(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144876
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ラベル印字装置
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20220926BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20220926BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20220926BHJP
B65C 9/46 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B41J3/36 Z
B41J5/30 Z
B41J11/70
B65C9/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046067
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】平田 耕亮
(72)【発明者】
【氏名】古川 貴史
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅継
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
2C187
3E095
【Fターム(参考)】
2C055EE09
2C055GG02
2C055GG05
2C055KK00
2C058AB11
2C058AC06
2C058AC12
2C058AE04
2C058AE14
2C058AF06
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA24
2C058LB06
2C058LC02
2C058LC21
2C187AC05
2C187AD05
2C187AD10
2C187AE01
2C187AG08
2C187BH05
2C187CC03
2C187CD12
2C187HA07
2C187HA14
2C187HA27
3E095AA19
3E095BA02
3E095CA02
3E095DA03
3E095DA24
3E095DA32
3E095DA42
3E095DA62
3E095EA02
3E095EA12
3E095EA24
3E095FA25
(57)【要約】
【課題】装置異常の発生を抑制することが可能なラベル印字装置を提供する。
【解決手段】ラベル印字装置5は、台紙レスラベルLsを搬送する搬送ローラ33A,33B及び印字ローラ34と、搬送される台紙レスラベルLsの印字面Ls1側が巻き付けられ台紙レスラベルLsの搬送方向を変更する軸部36と、軸部36により搬送方向が変更された台紙レスラベルLsを切断し、ラベルLを発行するカッター機構37と、制御装置70と、を有する。制御装置70の準備動作モード実行部71は、所定時間を超えてラベルLが発行されていない場合の台紙レスラベルLsについて、台紙レスラベルLsにおける軸部36からカッター機構37に至る部分の長さよりも長い所定距離、搬送ローラ33A,33B及び印字ローラ34により搬送させて、カッター機構37により切断させる準備動作モードを実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙レスラベルに印字を行うラベル印字装置であって、
前記台紙レスラベルをその長手方向に沿って搬送する搬送部と、
搬送される前記台紙レスラベルの非粘着側が巻き付けられ、前記台紙レスラベルの搬送方向を変更する軸部と、
前記軸部により搬送方向が変更された前記台紙レスラベルを切断し、ラベルを発行する切断部と、
前記搬送部及び前記切断部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
所定時間を超えてラベルが発行されていない場合の前記台紙レスラベルについて、前記台紙レスラベルにおける前記軸部から前記切断部に至る部分の長さよりも長い所定距離、前記搬送部により搬送させて、前記切断部により切断させる準備動作モードを実行する、ラベル印字装置。
【請求項2】
前記搬送部により搬送される前記台紙レスラベルに印字を行う印字部を備え、
前記軸部は、前記印字部に向けて前記台紙レスラベルの搬送方向を変更させる、請求項1に記載のラベル印字装置。
【請求項3】
前記制御部は、新たなラベルを発行する際、前回にラベルを発行したときから前記所定時間を超えてラベルが発行されていないと判定した場合に、前記準備動作モードを実行する、請求項1又は2に記載のラベル印字装置。
【請求項4】
ラベル発行口の周辺に設けられ、前記準備動作モードによる切断で分離させた前記台紙レスラベルの有無を検知するラベル検知センサを備え、
前記制御部は、
前記ラベル検知センサで前記台紙レスラベルを検知している場合、新たなラベルの発行を禁止する、請求項1~3の何れか一項に記載のラベル印字装置。
【請求項5】
前記準備動作モードを実行する際、前記準備動作モードを実行することを報知する報知部を備える、請求項1~4の何れか一項に記載のラベル印字装置。
【請求項6】
前記準備動作モードを実行した後、前記準備動作モードによる切断で分離させた前記台紙レスラベルをラベル発行口から取り除く指示を出力する出力部を備える、請求項1~5の何れか一項に記載のラベル印字装置。
【請求項7】
前記所定時間の入力を受け付ける第1入力部を備える、請求項1~6の何れか一項に記載のラベル印字装置。
【請求項8】
前記所定距離の入力を受け付ける第2入力部を備える、請求項1~7の何れか一項に記載のラベル印字装置。
【請求項9】
前記準備動作モードの実行を禁止する入力を受け付ける第3入力部を備える、請求項1~8の何れか一項に記載のラベル印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル印字装置として、例えば特許文献1に記載された装置が知られている。特許文献1に記載されたラベル印字装置は、台紙レスラベルをその長手方向に沿って搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送される台紙レスラベルに商品情報を印字する印字機構と、搬送機構及び印字機構の少なくとも1つを制御する制御部と、を備える。特許文献1に記載されたラベル印字装置では、制御部は、第1印字状態で台紙レスラベルに商品情報を印字するための第1印字モードと、商品情報を示す文字等が第1印字状態に比べて台紙レスラベルの搬送方向に圧縮された第2印字状態で台紙レスラベルに商品情報を印字するための第2印字モードと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなラベル印字装置では、搬送される台紙レスラベルの非粘着側が軸部に巻き付けられ、この軸部によって台紙レスラベルの搬送方向が変更された後、切断部によって当該台紙レスラベルが切断され、ラベルが発行される。このようなラベル印字装置では、例えば所定時間ラベルを発行せずに放置された場合、台紙レスラベルにおいて軸部に巻き付けられていた部分が反った状態でクセが付いてしまう。クセが付いた部分にて台紙レスラベルが切断されると、台紙レスラベルがめくれ挙がった状態となる。この状態で台紙レスラベルが更に搬送されると、クセが付いた部分が切断部の切断刃にくっついたり、台紙レスラベルを巻き込んで上手く搬送できなかったりする等の装置異常が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、装置異常の発生を抑制することが可能なラベル印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るラベル印字装置は、台紙レスラベルに印字を行うラベル印字装置であって、台紙レスラベルをその長手方向に沿って搬送する搬送部と、搬送される台紙レスラベルの非粘着側が巻き付けられ、台紙レスラベルの搬送方向を変更する軸部と、軸部により搬送方向が変更された台紙レスラベルを切断し、ラベルを発行する切断部と、搬送部及び切断部を制御する制御部と、を有し、制御部は、所定時間を超えてラベルが発行されていない場合の台紙レスラベルについて、台紙レスラベルにおける軸部から切断部に至る部分の長さよりも長い所定距離、搬送部により搬送させて、切断部により切断させる準備動作モードを実行する。
【0007】
このラベル印字装置では、所定時間を超えてラベルが発行されていない場合の台紙レスラベルについて、軸部に巻き付けられていた部分にクセの付いてしまっていたとしても、準備動作モードを実行することにより、当該クセが付いた部分を除去することができる。これにより、当該クセが付いた部分が切断部の切断刃にくっついたり等することを防ぐことができる。すなわち、本発明の一側面に係るラベル印字装置によれば、装置異常の発生を抑制することが可能となる。
【0008】
本発明の一側面に係るラベル印字装置は、搬送部により搬送される台紙レスラベルに印字を行う印字部を備え、軸部は、印字部に向けて台紙レスラベルの搬送方向を変更させてもよい。この場合、軸部により、台紙レスラベルを下流側の印字部へ誘導することができる。
【0009】
本発明の一側面に係るラベル印字装置では、制御部は、新たなラベルを発行する際、前回にラベルを発行したときから所定時間を超えてラベルが発行されていないと判定した場合に、準備動作モードを実行してもよい。この場合、新たなラベルを発行する際に、台紙レスラベルのクセが付いた部分を除去することができる。
【0010】
本発明の一側面に係るラベル印字装置は、ラベル発行口の周辺に設けられ、準備動作モードによる切断で分離させた台紙レスラベルの有無を検知するラベル検知センサを備え、制御部は、ラベル検知センサで台紙レスラベルを検知している場合、新たなラベルの発行を禁止してもよい。準備動作モードによる切断で分離させた台紙レスラベルが取り出されずにラベル発行口の周辺にそのまま残っていると、新たなラベルを発行する場合、当該台紙レスラベルが邪魔をして装置異常が生じる可能性がある。よって、本発明の一側面に係るラベル印字装置では、ラベル検知センサにより台紙レスラベルを検知している場合には、当該台紙レスラベルがラベル発行口の周辺にそのまま残っていると判断し、新たなラベルの発行を禁止する。これにより、新たなラベルを発行する場合に、当該台紙レスラベルが邪魔をして発生し得る装置異常を回避することが可能となる。
【0011】
本発明の一側面に係るラベル印字装置は、準備動作モードを実行する際、準備動作モードを実行することを報知する報知部を備えていてもよい。この場合、準備動作モードの実行を作業者に効果的に知らせることができる。
【0012】
本発明の一側面に係るラベル印字装置は、準備動作モードを実行した後、準備動作モードによる切断で分離させた台紙レスラベルをラベル発行口から取り除く指示を出力する出力部を備えていてもよい。この場合、準備動作モードにより分離させた台紙レスラベルを取り除くことを、作業者に対して促すことができる。
【0013】
本発明の一側面に係るラベル印字装置は、所定時間の入力を受け付ける第1入力部を備えていてもよい。この場合、作業者は、第1入力部を介して所望な所定時間を設定することができる。
【0014】
本発明の一側面に係るラベル印字装置は、所定距離の入力を受け付ける第2入力部を備えていてもよい。この場合、作業者は、第2入力部を介して所望な所定距離を設定することができる。
【0015】
本発明の一側面に係るラベル印字装置は、準備動作モードの実行を禁止する入力を受け付ける第3入力部を備えていてもよい。この場合、作業者は、第3入力部を介して準備動作モードの実行を禁止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、装置異常の発生を抑制することが可能なラベル印字装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係るラベル印字装置を有する包装装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1のラベル印字装置を示す概略構成図である。
【
図4】
図1の包装装置の機能構成を示す制御ブロック図である。
【
図5】準備動作モードの所定距離を説明するための
図3の一部を拡大して示す図である。
【
図6】
図1のラベル印字装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
(1)全体構成
図1は、一実施形態に係るラベル印字装置5を有する包装装置1を示す斜視図である。
図2は、包装装置1を示す概略構成図である。
図1及び
図2に示されるように、包装装置1は、トレー内に食品等の被包装物を収容した商品としての物品M(以後、単に「物品M」と称す。)を計量及び包装し、包装された物品Mに商品情報が印刷されたラベルLを貼り付ける。包装装置1は、計量包装部10と、ラベル発行部30と、ラベル貼付部50と、シール機構60と、制御装置70と、表示入力パネル80と、を備える。ラベル印字装置5は、ラベル発行部30と制御装置(制御部)70とによって構成される。
【0020】
計量包装部10は、物品Mを計量及び包装する。計量包装部10は、計量部13、搬送部21、包装部15及びプッシャ25を有する。計量部13は、計量部13に載置された物品Mを計量する。計量部13は、物品Mの計量値を制御装置70に送信する。搬送部21は、計量された物品Mを包装部15まで搬送する。
【0021】
包装部15は、物品Mを包装する。包装部15は、物品Mが載置されたリフト23を上昇させ、フィルムフィーダ(図示せず)によってリフト23上空に張設されたフィルムに押し付けることによって、物品Mの上面をフィルムで覆う。包装部15は、折込板(図示せず)によって当該フィルムを物品Mの下面に折込むことによって物品Mを包装する。プッシャ25は、包装部15によって包装された物品Mをラベル貼付部50によってラベルLが貼り付けられる位置まで押し出す。
【0022】
図3は、ラベル発行部30を示す概略構成図である。
図2及び
図3に示されるように、ラベル発行部30は、包装された物品Mに貼付するためのラベルLを発行する。ラベル発行部30は、ロールホルダ31、搬送ローラ33A,33B、印字ローラ34、サーマルヘッド35、軸部36、カッター機構(切断部)37、保持ローラ38、ラベル検知センサ39及びラベル保持部41を有する。
【0023】
ロールホルダ31は、テープ状の台紙レスラベルLsが巻き付けられたラベルロールLRを回転可能に保持する。ロールホルダ31は、ラベルロールLRが装着された回転軸を回転駆動させることで、台紙レスラベルLsを繰り出す。台紙レスラベルLsは、帯状の材料(例えばフィルム等)からなり、一方の面が印字面Ls1となっており、他方の面が粘着面Ls2となっている。台紙レスラベルLsの印字面Ls1には、温度に応じて少なくとも2色以上に発色可能な感熱発色層が形成されている。台紙レスラベルLsの粘着面Ls2には、粘着性のある接着剤層が形成されている。台紙レスラベルLsでは、粘着面Ls2に台紙が付いておらず、1つの物品Mに対して発行されるラベルLのサイズを自由に決めることができる。
【0024】
搬送ローラ33A,33B及び印字ローラ34は、台紙レスラベルLsをその長手方向に沿って搬送する搬送部を構成する。搬送ローラ33Aは、台紙レスラベルLsの下方に配置される駆動ローラである。搬送ローラ33Bは、台紙レスラベルLsの上方に配置される従動ローラである。搬送ローラ33A,33Bは、台紙レスラベルLsを挟んで回転する。印字ローラ34は、搬送ローラ33A,33Bの搬送方向の下流側に配置されている。印字ローラ34は、台紙レスラベルLsの下方に配置される駆動ローラである。
【0025】
サーマルヘッド35は、搬送される台紙レスラベルLsに商品情報等の印字を行う印字部を構成する。サーマルヘッド35は、台紙レスラベルLsの上方に配置されている。サーマルヘッド35は、台紙レスラベルLsを介して印字ローラ34と対向する。
【0026】
軸部36は、搬送される台紙レスラベルLsの印字面Ls1側(非粘着側)が巻き付けられている。軸部36は、台紙レスラベルLsの搬送方向を変更する。軸部36は、例えば金属により形成された円柱状の軸体を含む。軸部36は、搬送ローラ33A,33Bの上流側に配置されている。軸部36の表面には、台紙レスラベルLsの印字面Ls1が当接する。軸部36は、台紙レスラベルLsの搬送方向を、鋭角に曲がるように変更させる。つまり、軸部36より上流側の台紙レスラベルLsと軸部36により下流側の台紙レスラベルLsと間の角度は、鋭角である。軸部36は、サーマルヘッド35に向けて台紙レスラベルLsの搬送方向を変更させる。
【0027】
カッター機構37は、台紙レスラベルLsを所定の位置で切断して分離させる(切り離す)。カッター機構37は、軸部36により搬送方向が変更された台紙レスラベルLsを切断し、ラベル発行口30HからラベルLを発行する。カッター機構37は、サーマルヘッド35の下流側に配置されている。カッター機構37は、切断刃として移動カッター37A及び固定カッター37Bを含む。カッター機構37では、固定カッター37Bに対して移動カッター37Aを往復動させることで、台紙レスラベルLsが切断される。保持ローラ38は、カッター機構37による切断で分離させた台紙レスラベルLs(つまり、ラベルL及び後述の空送りラベル)を載置して保持するローラである。保持ローラ38は、カッター機構37の下流側に配置されている。
【0028】
ラベル検知センサ39は、ラベルL及び後述の空送りラベルの有無を検知する。ラベル検知センサ39としては、例えば光電センサが用いられている。ラベル検知センサ39は、ラベル発行口30Hの周辺に設けられている。ラベル検知センサ39は、カッター機構37の下流側に配置されている。ラベル検知センサ39は、ラベル発行口30Hの周辺においてラベルL及び後述の空送りラベルに光を照射し、その照射に応じて反射した反射光を検出する。図示する例では、ラベル検知センサ39は、保持ローラ38上のラベルL及び後述の空送りラベルを検知可能に配置されている。ラベル保持部41は、ラベル発行口30Hの下流側に設けられている。ラベル保持部41は、ラベル発行口30Hから外側に飛び出た状態のラベルL及び後述の空送りラベルを保持する。
【0029】
図2に戻り、ラベル貼付部50は、ラベル発行部30によって発行されたラベルLを包装された物品Mに貼付する。ラベル貼付部50は、吸着部51及び移動部53を有する。吸着部51は、ラベルLを吸着するための吸着面を有し、当該吸着面に形成された孔から空気を吸引して吸着することにより、ラベルLをラベル発行部30から受け取る。吸着部51は、吸着部51における重心位置とラベルLにおける重心位置とが一致するように、ラベルLを吸着する。
【0030】
移動部53は、吸着部51を移動させる移動機構であり、ラベル発行部30からラベルLを受け取る受取位置P1と、計量包装部10によって包装された物品MにラベルLを貼付する貼付位置P3との間を移動させる。移動部53は、例えば、ステッピングモータ等の駆動部(図示せず)により駆動される。
【0031】
シール機構60は、包装部15により折り込まれたフィルムを熱シールする。シール機構60は、搬送ローラ及び加熱ローラを有し、プッシャ25で押し出された物品Mを搬送ローラ及び加熱ローラによって搬送しつつヒートシールする。シール機構60は、包装済みの物品Mを排出台62に向かって排出する。
【0032】
(2)制御装置
制御装置70は、包装装置1における各種動作を制御する部分であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
図4に示されるように、制御装置70は、計量包装部10、ラベル発行部30、ラベル貼付部50及びシール機構60の動作を制御する。
【0033】
図2及び
図4に示されるように、制御装置70は、ラベル発行部30における搬送部による搬送、具体的には、搬送ローラ33A及び印字ローラ34の駆動を制御する。制御装置70は、カッター機構37による切断、具体的には、固定カッター37Bに対する移動カッター37Aの往復動を制御する。制御装置70は、概念的な部分として、準備動作モード実行部71及び記憶部72を有する。準備動作モード実行部71は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成され得る。なお、準備動作モード実行部71は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。
【0034】
準備動作モード実行部71は、準備動作モードを実行する。準備動作モードは、所定時間を超えてラベルLが発行されていない場合の台紙レスラベルLsについて、台紙レスラベルLsにおける軸部36からカッター機構37に至る部分の長さよりも長い所定距離、搬送ローラ33A,33B及び印字ローラ34により搬送させて、カッター機構37により切断させる動作モードである。所定時間は、例えば5分~120分である。
【0035】
図5に示されるように、台紙レスラベルLsにおける軸部36からカッター機構37に至る部分の長さD0は、例えば、台紙レスラベルLsにおいての、軸部36との接触領域の上流端から、カッター機構37の刃が当たる位置までの距離である。換言すると、台紙レスラベルLsにおける軸部36からカッター機構37に至る部分の長さD0は、台紙レスラベルLsの搬送路において軸部36に対応する位置からカッター機構37に対応する位置までの距離である。準備動作モードで搬送させる台紙レスラベルLsの所定距離D1は、予め定められた距離分、当該長さD0よりも長く設定されている。
【0036】
準備動作モード実行部71は、新たなラベルLを発行する際、前回にラベルLを発行したときから所定時間を超えてラベルLが発行されていないと判定した場合に、準備動作モードを実行する。準備動作モード実行部71は、表示入力パネル80を介して準備動作モードをOFFとする入力がなされた場合に、準備動作モードの実行を禁止する。準備動作モード実行部71は、準備動作モードの実行後、準備動作モードによる切断で分離させた台紙レスラベルLsがラベル検知センサ39により検知されている場合、新たなラベルLの発行を禁止する。
【0037】
記憶部72は、例えば、ハードディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ及びSSD(solid state drive)等の補助記憶装置である。記憶部72には、準備動作モードにおける所定距離D1及び所定時間が記憶されている。記憶部72には、商品毎の商品情報が記憶されている。商品情報としては、例えば、商品名、栄養成分、100g当たりの商品単価、及び原材料名等の情報が含まれ得る。
【0038】
(3)表示入力パネル
表示入力パネル80は、制御装置70と接続されている。作業者は、表示入力パネル80を介して包装装置1の各種操作を行うことができる。表示入力パネル80は、準備動作モード実行部71により準備動作モードを実行する際、準備動作モードを実行することを報知する。当該報知は、例えば表示及び音の少なくとも何れかにより行ってもよい。表示入力パネル80は、準備動作モードを実行した後、準備動作モードによる切断で分離させた台紙レスラベルLsをラベル発行口30Hから取り除く指示を出力してもよい。当該出力は、表示及び音の少なくとも何れかにより行ってもよい。
【0039】
表示入力パネル80は、所定時間の入力を受け付ける。表示入力パネル80では、所定時間を5分刻み又は10分刻みで入力可能である。表示入力パネル80は、所定距離D1の入力を受け付ける。表示入力パネル80は、準備動作モードの実行を禁止する(OFFにする)入力を受け付ける。表示入力パネル80は、準備動作モードの実行を許容する(ONにする)入力を受け付ける。表示入力パネル80は、報知部、出力部、第1入力部、第2入力部及び第3入力部を構成する。
【0040】
(4)ラベル印字装置の動作
次に、ラベル印字装置5において新たにラベルLを発行する際の動作を、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
まず、準備動作モード実行部71により、準備動作モードがONに設定されているかどうか(OFFに設定されていないか)を判定する(ステップS1)。上記ステップS1でNOの場合、準備動作モードを実行せずに、新たなラベルLをラベル発行口30Hから発行する(ステップS2)。例えば上記ステップS2では、台紙レスラベルLsを搬送しながら、台紙レスラベルLsの印字面Ls1にサーマルヘッド35によりに商品情報を印字し、当該台紙レスラベルLsをカッター機構37により1つの商品の商品情報ごとに切断して、ラベルLを発行する。
【0042】
上記ステップS1でYESの場合、準備動作モード実行部71により、例えばラベル印字装置5で最後にラベルLを発行してからの経過時間に基づいて、所定時間を超えてラベルLが発行されていないかどうかを判定する(ステップS3)。上記ステップS3でNOの場合、上記ステップS2へ移行し、準備動作モードを実行せずに、新たなラベルLをラベル発行口30Hから発行する。一方、上記ステップS3でYESの場合、準備動作モード実行部71により、表示入力パネル80を介して、準備動作モードを実行することを報知させる(ステップS4)。
【0043】
上記ステップS4の後、例えば表示入力パネル80を介して作業者から準備動作モードの実行を確認する操作入力(画面上の確認ボタンに対するタッチ)がなされた場合に、準備動作モード実行部71により準備動作モードを実行する。準備動作モードでは、準備動作モード実行部71により搬送ローラ33A及び印字ローラ34の駆動を制御し、台紙レスラベルLsを所定距離D1搬送する(ステップS5)。そして、準備動作モード実行部71によりカッター機構37の駆動を制御し、所定距離D1搬送した台紙レスラベルLsを切断し、台紙レスラベルLsの所定距離D1の部分を空送りラベルとして分離させる(ステップS6)。
【0044】
上記ステップS6の後、準備動作モード実行部71により、表示入力パネル80を介して、空送りラベルをラベル発行口30Hから取り除く指示を出力する(ステップS7)。準備動作モード実行部71により、ラベルLの発行の準備動作が完了したどうかを判定する(ステップS8)。上記ステップS8では、ラベル検知センサ39で空送りラベルを検知している場合、NO(準備動作が完了していない)と判断する。また上記ステップS8では、例えばラベル貼付部50等における扉部が閉じられていないことがセンサ等で検知された場合、NOと判断する。また上記ステップS8では、新たなラベルLの発行に当たり改めて計量部13に載置されて計量された物品Mの計量値が安定してない(変動量が規定値以上)の場合、NOと判断する。
【0045】
上記ステップS8でNOの場合、新たなラベルLの発行を禁止し、上記ステップS7へ戻り、空送りラベルを取り除く指示を表示入力パネル80を介して再び出力する。上記ステップS8でYESの場合、新たなラベルLの発行を許可し、上記ステップS2へ移行して、新たなラベルLをラベル発行口30Hから発行する。
【0046】
(5)特徴及び作用・効果
ラベル印字装置5では、所定時間を超えてラベルLが発行されていない場合の台紙レスラベルLsについて、軸部36に巻き付けられていた部分にクセの付いてしまっていたとしても、準備動作モードを実行することにより、当該クセが付いた部分を事前に除去することができる。これにより、当該クセが付いた部分がカッター機構37の移動カッター37A及び固定カッター37Bにくっついたり、当該クセが付いた部分が予期しない箇所に貼り付いたり等することを防ぐことができる。すなわち、ラベル印字装置5によれば、装置異常の発生を抑制することが可能となる。装置異常に起因したダウンタイムを削減することが可能となる。装置異常からの復帰作業による作業者のストレスを軽減できることが可能となる。
【0047】
ラベル印字装置5では、軸部36は、サーマルヘッド35に向けて台紙レスラベルLsの搬送方向を変更させる。この場合、軸部36により、下流側のサーマルヘッド35へ台紙レスラベルLsを誘導することができる。
【0048】
ラベル印字装置5では、制御装置70の準備動作モード実行部71は、新たなラベルLを発行する際、前回にラベルLを発行したときから所定時間を超えてラベルLが発行されていないと判定した場合に、準備動作モードを実行する。この場合、新たなラベルLを発行する際に、台紙レスラベルLsのクセが付いた部分を除去することができる。
【0049】
ラベル印字装置5では、ラベル発行口30Hの周辺にラベル検知センサ39が設けられている。ラベル検知センサ39は、準備動作モードによる切断で分離された台紙レスラベルLs(つまり、空送りラベル)の有無を検知する。制御装置70の準備動作モード実行部71は、ラベル検知センサ39で空送りラベルを検知している場合、新たなラベルLの発行を禁止する。空送りラベルが取り出されずにラベル発行口30Hの周辺にそのまま残っていると、新たなラベルLを発行する場合、空送りラベルが邪魔をして装置異常が生じる可能性がある。よって、ラベル印字装置5では、ラベル検知センサ39により空送りラベルを検知している場合には、空送りラベルがラベル発行口30Hの周辺にそのまま残っていると判断し、新たなラベルLの発行を禁止する(行わない)。これにより、新たなラベルLを発行する場合に、空送りラベルが邪魔をして発生し得る装置異常を回避することが可能となる。
【0050】
ラベル印字装置5では、準備動作モードを実行する際、準備動作モードを実行することを表示入力パネル80により報知する。この場合、準備動作モードの実行を作業者に効果的に知らせることができる。
【0051】
ラベル印字装置5では、準備動作モードを実行した後、空送りラベルをラベル発行口30Hから取り除く指示を表示入力パネル80により出力する。この場合、空送りラベルを取り除くことを作業者に対して促すことができる。
【0052】
ラベル印字装置5では、表示入力パネル80により所定時間の入力を受け付ける。この場合、作業者は、表示入力パネル80を介して所望な所定時間を設定することができる。
【0053】
ラベル印字装置5では、表示入力パネル80により所定距離D1の入力を受け付ける。この場合、作業者は、表示入力パネル80を介して所望な所定距離D1を設定することができる。
【0054】
ラベル印字装置5では、表示入力パネル80により、準備動作モードの実行を禁止する入力を受け付ける。この場合、作業者は、表示入力パネル80を介して準備動作モードの実行を禁止することができる。
【0055】
(6)変形例
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0056】
上記実施形態では、所定時間は予め設定された固定値であってもよい。上記実施形態では、所定距離D1は、予め設定された固定値であってもよい。なお、軸部36の位置がダンパ機構によりラベルロールLRの外径の大きさに応じて可動する場合、その可動に応じて長さD0(
図5参照)が変動することから、この場合には、変動する長さD0のうちの最大値よりも大きい距離を所定距離D1としてもよい。
【0057】
上記実施形態では、ラベル印字装置5は、軸部36に代えてもしくは加えて、他の軸部を1つ又は複数備えていてもよい。この場合、所定距離D1は、台紙レスラベルLsにおいて、複数の軸部のうち最も上流側の軸部からカッター機構37に至る部分の長さよりも長い距離であってもよい。
【0058】
上記実施形態では、新たなラベルLを発行する際に所定時間を超えてラベルLが発行されていないと判定した場合に、準備動作モードを実行したが、これに限定されない。例えば所定時間を超えてラベルLが発行されていないと作業者が判断した場合に、当該作業者の操作入力によって準備動作モードを実行してもよい。要は、所定時間を超えてラベルLが発行されていない場合の台紙レスラベルLsを対象に、準備動作モードを実行できればよい。
【0059】
上記実施形態では、包装装置1に含まれるラベル印字装置5について説明したが、これに限定されず、種々の装置にラベル印字装置5が含まれていてもよい。ラベル印字装置5は、例えば商品の下面にラベルを貼り付ける下貼式ラベル貼付装置に含まれていてもよい。ラベル印字装置5は、例えば電子秤に含まれていてもよい。また、包装装置1等の装置に複数のラベル印字装置5が含まれていてもよい。この場合、複数のラベル印字装置5の何れかについて所定時間を超えてラベルLが発行されていない場合に、その何れかのラベル印字装置5で準備動作モードを実行してもよいし、それら全てのラベル印字装置5で準備動作モードを実行してもよい。また、ラベル印字装置5は、単独で機能する装置であってもよい。
【0060】
上記実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【符号の説明】
【0061】
5…ラベル印字装置、30H…ラベル発行口、33A,33B…搬送ローラ(搬送部)、34…印字ローラ(搬送部)、35…サーマルヘッド(印字部)、36…軸部、37…カッター機構(切断部)、39…ラベル検知センサ、70…制御装置(制御部)、80…表示入力パネル(報知部,出力部,第1入力部,第2入力部,第3入力部)、D1…所定距離、L…ラベル、Ls…台紙レスラベル。