(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144756
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】紫外線照射搬送ローラコンベアおよび紫外線殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20220926BHJP
B65G 39/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61L2/10
B65G39/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045910
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】520498789
【氏名又は名称】大石 利亀夫
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雅史
(72)【発明者】
【氏名】大石 利亀夫
【テーマコード(参考)】
3F033
4C058
【Fターム(参考)】
3F033GA06
3F033GC00
4C058AA01
4C058BB06
4C058EE23
4C058KK02
4C058KK12
4C058KK22
(57)【要約】
【課題】搬送対象物の底面に効果的に紫外線を照射し得る紫外線照射搬送ローラコンベアおよび紫外線消毒装置を提供する。
【解決手段】複数の回転ローラを所定の方向に沿って配列して搬送面を形成しており、前記搬送面上を、搬送対象物が前記所定の方向に移動する間に、前記搬送対象物に紫外線を照射する紫外線照射搬送ローラコンベアであって、前記複数の回転ローラのうちの少なくとも1つが、紫外線C波を生じる紫外線照射部を有する棒状体に置き換えられている紫外線照射搬送ローラコンベア。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転ローラを所定の方向に沿って配列して搬送面を形成しており、
前記搬送面上を、搬送対象物が前記所定の方向に移動する間に、前記搬送対象物に紫外線を照射する紫外線照射搬送ローラコンベアであって、
前記複数の回転ローラのうちの少なくとも1つが、紫外線C波を生じる紫外線照射部を有する棒状体に置き換えられている紫外線照射搬送ローラコンベア。
【請求項2】
前記棒状体の上端は、前記搬送面と略同じ高さに揃えられる請求項1に記載の紫外線照射搬送ローラコンベア。
【請求項3】
前記棒状体における前記所定の方向に平行かつ前記搬送面に垂直な第1断面による断面である棒状体断面は円形であり、前記棒状体断面の直径は、前記回転ローラの前記第1断面による断面であるローラ断面の直径と略等しい請求項1および請求項2に記載の紫外線照射搬送ローラコンベア。
【請求項4】
前記棒状体の両端は、前記複数の回転ローラの両端を支持するサイドフレームに接続しており、
前記紫外線照射部は、前記サイドフレームに対して回転不可に固定されている請求項1から請求項3までのいずれかに記載の紫外線照射搬送ローラコンベア。
【請求項5】
前記紫外線照射部は、前記棒状体の内部を、前記搬送面とは平行であって前記所定の方向とは垂直な方向に沿って延びている請求項1から請求項4までのいずれかに記載の紫外線照射搬送ローラコンベア。
【請求項6】
前記棒状体は、前記紫外線照射部の前記搬送面側を被覆する紫外線透過性の保護部と、前記紫外線照射部の前記搬送面とは反対側を被覆する紫外線非透過性の下部カバー部と、を有する請求項1から請求項5までのいずれかに記載の紫外線照射搬送ローラコンベア。
【請求項7】
前記棒状体は、前記紫外線照射部によって挿通される中空筒状であって前記紫外線照射部に対して相対回転する紫外線透過性の回転カバー部を有する請求項1から請求項6までのいずれかに記載の紫外線照射搬送ローラコンベア。
【請求項8】
前記複数の回転ローラを所定の回転方向に回転させるローラ駆動手段を有する請求項1から請求項7までのいずれかに記載の紫外線照射搬送ローラコンベア。
【請求項9】
請求項1から請求項9までのいずれかに記載の紫外線照射搬送ローラコンベアと、
前記搬送面に平行に延びる天井壁部と、少なくとも前記天井壁部の高さから前記搬送面の高さまで前記搬送面と垂直に前記所定の方向に沿って延びており前記搬送面の一方側に配置される第1側壁部と、少なくとも前記天井壁部の高さから前記搬送面の高さまで前記第1側壁部に平行に前記所定の方向に沿って延びており前記搬送面の他方側に配置される第2側壁部と、を有する紫外線遮蔽部と、を有し、
前記天井壁部における前記搬送面側の面である天井内面には、紫外線C波を生じる天井紫外線照射部が設けられており、
前記第1側壁部における前記搬送面側の面である第1内面には、紫外線C波を生じる第1内面紫外線照射部が設けられており、
前記第2側壁部における前記搬送面側の面である第2内面には、紫外線C波を生じる第2内面紫外線照射部が設けられている紫外線殺菌装置。
【請求項10】
前記紫外線遮蔽部における前記所定の方向における一方の端部である搬入口枠部には、第1接続具が設けられており、
前記紫外線遮蔽部における前記所定の方向における他方の端部である搬出口枠部には、第2接続具が設けられており、
前記第1接続具と、前記第2接続具とは、互いに連結可能であることを特徴とする請求項9に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項11】
前記搬入口枠部には、搬入口からの紫外線の漏出を防止する搬入口遮蔽カーテンが着脱自在に設けられており、
前記搬出口枠部には、搬出口からの紫外線の漏出を防止する搬出口遮蔽カーテンが着脱自在に設けられている請求項10に記載の紫外線殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する間に紫外線を照射する紫外線照射搬送ローラコンベアおよびこれを用いた紫外線殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型のウイルス性疾患の世界的な流行があり、運輸・物流業界などにおいても、荷物の運搬に伴い、有害なウイルスや細菌などを拡散させないための対策が検討されている。荷物などの搬送対象物の表面を殺菌する装置として、コンベアなどで搬送する間に搬送対象物に紫外線を照射する装置が提案されている。しかし、従来の紫外線殺菌装置では、搬送面と接触する荷物下面に紫外線を照射することが難しく、荷物の全面を殺菌するためには、荷物の向きを変えて複数回紫外線の照射を行う必要があった。
【0003】
このような課題に対処した従来技術として、ローラコンベアを構成する回転ローラ間の隙間であってローラの上側共通接線よりも下位に紫外線灯を配置する技術が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、従来のローラコンベアでは、紫外線灯と荷物との間に空間があり、また、隣接するローラによってかなりの紫外線が遮られるため、消毒のための十分な照射を確保するためには、多くの紫外線灯を配置する必要があった。また、紫外線灯を配置するために、隣接するローラ間の隙間が大きくなる問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】公開実用新案S64-176504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、搬送対象物の底面に効果的に紫外線を照射し得る紫外線照射搬送ローラコンベアおよび紫外線消毒装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る紫外線照射搬送ローラコンベアは、複数の回転ローラを所定の方向に沿って配列して搬送面を形成しており、
前記搬送面上を、搬送対象物が前記所定の方向に移動する間に、前記搬送対象物に紫外線を照射する紫外線照射搬送ローラコンベアであって、
前記複数の回転ローラのうちの少なくとも1つが、紫外線C波を生じる紫外線照射部を有する棒状体に置き換えられている。
【0007】
このような紫外線照射搬送ローラコンベアは、搬送対象物を支える回転ローラの位置に紫外線照射部を有する棒状体が配置されているため、至近距離から搬送対象物の表面に紫外線C波を照射して、搬送対象物の底面を効果的に殺菌できる。また、回転ローラの少なくとも1つが棒状体に置き換えられているため、回転ローラと棒状体および回転ローラ同士の間隔を、紫外線灯をローラ間に配置する従来技術用より狭くできるため、搬送対象物を円滑に搬送できる。
【0008】
また、たとえば、前記棒状体の上端は、前記搬送面と略同じ高さに揃えられていていもよい。
【0009】
これにより、至近距離からの効果的な紫外線照射を行うことができるとともに、棒状部も搬送対象物を支える役割を果たすため、搬送対象物の円滑な搬送に資する。
【0010】
また、たとえば、前記棒状体における前記所定の方向に平行かつ前記搬送面に垂直な第1断面による断面である棒状体断面は円形であり、前記棒状体断面の直径は、前記回転ローラの前記第1断面による断面であるローラ断面の直径と略等しくてもよい。
【0011】
このような紫外線照射搬送ローラコンベアは、棒状体の外形状が回転ローラの外形状に略等しいため、棒状体が搬送対象物の底面を適切に支えることができ、搬送対象物の円滑な搬送に資する。
【0012】
また、たとえば、前記棒状体の両端は、前記複数の回転ローラの両端を支持するサイドフレームに接続しており、
前記紫外線照射部は、前記サイドフレームに対して回転不可に固定されていてもよい。
【0013】
紫外線照射部が回転不可に固定されていることにより、紫外線照射部への配線構造を単純化できるとともに、棒状部の強度も向上させることができる。
【0014】
また、たとえば、前記紫外線照射部は、前記棒状体の内部を、前記搬送面とは平行であって前記所定の方向とは垂直な方向に沿って延びていてもよい。
【0015】
このような紫外線照射部を有することにより、搬送面と対向する搬送対象物の底面の全体に対して、効率的に紫外線を照射することができる。
【0016】
また、たとえば、前記棒状体は、前記紫外線照射部の前記搬送面側を被覆する紫外線透過性の保護部と、前記紫外線照射部の前記搬送面とは反対側を被覆する紫外線非透過性の下部カバー部と、を有してもよい。
【0017】
このような保護部および下部カバー部を有することにより、棒状体の剛性が向上し、紫外線照射部に外力が作用することを防止し、紫外線照射部を損傷から保護することができる。また、下部カバー部により、紫外線照射搬送ローラコンベアの設置面側への紫外線の漏洩を防止できる。
【0018】
また、たとえば、前記棒状体は、前記紫外線照射部によって挿通される中空筒状であって前記紫外線照射部に対して相対回転する紫外線透過性の回転カバー部を有してもよい。
【0019】
このような回転カバー部を有することにより、棒状体の剛性が向上し、紫外線照射部に外力が作用することを防止し、紫外線照射部を損傷から保護することができる。また、回転カバー部が搬送対象物の搬送とともに回転することにより、搬送対象物が棒状体に引っかかることを防止して、紫外線照射部へ外力が作用することを防止するとともに、より円滑な搬送を実現する。
【0020】
また、たとえば、本発明に係る紫外線照射搬送ローラコンベアは、前記複数の回転ローラを所定の回転方向に回転させるローラ駆動手段を有してもよい。
【0021】
回転ローラをローラ駆動手段により回転させることにより、搬送対象物を自動的に搬送することができる。ローラ駆動手段としては、回転モータおよびモータの駆動力をローラに伝えるチェーンやベルトを用いるものや、回転モータおよび駆動シャフトやギア機構を用いるものや、回転ローラに内蔵するモータなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0022】
本発明に係る紫外線殺菌装置は、いずれかの上記紫外線照射搬送ローラコンベアと、
前記搬送面に平行に延びる天井壁部と、少なくとも前記天井壁部の高さから前記搬送面の高さまで前記搬送面と垂直に前記所定の方向に沿って延びており前記搬送面の一方側に配置される第1側壁部と、少なくとも前記天井壁部の高さから前記搬送面の高さまで前記第1側壁部に平行に前記所定の方向に沿って延びており前記搬送面の他方側に配置される第2側壁部と、を有する紫外線遮蔽部と、を有し、
前記天井壁部における前記搬送面側の面である天井内面には、紫外線C波を生じる天井紫外線照射部が設けられており、
前記第1側壁部における前記搬送面側の面である第1内面には、紫外線C波を生じる第1内面紫外線照射部が設けられており、
前記第2側壁部における前記搬送面側の面である第2内面には、紫外線C波を生じる第2内面紫外線照射部が設けられている。
【0023】
このような紫外線殺菌装置は、搬送対象物の全面に効率的に紫外線を照射し、効果的に搬送対象物の表面を殺菌できる。また、搬送物の底面は、他の面に比べて紫外線を照射されている時間が短いが、搬送対象物の底面は、棒状体の紫外線照射部からの照射距離が短いため、短時間で他の面と同程度の殺菌を行うことができる。また、このような紫外線殺菌装置は、紫外線遮蔽部により、紫外線が外部に漏洩することを防止することができる。
【0024】
また、たとえば、前記紫外線遮蔽部における前記所定の方向における一方の端部である搬入口枠部には、第1接続具が設けられていてもよく、
前記紫外線遮蔽部における前記所定の方向における他方の端部である搬出口枠部には、第2接続具が設けられていてもよく、
前記第1接続具と、前記第2接続具とは、互いに連結可能であってもよい。
【0025】
このような紫外線殺菌装置は、複数の紫外線遮蔽部を、第1接続部と第2接続部とを連結して繋ぐことにより、搬送距離の長い紫外線殺菌装置を構成することが可能である。
【0026】
また、たとえば、前記搬入口枠部には、搬入口からの紫外線の漏出を防止する搬入口遮蔽カーテンが着脱自在に設けられていてもよく、
前記搬出口枠部には、搬出口からの紫外線の漏出を防止する搬出口遮蔽カーテンが着脱自在に設けられていてもよい。
【0027】
搬入口遮蔽カーテンおよび搬出口遮蔽カーテンにより紫外線の漏出を防止できるとともに、複数の紫外線遮蔽部を接続するときには、接続部分の搬入口遮蔽カーテンおよび搬出口遮蔽カーテンは取り外すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る紫外線照射搬送ローラコンベアを有する紫外線殺菌装置の外観図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す紫外線殺菌装置の紫外線遮蔽部に取付け可能な搬入口遮蔽カーテンを示す外観図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す紫外線照射搬送ローラコンベアの一部を上方から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す回転ローラのローラ断面および棒状体の棒状体断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る回転ローラのローラ断面および棒状体の棒状体断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る紫外線照射搬送ローラコンベア20(以下、単に搬送ローラコンベア20とも言う。)を有する紫外線殺菌装置10の外観図である。紫外線殺菌装置10は、搬送ローラコンベア20、紫外線遮蔽部50、天井紫外線照射部41、第1内面紫外線照射部62、第2内面紫外線照射部63等を有する。
【0030】
図1に示すように、紫外線殺菌装置10は、搬送ローラコンベア20の搬送面22上を搬送させる搬送対象物に対して紫外線を照射し、搬送対象物を紫外線により殺菌ないし滅菌することができる。搬送ローラコンベア20により搬送される搬送対象物としては、特に限定されないが、たとえば、段ボールなどによって梱包された荷物、スーツケース、かばん、出荷前の工業製品または農産物などが挙げられる。
【0031】
図3は、搬送ローラコンベア20の一部を上方から見た概念図である。
図3に示すように、搬送ローラコンベア20は、複数の回転ローラ24、25、26・・・が所定の方向(
図3では水平方向であるX方向)に沿って配列して搬送面22(
図4参照)を形成している。なお、搬送ローラコンベア20および紫外線殺菌装置10の説明においては、鉛直方向をZ方向、水平方向のうち複数の回転ローラ24、25、26・・・の配列方向をX方向、Z方向およびX方向に垂直な方向をY方向として説明を行う。
【0032】
複数の回転ローラ24、25、26は、図示省略するローラ駆動手段により駆動されて所定の回転方向(
図4の矢印88参照)に回転し、搬送面22上の搬送対象物を、回転ローラ24、25、26の配列方向(X方向)に移動させる。ローラ駆動手段としては、回転モータおよびモータの駆動力を回転ローラ24、25、26に伝えるチェーンやベルトを用いるものや、回転モータおよび駆動シャフトやギア機構を用いるものや、回転ローラ24、25、26に内蔵されるモータなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0033】
図1および
図3に示す搬送ローラコンベア20では、複数の回転ローラ24、25,26・・・のうち少なくとも1つが、紫外線C波を生じる紫外線照射部32を有する棒状体30に置き換えられている。このため、搬送ローラコンベア20は、搬送対象物が搬送面22上を移動する間に、特にその搬送対象物の底面に対して、紫外線を照射することができる。
【0034】
図1および
図3に示す搬送ローラコンベア20では、1/7の回転ローラが棒状体30に置き換えられているが、搬送ローラコンベア20としてはこれのみには限定されない。搬送ローラコンベア20は、たとえば、1/2~1/10の回転ローラが棒状体30に置き換えられていてもよく、また、1つのみの回転ローラが棒状体30に置き換えられていてもよい。ただし、
図1および
図3に示すように、搬送ローラコンベア20は、少なくとも2つの棒状体30を有することが、搬送対象物に効率的に紫外線を照射する観点から好ましい。また、棒状体30を搬送方向(X方向)に連続して配置せず、搬送ローラコンベア20の端部である場合を除き、棒状体30の搬送方向両側には、回転ローラ24、25、26が配置されていることが、搬送対象物を円滑に搬送する上で好ましい。
【0035】
図3に示すように、棒状体30の両端は、複数の回転ローラ24、25、26の両端を支持するサイドフレーム42に接続している。
図3に示す棒状体30および棒状体30が有する紫外線照射部32は、サイドフレーム42に対して回転不可に固定されている。棒状体30がサイドフレーム42に固定されていることにより、棒状体30の強度を向上させることができる。また、紫外線照射部32がサイドフレーム42に対して固定されていることにより、紫外線C波を生じる紫外線照射部32への配線経路を単純化できる。
【0036】
ただし、棒状体30としては、サイドフレーム42に対して固定されているもののみには限定されず、たとえば、棒状体30は、回転ローラ24、25、26と同様にローラ駆動手段により所定の回転方向に回転されてもよく、後述する変形例に係る棒状体130(
図5参照)のように、棒状体130の一部が回転可能であってもよい。
【0037】
図4は、
図3に示す第1断面22aによる棒状体30および回転ローラ24、25、26の断面図である。
図4に示すように、棒状体30における第1断面22a(
図3参照)による断面である棒状体断面30aは円形であり、かつ、棒状体断面30aの直径は、回転ローラ24の第1断面22aによる断面であるローラ断面24aの直径と略等しい。したがって、
図3および
図4に示すように、棒状体30は略円柱状の外形状を有しており、回転ローラ24、25、26と同様の形状である。ただし、後述する保護部34や、下部カバー部36が、紫外線照射部32に対して分離していてもよく、棒状部40は、円柱状以外の形状であってもよい。
【0038】
図4に示すように、棒状体30の上端は、搬送面22(回転ローラ25、26、27の上側共通接線)と同じ高さに揃えられることが好ましい。このような棒状体30は、搬送対象物の円滑な搬送をサポートしつつ、かつ、紫外線照射部32を搬送対象物の底面に近づけることができる。
【0039】
図3および
図4に示すように、紫外線照射部32は、棒状体30の内部を、搬送面22とは平行であって搬送方向(X方向)とは垂直なY方向に沿って延びている。紫外線照射部32がY軸方向に延びていることにより、搬送ローラコンベア20は、搬送対象物の底面全体に紫外線を照射することができる。紫外線照射部32としては、強い殺菌作用のある紫外線C波(波長100~280nm)を含む電磁波を照射するものであれば特に限定されないが、特殊高圧水銀ランプや、UV-LED光源などが挙げられる。
【0040】
図4に示すように、棒状体30は、紫外線照射部32の搬送面22側を被覆する保護部34と、紫外線照射部32の搬送面22とは反対側の下面側を被覆する下部カバー部36とを有する。保護部34は、たとえば透明なガラスや透明な樹脂のような、紫外線透過性の材料で構成される。一方、下部カバー部36は、金属などの紫外線非透過性の材料により構成される。
【0041】
図4に示す棒状体30が有する保護部34および下部カバー部36は、サイドフレーム42に固定されており、棒状体30の強度を高めることができる。さらに、下部カバー部36が金属性である場合は、棒状体30を補強する効果を高めることができる。また、下部カバー部36の内面を反射面とすることにより、紫外線照射部32から生じる紫外線を反射して、搬送面22側に紫外線を集めることができる。なお、保護部34および下部カバー部36は、紫外線照射部32に対して相対回転することができない。
【0042】
図5は、変形例に係る棒状体130および棒状体130周辺の回転ローラ24、25、26を示す断面図である。棒状体130は、回転カバー部138を有する点で、
図4に示す棒状体30とは異なる。
図5に示す回転カバー部138は、紫外線照射部32によって挿通される中空筒状であって、紫外線照射部32に対して相対回転する。回転カバー部138は、
図4に示す保護部34と同様に、たとえば透明なガラスや透明な樹脂のような、紫外線透過性の材料で構成される。このように、回転カバー部138が、紫外線照射部32の周りを摺動しながら回転することにより、棒状体130は、フリーローラのような機能を果たすことができる。
【0043】
図1および
図3に示す搬送ローラコンベア20では、棒状体30に代えて、棒状体130を用いることも可能である。
【0044】
図1に示すように、紫外線殺菌装置10は、搬送ローラコンベア20の周辺を覆う紫外線遮蔽部50を有する。紫外線遮蔽部50は、搬送面22に平行に延びる天井壁部51と、少なくとも天井壁部51の高さから搬送面22の高さまで搬送面22とは垂直に搬送方向であるX方向に沿って延びる第1側壁部52と、少なくとも天井壁部51の高さから搬送面22の高さまで、かつ、第1側壁部52に平行に搬送方向であるX方向に沿って延びる第2側壁部53とを有する。第1側壁部52と、第2側壁部53とは、天井壁部51におけるY軸方向の一方の端部と他方の端部とに、それぞれ接続している。
【0045】
第1側壁部52は、搬送面22の一方側(Y負方向側)に配置されており、第2側壁部53は、搬送面22bの他方側(Y正方向側)に配置されている。また、紫外線遮蔽部50の搬送方向(X方向)の長さは、搬送ローラコンベア20の搬送方向(X方向)の長さと略等しい。これにより、搬送ローラコンベア20の上下左右が紫外線遮蔽部50により囲まれ、紫外線の漏出が防止される。紫外線遮蔽部50は、紫外線非透過性の金属材料や樹脂材料、木材などで構成され、たとえばアルミニウム板や不透明の樹脂ボードなどを用いて作製することができる。
【0046】
図1に示すように、天井壁部51における搬送面22側の面である天井内面51aには、紫外線C波を生じる天井紫外線照射部61が設けられている。また、第1側壁部における搬送面22側の面である第1内面52aには、紫外線C波を生じる第1内面紫外線照射部が設けられている。さらに、第2側壁部53における搬送面22側の面である第2内面53aには、紫外線C波を生じる第2内面紫外線照射部63が設けられている。
【0047】
天井紫外線照射部61、第1内面紫外線照射部62および第2内面紫外線照射部63は、紫外線照射部32と同様に、強い殺菌作用のある紫外線C波(波長100~280nm)を含む電磁波を照射する特殊高圧水銀ランプや、UV-LED光源などで構成される。紫外線殺菌装置10は、搬送面22を搬送される搬送対象物の全面に効率的に紫外線C波を照射し、効果的に搬送対象物の表面を殺菌できる。なお、搬送対象部物の底面は、他の面に比べて紫外線を照射されている時間が短いが、搬送対象物の底面は、棒状体30の紫外線照射部32からの照射距離が短いため、短時間で他の面と同程度の殺菌を行うことができる。
【0048】
図1に示すように、紫外線遮蔽部50における搬送方向(X方向)における一方の端部である搬入口枠部54には、第1接続具54aが設けられており、紫外線遮蔽部50における搬送方向(X方向)における他方の端部である搬出口枠部55には、第2接続具55aが設けられている。第1接続具54aと第2接続具55aとは互いに連結可能になっており、複数の紫外線遮蔽部50を、第1接続具54aおよび第2接続具55aを介して繋ぐことができる。
【0049】
また、搬入口枠部54には、搬送ローラコンベア20の搬送対象物を搬入する搬入口56からの紫外線の漏出を防止するために、
図2に示すような搬入口遮蔽カーテン58が、着脱自在に設けられる。同様に、搬出口枠部55にも、搬送ローラコンベア20の搬送対象物を搬出する搬出口57からの紫外線の漏出を防止する搬出口遮蔽カーテンが着脱自在に設けられる。なお、搬出口遮蔽カーテンは、
図2に示す搬入口遮蔽カーテン58と同様である。
図2に示すような搬入口遮蔽カーテン58および搬出口遮蔽カーテンは、複数の紫外線遮蔽部50を接続するときには、その接続部分の搬入口枠部54および搬出口枠部55からは取り外すことが可能である。
【0050】
搬入口56には、搬送ローラコンベア20に搬送対象物を流しこみやすくするためのフリーローラ部68が、搬送ローラコンベア20に設けられている。また、搬出口57には、搬送ローラコンベア20から出てきた搬送対象物を支持するためのフリーローラ部69が設けられている。なお、複数の搬送ローラコンベア20および紫外線遮蔽部50を接続すれば、搬送方向の長さの長い搬送ローラコンベアおよび紫外線殺菌装置を容易に構成することができる。
【0051】
搬送ローラコンベア20および紫外線殺菌装置10は、紫外線照射部32、天井紫外線照射部61、第1内面紫外線照射部62および第2内面紫外線照射部63に適切に電力を供給するためのインバータ46を有する。また、第1側壁部52の外面には、操作パネル66が設けられている。操作パネル66を操作することにより、搬送ローラコンベア20を駆動・停止させたり、紫外線照射部32、天井紫外線照射部61、第1内面紫外線照射部62および第2内面紫外線照射部63を点灯・消灯させたりすることができる。
【0052】
紫外線遮蔽部50の外壁には、紫外線照射部32、天井紫外線照射部61、第1内面紫外線照射部62および第2内面紫外線照射部63などが点灯しており、紫外線殺菌装置10において紫外線を発生させていることを知らせる警告灯64が設けられている。また、紫外線殺菌装置10には、搬送ローラコンベア20を緊急停止させるロープ式非常停止スイッチ(不図示)が設けられていてもよい。
【0053】
以上、実施形態を挙げて本発明に係る紫外線殺菌装置10および搬送ローラコンベア20を説明してきたが、本発明はこれらの実施形態のみには限定されず、他の多くの実施形態や変形例を有することは言うまでもない。
【0054】
たとえば、紫外線遮蔽部50の脚には、キャスターが取り付けられていてもよく、このような紫外線遮蔽部50は、必要に応じて容易に移動させることができる。また、紫外線遮蔽部50の天井壁部51と第1側壁部52および第2側壁部53とは、蝶番式の金具等により折り畳み可能に接続されていてもよい。このような紫外線遮蔽部50は、収納時および搬送時は場所をとらず、必要なときには素早く組み立てることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…紫外線殺菌装置
20…紫外線照射搬送ローラコンベア(搬送ローラコンベア)
22…搬送面
22a…第1断面
24、25、26…回転ローラ
24a…ローラ断面
30、130…棒状体
32…紫外線照射部
30a…棒状体断面
34…保護部
36…下部カバー部
138…回転カバー部
42…サイドフレーム
46…インバータ
50…紫外線遮蔽部
51…天井壁部
51a…天井内面
52…第1側壁部
52a…第1内面
53…第2側壁部
53a…第2内面
54…搬入口枠部
54a…第1接続具
55…搬出口枠部
55a…第2接続具
56…搬入口
57…搬出口
58…搬入口遮蔽カーテン
61…天井紫外線照射部
62…第1内面紫外線照射部
63…第2内面紫外線照射部
64…警告灯
66…操作パネル
68、69…フリーローラ部
【手続補正書】
【提出日】2021-06-15
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】公開実用新案S64-26041号公報