(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144684
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】トルクセンサ
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20220926BHJP
G01L 5/1627 20200101ALI20220926BHJP
【FI】
G01L3/10 311
G01L5/1627
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045800
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 悠輔
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB09
2F051BA03
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
【課題】 内部空間を有効に利用したトルクセンサを提供することにある。
【解決手段】 本実施形態に係るトルクセンサ10は、第1構造体11と、第1構造体11との間に輪状の空間が形成されるように配置される第2構造体12と、第1構造体11から前記輪状の内側方向に張出し、前記第2構造体12と接触しない第1固定部14と、第1固定部14の張出す方向と対向せずに、第2構造体12から輪状の外側方向に張出し、第1構造体11と接触しない第2固定部15と、長手方向の一端が第1固定部14に固定され、長手方向の他端が第2固定部15に固定された歪センサ20とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構造体と、
前記第1構造体との間に輪状の空間が形成されるように配置される第2構造体と、
前記第1構造体から前記輪状の内側方向に張出し、前記第2構造体と接触しない第1固定部と、
前記第1固定部の張出す方向と対向せずに、前記第2構造体から前記輪状の外側方向に張出し、前記第1構造体と接触しない第2固定部と、
長手方向の一端が前記第1固定部に固定され、前記長手方向の他端が前記第2固定部に固定された歪センサと
を備えることを特徴とするトルクセンサ。
【請求項2】
前記歪センサは、前記輪状を円として、前記歪センサの前記長手方向を示す線が、前記円の同心円と接する接点での接線に対して、±45度以内になるように配置されること
を特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項3】
前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記第1構造体及び前記第2構造体よりも厚さが薄いこと
を特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項4】
前記第1構造体と前記第2構造体とを接続する複数の第3構造体を備え、
前記歪センサは、複数有し、各歪センサは、複数の第3構造体により個別に仕切られた前記空間に配置されること
を特徴とする請求項1に記載のトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、トルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の歪センサを含むブリッジ回路が、第1構造体と第2構造体との間に伝達される力を検出するトルクセンサが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トルクセンサは、ブリッジ回路等の電気回路を内部に実装するが、トルクセンサの内部空間は限られている。
【0005】
本実施形態の目的は、内部空間を有効に利用したトルクセンサを提供することにある。
【発明の効果】
【0006】
本実施形態によれば、内部空間を有効に利用したトルクセンサを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のトルクセンサは、第1構造体と、前記第1構造体との間に輪状の空間が形成されるように配置される第2構造体と、前記第1構造体から前記輪状の内側方向に張出し、前記第2構造体と接触しない第1固定部と、前記第1固定部の張出す方向と対向せずに、前記第2構造体から前記輪状の外側方向に張出し、前記第1構造体と接触しない第2固定部と、長手方向の一端が前記第1固定部に固定され、前記長手方向の他端が前記第2固定部に固定された歪センサとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るトルクセンサの構成を示す上面図。
【
図2】本実施形態に係るトルクセンサの構成を示す下面図。
【
図3】第1実施形態に係る
図1のA-A’線で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るトルクセンサ10の構成を示す上面図である。
図2は、本実施形態に係るトルクセンサ10の構成を示す下面図である。
図3は、
図1のA-A’線で切断し、矢印の方向から見た断面図である。図面において、同一部分には、同一符号を付している。
【0010】
なお、トルクセンサ10は、ここで説明するものに限らず、様々な形状又は構成に変更してよい。また、トルクセンサ10は、少なくともトルク(z軸モーメントMz)を検出するセンサであれば、力覚センサなどの他の名称のセンサでもよい。例えば、力覚センサとして用いる場合、
図1及び
図2に示す直交する3軸(x、y、z)について、並進力(Fx、Fy、Fz)及びモーメント(Mx、My、Mz)を検出する。
【0011】
トルクセンサ10は、第1構造体11、第2構造体12、複数の第3構造体13、複数の第1固定部14、複数の第2固定部15、及び、複数の歪センサ20を備える。
【0012】
上述の構成の他に、トルクセンサ10は、例えば、歪センサ20により構成されるブリッジ回路等の電気回路、歪センサ20により検出された電気信号に基づいて、トルク等の力の検出信号を生成する処理回路、及び、フレキシブル基板(FPC, Flexible printed circuits)等の配線を備える。また、第2構造体12の中心部分に位置する中空部には、ケースが設けられてもよく、ケース内には、処理回路、電源ケーブル、及び、ブッシュが収納されてもよい。
【0013】
第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13は、一体形成される。第1構造体11及び第2構造体12は、いずれも輪状に形成され、同心円状に配置される。第2構造体12の径は、第1構造体11の径より小さく、第2構造体12は、第1構造体11の内側(中心側)に配置される。したがって、第1構造体11と第2構造体12との間には、輪状の空間が形成される。第3構造体13は、第1構造体11と第2構造体12の間の輪状の空間において、円周方向に等間隔で放射状(径方向)に配置され、第1構造体11と第2構造体12を接続する梁としての役割を有する。例えば、第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13の材質は、ステンレス鋼等の金属であるが、印加される力に対して機械的に十分な強度があれば、金属以外の材料(樹脂等)を使用してもよい。
【0014】
なお、ここでは、第3構造体13を歪センサ20と同数設け、各歪センサ20が2つの第3構造体13で個別に仕切られるように構成したが、これに限らない。第3構造体13の数は、いくつでもよく、歪センサ20と同数でなくてもよい。また、第3構造体13の形状及び配置は、第1構造体11と第2構造体12を接続する役割を果たすのであれば、どのようにしてもよい。また、第3構造体13の厚さ(z軸方向の長さ)は、第1構造体11及び第2構造体12と同じ厚さとしているが、歪センサ20で歪を検出し易いように、第1構造体11及び第2構造体12の厚さよりも薄くしてもよい。
【0015】
複数の第1固定部14及び複数の第2固定部15は、直方体形状に形成され、複数の歪センサ20を固定するための部分である。第1固定部14は、第1構造体11から輪状の内側方向(第2構造体12側)に張出すように設けられる。第2固定部15は、第2構造体12から輪状の外側方向(第1構造体11側)に張出すように設けられる。複数の第1固定部14と複数の第2固定部15は、それぞれの張出す方向が互いに対向しないように、互いに周方向にズラして設けられる。第1固定部14は、一端が第1構造体11と一体形成され、他端が第2構造体12と接触しないように形成される。第2固定部15は、一端が第2構造体12と一体形成され、他端が第1構造体11と接触しないように形成される。なお、第1固定部14及び第2固定部15は、第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13と同じ材質であるが、異なる材質でもよい。
【0016】
第1固定部14及び第2固定部15の厚さ(z軸方向の長さ)は、第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13の厚さよりも薄い。具体的には、第1固定部14及び第2固定部15の下面は、第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13の下面と同一平面を形成するが、第1固定部14及び第2固定部15の上面は、第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13の上面よりも一段低い。なお、第1固定部14及び第2固定部15の厚さは、第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13の厚さと同一でもよい。また、第1固定部14及び第2固定部15の厚さは、任意に変更してよく、第1固定部14及び第2固定部15の上面及び下面と、第1構造体11、第2構造体12、及び、第3構造体13の上面及び下面のそれぞれの間に段差があってもよい。
【0017】
歪センサ20は、直方形の板状であり、隣接する2つの第3構造体13の間にある1組の第1固定部14及び第2固定部15に取り付けられる。歪センサ20は、長手方向の一端が第1固定部14の上面に取り付けられ、長手方向の他端が第2固定部15の上面に取り付けられる。例えば、歪センサ20は、第1固定部14及び第2固定部15に、ネジにより固定されるが、ネジに限らず、どのように固定されてもよい。
【0018】
図1に示すように、歪センサ20が取り付けられる向きは、第1構造体11と第2構造体12との間の空間の輪状を円として、この円の同心円と接する接線が、歪センサ20の長手方向を示す線L1と一致する(平行になる)ようにする。即ち、歪センサ20の長手方向の中央(例えば、歪センサ20を通り、第1固定部14と第2固定部15とを最短で結ぶ線分を等分する中点)に向けて、輪状の中心Cから径方向に線L2を引くと、この径方向の線L2が歪センサ20の長手方向を示す線L1と直角に交わる。
【0019】
なお、歪センサ20の長手方向は、輪状を示す同心円の接線と完全に一致(平行)しなくてもよい。例えば、歪センサ20の長手方向は、輪状を示す同心円の接線に対して、±45度以内であればよい。また、
図1及び
図2では、全ての歪センサ20が、上述したように、輪状を示す同心円の接線と長手方向が一致するように配置された構成を図示しているが、一部の歪センサ20は、このように配置されなくてもよい。例えば、トルク(Mz)以外の力の検出を目的とした歪センサ20は、このように配置されなくてもよい。
【0020】
歪センサ20は、直方形の板状の起歪体、及び、起歪体の表面に配置された複数の歪ゲージを備える。例えば、起歪体は、金属製である。起歪体は、外部から印加されたトルク等の力を受けて変形することで、各歪ゲージが変形する。各歪ゲージの変形により変化する各歪ゲージの電気抵抗を測定することで、トルクセンサ10で受けたトルク等の力を検出する。なお、歪センサ20(又は、起歪体)の外形は、直方形状に限らず、長手方向がある程度認識できれば、丸みを帯びていたり、曲線部分があったりしてもよい。また、起歪体に配置された複数の歪ゲージは、どのように配置されてもよい。例えば、歪ゲージが直方形状である場合、歪ゲージの長手方向が起歪体の長手方向と一致するように配置される。
【0021】
例えば、第1構造体11は、トルク等の力が印加される被測定対象の構造体に連結され、第2構造体12は、トルク等の力を印加する側の構造体に連結される。トルク等により、第1構造体11及び第2構造体12が相対的に動くことで、歪センサ20が起歪体に生じた歪を検出する。歪センサ20の検出結果に基づいて、トルク等を検出する。なお、第1構造体11が力を印加する側の構造体に連結され、第2構造体12が被測定対象の構造体に連結されてもよい。
【0022】
本実施形態によれば、歪センサ20を固定するために、第1構造体11から張出した第1固定部14、及び、第2構造体12から張出した第2固定部15を設けることで、歪センサ20の長手方向が第1構造体11と第2構造体12との間の輪状の空間に沿った周方向(輪状の接線方向)になるように、又は、径方向よりも周方向に近付くように傾けて、固定することができる。これにより、第1構造体11と第2構造体12との間の空間を狭くできる。このように、内部空間を有効に利用した構成にすることで、例えば、トルクセンサ10の全体の外形(外周)を小さくしたり、トルクセンサ10の内周側に設ける基板等の部品等を大きくしたりすることができる。また、歪センサ20の長手方向の両端に位置する電極部(電気接続部分)のための空間が確保し易くなる。
【0023】
また、歪センサ20(起歪体)の長手方向の向きをトルク(z軸モーメントMz)が作用する周方向の向き、又は、この向きに近い向きにすることができるため、トルクによる長手方向の変形を受け易くなり、トルクを検出し易くすることができる。これにより、検出精度を上げたり、検出する構成を簡易化して製造コストを抑えたりすることができる。
【0024】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0025】
10…トルクセンサ、11…第1構造体、12…第2構造体、13…第3構造体、14…第1固定部、15…第2固定部、20…歪センサ。