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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144670
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045782
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 治隆
(72)【発明者】
【氏名】瀬▲崎▼ 卓人
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333CA08
2C333CA16
2C333CA49
2C333CA52
2C333CA72
(57)【要約】
【課題】当否判定または図柄変動遊技の実行回数に基づいて移行する容易状態への関心を高めることで遊技興趣の向上を図る。
【解決手段】遊技機は、容易状態移行手段が、少なくとも、計数手段の計数値が規定値に到達した場合と、当り図柄とは異なる特定図柄で特別図柄が確定表示した場合に、容易状態に移行可能であり、複数の演出モードのうち遊技状態に応じた演出モードを設定する演出モード設定手段は、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中の演出モードを、計数値に基づいて選択した演出モードに設定する。
【選択図】図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の入球の可能性が変化する可変始動口を含む始動口と、
前記始動口に遊技球が入球したことに基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、
特別図柄を変動表示させて確定表示させる図柄変動遊技を実行する図柄変動遊技実行手段と、
前記当否判定の結果が当りを示す当り図柄で前記特別図柄が確定表示したことに基づいて大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記当否判定または前記図柄変動遊技の実行回数を計数する計数手段と、
遊技状態として通常状態よりも前記可変始動口への遊技球の入球に基づく前記図柄変動遊技の実行を容易にする容易状態に移行可能な容易状態移行手段と、
複数の演出モードのうち前記遊技状態に応じた演出モードを設定する演出モード設定手段と、
を備える遊技機であって、
前記容易状態移行手段は、少なくとも、前記計数手段の計数値が規定値に到達した場合と、前記当り図柄とは異なる特定図柄で前記特別図柄が確定表示した場合に、前記容易状態に移行可能であり、
前記演出モード設定手段は、前記特定図柄の確定表示により移行した前記容易状態中の前記演出モードを、前記計数値に基づいて選択した演出モードに設定する
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機としては、始動口への遊技球の入球に基づく当否判定の結果に基づいて特別図柄の変動表示が行われ、大当り図柄が導出されると大当り遊技を行うものにおいて、特別図柄の変動時間を通常状態よりも短縮する時短状態(容易状態)に移行可能なものが知られている。例えば、特別図柄の変動表示の回数が所定回数に達するまでに次の大当りが発生しない場合に、時短状態に移行するもの(特許文献1参照)や、特別図柄が特定の外れ図柄で停止表示されたときに時短状態に移行するもの(特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-52345号公報
【特許文献2】特開2005-211430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような遊技機では、通常は遊技機の上部に設置された表示機器に、特別図柄の変動回数などが表示されるため、遊技者は所定回数までの残りの変動回数を把握することができる。しかし、遊技者は、遊技機の遊技盤に設けられた演出表示装置を見ながら遊技を行っており、上部の表示機器を常に見ているわけではないので、残りの変動回数や時短状態(容易状態)への移行に対する関心が薄れて遊技興趣が減退するおそれがある。
【0005】
本発明の遊技機は、当否判定または図柄変動遊技の実行回数に基づいて移行する容易状態への関心を高めることで遊技興趣の向上を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の第1の遊技機は、
遊技球の入球の可能性が変化する可変始動口を含む始動口と、
前記始動口に遊技球が入球したことに基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、
特別図柄を変動表示させて確定表示させる図柄変動遊技を実行する図柄変動遊技実行手段と、
前記当否判定の結果が当りを示す当り図柄で前記特別図柄が確定表示したことに基づいて大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記当否判定または前記図柄変動遊技の実行回数を計数する計数手段と、
遊技状態として通常状態よりも前記可変始動口への遊技球の入球に基づく前記図柄変動遊技の実行を容易にする容易状態に移行可能な容易状態移行手段と、
複数の演出モードのうち前記遊技状態に応じた演出モードを設定する演出モード設定手段と、
を備える遊技機であって、
前記容易状態移行手段は、少なくとも、前記計数手段の計数値が規定値に到達した場合と、前記当り図柄とは異なる特定図柄で前記特別図柄が確定表示した場合に、前記容易状態に移行可能であり、
前記演出モード設定手段は、前記特定図柄の確定表示により移行した前記容易状態中の前記演出モードを、前記計数値に基づいて選択した演出モードに設定する
ことを要旨とする。
【0008】
本発明の第1の遊技機では、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中の演出モードを、計数値に基づいて選択した演出モードに設定する。これにより、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中の演出モードによって、計数値または規定値までの残り変動回数を示唆することが可能となる。このため、遊技者は、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中に、規定値の到達により移行する容易状態に対する関心や期待感を高めることができるから、遊技興趣を向上させることができる。
【0009】
本発明の第2の遊技機は、
遊技球の入球の可能性が変化する可変始動口を含む始動口と、
前記始動口に遊技球が入球したことに基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、
特別図柄を変動表示させて確定表示させる図柄変動遊技を実行する図柄変動遊技実行手段と、
前記当否判定の結果が当りを示す当り図柄で前記特別図柄が確定表示したことに基づいて大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記当否判定または前記図柄変動遊技の実行回数を計数する計数手段と、
遊技状態として通常状態よりも前記可変始動口への遊技球の入球に基づく前記図柄変動遊技の実行を容易にする容易状態に移行可能な容易状態移行手段と、
複数の演出モードのうち前記遊技状態に応じた演出モードを設定する演出モード設定手段と、
を備える遊技機であって、
前記容易状態移行手段は、少なくとも、前記計数手段の計数値が規定値に到達した場合と、前記当り図柄とは異なる特定図柄で前記特別図柄が確定表示した場合に、前記容易状態に移行可能であり、
前記演出モード設定手段は、前記特定図柄の確定表示により移行した前記容易状態中の前記演出モードを、当該特定図柄が確定表示した際の前記計数値に基づいて選択した演出モードに設定する
ことを要旨とする。
【0010】
本発明の第2の遊技機では、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中の演出モードを、特定図柄が確定表示した際の計数値に基づいて選択した演出モードに設定する。これにより、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中の演出モードによって、計数値または規定値までの残り変動回数を示唆することが可能となる。このため、遊技者は、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中に、規定値の到達により移行する容易状態に対する関心や期待感を高めることができるから、遊技興趣を向上させることができる。
【0011】
本発明の第3の遊技機は、
遊技球の入球の可能性が変化する可変始動口を含む始動口と、
前記始動口に遊技球が入球したことに基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、
特別図柄を変動表示させて確定表示させる図柄変動遊技を実行する図柄変動遊技実行手段と、
前記当否判定の結果が当りを示す当り図柄で前記特別図柄が確定表示したことに基づいて大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記当否判定または前記図柄変動遊技の実行回数を計数する計数手段と、
遊技状態として通常状態よりも前記可変始動口への遊技球の入球に基づく前記図柄変動遊技の実行を容易にする容易状態に移行可能な容易状態移行手段と、
複数の演出モードのうち前記遊技状態に応じた演出モードを設定する演出モード設定手段と、
を備える遊技機であって、
前記容易状態移行手段は、少なくとも、前記計数手段の計数値が規定値に到達した場合と、前記当り図柄とは異なる特定図柄で前記特別図柄が確定表示した場合に、前記容易状態に移行可能であり、
前記演出モード設定手段は、前記特定図柄の確定表示により移行した前記容易状態中の前記演出モードを、当該特定図柄が確定表示した際の前記計数値が所定の閾値より前記規定値側でなければ当該容易状態に対応付けられた演出モードに設定し、前記計数値が前記所定の閾値より前記規定値側であれば前記規定値の到達による前記容易状態への移行が近いことを示唆する演出モードに設定する
ことを要旨とする。
【0012】
本発明の第3の遊技機では、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中の演出モードを、特定図柄が確定表示した際の計数値が所定の閾値より規定値側でなければ当該容易状態に対応付けられた演出モードに設定し、計数値が所定の閾値より規定値側であれば規定値の到達による容易状態への移行が近いことを示唆する演出モードに設定する。これにより、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中の演出モードによって、規定値の到達による容易状態への移行が近いか否かを遊技者に容易に把握させることができる。このため、遊技者は、特定図柄の確定表示により移行した容易状態中に、規定値の到達により移行する容易状態に対する関心や期待感を高めることができるから、遊技興趣を向上させることができる。
【0013】
ここで、演出モード設定手段は、規定値の到達により移行した容易状態中の演出モードを、当該容易状態に対応付けられた演出モードに設定すればよい。あるいは、複数の容易状態に共通の演出モードに設定してもよい。容易状態としては、規定値の到達により移行する容易状態と、特定図柄の確定表示により移行する容易状態の他、大当り遊技の実行終了後に移行する容易状態を有してもよい。また、当否判定時に、容易状態に移行させるか否かの判定を行う容易状態判定手段を備え、図柄変動遊技実行手段は、容易状態判定手段の判定結果が容易状態に移行させるものである場合に特別図柄を特定図柄で確定表示させるものとすればよい。また、演出モードは、遊技の進行に伴って演出装置で実行される演出の態様を定めたものである。例えば、特別図柄の図柄変動遊技の実行に伴って、演出図柄を変動表示させて特別図柄の確定表示に応じて確定表示させる図柄変動演出を演出表示装置などの演出装置を用いて実行する図柄変動演出実行手段を備える場合、演出表示装置の背景画面や演出図柄、演出図柄以外の他の演出用の図柄(キャラクタ図柄など)などのうち少なくともいずれかの態様が演出モード毎に異なるものとなる。また、それら以外にも、演出に伴って出力される音の出力態様や光の発光態様など、遊技者が認識可能な演出の態様のいずれかが異なるものでもよい。即ち、複数の演出モードは、遊技者が認識可能な演出の態様のうち少なくとも一部が互いに異なる態様に定められたものなどとすればよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の遊技機によれば、当否判定または図柄変動遊技の実行回数に基づいて、図柄変動遊技の実行を容易にする容易状態に移行するものにおいて、容易状態への移行に関する演出の実行により遊技興趣の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例としてのパチンコ機1の正面図である。
図2】パチンコ機1の裏面図である。
図3】パチンコ機1が有する遊技盤20の概略構成図である。
図4】パチンコ機1の電気的な構成を示すブロック図である。
図5】演出表示装置37の演出表示の一例を示す説明図である。
図6】パチンコ機1の仕様を説明する説明図である。
図7】主制御装置60のCPU60aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。
図8】電源投入処理の一例を示すフローチャートである。
図9】始動入賞処理の一例を示すフローチャートである。
図10】普通図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図11】普通図柄変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。
図12】普通図柄当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図13】特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図14】特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図15】第1特別図柄変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。
図16】第2特別図柄変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。
図17】変動パターン決定処理の一例を示すフローチャートである。
図18】変動パターンテーブルの一例を示す説明図である。
図19】確変フラグ終了処理の一例を示すフローチャートである。
図20】a時短フラグ終了処理の一例を示すフローチャートである。
図21】b時短フラグ設定処理の一例を示すフローチャートである。
図22】c時短フラグ設定処理の一例を示すフローチャートである。
図23】大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図24】大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。
図25】図柄変動演出処理の一例を示すフローチャートである。
図26】図柄変動演出処理の一例を示すフローチャートである。
図27】大当り遊技演出処理の一例を示すフローチャートである。
図28】時短用演出モードの一例を示す説明図である。
図29】時短図柄に当選した場合の一例を示すタイムチャートである。
図30】変形例の図柄変動演出処理を示すフローチャートである。
図31】変形例の図柄変動演出処理を示すフローチャートである。
図32】変形例で時短図柄に当選した場合を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明する。
【実施例0017】
図1は、本発明のパチンコ機1の正面図であり、図2は、パチンコ機1の裏面図であり、図3は、パチンコ機1が有する遊技盤20の概略構成図であり、図4は、パチンコ機1の電気的な構成を示すブロック図である。本実施例では、始動口に遊技球が入球したことを契機として特別図柄の変動表示を開始し、当該特別図柄が所定の大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技を開始する、いわゆるセブン機タイプ(第1種タイプ)の遊技機に本発明を適用した例について説明する。
【0018】
[パチンコ機1の外観構成]
本実施例のパチンコ機1は、図1に示すように、前面枠(ガラス枠)3に嵌め込まれたガラス板(透明板)4を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤20と、遊技球を貯留する上受け皿11および下受け皿12と、上受け皿11に貯留されている遊技球を遊技盤20へ発射するための発射ハンドル13と、を備える。本実施例のパチンコ機1は、プリペイドカードに対応したCR機であり、当該パチンコ機1の左側には、プリペイドカードの読み書きを行うためのCRユニット50が設けられている。
【0019】
前面枠3は、内枠5に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として内枠5に対して開閉可能となっている。また、内枠5は、外枠2に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として外枠2に対して開閉可能となっている。前面枠3と内枠5は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。一方、外枠2は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、遊技ホールの島設備の島枠に固定される。
【0020】
前面枠3内には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に対して注意喚起するための警告音を鳴らしたりするスピーカ14(図4参照)が設けられている。また、前面枠3内には、遊技状態に応じて発光する装飾用の発光素子としてのLED15(図4参照)が、遊技盤20の周囲を囲むように複数個配列されている。
【0021】
上受け皿11には、賞球や貸球が払い出され、下受け皿12には、上受け皿11から溢れた球が払い出される。上受け皿11の上部には、CRユニット50に挿入されたプリペイドカードの残高等を表示する精算表示装置52が配設され、当該精算表示装置52の両脇の一方には、遊技球の貸し出しを指示する球貸ボタン53が設けられ、両脇の他方には、CRユニット50に挿入されているプリペイドカードの精算(返却)を指示する精算ボタン54が設けられている。また、上受け皿11の手前には、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン16が配設されている。
【0022】
パチンコ機1の裏側の内枠5には、図2に示すように、球タンク77とタンクレール78と払出装置72とが設けられている。払出装置72は、遊技盤20に設けられる各入賞口に遊技球が入球すると、予め定められた数の遊技球を、賞球として、球タンク77からタンクレール78を介して上受け皿11に払い出す。また、払出装置72は、球貸ボタン53が操作されると、貸球を上受け皿11に払い出す。
【0023】
発射ハンドル13は、下受け皿12の右方に設けられており、遊技者により時計回りに回動操作されると、図示しない発射装置が有する発射モータ83(図4参照)が作動し、発射ハンドル13の回動操作量に応じた発射威力で遊技球を1球ずつ遊技盤20へ向けて打ち出す。
【0024】
[遊技盤20の構成]
遊技盤20は、図3に示すように、外レール21aと内レール21bとによって囲まれる遊技領域21が形成されている。この遊技盤20は、遊技領域21の略中央部に設けられた演出表示装置37と、演出表示装置37の周囲に配置されたワープ入口やワープ樋,ステージ等を含むセンター役物38と、センター役物38の右方に配置された普通図柄作動ゲート22と、センター役物38の下方に配置された常時開放の第1始動口23と、普通図柄作動ゲート22の下方に配置された開閉式の第2始動口24と、遊技領域21の右下部に配置された大入賞口25と、遊技領域21の左下部に配置された常時開放の普通入賞口27と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口29と、を備える。また、遊技盤20には、遊技領域21を流下する遊技球をガイドしたり弾いたりする多数の釘21cが植設されている。
【0025】
第2始動口24は、普通電動役物として構成される可変式の入球口であり、左右一対の開閉羽根(開閉部材)24bと、開閉羽根24bを作動させる第2始動口ソレノイド24c(図4参照)と、を備える。この第2始動口24は、通常は、開閉羽根24bが直立して遊技球の入球が困難な閉鎖状態とされており、普通図柄が当り図柄で停止表示されて当り遊技(普通図柄当り遊技)が実行されるときに、第2始動口ソレノイド24cによって開閉羽根24bが左右に開くことにより、遊技球の入球が容易な開放状態とされる。第2始動口24には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための第2始動口スイッチ24aが取り付けられている。第2始動口24は、第2始動口スイッチ24aが遊技球の入球を規定数カウントするか、規定数カウントする前に予め定められた最大開放時間が経過すると閉鎖される。
【0026】
大入賞口25は、特別電動役物として構成される可変式の入球口であり、開閉板(開閉部材)25bと、開閉板25bを作動させる大入賞口ソレノイド25c(図4参照)と、を備える。この大入賞口25は、通常は、開閉板25bによって塞がれて遊技球の入球が不能な閉鎖状態とされており、特別図柄が大当り図柄で停止表示されて大当り遊技が実行されるときに、大入賞口ソレノイド25cによって開閉板25bが手前に開くことにより、遊技球の入球が可能な開放状態とされる。大入賞口25には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための大入賞口スイッチ25aが取り付けられている。大入賞口25は、大入賞口スイッチ25aが遊技球の入球を規定数カウントするか、規定数カウントする前に予め定められた最大開放時間が経過すると閉鎖される(ラウンド遊技)。大当り遊技は、上記ラウンド遊技を予め定められた所定回数繰り返すことにより行う。
【0027】
第1始動口23は、遊技者が遊技球を遊技領域21の左側領域(第1遊技領域)に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる左打ち)することにより遊技球を入球させることができる。一方、第2始動口24および大入賞口25は、左打ちによって遊技球を入球させることは不可能であり、遊技球を遊技領域21の右側領域(第2遊技領域)に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる右打ち)することにより遊技球を入球させることができる。もっとも、第2始動口24および大入賞口25は、可変式の入賞口であるから、それぞれ、普通図柄が当選した場合,特別図柄が大当りで当選した場合に開放されてはじめて遊技球が入球可能となる。
【0028】
遊技盤20の右下部には、第1特別図柄表示装置(第1特図表示装置)31と、第2特別図柄表示装置(第2特図表示装置)32と、第1特別図柄保留数表示装置(第1特図保留数表示装置)33と、第2特別図柄保留数表示装置(第2特図保留数表示装置)34と、普通図柄表示装置(普図表示装置)35と、普通図柄保留数表示装置(普図保留数表示装置)36と、が配置されている。
【0029】
第1特図表示装置31および第2特図表示装置32は、本実施例では、7セグメント表示装置として構成されており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数種類の表示態様を表現する。第1特図表示装置31および第2特図表示装置32は、始動口への遊技球の入球に基づいて表示態様を順次切り替えることにより特別図柄の変動表示を開始し、所定の変動時間が経過したときに予め定められた複数の停止表示態様のいずれかで停止表示することにより特別図柄を停止表示する。そして、特別図柄が所定の停止表示態様(大当り図柄)で停止表示されると、大当り遊技が実行される。第1特図表示装置31は、第1始動口23への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示する第1始動口入球用の表示装置であり、第2特図表示装置32は、第2始動口24への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示する第2始動口入球用の表示装置である。なお、第1特図表示装置31により表示される特別図柄を第1特別図柄(第1特図)とも呼び、第2特図表示装置32により表示される特別図柄を第2特別図柄(第2特図)とも呼ぶ。
【0030】
なお、特別図柄の変動表示中や大当り遊技中に第1始動口23に遊技球が入球した場合、第1特別図柄の変動表示を所定数(実施例では4回)まで保留し、現在の変動表示が終了した後に、保留している第1特別図柄の変動表示を順次開始する。第1特別図柄の保留数は、第1特図保留数表示装置33に表示される。また、特別図柄の変動表示中や大当り遊技中に第2始動口24に遊技球が入球した場合も、第2特別図柄の変動表示を所定数(例えば、4回)まで保留し、現在の変動表示が終了した後に、保留している第2特別図柄の変動表示を順次開始する。第2特別図柄の保留数は、第2特図保留数表示装置34に表示される。
【0031】
普図表示装置35は、本実施例では、複数の表示部を有するLED表示装置として構成されている。普図表示装置35は、普通図柄作動ゲート22に設けられたゲートスイッチ22aが遊技球を検知したことに基づいて、複数の表示部のそれぞれについて点灯と消灯とを繰り返すことにより普通図柄を変動表示し、所定の変動時間が経過すると、複数の表示部のそれぞれについて点灯あるいは消灯することにより普通図柄を停止表示する。そして、複数の表示部のうち特定の表示部が点灯している場合が当り図柄となり、それ以外の場合が外れ図柄となる。普通図柄が当り図柄で停止表示されると、第2始動口24が開放される。
【0032】
なお、本実施例では、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート22を通過したときには、普通図柄の変動表示を所定数(例えば、4個)まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留している普通図柄の変動表示を順次開始する。普通図柄の保留数は、普図保留数表示装置36に表示される。
【0033】
演出表示装置37は、液晶ディスプレイ等により構成される画像表示装置であり、表示画面上で特別図柄に対応する演出図柄(疑似図柄)371L,371C,371Rの表示の他、リーチ演出や大当りを予告する予告演出、遊技者に有利な遊技状態の開始演出(突入演出)等の様々な演出表示を行う。図5は、演出表示装置37の演出表示の一例を示す説明図である。図示するように、演出表示装置37の表示画面の中央部には、数字や英字、文字、記号、キャラクタ等(図の例では、数字)からなる左,中,右の3つの演出図柄371L,371C,371Rが表示される。3つの演出図柄371L,371C,371Rは、始動口(第1始動口23または第2始動口24)に遊技球が入球すると、上から下へスクロールするように変動表示され、所定の変動時間が経過すると、左,右,中の順に停止表示される。右の演出図柄371Rが停止表示されたときに当該右の演出図柄371Rが左の演出図柄371Lと一致しなかったときには、外れ(リーチ無し外れ)となる。一方、右の演出図柄371Rが左の演出図柄371Lと一致したときには、リーチとなり、リーチ演出に移行する。そして、当該リーチ演出を経て中の演出図柄371Cが停止表示されたときに当該中の演出図柄371Cが左右の演出図柄371L,371Rと一致しなかったときには、外れとなり(リーチ外れ)、中の演出図柄371Cが左右の演出図柄371L,371Rと一致したときには、大当りとなる。また、リーチ状態から停止表示される中の演出図柄371Cが特定の図柄であったときには、時短当りとなる。なお、演出表示装置37には、演出図柄371L,371C,371Rの変動表示に伴って、例えば大当りの可能性(信頼度)を示唆するキャラクタ図柄373も表示される。
【0034】
また、演出表示装置37の表示画面の隅部(下部)には、図5に示すように、第1および第2保留図柄372a,372bも表示される。第1保留図柄372aは、第1特別図柄の保留記憶に対応する図柄である。第1保留図柄372aは、特別図柄の変動表示中等に第1始動口23に遊技球が入球する毎に右側から順に1つずつ追加表示され、第1特別図柄の変動表示が開始される毎に始動入球時とは逆側から1つずつ消去される。また、第2保留図柄372bは、第2特別図柄の保留記憶に対応する図柄である。第2保留図柄372bは、特別図柄の変動表示中等に第2始動口24に遊技球が入球する毎に右側から順に1つずつ追加表示され、第2特別図柄の変動表示が開始される毎に始動入球時とは逆側から1つずつ消去される。
【0035】
[制御回路の構成]
また、パチンコ機1は、図4に示すように、その制御回路として、主制御装置60と、払出制御装置70と、発射制御装置80と、サブ統合制御装置90と、演出表示制御装置91と、電源基板95(図2参照)と、を備える。主制御装置60は、CPU60aを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPU60aの他に、処理プログラムやテーブルを記憶するROM60b,処理プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM60c,入出力ポート,通信ポートなどを備える。なお、図示しないが、払出制御装置70や発射制御装置80も同様に、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPUの他に、ROM,RAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。また、パチンコ機1には外部接続端子板65が設けられており、外部接続端子板65により遊技状態や遊技結果を示す信号がホールコンピュータ100(図4参照)へ送信される。
【0036】
主制御装置60は、遊技の基本的な進行を司るものである。図4に示すように、主制御装置60には、前面枠3の開放を検知する前面枠開放スイッチ3aや、内枠5の開放を検知する内枠開放スイッチ5a等からの検知信号が裏配線中継端子板64を介して入力される。また、主制御装置60には、普通図柄作動ゲート22への遊技球の通過を検知するゲートスイッチ22aや、第1始動口23への遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ23a、第2始動口24への遊技球の入球を検知する第2始動口スイッチ24a、大入賞口25への遊技球の入球を検知する大入賞口スイッチ25a、普通入賞口27への遊技球の入球を検知する普通入賞口スイッチ27a等からの検知信号が遊技盤中継端子板61を介して入力される。更に、主制御装置60には、パチンコ機1の裏側に設けられた設定キースイッチ67やRAMクリアスイッチ68からの操作信号が直接入力され、設定キースイッチ67やRAMクリアスイッチ68を用いた設定内容をパチンコ機1の裏側に設けられた設定表示装置(性能表示装置)69に表示可能となっている。一方、主制御装置60からは、第2始動口ソレノイド24cや大入賞口ソレノイド25c等への駆動信号が遊技盤中継端子板61を介して出力される。また、主制御装置60からは、第1特図表示装置31や第2特図表示装置32、第1特図保留数表示装置33、第2特図保留数表示装置34、普図表示装置35、普図保留数表示装置36等への表示信号が図柄表示装置中継端子板62を介して出力される。更に、主制御装置60からは、ホールコンピュータ100への信号が裏配線中継端子板64および外部接続端子板65を介して出力される。
【0037】
設定キースイッチ67は、特別図柄の大当り確率などの各種設定を行うためのスイッチである。また、RAMクリアスイッチ68はRAMクリアを実行するためのスイッチであり、遊技ホールの管理者は、RAMクリアスイッチ68を押下した状態で電源を投入することでRAMクリアを実行することができる。本実施例では、特別図柄の大当り確率の設定値の選択にもRAMクリアスイッチ68が用いられる。即ち、設定キースイッチ67およびRAMクリアスイッチ68は、特別図柄の大当り確率としてそれぞれ異なる大当り確率が割り当てられた6つの設定値(設定1~6)のいずれかを選択してセットするために用いられる。設定表示装置69は、7セグメント表示装置として構成されており、各種設定における設定値やパチンコ機1の性能、エラー発生時のエラーコードなどを表示する。遊技ホールの管理者は、所定の鍵を設定キースイッチ67に挿入して回転させると共にRAMクリアスイッチ68を押下した状態で電源を投入する。すると、パチンコ機1は、RAMクリアが行われて設定値の変更が可能な状態となる。パチンコ機1がこの状態になると、管理者は、RAMクリアスイッチ68を押下することにより、設定1~6の中から所望の設定値を選択することができる。本実施例では、パチンコ機1は、RAMクリアスイッチ68が押下される度に、設定表示装置69に現在選択されている設定値に対応する「1」~「6」の数字を順番に表示する。このため、管理者は、設定表示装置69に表示される数字が所望の設定値に対応する数字となるようにRAMクリアスイッチ68の押下を繰り返すことにより、所望の設定値を選択することができる。RAMクリアスイッチ68の操作によって選択された設定値は、管理者が設定キースイッチ67に挿入した鍵を回転させて初期位置に戻すことにより確定され、特別図柄の大当り確率としてセットされる。管理者は、こうした操作を行うことにより、パチンコ機1毎に、設定1~6のいずれかをセットすることができる。なお、本実施例では、設定キースイッチ67およびRAMクリアスイッチ68を用いて設定値の選択およびセットを行う構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、回転つまみ等、外部から操作できるものであれば、他の如何なる操作手段を用いて設定値の選択やセットを行う構成であってもよく、設定値を選択するための専用のスイッチを設ける構成であってもよい。また、パチンコ機1は、設定値を設定表示装置69に表示するものとしたが、他の表示装置に表示してもよいし、音声により報知してもよい。また、設定値は設定1~6の6つに限られず、複数の設定値のうちから選択可能なものであれば幾つであっても構わない。
【0038】
払出制御装置70は、賞球や貸球の払い出しに関する制御を司るものである。この払出制御装置70には、上受け皿11に払い出す遊技球を貯留するための球タンク77の球切れを検知する球切れスイッチ76からの検知信号が裏配線中継端子板64を介して入力され、上受け皿11に払い出される遊技球を検知する払出スイッチ74からの検知信号が払出中継端子板71および裏配線中継端子板64を介して入力され、下受け皿12の満杯を検知する満杯スイッチ75からの検知信号が直接に入力される。一方、払出制御装置70からは、払出モータ73への駆動信号が裏配線中継端子板64および払出中継端子板71を介して出力される。払出制御装置70は、主制御装置60と双方向通信が可能に構成されており、主制御装置60から送信されるコマンドに従って払出モータ73を駆動して賞球の払い出しを行う。払出制御装置70は、球切れスイッチ76および満杯スイッチ75のいずれかから検知信号を入力すると、その検知の状況が解消して検知信号を入力しなくなるまで、払出モータ73を駆動停止し、賞球の払出動作を中断する。
【0039】
また、払出制御装置70は、CRユニット端子板51を介してCRユニット50と通信可能に構成されている。CRユニット端子板51は精算表示装置52と双方向通信が可能に構成されており、払出制御装置70には、精算表示装置52に設けられた球貸スイッチ53aや精算スイッチ54aからの検知信号がCRユニット端子板51を介して入力される。なお、球貸スイッチ53aは、球貸ボタン53の操作を検知して検知信号を出力するものであり、精算スイッチ54aは、精算ボタン54の操作を検知して検知信号を出力するものである。払出制御装置70は、球貸コマンドを入力すると、払出モータ73を駆動して貸球の払い出しを行う。また、払出制御装置70は、発射制御装置80とも双方向通信が可能に構成され、満杯スイッチ75から検知信号を入力する等の所定の発射停止条件が成立したときに、発射制御装置80に対して発射停止コマンドを送信する。
【0040】
発射制御装置80は、遊技領域21への遊技球の発射に関する制御を司るものである。この発射制御装置80には、発射ハンドル13の回動操作に応じて出力される回動量信号や、発射停止ボタンの操作を検知する発射停止スイッチ81からの発射停止信号、遊技者が発射ハンドル13に触れていることを検知するタッチスイッチ82からのタッチ信号等が入力される。一方、発射制御装置80からは、発射モータ83への駆動信号が出力される。発射制御装置80は、回動量信号に基づく発射強度で遊技球が遊技領域21へ発射されるよう発射モータ83を制御する。なお、発射制御装置80は、タッチ信号を入力していないときや発射停止コマンドを入力しているときには、発射ハンドル13の操作に拘わらず発射モータ83の駆動を停止し、遊技球を発射させない。
【0041】
サブ統合制御装置90は、遊技の演出に関する制御を司るものである。サブ統合制御装置90は、CPU90aを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPU90aの他に、ROM90b,RAM90c,入出力ポート,通信ポートなどを備える。このサブ統合制御装置90は、演出中継端子板63を介して主制御装置60から一方向通信により各種コマンドを受信可能となっており、受信したコマンドに応じた演出制御を行う。サブ統合制御装置90には、演出ボタン16の操作(押下)を検知する演出ボタンスイッチ16aからの検知信号が入力される。一方、サブ統合制御装置90からは、スピーカ14への音声信号やLED15への点灯信号が出力される。また、サブ統合制御装置90からは、演出表示制御装置91への演出表示制御用のコマンドが一方向通信により出力される。演出表示制御装置91は、サブ統合制御装置90からの演出表示制御用のコマンドを受信し、そのコマンドに応じた演出画像が演出表示装置37に表示されるよう当該演出表示装置37の表示制御を行う。
【0042】
電源基板95は、外部のAC電源からの交流電圧を直流電圧に変換する直流電源であり、電源スイッチ95aの操作によってパチンコ機1の各部に電力を供給する。電源基板95は電源スイッチ95aがオフされてパチンコ機1の電源が落とされた状態であってもAC電源からの電力を主制御装置60のRAM60c等に供給しており、RAM60c内のデータはAC電源からの電力により保持される。また、電源基板95は、コンデンサ等により構成される補助電源を備え、AC電源から供給される電力を補助電源に蓄電する。これにより、AC電源からの電力の供給が遮断される停電時に、補助電源からの電力が主制御装置60のRAM60c等に供給され、主制御装置60のRAM60c内のデータ等が一定時間に亘って保持される。このように、主制御装置60には、電源スイッチ95aがオフされたり停電したりしてもAC電源や補助電源からの電力によりRAM60cの記憶を保持するバックアップ機能を有する。一方、サブ統合制御装置90は、こうしたバックアップ機能を有していないため、電源スイッチ95aがオフされたり停電したりすると、RAM90cの記憶はクリアされる。
【0043】
[パチンコ機1の遊技の概要]
次に、こうして構成されたパチンコ機1における遊技の概要について説明する。図6は、パチンコ機1の仕様を説明する説明図である。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄の大当り確率は、遊技状態と設定値とによって異なる。即ち、図6(a)に示すように、遊技状態が通常状態(通常遊技状態)である場合、設定1の大当り確率は、1/320であり、設定2の大当り確率は、1/310であり、設定3の大当り確率は、1/300であり、設定4の大当り確率は、1/290であり、設定5の大当り確率は、1/280であり、設定6の大当り確率は、1/270である。一方、遊技状態が確変状態(確変遊技状態)である場合、設定1の大当り確率は、1/64であり、設定2の大当り確率は、1/62であり、設定3の大当り確率は、1/60であり、設定4の大当り確率は、1/58であり、設定5の大当り確率は、1/56であり、設定6の大当り確率は、1/54である。特別図柄が大当りとなると、4ラウンドの大当り遊技(規定数が10個で最大開放時間が30秒間のラウンド遊技が4回繰り返される大当り遊技)または10ラウンドの大当り遊技(上記ラウンド遊技が10回繰り返される大当り遊技)が実行される。
【0044】
また、図6(b)に示すように、普通図柄の当り確率は、遊技状態が通常状態および時短状態(時短遊技状態)のいずれであっても1/2である。普通図柄で当りが発生すると、第2始動口24(普通電動役物)が開放する普通図柄当り遊技(普図当り遊技)が実行される。遊技状態が通常状態であるときに普通図柄で当りが発生した場合、規定数が10個で最大開放時間が0.1秒間の普図当り遊技が実行され、遊技状態が時短状態(a時短状態、b時短状態またはc時短状態)であるときに普通図柄で当りが発生した場合、規定数が10個で最大開放時間が5.8秒間の普図当り遊技が実行される。このように、a時短状態、b時短状態およびc時短状態は、いずれも第2始動口24への遊技球の入球が容易となって第2特別図柄の変動遊技の実行が容易となる遊技状態(容易状態)である。
【0045】
こうした仕様のパチンコ機1において、左打ち(第1遊技領域への遊技球の発射)により第1始動口23に遊技球が入球すると、第1特別図柄の変動表示が開始される。そして、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示すると、大当りとなり、大入賞口25が開放される大当り遊技が実行される。大入賞口25は、左打ちでは遊技球の入球が不可能であり、右打ち(第2遊技領域への遊技球の発射)することにより遊技球の入球が可能となる。したがって、大当り遊技が実行されると、遊技者は右打ちすることにより大当り遊技が消化されることになる。なお、特別図柄の当り図柄に、大入賞口25の開放時間が大当り遊技よりも短い小当り遊技が実行される小当り図柄を含めてもよい。
【0046】
特別図柄の大当り図柄には、通常大当り図柄と確変大当り図柄とが含まれ、特別図柄が通常大当り図柄で停止表示(確定表示)されると、大当り遊技終了後にa時短状態が発生する。通常大当り図柄で大当り遊技が実行された場合、a時短状態は、特別図柄の変動表示が所定回数(100回)実行されるまで継続する。一方、特別図柄が確変大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技終了後の遊技状態としてa時短状態に加えて確変状態が発生する。本実施例では、確変大当り図柄の選択割合(確変突入率)は65%である。確変大当り図柄で大当り遊技が実行された場合、確変状態およびa時短状態は、特別図柄の変動表示が所定回数(10000回)実行されるまで、即ち実質的には次に大当りが発生するまで継続する。したがって、確変状態およびa時短状態では、遊技者は、右打ちすることにより、持ち球の減りを抑制しつつ大当りを有利に発生させることができ、短時間で多くの出玉を獲得できるチャンスとなる。
【0047】
また、大当りが発生することなく、特別図柄の変動表示が予定回数(規定値,900回)実行されると(特別図柄の変動回数を計数する変動カウンタが規定値に達すると)、b時短状態が発生する。大当り確率は1/320~1/270であり、b時短状態は特別図柄の変動表示が所定回数(1000回)実行されるまで継続するから、b時短状態が発生すると、殆どの場合でb時短状態中に大当りを発生させることができる。本実施例では、大当り確率は、設定1~6によって異なり、b時短状態の発生条件(移行契機)である予定回数は設定1~6に拘わらず一定回数(900回)であるため、設定値が低いほど(大当り確率が低いほど)、予定回数に到達する確率(予定回数まで大当りを引けない確率)が高くなる。
【0048】
さらに、特別図柄が大当り図柄とは異なる時短図柄(特定図柄)で停止表示すると、c時短状態が発生する。c時短状態は特別図柄の変動表示が所定回数(50回)実行されるまで継続する。
【0049】
このように、a時短状態、b時短状態およびc時短状態とは、移行契機(発生条件)が互いに異なり、a時短状態は大当り遊技の発生を契機として大当り遊技終了後に移行し、b時短状態は大当りが発生することなく特別図柄の変動回数が予定回数(900回)実行されたことを契機として移行し、c時短状態は特別図柄が時短図柄で停止表示されたことを契機として移行する。また、a時短状態(低確率時)、b時短状態およびc時短状態は、終了条件も互いに異なり、特別図柄の変動回数がそれぞれ100回,1000回,50回実行されると、終了する。即ち、時短状態の継続回数(特別図柄の変動回数)は、長い方からb時短状態、a時短状態(低確率時)、c時短状態の順となっている。
【0050】
さらに、a時短状態、b時短状態およびc時短状態は、いずれも、普通図柄の変動時間が通常状態よりも短縮される時短機能と、普通図柄が当選したときの第2始動口24の開放時間が通常状態よりも延長される開放延長機能とを作動させる遊技状態である。なお、本実施例では、上述したように、a時短状態、b時短状態およびc時短状態のいずれも普図確変機能を作動させず、普通図柄の当選確率が通常状態と同じ確率(例えば1/2)となっている。ただし、普通図柄の当選確率を通常状態よりも高くなる普図確変機能を作動させてもよい。
【0051】
[主制御処理]
次に、パチンコ機1の動作、特に主制御装置60の動作について更に詳細に説明する。図7は、主制御装置60のCPU60aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機1の電源スイッチが操作されたときに実行される。主制御処理は、パチンコ機1の電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S10)、乱数更新処理(S20)と、入賞確認処理(S30)と、始動入賞処理(S40)と、普通図柄遊技処理(S50)と、普通図柄当り遊技処理(S60)と、特別図柄遊技処理(S70)と、大当り遊技処理(S80)と、を繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、S20~S80の処理に要する時間は約2msecであり、これらの処理は、約2msecの間隔で繰り返し実行される。主制御装置60は、主制御処理の実行により、各種コマンドを担当する制御装置に送信してコマンドに応じた処理を実行させることで、パチンコ機1の全体の遊技を進行させている。
【0052】
[電源投入処理]
図8は、電源投入処理の一例を示すフローチャートである。S10の電源投入処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、セキュリティチェックが完了した後、RAM60cへのデータの読み出しや書き込みを可能とするアクセス許可を設定する(S100)。続いて、バックアップフラグがOFFであるか否か(S102)、RAMクリア信号がOFFであるか否か(S104)、をそれぞれ判定する。バックアップフラグは、RAM60cの記憶内容が正常であるか否かを示すフラグである。バックアップフラグは、例えばチェックサム処理によりRAM60cの記憶内容が正常であるか否かが判定され、正常であると判定されるとONされ、正常でないと判定されるとOFFされる。RAMクリア信号は、RAMクリアスイッチ68が操作された状態で電源が投入されるとONされ、RAMクリアスイッチ68が操作されない状態で電源が投入されるとOFFされる。
【0053】
バックアップフラグがOFFであると判定するか、バックアップフラグはONであるがRAMクリア信号がONであると判定すると、初期状態から起動する。即ち、CPU60aは、RAM60cの遊技情報を記憶する遊技情報記憶領域をクリアして初期化すると共に初期状態から遊技を開始する初期化処理を行い(S106)、払出制御装置70とサブ統合制御装置90とにそれぞれ対応する初期コマンドを送信して(S108)、電源投入処理を終了する。なお、上述したように、設定キースイッチ67およびRAMクリアスイッチ68が操作されながら電源投入されていれば、RAMクリア信号がONとなり、CPU60aは、初期化処理に伴い、設定1~6の中から設定キースイッチ67によりセット(選択)された一の設定値をRAM60cの設定値記憶領域に記憶し、当該設定値を有効化する。設定値記憶領域は、初期化処理によってはクリアされない。
【0054】
一方、S102,S104でバックアップフラグがONで且つRAMクリア信号がOFFであると判定すると、電源遮断直前の状態から起動する。即ち、CPU60aは、まず、RAM60cの遊技情報記憶領域に記憶保持されている電源遮断直前の遊技情報を読み出す(S110)。電源遮断直前の遊技情報は、電源遮断直前に進行していた遊技の状態を示す情報である。そして、読み出した遊技情報にしたがって遊技を再開する電源復帰処理を行うと共に(S112)、払出制御装置70とサブ統合制御装置90とにそれぞれ対応する復帰コマンドを送信して(S114)、電源投入処理を終了する。電源投入処理を終了すると、主制御処理に戻って次の乱数更新処理(S20)に進む。
【0055】
本実施例のパチンコ機1では、主制御装置60は、上述したように、RAM60cの記憶を保持するバックアップ機能を備えており、電源投入時においてRAM60cに遊技情報が正常に記憶されており且つRAMクリアされていなければ、電源遮断前の遊技状態で復帰することができる。一方、サブ統合制御装置90は、こうしたバックアップ機能を備えていないため、電源投入時にパチンコ機1の遊技状態を認識することができない。そこで、本実施例では、電源投入時処理において復帰時に記憶されている遊技情報に応じて主制御装置60からサブ統合制御装置90へ初期コマンドと復帰コマンドとを選択的に送信することで、サブ統合制御装置90は、受信したコマンドに基づいてパチンコ機1の電源投入直後の遊技状態を判別するものとした。なお、初期コマンドや復帰コマンドには、各種フラグ(大当りフラグ、確変フラグ、a時短フラグ、b時短フラグおよびc時短フラグ)の値が含まれる。
【0056】
[乱数更新処理]
S20の乱数更新処理は、各種判定用乱数を更新する処理である。判定用乱数としては、例えば、始動口(第1始動口23または第2始動口24)への遊技球の入球に基づいて行われる大当り判定(当否判定)に用いる大当り判定用乱数(特別図柄当否判定用乱数)や、始動口への遊技球の入球に基づいて行われる時短判定に用いる時短判定用乱数、大当り判定の結果が大当りであった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31または第2特図表示装置32)に停止表示させる大当り図柄の決定に用いる大当り図柄決定用乱数、時短判定の結果が時短有り(当り)であった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31)に停止表示させる時短図柄の決定に用いる時短図柄決定用乱数、大当り判定および時短判定の結果がいずれも外れであった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31または第2特図表示装置32)に停止表示させる外れ図柄の決定に用いる外れ図柄決定用乱数、特別図柄の変動パターン(変動時間)の決定に用いる変動パターン決定用乱数、普通図柄作動ゲート22への遊技球の通過に基づいて行われる当否判定に用いる普通図柄当否判定用乱数などを挙げることができる。乱数更新処理を終了すると、主制御処理に戻って次の入賞確認処理(S30)に進む。
【0057】
[入賞確認処理]
S30の入賞確認処理は、各種センサ(第1始動口スイッチ23aや第2始動口スイッチ24a、ゲートスイッチ22a、大入賞口スイッチ25a、普通入賞口スイッチ27aなど)の状態を検知してRAM60cの所定の状態記憶領域に保存する。また、賞球に関わるスイッチ(ゲートスイッチ22aを除く上記入賞口スイッチ)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM60cの所定の賞球情報記憶領域に保存する。そして、賞球情報が値0でないときには賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御装置70に送信して入賞確認処理を終了する。払出制御装置70は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ73を駆動して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出スイッチ74により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入球が検知されて主制御装置60から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。入賞確認処理を終了すると、主制御処理に戻って次の始動入賞処理(S40)に進む。
【0058】
[始動入賞処理]
図9は、始動入賞処理の一例を示すフローチャートである。S40の始動入賞処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、第1始動口スイッチ23aからの検知信号を入力して第1始動口23に遊技球が入球したか否かを判定する(S200)。第1始動口23に遊技球が入球したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数(第1特図保留数)がその上限数(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に第1特図保留数表示装置33の表示を更新し(S204)、第1特別図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S206)。ここで、S206で取得される判定用乱数としては、上述した大当り判定用乱数や時短判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、時短図柄決定用乱数、外れ図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数など第1特別図柄の変動遊技の進行に関する情報を挙げることができる。そして、第1特別図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S208)、S210の処理に進む。第1特別図柄保留数指示コマンドには、演出表示装置37に第1保留図柄372aを表示させるための第1特別図柄の保留数に関する情報が含まれる。なお、S200で第1始動口23に遊技球が入球していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限数に達していると判定したりすると、S204~S208の処理をスキップして次のS210の処理に進む。
【0059】
次に、第2始動口スイッチ24aからの検知信号を入力して第2始動口24に遊技球が入球したか否かを判定する(S210)。第2始動口24に遊技球が入球したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数(第2特図保留数)がその上限数(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に第2特図保留数表示装置34の表示を更新し(S214)、第2特別図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S216)。ここで、S216で取得される判定用乱数としては、上述した大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数、外れ図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数など第2特別図柄の変動遊技の進行に関する情報を挙げることができる。そして、第2特別図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S218)、S220の処理に進む。第2特別図柄保留数指示コマンドには、演出表示装置37に第2保留図柄372bを表示させるための第2特別図柄の保留数に関する情報が含まれる。なお、S210で第2始動口24に遊技球が入球していないと判定したり、S212で第2特別図柄の保留数が上限数に達していると判定したりすると、S214~S218の処理をスキップして次のS220の処理に進む。
【0060】
次に、ゲートスイッチ22aからの検知信号を入力して普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過したか否かを判定する(S220)。普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過したと判定すると、現在の普通図柄の保留数がその上限数(例えば、値4)よりも少ないか否かを判定する(S222)。普通図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、普通図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に普図保留数表示装置36の表示を更新する(S224)。次に、普通図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S226)。なお、普通図柄の判定用乱数としては、上述した普通図柄当否判定用乱数などの普通図柄の変動遊技の進行に関する情報を例示することができる。そして、普通図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S228)、始動入賞処理を終了する。S220で普通図柄作動ゲート22に遊技球が通過していないと判定したり、S222で普通図柄の保留数が上限値に達していると判定したりすると、S224~S228の処理をスキップして始動入賞処理を終了する。始動入賞処理を終了すると、主制御処理に戻って次の普通図柄遊技処理(S50)に進む。
【0061】
[普通図柄遊技処理]
図10は、普通図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。S50の普通図柄遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、普通図柄当りフラグ(普図当りフラグ)が値1であるか否かを判定する(S300)。普図当りフラグは、普通図柄当り遊技中であるか否かを示すフラグである。普図当りフラグが値1であると判定すると、普通図柄当り遊技中であると判断し、普通図柄遊技処理を終了する。普通図柄遊技処理が終了すると、次のS60の普通図柄当り遊技処理に進む。一方、普図当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、普通図柄当り遊技中でないと判断し、普通図柄が変動表示中であるか否か(S302)、普通図柄の確定図柄の表示時間中であるか否か(S304)、をそれぞれ判定する。普通図柄が変動表示中でなく、その確定図柄の表示時間中でもないと判定すると、普通図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S306)。普通図柄の保留数が値0よりも多くない、即ち値0であると判定すると、普通図柄遊技処理を終了する。一方、普通図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている普通図柄判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S308)、普通図柄の変動表示を行うための普通図柄変動表示関連処理を実行して(S310)、普通図柄遊技処理を終了する。以下、S310の普通図柄変動表示関連処理の詳細について図11のフローチャートを用いて説明する。
【0062】
普通図柄変動表示関連処理では、S308で読み出した普通図柄当否判定用乱数に基づいて普通図柄当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(S350)。普通図柄の当否判定は、普通図柄当否判定用乱数と普通図柄当り判定テーブルに含まれる当り値とを比較することにより行い、普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致したときには当りと判定し、一致しなかったときには外れと判定する。なお、本実施例では、上述したように普通図柄の当り確率は、遊技状態に拘わらず一定の確率である。当否判定の結果、当りと判定すると(S352の「YES」)、普通図柄の確定図柄に当り図柄を決定し(S354)、普通図柄の変動表示を開始してから当り図柄で確定表示するまでの普通図柄の変動時間(当り変動パターン)を決定する(S356)。また、当否判定の結果、外れと判定すると(S352の「NO」)、普通図柄の確定図柄に外れ図柄を決定し(S358)、普通図柄の変動表示を開始してから外れ図柄で確定表示するまでの普通図柄の変動時間(外れ変動パターン)を決定する(S356)。普通図柄の変動時間は、いずれの時短状態(a時短状態、b時短状態、c時短状態)であっても、通常状態よりも短い時間が設定される。例えば、普通図柄の平均変動時間は、通常状態では約30秒であり、時短状態では約1秒である。こうして普通図柄の確定図柄と変動時間(変動パターン)とを決定すると、普通図柄の変動表示を開始し(S360)、普通図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に普図保留数表示装置36の表示を更新し(S362)、普通図柄の変動開始コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S364)、普通図柄遊技処理を終了する。
【0063】
図10の普通図柄遊技処理に戻って、普通図柄の変動表示を開始すると、次に普通図柄遊技処理が実行されたときに、主制御装置60のCPU60aは、S302で普通図柄が変動表示中であると判定するため、次に、S356で決定した普通図柄の変動時間が経過(決定した変動パターンによる変動が終了)したか否かを判定する(S312)。普通図柄の変動時間が経過していないと判定すると、普通図柄遊技処理を一旦終了し、普通図柄の変動時間が経過したと判定すると、変動表示中の普通図柄の確定図柄を表示する確定図柄表示処理を行う(S314)。そして、確定図柄表示時間(例えば0.5秒)が経過したか否かを判定する(S316)。確定図柄表示時間が経過していないと判定すると、普通図柄遊技処理を一旦終了する。普通図柄の確定図柄が表示された後に、普通図柄遊技処理が実行されると、S304で確定図柄の表示時間中であると判定するため、再びS316で確定図柄表示時間が経過したか否かを判定し、確定図柄表示時間が経過したと判定すると、確定図柄の表示を終了して(S318)、普通図柄の確定図柄が当り図柄であるか否かを判定する(S320)。
【0064】
普通図柄の確定図柄が当り図柄でなく外れ図柄であると判定すると、普通図柄遊技処理を終了する。一方、普通図柄の確定図柄が当り図柄であると判定すると、普通図柄当りフラグ(普図当りフラグ)に値1を設定して(S322)、普通図柄遊技処理を終了する。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次の普通図柄当り遊技処理(S60)に進む。
【0065】
[普通図柄当り遊技処理]
図12は、普通図柄当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。S60の普通図柄当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、普図当りフラグが値1であるか否かを判定する(S400)。普図当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、普通図柄当り遊技中でないと判断し、普通図柄当り遊技処理を終了する。一方、普図当りフラグが値1であると判定すると、普通図柄当り遊技中であると判断し、第2始動口24が開放中であるか否かを判定する(S402)。第2始動口24が開放中でないと判定すると、開放待ち時間が経過したか否かを判定する(S404)。開放待ち時間が経過していないと判定すると、普通図柄当り遊技処理を終了する。一方、開放待ち時間が経過したと判定すると、第2始動口24の開放パターン(最大開放時間)を決定すると共に(S406)、決定した開放パターンで第2始動口24が開放するよう第2始動口ソレノイド24cを制御して(S408)、普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。第2始動口24の開放パターンは、遊技状態によって異なる。本実施例では、通常状態の場合には、最大0.1秒間、1回開放される開放パターンが設定され、時短状態(a時短状態、b時短状態、c時短状態)の場合には、最大5.8秒間、1回開放される開放パターンが設定される。
【0066】
第2始動口24を開放すると、次に普通図柄当り遊技処理を実行したときに、S402で第2始動口24が開放中であると判定するため、第2始動口スイッチ24aからの検知信号に基づいて第2始動口24に遊技球が規定数(例えば10個)入球したか否か(S410)、第2始動口24の開放を開始してからの経過時間がS406で決定した最大開放時間に達したか否か(S412)、をそれぞれ判定する。第2始動口24に遊技球が規定数入球しておらず、第2始動口24の開放を開始してからの経過時間が決定した最大開放時間に達してもいないと判定すると、第2始動口24の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、第2始動口24に遊技球が規定数入球したと判定したり、第2始動口24の開放を開始してからの経過時間が決定した最大開放時間に達したと判定すると、第2始動口24を閉鎖する(S414)。そして、普通図柄当り遊技を終了させるために、普図当りフラグに値0を設定して(S416)、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次の特別図柄遊技処理(S70)に進む。
【0067】
[特別図柄遊技処理]
図13および図14は、特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。S70の特別図柄遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、大当りフラグが値1であるか否かを判定する(S500)。大当りフラグが値1であると判定すると、大当り遊技中であると判断し、特別図柄遊技処理を終了する。なお、特別図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次の大当り遊技処理(S80)に進む。一方、大当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、大当り遊技中でないと判断し、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが、変動表示中であるか否か(S502)、確定図柄表示中であるか否か(S504)、をそれぞれ判定する。第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中ではなくその確定図柄が表示中でもないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S506)。第2特別図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている第2特別図柄の判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S508)、第2特別図柄の変動表示を行うための第2特別図柄変動表示関連処理を実行して(S510)、特別図柄遊技処理を終了する。
【0068】
一方、第2特別図柄の保留数が値0であると判定すると、第1特別図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S512)。第1特別図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている第1特別図柄の判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S514)、第1特別図柄の変動表示を行うための第1特別図柄変動表示関連処理を実行して(S516)、特別図柄遊技処理を終了する。S512で第1特別図柄の保留数が値0であると判定すると、特別図柄遊技処理を終了する。S506~S516では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0よりも多いときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される(特図2優先変動)。勿論、これに限定されるものではなく、第1特別図柄の変動表示(保留の消化)を優先して行うものとしてもよいし(特図1優先変動)、特別図柄の変動表示を始動口(第1始動口23,第2始動口24)への遊技球の入球順に行うものとしてもよいし(入球順変動)、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とを並行して行うものとしてもよい(同時変動)。以下、S510の第2特別図柄変動表示関連処理およびS516の第1特別図柄変動表示関連処理の詳細について説明する。図15は、第1特別図柄変動表示関連処理の一例を示すフローチャートであり、図16は、第2特別図柄変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。
【0069】
図15の第1特別図柄変動表示関連処理では、まず、確変フラグが値0であるか否かを判定する(S600)。確変フラグは、現在の遊技状態が確変状態であるか否かを示すフラグであり、当該確変状態は、確変大当りを契機に発生する。確変フラグが値0であると判定すると、現在の遊技状態は確変状態でないと判断し、低確率用大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行う(S602)。一方、確変フラグが値0でなく値1であると判定すると、現在の遊技状態は確変状態であると判断し、高確率用大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行う(S604)。大当り判定は、大当り判定用乱数と大当り判定テーブル(低確率用大当り判定テーブル,高確率用大当り判定テーブル)に含まれる当り値とを比較することにより行い、大当り判定用乱数がいずれかの当り値と一致したときには大当りと判定し、いずれの当り値とも一致しなかったときには外れと判定する。低確率用大当り判定テーブルおよび高確率用大当り判定テーブルには、設定1~6のうち設定値が高いほど多くの当り値が含まれ、高確率用大当り判定テーブルには、低確率用大当り判定テーブルよりも多くの当り値が含まれている。このため、大当り確率は、設定値が高いほど高くなり、確変状態の方が通常状態よりも高くなる。
【0070】
次に、大当り判定処理の結果が大当りであるか否かを判定する(S606)。大当り判定処理の結果が大当りであると判定すると、S514で読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する(S608)。この処理は、大当り図柄決定用乱数を用いて大当り遊技の内容(ラウンド数)や大当り遊技終了後の遊技状態(通常状態,確変状態)が異なる複数の大当り図柄(例えば、4R通常大当り図柄や10R通常大当り図柄、10R確変大当り図柄など)の中から一の図柄を選択することにより行う。なお、決定した大当り図柄は、RAM60cに記憶され、大当り遊技終了時まで保存される。
【0071】
一方、S606で、大当り判定処理の結果が大当りでないと判定すると、S514で読み出した時短判定用乱数に基づいて時短判定処理を行う(S610)。時短判定処理は、取得した時短判定用乱数と時短判定テーブルに含まれる当り値とを比較することにより行い、時短判定用乱数がいずれかの当り値と一致したときには時短有り(当り)と判定し、一致しなかったときには時短無し(外れ)と判定する。なお、時短判定用乱数に代えて大当り判定用乱数を用いて時短判定を行ってもよい。大当り判定用乱数を用いて時短判定を行う場合、時短判定の当り値は、大当り判定の当り値以外の値に定められる。時短判定処理を行うと、時短判定処理の結果が時短有りであるか否かを判定する(S612)。時短判定処理の結果が時短有りであると判定すると、S514で読み出した時短図柄決定用乱数に基づいて時短図柄を決定する(S614)。なお、時短図柄の決定は、予め定められた一の時短図柄を決定することにより行うものとしてもよいし、時短回数がそれぞれ異なる複数の時短図柄の中から時短図柄決定用乱数に基づいて一の時短図柄を選択することにより行うものとしてもよい。あるいは、
【0072】
S612で時短判定処理の結果が時短有りでないと判定、即ち大当りでも時短有りでもないと判定すると、S514で読み出した外れ図柄決定用乱数に基づいて外れ図柄を決定する(S616)。
【0073】
こうして第1特別図柄の確定図柄を決定すると、S514で読み出した変動パターン決定用乱数と変動パターンテーブルとに基づいて第1特別図柄の変動表示を開始してから決定した確定図柄で停止表示するまでの第1特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定処理を実行する(S618)。以下、変動パターン決定処理について説明する。
【0074】
図17は、変動パターン決定処理の一例を示すフローチャートである。変動パターン決定処理では、まず、a時短フラグが値0であるか否か(S650)、b時短フラグが値0であるか否か(S652)、c時短フラグが値0であるか否か(S654)、をそれぞれ判定する。a時短フラグは、a時短状態中であるか否かを示すフラグであり、当該a時短状態へは、大当り遊技の実行を契機に大当り遊技終了後に移行する。b時短フラグは、b時短状態中であるか否かを示すフラグであり、当該b時短状態へは、大当りが発生することなく特別図柄の変動回数が予定回数に到達したことを契機に移行する。c時短フラグは、c時短状態中であるか否かを示すフラグであり、当該c時短状態へは、特別図柄が時短図柄で停止表示したことを契機に移行する。a時短フラグ、b時短フラグおよびc時短フラグのいずれもが値0であると判定すると、遊技状態は通常状態であると判断し、変動パターンテーブルとして通常テーブルを選択する(S656)。S650においてa時短フラグが値0でなく値1であると判定すると、遊技状態はa時短状態であると判断し、変動パターンテーブルとして、a時短テーブルを選択する(S658)。S652においてb時短フラグが値0でなく値1であると判定すると、遊技状態はb時短状態であると判断し、変動パターンテーブルとして、b時短テーブルを選択する(S660)。S654においてc時短フラグが値0でなく値1であると判定すると、遊技状態はc時短状態であると判断し、変動パターンテーブルとして、c時短テーブルを選択する(S662)。こうして変動パターンテーブルを選択すると、選択したテーブルとS602,S604,S610の判定結果(大当り、時短有り、外れ)と変動パターン決定用乱数とに基づいて特別図柄の変動パターン(変動時間)を決定して(S664)、変動パターン決定処理を終了する。
【0075】
図18は、変動パターンテーブルの一例を示す説明図である。図18(a)は、通常テーブルを示し、図18(b)は、a時短テーブルを示し、図18(c)は、b時短テーブルを示し、図18(d)は、c時短テーブルを示す。これらの変動パターンテーブルは、いずれもROM60bに記憶されている。変動パターンテーブルの各変動パターンには、変動時間の短い方から順に、リーチ無し外れと、ノーマルリーチと、ノーマルリーチから発展するSP(スペシャル)リーチと、が含まれる。当否判定結果が外れの場合、出現率の高い方から順に、リーチ無し外れ、ノーマルリーチ、SPリーチとなり、当否判定結果が大当りの場合、出現率の高い方から順に、SPリーチ、ノーマルリーチとなる。なお、当否判定結果が大当りの場合、リーチ無し外れは出現しない。したがって、リーチ無し外れで大当りすることはなく、SPリーチは、ノーマルリーチに比して大当りの信頼性が高い。また、通常テーブルでは、時短判定結果が時短有りの場合、SPリーチ(時短変動パターン)となるが、a時短テーブル、b時短テーブルおよびc時短テーブルでは、時短判定結果が時短有りの場合であっても、当該時短有りが無効とされ、当否判定結果が外れである場合と同じ変動パターン(外れ変動パターン)が決定される。即ち、現在の遊技状態が通常状態であれば、時短判定結果が時短有りの場合に、変動パターンとして時短変動パターンが決定される一方、現在の遊技状態が時短状態(a時短状態、b時短状態およびc時短状態のいずれか)であれば、時短判定結果が時短有りの場合であっても、変動パターンとして外れ変動パターンが決定される。
【0076】
また、図18に示すように、a時短テーブル、b時短テーブルおよびc時短テーブルは、いずれも通常テーブルよりも決定される特別図柄の変動パターンの平均変動時間が短い。また、b時短テーブルは、a時短テーブルやc時短テーブルよりも決定される特別図柄の変動パターンの平均変動時間が短い。したがって、a時短状態中やc時短状態中に決定される変動パターンの平均変動時間は、通常状態中に決定される変動パターンの平均変動時間よりも短く、b時短状態中に決定される変動パターンの平均変動時間は、a時短状態中やc時短状態中に決定される変動パターンの平均変動時間よりも短い。上述したように、b時短状態は、特別図柄の変動回数が予定回数(900回)に到達したときに発生し、b時短状態が発生すると、殆どの場合で大当りが発生する。このため、b時短状態中に決定される変動パターンの平均変動時間を短くすることで、大当りが発生するまでの時間を短縮し、遊技者にストレスを感じさせないようにすることができる。なお、a時短テーブルとして、平均変動時間が異なる複数のa時短テーブルを有し、a時短状態中には、複数のa時短テーブルを切り替えながら変動パターンを決定するようにしてもよい。b時短状態やc時短状態についても同様に、複数のb時短テーブルや複数のc時短テーブルを有するものとしてもよい。
【0077】
図15の第1特別図柄変動表示関連処理に戻って、こうして変動パターンを決定すると、第1特別図柄の変動表示を開始し(S620)、第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に第1特図保留数表示装置33の表示を更新する(S622)。なお、第1特別図柄の保留数の更新に伴って今回消化する保留に係る判定用乱数をクリアし、残存する保留に係る判定用乱数をシフトするシフト処理を行う。そして、第1特別図柄変動開始コマンド(第1特図変動開始コマンド)をサブ統合制御装置90に送信して(S624)、第1特別図柄変動表示関連処理を終了する。第1特図変動開始コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出表示装置37で図柄変動演出が開始されるように演出表示制御装置91に制御コマンドを送信する。なお、第1特図変動開始コマンドには、当否判定の結果や第1特別図柄の変動パターン(変動時間)、確定図柄(大当り図柄、時短図柄または外れ図柄)、変動カウンタの値などが含まれる。
【0078】
図16の第2特別図柄変動表示関連処理では、まず、確変フラグが値0であるか否かを判定し(S600b)、確変フラグが値0であると判定すると、低確率用大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行い(S602b)、確変フラグが値0でなく値1であると判定すると、高確率用大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行う(S604b)。
【0079】
次に、大当り判定処理の結果が大当りであるか否かを判定する(S606b)。大当り判定処理の結果が大当りであると判定すると、S510で読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて第2特別図柄の確定図柄として大当り図柄を決定する(S608b)。大当り判定処理の結果が大当りでなく外れであると判定すると、S510で読み出した外れ図柄決定用乱数に基づいて外れ図柄を決定する(S616b)。
【0080】
こうして第2特別図柄の確定図柄を決定すると、S510で読み出した変動パターン決定用乱数と変動パターンテーブルとに基づいて第2特別図柄の変動表示を開始してから決定した確定図柄で停止表示するまでの第2特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定処理を実行する(S618b)。なお、第2特別図柄の変動パターン決定処理は、上述した図17の変動パターン決定処理と同様の処理により行うことができる。
【0081】
変動パターンを決定すると、第2特別図柄の変動表示を開始し(S620b)、第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に第2特図保留数表示装置34の表示を更新する(S622b)。なお、第2特別図柄の保留数の更新に伴って今回消化する保留に係る判定用乱数をクリアし、残存する保留に係る判定用乱数をシフトするシフト処理を行う。そして、第2特別図柄変動開始コマンド(第2特図変動開始コマンド)をサブ統合制御装置90に送信して(S624b)、第2特別図柄変動表示関連処理を終了する。第2特図変動開始コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出表示装置37で図柄変動演出が開始されるように演出表示制御装置91に制御コマンドを送信する。なお、第2特図変動開始コマンドには、当否判定の結果や第2特別図柄の変動パターン(変動時間)、確定図柄(大当り図柄または外れ図柄)、変動カウンタの値などが含まれる。
【0082】
図13および図14の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S502で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御装置60のCPU60aは、変動時間が経過したか否かを判定する(S518)。変動時間はS618またはS618bで決定した特別図柄の変動パターンに応じて設定されるから、変動時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と、決定した変動パターンに対応する変動時間とを比較することにより行うことができる。変動時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動時間が経過していると判定すると、図柄停止コマンドをサブ統合制御装置90に送信すると共に(S520)、変動表示中の特別図柄の確定図柄を表示する(S522)。図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出表示装置37で図柄変動演出を終了するように演出表示制御装置91に制御コマンドを送信する。そして、確定図柄の表示時間が経過したか否かを判定する(S524)。ここで、確定図柄の表示時間は、本実施例では1.0秒に設定される。確定図柄の表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S504で確定図柄が表示中と判定するため、再びS524で確定図柄の表示時間が経過したか否かを判定し、確定図柄の表示時間が経過していると判定すると、確定図柄の表示を終了し(S526)、確定図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S528)。
【0083】
S528で大当り図柄と判定すると、大当りを発生させるために、条件装置の作動を開始すると共に(S530)、役物連続作動装置の作動を開始し(S532)、大当りフラグに値1を設定する(S534)。大当り遊技中には確変機能や時短機能を停止させるために、確変フラグとa時短フラグとb時短フラグとc時短フラグとを値0にクリアする(S536~S542)。そして、変動カウンタをクリアし(S544)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S546)、特別図柄遊技処理を終了する。なお、遊技状態指定コマンドには、大当りフラグの値や確変フラグの値、a時短フラグの値、b時短フラグの値、c時短フラグの値、変動カウンタの値が含まれる。特別図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS80の大当り遊技処理に進む。
【0084】
一方、S528で大当り図柄でないと判定すると、確変フラグ終了処理(S548)とa時短フラグ終了処理(S550)とb時短フラグ設定処理(S552)とc時短フラグ設定処理(S554)とを実行する。そして、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S546)、特別図柄遊技処理を終了する。以下、確変フラグ終了処理とa時短フラグ終了処理とb時短フラグ設定処理とc時短フラグ設定処理とを順に説明する。
【0085】
図19は、確変フラグ終了処理の一例を示すフローチャートである。確変フラグ終了処理では、確変フラグが値1(確変状態中)であるか否かを判定する(S700)。確変フラグが値1でなく値0であると判定すると、確変フラグ終了処理を終了する。一方、確変フラグが値1であると判定すると、確変カウンタを値1だけデクリメントして(S702)、確変カウンタが値0であるか否かを判定する(S704)。確変カウンタは、確変状態が終了するまでの特別図柄の残り変動回数を示すものであり、確変カウンタには、大当り遊技の終了に際して予め定められた値が設定される。本実施例では、大当り図柄が確変大当り図柄である場合(確変大当り)を契機に、値10000が設定される。したがって、確変大当りを引くと、実質的に次に大当りを引くまで確変状態が維持される。確変カウンタが値0でないと判定すると、確変状態を維持したまま確変フラグ終了処理を終了する。一方、確変カウンタが値0であると判定すると、確変状態を終了させるために、確変フラグを値0として(S706)、確変フラグ終了処理を終了する。
【0086】
図20は、a時短フラグ終了処理の一例を示すフローチャートである。a時短フラグ終了処理では、a時短フラグが値1(a時短状態中)であるか否かを判定する(S710)。a時短フラグが値1でなく値0であると判定すると、a時短フラグ終了処理を終了する。一方、a時短フラグが値1であると判定すると、a時短カウンタを値1だけデクリメントして(S712)、a時短カウンタが値0であるか否かを判定する(S714)。a時短カウンタは、a時短状態が終了するまでの特別図柄の残り変動回数を示すものであり、a時短カウンタには、大当り遊技の終了に際して予め定められた初期値が設定される。本実施例では、大当り図柄が通常大当り図柄である場合には値100が設定され、確変大当り図柄である場合には値10000が設定される。したがって、確変大当りを引くと、実質的に次の大当りを引くまでa時短状態が維持される。a時短カウンタが値0であると判定すると、a時短状態を終了させるために、a時短フラグを値0として(S716)、a時短フラグ終了処理を終了する。
【0087】
図21は、b時短フラグ設定処理の一例を示すフローチャートである。b時短フラグ設定処理では、確変フラグが値0であるか否かを判定する(S730)。確変フラグが値0でなく値1であると判定すると、b時短フラグ設定処理を終了する。このため、確変状態中にb時短状態が発生することはない。一方、確変フラグが値0であると判定すると、b時短フラグが値1(b時短状態中)であるか否かを判定する(S732)。b時短フラグが値1でなく値0であると判定すると、変動カウンタを値1だけデクリメントし(S734)、変動カウンタが値0であるか否かを判定する(S736)。変動カウンタは、予定回数到達までの特別図柄の残り変動回数を示すものであり、変動カウンタには、大当り遊技の終了に際して予め定められた初期値(値900)が設定される。変動カウンタが値0でないと判定すると、b時短フラグ設定処理を終了する。一方、変動カウンタが値0であるためにb時短状態の移行契機が成立したと判定すると、b時短状態に移行するために、b時短フラグを値1とすると共に(S738)、b時短カウンタを設定して(S740)、b時短フラグ設定処理を終了する。b時短カウンタは、b時短状態が終了するまでの特別図柄の残り変動回数を示すものであり、予め定められた初期値(値1000)が設定される。大当り確率は1/320~1/270であるから、b時短状態が発生すると、殆どの場合で大当りを引くことができる。
【0088】
また、b時短状態中にb時短フラグ設定処理が実行されると、S732において、b時短フラグが値1であると判定するため、b時短カウンタを値1だけデクリメントして(S742)、b時短カウンタが値0であるか否かを判定する(S744)。b時短カウンタが値0でないと判定すると、b時短状態を維持したままb時短フラグ設定処理を終了する。b時短カウンタが値0であると判定すると、b時短状態を終了させるために、b時短フラグを値0として(S746)、b時短終了コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S748)、b時短フラグ設定処理を終了する。即ち大当りを引くことができないままb時短カウンタが値0になると、b時短状態が終了し通常状態へ移行する。本実施例では、通常状態への移行の際に変動カウンタは初期化されないため、b時短状態で大当りを引くことができないまま通常状態へ移行する(所謂天井スルー状態になる)と、そこから更に特別図柄の変動回数が予定回数に達しても、天井到達とは見なされず、b時短状態を発生させない。勿論、b時短状態から通常状態へ移行した後、天井カウンタを初期化し、更に特別図柄の変動回数が予定回数に達すると、天井到達としてb時短状態を発生させてもよい。
【0089】
本実施例では、b時短フラグ設定処理は特別図柄の変動表示が終了したときに実行されることから、変動カウンタは、特別図柄の変動表示が終了する度にカウントされるように構成される。しかし、変動カウンタは、特別図柄の変動表示が開始される度にカウントされるように構成されてもよい。また、変動カウンタは、初期値から値1ずつデクリメントするダウンカウンタとして構成されたが、初期値から値1ずつインクリメントするアップカウンタとして構成されてもよい。
【0090】
また、本実施例では、変動カウンタは、a時短状態中(a時短フラグが値1)であっても確変状態中(確変フラグが値1)でなければカウントされるが、a時短状態中はカウントされないものとしてもよい。なお、本実施例では、通常大当り遊技の終了後に移行するa時短状態の時短回数(継続回数)は100回であり、大当り遊技終了時に定められる変動カウンタの初期値(予定回数)は900回であるから、a時短状態中にb時短状態の移行契機が成立することはない。また、b時短状態中に変動カウンタはカウントされないものとしたが、b時短状態への移行の際に変動カウンタを初期化して、b時短状態中に変動カウンタがカウントされるものとしてもよい。また、b時短状態中に大当りを引くことができないままb時短カウンタが値0になって通常状態に戻ったときに変動カウンタを初期化してもよい。また、確変状態の確変回数が比較的少ない回数(例えば50回や100回)のパチンコ機(いわゆるST機)においては、確変状態中も変動カウンタがカウントされてもよい。
【0091】
図22は、c時短フラグ設定処理の一例を示すフローチャートである。c時短フラグ設定処理では、特別図柄の確定図柄が時短図柄であるか否かを判定する(S760)。確定図柄が時短図柄であると判定すると、確変フラグが値0であるか否か(S762)、a時短フラグが値0であるか否か(S764)、b時短フラグが値0であるか否か(S766)、c時短フラグが値0であるか否か(S768)、をそれぞれ判定する。即ち現在の遊技状態が確変状態でも時短状態でもなく通常状態であるか否かを判定する。確変フラグ、a時短フラグ、b時短フラグおよびc時短フラグのいずれかが値1であると判定すると、現在の遊技状態が確変状態であるか時短状態であると判断し、c時短フラグ設定処理を終了する。このため、特別図柄の確定図柄が時短図柄であっても、現在の遊技状態が確変状態であるか時短状態であれば、時短当りは無効とされる。一方、確変フラグ、a時短フラグ、b時短フラグおよびc時短フラグのいずれもが値0であると判定すると、c時短状態に移行するために、c時短フラグに値1を設定すると共に(S770)、c時短カウンタを設定して(S772)、c時短フラグ設定処理を終了する。c時短カウンタは、c時短状態が終了するまでの特別図柄の残り変動回数を示すものであり、c時短カウンタには、予め定められた初期値(値50)が設定される。S760において、特別図柄の確定図柄が時短図柄でなく外れ図柄であると判定すると、c時短フラグが値1であるか否かを判定する(S774)。c時短フラグが値1でなく値0であると判定すると、c時短フラグ設定処理を終了する。一方、c時短フラグが値1であると判定すると、c時短カウンタを値1だけデクリメントして(S776)、c時短カウンタが値0であるか否かを判定する(S778)。c時短カウンタが値0でないと判定すると、c時短状態を維持したままc時短フラグ設定処理を終了する。一方、c時短カウンタが値0であると判定すると、c時短状態を終了させるために、c時短フラグを値0として(S780)、c時短フラグ設定処理を終了する。
【0092】
[大当り遊技処理]
図23および図24は、大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。S80の大当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、大当りフラグが値1(大当り遊技中)であるか否かを判定する(S800)。大当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、大当り遊技処理を終了する。一方、大当りフラグが値1であると判定すると、大入賞口25が開放中であるか否か(S802)、大当り遊技開始演出中であるか否か(S804)、大当り遊技終了演出中であるか否か(S806)、開放間インターバル中であるか否か(S808)、をそれぞれ判定する。S802~S808のいずれも否定的な判定がなされると、大当り遊技開始演出コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S810)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技開始演出コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、大当り遊技開始演出を開始する。大当り遊技開始演出が開始されると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S804で大当り遊技開始演出中であると判定されるため、大当り遊技開始演出時間が経過したか否を判定する(S812)。大当り遊技開始演出時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技開始演出時間が経過したと判定すると、大入賞口ソレノイド25cの駆動により大入賞口25を開放して(S814)、大当り遊技処理を終了する。主制御装置60は、大入賞口25の開放に伴い、ラウンド遊技演出コマンドをサブ統合制御装置90に送信する。
【0093】
大入賞口25を開放すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S802で大入賞口25が開放中であると判定するため、大入賞口スイッチ25aからの検知信号に基づいて大入賞口25への遊技球の入球数が規定数(実施例では10個)に達したか否か(S816)、大入賞口25を開放してからの経過時間(開放時間)が最大開放時間(実施例では28秒)に達したか否か(S818)、をそれぞれ判定する。大入賞口25への遊技球の入球数が規定数に達しておらず、大入賞口25の開放時間が最大開放時間にも達していないと判定すると、大入賞口25の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口25への遊技球の入球数が規定数に達したと判定したり、当該入球数が規定数に達していなくても大入賞口25の開放時間が最大開放時間に達したと判定したりすると、大入賞口25を閉鎖し(S820)、今回のラウンド遊技が最終ラウンドであるか否かを判定する(S822)。大当り遊技のラウンド数は、大当り図柄(「4R通常大当り図柄」や「10R通常大当り図柄」、「10R確変大当り図柄」)によって設定されるため、今回のラウンド遊技が最終ラウンドであるか否かの判定は、ラウンド遊技の繰り返し回数が大当り図柄に応じて定まる回数に達しているか否かを判定することにより行われる。今回のラウンド遊技が最終ラウンドでないと判定すると、開放間インターバルを発生させて(S824)、大当り遊技処理を終了する。主制御装置60は、開放間インターバルの発生に伴い、開放間インターバル発生コマンドをサブ統合制御装置90へ送信する。開放間インターバルが発生すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S808で開放間インターバル中であると判定するため、開放間インターバル時間(例えば、2秒)が経過したか否かを判定する(S826)。開放間インターバル時間が経過していないと判定すると、大入賞口25を閉鎖したまま大当り遊技処理を一旦終了し、開放間インターバル時間が経過したと判定すると、再度、大入賞口25を開放して(S814)、大当り遊技処理を終了する。
【0094】
こうして開放間インターバルを挟んで大入賞口25を開閉するラウンド遊技を繰り返した後、S822で今回のラウンド遊技が最終ラウンドであると判定すると、大当り遊技終了演出コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S828)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技終了演出コマンドを受信したサブ統合制御装置90は大当り遊技終了演出を開始する。大当り遊技終了演出が開始されると、次に大当り遊技処理が開始されたときに、S806で大当り遊技終了演出中であると判定するため、大当り遊技終了演出時間が経過したか否かを判定する(S830)。大当り遊技終了演出時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技終了演出時間が経過したと判定すると、役物連続作動装置の作動を停止すると共に(S832)、条件装置の作動を停止する(S834)。続いて、今回の大当り図柄が確変大当り図柄であるか否かを判定する(S836)。大当り図柄が確変大当り図柄であると判定すると、確変状態(a時短状態を含む)に移行する(発生させる)ために、確変フラグに値1を設定すると共に(S838)、確変カウンタに値10000を設定し(S840)、a時短フラグに値1を設定すると共に(S842)、a時短カウンタに値10000を設定する(S844)。一方、大当り図柄が確変大当り図柄でなく通常大当り図柄であると判定すると、a時短状態に移行する(発生させる)ために、a時短フラグに値1を設定すると共に(S846)、a時短カウンタに値100を設定し(S848)、変動カウンタに値900(初期値)を設定する(S850)。そして、大当り遊技を終了させるために大当りフラグに値0を設定し(S852)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S854)、大当り遊技処理を終了する。なお、遊技状態指定コマンドには、確変フラグの値やa時短フラグの値、a時短カウンタの値、変動カウンタの値、大当りフラグの値などが含まれる。
【0095】
次に、主制御装置60から各種コマンドを受信したサブ統合制御装置90で実行される各種処理について説明する。サブ統合制御装置90が主制御装置60から受信するコマンドとしては、上述したように、初期コマンドや復帰コマンド、保留数指示コマンド(第1特図保留数指示コマンド,第2特図保留数指示コマンド,普図保留数指示コマンド)、普図変動開始コマンド、特図変動開始コマンド(第1特図変動開始コマンド,第2特図変動開始コマンド)、図柄停止コマンド、遊技状態指定コマンド、大当り遊技開始演出コマンド、大当り遊技終了演出コマンドなどがある。サブ統合制御装置90は、パチンコ機1の電源投入時に初期設定処理を行った後、特別図柄の保留数に応じて第1保留図柄372aや第2保留図柄372bを表示する保留表示演出処理、特別図柄の変動表示に伴って演出図柄を変動表示する図柄変動演出処理、大当り遊技の実行に伴う大当り遊技演出処理などを実行する。以下、図柄変動演出処理と、大当り遊技演出処理の詳細を説明する。図25図26は、図柄変動演出処理の一例を示すフローチャートであり、図27は、大当り遊技演出処理の一例を示すフローチャートである。
【0096】
[図柄変動演出処理]
図25図26の図柄変動演出処理では、サブ統合制御装置90のCPU90aは、まず、図15の第1特別図柄変動表示関連処理のS624または図16の第2特別図柄変動表示関連処理のS624bで主制御装置60により送信される特図変動開始コマンド(第1特図変動開始コマンド,第2特図変動開始コマンド)を受信したか否かを判定し(S900)、受信していないと判定すると、S912に進む。一方、特図変動開始コマンドを受信したと判定すると、特図変動開始コマンドに含まれる特別図柄の確定図柄が大当り図柄であるか否かを判定し(S902)、大当り図柄であると判定すると、演出図柄の停止図柄に大当り図柄を決定し(S904)、大当り図柄でなく時短図柄または外れ図柄であると判定すると、演出図柄の停止図柄に外れ図柄を決定する(S906)。このように、本実施例では、特別図柄の確定図柄が時短図柄であっても演出図柄の停止図柄に外れ図柄を決定するから、特別図柄が時短図柄で停止表示してc時短状態に移行する場合でも、演出図柄は外れ図柄で停止表示することになる。次に、特図変動開始コマンドに含まれる特別図柄の変動パターンに基づいて演出図柄の変動パターン(変動演出パターン)を決定し(S908)、演出図柄371L,371C,371Rを変動表示させる図柄変動演出を開始する(S910)。
【0097】
ここで、S908の変動演出パターンの決定は、特別図柄変動表示関連処理のS618またはS618b(変動パターン決定処理)で決定された特別図柄の変動パターン(変動時間)と対応する演出図柄の変動パターンを複数のパターンの中から選択することにより行われる。例えば、特別図柄の変動パターンにリーチ無し外れが決定された場合、演出図柄371L,371C,371Rを変動表示させた後、2つの演出図柄371L,371Rを異なる図柄で停止表示させてリーチを発生させることなく残り1つの演出図柄371Cを停止表示させるリーチ無し外れ演出が選択される。なお、当否判定結果が大当りの場合、特別図柄の変動パターンとしてリーチ無し外れが決定されることはないから、リーチ無し外れ演出は選択されない。特別図柄の変動パターンにノーマルリーチが決定された場合、演出図柄371L,371C,371Rを変動表示させた後、2つの演出図柄371L,371Rを同一の図柄で停止表示させてリーチを発生させ、リーチ状態で残り1つの演出図柄371Cを所定時間、変動表示させてから停止表示させるノーマルリーチ演出が選択される。更に、特別図柄の変動パターンにSPリーチが決定された場合、ノーマルリーチ演出から発展し、特定演出を経て残り1つの演出図柄371Cを停止表示させるSPリーチ演出が選択される。なお、特定演出は、例えばキャラクタ図柄373同士を対決させるバトル演出やキャラクタ図柄373を用いたストーリを展開するストーリ演出などが実行される。SPリーチは、ノーマルリーチに比して、特別図柄の変動時間が長く大当り信頼度が高いため、ノーマルリーチから発展して特定演出が実行されることで、遊技者の大当りへの期待感を高めることができる。なお、複数のパターンは、後述する演出モード毎に定められており、S908では現在の演出モードで定められた複数の変動演出パターンの中から、いずれかを選択して決定する。即ち、変動演出パターンは、現在設定されている演出モードにも基づいて決定される。
【0098】
次に、図13の特別図柄遊技処理のS520で主制御装置60により送信される図柄停止コマンドを受信したか否かを判定し(S912)、図柄停止コマンドを受信していないと判定すると、図柄変動演出を終了する。一方、図柄停止コマンドを受信したと判定すると、S900で受信した特図変動開始コマンドに含まれる特別図柄の確定図柄が大当りであるか否かを判定し(S914)、大当り図柄であると判定すると、S904で決定した大当り図柄で演出図柄を停止表示させることで図柄変動演出を終了する(S916)。
【0099】
一方、S914で時短図柄または外れ図柄であると判定すると、S906で決定した外れ図柄で演出図柄を停止表示させることで図柄変動演出を終了する(S918)。次に、S900で受信した特図変動開始コマンドに含まれる変動カウンタの値が値1であるか否か(S920)、特図変動開始コマンドに含まれる特別図柄の確定図柄が時短図柄で且つ変動パターンが時短変動パターン(SPリーチ)であるか否か(S922)、をそれぞれ判定する。S920の処理は、今回の特別図柄の変動表示が終了するとb時短状態に移行するか否かを判定するものであり、S922の処理は、今回の特別図柄の変動表示が終了するとc時短状態に移行するか否かを判定するものである。S920で変動カウンタが値1でなく、S922で時短図柄で且つ時短変動パターンではないと判定すると、図柄変動演出を終了する。
【0100】
また、S922で時短図柄で且つ時短変動パターンである、即ちc時短状態に移行すると判定すると、c時短状態の開始を遊技者に示唆するc時短開始演出を実行する(S924)。続いて、特図変動開始コマンドに含まれる変動カウンタの値が所定の閾値K0未満であるか否か(S926)、現在の遊技状態が天井スルー状態であるか否か(S928)、をそれぞれ判定する。上述したように、本実施例の変動カウンタは、初期値(値900)から値1ずつデクリメントするダウンカウンタとして構成されており、所定の閾値K0として例えば値150が定められているものとする。このため、S926で変動カウンタの値が所定の閾値K0未満であれば、変動回数が所定の閾値K0よりも規定値側であると判定することができる。即ち、b時短状態に移行するまでの残り変動回数が150回以下と少なく、b時短状態への移行が近いことになる。なお、所定の閾値K0は、150回に限られず、例えば初期値(値900)の半分程度の値から到達値(本実施例では値0)までの間の値などに設定されていればよい。また、S928では、例えば図21のb時短フラグ設定処理のS748で送信されるb時短終了コマンドを受信した後に、大当り遊技が実行されていないために変動カウンタに初期値が設定されていない場合に、天井スルー状態であると判定する。このため、S928の処理は、S926で変動カウンタの値だけ見ればb時短状態への移行が近いものの、b時短状態に移行することのない遊技状態(天井スルー状態)であるか否かを確認する処理となる。なお、遊技状態指定コマンドに含まれる変動カウンタの値から、天井スルー状態であるか否かを判定してもよい。
【0101】
S926で変動カウンタの値が所定の閾値K0以上であるためにb時短状態への移行が近くないと判定するか、変動カウンタの値が所定の閾値K0未満であってもS928で天井スルー状態であるためにb時短状態に移行しないと判定すると、c時短状態中の演出モードとして時短用第1演出モードを設定して(S930)、図柄変動演出を終了する。時短用第1演出モードは、a時短状態中とc時短状態中の共通の演出モードである。一方、S926,S928で変動カウンタの値が所定の閾値K0未満で天井スルー状態でもない、即ちb時短状態への移行が近いと判定すると、c時短状態中の演出モードとして時短用第2演出モードを設定して(S932)、図柄変動演出を終了する。時短用第2演出モードは、b時短状態への移行が近いことを示唆して遊技者にb時短状態への移行を期待させる演出モード(b時短移行期待モード)である。
【0102】
また、S920で変動カウンタの値が値1即ちb時短状態が発生すると判定すると、b時短状態の開始を遊技者に示唆するb時短開始演出を実行する(S934)。そして、b時短状態中の演出モードとして時短用第3演出モードを設定して(S936)、図柄変動演出を終了する。なお、S930,S932,S936で設定された演出モードは、各時短状態の終了まで維持される。
【0103】
図28は、時短用演出モードの一例を示す説明図である。図28(a)に時短用第1演出モードを示し、図28(b)に時短用第2演出モードを示し、図28(c)に時短用第3演出モードを示す。上述したように、時短用第1演出モードは、a時短状態中とc時短状態中の共通の演出モードである。a時短状態は、大当り遊技終了後に設定されるため、例えばSPリーチ中の特定演出や大当り遊技演出で登場するキャラクタ図柄373aを登場させて、特定演出などと同様にバトル演出などを行うことで特定演出や大当り遊技演出との繋がりをもたせて、大当り発生(引き戻し)への期待感を高めるものとしている。また、時短用第1演出モードでは、有利な遊技状態(時短状態)を示す「チャンスタイム!」や「勝利できたら大当り!」などのメッセージ、右打ち報知メッセージなどが表示されている。本実施例ではc時短状態中も時短用第1演出モードとすることで、大当り発生への期待感を高めて遊技興趣を向上させている。なお、S924のc時短開始演出では、時短用第1演出モードと同じキャラクタ図柄373aを登場させてもよいし、チャンスタイムの開始やc時短状態の開始などのメッセージを表示してもよい。
【0104】
一方、図28(c)の時短用第3演出モードは、b時短状態専用の演出モードであり、チャンスタイムのキャラクタ図柄373aとは別のキャラクタ図柄373bを登場させて演出を行うことで、遊技者に新たな気持ちで大当り発生への期待感を高めるものとしている。また、時短用第3演出モードでは、有利な遊技状態(時短状態)を示す「遊タイム!」などのメッセージや右打ち報知メッセージなどが表示されている。
【0105】
また、図28(b)の時短用第2演出モードは、c時短状態で設定され、b時短状態への移行が近いことを示唆する演出モードであり、時短用第3演出モードのキャラクタ図柄373bが表示されると共に、「もうすぐb時短だ!」などのb時短状態を意識させるメッセージや右打ち報知メッセージなどが表示されている。なお、時短用第2演出モードでは、b時短状態への移行が近いことやb時短状態を意識させる演出が行われればよく、例えば変動回数が規定値に到達するまでの残り変動回数などを報知してもよい。本実施例の場合、変動カウンタの値を残り変動回数として表示すればよい。なお、時短用の各演出モードは、演出表示装置37の背景画面や演出図柄371L,371C,371R、キャラクタ図柄373、メッセージ(文字列)などのうち少なくともいずれかが異なっていればよい。また、演出表示装置37の画面表示以外に、スピーカ14から出力されるBGMやキャラクタのセリフなどが異なっていてもよいし、LED15の発光態様などが異なっていてもよい。また、これらの組み合わせの態様が異なっていてもよい。
【0106】
また、図29は、時短図柄に当選した場合の一例を示すタイムチャートである。図29(a)は、時短図柄の当選時(時短図柄の確定表示時)に変動カウンタが所定の閾値K0以上の場合を示し、図29(b)は、時短図柄の当選時に変動カウンタが所定の閾値K0未満の場合を示す。図示するように、時刻t11,t21で図柄変動演出が終了して演出図柄が停止表示すると、c時短開始演出が実行される。また、時短図柄の当選時に変動カウンタが所定の閾値K0以上でb時短状態への移行がまだ先の場合には、図29(a)に示すように、c時短状態の開始と共に時短用第1演出モードが開始される(時刻t12)。このため、b時短状態を遊技者に意識させることなく即ちb時短状態への移行を期待させることなく、チャンスタイム(c時短状態)の演出を見せながら遊技者に遊技を行わせることができる。一方、時短図柄の当選時に変動カウンタが所定の閾値K0未満の場合には、図29(b)に示すように、c時短状態の開始と共に時短用第2演出モードが開始される(時刻t22)。即ち、c時短状態中は時短用第2演出モードであり、b時短状態への移行が近いことを遊技者に示唆するから、遊技者はc時短状態中に大当りが発生しなくても近いうちにb時短状態へ移行して大当りを獲得できるチャンスとなることを把握することができる。このため、大当り発生への期待度が高まるから、遊技興趣を向上させることができる。
【0107】
[大当り遊技演出処理]
図27の大当り遊技演出処理では、サブ統合制御装置90のCPU90aは、まず、大当り遊技処理のS810で主制御装置60により送信される大当り遊技開始演出コマンドを受信したか否かを判定し(S1000)、大当り遊技開始演出コマンドを受信していないと判定するとS1004に進む。大当り遊技開始演出コマンドを受信したと判定すると、右打ちの報知を伴う大当り遊技開始演出(大当りオープニング演出)を実行する(S1002)。これにより、遊技者に大当り遊技の開始を報知する。
【0108】
次に、大当り遊技処理のS828で主制御装置60により送信される大当り遊技終了演出コマンドを受信したか否かを判定し(S1004)、大当り遊技終了演出コマンドを受信していないと判定するとS1008に進む。大当り遊技終了演出コマンドを受信したと判定すると、大当り遊技終了演出(大当りエンディング演出)を実行する(1006)。これにより、遊技者に大当り遊技の終了を報知する。
【0109】
続いて、大当り遊技処理のS854で主制御装置60により送信される遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判定し(S1008)、遊技状態指定コマンドを受信していないと判定すると、大当り遊技演出処理を終了する。遊技状態指定コマンドを受信したと判定すると、大当り遊技終了後の遊技状態が確変状態であるか否か即ち今回実行された大当りが確変大当りであるか否かを判定する(S1010)。大当り遊技終了後の遊技状態が確変状態であると判定すると、確変状態の開始を遊技者に示唆する確変開始演出を実行する(S1012)。また、確変開始演出を実行すると、確変状態中の演出モードとして、確変演出モードを設定して(S1014)、大当り遊技演出を終了する。確変演出モードの図示は省略するが、例えばSPリーチ中の特定演出や大当り遊技演出で登場するキャラクタ図柄373aを登場させて演出を行う。また、他の演出モードよりも大当り発生の可能性が高いことを示すメッセージなどが表示されている。また、確変開始演出は、その確変演出モードの開始を示す演出であればよく、例えば確変演出モードで登場するキャラクタ図柄373aを表示したり、確変状態の開始を示すメッセージを表示したりすることにより行われる。
【0110】
一方、S1010で確変状態でないと判定すると、低確率のa時短状態が開始されるから、a時短状態の開始を遊技者に示唆するa時短開始演出を実行する(S1016)。また、a時短開始演出を実行すると、時短用第1演出モードを設定して(S1018)、大当り遊技演出を終了する。上述したように、時短用第1演出モードは、a時短状態中とc時短状態中の共通の演出モードである(図28(a)参照)。また、a時短開始演出は、図示は省略するが、例えば時短用第1演出モードで登場するキャラクタ図柄373aを表示したり、a時短状態の開始を示すメッセージを表示したりすることにより行われる。
【0111】
なお、上述したように、確変状態は、特別図柄の変動表示が10000回実行されるまで即ち実質的には次に大当りが発生するまで継続する。このため、通常は確変演出モードも次に大当りが発生するまで継続するが、確変状態が終了すればそれに合わせて確変演出モードも終了して、通常状態であることを示す通常演出モードが設定される。また、低確率のa時短状態は、特別図柄の変動表示が100回実行されると終了するから、a時短状態中の時短用第1演出モードもa時短状態の終了に合わせて終了して、通常演出モードが設定される。b時短状態は、特別図柄の変動表示が1000回実行されると終了するから、b時短状態中の時短用第3演出モードもb時短状態の終了に合わせて終了して、通常演出モードが設定される。c時短状態は、特別図柄の変動表示が50回実行されると終了するから、c時短状態中の時短用第1演出モードや時短用第2演出モードもc時短状態の終了に合わせて終了して、通常演出モードが設定される。
【0112】
以上説明した実施例のパチンコ機1では、時短図柄(特定図柄)の確定表示により移行したc時短状態中の演出モードを、変動カウンタの値が所定の閾値K0(例えば150回)以上の場合にはc時短状態に対応付けられた時短用第1演出モードに設定し、変動カウンタの値が所定の閾値K0未満の場合にはb時短状態への移行が近いことを示唆する時短用第2演出モードに設定する。これにより、c時短状態中の演出モードによってb時短状態への移行が近いか否かを遊技者に容易に把握させることができる。このため、遊技者は、c時短状態中にb時短状態に対する関心や期待感を高めることができるから、遊技興趣を向上させることができる。
【0113】
また、実施例では、時短図柄が確定表示してc時短状態に移行する際の変動カウンタの値に基づいて時短用第1演出モードか時短用第2演出モードのいずれかを設定し、設定した演出モードをc時短状態の終了まで維持する。このため、c時短状態中の演出モードの設定を簡易な処理で行って、b時短状態への移行が近いか否かを遊技者に容易に把握させることができる。
【0114】
実施例では、図柄変動演出処理で演出図柄が停止表示した際にc時短開始演出を実行したが、これに限られない。図30図31は、変形例の図柄変動演出処理を示すフローチャートである。変形例の図柄変動演出処理では、S910で図柄変動演出を開始すると、特図変動開始コマンドに含まれる変動カウンタが値1であるか否か(S940)、特別図柄の確定図柄が時短図柄で且つ変動パターンが時短変動パターンであるか否か(S942)、をそれぞれ判定する。変動カウンタが値1であるためにb時短状態が発生すると判定したり、時短図柄で且つ時短変動パターンでないためにc時短状態が発生しないと判定すると、S912に進む。
【0115】
一方、S940で変動カウンタが値1でなく、S942で時短図柄で且つ時短変動パターンであるためにc時短状態が発生すると判定すると、さらに、c時短状態中に第2時短用演出モードが設定されるか否か(S944)、c時短開始演出の実行タイミングであるか否か(S946)、をそれぞれ判定する。S944では、上述した実施例のS926,S928と同様に、変動カウンタの値が所定の閾値K0未満で且つ天井スルー状態でない場合に第2時短用演出モードが設定されると判定する。なお、S944に代えて、S926,S928の判定をそれぞれ行ってもよい。また、c時短開始演出の実行タイミングは、図柄変動演出を開始してからの経過時間に基づいて予め定められたタイミングであり、図柄変動演出の途中の所定タイミングでもよいし、図柄変動演出の開始時のタイミングでもよい。S944で第2時短用演出モードが設定されないと判定するか、S946でc時短開始演出の実行タイミングでないと判定すると、S912に進む。一方、S944,S946で第2時短用演出モードが設定されると判定し且つc時短開始演出の実行タイミングであると判定すると、c時短開始演出を実行して(S948)、S912に進む。
【0116】
図32は、変形例で時短図柄に当選した場合を示すタイムチャートである。変形例のS948でc時短開始演出の実行タイミングと判定すると、図32(b)に示すように、c時短開始演出が実行される(例えば時刻t31)。このc時短開始演出は、例えば変動演出が終了する(演出図柄が停止表示する)時刻t32まで実行される。変形例では、c時短開始演出の実行タイミングを、変動演出中や変動演出開始時に定めるから、変動演出終了時にc時短開始演出を実行するよりも十分な演出時間を確保することができる。このため、S948では、b時短状態への移行が近いことを示唆する内容を含んでc時短開始演出を実行するものとした。
【0117】
また、変形例では、実施例と同様に、S920で変動カウンタが値1でなく、S922で時短図柄で且つ時短変動パターンであると判定すると、変動演出中にc時短開始演出を実行済み(開始済み)であるか否かを判定する(S923)。S948でc時短開始演出を実行した場合には、S923でc時短開始演出を実行済みであると判定して、時短用第2演出モードを設定する(S932)。一方、S948でc時短開始演出を実行してない場合には、S923でc時短開始演出を実行済みでないと判定するから、実施例と同様に、c時短開始演出を実行して(S924b,図32(a)の時刻t11)、S930で時短用第1演出モードを設定する。S924bのc時短開始演出では、b時短状態への移行を示唆することなく、単にc時短状態の開始を報知する演出を実行する。即ち、変形例では、比較的演出時間を確保し易い変動演出中にc時短開始演出を実行する場合には、b時短状態への移行を示唆する(期待させる)ように開始演出を実行し、演出時間が短い変動演出終了時にc時短開始演出を実行する場合には、b時短状態への移行を意識させずに単にc時短状態の開始を報知する演出を実行する。
【0118】
この変形例では、c時短状態中に時短用第1演出モードが設定される場合には変動演出終了後にc時短開始演出を実行し、c時短状態中に時短用第2演出モード(b時短移行期待モード)が設定される場合には変動演出中にc時短開始演出を実行したが、これに限られない。即ち、c時短状態中の演出モードに拘わらず、変動演出開始時や変動演出中にc時短開始演出を実行してもよい。そのようにする場合でも、c時短状態中の演出モードとして時短用第2演出モード(b時短移行期待モード)が設定される場合には、時短用第1演出モードが設定される場合よりも、c時短開始演出の演出時間を長くしてb時短状態への移行を示唆するような演出を行ってもよい。
【0119】
また、実施例でも、変形例のように異なるc時短開始演出を実行してもよい。そのようにする場合、図26のS924のc時短開始演出を、S926,S928の後で行うようにすればよい。例えば、S926で変動カウンタが所定の閾値K0以上であると判定したり、S928で天井スルー状態であると判定すると、時短用第1演出モードに対応するc時短開始演出即ちb時短状態への移行を意識させずに単にc時短状態の開始を報知するc時短開始演出を実行し、S926,S928で変動カウンタが所定の閾値K0未満で且つ天井スルー状態でないと判定すると、時短用第2演出モードに対応するc時短開始演出即ちb時短状態への移行を示唆するc時短開始演出を実行すればよい。
【0120】
実施例では、特別図柄が時短図柄で確定表示する際の演出図柄の停止図柄として外れ図柄(リーチ外れ図柄)を決定したが、これに限られず、演出図柄の停止図柄として大当り図柄や外れ図柄とは異なる時短図柄を決定してもよい。例えば、時短図柄として「7★7」などの特定図柄を決定してもよい。即ち、リーチ演出(SPリーチ)を実行した後、大当り図柄を停止表示させずに時短図柄を停止表示させてもよい。
【0121】
実施例では、c時短状態中の演出モードとして、変動カウンタの値が所定の閾値K0以上の場合や天井スルー状態の場合に、図26のS930でa時短状態と共通の時短用第1演出モードを設定したが、これに限られず、時短図柄が確定表示した際の変動カウンタの値に基づいてc時短状態中の演出モードを設定すればよい。即ち、S930ではc時短状態に対応付けられたc時短専用の演出モード(時短用第4演出モード)を設定してもよい。また、変動カウンタの値が所定の閾値K0以上の場合と、天井スルー状態の場合とで、異なる演出モードを設定してもよい。このようにすれば、天井スルー状態を遊技者に示唆することもできる。あるいは、通常は天井スルー状態となることは殆どないため、天井スルー状態であるか否かを判定することなく、時短図柄が確定表示した際の変動カウンタの値に基づいてc時短状態中の演出モードを設定してもよい。即ち図26のS928を省略してもよい。また、b時短状態から通常状態へ移行すると、変動カウンタを初期化する構成の場合も、S928を省略すればよい。また、b時短状態中の演出モードとして、b時短状態の専用の時短用第3演出モードを設定したが、これに限られず、他の時短状態と共通の演出モード(例えば時短用第1演出モード)を設定してもよい。
【0122】
実施例では、時短図柄が確定表示した際の変動カウンタの値に基づいてc時短状態中の演出モードを設定したが、これに限られず、変動カウンタの値に基づいてc時短状態中の演出モードを設定すればよい。例えば、c時短状態の開始時はc時短状態開始時用の時短用演出モードやa時短状態などと共通の時短用演出モードを設定しておき、c時短状態中に変動カウンタの値が所定の閾値K0未満になると、時短用第2演出モード(b時短移行期待モード)を設定する(演出モードを変更する)ものなどとしてもよい。即ち、変動カウンタの値に基づいて、c時短状態の開始時からの演出モードを設定してもよいし、c時短状態中(途中)の演出モードを設定してもよい。また、変動カウンタの値に基づいて2つの時短用演出モードのうちいずれかを設定したが、これに限らず、変動カウンタの値に基づいて3以上の時短用演出モードのうちいずれかを設定してもよく、変動カウンタの値が規定値に近いほどb時短状態への移行の期待度を高めるような演出モードを設定してもよい。なお、実施例では、b時短開始演出やc時短開始演出などの時短開始演出を実行したが、これに限られず、時短開始演出を実行しなくてもよい。
【0123】
実施例では、a時短状態とb時短状態とc時短状態との3つの時短状態を有したが、これに限られず、少なくともb時短状態とc時短状態とを有すればよく、a時短状態(低確率のa時短状態)を有さなくてもよい。また、実施例では、第1特別図柄に時短図柄が含まれ、第2特別図柄に時短図柄が含まれないものとしたが、第1特別図柄と第2特別図柄の両方に時短図柄が含まれてもよい。また、第2特別図柄の時短図柄の停止表示に基づくc時短状態の継続回数(時短回数)を、第1特別図柄の時短図柄の停止表示に基づくc時短状態の継続回数よりも多くすることで遊技者に有利なものとしてもよい。
【0124】
実施例では、本発明をいわゆるセブン機タイプの遊技機に適用して説明したが、これに限定されるものではなく、小当り遊技中に開放する大入賞口の内部に特定領域を備え、小当り遊技中に大入賞口に遊技球が入球し、入球した遊技球が当該特定領域を通過すると、大当り遊技に発展するいわゆる1種2種混合機において、大当りが発生することなく特別図柄の変動回数が予定回数に達するとb時短状態に移行させ、時短判定で時短ありと判定するとc時短状態に移行させるものに適用してもよい。
【0125】
実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を賞球や貸球として上受け皿11に払い出す構成としたが、いわゆる封入式のパチンコ機であってもよい。封入式のパチンコ機は、内部に封入した遊技球を循環させることにより遊技を行うものである。また、実施例や変形例のパチンコ機は、いわゆる管理遊技機に適用されてもよい。管理遊技機は、主制御装置への外部からのアクセスを制限するものであり、枠制御装置(実施例の払出制御装置に相当)から主制御装置へは特定情報(遊技の性能に影響を与える情報や、遊技の結果に影響を及ぼす虞のある情報)以外を送信可能とし、枠制御装置はCRユニットと接続され、枠制御装置を介してのみ外部と通信可能に構成されたものである。
【0126】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、第1始動口23および第2始動口24が「始動口」に相当し、第2始動口24が「可変始動口」に相当し、第1特別図柄変動表示関連処理のS600~S604と第2特別図柄変動表示関連処理のS600b~S604bとを実行する主制御装置60のCPU60aが「当否判定手段」に相当し、第1特別図柄変動表示関連処理のS608,S614~S620と第2特別図柄変動表示関連処理のS608b,616b~S620bと特別図柄遊技処理のS518~S522とを実行する主制御装置60のCPU60aと第1特図表示装置31と第2特図表示装置32とが「図柄変動遊技実行手段」に相当し、大当り遊技処理のS800~S834を実行する主制御装置60のCPU60aが「大当り遊技実行手段」に相当し、大当り遊技処理のS836~S850とb時短フラグ設定処理とc時短フラグ設定処理とを実行する主制御装置60のCPU60aが「容易状態移行手段」に相当し、図柄変動演出処理のS930,S932,S936と大当り遊技演出処理のS1014,S1018とを実行するサブ統合制御装置90のCPU90aが「演出モード設定手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0127】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0128】
1 パチンコ機、2 外枠、3 前面枠、3a 前面枠開放スイッチ、4 ガラス板、5 内枠、5a 内枠開放スイッチ、11 上受け皿、12 下受け皿、13 発射ハンドル、14 スピーカ、15 LED、16 演出ボタン、16a 演出ボタンスイッチ、20 遊技盤、21 遊技領域、21a 外レール、21b 内レール、21c 釘、22 普通図柄作動ゲート、22a ゲートスイッチ、23 第1始動口、23a 第1始動口スイッチ、24 第2始動口、24a 第2始動口スイッチ、24b 開閉羽根、24c 第2始動口ソレノイド、25 大入賞口、25a 大入賞口スイッチ、25b 開閉板、25c 大入賞口ソレノイド、27 普通入賞口、27a 普通入賞口スイッチ、29 アウト口、31 第1特別図柄表示装置(第1特図表示装置)、32 第2特別図柄表示装置(第2特図表示装置)、33 第1特別図柄保留数表示装置(第1特図保留数表示装置)、34 第2特別図柄保留数表示装置(第2特図保留数表示装置)、35 普通図柄表示装置(普図表示装置)、36 普通図柄保留数表示装置(普図保留数表示装置)、37 演出表示装置、371L,371C,371R 演出図柄(疑似図柄)、372a 第1保留図柄、372b 第2保留図柄、373,373a,373b キャラクタ図柄、38 センター役物、50 CRユニット、51 CRユニット端子板、52 精算表示装置、53 球貸ボタン、53a 球貸スイッチ、54 精算ボタン、54a 精算スイッチ、60 主制御装置、60a CPU、60b ROM、60c RAM、61 遊技盤中継端子板、62 図柄表示装置中継端子板、63 演出中継端子板、64 裏配線中継端子板、65 外部接続端子板、67 設定キースイッチ、68 RAMクリアスイッチ、69 設定表示装置、70 払出制御装置、71 払出中継端子板、72 払出装置、73 払出モータ、74 払出スイッチ、75 満杯スイッチ、76 球切れスイッチ、77 球タンク、78 タンクレール、80 発射制御装置、81 発射停止スイッチ、82 タッチスイッチ、83 発射モータ、90 サブ統合制御装置、90a CPU、90b ROM、90c RAM、91 演出表示制御装置、95 電源基板、95a 電源スイッチ、100 ホールコンピュータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
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