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特開2022-144961バイタル情報処理システム及びバイタル情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144961
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】バイタル情報処理システム及びバイタル情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20220926BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20220926BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046178
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】521116794
【氏名又は名称】株式会社ライジング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 洋一
(72)【発明者】
【氏名】森 大作
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定対象者のバイタル情報に基づいて健康状態が異常と判定された場合に、該測定対象者に迅速に対応することができるバイタル情報処理システム及びバイタル情報処理方法を提供する。
【解決手段】バイタル情報処理システムにおいて、労働者が装着するウェアラブル端末10は、所定の時間毎にバイタルデータを測定しS1、管理装置50に通知するS2。管理装置50は、受信したバイタルデータを蓄積するS3。ウェアラブル端末10は、測定したバイタルデータに異常を検知したならばS4、表示装置20に対して異常検知の旨を通知するS5。表示装置20は、高い光度の光を発する等により異常の発生を報知するS6。また、ウェアラブル端末は、測定したバイタルデータに異常を検知したならばS4、管理装置50に対しても、異常検知の旨を通知するS7。管理装置50は、管理者が持つ携帯端末30に対して異常検知の旨を通知するS8。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象者により装着されるウェアラブル端末と、前記測定対象者の装着物に付設される表示装置とを備えたバイタル情報処理システムであって、
前記ウェアラブル端末は、
前記測定対象者の生体活動の兆候を示すバイタル情報を取得するバイタル情報取得手段と、
前記バイタル情報取得手段により取得された前記バイタル情報に基づいて、前記測定対象者の状態を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を前記表示装置に通知する判定結果通知手段と
を有し、
前記表示装置は、
前記ウェアラブル端末から受け取った判定結果に基づいて、所定の表示部の表示態様を制御する表示制御手段を有することを特徴とするバイタル情報処理システム。
【請求項2】
前記判定結果通知手段は、
前記判定手段による判定結果を前記表示装置に通知するとともに、事前に登録された測定対象者のバイタル情報を管理する管理装置に対して前記判定結果を通知することを特徴とする請求項1に記載のバイタル情報処理システム。
【請求項3】
前記ウェアラブル端末は、
前記測定対象者の状態を判定する判定基準情報を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記判定手段は、
前記バイタル情報取得手段により取得された前記バイタル情報と前記判定基準情報とに基づいて、前記測定対象者の状態を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のバイタル情報処理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記ウェアラブル端末から受信した前記測定対象者の判定結果に基づいて判定基準情報を生成する判定基準情報生成手段と、
前記判定基準情報生成手段により生成された前記判定基準情報を前記ウェアラブル端末に通知する判定基準情報通知手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のバイタル情報処理システム。
【請求項5】
前記ウェアラブル端末は、
前記測定対象者の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記判定結果通知手段は、
前記管理装置に対して前記判定結果と前記測定対象者の位置情報を通知し、
前記判定基準情報生成手段は、
前記ウェアラブル端末から受信した同一地域に所在する複数の測定対象者の判定結果に基づいて判定基準情報を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載のバイタル情報処理システム。
【請求項6】
測定対象者により装着されるウェアラブル端末と、前記測定対象者の装着物に付設される表示装置とを備えたバイタル情報処理システムにおけるバイタル情報処理方法であって、
前記ウェアラブル端末が、前記測定対象者の生体活動の兆候を示すバイタル情報を取得するバイタル情報取得工程と、
前記ウェアラブル端末が、前記バイタル情報取得工程により取得された前記バイタル情報に基づいて、前記測定対象者の状態を判定する判定工程と、
前記ウェアラブル端末が、前記判定工程による判定結果を前記表示装置に通知する判定結果通知工程と、
前記表示装置が、前記ウェアラブル端末から受け取った判定結果に基づいて、所定の表示部の表示態様を制御する表示制御工程と
を含むことを特徴とするバイタル情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象者のバイタル情報に基づいて健康状態が異常と判定された場合に、該測定対象者に迅速に対処することができるバイタル情報処理システム及びバイタル情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化が進み、労働力の不足が懸念される中、高齢者などによる労働力に期待が高まっている。特に、現場で働く労働者数の減衰が顕著であり、多くのノウハウを持つ高齢のベテラン労働者への期待が大きい。一方で、高齢になるにつれ、労働者本人の無自覚による体調不良などにより、労働災害などが発生するリスクが高くなる。そのため、労働者の健康管理を適切に行うことが求められており、企業が労働者を有効に活用でき、また労働者が能力を発揮できる組織内の仕組みが求められている。
【0003】
このため、労働者が装着するウェアラブル端末により測定したバイタル情報(体温、血圧、心拍数等)と、労働者の周囲環境の環境情報(気温等)を収集して労働者の健康状態を判定し、異常であると判定された場合には、労働者の持つ労働者端末と管理者の執務室に設置された雇用者端末に異常を通知する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-149150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものは、異常結果が労働者端末及び雇用者端末に通知されるものの、労働者及び管理者が通知に気づかない場合がある。また、労働者が通知に気づいたとしても、そのまま作業を継続するおそれがある。また、管理者が通知に気づいたとしても、管理者が労働者本人に健康状況を確認するまでに時間を要する場合もある。
【0006】
このように、バイタル情報が異常であると判定された場合に、いかにして労働者本人に迅速に対処するかが課題となっている。なお、かかる課題は、労働者のバイタル情報を確認する場合だけではなく、介護施設の入居者などの各種の測定対象者のバイタル情報を確認する場合にも同様に生ずる課題である。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、測定対象者のバイタル情報に基づいて健康状態が異常と判定された場合に、該測定対象者に迅速に対処することができるバイタル情報処理システム及びバイタル情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、測定対象者により装着されるウェアラブル端末と、前記測定対象者の装着物に付設される表示装置とを備えたバイタル情報処理システムであって、前記ウェアラブル端末は、前記測定対象者の生体活動の兆候を示すバイタル情報を取得するバイタル情報取得手段と、前記バイタル情報取得手段により取得された前記バイタル情報に基づいて、前記測定対象者の状態を判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を前記表示装置に通知する判定結果通知手段とを有し、前記表示装置は、前記ウェアラブル端末から受け取った判定結果に基づいて、所定の表示部の表示態様を制御する表示制御手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記判定結果通知手段は、前記判定手段による判定結果を前記表示装置に通知するとともに、事前に登録された測定対象者のバイタル情報を管理する管理装置に対して前記判定結果を通知することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記ウェアラブル端末は、前記測定対象者の状態を判定する判定基準情報を記憶する記憶手段をさらに有し、前記判定手段は、前記バイタル情報取得手段により取得された前記バイタル情報と前記判定基準情報とに基づいて、前記測定対象者の状態を判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記管理装置は、前記ウェアラブル端末から受信した前記測定対象者の判定結果に基づいて判定基準情報を生成する判定基準情報生成手段と、前記判定基準情報生成手段により生成された前記判定基準情報を前記ウェアラブル端末に通知する判定基準情報通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記ウェアラブル端末は、前記測定対象者の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、前記判定結果通知手段は、前記管理装置に対して前記判定結果と前記測定対象者の位置情報を通知し、前記判定基準情報生成手段は、前記ウェアラブル端末から受信した同一地域に所在する複数の測定対象者の判定結果に基づいて判定基準情報を生成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、測定対象者により装着されるウェアラブル端末と、前記測定対象者の装着物に付設される表示装置とを備えたバイタル情報処理システムにおけるバイタル情報処理方法であって、前記ウェアラブル端末が、前記測定対象者の生体活動の兆候を示すバイタル情報を取得するバイタル情報取得工程と、前記ウェアラブル端末が、前記バイタル情報取得工程により取得された前記バイタル情報に基づいて、前記測定対象者の状態を判定する判定工程と、前記ウェアラブル端末が、前記判定工程による判定結果を前記表示装置に通知する判定結果通知工程と、前記表示装置が、前記ウェアラブル端末から受け取った判定結果に基づいて、所定の表示部の表示態様を制御する表示制御工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定対象者のバイタル情報に基づいて健康状態が異常と判定された場合に、該測定対象者に迅速に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係るバイタル情報処理システムの概要を説明するための説明図である。
図2図2は、図1に示したウェアラブル端末の構成を示す図である。
図3図3は、図2に示した判定基準データ及びバイタルデータの一例を示す図である。
図4図4は、図1に示した管理装置の構成を示す図である。
図5図5は、図4に示した判定基準データ及びバイタルデータの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るウェアラブル端末の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態]
以下に、本実施形態に係るバイタル情報処理システム及びバイタル情報処理方法について詳細に説明する。なお、本実施形態では、労働者を測定対象者とする場合を示すこととする。
【0017】
<実施形態に係るバイタル情報処理システムの概要>
まず、本実施形態に係るバイタル情報処理システムの概要について説明する。図1は、本実施形態に係るバイタル情報処理システムの概要を説明するための説明図である。
【0018】
労働者が装着するウェアラブル端末10は、所定の時間毎に体温、血圧、心拍数などのバイタルデータを測定し(S1)、測定したバイタルデータを管理装置50に通知する(S2)。管理装置50は、受信したバイタルデータを蓄積する(S3)。
【0019】
ウェアラブル端末10は、測定したバイタルデータに異常を検知したならば(S4)、労働者が装着するヘルメットに付設された表示装置20に対して、異常検知の旨を通知する(S5)。表示装置20は、異常検知の通知を受け取ったならば、高い光度の光を発する等により異常の発生を報知する(S6)。
【0020】
また、ウェアラブル端末は、測定したバイタルデータに異常を検知したならば(S4)、管理装置50に対しても、異常検知の旨を通知する(S7)。管理装置50は、異常検知の通知を受け取ったならば、管理者が持つ携帯端末30に対して異常検知の旨を通知する(S8)。
【0021】
このように、本実施形態に係るバイタル情報処理システムでは、労働者のバイタル情報に基づいて健康状態が異常と判定された場合に、該労働者に迅速に対処することができる。
【0022】
<システム構成>
次に、本実施形態に係るバイタル情報処理システムのシステム構成について説明する。図1に示すように、労働者はウェアラブル端末10及びヘルメットを装着しており、このヘルメットには表示装置20が付設されている。ウェアラブル端末10及び表示装置20は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により通信可能に接続される。ウェアラブル端末10、管理装置50及び携帯端末30は、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信及びインターネットを介して通信可能に接続される。
【0023】
ウェアラブル端末10は、バイタルデータを測定して、異常の有無を判定する装置である。ウェアラブル端末10は、労働者の体温、血圧及び心拍数を測定した値とGNSS(Global Navigation Satellite System)であるGPS等の電波を受信して算出した位置情報をバイタルデータとして記憶する。ウェアラブル端末10は取得したバイタルデータの異常の有無を判定して、このバイタルデータが異常と判定されたならば、その旨を表示装置20及び管理装置50に通知する。
【0024】
表示装置20は、異常の発生を報知する装置である。表示装置20は、ウェアラブル端末10から異常検知の通知を受け取ったならば、高い光度の光を発する等により異常の発生を報知する。
【0025】
管理装置50は、バイタルデータを管理し、バイタルデータから判定基準データを生成する装置である。管理装置50は、ウェアラブル端末10から受信したバイタルデータを蓄積する。管理装置50は、蓄積したバイタルデータの中で同一地域に含まれるデータを抽出し、抽出されたデータの平均値を基にして判定基準データを生成し、ウェアラブル端末10に通知する。管理装置50は、ウェアラブル端末10からバイタルデータの異常通知を受け取ったならば、この異常通知を携帯端末30に通知する。
【0026】
携帯端末30は、管理者の持つスマートフォン等の携帯端末装置である。携帯端末30は、管理装置50からバイタルデータの異常通知を受け取ったならば、この異常通知を表示する。
【0027】
<ウェアラブル端末10の構成>
次に、図1に示したウェアラブル端末10の構成について説明する。図2は、図1に示したウェアラブル端末10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、ウェアラブル端末10は、操作表示部11、位置情報受信部12、バイタルセンサ13、近距離通信部15、遠距離通信部16、記憶部17及び制御部18を有する。
【0028】
操作表示部11は、タッチパネルディスプレイ等の入出力デバイスである。位置情報受信部12は、GNSSであるGPS等の電波を受信するデバイスである。バイタルセンサ13は、体温、血圧及び心拍数を測定するセンサである。
【0029】
近距離通信部15は、BLUETOOTH(登録商標)等の近距離無線通信を用いて他の装置と接続するためのインタフェース部である。遠距離通信部16は、LTE等の無線通信を用いてインターネットに接続するためのインタフェース部である。
【0030】
記憶部17は、不揮発性のメモリ又はハードディスク装置等からなる記憶デバイスであり、判定基準データ17a及びバイタルデータ17bを記憶する。判定基準データ17aは、バイタルデータの異常の有無を判定する基準となるデータである。バイタルデータ17bは、バイタルセンサ13により測定したバイタルデータである。
【0031】
制御部18は、ウェアラブル端末10の全体制御を行う制御部であり、判定基準管理部18a、位置情報処理部18b、バイタルデータ管理部18c、判定部18d及び通知部18eを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROM等の不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、判定基準管理部18a、位置情報処理部18b、バイタルデータ管理部18c、判定部18d及び通知部18eにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0032】
判定基準管理部18aは、判定基準データ17aを管理する処理部である。判定基準管理部18aは、管理装置50から受信した判定基準データを判定基準データ17aに記憶する。
【0033】
位置情報処理部18bは、位置情報受信部12が受信した情報を用いて位置情報を算出する処理部である。位置情報処理部18bは、位置情報受信部12が受信したGPS等の情報を用いてウェアラブル端末10の位置情報を算出し、バイタルデータ管理部18cに受け渡す。
【0034】
バイタルデータ管理部18cは、バイタルデータ17bを管理する処理部である。バイタルデータ管理部18cは、バイタルセンサ13が測定した体温、血圧及び心拍数のバイタルデータを所定の時間毎に受け取り、このバイタルデータ及び位置情報処理部18bから受け取った位置情報をバイタルデータ17bに記憶する。
【0035】
判定部18dは、バイタルデータの異常の有無を判定する処理部である。判定部18dは、バイタルデータ管理部18cがバイタルセンサ13からバイタルデータを受け取ったならば、判定基準データ17aを用いて、このバイタルデータにおける異常の有無を判定し、判定結果をバイタルデータ17bに記憶する。
【0036】
通知部18eは、バイタルデータの異常を通知する処理部である。通知部18eは、判定部18dにおいてバイタルデータが異常と判定されたならば、その旨を表示装置20及び管理装置50に通知する。
【0037】
次に、図2に示したウェアラブル端末10の記憶部17に記憶されたデータの一例について説明する。図3は、図2に示した判定基準データ17a及びバイタルデータ17bの一例を示す図である。
【0038】
図3(a)に示すように、判定基準データ17aは、体温の判定基準が「36~37℃」であり、収縮期血圧の判定基準が「110~130mmHg」であり、拡張期血圧の判定基準が「65~85mmHg」であり、脈拍の判定基準が「65~85回/分」であることを示している。
【0039】
図3(b)に示すように、バイタルデータ17bは、日時「2021/04/01 10:00」、位置情報「36.68****、139.76****」、体温「36.5℃」、収縮期血圧「128mmHg」、拡張期血圧「80mmHg」、脈拍「80回/分」、異常「無」を対応付け、日時「2021/04/01 10:05」、位置情報「36.68****、139.76****」、体温「36.7℃」、収縮期血圧「135mmHg」、拡張期血圧「84mmHg」、脈拍「95回/分」、異常「有」を対応付けている。
【0040】
<管理装置50の構成>
次に、図1に示した管理装置50の構成について説明する。図4は、図1に示した管理装置50の構成を示すブロック図である。図4に示すように、管理装置50は、表示部51及び入力部52と接続され、通信部53、記憶部54及び制御部55を有する。
【0041】
表示部51は、液晶パネルやディスプレイ装置等の表示デバイスである。入力部52は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。通信部53は、インターネットを介してウェアラブル端末10及び携帯端末30とデータ通信するためのインタフェース部である。
【0042】
記憶部54は、不揮発性のメモリ又はハードディスク装置等からなる記憶デバイスであり、判定基準データ54a及びバイタルデータ54bを記憶する。判定基準データ54aは、バイタルデータの異常の有無を判定する基準となるデータである。バイタルデータ54bは、ウェアラブル端末10が測定したデータである。
【0043】
制御部55は、管理装置50の全体制御を行う制御部であり、判定基準管理部55a、バイタルデータ管理部55b、分析部55c及び通知部55dを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROM等の不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、判定基準管理部55a、バイタルデータ管理部55b、分析部55c及び通知部55dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0044】
判定基準管理部55aは、判定基準データ54aを管理する処理部である。判定基準管理部55aは、入力部52で受け付けた判定基準データを判定基準データ54aに記憶する。判定基準管理部55aは、分析部55cから判定基準データを受け取ったならば、この判定基準データを用いて判定基準データ54aを更新する。
【0045】
バイタルデータ管理部55bは、バイタルデータ54bを管理する処理部である。バイタルデータ管理部55bは、ウェアラブル端末10から受信したバイタルデータをバイタルデータ54bに記憶する。
【0046】
分析部55cは、バイタルデータ54bを分析して判定基準データを生成する処理部である。分析部55cは、バイタルデータ54bの中で同一地域に含まれるデータを抽出し、抽出されたデータの平均値を基にして判定基準データを生成し、判定基準管理部55aに受け渡す。
【0047】
通知部55dは、判定基準データ54a及びバイタルデータの異常を通知する処理部である。通知部55dは、判定基準管理部55aにより判定基準データ54aが更新されたならば、この判定基準データ54aをウェアラブル端末10に通知する。通知部55dは、ウェアラブル端末10からバイタルデータの異常通知を受け取ったならば、この異常通知を携帯端末30に通知する。
【0048】
次に、図4に示した管理装置50の記憶部54に記憶されたデータの一例について説明する。図5は、図4に示した判定基準データ54a及びバイタルデータ54bの一例を示す図である。
【0049】
図5(a)に示すように、判定基準データ54aは、体温の判定基準が「36~37℃」であり、収縮期血圧の判定基準が「110~130mmHg」であり、拡張期血圧の判定基準が「65~85mmHg」であり、脈拍の判定基準が「65~85回/分」であることを示している。
【0050】
図5(b)に示すように、バイタルデータ54bは、端末ID「A013」、日時「2021/04/01 10:00」、位置情報「36.68****、139.76****」、体温「36.5℃」、収縮期血圧「128mmHg」、拡張期血圧「80mmHg」、脈拍「80回/分」、異常「無」を対応付け、端末ID「A025」、日時「2021/04/01 10:02」、位置情報「36.68****、139.76****」、体温「36.3℃」、収縮期血圧「125mmHg」、拡張期血圧「78mmHg」、脈拍「75回/分」、異常「無」を対応付け、端末ID「A013」、日時「2021/04/01 10:05」、位置情報「36.68****、139.76****」、体温「36.7℃」、収縮期血圧「135mmHg」、拡張期血圧「84mmHg」、脈拍「95回/分」、異常「有」を対応付けている。
【0051】
<実施形態に係るウェアラブル端末10の処理手順>
次に、本実施形態に係るウェアラブル端末10の処理手順について説明する。図6は、本実施形態に係るウェアラブル端末10の処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
ウェアラブル端末10は、バイタルセンサ13によりバイタルデータを測定したならば(ステップS101)、このバイタルデータをバイタルデータ17bに記憶し(ステップS102)、異常の有無の判定を行う(ステップS103)。
【0053】
バイタルデータが異常と判定されたならば(ステップS103;Yes)、異常有としてバイタルデータ17bに記憶し、異常を検知した旨を管理装置50に通知する(ステップS104)。バイタルデータが正常と判定されたならば(ステップS103;No)、異常無としてバイタルデータ17bに記憶する(ステップS105)。
【0054】
バイタルデータの測定を継続する場合は(ステップS106;No)、ステップS101に移行する。バイタルデータの測定を終了する場合は(ステップS106;Yes)、処理を終了する。
【0055】
このように、本実施形態に係るバイタル情報処理システムでは、労働者のバイタル情報に基づいて健康状態が異常と判定された場合に、該労働者の周囲に該労働者の異常を報知することができる。
【0056】
上述してきたように、本実施形態に係るバイタル情報処理システムでは、測定対象者により装着されるウェアラブル端末と、前記測定対象者の装着物に付設される表示装置とを備えたバイタル情報処理システムであって、前記ウェアラブル端末は、前記測定対象者の生体活動の兆候を示すバイタル情報に基づいて、前記測定対象者の状態を判定し、この判定結果を前記表示装置に通知し、前記表示装置は、前記ウェアラブル端末から受け取った判定結果に基づいて、所定の表示部の表示態様を制御するよう構成したので、労働者のバイタル情報に基づいて健康状態が異常と判定された場合に、該労働者の周囲に該労働者の異常を報知することができる。このため、労働者に迅速に対処することが可能となる。
【0057】
なお、上記の実施形態では、バイタルデータ54bの中で同一地域に含まれるデータの平均値を基にして判定基準データを生成する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではく、バイタルデータ54bの中で同一地域に含まれるデータの平均値に所定の閾値を加えた値を基にして判定基準データを生成するよう構成することもできる。
【0058】
また、上記の実施形態では、判定基準データを基にして異常の有無を判定する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではく、前回に測定した値又は前日に測定した値を基にして異常の有無を判定するよう構成することもできる。
【0059】
また、上記の実施形態では、体温、血圧、心拍数を含むバイタルデータを基にして異常の有無を判定する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではく、血中酸素濃度と呼吸数を含むバイタルデータを基にして異常の有無を判定することもできる。近年のスマートウオッチ(登録商標)では、血中酸素濃度と呼吸数を取得できるためである。具体的には、あらかじめ血中酸素濃度「96~100%」と呼吸数「12~20回/分」を判定基準データとして登録しておき、ウェアラブル端末を用いて測定対象者の血中酸素濃度及び呼吸数を取得したならば、測定対象者の血中酸素濃度及び呼吸数を判定基準データと比較して、判定基準データの範囲外であれば異常であると判定することができる。なお、体温、血圧、心拍数、血中酸素濃度、呼吸数のうちの複数のバイタルデータを用いて異常の有無を判定することもできる。
【0060】
また、上記の実施形態では、体温、血圧、心拍数を含むバイタルデータを基にして異常の有無を判定する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではく、測定対象者の移動範囲を基にして異常の有無を判定するよう構成することもできる。
【0061】
また、上記の実施形態では、体温、血圧、心拍数を含むバイタルデータを基にして異常の有無を判定する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではく、ウェアラブル端末10に加速度センサを付加して測定した移動速度の平均値を基にして異常の有無を判定するよう構成することもできる。
【0062】
また、上記の実施形態では、体温、血圧、心拍数を含むバイタルデータを所定の時間毎に測定する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではく、異常の有無の判定結果に基づいて、測定する種類と頻度を変更するよう構成することもできる。
【0063】
また、上記の実施形態では、労働者を測定対象者とする場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、介護施設の入居者等を測定対象者とする場合に適用することもできる。
【0064】
また、上記の実施形態では、ウェアラブル端末10及び表示装置20は、Bluetooth(登録商標)で接続する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、LoRa(登録商標)等で接続する場合に適用することもできる。
【0065】
また、上記の実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るバイタル情報処理システム及びバイタル情報処理方法は、測定対象者のバイタル情報に基づいて健康状態が異常である場合に、該測定対象者に迅速に対応する場合に適している。
【符号の説明】
【0067】
10 ウェアラブル端末
11 操作表示部
12 位置情報受信部
13 バイタルセンサ
15 近距離通信部
16 遠距離通信部
17 記憶部
17a 判定基準データ
17b バイタルデータ
18 制御部
18a 判定基準管理部
18b 位置情報処理部
18c バイタルデータ管理部
18d 判定部
18e 通信部
20 表示装置
30 携帯端末
50 管理装置
51 表示部
52 入力部
53 通信部
54 記憶部
54a 判定基準データ
54b バイタルデータ
55 制御部
55a 判定基準管理部
55b バイタルデータ管理部
55c 分析部
55d 通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6