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特開2022-144884半導体装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144884
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220926BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20220926BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20220926BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L21/88 Z
H01L27/11556
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046077
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】説田 雄二
【テーマコード(参考)】
5F033
5F083
【Fターム(参考)】
5F033HH11
5F033JJ11
5F033NN32
5F033RR04
5F033RR06
5F033UU01
5F033VV16
5F083EP01
5F083EP22
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083JA37
5F083JA56
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR40
(57)【要約】
【課題】貼り合わせ基板の電極どうしの良好接続をなし得る半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】基板内部側の第1回路に接続された第1電極を第1貼合面に有する第1基板と、基板内部側の第2回路に接続された第2電極を第2貼合面に有する第2基板を備える。実施形態の半導体装置は、第1貼合面と第2貼合面を貼り合わせて第1基板の第1電極と第2基板の第2電極を接続した半導体装置である。実施形態の半導体装置は、第1基板の第1貼合面における第1電極の周囲と第2基板の第2貼合面における第2電極の周囲の少なくとも一方に、基板内部側で第1電極または第2電極に接続し、前記第1貼合面または前記第2貼合面に至る少なくとも1つの補助電極を備える。第1電極と前記第2電極が、相互の直接接続部および前記補助電極を介する補助接続部を介し接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板内部側の第1回路に接続された第1電極を第1貼合面に有する第1基板と、
基板内部側の第2回路に接続された第2電極を第2貼合面に有する第2基板を有し、
前記第1貼合面と前記第2貼合面を貼り合わせて前記第1基板の前記第1電極と前記第2基板の前記第2電極を接続した半導体装置であって、
前記第1基板の前記第1貼合面における前記第1電極の周囲と前記第2基板の前記第2貼合面における前記第2電極の周囲の少なくとも一方に、基板内部側で前記第1電極または前記第2電極に接続し、前記第1貼合面または前記第2貼合面に至る少なくとも1つの補助電極を有し、
前記第1電極と前記第2電極が、相互の直接接続部および前記補助電極を介する補助接続部を介し接続された、
半導体装置。
【請求項2】
基板内部側の第1回路に接続された第1電極を第1貼合面に有する第1基板と、
基板内部側の第2回路に接続された第2電極を第2貼合面に有する第2基板を有し、
前記第1貼合面と前記第2貼合面を貼り合わせて前記第1基板の前記第1電極と前記第2基板の前記第2電極を導通させた半導体装置であって、
前記第1基板の前記第1貼合面における前記第1電極の周囲と前記第2基板の前記第2貼合面における前記第2電極の周囲の少なくとも一方に、基板内部側で前記第1電極または前記第2電極に接続し、前記第1貼合面または前記第2貼合面から突出した少なくとも1つの補助電極を有し、
前記第1電極と前記第2電極が、相互の直接接続部および前記補助電極を介する補助接続部を介し接続された、
半導体装置。
【請求項3】
前記第2電極が前記第1貼合面近傍に位置する前記第1電極の側部と接続され、かつ、前記第2電極が前記第1貼合面近傍に位置する前記補助電極の側部を介し前記補助電極と接続された、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記補助電極がフローティング電極である、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2基板に前記第2電極が複数隣接形成され、複数の前記第2電極が前記第1基板に設けられている前記第1電極及び前記補助電極と互い違いの隣接位置に配置された、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1基板と前記第2基板の貼合面に間隙が形成された、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1基板と前記第2基板のどちらか一方がCMOS回路を設けた回路基板であり、他方がメモリ回路を設けたアレイ基板であり、前記補助電極が前記回路基板に形成された、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
基板内部側の第1回路に接続された第1電極を第1貼合面に有する第1基板と、
基板内部側の第2回路に接続された第2電極を第2貼合面に有する第2基板を有し、
前記第1貼合面と前記第2貼合面を貼り合わせて前記第1基板の前記第1電極と前記第2基板の前記第2電極を接続する半導体装置の製造方法であって、
前記第1基板の前記第1貼合面における前記第1電極の周囲と前記第2基板の前記第2貼合面における前記第2電極の周囲の少なくとも一方に、基板内部側で前記第1電極または前記第2電極に接続し、前記貼合面に至る少なくとも1つの補助電極を形成し、
前記第1電極と前記第2電極を、相互の直接接続部と前記補助電極を介する補助接続部を介し接続する、
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板内部側の第1回路に接続された第1電極を第1貼合面に有する第1基板と、
基板内部側の第2回路に接続された第2電極を第2貼合面に有する第2基板を有し、
前記第1貼合面と前記第2貼合面を貼り合わせて前記第1基板の前記第1電極と前記第2基板の前記第2電極を導通させる半導体装置の製造方法であって、
前記第1基板の前記第1貼合面における前記第1電極の周囲と前記第2基板の前記第2貼合面における前記第2電極の周囲の少なくとも一方に、基板内部側で前記第1電極または前記第2電極に接続し、前記貼合面から突出した少なくとも1つの補助電極を形成し、
前記第1電極と前記第2電極を、相互の直接接続部と前記補助電極を介する補助接続部を介し接続する、
半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2電極を、前記貼合面近傍に位置する前記第1電極の側部と、前記貼合面近傍に位置する前記補助電極の側部を介し前記補助電極に接続する、
請求項8または請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1基板と前記第2基板のどちらか一方にCMOS回路を設けた回路基板を用い、他方にメモリ回路を設けたアレイ基板を用い、前記補助電極を前記回路基板に形成する、請求項8または請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路を設けた第1基板と回路を設けた第2基板を貼り合わせて貼り合わせ基板を構成したデバイス構造が知られている。この種のデバイス構造においては、基板どうしの貼合面において第1基板の回路に接続する電極と第2基板の回路に接続する電極を接合し、回路どうしの導通を図る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-047043号公報
【特許文献2】特開2019-114595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、回路の高集積化が進むにつれ、基板の貼合面に設ける電極のサイズも小さくなってきている。従って、プロセス起因の平坦化不足あるいは基板どうしの貼り合わせ精度が低下すると、貼合面に設けた電極どうしの十分な導通を確保できなくなり、電極接続部分の高抵抗化、もしくは、回路の導通不良の原因となる問題がある。
【0005】
実施形態が解決しようとする課題は、貼り合わせ基板における電極どうしの良好な導通を確保できる半導体装置とその製造方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、基板内部側の第1回路に接続された第1電極を第1貼合面に有する第1基板と、基板内部側の第2回路に接続された第2電極を第2貼合面に有する第2基板を持つ。実施形態の半導体装置は、前記第1貼合面と前記第2貼合面を貼り合わせて前記第1基板の前記第1電極と前記第2基板の前記第2電極を接続した半導体装置である。実施形態の半導体装置は、前記第1基板の前記第1貼合面における前記第1電極の周囲と前記第2基板の前記第2貼合面における前記第2電極の周囲の少なくとも一方に、基板内部側で前記第1電極または前記第2電極に接続し、前記貼合面に至る少なくとも1つの補助電極を持つ。前記第1電極と前記第2電極が、相互の直接接続部および前記補助電極を介する補助接続部を介し接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1基板と第2基板からなる貼り合わせ基板を備えた第1実施形態に係る半導体装置を示す部分断面図である。
図2図2は、図1に示す貼り合わせ基板の接合部を示す部分拡大断面図である。
図3図3は、図2に示す接合部の部分断面模式斜視図である。
図4図4は、第1基板の接合部を示す部分断面模式斜視図である。
図5図5は、第2基板を示す部分断面図である。
図6図6は、第1基板を示す部分断面図である。
図7図7は、第1基板と第2基板について、貼合面を介し合わせた状態を示す部分断面図である。
図8図8は、図7に示す状態の第1基板と第2基板にアニール処理を行って両基板を貼り合わせた状態を示す部分断面図である。
図9図9は、図8に示す構造より第1基板と第2基板の位置ずれ量が大きい場合の部分断面図である。
図10図10は、第1基板と第2基板からなる貼り合わせ基板を備えた第2実施形態に係る半導体装置を示す部分断面図である。
図11図11は、第1基板と第2基板からなる比較例の貼り合わせ基板の接合部を示す部分拡大断面図である。
図12図12は、図11に示す比較例の接合部を示す部分断面模式斜視図である。
図13図13は、比較例の貼り合わせ基板のうち、第1基板の接合部を示す部分断面模式斜視図である。
図14図14は、比較例の第2基板を示す部分断面図である。
図15図15は、比較例の第1基板を示す部分断面図である。
図16図16は、比較例の第1基板と第2基板について、接合面を介し合わせた状態を示す部分断面図である。
図17図17は、比較例の第1基板と第2基板を貼り合わせた貼り合わせ基板を示す部分断面図である。
図18図18は、第1基板と第2基板からなる貼り合わせ基板を備えた第3実施形態に係る半導体装置を示す部分拡大断面図である。
図19図19は、第3実施形態に係る半導体装置の接合部を示す部分断面模式斜視図である。
図20図20は、第3実施形態に係る半導体装置の第1基板を示す部分断面模式斜視図である。
図21図21は、第1基板と第2基板からなる貼り合わせ基板を備えた第4実施形態に係る半導体装置を示す部分拡大断面図である。
図22図22は、第4実施形態に係る半導体装置の接合部を示す部分断面模式斜視図である。
図23図23は、第4実施形態に係る半導体装置の第1基板を示す部分断面模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の半導体記憶装置について、図面を参照して説明する。
以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「接続」とは、物理的に接続される場合に限定されず、電気的に接続される場合も含む。本明細書で「隣り合う」とは、互いに隣接する場合に限定されず、対象となる2つの要素の間に別の要素が存在する場合を含む。本明細書で「xxがyy上に設けられる」とは、xxがyyに接する場合に限定されず、xxとyyとの間に別の部材が介在する場合も含む。本明細書で「平行」および「直交」とは、それぞれ「略平行」および「略直交」の場合も含む。
【0009】
また、先にX方向、Y方向、Z方向について定義する。X方向およびY方向は、後述する基板の表面に沿う方向である。Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。Z方向は、X方向およびY方向と交差する(例えば直交する)方向であり、基板の厚さ方向である。本明細書では、「+Z方向」を「上」、「-Z方向」を「下」と称する場合がある。+Z方向と-Z方向は180°異なる方向となる。ただしこれらの表現は、便宜上のものであり、重力方向を規定するものではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる半導体装置100の断面図である。本実施形態の半導体装置100は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置であり、一例として、NAND型フラッシュメモリである。半導体装置100は、CMOS回路などの回路を設けた回路基板(第1基板)1と、メモリ回路を設けたアレイ基板(第2基板)2とが貼り合わされた3次元メモリである。回路基板1は、第1基板の一例であり、アレイ基板2は、第2基板の一例である。第1基板1と第2基板2は、貼合面Sを介し貼り合わされている。第1基板1は、第2基板2の動作を制御する制御回路(論理回路)として機能する。図1では第1基板1の上に第2基板2を配置した状態を示している。ここで、図1ではアレイ基板2は後述する第2基板本体6を有するように示されているが、第2基板本体6を剥離し、第2絶縁層7のみで第2基板となしてもよい。
【0011】
第1基板1は、半導体基板である第1基板本体3と、この第1基板本体3の片面側に形成されている第1絶縁層5を有し、図1では第1絶縁層5を上向きにして水平に配置した状態で描かれている。第2基板2は、半導体基板である第2基板本体6と、この第2基板本体6の片面側に形成されている第2絶縁層7を有し、図1では第2絶縁層7を下向きにして水平に配置した状態で描かれている。
図1では、第1基板1の第1絶縁層5の上面と第2基板2の第2絶縁層7の下面がそれぞれ突き合わせられ、第1絶縁層5の上面と第2絶縁層7の下面がそれぞれ貼合面Sとされている。
【0012】
第1基板1において第1絶縁層5の内底部側にはトランジスタなどの駆動素子を設けた第1回路(CMOS回路)8が複数設けられ、第1回路8に接続された導電ビアなどの柱状の第1電極9が複数設けられている。第1基板1には、複数の第1回路8が所定の間隔をあけて設けられているが、図1では代表例として左右に所定の間隔あけて隣接する2つの第1回路8のみを示している。
また、図1に示す第1回路8には実際には複数の電極が接続されているが、図1では1つの第1電極9のみを描き、他の電極の表示は略している。
第1電極9は、第1回路8との接続位置から第1絶縁層5の厚さ方向(Z方向)に沿って第1絶縁層5を貫通するように配置されている。第1電極9の上端部は第1絶縁層5の上面(貼合面S)近くまで延出されている。第1電極9は、銅などの金属材料から柱状に形成されている。
第1絶縁層5は、例えば、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層体からなる。
【0013】
図2に示すように第1絶縁層5の上面近くの領域には、第1絶縁層5の上面に露出し、第1電極9に接続された接続パッド10が設けられている。接続パッド10は上面(貼合面S側の端面)10a以外の大部分が第1絶縁層5に埋設され、図3に例示した平面視矩形状の導電層からなる。接続パッド10を構成する導電層は、銅などの金属材料から形成されている。
接続パッド10の平面視中央部を貫通するように第1電極9が設けられ、第1電極9の上端(接続端)9aは接続パッド10の上面から若干上方に突出され、第1電極9の上端部は接続パッド10と一体化されている。
【0014】
第1電極9の周囲4箇所に、第1絶縁層5に囲まれた状態で第1電極9と類似形状の補助電極11が形成されている。4本の補助電極11は、その上部から底部側まで第1電極9と類似形状を有する柱状であるが、下部側で第1回路8には接続されていない。補助電極11の下部側は第1絶縁層5で囲まれ、第1基板本体3のアクティブ領域や第1回路8には接続されていない。このため、補助電極11はフローティング電極と言及することができる。なお、補助電極11はフローティング電極である必然性は無く、第1回路8の一部に接続した電極であっても良い。
【0015】
4本の補助電極11は、平面視矩形状の接続パッド10のコーナー部分に近い位置に、第1電極9の周囲を囲むように形成されている。図3を参照して分かるように第1電極9を平面視した場合、第1電極9を中心位置とすると、その周回りに90度間隔で補助電極11が均等配置されている。
図1図3に示すように第1電極9と補助電極11は、いずれもそれらの下端部側が若干下窄まり状に細くなる柱状に形成されている。これら電極9、11の形状は特に制限されるものではなく、上端部から下端部まで均一な太さの柱状であっても良く、長さ方向の一部や複数箇所に径の異なる部分を有する形状であっても良い。
【0016】
第2基板2において第2絶縁層7の内部側にはメモリセルなどの記憶素子を備えた第2回路(メモリ回路)13が複数設けられ、第2回路13に接続された導電ビアなどの柱状の第2電極15が複数設けられている。第2基板2には、複数の第2回路13が所定の間隔をあけて設けられているが、図1では代表例として左右2つの第2回路13のみを示している。
第2電極15は、第2回路13との接続位置から第2絶縁層7の厚さ方向(-Z方向)に沿って第2絶縁層7を貫通するように配置されている。第2電極15の下端(接続端)15aは第2絶縁層7の下面(貼合面S)まで延出されている。
【0017】
図1図2に示すように第2電極15は、その下端部側を末広がり状に大きくする柱状に形成されている。第2電極15において第2絶縁層7の下面側(貼合面S側)の接続端15aは貼合面Sとほぼ面一位置に形成されている。
なお、第2電極15の形状は特に制限されるものではなく、上端部から下端部まで均一な太さの柱状であっても良く、長さ方向の一部や複数箇所に径の異なる部分を有する形状であっても良い。第2電極15は、例えば、銅などの金属材料から形成されている。
【0018】
第2回路13は、例えば、複数の板状電極の積層体からなるワード配線と、前記積層体を貫通する複数の柱状電極を備える。例えば、前記ワードラインを柱状電極が貫通した部分に電荷蓄積層やバリア膜、トンネル絶縁膜、ビット配線などを配置して3次元NAND構造を構成した第2回路13が形成されている。
これらの配線のいずれかに接続された第2電極15が第2基板2に設けられている。
なお、図1に示す第2回路13には実際には複数の第2電極15が接続されているが、図1では1つの第2電極15のみを代表して表示し、他の電極の表示は略している。
【0019】
図1に示す貼り合わせ構造では、第1基板1の絶縁層5上に第2基板2の第2絶縁層7が貼合面Sを介し張り合わされている。第1基板1の絶縁層5の上面を第1貼合面S1と称することができ、第2基板2の第2絶縁層7の下面を第2貼合面S2と称することができる。
図2に拡大して示すように、第1電極9とその右側の補助電極11との間の位置の上方に第2電極15が配置されている。また、貼合面Sに望む第2電極15の接続端15a側において、図2の断面に示す左側の端縁部15bが、第1電極9に直接接触されて直接接続部DC1を構成している。また、図2の断面に示す右側の端縁部15bが、補助電極11に直接接触されて補助接続部DC2を構成している。従って、第2電極15は、直接接続部DC1と補助接続部DC2を介し第1電極9と補助電極11に電気的に接続されている。
【0020】
図2の断面に示すように第1電極9の接続端9aは貼合面Sよりも若干第2基板2側に突出され、補助電極11の接続端11aも貼合面Sよりも若干第2基板2側に突出されている。
第1電極9の接続端9aが貼合面Sよりも基板2側に若干突出されている関係から、第1電極9の接続端9aは直接接続部DC1において第2電極15の端縁部15bを一部含むように第2電極15に一体化されている。同様に、補助電極11の接続端11aは補助接続部DC2において第2電極15の端縁部15bを一部含むように第2電極15に一体化されている。
換言すると、第2電極15は、貼合面Sの近傍に位置する第1電極9の側部を介し第1電極9に接続され、貼合面Sの近傍に位置する補助電極の側部11を介し補助電極11と接続パッド10に接続された構造を有する。
【0021】
図2の断面に示す構造を実現するため、第1電極9とそれに隣接する補助電極11との最小間隔は、第2電極15の接続端15aの径よりも小さく形成されている。換言すると、貼合面Sに沿う第1電極9と補助電極11の最小間隔より、第2電極15の接続端15aの径が大きく形成されている。
【0022】
なお、図2に示す貼り合わせ構造において、第2電極15の接続端15aと接続パッド10との間に絶縁層5側に凹部を有することに起因する間隙20が形成されている。間隙20はこの例では第2電極15の接続端15aの径の半分を超える大きさに形成されている。この間隙20について以下に説明する。
【0023】
第1基板(回路基板)1と第2基板(アレイ基板)2が貼り合わされた構造において、貼り合わせ時の位置合わせが正確になされていると、第1基板1の第1電極9に対し第2基板2の第2電極15が直接接触して相互に接続される。
しかし、第1基板1と第2基板2の位置合わせが僅かでもずれると、第1電極9と第2電極15が貼合面Sの面方向に位置ずれを生じることとなる。
【0024】
現状の3次元メモリなどの製造工程においては、隙間のない貼り合わせ構造を実現する目的で、貼り合わせ基板の貼合面Sを化学機械研磨(CMP)などの精密研磨技術により平滑面になるように研磨している。この精密研磨技術により、現状ではナノオーダーの精度で貼合面Sを平滑面に仕上げている。例えば、現状の技術において300mmウエハを用いたとして、貼合面の凹凸やうねりを5~10nm以下などのナノオーダーの精度で研磨することを目標として研磨している。なお、精密研磨を行ったとして、貼合面Sにボイドやディッシングなどを起因とする微細な凹部を生じる場合がある。
【0025】
図2に示す構造では、図4に示すように、第1電極9と補助電極11の間の位置の上方であって、接続パッド10の上面側に凹部18が形成された状態の第1基板1を接合した場合を想定している。また、接続パッド10のサイズは、300~1000nm程度の一辺、もしくは直径を想定し、補助電極11のサイズは、100~200nm程度の一辺もしくは直径を想定する。補助電極11の長さ(Z方向長さ)は、100~1000nm程度を想定する。
図4に示す構造を有する第1基板1に対し、第2基板2を位置合わせして貼り付け基板とするには、アニール処理を行う。アニール処理は、第1基板1の貼合面S1に対し第2基板2の貼合面S2を位置合わせしつつ両者を突き合わせた後、両者を300℃~400℃程度の温度に数10分程度~数時間程度(例えば60分)保持する。
【0026】
アニール処理時の加熱により、柱状の第1電極9と補助電極11、第2電極15がそれらの長さ方向にそれぞれ熱膨張により若干伸長する。この結果、伸長した第1電極9と補助電極11、第2電極15が相互に確実に接触しつつ接合する。アニール処理を終了して常温に冷却すると、伸長していた第1電極9と補助電極11、第2電極15はアニール処理前の元の長さに戻ろうとするが、アニール処理時に生じた電極どうしの接続部(直接接続部DC1、補助接続部DC2)は分離することなく接続されたままの状態を維持する。
【0027】
このため、図2の部分拡大図に示すように、第1電極9の接続端9aと補助電極11の接続端11aがいずれも第2電極15の端縁部15bに一体化するように接続された構造が得られる。なお、銅の熱膨張係数を勘案すると、銅の柱状体は長さ10μmにつき、約16.8nm伸長することが知られている。このため、第1電極9の長さを0.5~1μm程度と想定すると、第1電極9は数nm程度は伸長すると推定できる。このため、貼合面Sをナノオーダーの精度で化学機械研磨する場合、図2に示す構造を実現できる。
【0028】
図2に示すように第1電極9の接続端9aと補助電極11の接続端11aがいずれも第2電極15の端縁部15bに一体化するように接続された構造は、良好な導通状態で接続されていると判断できる。図2に示す構造では、貼合面Sに沿って間隙20が形成されていたとして、間隙20の存在による接続不良は生じ難く、第1電極9の接続端9aおよび補助電極11の接続端11aを良好な導通状態で第2電極15に接続できる。
第1電極9の接続端9aを第2電極15の接続端15aに一体化した構造は、第1電極(導電ビア)9の接続端9aを第2電極(導電ビア)15の貼合面S近傍の側部に一体化した構造と言及できる。この構造であれば、第1電極9と第2電極15の良好な接続を実現できる。
補助電極11の接続端11aを第2電極15の端縁部15bに一体化した構造は、補助電極(導電ビア)11の接続端11aを第2電極(導電ビア)15の接合面近傍の側部に一体化した構造と言及できる。この構造であれば、補助電極11と第2電極15の良好な接続を実現できる。
【0029】
このため、半導体装置100が、回路基板(第1基板)1とアレイ基板(第2基板)2を貼り合わせた3次元メモリである場合、回路基板1に設けられている制御回路からアレイ基板2に設けられている記憶素子に制御信号を確実に送りつつ記憶素子を駆動することができる。従って、図1図2に示す貼り合わせ構造を有する半導体装置100は、貼り合わせ構造に起因する電気的特性の劣化を生じない。
【0030】
図1に示す半導体装置100では、回路基板1側に補助電極11を設けた構造を採用したが、後述する実施形態に示すようにアレイ基板2側に補助電極11を設けた構造を採用しもよい。ただし、記憶素子の駆動用の回路を設けた回路基板1と、記憶素子を設けたアレイ基板2を比較すると、一般的にアレイ基板2の方が配線数が多く、記憶素子自体の構造もCMOSなどの駆動素子よりも高集積化されている。
このため、絶縁層5と絶縁層7を対比した場合、絶縁層5の方が絶縁層7よりも電極可能な領域を多く含む。このため、補助電極11を設ける場合、アレイ基板2よりも回路基板1側に補助電極11を設ける方がスペースの有効利用の面で望ましい。
【0031】
「半導体装置の製造方法」
図1図3に示す構造を有する半導体装置100を製造するには、例えば、第1基板1を製造する工程と第2基板2を製造する工程を個別に実施し、図5に示す構造の第2基板2と図6に示す構造の第1基板1を製造する。第1基板1の製造工程と第2基板2の製造工程では、第1基板1の絶縁層5の上面と第2基板2の絶縁層7の上面に化学機械研磨を施し、それぞれの基板の絶縁層上面の平滑性を充分に高めておく。例えば、うねりや凹凸をナノオーダーで制御することが望ましい。
【0032】
次に、図7に示すように第1基板1の絶縁層5の上に第2基板2の絶縁層7を重ねるように第1基板1と第2基板2を互いの位置合わせを行いつつ重ね合わせる。第1基板1と第2基板2を重ねる場合、どちらが上であっても差し支えない。
第1基板1と第2基板2を重ねた場合、位置合わせを行ったとして、高集積化されている3次元メモリなどにおいて、電極の位置合わせ制度にミクロンオーダーの誤差を要求される場合、若干の位置ずれを含みつつ基板1、2が重ねられる場合があり得る。また、第1基板1の製造工程において上面の化学機械研磨を行ったとして、第1基板1の絶縁層5の上面側に図4に示すような微細な凹部18が形成されている場合がある。
【0033】
凹部18が生成されている第1基板1と第2基板2を若干の位置ずれを生じたまま、重ねた状態を図7に示す。
図7では、第1基板1の第1電極9の軸心と第2基板の第2電極15の軸心が貼合面Sの面方向に位置ずれを生じたまま重ねられた状態を示している。図7に示す場合、第2基板2の第2電極15は、第1基板1の第1電極9と補助電極11の間の上方に位置するように第1基板1と第2基板2が若干の位置ずれを伴って重ねられている。即ち、図7では第1基板1に対し、第2基板2を若干右側に位置ずれさせた状態で重ねている。
【0034】
重ねられた第1基板1と第2基板2を300℃~400℃に数10分、例えば60分程度加熱後、冷却するアニール処理を施す。
ここで、絶縁層5、7の熱膨張係数より第1電極9、補助電極11、第2電極15を構成する銅などの金属材料の熱膨張係数の方が大きいため、第1電極9、補助電極11、第2電極15はそれらの長さ方向に若干伸長し、伸長したままアニール処理温度に維持されることとなる。この結果、伸長した第1電極9、補助電極11が第2電極15と確実に接触し、界面にて元素拡散による拡散接合が進行する結果、伸長した第1電極9、補助電極11と第2電極15が接触したまま接合される。
この結果、図8に示すように第1電極9、補助電極11と第2電極15を接合した図1図2に示す構造と同等構造の貼り合わせ基板からなる半導体装置100を得ることができる。
【0035】
図7に示すように基板1、2を重ねた場合、第1電極9と第2電極15が貼合面Sの面方向に若干の位置ずれを伴って重ねられている。しかし、本実施形態の構造によると、第1電極9の右側に補助電極11を設け、この補助電極11を接続パッド10で第1電極9に接続している。このため、基板1、2に若干の位置ずれを生じていたとして、第1電極9を補助電極11も利用して第2電極15に確実に接続できる。
【0036】
図2の断面から理解できるように、図2より更に右側に第2電極15が位置ずれした場合であっても、右側の補助電極11の右端より右方まで第2電極15が位置ずれしない限り接続を確保できる可能性がある。また、図2より更に左側に第2電極15が位置ずれした場合であっても、左側の補助電極11の左端より更に左方まで第2電極15が位置ずれしない限り導通を確保できる可能性がある。
図2に示す構造では、貼合面Sにおいて第1電極9を中心としてその周囲に配置されている4本の補助電極11の設置範囲より更に外側に第2電極15が位置ずれしない限り第1電極9と第2電極15の良好な接続を確保できる可能性がある。
従って、本実施形態の構造によれば、第1基板1と第2基板2の位置ずれを吸収し、第1電極9と第2電極15の確実な接続を確保できる。
【0037】
図9は、図8に示す構造より、第1基板1と第2基板2の位置ずれ量が大きい場合の部分断面を示す。図9に示す構造では、第2電極15が第1電極9に直接接触しておらず、補助電極11のみに直接接触されている。この構造は、第1電極9と第2電極15が、補助電極11を介する第3接続部DC3を形成するように接続された構造である。
補助電極11は接続パッド10により第1電極9に接続されているので、第1電極9と第2電極15は良好な導通状態を維持しつつ接続されている。
【0038】
(第2実施形態)
図10は、第1基板1に第1電極9のみを設け、第2基板2の第2電極15の周囲に接続パッド10と4本の補助電極11を設けた第2実施形態の半導体装置を示している。
電極の周囲に設ける補助電極11は図10に示す構造のように第2基板2側に設けてもよい。
また、図示はしていないが、補助電極11を第1基板1側と第2基板2側の両方に設けても良い。即ち、第1基板1の第1電極9の周囲に接続パッド10と4本の補助電極11を設け、第2基板2の第2電極15の周囲に接続パッド10と4本の補助電極11を設けた構造を採用しても良い。
なお、補助電極11の設置個数に特に制限はない。補助電極を設ける側の絶縁層における補助電極成形可能なスペースを考慮し、接続するべき電極の周囲に必要な数を設けることができる。
ここで、図10ではアレイ基板2は第2基板本体6を有するように示されているが、第2基板本体6を剥離し、第2絶縁層7のみで第2基板となしてもよい。
【0039】
図11は、第1電極9と接続パッド10を設け、補助電極11を設けていない構造の第1基板31に対し、第2電極15を有する第2基板2を貼り合わせた比較例構造を想定した部分拡大断面図である。
図11では、仮に、第1電極9の近傍であって、第1基板31側の絶縁層5上と接続パッド10上に、図12図13に示すように凹部18を生じ、貼合面Sに沿って間隙20を生じていた場合であって、第1電極9に対し第2電極15を右側に位置ずれさせた場合を想定している。
【0040】
図11に示す貼り合わせ構造では、第2電極15の接続端15aと接続パッド10の間に平面視、第2電極15の接続端15aと同程度の大きさの間隙20が形成されている。このため、第2電極15と接続パッド10との導通は不充分になると考えられる。第2電極15の接続端15aと第1電極9の接続端9aとの接続部は、図11に示すように一部、直接接続部を構成しているが、間隙20の面積が大きく、導通は不充分となるおそれが高い。仮に、図11に示す位置から、第2電極15が僅かでも右側にずれるように、第2基板2を貼り合わせた場合、第2電極15の接続は確実に不完全となる。
これに対し、図1図2に示す補助電極11を設けた構造であれば、先に説明したように、第1基板1と第2基板2を貼り合わせる場合の位置ずれの影響を緩和できることが明らかである。
【0041】
図11に示す比較例構造の製造方法」
図11に示す構造を製造する場合、先に説明した例と同様に、例えば、第1基板31を製造する工程と第2基板2を製造する工程を個別に実施し、図14に示す構造の第2基板2と図15に示す構造の第1基板31を製造する。第1基板31の製造工程と第2基板2の製造工程では、第1基板31の絶縁層5の上面と第2基板2の絶縁層7の上面に化学機械研磨を施し、それぞれの基板の上面の平滑性を充分に高めておく。
【0042】
次に、図16に示すように第1基板31の絶縁層5の上に第2基板2の絶縁層7を重ねるように第1基板31と第2基板2を互いの位置合わせを行いつつ重ね合わせる。
第1基板31と第2基板2を重ねた場合、位置合わせを行ったとして、高集積化されている3次元メモリなどにおいて、電極の位置合わせ制度にミクロンオーダーの誤差を要求される場合、若干の位置ずれを含みつつ基板31、2が重ねられる場合があり得る。また、第1基板31の製造工程において上面の化学機械研磨を行ったとして、第1基板31の絶縁層5の上面側に微細な凹部が形成されている場合がある。
【0043】
凹部が生成されている第1基板31と第2基板2を若干の位置ずれを生じたまま、重ねた状態を図16に示す。
図16では、第1基板31の第1電極9の軸心と第2基板の第2電極15の軸心が貼合面Sの面方向に位置ずれを生じたまま重ねられた状態を示している。図16に示す場合、第2基板2の第2電極15は、第1基板31の第1電極9の上方から若干右側にずれるように第1基板31と第2基板2が位置ずれを伴って重ねられている。
このように重ねた第1基板31と第2基板2にアニール処理を施すと、図17に示す構造となり、第1電極9と第2電極15は先に説明した図11に示す状態となり、電極接合部が不完全となる可能性がある。
【0044】
(第3実施形態)
図18図21は、第3実施形態にかかる半導体装置の貼り合わせ基板における電極接合部を示す部分拡大断面図である。
図18に示す接合構造は、図2に示す接合構造と同様に第1基板1の上に第2基板2を配置した状態を示している。
【0045】
第1基板1が第1絶縁層5を有し、第1電極9が形成されている点、第1電極9が第1回路8に接続されている構造について、第1実施形態と同等である。
また、第2基板2の基本構造は第1実施形態の構造と同等であり、第2基板2の第2電極15の接続端15aが貼合面Sに至る位置に形成されている点も同等である。また、第1基板1の絶縁層5の上面側であって第2基板2の第2電極15の下方の部分に間隙20が形成されている点についても同等構造を想定している。
【0046】
第3実施形態において、第1実施形態の構造と異なっているのは、補助電極の構造である。第1実施形態の補助電極11は柱状であり、4本の補助電極11が第1電極9の周囲に配置されていた。これに対し第2実施形態の構造では、第1電極9の周囲を取り囲むように4つの壁部21を配置した周壁状の補助電極22が設けられている。4つの壁部21はそれぞれ銅などの金属材料から構成されている。
壁部21の高さは一例として第1実施形態で用いた柱状の補助電極11の高さ(Z方向長さ)と同等に形成されている。また、補助電極22は絶縁層5に埋め込むように形成されているので、第1実施形態の補助電極11と同様にフローティング電極と表現することができる。このような形状の補助電極22は、例えば、絶縁層内に電極を形成する技術として知られているデュアルダマシン法あるいはダマシン法により形成できる。
【0047】
補助電極22を構成する4つの壁部21は、この例では平面視矩形状に配置され、4つの壁部21は、第1電極9の周囲に第1電極9と所定の間隔をあけるように配置されている。一例として、第1実施形態の4本の補助電極11が配置されていた位置が、本実施形態においては、隣接する壁部21、21の交差位置に対応する。
第2実施形態の第1基板1にトランジスタなどの駆動素子を設けた第1回路8が複数設けられている点、第2基板2にメモリセルアレイなどの記憶素子を備えた第2回路13が複数設けられている点も第1実施形態と同等構造である。
【0048】
図18に示すように、貼合面Sに沿って間隙20が形成されている点、第1電極9に対し第2電極15を右側に位置ずれするように基板1、2を貼り合わせた点について、第1実施形態の構造と同等である。第1基板1の絶縁層5上に第2基板2の第2絶縁層7が貼合面Sを介し張り合わされている点についても同等である。
本実施形態の構造の場合、貼合面Sに望む第2電極15の接続端15a側において、図18の断面に示す左右両側の端縁部15bが、第1電極9あるいは右側の壁部21に直接接触されて直接接続部DC1と補助接続部DC2を構成している。
従って、第2電極15は、直接接続部DC1と補助接続部DC2を介し第1電極9と補助電極22に電気的に接続されている。
【0049】
図18の断面に示すように第1電極9の接続端9aは貼合面Sよりも若干第2基板2側に突出され、壁部21の上端(接続端)21aも貼合面Sよりも若干第2基板2側に突出されている。
第1電極9の接続端9aが貼合面Sよりも基板2側に若干突出している関係から、第1電極9の接続端9aは直接接続部DC1において第2電極15の接続端15aを一部含むように第2電極15に一体化されている。同様に、壁部21の接続端21aは補助接続部DC2において第2電極15の接続端15aを一部含むように第2電極15に一体化されている。
【0050】
図18の断面に示す構造を実現するため、第1電極9とそれに隣接する壁部21との最小間隔は、第2電極15の接続端15aの径よりも小さく形成されている。換言すると、貼合面Sに沿う第1電極9と壁部21の間隔より、第2電極15の接続端15aの径が大きく形成されている。
【0051】
図18に示すように第1電極9の接続端9aと壁部21の接続端21aがいずれも第2電極15の端縁部15bに一体化するように接続された構造は、良好な導通状態で接続される。図18に示す構造では、貼合面Sに沿って間隙20が形成されていたとして、間隙20の存在による接続不良は生じ難く、第1電極9の接続端9aおよび壁部21の接続端21aを良好な導通性で第2電極15に接続できる。
【0052】
図18に示すように基板1、2を重ねた場合、第1電極9と第2電極15が貼合面Sの面方向に若干の位置すれを伴って重ねられている。しかし、本実施形態の構造によると、第1電極9の周囲に壁部21を設け、この壁部21を接続パッド10で第1電極9に導通させている。このため、基板1、2に若干の位置ずれを生じていたとして、第1電極9に第2電極15を確実に接続できる点について第1実施形態の構造と同等の効果を得ることができる。
【0053】
また、図18の断面から理解できるように、図18より更に右側に第2電極15が位置ずれした場合であっても、右側の壁部21の右端より右方まで第2電極15が位置ずれしない限り接続を確保できる可能性が高い。また、図18より更に左側に第2電極15が位置ずれした場合であっても、左側の補助電極11の左端より更に左方まで第2電極15が位置ずれしない限り導通を確保できる可能性が高い。
図18に示す構造では、貼合面Sにおいて第1電極9を中心としてその周囲に配置されている4つの壁部21の設置範囲より更に外側に第2電極15が位置ずれしない限り第1電極9と第2電極15の導通を確実に確保できる。
従って、本実施形態の構造によれば、第1基板1と第2基板2の位置ずれを吸収し、第1電極9と第2電極15の接続を確実に確保できる構造を提供できる。
【0054】
図19図20は、図12図13に示した一対の電極接合部に対し、第1電極9の周面を包囲する構成として、平面視矩形状の周壁状の補助電極22を配置した例と言及できる。
補助電極22により、凹部18の存在下において、対向する第2電極15が仮に位置ずれを生じた場合であっても、第2電極15と補助電極21の側面を介する接合を実現し、位置ずれの影響を緩和できるようになる。
図18図19に示す補助電極22は、第1電極9の周囲を囲んでいるので、基板貼り合わせの場合に、第1基板1と第2基板2が貼合面Sに沿っていずれの方向にずれた場合であっても位置ずれの影響を緩和できるようになる。
【0055】
(第4実施形態)
図21図23は、第4実施形態にかかる半導体装置の貼り合わせ基板における電極接合部を示す部分拡大断面図である。
図21に示す接合構造は、図2に示す接合構造と同様に第1基板1の上に第2基板2を貼り合わせた状態を示している。
【0056】
第1基板1が第1絶縁層5を有し、第1電極9が形成されている点、第1電極9が第1回路8に接続されている構造について、第1実施形態と同等であり、柱状の補助電極11が4本設けられている点も同等である。
また、第2基板2の基本構造は第1実施形態の構造と同等であり、第2基板2の第2電極15の接続端15aが貼合面Sに望む位置に形成されている点も同等である。また、第1基板1の絶縁層5の上面側であって第2基板2の第2電極15の下方の部分に間隙20が形成されている点についても同等構造を想定している。
第4実施形態において、第1実施形態の構造と異なっているのは、第2基板2に第2電極15を複数本、例えば3本設け、これらを接続パッド25で接続した構造が異なる。
【0057】
第4実施形態の構造では、第1基板1と第2基板2の貼り合わせのためのアニール処理を施すと、4本の柱状の補助電極11と3本の第2電極15がいずれもその長さ方向に伸長する。第1基板1に4本の補助電極11が設けられ、第2基板2に3本の第2電極15が設けられているので、これらの電極11、15は図22に示すように互い違いに配置される確率が高い。このため、伸長した第1電極9と4本の補助電極11が伸長した3本の第2電極15とそれらの側部どうしで接続部を構成して接合する。即ち、貼合面S近傍において側部を一体化した状態で隣接する電極どうしが接合される。
図23は貼り合わせのアニール処理を施す以前の第1電極9と接続パッド10及び補助電極11と凹部18の位置関係を示す。
【0058】
第1電極9の接続端9aと第2電極15の接続端15aが一体化されて接続される部分には、直接接続部DC1が形成され、第1電極9の接続端9aと補助電極11の接続端11aが一体化されて接続される部分には、補助接続部DC2が形成される。これらの直接接続部DC1と補助接続部DC2には第1電極9の端部側面側と第2電極15の端部側面側が一体化されて接続された部分を含む。このため、第4実施形態の構造では、第1電極9と第2電極15の接続にあたり、優れた導通性の直接接続部DC1と補助接続部DC2を介した接合構造を形成できる。
【0059】
図19図20を用いて先に説明した上下一対の電極の接合部に対し、図21図23に示す構成は、第1電極9を包囲する構成として、複数個の補助電極11を配置した構成と説明できる。
更に、対向する第2電極15の接続端15aが複数個配置される場合、あらかじめ想定される半導体回路設計の段階から、対向する第1電極9の接続端9aと補助電極11の接続端11aに対し、接続端15aをずらしておくことにより、位置ずれ無しでも互いの接続端の側面での接合が実現することが可能となり、電気抵抗の観点で優位な配置構成となる。
【符号の説明】
【0060】
1…第1基板(回路基板)、2…第2基板(アレイ基板)、8…第1回路(CMOS回路)、9…第1電極(導電ビア)、9a…接続端、10…接続パッド、11…補助電極(フローティング電極)、11a…接続端、13…第2回路(アレイ回路)、15…第2電極(導電ビア)、15a…接続端、18…凹部、20…間隙、21…壁部、22…補助電極、DC1…直接接続部、DC2…補助接続部、S…貼合面、S1…第1貼合面、S2…第2貼合面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23