(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144658
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】複合体及びこれを用いた表示装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/33 20060101AFI20220926BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20220926BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20220926BHJP
B32B 27/06 20060101ALI20220926BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20220926BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20220926BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20220926BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B29C45/33
B32B3/30
B32B17/10
B32B27/06
B32B5/02 B
B32B5/28 Z
B32B27/36 102
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045761
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】393032125
【氏名又は名称】MCCアドバンスドモールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】植松 章
【テーマコード(参考)】
4F100
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AG00B
4F100AK45B
4F100AR00C
4F100BA02
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00D
4F100DD03B
4F100DG01B
4F100DH02B
4F100GB41
4F100HB31C
4F100JL11D
4F100JN01A
4F100YY00A
4F100YY00B
4F202AA28
4F202AB25A
4F202AD04
4F202AD05
4F202AD08
4F202AD20
4F202AG03
4F202AH33
4F202AM32
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CK32
4F202CK54
4F202CQ01
4F206AA28
4F206AB25
4F206AD04
4F206AD05
4F206AD08
4F206AD20
4F206AG03
4F206AH33
4F206AM32
4F206AR12
4F206JA07
4F206JB12
4F206JF05
4F206JL02
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】ガラス製の表示パネルの表面に係止部位である樹脂成形体を一体成形するにあたり、ガラス基材の表面に傷をつけずに、ガラス基材の表面に樹脂成形体を強固に取り付けられるようにする。
【解決手段】樹脂成形体3を、ガラス基材2に接するシート部31と、シート部31の上面に設けられた櫓形のベース部32とベース部32の上面に設けられた係止部位である突起部33との三段構成で成形する。シート部31の水平断面積よりもベース部32の水平断面積を小さく設定することで、ガラス基材2に対する接合面積を確保して接合強度を高め、シート部31を肉薄にすることでヒケの発生を防止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基材の一側の面に樹脂成形体を配したガラスと樹脂部材の複合体であって、
前記樹脂成形体は、ガラス基材に接するシート部と、シート部の上面に設けられたベース部と、ベース部の上面に設けられた突起部とを有し、
ガラス基材の表面に沿った方向の断面において、前記シート部の面積よりもベース部の面積が小さいことを特徴とする複合体。
【請求項2】
ガラス基材の表面に沿った方向の断面において、ベース部の突起部が設けられた上面部分の面積よりも、ベース部のシート部に接合した部分の面積が小さいことを特徴とする請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
ベース部が櫓形に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項4】
ガラス基材は、透明なガラス板の表面に部分的に印刷層と接着剤層が積層されてなり、前記接着剤層の表面に樹脂成形体が配置されてなることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の複合体。
【請求項5】
ガラス基材が0.5mm以下であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の複合体。
【請求項6】
シート部の厚さが0.3mm以上、1.5mm以下であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の複合体。
【請求項7】
樹脂成形体はガラス繊維を含有したポリカーボネート系樹脂からなることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の複合体。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載の複合体を表示パネルとして用いた表示装置。
【請求項9】
請求項1から7の何れかに記載の複合体を表示パネルとして用いたカーナビゲーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションなどの電子機器の表示パネルに利用されるガラスと樹脂部材の複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置の表示パネルは、合成樹脂製のものとガラス製のものがあるが、高級志向の装置ではパネルの質感がそれに合うことからガラス製のものが多く用いられている。
表示パネルは電子機器を収納した筐体の前側枠部に取り付けられ、ガラス製のものではその裏面側を、粘着テープなどを使用して前記前側枠部に貼り付けて取り付けたものが多い。
【0003】
前記粘着テープなどで表示パネルを筐体に貼り付けて固定する方法は、固定に必要な粘着テープの準備や、固定位置を正確に位置決めするための調整などの作業が煩雑であった。また、表示パネルが傷ついたり破損したりするなどして表示パネルの交換が必要な場合に、粘着テープ等で表示パネルを固定されていたのでは交換が困難であった。
【0004】
そこで、前記貼り付けによる固定方法に代えて、ガラス製の表示パネルの裏面側にアウトサート成形により樹脂部材からなるリブなどの係止部位を一体に取り付け、前記筐体の前側枠部に設けた被係止部位に前記係止部位を結合して表示パネルを筐体に取り付ける態様が検討されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アウトサート成形によりガラス製の表示パネルの裏面側に係止部位を設ける場合、係止部位が太く肉厚であると、ガラスと樹脂の熱収縮差により、表示パネル裏面への係止部位の固着が不十分となって係止部位が剥れやすいという問題があった。
また、意匠性の観点から、薄いガラス基材を取り付ける際に湾曲させて表示パネルを筐体に固定することが望まれている。湾曲できる程度の薄いガラス基材の裏面側にアウトサート成形による係止部位を設ける態様では、係止部位に用いた樹脂の熱収縮により、ガラス基材の表面側に僅かなヒケが発生するという新たな課題が判明した。また、湾曲させて固定するような場合には、粘着テープが徐々にはがれることがあった。
【0007】
従来、樹脂成形体においては、係止部位の裏面側で発生するヒケを防止する目的で、スライドコアを有する成形金型を用い、係止部位をアンダーカット形状にして樹脂の体積を減らし、樹脂の熱収縮量を減らすことが行われている。
しかし、係止部位をアンダーカットによる中空形状にすると、ガラス基材と係止部位との接合面積が小さくなり、十分な接合強度が得られず、また、成形の際にガラス基材の表面に沿って相対スライドするスライドコアが、ガラス基材或いはガラス基材に設けた印刷層や接着層を傷つけてしまうなどの問題がある。
【0008】
本発明は従来の技術が有するこのような問題点に鑑み、ガラス製の表示パネルの裏面側に前記係止部位などの樹脂成形体を、スライドコアを有する成形金型を用いて成形するにあたり、スライドコアでガラス基材の表面に傷をつけずに、ガラス基材の表面に樹脂成形体を強固に取り付けることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は、ガラス基材の一側の面に樹脂成形体を配したガラスと樹脂部材の複合体であって、
前記樹脂成形体は、ガラス基材に接するシート部と、シート部の上面に設けられたベース部と、ベース部の上面に設けられた突起部とを有し、
ガラス基材の表面に沿った方向の断面において、前記シート部の面積よりもベース部の面積が小さいことを特徴とする。
【0010】
本発明の複合体は、ガラス基材の一側の面に配した樹脂成形体が、ガラス基材に接するシート部と、その上のベース部と、前記係止部位に相当する突起部との三段構成に設けられ、前記のとおり、ガラス基材の表面に沿った方向の断面において、つまり、ガラス基材を水平面上に置いたときには水平方向に沿った断面において、ベース部の断面積がシート部の断面積よりも小さく設定されている。
シート部の水平断面積がその上のベース部の水平断面積よりも大きいので、ガラス基材に対する接合面積が確保されるとともに、ガラス基材に接合する部位であるシート部を肉薄に形成することが可能となり、樹脂成形体とガラス基材の熱収縮差により樹脂成形体がガラス基材から剥がれたりガラス基材にヒケが発生したりすることを抑制することができる。
【0011】
前記構成の複合体において、ガラス基材の一側の面に配した樹脂成形体を、ガラス基材の表面に沿った方向の断面において、ベース部の突起部が設けられた上面部分の面積よりも、ベース部のシート部に接合した部分の面積が小さく設定して形成することができる。
これによれば、係止部位を構成するためにある程度肉厚に形成する必要のある突起部が、シート部上に設けられたベース部の上面に形成されており、このベース部のシート部に接合した部分の水平断面積を突起部が接合した部分よりもが小さく設定し、樹脂成形体をガラス基材の表面部分よりもベース部を介して上方に若干離れた位置(突起部の位置)の方が肉厚となるように形成されているので、前記突起部の熱収縮によりガラス基材にヒケが生じることを効果的に抑制することが可能である。肉厚な樹脂成形体がガラス基材の表面に接合していた場合、樹脂成形体、特に突起部の熱収縮が顕著なためガラス基材にヒケが発生しやすいが、上記構成によりヒケが発生しにくくなる。
【0012】
前記構成の複合体は、
図6に示されるように、キャビ(固定型)とスライドコアを有するコア(可動型)を用い、ガラス基材の表面に樹脂成形体を射出成形することにより形成することができ、シート部よりも水平断面積が小さなベース部を、シート部上に櫓形に連なった、アンダーカットによる肉薄な形状に設けることが好ましい。
この場合、中空な櫓形のベース部はシート部上に配されてるので、成形の際にスライドコアが、同図(B)に示されるように、基材の表面ではなく、シート部の表面に沿って相対スライドするため、スライドコアがガラス基材に接触してガラス基材の表面を傷つけたり、ガラス基材に設けた印刷層や接着層を傷つけたりする虞もない。
ベース部の櫓形とは、シート部と突起部の接続面積を減らして、突起部の熱収縮をシート部に影響させないための形状である。後述する実施形態のベース部の水平断面形状はコの字形状あるが、貫通した二の字形状でも、ハの字形状であっても構わない。
【0013】
本発明の複合体は、ガラス基材として透明なガラス板の表面に部分的に印刷層と接着剤層を積層して形成されたものを用い、この接着剤層の表面に樹脂成形体を配置して構成することができる。
後述のように本発明の複合体がカーナビゲーションの表示パネルの場合、ガラス基材は、平面視矩形状のガラス板の裏面側に、当該ガラス板の四側周辺部に沿って帯状に黒色の印刷層を形成し、この印刷層の表面に接着剤層を積層して形成することができる。
【0014】
印刷層を形成するインクは、ガラス板に直接印刷できるものであればよい。
ガラス板印刷用に市販されているもの使用することができる。
ガラスとの密着性の観点から、シランカップリング剤が添加されているものが好ましい。
前記インクは、カーボンブラック等の黒色の着色剤を含ませて使用され、印刷層はガラス板の表面に黒色の着色部を形成する。
【0015】
接着剤層は、印刷層とアウトサート成形する樹脂成形体と接合できるものであればよい。
射出成形に用いる市販されているバインダーインキ、密着補強剤を使用することできる。
【0016】
前記ガラス板の一側の面に印刷層と接着剤層が積層されてなるガラス基材は、その厚みが0.2mm以上、2.0mm以下であることが好ましく、ガラスを湾曲させて固定する用途では、0.5mm以下であることがより好ましい。
0.5mm以下であれば、ガラス基材を湾曲させて、筐体に設置することが可能となるので好ましい。0.2mm以上であれば、ガラス基材を湾曲させた場合であっても、割れにくいので好ましい。
【0017】
前記ガラス基材の一面に配する樹脂成形体は、そのシート部の厚みが0.3mm以上、1.5mm以下であることが好ましい。ベース部の厚みも同様に、0.3mm以上、1.5mm以下に設けることができる。
0.3mm以上であれば、ガラス基材とコア(可動型)に設けたスライドコアの間に樹脂を均一に注入することができ、また、ガラス基材表面とベース部とをしっかり接合させることができる。
1.5mm以下であれば、シート部の樹脂体積を減らすことができ、樹脂部材の収縮量を減らすことができるので、ガラス基材の表面側のヒケを防止することができる。好ましくは、1.2mm以下であり、さらに好ましくは1.0mm以下である。
また、アウトサート成形の際にベース部をアンダーカットするスライドコアがシート部上をスライドするように、ベース部はシート部上でその長手方向の一側に寄った位置に配置される。シート部は、少なくともスライドコアの長さ以上を有し、ベース部の長さ(幅)に対して2倍以上の長さに形成されていることが好ましい。
なお、スライドコアを抜く向きがガラスの外方側である場合には、上面視で、スライドコアの一部がガラス外方側に突出した状態で、樹脂が射出される。そのため、シート部の長さは、ベース部と略等しい長さに設定することもできるが、少なくともベース部以上の長さを有することが好ましい。
樹脂成形体の突起部は、前記のとおり係止部位を構成する、ベース部から上方に突出した部分であり、例えば本発明の複合体を表示パネルとして用いた場合に、表示パネルが取り付けられる表示装置の側に被係止部位に結合して、表示パネルを表示装置に固定する。突起部は、ボスやリブなどの、被係止部位に凹凸係合したり篏合したりする、被係止部位に対応した形状に形成される。
突起部と被係止部位を係合・嵌合する構造なため、ガラスを湾曲させた状態でも係合・嵌合させることが可能となる。
【0018】
樹脂成形体は、熱収縮性が小さい樹脂が好ましく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂を用いて形成することができる。
成形の際に収縮量が小さくなるように、前記樹脂に適宜な量のガラス繊維、例えば材料全体に対して30%程度の質量割合でガラス繊維が含まれていることが好ましい。ガラス繊維入りのポリカーボネート系樹脂を材料として形成されていれば、樹脂成形体の収縮量を小さくすることができ、ヒケが生じにくくなる。
【0019】
本発明の複合体は、各種の情報を表示する装置の表示パネルに利用することが可能である。表示装置としては、カーナビゲーションなどの車載用機器、その他の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどパネルディスプレイを備えた電子機器が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の複合体である表示パネルの一実施形態の表裏両面を分割して示した図である。
【
図2】
図1の表示パネルの樹脂成形体が配された部分の拡大破断斜視図である。
【
図3】
図1の表示パネルの樹脂成形体の上面図である。
【
図4】
図1の表示パネルの樹脂成形体が配された部分の拡大断面図である。
【
図5】(A)、(B)及び(C)はベース部の他の形態を示した図である。
【
図6】(A)、(B)は表示パネルの樹脂成形体の成形金型の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の複合体ついて、実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下に説明する形態のものには限定されない。
【0022】
図1から
図4は、本発明の複合体をカーナビゲーションの表示パネルに適用した形態を示しており、表示パネル1は、横長矩形状のガラス基材2の裏面側に複数の樹脂成形体3を一体に配置して構成してある。
【0023】
ガラス基材2は、透明な横長矩形状のガラス板21の裏面側の四側周辺部に沿って帯状に黒色の着色部22を設けて、全体として0.5mm程度の厚みに形成されている。
【0024】
着色部22は、ガラス板21の裏面側に設けられた印刷層22aに、接着剤層22bを積層して形成されている(
図4参照)。
【0025】
詳しくは、着色部22は、黒色の着色剤が含有された、シランカップリング剤入りのアクリルウレタン系樹脂からなるインクを、ガラス板21の裏面側周縁に沿って枠状に塗布して印刷層22aを形成し、印刷層22aの乾燥後、その表面に二液硬化ポリウレタンインクを塗布し、乾燥させて接着剤層22bを印刷層22aの上面に積層することにより形成されている。
【0026】
樹脂成形体3は、
図1に示されるように、ガラス基材2の裏面側に形成された前記着色部22の上面であって当該ガラス基材2の四隅角部に各々一体に取り付けられている。
【0027】
詳しくは、樹脂成形体3は、ガラス繊維を含有したポリカーボネート系樹脂を材料としてアウトサート成形によりガラス基材21の裏面側に一体に取り付けられ、
図2及び
図3に示されるように、着色部22の表面に接合した肉薄のシート部31の上面にベース部32を連ね、このベース部32の上面に突起部33を一体に設けた形状に形成してある。
【0028】
シート部31は平面視矩形帯状を呈し、その上面の一側に偏らせた位置にベース部32が設けられている。
ベース部32はその内部がアンダーカットされて櫓形に形成され、その上面中央に円筒形のボスである突起部33が突設されている。
より詳しくは、シート部31と突起部33の連接部位であるベース部32は、ガラス基材2の表面に沿った方向の断面において、前記シート部31の断面積よりもベース部32の断面積が小さくなるように設けられているとともに、前記突起部33が突設された上面の断面積よりもシート部31に接合した部分の断面積が小さくなるように設けられている。
これら各部は、0.3mm以上、1.5mm以下の厚みで形成されている。また、ベース部32は、シート部31の長さの半分以下の長さ(幅)に形成されている。
【0029】
表示パネル1は、ガラス板21の裏面側に印刷層22aと接着剤層22bが積層されてなる着色部22を設けてガラス基材1を形成し、このガラス基材2に裏面側にスライドコアを有する成形金型を据え付け、キャビティ内に溶融樹脂を射出し固化させて樹脂成形体3を成形し、成形金型をガラス基材2からスライド分離させることにより製作することができる。
また、ベース部32をアンダーカットするスライドコアは、シート部31の表面に沿って相対スライドしてガラス基材2の表面に接しないので、ガラス基材2を傷つけることはない。
【0030】
前記のように製作された表示パネル1は、電子機器を収納したカーナビゲーションの筐体の前側枠部に設けた被結合部に、ガラス基材2の裏面側に設けられた樹脂成形体3の突起部33を結合して取り付けられ、カーナビゲーションの表示面を構成する。
【0031】
本形態の表示パネル1によれば、ガラス基材2の裏面側に配した樹脂成形体3が、ガラス基材2に接するシート部31とその上のベース部32と突起部33との三段構成とし、ガラス基材2の表面に沿った方向の断面において、シート部31の断面積がその上のベース部32の断面積よりも大きいので、ガラス基材2に対する接合面積が確保されてシート部31を肉薄に形成することができるので、ガラス基材2に対する樹脂成形体3の接合強度が高まり、ガラス基材2から剥がれにくくすることができる。
また、係止部位を構成するためにある程度肉厚に形成する必要のある突起部33がベース部32の上面に形成されているので、ガラス基材2と樹脂成形体3との熱収縮差によりガラス基材2にヒケが発生したりすることを効果的に抑制することができる。
【0032】
なお、前記実施の形態では、ベース部32の水平断面形状をコ字形としたが、シート部31と突起部33の接続面積を小さくして突起部33のシート部31への熱収縮の影響を抑えることができれば、例えば
図5に示されるように、水平断面形状が平面視ハ字形となるように設けたり(同図(A))、櫛歯形に設けたり(同図(B))、貫通した二の字形に設けたり(同図(C))するなど、他の適宜な形状とすることができる。
また、前記実施の形態では、カーナビゲーションの表示パネルに本発明の複合体を適用したが、他の情報表示装置の表示パネルにも適用可能である。この場合、表示パネルは、表示装置に応じたサイズに形成され、ガラス基材の裏面側に設ける樹成形体は、表示装置のサイズに応じて適宜な数が、ガラス基材の裏面の適宜な位置に設置される。
本発明の複合体を構成するガラス基材と樹脂成形体の形状や組み合わせは一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 複合体(表字パネル)、2 ガラス基材、21 ガラス板、22 着色部、22a 印刷層、22b 接着剤層、3 樹脂成形体、31 シート部、32 ベース部、33 突起部