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特開2022-144811光学ユニット及び干渉型光磁界センサ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144811
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】光学ユニット及び干渉型光磁界センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/032 20060101AFI20220926BHJP
   G02B 27/28 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G01R33/032
G02B27/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045982
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】久保 利哉
(72)【発明者】
【氏名】宮本 光教
(72)【発明者】
【氏名】饗場 哲也
(72)【発明者】
【氏名】土屋 智春
(72)【発明者】
【氏名】須江 聡
【テーマコード(参考)】
2G017
2H199
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AD12
2G017AD15
2G017BA05
2G017BA15
2H199AB45
2H199AB47
2H199AB48
(57)【要約】
【課題】干渉型光磁界センサ装置の小型化が可能な光学ユニットを提供する。
【解決手段】光学ユニット1は、第1直線偏光と第2直線偏光を出射し、且つ、第3直線偏光及び第4直線偏光が入射される第1偏光素子と、第1直線偏光及び第4直線偏光を伝搬する第1光路、及び、第2直線偏光及び第3直線偏光を伝搬する第2光路を有する光路部とを有し、光路部は、第1偏光素子から入射された第1直線偏光及び第2直線偏光を第1光路及び第2光路のそれぞれに分波すると共に、第2光路を伝搬した第3直線偏光及び第1光路を伝搬した第4直線偏光を合波して第1偏光素子に出射する第1複屈折素子と、第1光路を伝搬した第1直線偏光及び第2光路を伝搬した第2直線偏光を合波して第2ポートに出射すると共に、第2ポートから入射された第3直線偏光及び第4直線偏光を第1光路及び第2光路のそれぞれに分波する第2複屈折素子とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直線偏波光が入射される第1ポートと、
前記第1直線偏波光が入射されることに応じて、第1直線偏光と前記第1直線偏光に直交する第2直線偏光を出射し、且つ、第3直線偏光及び前記第3直線偏光と直交する第4直線偏光が入射されることに応じて、第2直線偏波光を出射する第1偏光素子と、
前記第1偏光素子に光学的に接続され、前記第1直線偏光及び前記第4直線偏光を伝搬する第1光路、及び、前記第2直線偏光及び前記第3直線偏光を伝搬する第2光路を有する光路部と、
前記第1直線偏波光及び前記第2直線偏波光を出射すると共に、前記第3直線偏光及び前記第4直線偏光が入射される第2ポートと、を有し、
前記光路部は、
前記第1偏光素子から入射された前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光を前記第1光路及び前記第2光路のそれぞれに分波すると共に、前記第2光路を伝搬した前記第3直線偏光及び前記第1光路を伝搬した前記第4直線偏光を合波して前記第1偏光素子に出射する第1複屈折素子と、
前記第1光路を伝搬した前記第1直線偏光及び前記第2光路を伝搬した前記第2直線偏光を前記第2ポートに出射すると共に、前記第2ポートから入射された前記第3直線偏光及び前記第4直線偏光を前記第1光路及び前記第2光路のそれぞれに出射する第2複屈折素子と、
を有する、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記光路部は、前記第1光路に配置され、前記第3直線偏光と前記第4直線偏光との間の位相差が90度になるように、前記第1直線偏光及び前記第4直線偏光の位相を調整する第2光学素子を更に有する、請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記第2直線偏波光が前記第1偏光素子から入射されことに応じて、前記第2直線偏波光を第5直線偏光と前記第5直線偏光に直交する第6直線偏光とに分波する第3複屈折素子を更に有する、請求項1又は2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記第3複屈折素子から前記第5直線偏光及び前記第6直線偏光が入射される第4複屈折素子と、
前記第4複屈折素子から前記第5直線偏光が入射される第3ポートと、
前記第4複屈折素子から前記第6直線偏光が入射される第4ポートと、
を更に有する、請求項3に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記第1複屈折素子、前記第2複屈折素子、前記第3複屈折素子及び前記第4複屈折素子は、方解石により形成される、請求項4に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記第1複屈折素子と前記第2複屈折素子とは、空間結合される、請求項1~5の何れか一項に記載の光学ユニット。
【請求項7】
第1直線偏波光を出射する発光部と、
少なくともその一部が所定の磁界内に配置可能であり、入射光が入射されることに応じて戻り光を出射する磁界センサ素子と、
前記第1直線偏波光が入射される第1ポート、前記入射光を出射すると共に前記戻り光が入射される第2ポート、並びに前記戻り光を分波した第5直線偏光及び第6直線偏光を出射する第3ポート及び第4ポートを有する光学ユニットと、
前記第5直線偏光及び前記第6直線偏光を受光して電気信号に変換することで、前記磁界センサ素子に印加される磁界に応じた検出信号を出力する検出信号発生部と、を有し、
前記光学ユニットは、
前記第1直線偏波光が入射されることに応じて、第1直線偏光と前記第1直線偏光に直交する第2直線偏光を出射し、且つ、第3直線偏光及び前記第3直線偏光と直交する第4直線偏光が入射されることに応じて、第2直線偏波光を出射する第1偏光素子と、
前記第1偏光素子に光学的に接続され、前記第1直線偏光及び前記第4直線偏光を伝搬する第1光路、及び、前記第2直線偏光及び前記第3直線偏光を伝搬する第2光路を有する光路部と、
前記第2直線偏波光が前記第1偏光素子から入射されことに応じて、前記第2直線偏波光を第5直線偏光と前記第5直線偏光に直交する第6直線偏光とに分波する第3複屈折素子と、を有し、
前記光路部は、
前記第1偏光素子から入射された前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光を前記第1光路及び前記第2光路のそれぞれに分波すると共に、前記第2光路を伝搬した前記第3直線偏光及び前記第1光路を伝搬した前記第4直線偏光を合波して前記第1偏光素子に出射する第1複屈折素子と、
前記第1光路を伝搬した前記第1直線偏光及び前記第2光路を伝搬した前記第2直線偏光を合波して前記第2ポートに出射すると共に、前記第2ポートから入射された前記第3直線偏光及び前記第4直線偏光を前記第1光路及び前記第2光路のそれぞれに分波する第2複屈折素子と、
を有する、ことを特徴とする干渉型光磁界センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニット及び干渉型光磁界センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの先端に配置されたファラデー回転子を透過した光を光電変換してファラデー回転子に印加される磁界に応じた検出信号を生成する干渉型光磁界センサ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載される干渉型光磁界センサ装置は、S偏光成分及びP偏光成分のそれぞれの強度に比例する電気信号の差動信号を反転増幅して直流成分が除去された検出信号を生成するので、検出される磁界に応じた検出信号のSN比を高くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-126007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される干渉型光磁界センサ装置は、ビームスプリッタ及び所定の長さを有する光ファイバを使用してS偏光成分の光とP偏光成分の光が通る光路を形成しているので、小型化することは容易ではない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、干渉型光磁界センサ装置の小型化が可能な光学ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光学ユニットは、第1直線偏波光が入射される第1ポートと、第1直線偏波光が入射されることに応じて、第1直線偏光と第1直線偏光に直交する第2直線偏光を出射し、且つ、第3直線偏光及び第3直線偏光と直交する第4直線偏光が入射されることに応じて、第2直線偏波光を出射する第1偏光素子と、第1偏光素子に光学的に接続され、第1直線偏光及び第4直線偏光を伝搬する第1光路、及び、第2直線偏光及び第3直線偏光を伝搬する第2光路を有する光路部と、第1直線偏波光及び第2直線偏波光を出射すると共に、第3直線偏光及び第4直線偏光が入射される第2ポートとを有し、光路部は、第1偏光素子から入射された第1直線偏光及び第2直線偏光を第1光路及び第2光路のそれぞれに分波すると共に、第2光路を伝搬した第3直線偏光及び第1光路を伝搬した第4直線偏光を合波して第1偏光素子に出射する第1複屈折素子と、第1光路を伝搬した第1直線偏光及び第2光路を伝搬した第2直線偏光を合波して第2ポートに出射すると共に、第2ポートから入射された第3直線偏光及び第4直線偏光を第1光路及び第2光路のそれぞれに分波する第2複屈折素子とを有する。
【0007】
さらに、本発明に係る光学ユニットでは、光路部は、第1光路に配置され、第3直線偏光と第4直線偏光との間の位相差が90度になるように、第1直線偏光及び第4直線偏光の位相を調整する第2光学素子を更に有することが好ましい。
【0008】
さらに、本発明に係る光学ユニットは、第2直線偏波光が第1偏光素子から入射されことに応じて、第2直線偏波光を第5直線偏光と第5直線偏光に直交する第6直線偏光とに分波する第3複屈折素子を更に有することが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る光学ユニットは、第3複屈折素子から第5直線偏光及び第6直線偏光が入射される第4複屈折素子と、第4複屈折素子から第5直線偏光が入射される第3ポートと、第4複屈折素子から第6直線偏光が入射される第4ポートとを更に有することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る光学ユニットでは、第1複屈折素子と第2複屈折素子とは、空間結合されることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る干渉型光磁界センサ装置は、第1直線偏波光を出射する発光部と、少なくともその一部が所定の磁界内に配置可能であり、入射光が入射されることに応じて戻り光を出射する磁界センサ素子と、第1直線偏波光が入射される第1ポート、入射光を出射すると共に戻り光が入射される第2ポート、並びに戻り光を分波した第5直線偏光及び第6直線偏光を出射する第3ポート及び第4ポートを有する光学ユニットと、第5直線偏光及び第6直線偏光を受光して電気信号に変換することで、磁界センサ素子に印加される磁界に応じた検出信号を出力する検出信号発生部とを有し、光学ユニットは、第1直線偏波光が入射されることに応じて、第1直線偏光と第1直線偏光に直交する第2直線偏光を出射し、且つ、第3直線偏光及び第3直線偏光と直交する第4直線偏光が入射されることに応じて、第2直線偏波光を出射する第1偏光素子と、第1偏光素子に光学的に接続され、第1直線偏光及び第4直線偏光を伝搬する第1光路、及び、第2直線偏光及び第3直線偏光を伝搬する第2光路を有する光路部と、第2直線偏波光が第1偏光素子から入射されことに応じて、第2直線偏波光を第5直線偏光と第5直線偏光に直交する第6直線偏光とに分波する第3複屈折素子と、を有し、光路部は、第1偏光素子から入射された第1直線偏光及び第2直線偏光を第1光路及び第2光路のそれぞれに分波すると共に、第2光路を伝搬した第3直線偏光及び第1光路を伝搬した第4直線偏光を合波して第1偏光素子に出射する第1複屈折素子と、第1光路を伝搬した第1直線偏光及び第2光路を伝搬した第2直線偏光を合波して第2ポートに出射すると共に、第2ポートから入射された第3直線偏光及び第4直線偏光を第1光路及び第2光路のそれぞれに分波する第2複屈折素子とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る光学ユニットを使用することで、干渉型光磁界センサ装置は、小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る干渉型光磁界センサ装置のブロック図である。
図2図1に示す光学ユニットの平面図である。
図3図2に示す第1複屈折素子の光学特性を示す図である。
図4】(a)は図2に示す光学ユニットにおける第1直線偏波光の光路図であり、(b)は(a)に示す第1直線偏波光の偏光面の遷移を示す図である。
図5】(a)は図2に示す光学ユニットにおける第2直線偏波光の光路図であり、(b)は(a)に示す第2直線偏波光の偏光面の遷移を示す図である。
図6図1に示す干渉型光磁界センサ装置及び比較例に係る干渉型光磁界センサ装置の出力強度とノイズとの関係を示す図である。
図7】変形例に係る光学ユニットの平面図である。
図8図8に示す光学ユニットにおける第1直線偏波光の光路図である。
図9図8に示す光学ユニットにおける第2直線偏波光の光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る光学ユニット及び干渉型光磁界センサ装置について図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
(実施形態に係る干渉型光磁界センサ装置の構成及び機能)
図1は、実施形態に係る干渉型光磁界センサ装置のブロック図である。
【0016】
干渉型光磁界センサ装置100は、光学ユニット1と、発光部110と、1/4波長板120と、平凸レンズ130と、磁界センサ素子140と、検出信号発生部150とを有し、磁界センサ素子140に印加される磁界に応じた検出信号を出力する。
【0017】
発光部110は、発光素子111と、アイソレータ112と、偏光子113とを有する。発光素子111は、例えば半導体レーザ又は発光ダイオードである。具体的には、発光素子111として、ファブリペローレーザー、スーパールミネッセンスダイオード等を好ましく用いることができる。
【0018】
アイソレータ112は、発光素子111から入射された光を光学ユニット1側に透過すると共に、光学ユニット1から入射された光を発光素子111側に透過しないことで、発光素子111を保護する。アイソレータ112は、例えば偏光依存型光アイソレータであり、偏光無依存型光アイソレータであってもよい。
【0019】
偏光子113は、発光素子111が発した光を直線偏波光B1にするための光学素子であり、その種類は特に限定されない。偏光子113で得られる第1直線偏波光B1は、光学ユニット1に入射される。
【0020】
光学ユニット1は、筐体10と、第1ポート11と、第2ポート12と、第3ポート13と、第4ポート14とを有し、出射する第5直線偏光B2P3と第6直線偏光B2P4の位相差が90度になるように入射される光の位相を調整する。筐体10は、アルミニウム等の熱伝導率が高い部材で形成された収容部であり、光学ユニット1が有する種々の光学素子を所定の位置に配置する。
【0021】
第1ポート11は、第1直線偏波光B1を入射する入力ポートであり、筐体10の長手方向の一方の端面の中央部に配置され、第1直線偏波光B1が入射される。第2ポート12は、磁界センサ素子140に入射される入射光BIを出射すると共に、磁界センサ素子140からの戻り光BRが入射される入出力ポートであり、筐体10の長手方向の他方の端面の中央部に配置される。
【0022】
第3ポート13は、第5直線偏光B2P3を出射する出力ポートであり、筐体10の長手方向の一方の端面の一端に配置される。第4ポート14は、第6直線偏光B2P4を出射する出力ポートであり、筐体10の長手方向の一方の端面の他端に配置される。
【0023】
1/4波長板120は、水晶等の複屈折材料で形成され、第1直線偏波光B1の偏光面の向きに対して光軸が45度傾斜して配置される。1/4波長板120は、第2ポート12から出射される入射光BIの直線偏光成分である第1入射偏光BIP1及び第2入射偏光BIP2を、磁界センサ素子140に入射される円偏光に変換して、平凸レンズ130に出射する。また、1/4波長板120は、磁界センサ素子140から円偏光として入射される戻り光BRを直線偏光成分である戻り光BRP1及び戻り光BRP2に変換する。
【0024】
平凸レンズ130は、1/4波長板120から出射された入射光BIを磁界センサ素子140に集光すると共に、磁界センサ素子140から出射された戻り光BRを磁界センサ素子140に集光する。
【0025】
磁界センサ素子140は、ファラデー回転子141と、ミラー素子142とを有し、少なくともその一部が所定の磁界内に配置可能な素子である。磁界センサ素子140は、平凸レンズ130から入射光BIが入射されると共に、入射された入射光BIに応じた戻り光BRを平凸レンズ130に出射する。
【0026】
ファラデー回転子141は、誘電体と、誘電体から安定的に相分離した状態で誘電体中に分散しているナノオーダの磁性体粒子とを有するグラニュラー膜であり、平凸レンズ130から平凸レンズ130の焦点距離だけ離隔して配置される。磁性体粒子は、例えば最表層等のごく一部では酸化物が形成されていてもよいが、ファラデー回転子141の全体では、磁性体粒子が、バインダとなる誘電体と化合物を作らずに、単独で薄膜中に分散している。ファラデー回転子141内における磁性体粒子の分布は、完全に一様でなくてもよく、多少偏っていてもよい。誘電体として透明性が高いものを用いれば、誘電体中に磁性体粒子が光の波長よりも小さいサイズで存在することにより、ファラデー回転子141は光透過性を有する。
【0027】
ファラデー回転子141は、単層のものに限らず、グラニュラー膜と誘電体膜とが交互に積層した多層膜であってもよい。グラニュラー膜を多層膜することでファラデー回転子141を形成することで、グラニュラー膜内での多重反射によって、より大きなファラデー回転角が得られる。
【0028】
誘電体は、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化イットリウム(YF3)等のフッ化物(金属フッ化物)が好ましい。また、誘電体は、酸化タンタル(Ta25)、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化二ニオビウム(Nb25)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化ハフニウム(HfO2)、及び三酸化二アルミニウム(Al23)等の酸化物であってもよい。誘電体と磁性体粒子との良好な相分離のためには、酸化物よりもフッ化物の方が好ましく、透過率が高いフッ化マグネシウムが特に好ましい。
【0029】
磁性体粒子の材質は、ファラデー効果を生じるものであればよく、特に限定されないが、磁性体粒子の材質としては、強磁性金属である鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)並びにこれらの合金が挙げられる。Fe、Co及びNiの合金としては、例えば、FeNi合金、FeCo合金、FeNiCo合金、NiCo合金が挙げられる。Fe、Co及びNiの単位長さ当たりのファラデー回転角は、従来のファラデー回転子に適用されている磁性ガーネットに比べて2~3桁近く大きい。
【0030】
ミラー素子142は、ファラデー回転子141上に形成されており、ファラデー回転子141を透過した光をファラデー回転子141に向けて反射する。ミラー素子142としては、例えば、銀(Ag)膜、金(Au)膜、アルミニウム(Al)膜又は誘電体多層膜ミラー等を用いることができる。特に、反射率の高いAg膜及び耐食性が高いAu膜が成膜上簡便で好ましい。ミラー素子142の厚さは、98%以上の十分な反射率を確保できる大きさであればよく、例えばAg膜の場合には、50nm以上かつ200nm以下であることが好ましい。ミラー素子142を用いてファラデー回転子141内で光を往復させることにより、ファラデー回転角を大きくすることができる。
【0031】
磁界センサ素子140では、入射光BIがミラー素子142に向かってファラデー回転子141の内部を伝搬するときに、ファラデー回転子141に印加される磁界に応じて位相をθF変化させる。また、ミラー素子142から反射した戻り光BRがファラデー回転子141の内部を伝搬するときに、ファラデー回転子141に印加される磁界に応じて位相をθF変化させる。入射光BIと戻り光BRとの位相差は2θFである。
【0032】
検出信号発生部150は、第1受光素子151と、第2受光素子152と、信号処理回路153とを有し、光学ユニット1において第5直線偏光B2P3及び第6直線偏光B2P4に分波された戻り光BRを受光する。
【0033】
第1受光素子151及び第2受光素子152のそれぞれは、例えばPINフォトダイオードである。第1受光素子151は第5直線偏光B2P3を受光し、第2受光素子152は第6直線偏光B2P4を受光する。第1受光素子151及び第2受光素子152のそれぞれは、受光した光を光電変換して、受光した光の光量の応じた電気信号を出力する。信号処理回路153は、第5直線偏光B2P3を示す電気信号及び第6直線偏光B2P4を示す電気信号を差動増幅することで、磁界センサ素子に印加される磁界に応じた検出信号Edを、オシロスコープ等の表示装置に出力する。
【0034】
図2は、光学ユニット1の平面図である。
【0035】
光学ユニット1は、第1複屈折素子21と、第2複屈折素子22と、第3複屈折素子23と、第4複屈折素子24とを更に有する。光学ユニット1は、第1ファラデー回転子25と、第2ファラデー回転子26と、第1(1/2)波長板27と、第2(1/2)波長板28と、第1(1/4)波長板29と、第2(1/4)波長板30とを更に有する。光学ユニット1は、第1光学素子31と、第2光学素子32と、第1基台33と、第2基台34と、第3基台35とを更に有する。第1複屈折素子21、第2複屈折素子22、第2ファラデー回転子26、第1(1/4)波長板29及び第2(1/4)波長板30は、光路部20を形成する。光学ユニット1に含まれる光学素子である第1複屈折素子21~第2光学素子32のそれぞれは、光ファイバを介することなく空間結合される。
【0036】
第1ポート11は、第1直線偏波光B1が発光部110から入射され、入射された第1直線偏波光B1を第1ファラデー回転子25に出射する。
【0037】
第2ポート12は、入射光BIが第2複屈折素子22から入射され、入射された入射光BIを1/4波長板120に出射する。また、第2ポート12は、戻り光BRが1/4波長板120から入射され、入射された戻り光BRを第2複屈折素子22に出射する。
【0038】
第3ポート13は、第5直線偏光B2P3が第1光学素子31から入射され、入射された第5直線偏光B2P3を第1受光素子151に出射する。第4ポート14は、第6直線偏光B2P4が第2光学素子32から入射され、入射された第6直線偏光B2P4を第2受光素子152に出射する。
【0039】
第1複屈折素子21、第2複屈折素子22、第3複屈折素子23及び第4複屈折素子24は、例えば方解石(CaCO3)により形成される複屈折素子である。
【0040】
図3は、第1複屈折素子21の光学特性を示す図である。
【0041】
第1複屈折素子21は、第1面21aと、第2面21bと、光軸21cとを有し、単一の光路を伝搬する偏波光Bを第1面21aから入出力すると共に、2つの光路を伝搬する第1偏光BP1及び第2偏光BP2を第2面21bから入出力する。第1偏光BP1は、図3において水平方向に偏光面を有し、常光線とも称される。また、第2偏光BP2は、図3において鉛直方向に偏光面を有し、異常光線とも称される。第1複屈折素子21は、所望の第1偏光BP1及び第2偏光BP2を入出射可能となる向きに光軸21cが向くように配置される。
【0042】
第1複屈折素子21は、第1面21aに偏波光Bが入射したとき、第1複屈折素子21の長手方向に沿って伝搬する第1偏光BP1と、第1複屈折素子21の長手方向から傾斜して伝搬する第2偏光BP2とに偏波光Bを分波する。第1複屈折素子21は、第1面21aに偏波光Bが入射したとき、第1偏光BP1及び第2偏光BP2を第2面21bから出射する。第1複屈折素子21は、第2面21bに第1偏光BP1及び第2偏光BP2が入射したとき、第1偏光BP1と第2偏光BP2とを合波して、偏波光Bを第1面21aから出射する。
【0043】
第2複屈折素子22、第3複屈折素子23及び第4複屈折素子24は、第1複屈折素子21と同様な光学特性を有するので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0044】
第1複屈折素子21は、第1面21aが第2(1/2)波長板28に対向すると共に、第2面21bが第1(1/4)波長板29に対向するように配置される。第2複屈折素子22は、第1面21aが第2(1/4)波長板30に対向すると共に、第2面21bが第2ポート12に対向するように配置される。
【0045】
第3複屈折素子23は、第1面21aが第2(1/2)波長板28に対向すると共に、第2面21bが第1(1/2)波長板27に対向するように配置される。第4複屈折素子24は、第1面21aが第1ファラデー回転子25に対向すると共に、第2面21bが第1ポート11、第1光学素子31及び第2光学素子32に対向するように配置される。
【0046】
第1ファラデー回転子25及び第2ファラデー回転子26は、ビスマス鉄ガーネット等の強磁性体材料で形成され、入射する直線偏光及び円偏光の位相を45度シフトさせる。第1ファラデー回転子25は、第4複屈折素子24と第1(1/2)波長板27との間に配置される。第2ファラデー回転子26は、第1(1/4)波長板29と第2(1/4)波長板30との間に配置され、第2偏光素子とも称される。
【0047】
第1(1/2)波長板27及び第2(1/2)波長板28は、水晶等の複屈折材料で形成され、発光部110から入射される第1直線偏波光B1の偏光面の向きに対して光軸が22.5度傾斜して配置され、入射する直線偏光の位相を45度シフトさせる。第1(1/2)波長板27は、第1ファラデー回転子25と第3複屈折素子23との間に配置される。第2(1/2)波長板28は、第1複屈折素子21と第3複屈折素子23との間に配置され、第1偏光素子とも称される。
【0048】
第1(1/4)波長板29及び第2(1/4)波長板30は、水晶等の複屈折材料で形成され、発光部110から入射される第1直線偏波光B1の偏光面の向きに対して光軸が45度傾斜して配置され、直線偏光を円偏光に変換すると共に、円偏光を直線偏光に変換する。第1(1/4)波長板29は、第1複屈折素子21と第2ファラデー回転子26との間に配置される。第2(1/4)波長板30は、第2複屈折素子22と第2ファラデー回転子26との間に配置される。
【0049】
第1光学素子31及び第2光学素子32は、ロンボイドプリズムである。第1光学素子31は、第3ポート13と第4複屈折素子24との間に配置され、第4複屈折素子24から出射された第5直線偏光B2P3を第3ポート13に出射する。第2光学素子32は、第4ポート14と第4複屈折素子24との間に配置され、第4複屈折素子24から出射された第6直線偏光B2P4を第4ポート14に出射する。
【0050】
第1基台33、第2基台34及び第3基台35のそれぞれは、筐体10に固定される。第1基台33は、第1ファラデー回転子25及び第1(1/2)波長板27を、第3複屈折素子23と第4複屈折素子24との間に保持する。第2基台34は、第2(1/2)波長板28を、第3複屈折素子23と第1複屈折素子21との間に保持する。第3基台35は、第2ファラデー回転子26、第1(1/4)波長板29及び第2(1/4)波長板30を、第1複屈折素子21と第2複屈折素子22との間に保持する。
【0051】
図4(a)は光学ユニット1における第1直線偏波光B1の光路図であり、図4(b)は図4(a)に示す第1直線偏波光B1の偏光面の遷移を示す図である。
【0052】
まず、矢印Aに示すように、第1直線偏波光B1は、発光部110から第1ポート11を介して入射される。第1直線偏波光B1は、常光線であるので、第4複屈折素子24の内部を第4複屈折素子24の長手方向に沿って伝搬する。
【0053】
次いで、矢印Bに示すように、第1直線偏波光B1は、第4複屈折素子24から出射され、第1ファラデー回転子25に入射される。第1直線偏波光B1は、第1ファラデー回転子25の内部を伝搬するときに位相が45度シフトし、矢印Cに示すように、位相が45度シフトして第1ファラデー回転子25から出射され、第1(1/2)波長板27に入射する。
【0054】
第1直線偏波光B1は、第1(1/2)波長板27の内部を伝搬するときに位相が-45度シフトし、矢印Dに示すように、偏光面が第1ファラデー回転子25に入射する前に戻って第1(1/2)波長板27から出射され、第3複屈折素子23に入射する。第1直線偏波光B1は、常光線であるので、第3複屈折素子23の内部を第3複屈折素子23の長手方向に沿って伝搬する。
【0055】
次いで、矢印Eに示すように、第1直線偏波光B1は、第3複屈折素子23から出射され、第2(1/2)波長板28に入射される。第1直線偏波光B1は、第2(1/2)波長板28の内部を伝搬するときに位相が45度シフトし、矢印Fに示すように、位相が45度シフトして第2(1/2)波長板28から出射され、第1複屈折素子21に入射する。
【0056】
第1直線偏波光B1は、第1複屈折素子21に入射すると、常光線である第1直線偏光B1P1と、異常光線である第2直線偏光B1P2に分波される。第1直線偏波光B1は、常光線であるので、第1複屈折素子21の内部を第1複屈折素子21の長手方向に沿って伝搬する。
【0057】
矢印Gに示すように、第1直線偏光B1P1は、第1複屈折素子21を出射し、第1(1/4)波長板29に入射する。第1直線偏光B1P1は、第1(1/4)波長板29の内部を伝搬するときに第1円偏光B1C1に変換される。矢印Hに示すように、第1円偏光B1C1は、第1(1/4)波長板29から出射され、第2ファラデー回転子26に入射する。
【0058】
第1円偏光B1C1は、第2ファラデー回転子26の内部を伝搬するときに、円偏光の位相を45度シフトし、矢印Iに示すように、第2ファラデー回転子26から出射され、第2(1/4)波長板30に入射する。第1円偏光B1C1は、第2(1/4)波長板30の内部を伝搬するときに、第1直線偏光B1P1に変換される。矢印Jに示すように、第1直線偏光B1P1は、第2(1/4)波長板30から出射され、第2複屈折素子22に入射する。
【0059】
一方、異常光線である第2直線偏光B1P2は、第1複屈折素子21の内部を第1複屈折素子21の長手方向から傾斜して伝搬する。矢印Kに示すように、第2直線偏光B1P2は、第1複屈折素子21から出射され、第2複屈折素子22に入射する。
【0060】
第2複屈折素子22において、第1直線偏光B1P1は、第2複屈折素子22の内部を第2複屈折素子22の長手方向に沿って伝搬する。一方、第2直線偏光B1P2は、第2複屈折素子22の内部を第2複屈折素子22の長手方向から傾斜して伝搬する。矢印Lに示すように、第1直線偏光B1P1及び第2直線偏光B1P2は、合波されて第2複屈折素子22から入射光BIとして出射される。
【0061】
図5(a)は光学ユニット1における第2直線偏波光B2の光路図であり、図5(b)は図5(a)に示す第2直線偏波光B2の偏光面の遷移を示す図である。
【0062】
まず、矢印Aに示すように、戻り光BRは、1/4波長板120から第2ポート12を介して入射される。戻り光BRは、第3直線偏光B2P1と、第3直線偏光B2P1と直交する偏光成分である第4直線偏光B2P2とを有する。
【0063】
戻り光BRは、第2複屈折素子22に入射すると、第3直線偏光B2P1と、第4直線偏光B2P2とに分波される。第3直線偏光B2P1は、常光線であるので、第2複屈折素子22の内部を第2複屈折素子22の長手方向に沿って伝搬する。一方、第4直線偏光B2P2は、異常光線であるので、第2複屈折素子22の内部を第2複屈折素子22の長手方向から傾斜して伝搬する。
【0064】
矢印Bに示すように、第3直線偏光B2P1は、第2複屈折素子22から出射され、第2(1/4)波長板30に入射する。第3直線偏光B2P1は、第2(1/4)波長板30の内部を伝搬するときに、第3円偏波光B2C1に変換される。矢印Cに示すように、第3円偏波光B2C1は、第2(1/4)波長板30から出射し、第2ファラデー回転子26に入射する。
【0065】
第3円偏波光B2C1は、第2ファラデー回転子26の内部を伝搬するときに、円偏光の位相を-45度シフトし、矢印Dに示すように、第2ファラデー回転子26から出射され、第1(1/4)波長板29に入射する。第3円偏光B2C1は、第1(1/4)波長板29の内部を伝搬するときに、第3直線偏光B2P1に変換される。矢印Eに示すように、第3直線偏光B2P1は、第1(1/4)波長板29から出射され、第1複屈折素子21に入射する。
【0066】
一方、異常光線である第4直線偏光B2P2は、第2複屈折素子22の内部を第2複屈折素子22の長手方向から傾斜して伝搬する。矢印Fに示すように、第4直線偏光B2P2は、第2複屈折素子22から出射され、第1複屈折素子21に入射する。
【0067】
第1複屈折素子21において、第3直線偏光B2P1は、第1複屈折素子21の内部を第1複屈折素子21の長手方向に沿って伝搬する。一方、第4直線偏光B2P2は、第1複屈折素子21の内部を第1複屈折素子21の長手方向から傾斜して伝搬する。矢印Gに示すように、第3直線偏光B2P1及び第4直線偏光B2P2は、合波されて第1複屈折素子21から第2(1/2)波長板28に第2直線偏光B2として出射される。
【0068】
第2直線偏光B2は、第2(1/2)波長板28の内部を伝搬するときに、位相が-45度シフトして第2(1/2)波長板28から出射される。矢印Hに示すように、第3直線偏光B2P1及び第4直線偏光B2P2のそれぞれは、位相が-45度シフトして第3複屈折素子23に入射する。
【0069】
第3直線偏光B2P1及び第4直線偏光B2P2は、第3複屈折素子23の内部を伝搬するときに、異常光線である第5直線偏光B2P3と、常光線である第6直線偏光B2P4とに分波される。第5直線偏光B2P3は、異常光線であるので、矢印Iに示すように、第3複屈折素子23の内部を第3複屈折素子23の長手方向から傾斜して伝搬して、第3複屈折素子23から出射し、第1(1/2)波長板27に入射する。
【0070】
第5直線偏光B2P3は、第1(1/2)波長板27の内部を伝搬するときに位相が-45度シフトし、矢印Jに示すように、位相が-45度シフトして第1(1/2)波長板27から出射され、第1ファラデー回転子25に入射する。
【0071】
第5直線偏光B2P3は、第1ファラデー回転子25の内部を伝搬するときに位相が更に-45度シフトし、矢印Kに示すように、位相が更に-45度シフトして第1ファラデー回転子25から出射され、第4複屈折素子24に入射する。
【0072】
第5直線偏光B2P3は、常光線であるので、矢印Lに示すように、第4複屈折素子24の内部を第3複屈折素子23の長手方向に沿って伝搬して、第4複屈折素子24から出射し、第1光学素子31に入射する。第5直線偏光B2P3は、第1光学素子31を介して第3ポート13から出射される。
【0073】
第6直線偏光B2P4は、常光線であるので、矢印Mに示すように、第3複屈折素子23の内部を第3複屈折素子23の長手方向に沿って伝搬して、第3複屈折素子23から出射し、第1(1/2)波長板27に入射する。
【0074】
第6直線偏光B2P4は、第1(1/2)波長板27の内部を伝搬するときに位相が-45度シフトし、矢印Nに示すように、位相が-45度シフトして第1(1/2)波長板27から出射され、第1ファラデー回転子25に入射する。
【0075】
第6直線偏光B2P4は、第1ファラデー回転子25の内部を伝搬するときに位相が更に-45度シフトし、矢印Oに示すように、位相が更に-45度シフトして第1ファラデー回転子25から出射され、第4複屈折素子24に入射する。
【0076】
第6直線偏光B2P4は、異常光線であるので、矢印Pに示すように、第4複屈折素子24の内部を第3複屈折素子23の長手方向から傾斜して伝搬して、第4複屈折素子24から出射し、第2光学素子32に入射する。第6直線偏光B2P4は、第2光学素子32を介して第4ポート14から出射される。
【0077】
(実施形態に係る光学ユニットの作用効果)
光学ユニット1は、分波処理及び合波処理を実行する素子として、ビームスプリッタよりも小型化が可能な複屈折素子を採用しているので、干渉型光磁界センサ装置100は、ビームスプリッタを使用する干渉型光磁界センサ装置よりも小型化が可能になる。例えば、ビームスプリッタの一辺の長さは300mm~600mm程度であるのに対し、複屈折素子の1つである方解石は、幅及び高さが30mmであり、長さが100mmである。
【0078】
また、光学ユニット1及び干渉型光磁界センサ装置100は、光学素子の間の光路に光ファイバを配置することなく、光学素子の間を空間結合する。光学ユニット1及び干渉型光磁界センサ装置100は、光学素子の間を空間結合することで、光学素子の間の光路に光ファイバを配置する干渉型光磁界センサ装置よりも小型化が可能になる。
【0079】
さらに、光学ユニット1に使用される複屈折素子の1つである方解石は、ビームスプリッタよりもノイズが小さい。光学ユニット1及び干渉型光磁界センサ装置100は、ビームスプリッタよりもノイズが小さい複屈折素子を使用することで、ビームスプリッタを使用する干渉型光磁界センサ装置よりもノイズが小さくなる。
【0080】
図6は、干渉型光磁界センサ装置100及び比較例に係る干渉型光磁界センサ装置の出力強度とノイズとの関係を示す図である。図6において、横軸は検出信号生成部の受光素子の出力電圧を示し、縦軸はノイズを示す。
【0081】
図6において、波形700は、干渉型光磁界センサ装置100のノイズ特性の実測値を示す。また、波形701は、光学素子の間を光ファイバによって結合し、且つ、ビームスプリッタを偏光分離素子として使用した干渉型光磁界センサ装置のノイズ特性の実測値を示す。また、波形702は、光学素子の間を光ファイバを介さず空間結合し、且つ、ビームスプリッタを偏光分離素子として使用した干渉型光磁界センサ装置のノイズ特性の実測値を示す。また、波形703は、光学素子の配置を波形702に対応する干渉型光磁界センサ装置よりも最適化した干渉型光磁界センサ装置のノイズ特性の実測値を示す。波形704は、干渉型光磁界センサ装置1000のノイズ特性のシミュレーション値を示す。
【0082】
また、波形701に示すノイズは、波形702に示すノイズよりも大きいことから、光学素子の間を光ファイバを使用せずに空間結合することで、ノイズ特性が向上することが分かる。また、波形702及び703に示すノイズは、波形700に示すノイズよりも大きいことから、ビームスプリッタに代えて方解石を偏光分離素子として使用することにより、ノイズ特性が向上することが分かる。
【0083】
なお、波形700は、波形704と略一致している。
【0084】
(実施形態に係る光学ユニットの変形例)
光学ユニット1は、筐体10の長手方向の一方の面に第1ポート11、第3ポート13及び第4ポート14が配置され、筐体10の長手方向の他方の面に第2ポート12が配置される。しかしながら、実施形態に係る光学ユニットは、1つの面に第1ポート11~第4ポート14が配置されてもよい。
【0085】
図7は変形例に係る光学ユニットの平面図であり、図8図7に示す光学ユニットにおける第1直線偏波光B1の光路図であり、図9図7に示す光学ユニットにおける第2直線偏波光B2の光路図である。
【0086】
光学ユニット2は、筐体40を筐体10の代わりに有することが光学ユニット1と相違する。また、光学ユニット2は、光学素子41を第2ファラデー回転子26及び第1(1/2)波長板27の代わりに有することが光学ユニット1と相違する。また、光学ユニット2は、第1光路プリズムミラー51~第6光路プリズムミラー56を有することが光学ユニット1と相違する。また、光学ユニット2は、第1出射プリズムミラー61~第4出射プリズムミラー64を第1光学素子31及び第2光学素子32の代わりに有することが光学ユニット1と相違する。
【0087】
筐体40、光学素子41、第1光路プリズムミラー51~第6光路プリズムミラー56及び第1出射プリズムミラー61~第4出射プリズムミラー64以外の光学ユニット2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された光学ユニット1の構成要素の構成及び機能である。したがって、筐体40、光学素子41、第1光路プリズムミラー51~第6光路プリズムミラー56及び第1出射プリズムミラー61~第4出射プリズムミラー64以外の光学ユニット2の構成要素の構成及び機能は、ここでは詳細な説明は省略する。
【0088】
筐体40は、第2ポートが第1ポート11、第3ポート13及び第4ポート14と同一面に配置される。また、光学素子41は、第2ファラデー回転子26及び第1(1/2)波長板27を一体化した素子である。
【0089】
第1光路プリズムミラー51~第6光路プリズムミラー56及び第1出射プリズムミラー61~第4出射プリズムミラー64は、何れも直角プリズムミラーである。第1光路プリズムミラー51及び第2光路プリズムミラー52は、第1複屈折素子21と第1(1/4)波長板29との間を光学的に接続する光路に配置され、光路を反転させる。
【0090】
第3光路プリズムミラー53~第6光路プリズムミラー56は、第1複屈折素子21と第2複屈折素子22との間を光学的に接続する光路に配置される。第3光路プリズムミラー53及び第4光路プリズムミラー54は、第1複屈折素子21と第2複屈折素子22との間の光路を反転させる。第5光路プリズムミラー55及び第6光路プリズムミラー56は、第1複屈折素子21と第2複屈折素子22との間の光路を、筐体40の短手方向の内側にシフトする。
【0091】
第1出射プリズムミラー61及び第2出射プリズムミラー62は、第1光学素子31と同様に第4複屈折素子24と第3ポート13との間を光学的に接続する。また、第3出射プリズムミラー63及び第4出射プリズムミラー64は、第2光学素子32と同様に第4複屈折素子24と第4ポート14との間を光学的に接続する。
【0092】
また、光学ユニット1は、第3複屈折素子23及び第4複屈折素子24等の第2直線偏波光B2を第5直線偏光B2P3及び第6直線偏光B2P4に分波する光学素子を有する。しかしながら、実施形態に係る光学ユニットは、第2直線偏波光B2を分波する光学素子を有さなくてもよい。
【0093】
また、光学ユニット1は、第3複屈折素子23及び第4複屈折素子24の2つの2つの複屈折素子により第2直線偏波光B2を分波するが、実施形態に係る光学ユニットは、単一又は3つ以上の複屈折素子により第2直線偏波光B2を分波してもよい。
【0094】
また、光学ユニット1では、第1複屈折素子21~第2複屈折素子22は方解石により形成されるが、実施形態に係る光学ユニットでは、複屈折素子は、方解石以外の複屈折材料により形成されてもよい。
【0095】
例えば、実施形態に係る光学ユニットでは、複屈折素子は、水晶(SiO2)、金紅石(ルチル、TiO2)及び鋼玉(サファイヤ、Al23)によって形成されてもよい。波長が589.3nmの光が入射したときの方解石の常光線の屈折率は1.6584であり、異常光線の屈折率は1.4864である。一方、波長が589.3nmの光が入射したときの水晶の常光線の屈折率は1.5443であり、異常光線の屈折率は1.5534である。また、波長が589.3nmの光が入射したときの金紅石の常光線の屈折率は2.6160であり、異常光線の屈折率は2.903である。また、波長が589.3nmの光が入射したときの鋼玉の常光線の屈折率は1.768であり、異常光線の屈折率は1.7600である。
【符号の説明】
【0096】
1、2 光学ユニット
11 第1ポート
12 第2ポート
13 第3ポート
14 第4ポート
21 第1複屈折素子
22 第2複屈折素子
23 第3複屈折素子
24 第4複屈折素子
25 第1ファラデー回転子
26 第2ファラデー回転子(第2偏光素子)
27 第1(1/2)波長板
28 第2(1/2)波長板(第1偏光素子)
100 干渉型光磁界センサ装置
110 発光部
120 1/4波長板
130 平凸レンズ
140 磁界センサ素子
150 検出信号発生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9