(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144668
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】防水板装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20220926BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20220926BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20220926BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E05D15/06 125C
E05D15/06 122
E06B7/22 P
E05D15/06 125A
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045780
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000252034
【氏名又は名称】株式会社鈴木シャッター
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 圭一
【テーマコード(参考)】
2E034
2E036
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E034AA00
2E034CB00
2E034CB04
2E034DA01
2E034EA02
2E036AA01
2E036BA01
2E036EB06
2E036GA02
2E036HB25
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】出入り口E等の開口部に防水板6を設けるにあたり、該防水板6の収納スペースを狭い状態で確保できるようにする。
【解決手段】左右方向を向く開口部レール3と、該開口部レールの基端部部位をコーナー部Cとして前後方向直角状に設けられる収納部レール5とを備える一方、防水板6の上端縁左右両端部に、横軸を軸心として回転する戸先側、戸尻側の走行ローラ7を縦軸周りに揺動自在に支持したものとして、防水板6を、戸先側走行ローラ7xが開口部レール3を移動し、戸尻側走行ローラ7yが収納部レール5を移動する平面視で傾斜状態の移動をするようにして、戸尻側走行ローラ7yが収納部レール5の基端部5e部位に位置して開口部Eを閉鎖する閉鎖位置と、収納部レール5の先端部5f部位に位置して開口部Eを開放する開放位置とに移動する構成にした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口等の開口部を閉鎖する防水板を備えて構成される防水板装置において、
前記開口部に設けられる左右方向を向く開口部レールと、該開口部レールの基端部部位をコーナー部として前後方向直角状に設けられる収納部レールとを備え、
防水板上端縁の左右両端部に、横軸を軸心として回転する戸先側、戸尻側の走行ローラを、縦軸周りに揺動自在に支持するブラケットを介して取り付けたものとして、
防水板を、戸先側走行ローラが開口部レールを移動し、戸尻側走行ローラが収納部レールを移動することで、戸先側走行ローラが開口部レールの先端部部位に位置し、戸尻側走行ローラが収納部レールの基端部部位に位置して開口部を閉鎖する閉鎖位置と、戸先側走行ローラが開口部レールの基端部部位に位置し、戸尻側走行ローラが収納部レールの先端部部位に位置して開口部を開放する開放位置とに移動する構成にしたことを特徴とする防水板装置。
【請求項2】
前記閉鎖位置の防水板の下端縁部を、床部に着脱自在に取り付けられる押さえ金具を介して押さえることを特徴とする請求項1記載の防水板装置。
【請求項3】
前記閉鎖位置の防水板の左右両端縁部を、圧着具を介して躯体側に設けたシール材に圧着することを特徴とする請求項1または2記載の防水板装置。
【請求項4】
開口部レールは締結具を介して躯体側に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の防水板装置。
【請求項5】
取り外された開口部レールは、収納部レールに仮置きされることを特徴とする4記載の防水板装置。
【請求項6】
開口部レール、収納部レールは凵字形をし、取り外された開口部レールの仮置きは、上下反転した状態で収納部レール上に角筒状になって載置されることを特徴とする請求項5記載の防水板装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる防水板装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、大雨や洪水時等に発生する溢水時において出入り口等の開口部の外に溢れ出た水が、該開口部を通してビルや住宅、駐車場等の建物内に浸入してしまうことを防止するために開口部を防水板により防水(止水)するようにした防水板装置が知られている。
このような防水板を着脱式とし、不使用時(平時)には倉庫等の収納室に収納し、溢水が予想される場合に収納室から持ち出して組み込むようにしたもの、あるいは平時は開口部地下に収納し、溢水予想時に地下から持ち上げて防水するようセットするものがあるが、前者のものは防水板の移動が面倒かつ煩雑であり、また後者のものについても、重量が嵩む防水板の上下動が面倒かつ煩雑になるという問題がある。
そこで防水板装置として、防水板を左右方向にスライド移動する引き戸方式として、防水板の収納位置と防水姿勢とのあいだの移動が容易にできるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが防水板を前記引き戸方式にしたものでは、防水板が左右方向に直線状に移動して防水性と収納位置とに移動するものであるため、防水板を収納位置にした場合の収納スペースを、開口部に隣接する状態で防水板の左右幅分は少なくとも確保しなければならず、このような収納スペースが確保できないところでは、引き戸方式の防水板を設けることができない等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、出入り口等の開口部を閉鎖する防水板を備えて構成される防水板装置において、前記開口部に設けられる左右方向を向く開口部レールと、該開口部レールの基端部部位をコーナー部として前後方向直角状に設けられる収納部レールとを備え、防水板上端縁の左右両端部に、横軸を軸心として回転する戸先側、戸尻側の走行ローラを、縦軸周りに揺動自在に支持するブラケットを介して取り付けたものとして、防水板を、戸先側走行ローラが開口部レールを移動し、戸尻側走行ローラが収納部レールを移動することで、戸先側走行ローラが開口部レールの先端部部位に位置し、戸尻側走行ローラが収納部レールの基端部部位に位置して開口部を閉鎖する閉鎖位置と、戸先側走行ローラが開口部レールの基端部部位に位置し、戸尻側走行ローラが収納部レールの先端部部位に位置して開口部を開放する開放位置とに移動する構成にしたことを特徴とする防水板装置である。
請求項2の発明は、前記閉鎖位置の防水板の下端縁部を、床部に着脱自在に取り付けられる押さえ金具を介して押さえることを特徴とする請求項1記載の防水板装置である。
請求項3の発明は、前記閉鎖位置の防水板の左右両端縁部を、圧着具を介して躯体側に設けたシール材に圧着することを特徴とする請求項1または2記載の防水板装置である。
請求項4の発明は、開口部レールは締結具を介して躯体側に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の防水板装置である。
請求項5の発明は、取り外された開口部レールは、収納部レールに仮置きされることを特徴とする4記載の防水板装置である。
請求項6の発明は、開口部レール、収納部レールは凵字形をし、取り外された開口部レールの仮置きは、上下反転した状態で収納部レール上に角筒状になって載置されることを特徴とする請求項5記載の防水板装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、洪水の際に水の浸入を防止するための防水板を、収納時においては開口部レールの基端部部位をコーナー部として前後方向直角状に設けた収納部レールに収納できることになって、収納部スペースを左右方向に幅広に確保する必要がなくコンパクト収納できることになる。
請求項2の発明とすることにより、閉鎖位置に位置した防水板の下端縁部を、床部に着脱自在に設けられる押さえ金具を介して押さえることになって、防水板が不用意に振れてしまうことを回避できることになる。
請求項3の発明とすることにより、閉鎖位置に位置する防水板の左右両端縁部を、圧着具を介して躯体側のシール材に圧着できることになって防水性能の向上を図ることができる。
請求項4の発明とすることにより、開口部レールが着脱自在になっている結果、開口部レールを開口部の出入りを邪魔する低位置に配したものであっても、常時は取り外すしておくことで出入りの邪魔になることがない。
請求項5の発明とすることにより、取り外された開口部レールを収納部レールに仮置きできることになって、開口部レールをいちいち倉庫等の収納室に保管するような必要がない。
請求項6の発明とすることにより、仮置き載置された開口部レールは、収納部レールとのあいだで角筒状になる結果、該角筒内を締結具等の付属部品の収納空間として利用できることになって、付属部品をいちいち倉庫等の収納室に保管する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)(B)は開口部を閉鎖した状態の防水板装置の正面図、側面図である。
【
図2】(A)(B)は開口部を開放した状態の防水板装置の正面図、側面図である。
【
図3】(A)(B)は開口部を閉鎖した状態、開放した状態の防水板装置の平面図である。
【
図4】防水板が開閉移動途中の状態を示す平面図である。
【
図5】防水板が閉鎖位置に位置した状態の左右方向端縁部の要部縦断面図である。
【
図7】(A)(B)は開口部レールを収納部レールに仮置きした状態の正面図、側面図である。
【
図8】(A)(B)は開口部レールを収納部レールに仮置きした状態の要部拡大縦断面図、要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は塀や壁等、水の浸入を防止するよう設けられた防水体Xによって左右が挟まれた出入り口等の開口部Eに設置される防水板装置であって、該防水板装置1は、開口部Eの左右に配した縦柱部(門柱部、縦枠部)2間に着脱自在に設けられる開口部レール3と、該開口部レール3の基端部3e部位をコーナー部Cとして開口部外側に向けて直角状に延設された前後方向を向く状態で側壁部(横壁部、横塀部)4に着脱自在に取り付けられる収納部レール5と、これらレール3、5に案内されて開口部Eの開閉移動をする防水板6とを備えて構成されている。
尚、側壁部4は、前記実施の形態では開口部Eから開口部外側に向けて延設したものとしているが、これに限定されず、内側に延設したものであってもよいことは勿論である。
【0009】
前記両レール3、5は、後述する防水板6に設けた走行ローラ7が走行(転動)する水平面状の走行面部3a、5aと、該走行面部3a、5aの幅方向両側縁部から立設する垂直面状の第一、第二側面部3b、3c、5b、5cとを備えた断面凵字形(J字形)をした同一形状になっているが、第一側面部3b、5bは第二側面部3c、5cに対して上方背高状に延出している。
そして開口部レール3は、第一側面部3bが締結具であるボルト3dを介して縦柱部2に着脱自在に取り付けられ、収納部レール5も同様にして第一側面部5bがボルト5dを介して側壁部4に着脱自在に取り付けられるが、これらボルト3d、5dによる取り付け位置は、後述する走行ローラ7の上端よりも高位になるよう設定されていて、走行ローラ7の走行の邪魔(干渉)をしないよう配慮されている。
【0010】
さらに両レール3、5は、コーナー部Cにおいて基端部3e、5e同士が一連状に連結されたものとなっているが、本実施の形態においては、収納部レール基端部5eの端縁が縦柱部2に当接(または近接対向)する一方、開口部レール基端部3eの端縁が、収納部レール基端部5eの第二側面部5c側の端縁に当接する構成になっている。そしてこの場合に、収納部レール基端部5eでは、開口部レール3が当接する部位の第二側面部5cが切り欠かれたものとなっており、これによって両レール3、5の走行面部3a、5a同士はコーナー部Cにおいて面一状に連結する構成になっている。
因みに両レール3、5の基端部3e、5e同士の連結は、前記実施の形態のものとは逆に、開口部レール基端部3eが側壁部4に当接(または近接対向)する構成にしてもよく、さらには、基端部3e、5e同士を45度カットしたものとし、カット面同士を突き合せることで連結した構成にしてもよい。
【0011】
一方、防水板6は、左右縦柱部2のあいだの開口部Eを塞ぐ大きさのものであって、防水板6の左右上端縁部にはブラケット8を介して走行ローラ7が設けられるが、該走行ローラ7は戸先側、戸尻側の走行ローラ7x、7yであり、ブラケット8は、走行ローラ7(7x、7y)が回転自在に軸支される回転軸7aの基端部を、縦軸周りに揺動自在に軸支する軸支部8aが設けられたものとなっている。
【0012】
そして防水板6は、収納部レール5側に位置していて開口部Eを開放する開放位置(収納位置)に位置している状態では、戸先側走行ローラ7xがコーナー部C側である開口部レール基端部3e部位に位置し、戸尻側走行ローラ7yが収納部レール先端部5f部位に位置していて、側壁部4の壁面に平行状態で沿う収納姿勢になっている。
これに対し、防水板6が、開口部レール3側に位置していて開口部Eを閉鎖する閉鎖位置に位置している状態では、戸先側走行ローラ7xが開口部レール先端部3f部位に位置し、戸尻側走行ローラ7yがコーナー部C側である収納部レール基端部5e部位に位置していて開口部Eの閉鎖をする閉鎖姿勢になっている。
【0013】
そして開放位置に位置している防水板6を閉鎖位置に移動させるには、該防水板6を開口部レール先端部3f側に向けて移動操作すると、戸先側走行ローラ7xが開口部レール3を基端部3e部位から先端部3f側に向けて移動し、かつ戸尻側走行ローラ7yが収納部レール先端部5f部位から基端部5e側に向けて移動することになり、これによって防水板6は、前記側壁部4に沿う収納位置から両レール3、5間に亘る傾斜姿勢に変位しながら移動し、そして前述した開口部Eを閉鎖する閉鎖位置に移動する。
一方、前記閉鎖位置に位置している防水板6を開放位置に移動させるには防水板6を収納部レール先端部5e側に向けて移動操作することで、該防水板6は前記とは逆に移動することになって閉鎖位置から開放位置に移動する。
【0014】
前述したように閉鎖位置に移動した防水板6は、左右両端縁部が縦柱部2に近接対向しており、この状態で該防水板6の左右両端縁部を、圧着用(押圧用)のボルト(圧着用金具)9を縦柱部(躯体側部材)2に螺入することで、該防水板6は、左右両端縁部が開口部位の周囲に設けたシール材2bに押圧状に当接(圧着)する。
さらに閉鎖位置に移動した防水板6の下端縁部は、沓摺り部2aよりも開口部Eの外側部位において床部Fに埋設した取り付け具(本実施の形態ではアンカーボルト)10aに着脱自在に取り付けられる押さえ金具10を介して押さえられる構成になっている。そしてこのように閉鎖位置に位置した防水板6は、前記圧着用のボルト9と押さえ金具10とにより縦柱部2およびその下側の床部Fに対し防水状態で強固に取り付けられることになって高い防水機能を発揮するよう構成されている。
因みに本実施の形態においては、防水板6を開放位置に位置した場合に、該防水板6の下端側部位を押さえ金具10により押さえる構成にすることもできる。
【0015】
そしてこのものでは、洪水の惧れのない常時(平常時)において、防水板6を開口部Eを開放する開放位置にセットした状態で開口部レール3を取り外すことにより、開口部Eの出入りが開口部レール3に邪魔されることなく自由にできることになるが、本実施の形態では、該取り外される開口部レール3について次のような配慮がなされている。
前述したように防水板6を開放位置にセットした状態では、戸先側走行ローラ7xは開口部レール3の基端部3e部位に位置した状態になっており、このため開口部レール3の全てを取り外す構成にすると、防水板6が収納位置に位置した状態において戸先側走行ローラ7xが開口部レール3のない宙に浮いた状態になる。これを避けるため本実施の形態では、開口部レール3を、基端部3e部位と、該基端部3e部位よりも先端側の着脱側レール部3gとに二分した(分けた、分断した)ものとしている。
つまり開口部レール3の基端部3e部位については、収納部レール部5の基端部5eに溶着して該収納部レール5と一体化したものとする一方、着脱側レール部3gについては前記ボルト3dを介して着脱できる構成になっている。
因みに開口部レール基端部3e部位を、収納部レール5に溶着することなく単独でボルト等の締結具を介して着脱できる構成にしてもよいことは勿論である。
【0016】
そして次に前記取り外した着脱側レール部3gの処理について説明する。まず、該取り外した着脱側レール部3gを、外したボルト3dと共に倉庫や物置き等の別途設けられる収納室に収納するようにしてもよいが、本実施の形態では収納部レール5の上に仮置きできる構成になっていて前記収納室に収納する必要がないよう配慮されている。
そのためには、前記取り外した着脱側レール部3gの先端部3fを収納部レール基端部5e側に位置するよう移動すると共に上下反転することで、着脱側レール部3gは、走行面部3aが上側に位置する冂字形になった状態となり、この状態で手前側に上下方向に長い第一側面部3bが位置する。
この反転状態で、着脱レール部3gの第一側面部3bを収納部レール第二側面部5cに載置し、第二側面部3cを収納部レール第一側面部5bに載置することで、着脱レール部3gは、収納部レール5に四角筒状に載置(積層)した仮置き姿勢となる。
この仮置き姿勢で、前記外したボルト3dを、第一側面部3bのボルト孔3iから収納部レール第一側面部5bに設けたボルト孔5gに螺入することで、前記仮置きされた開口部レール3の着脱側レール部3gを収納部レール5に取り付け固定できることになる。
【0017】
そしてこのものでは、着脱側レール部3gは、基端部3eがない分だけ収納部レール5に対して短いものになっており、そこで着脱レール部3gを前述したように仮置きした場合に、収納部レール5の先端部5f側に位置する戸尻側走行ローラ7yの回転軸7aを軸支する軸受け部8bに対し、着脱レール部3gの先端部3fが近接対向するように設定されており、これによって戸尻側走行ローラ7yの軸受け部8bが開口部E側に移動するのが規制されることになって開放位置に位置する防水板6が閉鎖位置側に不用意に移動するのを回避できるように配慮されている。
因みに、開口部レール3を収納部レール5に仮置きした状態では前述したように角筒形状となっており、この中空空間に、防水板6を収納位置にセットした不使用時において収納する必要がある圧着用ボルト9や押さえ金具10等の付属部品を収納しておく構成にすることができ、これによってこれらの付属部品を収納室にいちいち収納する等の配慮も不要になる。
【0018】
叙述のごとく構成された本発明の実施の形態においては、洪水の惧れがある非常時に防水板6を閉鎖位置にセットしておくことで、開口部Eから水か浸入することを防止できることになるが、この場合に防水板装置1としては、開口部Eに設けられる開口部レール3と、該開口部レール3の基端部3e部位をコーナー部Cとして前後方向直角状に設けられる収納部レール5とを備え、防水板6の上端縁に設けた走行ローラ7のうち戸先側走行ローラ7xが開口部レール3を移動し、戸尻側走行ローラ7yが収納部レール5を移動することで、防水板6が開口部Eを閉鎖する閉鎖位置と、開口部Eを開放して収納姿勢となる開放位置とに移動することになるが、防水板6が収納姿勢になった状態では、開口部レール3の基端部3e部位をコーナー部Cとして前後方向直角状に設けた収納部レール5に収納できることになって、収納部スペースを左右方向に幅広に確保する必要がなくコンパクト収納できることになる。
【0019】
しかもこの場合に閉鎖位置の防水板6は、下端縁部を床部に着脱自在に取り付けられる押さえ金具10を介して押さえる構成になっているため、閉鎖位置に位置する防水板6が不用意に振れて防水機能が損なわれてしまうことを回避できることになる。
そのうえこの場合に、閉鎖位置に位置する防水板6の左右両端縁部が圧着用ボルト9を介して躯体側のシール材2bに圧着することになって防水性能をさらに高いものにできる。
ことを特徴とする請求項1記載の防水板装置である。
【0020】
このように防水板6は、コンパクト収納ができ、かつ高い防水性能を発揮できるものであるが、開口部Eに設けられる開口部レール3を、ボルト3dを介して着脱自在に取り付けられる構成になっている結果、洪水の惧れがない常時においては、開口部Eから取り外しておくことで、開口部Eを通しての出入りに支障を来すことがないが、該取り外された開口部レール3を、収納部レール5上に仮置きできる構成になっている結果、開口部レールを倉庫や物置き等の収納室に収納補完しておく必要がない。
そして該仮置き載置された開口部レール3は、収納部レール5とのあいだで角筒状になる結果、該角筒内を、ビス等の付属部品の収納空間として利用できることになって利便性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、ビル、住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる防水板装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 防水板装置
3 開口部レール
3e 基端部
3f 先端部
3g 着脱側レール部
5 収納部レール
5e 基端部
5f 先端部
6 防水板
7 走行ローラ
7x 戸先側走行ローラ
7y 戸尻側走行ローラ
8 ブラケット 8a軸支部
9 圧着用ボルト
10 押さえ金具
C コーナー部
E 開口部