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特開2022-144864画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144864
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20220926BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20220926BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20220926BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220926BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220926BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06F3/0346 421
G06F3/0481 150
G09G5/00 555D
G09G5/36 520P
G09G5/00 530T
G09G5/36 520G
G06F13/00 650R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046053
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 智之
【テーマコード(参考)】
5B050
5B084
5B087
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA13
5B050EA14
5B050EA18
5B050EA19
5B050EA27
5B050FA02
5B050GA08
5B084AA02
5B084AA18
5B084AB06
5B084BA03
5B084BB16
5B084CB12
5B084CB22
5B084CE03
5B084CE15
5B084CF12
5B084DC02
5B084EA47
5B087AA07
5B087CC01
5B087CC33
5B087DD03
5C182AB08
5C182AB33
5C182BA02
5C182BA35
5C182BA46
5C182BA47
5C182BA75
5C182BB01
5C182BC22
5C182BC25
5C182CB14
5C182CB44
5C182CB55
5C182CC21
5C182DA68
5E555AA23
5E555AA27
5E555AA28
5E555AA76
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB21
5E555CB23
5E555CB82
5E555CC05
5E555DA08
5E555DB32
5E555DB56
5E555DC09
5E555DC11
5E555DC13
5E555DD09
5E555EA05
5E555EA07
5E555EA08
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】仮想空間でアバターを介してコミュニケーションする際にユーザのプライバシーを適切に保護する。
【解決手段】画像処理装置は、仮想空間内の第1ユーザのアバターAaと、仮想空間SV内の第2ユーザのアバターBaとの、仮想空間内における位置の情報を取得する位置情報取得部と、アバターAaの周囲の領域である境界領域ARAの情報を取得する境界領域取得部と、第1ユーザと第2ユーザとの関係を示す関係情報を取得する関係取得部と、関係が所定条件を満たさない場合には、アバターBaが境界領域ARA内に位置する場合のアバターAaの表示態様が、アバターBaが境界領域ARA外に位置する場合のアバターAaの表示態様と異なる仮想空間用の画像データを生成する画像処理部とを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間用の画像処理を行う画像処理装置であって、
前記仮想空間内の第1ユーザのアバターである第1アバターと、前記仮想空間内の第2ユーザのアバターである第2アバターとの、前記仮想空間内における位置の情報を取得する位置情報取得部と、
前記第1アバターに対して設定された、前記仮想空間内での前記第1アバターの周囲の領域である第1境界領域の情報を取得する境界領域取得部と、
前記第1ユーザと前記第2ユーザとの関係を示す関係情報を取得する関係取得部と、
前記関係が所定条件を満たさない場合には、前記第2アバターが前記第1境界領域内に位置する場合の前記第1アバターの表示態様が、前記第2アバターが前記第1境界領域外に位置する場合の前記第1アバターの表示態様と異なる前記仮想空間用の画像データを生成する画像処理部と、
を含む
画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記関係が、前記第1ユーザと前記第2ユーザとが友好関係にあることを示す場合に、前記所定条件を満たすと判断する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記関係が前記所定条件を満たさず、かつ、前記第2アバターが前記第1境界領域内に位置する場合には、前記第1アバターと前記第2アバターとの間の距離が短くなるに従って、前記第1アバターの表示態様の変化度合いを大きくする、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記第1アバターの表示態様を異ならせる処理として、前記第1アバターを透明化する処理、前記第1アバターを他のアバターに変換する処理、及び前記第1アバターの画像の解像度を低下させる処理との、少なくとも1つを実行する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
仮想空間用の画像処理を行う画像処理方法であって、
前記仮想空間内の第1ユーザのアバターである第1アバターと、前記仮想空間内の第2ユーザのアバターである第2アバターとの、前記仮想空間内における位置の情報を取得するステップと、
前記第1アバターに対して設定された、前記仮想空間内での前記第1アバターの周囲の領域である第1境界領域の情報を取得するステップと、
前記第1ユーザと前記第2ユーザとの関係を示す関係情報を取得するステップと、
前記関係が所定条件を満たさない場合には、前記第2アバターが前記第1境界領域内に位置する場合の前記第1アバターの表示態様が、前記第2アバターが前記第1境界領域外に位置する場合の前記第1アバターの表示態様と異なる前記仮想空間用の画像データを生成するステップと、
を含む、
画像処理方法。
【請求項6】
仮想空間用の画像処理を行う画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記仮想空間内の第1ユーザのアバターである第1アバターと、前記仮想空間内の第2ユーザのアバターである第2アバターとの、前記仮想空間内における位置の情報を取得するステップと、
前記第1アバターに対して設定された、前記仮想空間内での前記第1アバターの周囲の領域である第1境界領域の情報を取得するステップと、
前記第1ユーザと前記第2ユーザとの関係を示す関係情報を取得するステップと、
前記関係が所定条件を満たさない場合には、前記第2アバターが前記第1境界領域内に位置する場合の前記第1アバターの表示態様が、前記第2アバターが前記第1境界領域外に位置する場合の前記第1アバターの表示態様と異なる前記仮想空間用の画像データを生成するステップと、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報機器が大きな進化をしている。そしてその代表例であるスマートフォンだけでなく、所謂ウエラブル機器も普及してきた。ウエラブル機器としては、直接視覚を刺激する眼鏡タイプのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が知られている。このようなHMDを用いると、ユーザの視線方向に合わせて映像を表示することで、ユーザUに仮想空間を提供することができる。近年、仮想空間のアバターを介して、ユーザ同士がコミュニケーションを取ることが増えている。例えば特許文献1には、仮想空間内のアバターと画像との位置関係に応じて、画像の表示態様を変化させる旨が記載されている。特許文献2には、仮想空間をブロックに分割して、アバターが入室したブロックに基づき、アバターの行動履歴を管理する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-271618号公報
【特許文献2】特開2009-140197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、仮想空間内でアバターを介して複数のユーザ同士がコミュニケーションする場合には、プライバシーを保護することも求められる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、仮想空間でアバターを介してコミュニケーションする際に、ユーザのプライバシーを適切に保護可能な画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる画像処理装置は、仮想空間用の画像処理を行う画像処理装置であって、前記仮想空間内の第1ユーザのアバターである第1アバターと、前記仮想空間内の第2ユーザのアバターである第2アバターとの、前記仮想空間内における位置の情報を取得する位置情報取得部と、前記第1アバターに対して設定された、前記仮想空間内での前記第1アバターの周囲の領域である第1境界領域の情報を取得する境界領域取得部と、前記第1ユーザと前記第2ユーザとの関係を示す関係情報を取得する関係取得部と、前記画像処理部は、前記関係が前記所定条件を満たさない場合には、前記第2アバターが前記第1境界領域内に位置する場合の前記第1アバターの表示態様が、前記第2アバターが前記第1境界領域外に位置する場合の前記第1アバターの表示態様と異なる前記仮想空間用の画像データを生成する画像処理部と、を含む。
【0007】
本発明の一態様にかかる画像処理方法は、仮想空間用の画像処理を行う画像処理方法であって、前記仮想空間内の第1ユーザのアバターである第1アバターと、前記仮想空間内の第2ユーザのアバターである第2アバターとの、前記仮想空間内における位置の情報を取得するステップと、前記第1アバターに対して設定された、前記仮想空間内での前記第1アバターの周囲の領域である第1境界領域の情報を取得するステップと、前記第1ユーザと前記第2ユーザとの関係を示す関係情報を取得するステップと、前記画像データを生成するステップでは、前記関係が前記所定条件を満たさない場合には、前記第2アバターが前記第1境界領域内に位置する場合の前記第1アバターの表示態様が、前記第2アバターが前記第1境界領域外に位置する場合の前記第1アバターの表示態様と異なる前記仮想空間用の画像データを生成するステップと、を含む。
【0008】
本発明の一態様にかかるプログラムは、仮想空間用の画像処理を行う画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記仮想空間内の第1ユーザのアバターである第1アバターと、前記仮想空間内の第2ユーザのアバターである第2アバターとの、前記仮想空間内における位置の情報を取得するステップと、前記第1アバターに対して設定された、前記仮想空間内での前記第1アバターの周囲の領域である第1境界領域の情報を取得するステップと、前記第1ユーザと前記第2ユーザとの関係を示す関係情報を取得するステップと、前記関係が前記所定条件を満たさない場合には、前記第2アバターが前記第1境界領域内に位置する場合の前記第1アバターの表示態様が、前記第2アバターが前記第1境界領域外に位置する場合の前記第1アバターの表示態様と異なる前記仮想空間用の画像データを生成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、仮想空間でアバターを介してコミュニケーションする際に、ユーザのプライバシーを適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実空間と仮想空間の一例を説明する模式図である。
図2図2は、本実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
図3図3は、本実施形態に係る画像処理装置の模式的なブロック図である。
図4図4は、境界領域の一例を示す模式図である。
図5図5は、アバターの表示態様の一例を説明する模式図である。
図6図6は、アバターの表示態様の他の例を説明する模式図である。
図7図7は、画像処理装置12による画像データ生成の処理フローを説明するフローチャートである。
図8図8は、アバターの表示態様の他の例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実空間と仮想空間)
図1は、実空間と仮想空間の一例を説明する模式図である。本実施形態に係る画像処理システム100は、ユーザUに仮想空間を提供するシステムであり、表示装置10と画像処理装置12とを含む。図1に示すように、表示装置10は、ユーザUの頭部に装着される、いわゆるHMD(Head Mount Display)である。表示装置10は、画像を表示することで、ユーザUに仮想空間を提供する。図1に示すように、ユーザUが実際に存在する現実空間を実空間SRとし、表示装置10がユーザUに提供する仮想の空間を仮想空間SVとする。この場合、表示装置10は、実空間SRでのユーザUの動作(視線)に応じた仮想空間SV用の画像を表示する。すなわち、ユーザUがアバターとして仮想空間SVで動作していることを模擬して、仮想空間SV用の画像を表示する。そのため、ユーザUは、自身が仮想空間SV内に存在していると認識することができる。なお、ここでの仮想空間SVは、ユーザUが存在する場所から離れた実在の場所を再現した空間、すなわちMR(Mixed Reality)であってもよいし、実際に存在しない仮想の空間、すなわちVR(Vertial Reality)であってもよい。
【0013】
本実施形態では、画像処理システム100は、複数のユーザUに共通の仮想空間SVを提供する。表示装置10はそれぞれのユーザUに用いられ、ユーザUは、自身の表示装置10から提供された仮想空間SV内において、アバターを介して他のユーザUとコミュニケーションをとることができる。図1の例では、ユーザAが表示装置10Aを装着し、ユーザBが表示装置10Bを装着し、ユーザCが表示装置10Cを装着しており、共通の仮想空間SVにおけるユーザA、B、Cのアバターを、それぞれアバターAa、Ba、Caとする。表示装置10Aは、アバターAaの視野範囲VA内の仮想空間SVでの画像を、仮想空間SV用の画像としてユーザAに提供する。同様に、表示装置10Bは、アバターBaの視野範囲VB内の仮想空間SVでの画像を、仮想空間SV用の画像としてユーザBに提供する。同様に、表示装置10Cは、アバターCaの視野範囲VC内の仮想空間SVでの画像を、仮想空間SV用の画像としてユーザCに提供する。なお、仮想空間SV内におけるアバターの数(すなわち共通の仮想空間SVが提供されるユーザUの数)は、3人に限られず任意であってよい。また、図1や、以降の図でも、仮想空間SVを鉛直方向上方から見た2次元平面で表しているが、仮想空間SVは3次元空間であってよい。
【0014】
(表示装置)
図2は、本実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。表示装置10は、コンピュータであるともいえ、図2に示すように、入力部20と、表示部22と、記憶部24と、通信部26と、位置検出部28と、制御部30とを備える。入力部20は、ユーザUによる操作を受け付ける機構であり、例えばHMDに設けられるコントローラやマイクなどであってよい。表示部22は、画像を表示するディスプレイである。表示部22は、画像を出力することで、ユーザUに仮想空間SVを提供する。表示装置10は、表示部22以外にも、例えば音声を出力するスピーカなど、情報を出力する装置を備えていてよい。
【0015】
記憶部24は、制御部30の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部24が記憶する制御部30用のプログラムは、表示装置10が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0016】
通信部26は、画像処理装置12などの外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。表示装置10は、無線通信で外部の装置と通信を行うが、有線通信でもよく、通信方式は任意であってよい。
【0017】
位置検出部28は、実空間SRにおけるユーザU(表示装置10)の位置(座標)と、実空間SRにおけるユーザU(表示装置10)の向き(例えばユーザUの顔や視線が向いている方向)とを検出するセンサである。位置検出部28は、ユーザUの位置及び向きを検出可能なセンサであれば、任意のセンサであってよく、例えばジャイロセンサやカメラなどであってよい。また、位置検出部28は、1つであることに限られず複数であってよく、例えば、ユーザUの位置を検出するセンサとユーザUの向きを検出するセンサとを有していてよい。
【0018】
制御部30は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部30は、位置情報取得部40と、画像データ取得部42と、表示制御部44とを含む。制御部30は、記憶部24からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、位置情報取得部40と画像データ取得部42と表示制御部44を実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部30は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、位置情報取得部40と画像データ取得部42と表示制御部44との処理の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0019】
位置情報取得部40は、実空間SRにおけるユーザUの位置の情報と、実空間SRにおけるユーザUの向きの情報とを、ユーザUの位置情報として取得する。位置情報取得部40は、位置検出部28を制御して、位置検出部28にユーザU(表示装置10)の位置と向きとを検出させ、その検出結果を、ユーザUの位置情報として取得する。
【0020】
画像データ取得部42は、表示部22に表示させる仮想空間SV用の画像データを取得する。本実施形態では、画像データ取得部42は、通信部26を介して、画像処理装置12から、仮想空間SV用の画像データを取得する。仮想空間SV用の画像データの詳細は後述する。
【0021】
表示制御部44は、画像データ取得部42が取得した仮想空間SR用の画像を、表示部22に表示させる。
【0022】
(画像処理装置)
画像処理装置12は、仮想空間SV用の画像の画像処理を行う装置である。画像処理装置12は、ユーザU毎の表示装置10と情報の送受信を行って、仮想空間SV用の画像の画像処理を行うサーバといえる。
【0023】
図3は、本実施形態に係る画像処理装置の模式的なブロック図である。画像処理装置12は、コンピュータであるともいえ、図3に示すように、記憶部50と、通信部52と、制御部54とを備える。
【0024】
記憶部50は、制御部54の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部50が記憶する制御部54用のプログラムは、画像処理装置12が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0025】
通信部52は、表示装置10などの外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。画像処理装置12は、無線通信で外部の装置と通信を行うが、有線通信でもよく、通信方式は任意であってよい。
【0026】
制御部54は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部54は、位置情報取得部60と、境界領域取得部62と、関係取得部64と、画像処理部66とを含む。制御部54は、記憶部50からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、位置情報取得部60と境界領域取得部62と関係取得部64と画像処理部66を実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部54は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、位置情報取得部60と境界領域取得部62と関係取得部64と画像処理部66との処理の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0027】
(位置情報取得部)
位置情報取得部60は、仮想空間SVにおける各ユーザUのアバターの位置情報を、すなわち仮想空間SVの座標系におけるアバターの位置と向きの情報を、取得する。具体的には、位置情報取得部60は、通信部52を介して、それぞれの表示装置10から、ユーザUの位置情報(実空間SRの座標系におけるユーザUの位置と向きとの情報)を取得する。位置情報取得部60は、実空間SRの座標系におけるユーザUの位置と向きを、仮想空間SVの座標系に座標変換して、仮想空間SVの座標系におけるアバターの位置及び向きを、算出する。すなわち本例では、位置情報取得部60は、表示装置10AからユーザAの位置情報を取得し、それを座標変換して、アバターAaの位置情報を設定する。また、位置情報取得部60は、表示装置10BからユーザBの位置情報を取得し、それを座標変換して、アバターBaの位置情報を設定する。また、位置情報取得部60は、表示装置10CからユーザCの位置情報を設定し、それを座標変換して、アバターCaの位置情報を設定する。なお、実空間SRの座標系を仮想空間SVの座標系に変換する方法は任意であるが、例えば座標変換するための数値が予め設定されていてよい。
【0028】
(境界領域取得部)
図4は、境界領域の一例を示す模式図である。境界領域取得部62は、各アバターに対して設定された境界領域ARの情報を取得する。境界領域ARとは、仮想空間SV内での、アバターの周囲の所定の大きさの領域であり、アバター毎に設定されている。すなわち、境界領域取得部62は、アバター毎の、境界領域ARの大きさの情報を取得するといえる。ここでの大きさの情報とは、例えば、境界領域ARの外周から境界領域AR内に位置するアバターまでの、距離Dを示す情報であってよい。なお、図4の例では、境界領域ARは、アバターを中心として距離Dを半径とする円形の領域(3次元である場合は円筒又は半球の空間)であるが、境界領域ARの形状はそれに限られず、任意の形状の領域(又は空間)であってよい。なお、境界領域ARは、アバターの周囲の領域なので、アバターの位置の移動に伴い、境界領域ARの位置も移動する。
【0029】
境界領域ARの情報は、例えばユーザUにより設定される。すなわち、ユーザUが表示装置10の入力部20に、自身のアバターについての境界領域ARの情報(本実施形態では距離D)を入力し、境界領域取得部62は、表示装置10から、境界領域ARの情報を取得する。ただし、境界領域ARの情報はユーザUに設定されることに限られず、例えば予め設定されていてもよい。
【0030】
図4の例では、境界領域取得部62は、アバターAaについての境界領域ARAの情報と、アバターBaについての境界領域ARBの情報と、アバターCaについての境界領域ARCの情報とを取得する。図4の例では、境界領域ARAは、アバターAaの位置を中心として半径が距離DAとなる円形の領域であり、境界領域ARBは、アバターBaの位置を中心として半径が距離DBとなる円形の領域であり、境界領域ARCは、アバターCaの位置を中心として半径が距離DCとなる円形の領域である。ただし、図4に示す各アバターの位置や境界領域ARは、一例である。
【0031】
(関係取得部)
関係取得部64は、ユーザU同士の関係を示す関係情報を取得する。本実施形態では、関係情報は、ユーザU同士が友好関係にあるかを示す情報である。例えば、関係情報は、ユーザU同士が友好関係にある旨を示すフレンド情報と、ユーザU同士が友好関係にない旨の非フレンド情報とのいずれかに設定される。関係情報は、ユーザUにより設定される。例えば、ユーザAが、ユーザBに対して友好関係を結ぶ旨のフレンド申請を、表示装置10Aに入力すると、画像処理装置12は、フレンド申請の情報を表示装置10Aから取得して、ユーザBの表示装置10Bに送信する。ユーザBは、表示装置10Bを介して、フレンド申請がなされている旨の情報を確認し、承認する場合は、承認する旨の情報を表示装置10Bに入力する。画像処理装置12は、承認する旨の情報を表示装置10Bから取得したら、ユーザAとユーザBとの関係を、フレンド情報に設定して、記憶部50に記憶させる。一方、画像処理装置12は、フレンド情報に設定されていないユーザU同士の関係情報を、非フレンド情報に設定する。関係取得部64は、記憶部50から、ユーザU同士の関係情報を読み出すことで、関係情報を取得する。なお、関係情報の設定方法はこれに限られず任意であってよい。例えば、ユーザAが、ユーザBに対して非友好関係とする旨の非フレンド申請を、表示装置10Aに入力すると、画像処理装置12は、非フレンド申請の情報を表示装置10Aから取得する。この場合、画像処理装置12は、ユーザAとユーザBとの関係情報を、非フレンド情報に設定する。
【0032】
本実施形態では、関係情報は、二人のユーザUの組み合わせ毎に設定される。すなわち、本例では、ユーザAとユーザBとの関係情報と、ユーザBとユーザCとの関係情報と、ユーザAとユーザCとの関係情報とが設定されている。関係取得部64は、ユーザAとユーザBとの関係情報と、ユーザBとユーザCとの関係情報と、ユーザAとユーザCとの関係情報とを、取得する。なお、関係情報は、フレンド情報と非フレンド情報との2種類であることに限られず、友好関係の度合いに応じて3段階以上設定されてもよい。
【0033】
(画像処理部)
画像処理部66は、仮想空間SV用の画像データを生成する。画像処理部66は、位置情報取得部60が設定したアバターの位置情報から、アバターの視野範囲Vを特定して、仮想空間SVにおいて視野範囲V内にある仮想の物体や他のアバターを抽出する。そして、画像処理部66は、抽出した物体や他のアバターの画像が、アバターの位置及び向きから見た場合の位置、大きさ及び向きとなるように、仮想空間SV用の画像データを生成する。なお、アバターの姿を示す画像データは、そのアバターのユーザUによって表示装置10を介して設定され、画像処理部66がアバターの姿を示す画像データを表示装置10から取得する。ただし、アバターの姿を示す画像データの取得方法は任意であり、例えば画像処理部66により自動で設定されてもよい。
【0034】
画像処理部66は、生成した仮想空間SV用の画像データを、通信部52を介して表示装置10に送信する。表示装置10は、表示制御部46により、画像処理部66(画像処理装置12)から送信された仮想空間SV用の画像データを用いて、仮想空間SV用の画像を表示する。すなわち本例では、画像処理部66は、アバターAaの視野範囲Vから見た仮想空間SV用の画像データを生成して、表示装置10Aに送信する。表示装置10Aは、画像処理部66から受信した画像データに基づき、表示部22に、アバターAaの視野範囲Vから見た仮想空間SV用の画像を表示する。同様に、画像処理部66は、アバターBaの視野範囲Vから見た仮想空間SV用の画像データを生成して、表示装置10Bに送信する。表示装置10Bは、画像処理部66から受信した画像データに基づき、表示部22に、アバターBaの視野範囲Vから見た仮想空間SV用の画像を表示する。同様に、画像処理部66は、アバターCaの視野範囲Vから見た仮想空間SV用の画像データを生成して、表示装置10Cに送信する。表示装置10Cは、画像処理部66から受信した画像データに基づき、表示部22に、アバターCaの視野範囲Vから見た仮想空間SV用の画像を表示する。これにより、ユーザA、B、Cは、あたかも自身がアバターAa、Ba、Caとして仮想空間SVにいると認識でき、アバターAa、Ba、Caを介して、互いにコミュニケーションをとることができる。
【0035】
このように仮想空間SV内でアバターを介してコミュニケーションする際にも、実空間SVでのユーザU同士のコミュニケーションと同様に、プライバシーを保護することが求められる場合がある。例えば、実空間SVで他人から近い距離で注視されることを望まない人がいるように、仮想空間SVでも、他のユーザのアバターに自身のアバターを注視されることを望まない人もいる。それに対して、本実施形態に係る画像処理装置12は、アバター毎に境界領域ARを設定して、他のユーザのアバターが境界領域AR内に入った場合に、他のユーザに対する自身のアバターの見え方(表示態様)を異ならせることで、他のユーザに注視され難くして、プライバシーの保護を実現している。以下、具体的に説明する。
【0036】
(関係情報の判断)
画像処理部66は、関係取得部64が取得したユーザ同士の関係情報が、所定の条件を満たすか判断する。本実施形態では、画像処理部66は、関係情報が友好情報として設定されている場合に、すなわちユーザU同士が友好関係にある場合に、所定の条件を満たすと判断する。一方、画像処理部66は、関係情報が非友好情報として設定されている場合に、すなわちユーザU同士が友好関係にない場合に、所定の条件を満たさないと判断する。なお、所定の条件を満たすかの判断基準は、友好状態であるかに限られず、適宜決められてよい。
【0037】
(関係条件が所定の条件を満たさない場合)
以降では、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の条件を満たさない場合(ここではユーザA、Bが友好関係にない場合)に、ユーザBのアバターBaの視野範囲VにユーザAのアバターAaが入っており、ユーザBの表示装置10Bに提供するアバターAaの画像データを生成する場合を例にする。ただし、以降の説明は、他のユーザU同士にも適用される。
【0038】
図5は、アバターの表示態様の一例を説明する模式図である。画像処理部66は、ユーザA、Bの関係情報が所定の条件を満たさない場合(ここではユーザA、Bが友好関係にない場合)、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置しているかを判断する。例えば、画像処理部66は、アバターAaの位置情報と境界領域ARAの大きさの情報とから、仮想空間SV内における境界領域ARAの占める位置を特定し、アバターBaの位置情報から、仮想空間SV内におけるアバターBaの位置を特定する。そして、画像処理部66は、仮想空間SV内におけるアバターBaの位置が、境界領域ARAに重なる場合には、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していると判断し、アバターBaの位置が境界領域ARAに重ならない場合には、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していないと判断する。図5では、ステップS100が、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していない場合の例を示しており、ステップS102、S104が、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していない場合の例を示している。
【0039】
ただし、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置しているかの判断方法は、以上の説明に限られない。例えば、画像処理部66は、アバターAa、Baの位置情報から、仮想空間SV内におけるアバターAaとアバターBaとの間の距離Lを算出してよい。そして、画像処理部66は、境界領域ARAの広さの情報としての距離Dを取得し、距離Lが距離D以下である場合に、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していると判断し、距離Lが距離Dより長い場合に、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していないと判断してもよい。
【0040】
画像処理部66は、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置している場合における、ユーザBの表示装置10Bに提供するアバターAaの画像データの表示態様が、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していない場合における、ユーザBの表示装置10Bに提供するアバターAaの画像データの表示態様と異なるように、表示装置10Bに提供するアバターAaの画像データを生成する。すなわち、ユーザAとユーザBとが友好関係にない場合であって、ユーザBのアバターBaがユーザAのアバターAaの境界領域ARA内に入った場合には、ユーザBに視認させるアバターAaの表示態様が、変化する。
【0041】
なお、ここでの表示態様とは、アバターAaの画像の視認性に影響を及ぼす画像データのパラメータである。すなわち、画像処理部66は、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置している場合におけるアバターAaの画像の視認性を、アバターAaの境界領域ARA外にアバターBaが位置している場合におけるアバターAaの画像の視認性よりも、低くする(すなわちユーザBにアバターAaを見えにくくする)。なお、アバターAaとアバターBaとの相対位置や相対向きが変わると、アバターBaの大きさや見える向きは変わるが、ここでの表示態様は、アバターBaの大きさや見える向きを意味しない。ここでの表示態様とは、例えば同じ相対距離、相対向きで見たと仮定しても、表示態様が変わるとアバターBaの視認性が低くなるパラメータを指す。
【0042】
本実施形態における表示態様は、アバターBaの画像の透明度を指す。すなわち本実施形態では、画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の条件を満たさない場合には、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置している場合におけるアバターAaの画像の透明度が、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していない場合におけるアバターAaの画像の透明度より高くなるように、表示装置10Bに提供するアバターAaの画像データを生成する。
【0043】
さらに、本実施形態では、画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の条件を満たさず、かつ、アバターBaがアバターAaの境界領域ARA内に位置する場合には、アバターAaとアバターBaとの間の距離Lが短くなるに従って、アバターAaの表示態様の変化度合いを大きくする。すなわち、画像処理部66は、アバターBaがアバターAaの境界領域ARA内に入ったら、アバターAaとアバターBaとの間の距離が短くなるに従って、アバターAaの画像の視認性の低下度合いを大きくする。本実施形態では、図5のステップS102に示すように、アバターBaがアバターAaの境界領域ARA内に入ると、アバターBaがアバターAaの境界領域ARAの外にいるステップS100と比べて、アバターAaの画像の透明度が高くなる。さらに、ステップS102よりもアバターAaとアバターBaとの距離Lが短くなるに従って、アバターAaの画像の透明度が高くなる。そして、ステップS104に示すように、アバターAaとアバターBaとの距離Lが所定値まで近づくと、アバターAaの画像が完全に透明となり、アバターAaの画像が表示されなくなる。
【0044】
このように、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の条件を満たさない場合には、アバターBaがアバターAaに近づくと(境界領域ARA内に入ったら)、ユーザBが見る画像におけるアバターAaの視認性が低下する。そのため、アバターAaがユーザBに注視され難くなり、仮想空間SVにおけるユーザAのプライバシーを保護できる。また、本実施形態では、アバターBaが境界領域ARA内に入ってからさらに距離Lが近づくにつれて、徐々にアバターAaが透明になってゆき、急にアバターAaを消さないようにしている。これにより、例えば完全に透明になってユーザBがアバターAaの存在を認識できなくなる前に、ユーザBがアバターAaを視認して、ユーザAに対してフレンド申請を行うことが可能となる。従って、本実施形態によると、プライバシーを保護しつつ、コミュニケーションを補助できる。すなわちこの場合には、画像処理システム100は、アバターAaが完全に消えるまでは、ユーザAへのフレンド申請を受け付けてよい。
【0045】
以上の説明では、関係情報が友好情報と非友好情報との2種類であったが、3段階以上の場合には、友好度合いに応じて、アバターAaの表示態様の変化のさせ方を調整してもよい。この場合例えば、友好度合いが低いほど境界領域ARを広くして、アバターAaが遠くからでも視認され難くしてよい。また例えば、友好度合いが低いほど、境界領域AR内に入った場合の表示態様の変化度合い(ここでは透明度の度合い)を大きくしてもよいし、境界領域AR内に入ってから距離Lが単位長さ短くなった場合の視認性の低下度合い(すなわちここでは透明化が進むスピード)を大きくして、近づいた場合に視認され難くしてもよい。
【0046】
(表示態様の他の例)
図6は、アバターの表示態様の他の例を説明する模式図である。以上の説明では、アバターの表示態様として、アバターAaの画像の透明度を異ならせていたが、表示態様は透明度であることに限られない。例えば図6に示すように、アバターAaと重なる位置に、別のアバターXaの画像を表示させることで、アバターAaを他のアバターXaに変換するように、表示態様を変えてもよい。すなわち、アバターAaと重なる位置に、別のアバターXaが表示されることで、アバターAaの視認度が低下する。この場合例えば、図6のステップS100aに示すように、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置していない場合には、アバターXaは表示されずにアバターAaが表示される。一方、ステップS102aに示すように、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBaが位置する場合、アバターAaと重なる位置に、アバターXaが表示される。そして例えば、アバターAaとアバターBaとの間の距離Lが短くなるに従って、アバターXaの透明度を低くし(すなわちアバターXaが鮮明になってゆき)、逆にアバターAaの透明度を高くしてよい。そして、ステップS104aに示すように、アバターAaとアバターBaとの距離Lが所定値まで近づくと、アバターAaの画像が完全に透明となり、アバターAaの位置にアバターXaの画像のみが表示される。なお、ここでのアバターXaの姿の画像は、任意に設定されてよく、アバターAaと異なる任意の姿であってよい。
【0047】
なお、表示態様を異ならせる処理は、透明度を上げることや、別のアバターXaに変換すること(モーフィング処理)に限られない。例えば、表示態様を異ならせる処理は、アバターAaの解像度を低下させることであってもよい。
【0048】
(関係条件が所定の条件を満たす場合)
以降では、ユーザBとユーザCとの関係情報が所定の条件を満たす場合(すなわちここではユーザBとユーザCとが友好関係にある場合)に、ユーザBのアバターBaの視野範囲Vに他のユーザCのアバターCaが入っており、ユーザBの表示装置10Bに提供するアバターCaの画像データを生成する場合を例にする。以降の説明は、他のユーザU同士にも適用される。
【0049】
画像処理部66は、関係情報が所定の条件を満たす場合(ここではユーザB、Cが友好関係にある場合)、アバターCaの境界領域ARC内にアバターCaが位置している場合における、ユーザBの表示装置10Bに提供するアバターCaの画像データの表示態様が、アバターCaの境界領域ARC内にアバターBaが位置していない場合における、ユーザBの表示装置10Bに提供するアバターCaの画像データの表示態様と同じとなるように、表示装置10Bに提供するアバターCaの画像データを生成する。すなわち図5の例では、アバターCaの境界領域ARCの外にアバターBaが位置しているステップS100及びステップS102と、アバターCaの境界領域ARC内にアバターBaが位置しているステップS104とで、アバターCaの透明度が同じである(視認性が同じである)。さらに、アバターCaとアバターBaとの距離Lが近づいても、表示態様は変わらない。従って、友好関係にある場合には、距離LによらずアバターCaが視認可能である。
【0050】
(処理フロー)
次に、画像処理装置12による画像データ生成の処理フローを説明する。以下では、ユーザBの表示装置10B用に、ユーザAのアバターAaの画像データを生成する場合を例にする。図7は、画像処理装置12による画像データ生成の処理フローを説明するフローチャートである。
【0051】
図7に示すように、画像処理装置12は、位置情報取得部60により、アバターの位置情報を取得し(ステップS10)、境界領域取得部62により、境界領域ARの情報を取得し(ステップS12)、関係情報取得部64により、関係情報を取得する(ステップS14)。ステップS10、S12、S14の順番はこれに限られず任意である。その後、画像処理装置12は、画像処理部66により、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の関係を満たすかを判断し(ステップS16)、所定の関係を満たす場合(ステップS16;Yes)、既存の表示態様で、すなわち例えば透明度を付与せずに、アバターAaの画像データを生成する(ステップS18)。そして、画像処理装置12は、アバターAaの画像データを含む、アバターBaの視野範囲Vに入る仮想空間SVの画像データを、ユーザBの表示装置10Bに送信する。表示装置10Bは、受信した画像データに基づき、アバターBaの視野範囲Vに入る仮想空間SVの画像を表示する。
【0052】
一方、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の関係を満たさない場合(ステップS16;No)、画像処理部66は、アバターBaがアバターAaの境界領域ARA内に位置しているかを判断し(ステップS20)、境界領域ARA内に位置していない場合(ステップS20;No),ステップS18に進み、既存の表示態様で、すなわち例えば透明度を付与せずに、アバターAaの画像データを生成する。一方、アバターBaがアバターAaの境界領域ARA内に位置している場合(ステップS20;Yes)、画像処理部66は、異なる表示態様で、すなわち例えば透明度を付与して、アバターAaの画像データを生成する(ステップS22)。そして、画像処理装置12は、アバターBaの視野範囲Vに入る仮想空間SVの画像データを、ユーザBの表示装置10Bに送信する。表示装置10Bは、受信した画像データに基づき、アバターBaの視野範囲Vに入る仮想空間SVの画像を表示する。
【0053】
ステップS18、S22の後、処理を終了しない場合(ステップS24;No)、ステップS10に戻り処理を続け、処理を終了する場合(ステップS24;Yes)、本処理を終了する。
【0054】
なお、以上の処理は、一対のアバターの組み合わせ毎に実行される。例えば図4において、ユーザAとユーザB、ユーザBとユーザC、ユーザAとユーザCとの全ての関係情報が、非友好情報であったとする。そして、アバターAaは、アバターCaの境界領域ARCの範囲外に位置し、かつ視野範囲にアバターCaが入っているとする。また、アバターCaは、アバターAaの境界領域ARAの範囲内に位置し、かつ視野範囲にアバターAaが入っているとする。この場合、ユーザAの表示装置10Aに提供される画像には、アバターCaが写るが、ユーザCの表示装置10Cに提供される画像には、アバターAaが写らない。また、ユーザBのアバターBaは、ユーザAのアバターAaの境界領域ARA、及びユーザCのアバターCaの境界領域ARCの範囲外であり、かつ視野範囲にアバターAa、Caが入っているとすると、ユーザBの表示装置10Bに提供される画像には、アバターAa、Caの両方が写る。
【0055】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置12は、仮想空間SV用の画像処理を行うものであって、位置情報取得部60と、境界領域取得部62と、関係取得部64と、画像処理部66とを含む。位置情報取得部60は、仮想空間SV内の第1ユーザ(ユーザA)の第1アバター(アバターAa)と、仮想空間SV内の第2ユーザ(ユーザB)の第2アバター(アバターBa)との、仮想空間SV内における位置の情報を取得する。境界領域取得部62は、アバターAaに対して設定された、仮想空間SV内でのアバターAaの周囲の領域である第1境界領域(境界領域ARA)の情報を取得する。関係情報取得部64は、ユーザAとユーザBとの関係を示す関係情報を取得する。画像処理部66は、ユーザBに提供する仮想空間SV用の画像データを生成する。画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係が所定条件を満たす場合には、アバターBaが境界領域ARA内に位置する場合のアバターAaの表示態様が、アバターBaが境界領域ARA外に位置する場合のアバターAaの表示態様と同じになるように、ユーザBに提供する画像データを生成する。一方、画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係が所定条件を満たさない場合には、アバターBaが境界領域ARA内に位置する場合のアバターAaの表示態様が、アバターBaが境界領域ARA外に位置する場合のアバターAaの表示態様と異なるように、ユーザBに提供する画像データを生成する。
【0056】
本実施形態に係る画像処理装置12によると、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の条件を満たさない場合には、アバターBaがアバターAaに近づくと(境界領域ARA内に入ったら)、ユーザBが見る画像におけるアバターAaの表示態様が変化する。そのため、仮想空間SVにおけるユーザAのプライバシーを適切に保護できる。
【0057】
また、境界領域取得部62は、アバターBaに対して設定された、仮想空間SV内でのアバターBaの周囲の領域である第2境界領域(境界領域ARB)の情報も取得する。画像処理部66は、ユーザAに提供する仮想空間SV用の画像データを生成する。画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係が所定条件を満たす場合には、アバターAaが境界領域ARB内に位置する場合のアバターBaの表示態様が、アバターAaが境界領域ARB外に位置する場合のアバターBaの表示態様と同じになるように、ユーザAに提供する画像データを生成する。一方、画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係が所定条件を満たさない場合には、アバターAaが境界領域ARB内に位置する場合のアバターBaの表示態様が、アバターAaが境界領域ARB外に位置する場合のアバターBaの表示態様と異なるように、ユーザAに提供する画像データを生成する。本実施形態に係る画像処理装置12によると、ユーザAに提供する画像データにおけるユーザBのアバターBaの表示態様も変えるため、仮想空間SVにおけるユーザBのプライバシーについても、適切に保護できる。さらに、アバター毎に境界領域を設定しているため、ユーザUに合わせて、プライバシーの保護度合いを適切に調整できる。
【0058】
画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係が、ユーザAとユーザBとが友好関係にあることを示す場合に、所定の条件を満たすと判断する。本実施形態に係る画像処理装置12によると、友好関係にある場合には表示態様を変えずに、友好関係にない場合には表示態様を変えることで、プライバシーを保護しつつ、コミュニケーションをサポートできる。
【0059】
画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係が所定条件を満たさず、かつ、アバターBaが境界領域ARA内に位置する場合には、アバターAaとアバターBaとの間の距離が短くなるに従って、アバターAaの表示態様の変化度合いを大きくする。本実施形態に係る画像処理装置12によると、アバターAaに近づくほど表示態様の変化が大きくなるため、ユーザAのプライバシーを適切に保護できる。
【0060】
画像処理部66は、アバターAaの表示態様を異ならせる処理として、アバターAaを透明化する処理、アバターAaを他のアバターXaに変換する処理、及びアバターAaの画像の解像度を低下させる処理との、少なくとも1つを実行する。本実施形態に係る画像処理装置12によると、このように表示態様を変化させることで、ユーザAのプライバシーを適切に保護できる。
【0061】
なお、本実施形態では、画像処理装置12が、位置情報取得部60と境界領域取得部62と関係取得部64と画像処理部66の機能を有していたが、表示装置10がこれらの機能を有していてもよい。すなわち、表示装置10が、画像処理装置12として機能してもよく、位置情報取得部60と境界領域取得部62と関係取得部64と画像処理部66との少なくとも1つを含んで、これらの処理を実行してもよい。
【0062】
(他の例)
以下、画像処理部66による表示態様を異ならせる処理の他の例を説明する。図8は、アバターの表示態様の他の例を説明する模式図である。ここで、例えばユーザA、Cが友好関係にあり、ユーザB、Cが友好関係にあり、ユーザA、Bが非友好関係であるとする。そして、図8の(A)に示すように、ユーザBのアバターBaが、ユーザAのアバターAaの境界領域ARAとユーザCのアバターCaの境界領域ARCとの両方に入っているとする。この場合、本実施形態の説明では、ユーザBの表示装置10Bには、友好関係にあるアバターCaが写るが、非友好関係にあるアバターAaが写らない。このようなケースで、例えばユーザA、CがアバターAa、Caを介してコミュニケーションを取っていた場合、表示装置10Bには、アバターCaが一人でコミュニケーションを取っている画像が写り、違和感が生じるおそれがある。そのため、本例では、画像処理部66は、このようなケースにおいて、ユーザA、CがアバターAa、Caを介してコミュニケーションを取っていると判断した場合には、アバターAaの表示態様の変化度合いを小さくしてよい。すなわち例えば、図8の(A)に示すように、アバターBaがアバターAaの境界領域ARAに入っていた場合と、アバターBaがアバターAaの境界領域ARAに入っていない場合との表示態様の変化度合い(ここでは透明度)を小さくしてもよいし、表示態様を変化させなく(ここでは非透明に)してもよい。これにより、表示装置10BにアバターAaも写るため、違和感を解消できる。また例えば、画像処理部66は、図8の(B)に示すように、ユーザA、CがアバターAa、Caを介してコミュニケーションを取っていると判断した場合には、アバターAaの境界領域ARAの大きさを小さくしてもよい。これにより、かなり近づかなければアバターAaが透明にならないため、違和感を解消できる。
【0063】
なお、本例において、ユーザA、CがアバターAa、Caを介してコミュニケーションを取っているか判断する方法は、任意であってよい。例えば、ユーザA、Cが、他のユーザには非公開の形で、表示装置10A、画像処理装置12、及び表示装置10Cを介して、情報の送受信を行っている場合に、画像処理装置12は、ユーザA、CがアバターAa、Caを介してコミュニケーションを取っていると判断してよい。また例えば、画像処理装置12は、仮想空間SVにおいて、アバターAaとアバターCaとが互いに対面した状態が所定時間以上続く場合に、ユーザA、CがアバターAa、Caを介してコミュニケーションを取っていると判断してよい。
【0064】
次に、別の例について説明する。本実施形態においては、あるアバターの境界領域ARに非友好関係のアバターが入っている場合には、非友好関係のユーザの表示装置10には、そのアバターが写らなくなる。しかし例えば、不特定多数のユーザとコミュニケーションすることが望まれるケースがあり、この場合には、非友好関係のユーザの表示装置10からアバターが消えてしまうと、アバターを介して不特定多数のユーザとコミュニケーションすることができない。それに対して、本例では、仮想空間SV内に、境界領域ARに他のアバターが入っている場合でも表示態様を変化させない領域(空間)である開放領域を設定する。例えば、ユーザA、Bが非友好関係であり、ユーザA、Cが非友好関係にあり、かつ、アバターAaの境界領域ARA内にアバターBa、Caが入っていたとする。この場合であっても、アバターAaが開放領域に入っていた場合には、画像処理装置12は、ユーザB、Cの表示装置10B、10C用の画像において、アバターAaの画像を透明とすることなく、アバターAaの画像を既存の表示態様で表示させる。なお、仮想空間SV内での開放領域の位置情報は、画像処理装置12から表示装置10を介して、各ユーザUに予め通知することが好ましい。これにより、ユーザUは、不特定多数のユーザとコミュニケーションしたい場合には、アバターを開放領域に移動させ、プライバシーを保護したい場合には、アバターを開放領域に移動させなければよい。
【0065】
次に、さらに別の例について説明する。本実施形態においては、アバターAaの設定領域ARA内にアバターBaが入っているか否かで、表示態様を異ならせるかを判断していたが、判断手法はそれに限られず、例えば、アバターBaがアバターAaを注視した時間にも基づき、表示態様を異ならせるかを判断してよい。この場合例えば、画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の条件を満たさない場合には、アバターBaがアバターAaの境界領域ARA内に位置するかを判断しつつ(すなわち距離Lが境界領域ARAの半径の距離D以下であるかを判断しつつ)、アバターBaの視線がアバターAaの位置と重なるかを判断する。アバターBaの視線は、アバターBaの向きに基づき適宜設定されてよく、例えば視野範囲Vの中心を通る直線でも良いし、アバターBaから円錐状に広がりを持っていても良いし円錐以外の形状で広がりを持っても良い。画像処理部66は、アバターBaの視線がアバターAaの位置と重なっている時間が閾値を超えるかを判断する。そして、画像処理部66は、ユーザAとユーザBとの関係情報が所定の条件を満たさず、アバターBaがアバターAaの境界領域ARA内に位置し、かつ、アバターBaの視線がアバターAaの位置と重なっている時間が閾値を超えた場合に、表示態様を異ならせると判断する。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、各実施形態の構成を組み合わせることも可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
10 表示装置
12 画像処理装置
22 表示部
60 位置情報取得部
62 境界領域取得部
64 関係取得部
66 画像処理部
A、B、C ユーザ
Aa、Ba、Ca アバター
ARA、ARB、ARC 境界領域
SV 仮想空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8