(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014482
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
G01K 7/02 20210101AFI20220113BHJP
【FI】
G01K7/02 B
G01K7/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116778
(22)【出願日】2020-07-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】501054621
【氏名又は名称】株式会社八洲測器
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】黒河 晃
(57)【要約】
【課題】コストを抑えつつ高い精度での温度計測を可能とする温度センサを提供する。
【解決手段】本発明の温度センサ100は、異種の導体で構成され接合点を感温部6とした対をなす熱電対素線を有する熱電対2と、同種の導体で構成され一端部は熱電対素線に対して感温部6が位置する側とは逆側で接続され他端部は計測器50に接続される対をなす延長体素線11を有する延長体3と、熱電対素線と延長体素線11の接続部13に重なる位置に設けられる温度測定体4と、を備え、温度測定体4で測定した接続部13の温度に基づいて感温部6での温度が計測される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種の導体で構成され接合点を感温部とした対をなす熱電対素線を有する熱電対と、
同種の導体で構成され一端部は前記熱電対素線に対して前記感温部が位置する側とは逆側で接続され他端部は計測器に接続される対をなす延長体素線を有する延長体と、
前記熱電対素線と前記延長体素線の接続部に重なる位置に設けられる温度測定体と、を備え、
前記温度測定体で測定した前記接続部の温度に基づいて前記感温部での温度が計測される温度センサ。
【請求項2】
対をなす前記熱電対素線と前記延長体素線を複数備えるとともに前記接続部を複数備え、
複数の前記接続部に跨がって設けられる均熱板を備える請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記延長体素線は、銅又は銅を主成分とする合金で形成されている請求項1又は2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記延長体は、フラットケーブルであって、
前記フラットケーブルは、前記延長体素線としての熱電対用導体箔と、前記温度測定体と前記計測器とを接続する温度測定体用導体箔と、当該熱電対用導体箔と当該温度測定体用導体箔とが設けられた絶縁性フィルムと、を含んで構成される請求項1~3の何れか一項に記載の温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の部位における温度を計測するための温度センサとして熱電対を用いたものが使用されている。例えば半導体デバイスの製造工程で使用される装置(高温チャンバなど)においては、ウエハを適切な温度で加熱することが重要であるため、工程管理上、装置内の所定部位における温度の計測が行われる。このような場合に使用される温度センサとして、特許文献1には、熱電対の感温部をウエハに埋設したウエハ型の温度センサが示されている。このような温度センサは、半導体関連装置の外側に設置される計測器に接続され、この計測器によって温度が計測される。
【0003】
半導体関連装置においては、加熱部分が高温(例えば600℃以上)になるため、温度センサには耐熱性の高いR熱電対が使用される。R熱電対は、+極側の熱電対素線に白金ロジウム合金が使用され、-極側の熱電対素線に白金が使用される。ロジウムや白金は非常に高価であって、測定点数が増えると必要となる熱電対の本数も増えるため、この種の温度センサはコストが嵩むという問題を抱えている。また昨今、ウエハの外径はφ300mm程度のものが主流となっていて、従前に比してウエハサイズは大きくなっており、装置も大型化している。すなわち、温度を測定する部位に対して計測器が離れていくため、必要とする熱電対の長さが長くなって、更なるコスト上昇につながっている。
【0004】
このような点を考慮して従来は、特許文献2、3に示すように、熱電対と計測器との間を補償導線でつなぐことが一般的である。補償導線は熱電対よりも安価であるため、熱電対のみで構成する場合に比してコストを抑えることができる。
【0005】
ところで熱電対は、異種の導体で構成される対をなす熱電対素線の両端を接合して閉回路とし、接合点での温度差により生じる熱起電力に基づいて温度を計測するものである。具体的には、温度を計測する接合点(感温部)とは逆側の接合点を0℃に保ち、その際に生じる熱起電力を電圧計で測定して、あらかじめ分かっている熱起電力と温度の関係に基づいて感温部での温度を導くのが基本的な計測原理である。しかし、計測時に熱電対の接合点を0℃のまま維持することは困難であるため、特許文献2に記載されているように、一般には補償回路(冷接点補償回路)が設けられた計測器を使用する。このような補償回路付きの計測器によれば、感温部とは逆側の接合点を0℃に保たずとも、感温部の温度を計測器に直接表示させることができる。
【0006】
図3は、上述した従来技術に基づいて構成されるウエハ型の温度センサ200を示している。温度センサ200は、ウエハ201と、ウエハ201に感温部202が固着された複数の熱電対203と、熱電対203のそれぞれに接続される補償導線204とを備えている。また補償導線204は、補償回路205を備える計測器206に接続して使用される。このような温度センサ200によれば、ウエハ201における感温部202が設けられた部位の温度を計測器206に直接表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-172050号公報
【特許文献2】特開平11-351973号公報
【特許文献3】特開2007-329215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで補償導線は、熱電対の種類に対応した専用品が準備されているものの、計測精度は熱電対よりも劣っている。例えばR熱電対のクラス1では温度の許容差は±1℃であるものの、これに対応する補償導線の温度の許容差は±5℃程度ある。従って補償導線を使用する場合は、熱電対による高い計測精度が補償導線によって損なわれることになる。
【0009】
このような従来の問題に鑑み、本発明の温度センサでは、コストを抑えつつ高い精度での温度計測を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、異種の導体で構成され接合点を感温部とした対をなす熱電対素線を有する熱電対と、同種の導体で構成され一端部は前記熱電対素線に対して前記感温部が位置する側とは逆側で接続され他端部は計測器に接続される対をなす延長体素線を有する延長体と、前記熱電対素線と前記延長体素線の接続部に重なる位置に設けられる温度測定体と、を備え、前記温度測定体で測定した前記接続部の温度に基づいて前記感温部での温度が計測される温度センサである。
【0011】
このような温度センサは、対をなす前記熱電対素線と前記延長体素線を複数備えるとともに前記接続部を複数備え、複数の前記接続部に跨がって設けられる均熱板を備えることが好ましい。
【0012】
また前記延長体素線は、銅又は銅を主成分とする合金で形成されていることが好ましい。
【0013】
また前記延長体は、フラットケーブルであって、前記フラットケーブルは、前記延長体素線としての熱電対用導体箔と、前記温度測定体と前記計測器とを接続する温度測定体用導体箔と、当該熱電対用導体箔と当該温度測定体用導体箔とが設けられた絶縁性フィルムと、を含んで構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の温度センサでは、熱電対と計測器とを延長体で接続していて、熱電対の長さを最小限に抑えることができるため、コストを抑えることができる。また熱電対素線と延長体素線との接続部に温度測定体を設けていて、温度測定体で測定した接続部の温度に基づいて感温部の温度を計測することができる。すなわち、感温部の温度計測にあたって補償導線が持つ温度の許容差による影響が排除されるため、高い精度での温度計測が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る温度センサの第一実施形態を示した模式図である。
【
図2】本発明に係る温度センサの第二実施形態を示した模式図である。
【
図3】熱電対と計測器とを補償電線で接続した従来からの温度センサの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず
図1を参照しつつ、本発明に係る温度センサの第一実施形態と、この温度センサを接続する計測器の一実施形態について説明する。
【0017】
本実施形態の温度センサ100は、半導体関連装置の内部の温度を計測するものである。図示したように温度センサ100は、ウエハ1と、熱電対2と、フラットケーブル3と、温度測定体4と、均熱板5とを備えていて、計測器50に接続して使用される。
【0018】
ウエハ1は、半導体デバイスとして使用される実ウエハと同径のダミーウエハである。図示したようにウエハ1は、円形薄板状をなすものであって、例えばシリコンを素材とする円柱状のインゴットを薄くスライスしたシリコンウエハにより形成されている。なおウエハ1は、シリコンウエハに限定されるものではなく、シリコンカーバイドウエハやサファイアウエハ、化合物半導体ウエハなど、種々の素材により形成される。
【0019】
熱電対2は、種類の異なる2本の熱電対素線同士を接合し、接合点を感温部6としたものである。本実施形態の熱電対2は、高温環境下での温度を計測可能なR熱電対であって、+極側の熱電対素線に白金ロジウム合金が使用され、-極側の熱電対素線に白金が使用さる。なお、熱電対2はR熱電対に限られず、使用目的に応じて他の種の熱電対に置き換えられる。
【0020】
本実施形態の温度センサ100は、熱電対2を複数備えていて、それぞれの熱電対2の感温部6は、図示したようにウエハ1に対して分散した状態で取り付けられている。本実施形態の感温部6は、ウエハ1の表面に深さの浅い凹部7を設け、凹部7の内側で接着剤によってウエハ1に固着されている。なお凹部7を設けずに、ウエハ1の表面に感温部6を直接固着してもよい。また感温部6を覆うカバーを準備し、カバーで感温部6を覆った状態でウエハ1に固着させてもよい。
【0021】
図示したように本実施形態の熱電対2は、ウエハ1の表側において、それぞれの感温部6からハウジング8に向けて、互いに交差しないように配されている。ハウジング8は、それぞれの熱電対2に覆い被さってウエハ1に固着されるものであって、熱電対2に対してウエハ1の外側から力が加わっても、感温部6には力が作用しない(力が作用しにくい)ように機能するものである。ハウジング8は、図示したように一列に並んでいて、複数の熱電対2は、ハウジング8からウエハ1の径方向外側に向けて一列にまとまった状態で引き出されている。
【0022】
ウエハ1の外側に引き出された熱電対2は、フラットケーブル3の一端部に接続される。フラットケーブル3は、
図1では途中を省略して示しているが長尺状をなすものであって、その他端部は計測器50に接続される。本実施形態のフラットケーブル3は、いわゆるFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)と称されるものであって、絶縁性フィルム9の表面に所定のパターンとなる導体箔10を設けたものである。絶縁性フィルム9は、本実施形態では耐熱を考慮してポリイミド製のものを採用しているが、使用環境がそれ程高温にならない場合は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のものを使用してもよい。また導体箔10は、コストを抑えるために銅又は銅を主成分とする合金により形成することが好ましいが、その他の素材(例えばニッケル)を使用したものでもよい。導体箔10は、絶縁性フィルム9の片面のみに設けてもよいし、両面に設けてもよい。また絶縁性フィルム9と導体箔10を複数重ねて多層構造としてもよい。更にフラットケーブル3は、最外層の導体箔10を覆うカバーレイを備えている。フラットケーブル3に使用するカバーレイに特段制限はなく、印刷カバーレイやフィルムカバーレイなど、種々のものが採用可能である。
【0023】
本実施形態の導体箔10は、熱電対2の熱電対素線と計測器50とを電気的に接続する熱電対用導体箔11と、温度測定体4と計測器50とを電気的に接続する温度測定体用導体箔12とを備えている。本実施形態のフラットケーブル3は、その一端部(熱電対2に近い側の端部)において、熱電対用導体箔11がカバーレイに覆われずに露出する部位(ランドや接続端子)が設けられていて、この部位で熱電対2の熱電対素線を熱電対用導体箔11にはんだ付けして両者を電気的に接続している。ここで、熱電対2の熱電対素線と熱電対用導体箔11が接続される部位を接続部13と称する。本実施形態の接続部13は、フラットケーブル3の短手方向に列をなすように設けられている。
図1では接続部13が一列に並んだ状態を示しているが、接続部13の配置はこれに限られるものではない。例えば隣り合う接続部13の位置を長手方向にずらして千鳥配置とし、フラットケーブル3の短手方向に複数列並ぶように構成してもよい。上述した熱電対用導体箔11は、本明細書等の「延長体素線」に相当するものである。
【0024】
なお図示は省略するが、計測器50に対して熱電対用導体箔11と温度測定体用導体箔12を電気的に接続するには、フラットケーブル3の他端部に、熱電対用導体箔11と温度測定体用導体箔12がカバーレイに覆われずに露出する部位(接続端子)を設けてもよいし、計測器50に対して電気的に接続されるコネクタを取り付けてもよい。
【0025】
温度測定体4は、接続部13と重なる位置に設けられている。温度測定体4は、接続部13を設けた面(例えばフラットケーブル3の表面)と同じ面(フラットケーブル3の表面)に設けてもよいし、逆側の面(フラットケーブル3の裏面)に設けてもよい。この位置において温度測定体用導体箔12は、カバーレイに覆われずに露出していて、温度測定体4は温度測定体用導体箔12に対してはんだ付け等によって電気的に接続されている。なお温度測定体4は、接続部13とは電気的に絶縁されている。温度測定体4は、接続部13での温度を計測するものである。本実施形態では、温度測定体4として測温抵抗体を使用している。測温抵抗体は、これに電気を流した際の抵抗値が周囲の温度に応じて変化する(温度上昇とともに抵抗値が上昇する)ため、この抵抗値の変化量に基づいて温度を計測することができる。なお、温度測定体4は測温抵抗体に限られず、例えばリニア抵抗器やサーミスタを使用してもよい。
【0026】
均熱板5は、フラットケーブル3の短手方向に沿って延在していて、複数の接続部13に跨がるように(複数の接続部13に重なるように)設けられている。すなわち均熱板5は、上述した温度測定体4とともに接続部13に重なる位置に設けられている。均熱板5は、接続部13を設けた面(又は温度測定体4を設けた面)と同じ面に設けてもよいし、逆側の面に設けてもよい。均熱板5は、熱伝導率が大きな素材で形成されていて、複数の接続部13の温度を均熱化するものである。なお均熱板5は、接続部13及び温度測定体4に対して電気的に絶縁されている。ところで接続部13は、強度が低いために温度変化によって破損するおそれがある。このため均熱板5は、熱伝導率が大きく、また熱膨張率が小さいものを採用することが好ましい。このようなものとして本実施形態では、インバー(アンバーとも称する)を均熱板5として使用している。なお接続部13は、外力によっても破損するおそれがあるが、インバーは合金であって機械的強度が比較的高く、また均熱板5はフラットケーブル3のほぼ全幅に亘って延在していてフラットケーブル3を補強しているため、外力が接続部13に及ぼす影響も減らすことができる。均熱板5は、フラットケーブル3に直接接触させてもよいが、伝導率が大きなシリコーングリース等をこれらの間に介在させることが好ましい。
【0027】
計測器50は、熱電対2の熱電対素線とつながる熱電対用導体箔11と接続されている。上述したように熱電対2は、種類の異なる熱電対素線同士を接合したものであるため、電気的に閉回路にした場合に熱電対2の長さ方向において温度差(温度勾配)があると、熱起電力が生じる。本実施形態の計測器50は、熱電対用導体箔11を介して熱電対2の熱起電力を計測する電圧計の機能を有する。また計測器50は、温度測定体4と接続された温度測定体用導体箔12に接続されている。上述したように温度測定体4は、電気を流した際の抵抗値が周囲の温度に応じて変化するものである。計測器50は、この抵抗値を計測する機能も有する。また詳細については後述するが、計測器50は、熱電対用導体箔11で計測された電圧から感温部6と接続部13との温度差を導く機能、温度測定体用導体箔12で計測される抵抗値に基づいて温度測定体4での温度を導く機能の他、これらの温度に基づいて感温部6の温度を算出してそれを表示する機能も有する。なお本実施形態の計測器50は、
図3に示した補償回路205を備える計測器206とは異なり、補償回路205に相当するものは省かれている。
【0028】
このような温度センサ100を用いて半導体関連装置の内部温度を計測するにあたっては、ウエハ1を半導体関連装置の内部に設置し、また温度センサ100を計測器50に接続する。熱電対2の熱電対素線は種類の異なる2本の導体であるため、この状態において感温部6と接続部13との間に温度差(温度勾配)があると熱起電力が生じる。一方、2本の熱電対素線のそれぞれが接続される2つの熱電対用導体箔11は、同種の導体であるために熱起電力は生じない。すなわち、熱電対用導体箔11に接続された計測器50で計測される電圧は、感温部6と接続部13との温度差に基づく熱起電力であるため、計測した電圧に基づいて感温部6と接続部13との温度差を導くことができる。また計測器50は、温度測定体用導体箔12にも接続されているため、上述したように温度測定体4に電気を流した際の抵抗値を計測し、その抵抗値に基づいて温度測定体4が設けられている接続部13の温度を導くことができる。すなわち、接続部13の温度に感温部6と接続部13との温度差を加算することによって感温部6の温度が算出され、計測器50に感温部6の温度を表示させることができる。
【0029】
このように本実施形態の温度センサ100によれば、計測器50が半導体関連装置から離れた場所に設置される場合でも、フラットケーブル3の長さを長くして、高価な熱電対2の長さは最小限にすることができるため、コストを抑制することができる。また
図3に示すような従来の温度センサ200が備える補償導線204は不用であって、補償導線204が持つ温度の許容差による影響が排除されるため、感温部6の温度を高い精度で計測することができる。
【0030】
次に本発明に係る温度センサの第二実施形態について、
図2を参照しながら説明する。なお本実施形態の温度センサ110において、上述した温度センサ100と共通する機能を有する部分については、図面に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0031】
温度センサ110は、熱電対2と、フラットケーブル3と、温度測定体4と、均熱板5と、保護管14を備えていて、計測器50に接続して使用される。
【0032】
温度センサ110は、図示したように複数の熱電対2を備えていて、感温部6の位置を長手方向に段階的に変えて配置している。また保護管14は、本実施形態では石英ガラスを使用していて、熱電対2を全体に亘って覆っている。
【0033】
このように構成される温度センサ110によれば、上述した温度センサ100と同様に、コストを抑えつつ高い精度で温度計測を行うことができる。また保護管14を石英ガラスとしているため、その耐熱性によって、例えば高温炉の温度を計測することが可能である。また感温部6は、長手方向に段階的に位置を変えて配置されているため、高温炉の温度分布を計測することができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0035】
例えば上記の実施形態におけるフラットケーブル3は、所定数の単線(リード線)に置き換えてもよいし、所定の導電パターンを備えるリジッド基板を使用してもよい。
【0036】
またフラットケーブル3は、所定のパターンを備えるセラミック基板に置き換えてもよい。セラミック基板は高い耐熱性を有していて、高温となる部位の温度を測定する場合でもその部位に近づけることができるため、熱電対2の長さを短くしてコストを抑制することができる。
【0037】
なお、上記の実施形態のように熱電対2を複数設ける場合は、複数の接続部13に跨がるようにして均熱板5を配置することによって、1つの温度測定体4であっても、これらの接続部13の温度をまとめて計測することができるという利点があるが、例えば接続部13が1つの場合や、配線の都合で接続部13同士を離して配置しなければならない場合等は、均熱板5を廃止して接続部13と温度測定体4とを一対一の関係で設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:ウエハ
2:熱電対
3:フラットケーブル(延長体)
4:温度測定体
5:均熱板
6:感温部
7:凹部
8:ハウジング
9:絶縁性フィルム
10:導体箔
11:熱電対用導体箔(延長体素線)
12:温度測定体用導体箔
13:接続部
14:保護管
50:計測器
100、110:温度センサ
【手続補正書】
【提出日】2020-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種の導体で構成され接合点を感温部とした対をなす熱電対素線を有する熱電対と、
同種の導体で構成され一端部は前記熱電対素線に対して前記感温部が位置する側とは逆側で接続され他端部は計測器に接続される対をなす延長体素線を有する延長体と、
前記熱電対素線と前記延長体素線の接続部に対して当該接続部の表面から裏面に向かう方向からみて重なる位置に設けられる温度測定体と、を備え、
前記温度測定体で測定した前記接続部の温度に基づいて前記感温部での温度が計測される温度センサ。
【請求項2】
対をなす前記熱電対素線と前記延長体素線を複数備えるとともに前記接続部を複数備え、
複数の前記接続部に跨がって設けられる均熱板を備える請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記延長体素線は、銅又は銅を主成分とする合金で形成されている請求項1又は2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記延長体は、フラットケーブルであって、
前記フラットケーブルは、前記延長体素線としての熱電対用導体箔と、前記温度測定体と前記計測器とを接続する温度測定体用導体箔と、当該熱電対用導体箔と当該温度測定体用導体箔とが設けられた絶縁性フィルムと、を含んで構成される請求項1~3の何れか一項に記載の温度センサ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、異種の導体で構成され接合点を感温部とした対をなす熱電対素線を有する熱電対と、同種の導体で構成され一端部は前記熱電対素線に対して前記感温部が位置する側とは逆側で接続され他端部は計測器に接続される対をなす延長体素線を有する延長体と、前記熱電対素線と前記延長体素線の接続部に対して当該接続部の表面から裏面に向かう方向からみて重なる位置に設けられる温度測定体と、を備え、前記温度測定体で測定した前記接続部の温度に基づいて前記感温部での温度が計測される温度センサである。