の方向に延在する領域を第1の領域とし、前記第2のLEDが配置され、前記第2の方向に延在する領域を第2の領域とし、前記導光板の上にプリズムシートが配置し、前記プリズムシートには、前記第1の方向に延在し、前記第2の方向に配列してプリズムが形成され、前記プリズムの第1面は、前記プリズムシートの法線方向と第1の角度を有し、前記プリズムの第2面は、前記プリズムシートの法線方向と第2の角度を有し、前記第2の角度は前記第1の角度よりも大きいことを特徴とする照明装置。
【0011】
(2)第1の方向に延在する第1の側面と前記第1の側面と対向して前記第1の方向に延在する第2の側面を有する導光板を有し、前記第1の側面または前記第2の側面に第1のLED及び第2のLEDが配置した照明装置であって、前記導光板において、前記第1のLEDが配置され、前記第2の方向に延在する領域を第1の領域とし、前記第2のLEDが配置され、前記第2の方向に延在する領域を第2の領域とし、前記導光板の上に第1のプリズムシートが配置し、前記第1のプリズムシートの上に第2のプリズムシートが配置し、前記第1のプリズムシートに形成された第1のプリズムは、第1の方向に延在して第2の方向に配列し、前記第1のプリズムシートから出射する光は第1のプリズムシートの法線方向であり、前記第1のプリズムシートの上に配置した第2のプリズムシートには、前記第1の領域に対応して前記第1の方向に延在して前記第2の方向に配列した第2のプリズムが形成された第3の領域と、前記第2の領域に対応して、プリズムが存在しない第4の領域が形成され、前記第4の領域を出射する光の出射方向は、前記第2のプリズムシートの法線方向であり、前記第3の領域を出射する光の出射方向は、前記第2のプリズムシートの法線方向と角度をなしていることを特徴とする照明装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の照明装置の斜視図である。
図2図1のA部詳細図である。
図3】導光板とLEDの関係を示す斜視図である。
図4】導光板とLEDの関係を示す他の斜視図である。
図5】導光板にプリズムシートを配置した断面図である。
図6】プリズムシートの詳細図である。
図7】実施例1のプリズムシートのプリズムの作用を示す断面図である。
図8】実施例1の作用を示す斜視図である。
図9】実施例1の作用を示す他の斜視図である。
図10】実施例1の作用を示すさらに他の斜視図である。
図11】実施例2の斜視図である。
図12図11のB部詳細図である。
図13】実施例2における導光板とLEDの関係を示す斜視図である。
図14】導光板の上に第1プリズムシートを配置した場合の作用を示す斜視図である。
図15】導光板の上に第1プリズムシートを配置した状態の断面図である。
図16】第1プリズムシートのプリズムの作用を示す断面図である。
図17】第1プリズムシートの上に第2プリズムシートを配置した状態での作用を示す斜視図である。
図18】第2プリズムシートのプリズムの作用を示す断面図である。
図19図17をA方向から視た側面図である。
図20図17のB-B断面図ある。
図21図17のC-C断面図ある。
図22】実施例2の第1の態様を示す斜視図である。
図23】実施例2の第2の態様を示す斜視図である。
図24】第2プリズムシートの第1の例である。
図25】第2プリズムシートの第2の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に実施例によって本発明を詳細に説明する。
【実施例0014】
図1は、実施例1による薄型照明装置の基本的な構成を示す分解斜視図である。図1の構成は、導光板10の側面にLED40を配置した、いわゆるサイドライト方式の照明装置であり、照明装置を薄くすることが出来る。図1において、導光板10の両側面にLED40が等間隔で配置している。ただし、左側面に配置したLED40と右側面に配置したLED40とではy方向に見て互い違いに配置しており、LED40は対向していない。すなわち、LED40毎に、導光板10の照射領域が異なっているが、導光板10の左側面から照射される領域と右側面から照射される領域がy方向に互い違いになっている。LED40はLED基板41にy方向に配列して搭載されている。
【0015】
導光板10の下面に反射シート20が配置している。反射シート20は、導光板10から下方に向かう光を反射して出射面側である上側に向ける。反射シート20はアルミニウムを蒸着した反射シートを用いてもよいが、アルミニウムよりも反射率の高い銀を蒸着した反射シートが好適である。例えば、3M製のESR(Enhanced Specular Reflector)を用いることが出来る。厚さは例えば70μm程度である。導光板との密着を防止するためには、厚さ0.155mmの銀蒸着フィルムが良い。
【0016】
図1において、反射シート20の上に導光板10が配置している。導光板10の厚さは2mm程度である。導光板10は、側面から入射したLED40からの光を出射面である上方向に向ける役割を有する。但し、導光板10の下面と上面には、後で説明するように、細かなプリズムアレイが形成されており、このプリズムアレイによって、導光板10から出射する光の方向を決める。導光板10から出射する光の方向は、極角で視て分布をもっているが、ここでいう出射の方向とは、主光線、すなわち、光の強度が最も強い方向をいう。
【0017】
導光板10から下方向に向かう光は、反射シート20によって、上方向に反射される。導光板10、LED40、反射シート20、プリズムシート30等は外枠100内に収容される。
【0018】
図2は、図1の丸で囲った領域Aの詳細斜視図である。図2では、外枠100は省略されている。導光板10は、側面から入射した光を、主面から所定の方向に出射させるために、上面及び下面にプリズムアレイが形成されている。導光板10の上面(主面)及び下面に形成されるプリズムアレイの仕様は、導光板10の主面からどの程度の角度をもって光を出射させるかによって決められる。以下は、実施例1における導光板10の上面と下面に形成されるプリズムアレイの例である。
【0019】
導光板10の上面にはx方向に延在するプリズムアレイが形成されている。このプリズムアレイの突起はx方向に延在し、y方向に配列している。突起の高さhtは例えば、0.1μm、ピッチpyは例えば0.2μmである。上面プリズムの頂角θtは、例えば90度である。
【0020】
導光板10の下面のプリズムアレイはy方向に延在し、x方向に配列している。導光板10の下面のプリズムアレイの突起の高さhbは例えば、0.002μm、ピッチpxは例えば0.1μmである。下面プリズムの頂角θbは、例えば90度である。なお、導光板10の上面及び下面に形成されるプリズムアレイは、突起ではなく、導光板10の表面にV溝を形成することによって形成することも出来る。
【0021】
図3は、図1における導光板10及びLED40のみを取り出した斜視図である。図3において、導光板10の両側面にLED40が配置している。LED40毎に導光板10の照射領域を有している。導光板10における2点鎖線はLEDが受け持つ領域を示している。ただし、この2点鎖線は架空の線であり、導光板10にこのような線が存在しているわけではない。領域11は、右側のLED40によって光が照射される領域であり、領域12は左側のLED40によって光が照射される領域である。各LED40は、この2点鎖線で区画された領域を主として照射するが、他の領域にも多少の光は漏れる。
【0022】
図3では左側のLED40が点灯している状態であり、導光板10におけるグレーの領域が左側のLED40によって照射されている領域である。したがって、導光板10からは、主としてグレーの領域すなわち、領域12からのみ、矢印で示すように、光が出射する。以後の図において、矢印は、主光線の進行方向を示す。図2で説明したように、導光板10の上面(主面)と下面には、プリズムアレイが形成されており、このプリズムアレイによって、導光板10の上面(主面)から出射する光は、導光板10の主面に対して角度D1の方向に出射する。
【0023】
図4は、図1における導光板10及びLED40のみを取り出した斜視図である。図4図3と異なり、導光板10の右側に配置したLED40のみを点灯している。したがって、図4における、導光板10のグレーの領域、すなわち、領域11のみが主として照射される。図1における導光板10の上面(主面)と下面に形成されたプリズムアレイは左右対称なので、図4において、導光板10の主面から出射する光の、導光板10の主面となす角度は、図3と同じD1であるが、向きが異なっている。
【0024】
図5図1における導光板10、LED40、反射シート20、プリズムシート30のみを取り出した側面図である。図5において、導光板10の両側面にLED40が配置している。但し、LED40はy方向には互い違いに配置している。導光板10の上面(主面)にはプリズムシート30が配置している。このプリズムシート30は不等辺のプリズムを有しており、図3及び図4に示したような、導光板10の主面から角度を持って出射した光は、左側面に配置したLED40からの光と右側面に配置したLED40からの光とで、異なった方向に向けられる。
【0025】
図6はプリズムシート30を示す上面図、断面図及び一部断面図である。プリズムシート30はプリズムアレイをV溝によって形成した場合のプリズムシート30の図である。図6のプリズムシート30はいわゆる逆プリズムシートである。図6において、プリズムアレイはy方向に延在し、x方向に配列している。プリズムシート30の寸法例は次のとおりである。プリズムシート30の厚さtpは例えば0.125mm、V溝の深さvdは例えば0.075mm、ピッチppは、例えば0.1mmである。一般的なプリズムシート30の頂角θpは例えば68度であり、プリズムの断面形状は2等辺三角形であるが、実施例1におけるプリズムシート30のプリズムは、異なった形状となっている。すなわち、図6の下の図に示すように、不等辺三角形のプリズムを有している。
【0026】
実施例1におけるプリズムシート30は、導光板10から出射した光を領域毎に異なった方向に向ける役割を有する。すなわち、図3のように、導光板10において領域12から出射する光と、図4のように、導光板10において領域11から出射する光とに対して異なった方向に光を向ける役割を有する。このために、プリズムシート30は、図6の下の図に示すように、不等辺三角形のプリズムを有している。
図7は、図6におけるプリズムの作用を示す断面図である。図7においてプリズムは逆3角形で示している。逆三角形の底辺に対する垂線と、プリズムの第1面31とのなす角はθ11であり、逆三角形の底辺に対する垂線と、プリズムの第2面32とのなす角はθ12である。そして、θ12>θ11である。なお、図7のプリズムの3角形の底辺は、プリズムシート30の主面と同じ方向であり、底辺に対する垂線は、プリズムシート30の法線方向と同じである。
【0027】
図3の導光板10において、領域12から出射した光は、図7のプリズムの左面32側面から入射する。この光は屈折してプリズムの右面31において全反射してプリズムの上面から出射する。一方、図4の導光板10において、領域11から出射した光は、図7のプリズムの右面31側面から入射する。この光はプリズムの右面31に対して垂直に入射するので、屈折せずに直進し、プリズムの左面32において全反射し、プリズムの上面において屈折して、プリズムの上面に対して角度D2の方向に出射する。
【0028】
このように、プリズムの断面を不等辺三角形とし、プリズム面の角度を変化させることによって、任意の角度に、かつ、領域毎に出射角度を異ならせることが出来る。図8は、左側のLED40のみ点灯させることによって、グレーで示した領域12のみから光を出射する様子を示す斜視図である。図8では、プリズムシート30を出射した光はプリズムシート30の法線方向に向かう。図9は、右側のLED40のみ点灯させることによって、グレーで示した領域11のみから光を出射する様子を示す斜視図である。図9では、プリズムシート30を出射した光はプリズムシート30の主面に対して角度D2をなす方向に向かう。
【0029】
このように、照明装置から垂直方向に光を出射する場合は、左側のLED40のみを点灯し、照明装置から所定の角度をもって光を出射する場合は、右側のLED40のみを点灯すれば、照明装置からの光の出射方向を変えることが出来る。一方、同時に2方向に光を出射する必要がある場合は図10に示すように、左側のLED40と右側のLED40を同時に点灯すればよい。
【0030】
光の出射方向を変化させたい場合は、プリズムシートのみを変えればよい。具体的には、プリズムシート30において、図θ11とθ12を変えることによって、任意の2方向に光を出射できる光源装置を実現することが出来る。
【実施例0031】
図11は、本発明の実施例2を示す斜視図である。図11図1と異なる点は、光源であるLED40が導光板10の1側面にのみ配置していること、プリズムシートとして第1プリズムシート50と第2プリズムシート60の2枚が存在していることである。第2プリズムシート60は、プリズムが形成された第1領域60Aと、プリズムが存在しない第2領域60Bとから構成されている。図11のその他の仕様は実施例1の図1と同じである。
【0032】
図12図11のB部詳細図である。図12における導光板10の仕様は実施例1の図2で説明したのと同様である。図12では、LED40が導光板10の1側面にのみ配置している関係で、LED40のy方向の配置ピッチが図2の1/2となっている。これに対応して、実施例2では、プリズムシートの構成を実施例1とは異ならせている。なお、導光板の構成は実施例1と同じである。
【0033】
図12において、第1プリズムシート50が導光板10の上に配置し、第1のプリズムシート50の上に第2プリズムシート60が配置している。第1のプリズムシート50のプリズムの延在方向はy方向であるが、プリズムの断面は2等辺三角形である。第1プリズムシート50のプリズムの頂角の角度は導光板10から出射する光をプリズムシートの法線方向に向けるような角度に設定される。
【0034】
第1プリズムシート50の上に第2プリズムシート60が配置しているが、図12では、第2プリズムシート60においてプリズムが形成された第1領域60Aのみが見えている。第2プリズムシート60のプリズムは、第1プリズムシート50のプリズムと同様、y方向に延在し、x方向に配列している。但し、プリズムの断面形状は異なっており、プリズムの第1面のみが法線方向に対して傾斜している、直角3角形となっている。
【0035】
図13は、図11から導光板10とLED40のみを取り出した斜視図である。図13において、導光板10の1側面にLED40が配置している。2点鎖線は各LEDが受け持つ照射範囲を示す。図13において、LED40を点灯すると、各領域とも、導光板10の上面と下面に形成されたプリズムアレイの仕様にしたがって、導光板10の上面(主面)に対して角度D1を持って、光が出射する。
【0036】
図14は、図13に示す導光板10の上に、第1プリズムシート50を配置した状態を示す斜視図である。第1プリズムシート50は導光板10から、導光板10の主面に対して角度D1で出射した光を第1プリズムシート50の法線方向に向けて出射する。
【0037】
図15は、導光板10、反射シート20、第1プリズムシート50、LED40の配置を示す断面図である。図15において、導光板10の上面及び下面に形成されたプリズムアレイは省略されている。第1プリズムシート50はプリズムが下面、すなわち、導光板10側の面に形成された、いわゆる逆プリズムシートとなっている。
【0038】
図16は第1プリズムシート50の断面図及び第1プリズムシート50に形成されたプリズムの作用を示す断面図である。第1プリズムシート50のプリズムは2等辺三角形となっている。図16のプリズムの断面図において、プリズムの第1面51に、導光板10の主面に対してD1の角度をもって入射した光は直進し、第2面52において全反射し、プリズムの上面から垂直方向に出射する。プリズムの第2面52に、導光板10の主面に対してD1の角度をもって入射した光は直進し、第1面51において全反射し、プリズムシートの上面から垂直方向に出射する。
【0039】
すなわち、第1プリズムシート50は、導光板10の左右いずれの方向に配置されたLED40からの光に対しても、第1プリズムシート50の法線方向に光を出射する。なお、第1プリズムシート50のプリズムの頂角θ2は、導光板からの出射角D1に合わせて変えることになる。
【0040】
図17は、図14に示す第1プリズムシート50の上に第2プリズムシート60を載置した状態を示す斜視図である。第2プリズムシート60は、プリズムが形成された第1領域60Aとプリズムが存在しない、平板の状態である第2領域60Bがy方向に交互に配置した構成である。
【0041】
図17に示すように、第2プリズムシート60の第1領域60Aから出射する光は、第2プリズムシート60の法線方向に対して所定の角度を持っているのに対し、第2領域60Bから出射する光は第2プリズムシート60の法線方向である。つまり、第1プリズムシート50から第2プリズムシート60の法線方向に入射した光は、第1領域60Aでは、プリズムによって光の進行方向が変えられるのに対し、第2領域60Bにはプリズムが無いので、光は、法線方向に直進する。
【0042】
図18は、第2プリズムシート60の第1領域60Aに形成されたプリズムの例を示す断面図である。第2プリズムシート60の第1領域60Aのプリズムは、プリズムが下面に形成された、いわゆる、逆プリズムシートである。プリズムの断面は直角3角形であり、第1面61が第2プリズムシート60の主面と角度θ3をもっており、第2面62は第2プリズムシート60の主面の法線方向である。
【0043】
図18において、第1プリズムシート50から出射した光は矢印で示した。第1プリズムシート50から出射した光は第2プリズムシート60の第1領域60Aのプリズムの第1面61に入射する。この光は第1面61において屈折し、上面63において再び屈折して角度D3で出射する。第2プリズムシート60の第1領域60Aからの出射方向は、第2プリズムシート60のプリズムの第1面61の角度を変えることによって制御することが出来る。
【0044】
図19は、図17をA方向から視た側面図である。図19では導光板10の下に反射シート20が配置している。図19において、導光板10の側面にはLED40が配置している。導光板10の下面及び上面にはプリズムアレイが形成されており、LED40から導光板10の側面に入射した光は、導光板10の上面(主面)から主面に対して所定の角度をもって出射する。
【0045】
導光板10の上には第1プリズムシート50が配置されており、第1プリズムシート50によって、導光板10からの光は、第1プリズムシート50の法線方向に向けられる。第1プリズムシート50の上には第2プリズムシート60が配置している。第2プリズムシート60の第1領域60Aに入射した光はプリズムによって屈折して第2プリズムシート60の法線方向と所定の角度をもって出射する。一方、第2領域60Bに入射した光は、第2プリズムシート60の法線方向に直進する。但し、図19では、出射角の差は観察できない。
【0046】
図20は、図17のB-B断面図、すなわち、第2プリズムシート60においてプリズムが形成された第1領域60Aにおける断面図である。図20の構成は図19で説明したとおりである。図20において、導光板10の主面から所定の角度をもって出射した光は第1プリズムシート50に入射する。この光は、第1プリズムシート50のプリズムによって第1プリズムシート50の法線方向に向けられて第2プリズムシート60の第1領域60Aに入射する。そして、第2プリズムシート60の第1領域60Aのプリズムの第1面61及び上面63において屈折し、第2プリズムシート60の法線方向に対して所定の角度で出射する。
【0047】
図21は、図17のC-C断面図、すなわち、第2プリズムシート60においてプリズムが形成されていない第2領域60Bにおける断面図である。図21の構成は図19で説明したとおりである。また、導光板10の側面から入射したLED40からの光の挙動は、第1プリズムシート50を出射するまでは、図20で説明したのと同じである。図21において第1プリズムシート50から出射した光は、プリズムが形成されていない、第2プリズムシート60の第2領域60Bに入射するので、光は、そのまま、第2プリズムシート60の法線方向に直進する。
【0048】
図22は、第2プリズムシート60から所定の角度をもった光のみを出射させる場合の例である。図22において、グレーで示された領域60A、すなわち、プリズムが形成されている領域に対応するLED40のみ点灯する。領域60Bからは光は出射しないので、第2プリズムシート60の法線方向とは所定の角度を持った光のみが出射する。
【0049】
図23は、第2プリズムシート60から法線方向の光のみを出射さる場合の例である。図23において、グレーで示された領域60B、すなわち、プリズムが形成されていない領域に対応するLED40のみ点灯する。領域60Aからは光は出射しないので、第2プリズムシート60の法線方向の光のみが出射する。
【0050】
第2プリズムシート60は、図24のように、1枚シートで形成することも出来るが、図25に示すように、第1領域60Aと第2領域60Bを別個に作成し、第1プリズムシート50の上に並べる形でもよい。なお、光学的には、第2領域60Bは不要ではあるが、第1領域60Aのみでは、厚さにむらが生じてしまうので、光学特性に影響のない、透明シートを第2領域60Bとして使用している。
【0051】
以上の説明では、実施例2においては、LED40は導光板10の1辺にのみ配置するものとして説明した。しかし、実施例2はこれに限らず、導光板10の相対する2つの側面にLED40を配置した構成にも適用することが出来る。すなわち、導光板10に形成されたプリズムアレイは左右対称であり、導光板10から出射する光は、導光板10のいずれの側面から入射した光であれ、第1プリズムシート50によって、第1プリズムシート50の法線方向に向けられるからである。
【0052】
このように、実施例2において、導光板10の両側面にLED40を配置することによって、照明装置の明るさを向上させることが出来る。言い換えると、実施例2の構成は、導光板10の両側面にLED40を配置することによって、照明装置の明るさに対する自由度を上げることが出来る。
【0053】
導光板10の相対する2つの側面にLED40を配置した構成の場合、所望の角度、すなわちプリズムシート50の法線方向及び角度D3の方向以外に光が出光する。指向性を持たせた光を射出するためには、実施例2のように光源であるLED40を対向させない配置が良い。
【符号の説明】
【0054】
10…導光板、 11…第1領域、 12…第2領域、 20…反射シート、 30…プリズムシート、 31…第1面、 32…第2面、 40…LED、 41…LED基板、 50…第1プリズムシート、51…第1面、52…第2面、 60…第2プリズムシート、61…第1面、62…第2面、 60A…第1領域、 60B…第2領域、 100…外枠
図1
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