(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144994
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】車両出力シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
B60L 15/20 20060101AFI20220926BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B60L15/20 K
G10K15/04 302J
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046228
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】521118581
【氏名又は名称】莊子平
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】莊子平
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC11
5H125BA00
5H125CA01
5H125CA04
5H125CA10
5H125CD01
5H125EE49
(57)【要約】
【課題】車両出力シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】車両出力シミュレーションシステムは、モータと電源とを備える電気自動車に適用され、記憶モジュールと、制御パネルと、モータ制御モジュールと、スピーカ装置と、ホストコンピュータと、を含む。記憶モジュールは、加速曲線特性データと音響効果とを有するシミュレーション設定を記憶する。制御パネルは、操作を選択するために用いられ、制御コマンドを出力する。モータ制御モジュールは、加速曲線特性データに基づいて、モータ及び電源を制御する。スピーカ装置は、制御コマンドに対応する音響効果を出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと電源とを備える電気自動車に適用される車両出力シミュレーションシステムであって、
加速曲線特性データと音響効果とを有する少なくとも1つのシミュレーション設定を記憶する記憶モジュールと、
前記記憶モジュールに結合され、前記少なくとも1つのシミュレーション設定のいずれかを選択するために用いられ、制御コマンドを出力する制御パネルと、
前記制御コマンドに対応する前記加速曲線特性データに基づいて、前記モータ及び前記電源の少なくとも一方を制御するモータ制御モジュールと、
前記制御コマンドに対応する前記音響効果を出力するスピーカ装置と、
前記記憶モジュールと、前記制御パネルと、前記モータ制御モジュールと、前記スピーカ装置とに結合され、前記制御コマンドを受信して、前記モータ制御モジュール及び前記スピーカ装置を制御するホストコンピュータと、を含むことを特徴とする車両出力シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記ホストコンピュータに結合され、駆動コマンドを出力する加速制御ユニットをさらに含み、
前記モータ制御モジュールは、前記駆動コマンド及び前記制御コマンドに対応する前記加速曲線特性データに基づいて、前記モータ及び前記電源の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記ホストコンピュータは、同時マッチングする前記加速曲線特性データ及び前記音響効果に基づいて、前記モータ制御モジュール及び前記スピーカ装置を同時に制御し、前記加速曲線特性データが高回転速度又は高トルクを表す場合、前記音響効果を比較的に大きな音量を生成させるように前記スピーカ装置を制御し、前記加速曲線特性データが低回転速度又は低トルクを表す場合、前記音響効果を比較的に小さな音量を生成させるように前記スピーカ装置を制御し、
前記少なくとも1つのシミュレーション設定のそれぞれは、抵抗設定をさらに有し、
前記ホストコンピュータは、前記制御コマンドに対応する前記抵抗設定に基づいて、前記加速制御ユニットの抵抗を設定することを特徴とする請求項2に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記記憶モジュールは、自動運転設定と、パフォーマンスモード設定と、省エネモード設定と、プリセットモード設定とをさらに記憶し、前記制御パネルは、前記自動運転設定、前記パフォーマンスモード設定、前記省エネモード設定、前記プリセットモード設定、及び前記少なくとも1つのシミュレーション設定のいずれか1つを選択し、前記制御コマンドを出力することを特徴とする請求項1に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記制御パネルは、工場出荷時設定メニュー及びスーパーカーシミュレーションメニューを選択するために用いられ、前記工場出荷時設定メニューは、前記自動運転設定と、前記パフォーマンスモード設定と、前記省エネモード設定と、前記プリセットモード設定とを含み、前記スーパーカーシミュレーションメニューは、前記少なくとも1つのシミュレーション設定を含むことを特徴とする請求項4に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【請求項6】
前記モータ制御モジュールは、
前記ホストコンピュータと前記モータとに結合され、前記モータの回転速度を制御する回転速度コントローラと、
前記ホストコンピュータに結合された、前記電気自動車の変速段を制御する動力伝達変速段コントローラと、
前記ホストコンピュータと前記電源に結合され、前記電源を制御する電源コントローラと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記電気自動車は、ミッションケースをさらに含み、
前記モータ制御モジュールは、前記制御コマンドに対応する前記加速曲線特性データに基づいて、前記モータ、前記ミッションケース及び前記電源の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【請求項8】
前記加速曲線特性データは、スーパーカー出力をシミュレートする回転速度を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【請求項9】
前記加速曲線特性データは、スーパーカー出力をシミュレートするトルクを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【請求項10】
前記加速曲線特性データは、スーパーカー出力をシミュレートする馬力を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両出力シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両出力シミュレーションシステムに関し、特に、シミュレーション設定の選択に基づいて、電気自動車に加速曲線特性データ及び音響効果を動作させることができる車両出力シミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護の問題が引き続き深刻であり、様々な再生可能エネルギー技術が成熟するにつれて、交通輸送手段も環境汚染の低減に向けて発展している。例えば、電気自動車は、未来の交通輸送手段の主流となりつつあり、高トルク、高加速度、低騒音、大気汚染物質を排出しないなどの利点があり、現行の自家用車、バス、機械自転車、工事車などの代わりに用いられることができる。特に、電気自動車の発展が続く中で、現在の電気自動車の性能もますます優れており、発進時の静止状態から時速100km/hまで加速するのに5秒未満しかかからない高価格の電気自動車もある。電気自動車のこのような加速性能は、現在市販されているガスエンジンを中心とした多くのスーパーカーと遜色なく、運転者にとって非常に優れた性能を備えている。
図1に示すように、従来技術の電気自動車の加速曲線である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術の電気自動車の動力特性及び加速性能は、いずれも出荷前から電気自動車に搭載されたハードウェア、外観、価格などの要素に基づいて調整されており、個人のニーズ又は特殊な状況に基づいて調整されることはできない。さらに、一般的な電気自動車は、内燃機関のサイクル爆発を採用した伝達ではないため、伝達機構の作動以外の騒音はほとんどない。運転者にとっても、加速時に人を興奮させるエンジンの轟音が少ないため、運転中に運転の楽しさが少なくなり、聴力に敏感でない通行人にも危険性がある。
【0004】
そこで、車両出力シミュレーションシステムをどのように設計して、特に、従来技術の運転の楽しさの欠如、及び通行人にとって比較的危険性があるという技術的問題を解決するかが、本願発明者によって検討された重要な課題である。
【0005】
本発明の目的は、従来技術の運転の楽しさの欠如や通行人への危険性が高いという技術的問題を回避し、電気自動車の安全性と運転の楽しさを両立させる車両出力シミュレーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムは、モータと電源とを備える電気自動車に適用され、加速曲線特性データと音響効果とを有する少なくとも1つのシミュレーション設定を記憶する記憶モジュールと、前記記憶モジュールに結合され、前記少なくとも1つのシミュレーション設定のいずれかを選択するために用いられ、制御コマンドを出力する制御パネルと、前記制御コマンドに対応する前記加速曲線特性データに基づいて、前記モータ及び前記電源の少なくとも一方を制御するモータ制御モジュールと、前記制御コマンドに対応する前記音響効果を出力するスピーカ装置と、前記記憶モジュールと、前記制御パネルと、前記モータ制御モジュールと、前記スピーカ装置とに結合され、前記制御コマンドを受信して、前記モータ制御モジュール及び前記スピーカ装置を制御するホストコンピュータと、を含む。
【0007】
さらに、前記車両出力シミュレーションシステムは、前記ホストコンピュータに結合され、駆動コマンドを出力する加速制御ユニットをさらに含み、前記モータ制御ユニットは、前記駆動コマンド及び前記制御コマンドに対応する前記加速曲線特性データに基づいて、前記モータ及び前記電源の少なくとも一方を制御する。
【0008】
さらに、前記車両出力シミュレーションシステムにおいて、前記ホストコンピュータは、同時マッチングする前記加速曲線特性データ及び前記音響効果に基づいて、前記モータ制御モジュール及び前記スピーカ装置を同時に制御し、前記加速曲線特性データが高回転速度又は高トルクを表す場合、前記音響効果を比較的に大きな音量を生成させるように前記スピーカ装置を制御し、前記加速曲線特性データが低回転速度又は低トルクを表す場合、前記音響効果を比較的に小さな音量を生成させるように前記スピーカ装置を制御し、前記少なくとも1つのシミュレーション設定のそれぞれは、抵抗設定をさらに有し、前記ホストコンピュータは、前記制御コマンドに対応する前記抵抗設定に基づいて、前記加速制御ユニットの抵抗を設定する。
【0009】
さらに、前記車両出力シミュレーションシステムにおいて、前記記憶モジュールは、自動運転設定と、パフォーマンスモード設定と、省エネモード設定と、プリセットモード設定とをさらに記憶し、前記制御パネルは、前記自動運転設定、前記パフォーマンスモード設定、前記省エネモード設定、前記プリセットモード設定、及び前記少なくとも1つのシミュレーション設定のいずれか1つを選択し、前記制御コマンドを出力する。
【0010】
さらに、前記車両出力シミュレーションシステムにおいて、前記制御パネルは、工場出荷時設定メニュー及びスーパーカーシミュレーションメニューを選択するために用いられ、前記工場出荷時設定メニューは、前記自動運転設定と、前記パフォーマンスモード設定と、前記省エネモード設定と、前記プリセットモード設定とを含み、前記スーパーカーシミュレーションメニューは、前記少なくとも1つのシミュレーション設定を含む。
【0011】
さらに、前記車両出力シミュレーションシステムにおいて、前記モータ制御モジュールは、前記ホストコンピュータと前記モータとに結合され、前記モータの回転速度を制御する回転速度コントローラと、前記ホストコンピュータに結合された、前記電気自動車の変速段を制御する動力伝達変速段コントローラと、前記ホストコンピュータと前記電源に結合され、前記電源を制御する電源コントローラと、を含む。
【0012】
さらに、前記電気自動車は、ミッションケースをさらに含み、前記モータ制御モジュールは、前記制御コマンドに対応する前記加速曲線特性データに基づいて、前記モータ、前記ミッションケース及び前記電源の少なくとも1つを制御する。
【0013】
さらに、前記加速曲線特性データは、スーパーカー出力をシミュレートする回転速度を含む。
【0014】
さらに、前記加速曲線特性データは、スーパーカー出力をシミュレートするトルクを含む。
【0015】
さらに、前記加速曲線特性データは、スーパーカー出力をシミュレートする馬力を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両出力シミュレーションシステムを使用する際に、記憶モジュール内に少なくとも1つのシミュレーション設定を予め記憶してもよい。例えば、様々なスーパーカーに関する複数のシミュレーション設定であってもよい。ユーザは、記憶モジュールに結合された制御パネルにより操作し、記憶モジュールに記憶されているいずれかのシミュレーション設定を選択し、選択されたシミュレーション設定に関する制御コマンドを制御パネルに出力させることができる。そして、ホストコンピュータは、制御コマンドを受信して、モータ制御モジュール及びスピーカ装置を制御することで、モータ制御モジュールは、制御コマンドに対応する加速曲線特性データに基づいて、モータ及び電源を制御し、スピーカ装置は、制御コマンドに対応する音響効果を出力することができる。これにより、運転者により多くの運転の楽しさを提供することができ、通行人に警告するのに十分な役割を提供することができる。さらに、各シミュレーション設定は、抵抗設定を含んでもよい。ホストコンピュータは、制御コマンドに対応する抵抗設定に基づいて、加速制御ユニットの抵抗を設定することで、ユーザは、特定のスーパーカーにより適した乗り心地を体験することができる。さらに、モータ制御モジュールは、モータの回転速度を制御するか、電気自動車の変速段(又はギア比と呼ぶことができる)を制御するかを、詳細な項目についてさらに役割を分担することができる。
【0017】
したがって、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムは、従来技術の運転の楽しさの欠如及び通行人への危険性が高いという技術的問題を回避することができ、電気自動車に安全性と運転の楽しさを両立させることができる。
【0018】
本発明の目的を達成するためになされた本発明の技術、手段、及び効果をより良く理解するために、本発明の目的及び特徴は、本発明の詳細な説明及び添付図面を参照することによってより良く理解されると考えられるが、添付図面は、参照及び説明のみを提供するものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの第1の実施形態のスケルトン図スケルトン図である。
【
図3】本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの第2の実施形態のスケルトン図である。
【
図4】本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの第3の実施形態のスケルトン図である。
【
図5】本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの第4の実施形態のスケルトン図である。
【
図6】本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの記憶モジュールと制御パネルとの関係図である。
【
図7】本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの回転速度と、トルクと、馬力との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の技術内容及び詳細な説明について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0021】
図2は、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの第1の実施形態のスケルトン図スケルトン図である。
図2に示すように、本発明の第1の実施形態では、車両出力シミュレーションシステムは、モータ101と電源103とを備える電気自動車100に適用され、記憶モジュール10と、制御パネル20と、モータ制御モジュール30と、スピーカ装置40と、ホストコンピュータ50とを含む。
【0022】
記憶モジュール10は、少なくとも1つのシミュレーション設定11を記憶し、少なくとも1つのシミュレーション設定11のそれぞれは、加速曲線特性データ111と音響効果112とを含んでもよい。本発明の第1の実施形態では、記憶モジュール10は、EEPROM、又はNAND Flash等の他の不揮発性、データを記憶可能な媒体であってもよい。さらに、シミュレーション設定11は、アストンマーティン(Aston Martin)、BMW、フェラーリ(Ferrari)、ランボルギーニ(Lamborghini)、マセラティ(Maserati)、又はポルシェ(Porsche)などに対応する、関連する車両の出力動力の特性データを含んでもよい。さらに、シミュレーション設定11は、予め録音された異なるスーパーカーのエンジン音であってもよいので、異なるシミュレーション設定を切り替えたときに異なる音を発生させることができる。また、加速曲線特性データ111は、スーパーカーの回転速度曲線データ、スーパーカーのトルク曲線データ、又はスーパーカーの馬力曲線データに基づいて設定されることができる。本発明では、工場出荷時のホストコンピュータをセットアップし、元のホストコンピュータの加速曲線特性データ111のデータを変更又は追加する。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0023】
制御パネル20は、記憶モジュール10に結合され、少なくとも1つのシミュレーション設定11のいずれかを選択するために用いられ、制御コマンド21を出力する。本発明の第1の実施形態において、制御パネル20は、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、OLED(有機EL)、QD-OLED(量子ドット有機EL)、mini-LED(ミニLED)、micro-LED(マイクロLED)、IGZO(インジウムガリウム亜鉛酸化物)又はe-Paper(電子ペーパー)によって構成されてもよい。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0024】
モータ制御モジュール30は、制御コマンド21に対応する加速曲線特性データ111に基づいて、モータ101及び電源103の少なくとも一方を制御する。本発明の第1の実施形態では、モータ制御モジュール30は、回転速度コントローラ31と、動力伝達変速段コントローラ32と、電源コントローラ33とを含む。ここで、回転速度コントローラ31は、ホストコンピュータ50とモータ101とに結合され、モータ101の回転速度を制御可能である。動力伝達変速段コントローラ32は、ホストコンピュータ50に結合され、例えば、ギア比のような電気自動車の変速段を制御可能である。これにより、車両が出力するトルク、馬力などの動力性能を制御する。電源コントローラ33は、ホストコンピュータ50と電源103とに結合され、電源103を制御可能である。電源コントローラ33は、電池管理システム(battery management system、BMS)であり、その回路構造はマイクロコントローラ(MCU)、マイクロプロセッサ(MPU)、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)及びシステムオンチップ(SoC)のうちの1つを含む。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
スピーカ装置40は、制御コマンド21に対応する音響効果112を出力する。本発明の第1の実施形態において、スピーカ装置40は、ウェアラブルスピーカ装置、カーオーディオ及び車外スピーカの少なくとも1つ又はその任意の組合せを含み、制御パネル20により個人モード、車内モード又は車外モードを切り替えることができる。ウェアラブルスピーカ装置は、カナル型イヤホン、耳覆い型ヘッドホン、気導イヤホン、骨伝導イヤホン、又は中耳インプラントを含んでもよい。カーオーディオ又は車外スピーカは、電気スピーカ、電磁スピーカ、圧電スピーカ(piezoelectric speakers)、電極スピーカ、又はプラズマスピーカ(plasma arc speakers)を含んでもよい。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0026】
ホストコンピュータ50は、記憶モジュール10と、制御パネル20と、モータ制御モジュール30と、スピーカ装置40とに結合される。ホストコンピュータ50は、制御コマンド21を受信して、モータ制御モジュール30及びスピーカ装置40を制御する。本発明の第1の実施形態では、ホストコンピュータ50は、X86、ARM、Arduino機械語アーキテクチャに基づく回路基板、又はラズベリーパイ(Raspberry Pi)などの処理コアであってもよい。ラズベリーパイ(Raspberry Pi(登録商標))は、そのモデルが1モデルA、1モデルA+、1モデルB、1モデルB+、2モデルB、3モデルB、3モデルB+、3モデルA+、又は4モデルBであってもよい。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0027】
さらに、ホストコンピュータ50は、同時マッチングする加速曲線特性データ111及び音響効果112に基づいて、モータ制御モジュール30及びスピーカ装置40を同時に制御し、加速曲線特性データ111が高回転速度又は高トルクを表す場合、音響効果112を比較的に大きな音量を生成させるようにスピーカ装置40を制御し、加速曲線特性データ111が低回転速度又は低トルクを表す場合、音響効果112を比較的に小さな音量を生成させるようにスピーカ装置40を制御する。
【0028】
さらに、上述した車両出力シミュレーションシステムは、加速制御ユニット60をさらに含んでもよい。加速制御ユニット60は、ホストコンピュータ50に結合され、駆動コマンド61を出力する。そして、モータ制御モジュール30は、駆動コマンド61及び制御コマンド21に対応する加速曲線特性データ111に基づいて、モータ101及び電源103の少なくとも一方を制御することができる。本発明の第1の実施形態において、加速制御ユニット60は制御レバー、押圧構造又はペダル(例えば、ガスエンジンに対応可能な車両のアクセルペダル又はクラッチペダル)などであってもよい。即ち、ユーザは、加速制御ユニット60を調整することにより、モータ101の出力回転速度を制御したり、電気自動車の変速段を制御したりすることができる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0029】
図3は、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの第2の実施形態のスケルトン図である。本発明の第2の実施形態に係る車両出力シミュレーションシステムは、少なくとも1つのシミュレーション設定11のそれぞれが抵抗設定113をさらに含む点を除いて、上記第1の実施形態と同様である。これにより、ホストコンピュータ50は、制御コマンド21に対応する抵抗設定113に基づいて、加速制御ユニット60の抵抗を設定可能である。その結果、ユーザが加速制御ユニット60を調整する時の運転の楽しさを増やすことができる。
【0030】
図4は、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの第3の実施形態のスケルトン図である。本発明の第3の実施形態に係る車両出力シミュレーションシステムは、以下の点を除いて上記第1の実施形態と同様である。電気自動車100は、ミッションケース102をさらに含み、車両出力シミュレーションシステムは、ライトコントローラ70と複数の発光ユニット104とを含み、少なくとも1つのシミュレーション設定11のそれぞれは、ライトデータ114を含んでもよい。ここで、複数の発光ユニット104は、電気自動車100内に配置可能である。ライトコントローラ70は、ホストコンピュータ50に結合されて、ホストコンピュータ50が複数の発光ユニット104を制御できるようにしている。複数の発光ユニット104は、ライトコントローラ70に結合され、制御コマンド21に対応するライトデータ114に基づいて照明又は発光変化を行う。
【0031】
図5は、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの第4の実施形態のスケルトン図である。本発明の第4の実施形態に係る車両出力シミュレーションシステムは、以下の点を除いて上記第3の実施形態と同様である。車両出力シミュレーションシステムは、無線モジュール80をさらに含み、少なくとも1つのシミュレーション設定11のそれぞれは、抵抗設定113をさらに含む。ここで、無線モジュール80は、ホストコンピュータ50に結合され、無線通信プロトコルを介して記憶モジュール10内の少なくとも1つのシミュレーション設定11を更新して、例えば、無線通信技術(over-the-air technology、OTA technology)の商用サービスを提供する。さらに、無線通信プロトコルは、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LoRa(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、及びNFCの少なくとも1を含む。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0032】
図6は、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの記憶モジュールと制御パネルとの関係図である。記憶モジュール10は、少なくとも1つのシミュレーション設定11に属するAシミュレーション設定、Bシミュレーション設定、及びCシミュレーション設定を記憶するほか、さらに自動運転設定12、パフォーマンスモード設定13、省エネモード設定14、及びプリセットモード15を予め記憶してもよい。さらに、制御パネル20は、ユーザが工場出荷時設定メニュー22及びスーパーカーシミュレーションメニュー23を選択するために用いられる。ここで、工場出荷時設定メニュー22は、自動運転設定、パフォーマンスモード設定、省エネモード設定、及びプリセットモード設定を示す複数の選択ブロックを含んでもよい。スーパーカーシミュレーションメニュー23は、Aシミュレーション設定、Bシミュレーション設定、及びCシミュレーション設定を示す複数の選択ブロックを含んでもよい。例えば、ホストコンピュータ50は、ユーザが自動運転設定という選択ブロックを押すと、記憶モジュール10の自動運転設定12を取り込む。以下も同様である。
【0033】
図7は、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの回転速度と、トルクと、馬力との関係図である。ここで、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムの加速曲線特性データ111は、主にスーパーカー出力の回転速度又はトルクをシミュレーションしたものである。例えば、スーパーカーが大馬力で出力すると、回転速度が瞬間的に上昇するが、このとき電気自動車も出力電流を大きくしてスーパーカーに近い回転速度を上昇させる。本発明に係る車両出力シミュレーションシステムは、電気自動車のモータ特性に応じて電流を出力して、モータ回転速度を制御することができる。一方、スーパーカーの音は主に高回転時に強い音波が発生するのに対し、電気自動車は、スーパーカーをシミュレートする際にも回転速度に応じて音制御を行う。ここで、
図7の曲線は、パワー(kW)=トルク(N-m)×回転速度(rpm)/9549を満たす。ここで、1馬力(hp)=746Wである。
【0034】
本発明に係る車両出力シミュレーションシステムを使用する際に、記憶モジュール10内に少なくとも1つのシミュレーション設定11を予め記憶してもよい。例えば、様々なスーパーカーに関する複数のシミュレーション設定11であってもよい。ユーザは、記憶モジュール10に結合された制御パネル20により操作し、記憶モジュール10に記憶されているいずれかのシミュレーション設定11を選択し、選択されたシミュレーション設定11に関する制御コマンド21を制御パネル20に出力させることができる。そして、ホストコンピュータ50は、制御コマンド21を受信して、モータ制御モジュール30及びスピーカ装置40を制御することで、モータ制御モジュール30は、制御コマンド21に対応する加速曲線特性データ111に基づいて、モータ101、ミッションケース102及び電源103を制御し、スピーカ装置40は、制御コマンド21に対応する音響効果112を出力することができる。これにより、運転者により多くの運転の楽しさを提供することができ、通行人に警告するのに十分な役割を提供することができる。
【0035】
さらに、各シミュレーション設定11は、抵抗設定113を含んでもよい。ホストコンピュータ50は、制御コマンド21に対応する抵抗設定に基づいて、加速制御ユニット60の抵抗を設定することで、ユーザは、特定のスーパーカーにより適した乗り心地を体験することができる。さらに、モータ制御モジュール30は、回転速度コントローラ31がモータ101の回転速度を制御し、動力伝達変速段コントローラ32が電気自動車の変速段(又はギア比と呼ぶことができる)を制御するように、詳細な項目についてさらに役割を分担してもよい。
【0036】
したがって、本発明に係る車両出力シミュレーションシステムは、従来技術の運転の楽しさの欠如及び通行人への危険性が高いという技術的問題を回避することができ、電気自動車100に安全性と運転の楽しさを両立させることができる。
【0037】
以上の説明は、本発明の好ましい具体例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないので、本発明の内容を適用した等価な変形例であれば、いずれも本発明の範囲に含まれる。また、当業者であれば、本発明の技術的範囲内において容易に思いつくことができる変形や修正も、以下本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【0038】
なお、本明細書の図面に図示する構造、比率、サイズ、要素の数などは、いずれも明細書に開示する内容に合せて、当業者が読んで理解しやすくするためのものに過ぎず、本発明で実施可能な限定条件を限定するためのものではないため、技術上の実質的な意味を持たず、如何なる構造の付加、比率関係の変更又はサイズの調整も、本発明で発生する効果及び達成可能な目的に影響がないという目的の下で、いずれも本発明で開示する技術内容でカバーされ得る範囲内に収まるものである。
【符号の説明】
【0039】
10…記憶モジュール
11…シミュレーション設定
12…自動運転設定
13…パフォーマンスモード設定
14…省エネモード設定
15…プリセットモード設定
20…制御パネル
21…制御コマンド
22…工場出荷時設定メニュー
23…スーパーカーシミュレーションメニュー
30…モータ制御モジュール
31…回転速度コントローラ
32…動力伝達変速段コントローラ
33…電源コントローラ
40…スピーカ装置
50…ホストコンピュータ
60…加速制御ユニット
70…ライトコントローラ
80…無線モジュール
100…電気自動車
101…モータ
102…ミッションケース
103…電源
104…発光ユニット
111…加速曲線特性データ
112…音響効果
113…抵抗設定
114…ライトデータ