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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144713
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】測定機器
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20220926BHJP
   G01R 15/16 20060101ALI20220926BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R15/16
G01R19/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045847
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】大平 洋
(72)【発明者】
【氏名】松浦 将仁
(72)【発明者】
【氏名】小野 大貴
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】管野 正喜
【テーマコード(参考)】
2G014
2G025
2G035
【Fターム(参考)】
2G014AA16
2G014AB34
2G025AB07
2G025AB15
2G025AC01
2G035AA05
2G035AB01
2G035AC01
2G035AC02
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD13
2G035AD20
(57)【要約】
【課題】非接触測定を高精度かつ低コストで行うことを可能とする測定機器を提供する。
【解決手段】絶縁体に被覆されている導電体における直流電圧を測定する測定機器において、導電体から絶縁体を介して漏洩する漏洩電流を、絶縁体に接触する測定電極を介して連続的に入力して漏洩電流の電圧に対応する電圧を出力するバッファ回路を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体に被覆されている導電体における直流電圧を測定する測定機器において、
前記導電体から前記絶縁体を介して漏洩する漏洩電流を、前記絶縁体に接触する測定電極を介して連続的に入力して前記漏洩電流の電圧に対応する電圧を出力するバッファ回路を備えた、測定機器。
【請求項2】
前記漏洩電流は、前記絶縁体における絶縁抵抗を介して漏洩する電流である、請求項1に記載の測定機器。
【請求項3】
さらに、前記測定電極に近接するガード電極と、
前記バッファ回路における出力電圧に対応する電圧を前記ガード電極に印加する増幅回路と、を備えた、請求項1に記載の測定機器。
【請求項4】
前記増幅回路は、増幅率及びオフセット電圧を調整可能である、請求項3に記載の測定機器。
【請求項5】
さらに、前記ガード電極に近接するサイドガード電極を備え、
前記増幅回路は、前記バッファ回路における出力電圧に対応する電圧を前記サイドガード電極に印加する、請求項3に記載の測定機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、絶縁体に被覆されている電線(導電体)に流れる直流電圧の測定が行われている。このような直流電圧の測定は、例えば、測定対象である電線に対して測定機器を接触させることなく行われる(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-080537号公報
【発明の概要】
【0004】
上記のような直流電圧の非接触測定は、例えば、電線が接続されている電子機器等の動作中においても、高精度かつ低コストで行われることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の非接触測定を達成するため、本発明における測定機器は、絶縁体に被覆されている導電体における直流電圧を測定する測定機器であって、前記導電体から前記絶縁体を介して漏洩する漏洩電流を、前記絶縁体に接触する測定電極を介して連続的に入力して前記漏洩電流の電圧に対応する電圧を出力するバッファ回路を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明における測定機器によれば、非接触測定を高精度かつ低コストで行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態における電線1及び測定機器10の概略構成図である。
図2図2は、第1の実施の形態における電線1の構成図である。
図3図3は、第1の実施の形態における測定機器10の詳細構成図である。
図4図4は、バッファ回路6の詳細構成図である。
図5図5は、第2の実施の形態における電線1及び測定機器20の概略構成図である。
図6図6は、第2の実施の形態における電線1の構成図である。
図7図7は、第2の実施の形態における測定機器20の詳細構成図である。
図8図8は、第2の実施の形態の変形例について説明する図である。
図9図9は、第2の実施の形態の変形例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[第1の実施の形態における電線及び測定機器の概略構成]
初めに、第1の実施の形態における電線1及び測定機器10の概略構成について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における電線1及び測定機器10の概略構成図である。また、図2は、第1の実施の形態における電線1の構成図である。具体的に、図2(A)は、測定電極3を取り付けた場合における電線1の構成図であり、図2(B)は、図2(A)に示す電線1のA-A断面図である。
【0010】
図1に示す例において、測定機器10は、例えば、バッファ回路6と、電圧計(図示せず)等によって構成される出力回路6aとを有し、絶縁体2に被覆されている電線1(芯線)に生じている直流電圧Vx(以下、単に電圧Vxとも呼ぶ)を測定する非接触型の電圧測定装置である。バッファ回路6は、例えば、ゲインが1の増幅回路(アンプ)である。そして、測定機器10は、絶縁体2に取り付けられた電極3(以下、測定電極3とも呼ぶ)を介して、電線1における電圧Vxを測定する。具体的に、測定機器10は、図1に示すように、例えば、計装機器であるアイソレータ4から送信された計装信号の電圧Vx(例えば、1(V)から5(V)までの電圧)を測定する。
【0011】
測定電極3は、例えば、銅箔である。そして、測定電極3は、図2(A)に示すように、例えば、絶縁体2の周方向に沿って絶縁体2を一周するように取り付けられる。すなわち、測定電極3は、絶縁体2に取り付けられる際に、例えば、絶縁体2の外周に沿った円筒形状を形成する。
【0012】
ここで、測定電極3を絶縁体2に取り付けた場合、電線1(芯線)と測定電極3との間には、微弱な容量Cx(以下、絶縁容量Cxとも呼ぶ)と極大な抵抗Rx(以下、絶縁抵抗Rxとも呼ぶ)とが並列に形成される。そのため、本実施の形態における測定機器10は、絶縁抵抗Rxを経由した計装信号(以下、漏洩電流とも呼ぶ)を取り出すことによって、電線1における電圧Vxの測定を行う。
【0013】
この点、例えば、測定電極3を電線1に押し付けた際に絶縁容量Cxにおいて流れる過渡電流を用いることによって、電圧Vxの測定を行う方法が既に知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0014】
しかしながら、この方法の場合、絶縁容量Cxを経由した過渡電流を用いるので、2回目の電圧Vxの測定を行う場合、1回目の測定後において絶縁容量Cxの電荷を解放(ディスチャージ)する必要がある。そのため、この場合、電圧Vxの測定を連続的に行うことができない。
【0015】
これに対し、本実施の形態における測定機器10は、絶縁容量Cxを経由した電流に代えて絶縁抵抗Rxを経由した電流を用いることで、絶縁容量Cxの電荷の解放等を行う必要がなくなる。そのため、本実施の形態における測定機器10は、電圧Vxの測定を連続的に行うことが可能になる。
【0016】
なお、図1に示す例において、アイソレータ4とアイソレータ5との間には、例えば、電線1とともにリターン線(図示せず)が設けられるものであってよい。
【0017】
[第1の実施の形態における測定機器の詳細構成]
次に、第1の実施の形態における測定機器10の詳細構成について説明を行う。図3は、第1の実施の形態における測定機器10の詳細構成図である。また、図4は、バッファ回路6の詳細構成図である。以下、測定電極3についての記載を省略する。また、以下、便宜的に、絶縁抵抗Rxを絶縁体2の外部に記載する。
【0018】
測定機器10は、図3に示すように、例えば、バッファ回路6と、漏洩抵抗Rzと、出力回路6aとを有する。
【0019】
そして、図3に示す例において、絶縁抵抗Rxを流れる電流Ix及び漏洩抵抗Rzを流れる電流Izのぞれぞれは、以下の(1)及び(2)のように表すことが可能である。以下、バッファ回路6の入力端子に入力される電圧(絶縁抵抗Rxと漏洩抵抗Rzとの間の位置における電圧)を電圧V2と呼び、バッファ回路6の出力端子から出力する電圧を電圧Vyと呼び、バッファ回路6に入力されるバイアス電流を電流Ibと呼ぶ。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】
【0022】
また、電流Ixと電流Izと電流Ibとの関係は、以下の式(3)のように表すことが可能である。
【0023】
【数3】
【0024】
そして、上記の式(1)、式(2)及び式(3)を用いた場合、電圧V2は、以下の式(4)のように表すことが可能である。
【0025】
【数4】
【0026】
この点、上記の式(4)を以下の式(5)のように変形することにより、電圧項(Vx)と電流項(Ib)の両方に対して係数(Rz(Rz+Rx))を掛けた形に表すことが可能になる。
【0027】
【数5】
【0028】
さらに、上記の式(5)を以下の式(6)のように変形することが可能である。
【0029】
【数6】
【0030】
ここで、上記の式(6)において、例えば、漏洩抵抗Rzにおける抵抗値が極大である場合、Rx/Rzが0になる。そのため、この場合、電圧V2は、以下の式(7)のように表される。
【0031】
【数7】
【0032】
すなわち、式(7)は、電圧V2において電流Ib及び絶縁抵抗Rxに応じた電圧降下が生じていることを示している。そのため、例えば、電流Ibが極小である場合、電圧Vxと電圧V2とは、ほぼ同じ値であると判断することが可能である。
【0033】
したがって、本実施の形態における測定機器10は、例えば、漏洩抵抗Rzがより極大であって電流Ibがより極小であるほど、電圧Vxを精度良く計測することが可能になる。
【0034】
また、上記の式(4)を用いた場合、電圧Vxと電圧V2との間における誤差電圧Verror(以下、電圧Verrorとも呼ぶ)は、以下の式(8)のように表すことが可能である。
【0035】
【数8】
【0036】
この点、上記の式(8)を以下の式(9)のように変形することにより、電圧項(Vx)と電流項(Ib)の両方に対して係数(-Rx(Rz+Rx))を掛けた形に表すことが可能になる。
【0037】
【数9】
【0038】
さらに、上記の式(9)を以下の式(10)のように変形することが可能である。
【0039】
【数10】
【0040】
ここで、上記の式(10)において、例えば、漏洩抵抗Rzにおける抵抗値が極大である場合、Rz/Rxが極大になる。そのため、この場合、電圧Verrorは、以下の式(11)のように表すことが可能である。
【0041】
【数11】
【0042】
以上説明したように、漏洩抵抗Rzにおける抵抗値が極大(無限大)である場合、電流Ixと電流Ibとが等しくなる。一般に、漏洩抵抗Rzの抵抗値は非常に大きいので、電流Ixと電流Ibとが近似する。
【0043】
なお、バッファ回路6は、図4に示すように、例えば、ゲイン1の増幅回路である。電流Ibがバッファ回路6のプラス端子に入力されるとともに、バッファ回路6の出力端子から出力されて抵抗Rfを経由した信号(電圧)がフィードバックしてバッファ回路6のマイナス端子に入力される。
【0044】
[第2の実施の形態における電線及び測定機器の概略構成]
次に、第2の実施の形態における電線1及び測定機器20の概略構成について説明を行う。図5は、第2の実施の形態における電線1及び測定機器20の概略構成図である。また、図6は、第2の実施の形態における電線1の構成図である。具体的に、図6(A)は、測定電極3を取り付けた場合における電線1の構成図であり、図6(B)は、図6(A)に示す電線1のB-B断面図である。以下、第1の実施の形態と異なる点について説明を行う。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、測定電極3とともにガード電極31を絶縁体2に取り付けて電圧Vxの測定を行う。
【0045】
図5に示す例において、測定機器20は、例えば、バッファ回路6と出力回路6aとを有し、絶縁体2に被覆されている電線1(芯線)に生じている電圧Vxを測定する非接触型の電圧測定装置である。そして、測定機器20では、ガード電極31に覆われた測定電極3を用いることによって、電線1における電圧Vxを測定する。以下、図5に示すように、測定機器20が増幅回路7とオフセット補正回路7aとゲイン補正回路7bとさらに有する場合について説明を行う。
【0046】
ガード電極31は、例えば、アルミニウムやSUS(ステンレス鋼)である。そして、ガード電極31は、例えば、測定電極3を覆うように絶縁体2に取り付けられる。具体的に、測定電極3が絶縁体2の周方向に沿って絶縁体2の一周するように取り付けられている場合、ガード電極31は、図6に示すように、例えば、絶縁体2及び測定電極3の周方向に沿って絶縁体2及び測定電極3を一周するように取り付けられる。すなわち、ガード電極31は、絶縁体2に取り付けられる場合、円筒形状または箱型形状を形成するものであってよい。また、ガード電極31が円筒形状または箱型形状の場合、電線1の長軸方向における両端部が開放された開放構造としてもよいし(図6(B)参照)、また、この両端部を塞いだ密閉構造にしてもよい。
【0047】
そして、測定機器20は、バッファ回路6が計測した電圧(電圧Vxの測定値)をガード電極31に印加する。このガードにより、測定機器20は、漏洩抵抗Rzをさらに大きくすることが可能になる。また、測定電極3とガード電極31との間における電圧差を小さくすることが可能になり、測定電極3からガード電極31に対して電流が流れることを防止することが可能になる。そのため、測定機器20は、測定電極3からバッファ回路6以外に流れる電流を抑えることが可能になり、電圧Vxの測定をより精度良く行うことが可能になる。
【0048】
なお、作業者は、例えば、測定電極3及びガード電極31を有するクランプ(図示せず)を用いることによって、測定電極3及びガード電極31を電線1に取り付けるものであってよい。
【0049】
[第2の実施の形態における測定機器の詳細構成]
次に、第2の実施の形態における測定機器20の詳細構成について説明を行う。図7は、第2の実施の形態における測定機器20の詳細構成図である。以下、測定電極3及びガード電極31についての記載を省略する。また、以下、便宜的に、絶縁抵抗Rxを絶縁体2の外部に記載する。
【0050】
測定機器20は、図7に示すように、例えば、バッファ回路6と、漏洩抵抗Rzと、出力回路6aと、増幅回路7と、オフセット補正回路7aと、ゲイン補正回路7bとを有する。なお、以下、測定電極3とガード電極31との間において形成される抵抗を漏洩抵抗Ryとも呼ぶ。
【0051】
図7に示すように、電流Ix及び電流Izのぞれぞれは、上記の式(1)及び式(2)のように表すことが可能であり、漏洩抵抗Ryを流れる電流Iyは、以下の式(12)のように表すことが可能である。なお、以下、増幅回路7から出力される電圧をガード電圧Vg(以下、単に電圧Vg)と呼ぶ。
【0052】
【数12】
【0053】
また、電流Ixと電流Iyと電流Izと電流Ibとの関係は、以下の式(13)のように表すことが可能である。
【0054】
【数13】
【0055】
そして、上記の式(1)、式(2)、式(12)及び式(13)を用いた場合、電圧V2は、以下の式(14)のように表すことが可能である。
【0056】
【数14】
【0057】
さらに、上記の式(14)を以下の式(15)のように変形することが可能である。
【0058】
【数15】
【0059】
この点、上記の式(15)において、例えば、漏洩抵抗Ryにおける抵抗値が極大である場合、電圧V2は、上記の式(6)と同じように表すことが可能である。
【0060】
また、上記の式(14)を用いた場合、電圧Verrorは、以下の式(16)のように表すことが可能である。
【0061】
【数16】
【0062】
ここで、電圧Verrorを0とする場合、電圧Vgは、以下の式(17)のように表すことが可能である。
【0063】
【数17】
【0064】
そして、上記の式(17)を以下の式(18)のように変形することが可能である。
【0065】
【数18】
【0066】
すなわち、測定機器20は、上記の式(18)によって表される電圧Vgを増幅回路7の出力端子における電圧とすることで、電圧Verrorを0に抑えることが可能になる。そのため、オフセット補正回路7aは、プラスのオフセット電圧を増幅回路7に印加し、さらに、ゲイン補正回路7bは、増幅回路7のゲインを調整することで、測定状態に適したガード電圧Vg(式(18)参照)を増幅回路7が出力するように、増幅回路7を制御する。ガード電圧Vgは、具体的には、(Ry/Rz)が小さな値になるので、電圧Vxより数%程度大きい電圧と、バイアス電流Ibに比例したオフセット電圧(おおよそ1V以下)とを加算した電圧である。なお、測定状態とは、ガード電圧に影響を及ぼす各種パラメータ(例えば、式(18)における電圧Vxや抵抗Ry等)を含む。
【0067】
これにより、測定機器20は、電線1における電圧Vxとガード電極31における電圧Vyとの電圧差を極めて小さくすることが可能になる。そのため、測定機器20は、抵抗値が極めて大きい漏洩抵抗Rzを形成することが可能になり、電流Izを極めて小さくすることが可能になる。したがって、測定機器20は、電流Ixと電流Ibとの誤差を抑えることが可能になり、電圧Vxの測定をより精度良く行うことが可能になる。すなわち、測定機器20は、絶縁抵抗Rxにおいて生じる電圧ドロップや漏洩抵抗Rzの影響による測定誤差の要因をキャンセルすることが可能になるため、電圧Vxの測定をより精度良く行うことが可能になる。
【0068】
なお、増幅回路7は、いわゆるアンプであり、アンプのマイナス端子にこのアンプの出力電圧がフィードバック入力され、アンプのプラス端子にバッファ回路6の出力電圧とオフセット補正回路7aの出力電圧(オフセット電圧)とが入力される。
【0069】
また、上記の式(18)には、電線1における絶縁抵抗Rxが含まれていない。そのため、測定機器20は、電線1以外の電線における電圧についても同様に測定することが可能である。
【0070】
さらに、漏洩抵抗Ryは、測定電極3及びガード電極31によって決定される。そのため、例えば、測定に用いる測定電極3及びガード電極31(測定に用いるクランプ)が決定されており、かつ、電流Ibが安定している場合、作業者は、上記の式(18)における電流項(IbRy)を予め推測することが可能である。また、漏洩抵抗Rzは、例えば、ガード電極31の径によって決定される。そのため、例えば、測定に用いる測定電極3及びガード電極31が決定している場合、作業者は、上記の式(18)における電圧項((Ry/Rz)+1)についても予め推測することが可能になる。したがって、作業者は、上記の式(18)における電圧Vgを予め推測することが可能になる。
【0071】
[第2の実施の形態における変形例]
次に、第2の実施の形態の変形例について説明を行う。図8及び図9は、第2の実施の形態の変形例について説明する図である。
【0072】
例えば、電線1よりも径が大きいガード電極31を電線1に取り付けた場合、図6(B)に示すように、電線1の長手方向におけるガード電極31の両端が開口する。そのため、この場合、ガード電極31の両端から電流が漏れてしまい、電圧Vxを正確に測定できない可能性がある。
【0073】
そこで、電線1には、図8に示すように、測定電極3を覆うように取り付けられたガード電極31の前後において、サイドガード電極32及びサイドガード電極33を取り付けるものであってもよい。
【0074】
サイドガード電極32及びサイドガード電極33は、例えば、銅箔である。そして、例えば、測定電極3の軸方向における長さが25(mm)程度である場合、サイドガード電極32及びサイドガード電極33の軸方向における長さは、例えば、15(mm)程度であってよい。
【0075】
これにより、測定機器20は、ガード電極31の両端からの信号(電流)の漏れを防止することが可能になり、電圧Vxの測定を正確に行うことが可能になる。特に、測定機器20は、温度及び湿度の変化に起因する誤差(電圧Vxの測定値の誤差)の発生を防止することが可能になる。
【0076】
なお、電線1には、サイドガード電極32及びサイドガード電極33のうちのいずれか一方のみが取り付けられるものであってもよい。
【0077】
また、第2の実施の形態の変形例では、図9に示すように、測定電極3(図9における点線部分)とサイドガード電極32との間において抵抗(以下、漏洩抵抗Rys1とも呼ぶ)が形成され、さらに、測定電極3とサイドガード電極33との間のそれぞれにおいて抵抗(以下、漏洩抵抗Rys2とも呼ぶ)が形成される。そのため、図9に示す例において、図7で説明した漏洩抵抗Ryは、漏洩抵抗Ryと漏洩抵抗Rys1と漏洩抵抗Rys2との並列抵抗に対応する。
【符号の説明】
【0078】
1:電線 2:絶縁体
3:測定電極 4:アイソレータ
5:アイソレータ 6:バッファ回路
6a:出力回路 7:増幅回路
7a:ゲイン補正回路 7b:オフセット補正回路
10:測定機器 20:測定機器
31:ガード電極 32:サイドガード電極
33:サイドガード電極 Cx:絶縁容量
Ib:バイアス電流 Ix:電流
Iy:電流 Iz:電流
Vx:電圧 Vy:電圧
V2:電圧 Verror:誤差電圧
Vg:ガード電圧 Rf:抵抗
Rx:絶縁抵抗 Ry:漏洩抵抗
Rys1:漏洩抵抗 Rys2:漏洩抵抗
Rz:漏洩抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9