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  • 特開-物流施設 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144835
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】物流施設
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20220926BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20220926BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20220926BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220926BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20220926BHJP
【FI】
B65G61/00 530
B60L53/80
B60L53/30
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046017
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】塚本 準
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA02
5G503BA02
5G503BB02
5G503BB03
5G503CB11
5G503FA06
5G503GB08
5H125AA01
5H125AC13
5H125FF06
(57)【要約】
【課題】電動車両による荷物の配送をより効率的に行うことができるようにする。
【解決手段】交換式のバッテリが搭載された電動車両の前記バッテリを交換するための設備であるバッテリ交換設備と、前記電動車両に荷物を積載するための設備である荷物積載設備と、を備える、物流施設。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換式のバッテリが搭載された電動車両の前記バッテリを交換するための設備であるバッテリ交換設備と、
前記電動車両に荷物を積載するための設備である荷物積載設備と、
を備える、物流施設。
【請求項2】
前記バッテリ交換設備は、前記バッテリを搬送するコンベア、
を備える、請求項1に記載の物流施設。
【請求項3】
前記荷物積載設備は、前記荷物を搬送するコンベア、
を備える、請求項1又は請求項2に記載の物流施設。
【請求項4】
前記バッテリ交換設備は、
前記バッテリを100V又は200Vで充電する充電設備、
を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物流施設。
【請求項5】
前記充電設備は、急速充電装置である、
請求項4に記載の物流施設。
【請求項6】
前記充電設備は、非接触充電装置である、
請求項4又は請求項5に記載の物流施設。
【請求項7】
前記バッテリ交換設備は、前記バッテリを温める加温部、
を備える、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の物流施設。
【請求項8】
前記加温部は、充電前あるいは充電中の前記バッテリの温度が所定の温度となるように、充電前あるいは充電中の前記バッテリを温める、
請求項7に記載の物流施設。
【請求項9】
前記加温部は、充電後の前記バッテリが前記電動車両に搭載されるまでに、充電後の前記バッテリの温度が所定の温度となるように、充電後の前記バッテリを温める、
請求項7又は請求項8に記載の物流施設。
【請求項10】
前記電動車両が乗り入れるための乗り入れ空間、
を備える、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の物流施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流施設に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の開発や市販化が進んでいるが、バッテリのコスト、サイズ、重量や充電インフラ不足や充電時間が長い等の課題もあり普及には至っていなかった。
開発されている電気自動車の多くは、既存のエンジン車両のエンジンをモータに置き換え、航続距離を延長するため、大容量のバッテリを積載する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
当該バッテリは、車両に完全固定されているため、バッテリの充電はバッテリが車両に積載された状態で行われている。配送事業で用いる電気自動車は、荷室容積が制限されるため、1日に数回倉庫や配送センタに戻り、新たな荷物を積み込むことでフレキシブルな荷物の配送を可能としている。この場合、バッテリの充電は、電気自動車が配送センタや倉庫へ戻った際に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-266950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気自動車に積載されたバッテリの容量が大きい場合、バッテリの充電には時間がかかる。そのため、残量が少なくなった電気自動車に積載されたバッテリの充電には長い充電時間が必要となる。さらに、バッテリは電気自動車に固定して設けられている場合、バッテリの充電中は電気自動車を荷物の配送に利用することができない。これより、電気自動車による荷物の配送において、バッテリの充電のために電気自動車を長時間利用できず、荷物の配送の効率が低下してしまうことがあった。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明は、電動車両による荷物の配送をより効率的に行うことができる物流施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る物流施設は、交換式のバッテリが搭載された電動車両の前記バッテリを交換するための設備であるバッテリ交換設備と、前記電動車両に荷物を積載するための設備である荷物積載設備と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電動車両による荷物の配送をより効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る物流施設の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る物流施設について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る物流施設の構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、物流施設10は、バッテリ交換設備100、荷物積載設備200、及び乗り入れ空間300を有する。物流施設10は、例えば、倉庫や配送センタである。
【0013】
図1に示す電動車両1は、例えば、荷物を配送する配送車両である。配送車両は、例えば、軽貨物車両である。
なお、電動車両1は、4つのモータで4つの車輪をそれぞれ独立して駆動する構成、2つのモータで前輪もしくは後輪を駆動する構成のいずれであってもよい。
【0014】
図1に示すように、電動車両1には、交換式のバッテリ2が搭載される。バッテリ2は、図1に示す自宅H0や物流施設10で充電可能である。
バッテリ2には、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛電池等のうちいずれかの二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタを用いることもできる。バッテリ2は、例えば、電圧が60V(ボルト)未満の交換可能な(交換式)低電圧バッテリである。
【0015】
なお、電動車両1に搭載されるバッテリ2の数は、特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってもよい。複数のバッテリが搭載される場合、電動車両1は、例えば、前後、左右の4つの車輪に対して、それぞれ、モータ制御部を含む駆動ユニットを個別に備え、各モータ制御部にはそれぞれ個別にバッテリ2が接続される構成であってもよい。当該構成の場合、電動車両1の前後、左右の4つの車輪それぞれに対し、駆動するための電力を供給するバッテリ2が個別に設けられる。
これにより、バッテリ電圧や容量のためにセルの直列化又は並列化をしてセルバランスを考慮する必要がない。また、既存の高電圧の電動車両からのリサイクルバッテリを利用しやすい。即ち、電動車両1を駆動するためのバッテリの取り扱い及びメンテナンスが容易になる。
【0016】
以下、本実施形態では、電動車両1には、4つの車輪それぞれに対応する4つのバッテリ2が搭載されている例について説明する。本例では、各バッテリ2は電圧45Vの交換式の低電圧バッテリである。よって、電動車両1全体のシステム電圧は45V×4である。また、バッテリ2の容量は、1配送40km(キロメートル)~50km走行できる容量である。以下、4つのバッテリ2を1組のバッテリと称する。なお、電動車両1に1又は複数のバッテリ2を非常用電源EPとして積み込み、持ち運んで利用することも可能である。
【0017】
バッテリ交換設備100は、交換式のバッテリが搭載された電動車両1のバッテリを交換するための設備である。
図1に示すように、バッテリ交換設備100は、バッテリ回収装置110、バッテリ供給装置120、及び充電装置130を備える。
【0018】
バッテリ回収装置110は、バッテリ2を回収する装置である。バッテリ回収装置110は、例えば、バッテリ2を搬送するコンベアを有する。作業者が電動車両1から降ろされた使用済みのバッテリ2をコンベアに載せると、バッテリ2は回収場所や充電場所の方へ搬送される。これにより、作業者は、バッテリ2の持ち運びを容易に行うことができ、作業時間を短縮することができる。
なお、作業者は、バッテリ2を搬送板111に載せてもよいし、コンベアに直接載せてもよい。
【0019】
なお、図1に示す例では、バッテリ交換設備100が1つのバッテリ回収装置110を備える例を示したが、かかる例に限定されない。バッテリ回収装置110の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0020】
バッテリ供給装置120は、バッテリ2を供給する装置である。バッテリ供給装置120は、例えば、バッテリ2を搬送するコンベアを有する。作業者が充電済みのバッテリ2をコンベアに載せると、バッテリ2はコンベアによって電動車両1の方へ搬送される。
これにより、作業者は、バッテリの持ち運びを容易に行うことができ、作業時間を短縮することができる。
【0021】
なお、図1に示す例では、バッテリ交換設備100が1つのバッテリ供給装置120を備える例を示したが、かかる例に限定されない。バッテリ供給装置120の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0022】
充電装置130は、バッテリ2を充電する装置(充電設備の一例)である。充電装置130は、例えば、バッテリ2を100V又は200Vで充電する。
これにより、例えば物流施設10に既存の充電設備を用いてバッテリ2を充電することが可能である。そのため、既存の充電インフラによらずバッテリ2を充電することができるため、設備投資を抑制することができる。
【0023】
充電装置130は、例えば、急速充電装置である。
これにより、充電装置130は、バッテリ2の充電時間を短縮することができる。
【0024】
充電装置130は、例えば、非接触充電装置である。
これにより、充電装置130は、バッテリ2を充電する際に作業者がバッテリ2を充電装置130に接続する手間を省くことができる。
【0025】
なお、充電装置130は、急速充電装置と非接触充電装置のいずれか一方の機能のみを有する装置であってもよいし、急速充電装置と非接触充電装置の両方の機能を有する1つの装置であってもよい。
【0026】
バッテリ交換設備100は、バッテリ2を温める加温部をさらに備えてもよい。加温部によってバッテリ2の温度を適切な使用温度とすることで、充電容量や放電容量の減少を防ぐことができる。これにより、電動車両1の走行距離を延ばすことができる。
【0027】
加温部は、充電前あるいは充電中のバッテリ2の温度が所定の温度(例えば20℃程度)となるように、充電前あるいは充電中のバッテリ2を温める。
これにより、バッテリ2は、充電時に適切な使用温度で充電されることで、充電容量の減少を防ぐことができる。
【0028】
加温部は、充電後のバッテリ2が電動車両1に搭載されるまでに、充電後のバッテリ2の温度が所定の温度(例えば20℃程度)となるように、充電後のバッテリ2を温める。
これにより、バッテリ2は、荷物の配送開始時に適切な使用温度で使用されることで、放電容量の減少を防ぐことができる。
【0029】
加温部としての機能は、例えば、バッテリ回収装置110、搬送板111、バッテリ供給装置120、充電装置130とは独立してバッテリ交換設備100に設けられる装置が有する機能である。また、加温部としての機能は、バッテリ回収装置110、搬送板111、バッテリ供給装置120、充電装置130のいずれかの装置が有する機能であってもよい。
【0030】
荷物積載設備200は、電動車両1に荷物を積載するための設備である。図1に示すように、荷物積載設備200は、荷物供給装置210及び荷物供給装置220を備える。
【0031】
荷物供給装置210及び荷物供給装置220は、荷物BGを供給する装置である。荷物供給装置210及び荷物供給装置220は、例えば、荷物BGを搬送するコンベアを有する。作業者が配送対象である荷物BGをコンベアに載せると、バッテリ2は電動車両1の方へ搬送される。
これにより、作業者は、荷物BGの持ち運びを容易に行うことができ、作業時間を短縮することができる。
【0032】
なお、図1に示す例では、荷物積載設備200が荷物供給装置210と荷物供給装置220の2つの荷物供給装置を備える例を示したが、かかる例に限定されない。荷物供給装置の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0033】
乗り入れ空間300は、電動車両1が物流施設10の中へ乗り入れるための空間である。乗り入れ空間300は、電動車両1が物流施設10に入るための入口と、電動車両1が物流施設10から出るための出口とをつなぐ空間である。物流施設10が乗り入れ空間300を備えることにより、作業者は、バッテリ2の積み下ろしにかかる時間や、荷物BGの積載に係る時間を短縮することができる。
【0034】
具体的に、電動車両1の使用者(運転者)は、当該入口から物流施設10の中へ電動車両1を乗り入れ、バッテリ交換設備100付近にて電動車両1を停車することができる。これにより、作業者は、バッテリ交換設備100付近でバッテリ2の交換を行うことができるため、バッテリ2の積み下ろしにかかる時間を短縮することができる。
また、電動車両1の使用者は、バッテリ2の交換後、電動車両1を運転して荷物積載設備200付近にて電動車両1を停車することができる。これにより、作業者は、荷物積載設備200付近で荷物の積載を行うことができるため、荷物の積載にかかる時間を短縮することができる。
【0035】
ここで、電動車両1を用いた荷物の配送の流れの一例について説明する。
例えば、図1に示すように、電動車両1の使用者は、バッテリ2の交換と配送する荷物BGの回収を行うため、自宅H0から物流施設10に向けて出発する。なお、自宅H0にてバッテリ2を充電済みの場合、物流施設10にてバッテリの交換を行わなくてもよい。
【0036】
物流施設10に到着したら、使用者は、電動車両1を乗り入れ空間300へ乗り入れる。使用者は、電動車両1をバッテリ交換設備100付近に停車させる。停車後、作業者がバッテリ2の交換を行う。なお、バッテリ2の交換は、使用者自身が行ってもよい。
【0037】
作業者は、電動車両1に搭載されている使用済の1組のバッテリUBを充電済の1組のバッテリCBと交換する。
まず、作業者は、電動車両1から降ろした使用済のバッテリUBを搬送板111に載せる。搬送板111に載せられたバッテリUBは、バッテリ回収装置110によって方向A1へ搬送され、充電装置130にて充電される。
バッテリ供給装置120には、充電済の1組のバッテリCBが予め用意されている。用意されているバッテリCBの数は、1つであってもよいし複数であってもよい。充電済の1組のバッテリCBは、バッテリ供給装置120によって方向A2へ搬送される。作業者は、バッテリ供給装置120によって搬送されてきたバッテリCBを電動車両1に積載する。
使用者は、作業者によってバッテリUBがバッテリCBに交換されたら、電動車両1を荷物積載設備200へ移動させる。
【0038】
使用者は、電動車両1を荷物積載設備200付近に停車させる。停車後、作業者が荷物BGを電動車両1に積み込む。なお、荷物BGの積み込みは、使用者自身が行ってもよい。
【0039】
荷物積載設備200では、荷物供給装置210あるいは荷物供給装置220によって荷物BGが方向A3へ搬送される。作業者は、荷物供給装置210あるいは荷物供給装置220によって搬送されてきた荷物BGを電動車両1に積載する。
【0040】
荷物BGの積載後、使用者は、物流施設10の出口から電動車両1を出して、配送先H1や配送先H2へ荷物BGを配送する。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る物流施設10は、バッテリ交換設備100と荷物積載設備200とを備える。
バッテリ交換設備100は、交換式のバッテリ2が搭載された電動車両1のバッテリ2を交換するための設備である。
荷物積載設備200は、電動車両1に荷物を積載するための設備である。
【0042】
かかる構成により、本発明の実施形態に係る物流設備10では、電動車両1に配送する荷物を積載する際に、使用済の1組のバッテリUBを既に充電されている充電済の1組のバッテリCBと交換することができる。これにより、充電のために電動車両1を使用することができない時間を削減することができ、荷物の配送の効率が低下することを防止することができる。
【0043】
よって、本発明の実施形態に係る物流施設10は、電動車両1による荷物の配送をより効率的に行うことを可能とする。
これにより、電動車両における効率的運用に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0044】
また、本発明の実施形態では、自宅H0や物流施設10にて既存インフラを利用してバッテリ2を充電することができる。
これにより、電動車両における効率的運用に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0045】
また、本発明の実施形態に係る電動車両1では、必要な容量のバッテリ2を搭載することにより、バッテリサイズ、重量、及びコストを低減することができる。
これにより、電動車両における資源使用量のミニマム化に寄与することができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能となる。
【0046】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…電動車両、2…バッテリ、10…物流施設、100…バッテリ交換設備、110…バッテリ回収装置、111…搬送板、120…バッテリ供給装置、130…充電装置、200…荷物積載設備、210,220…荷物供給装置、300…乗り入れ空間
図1