(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145008
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】加工用砥石の研削面の修正方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/00 20060101AFI20220926BHJP
B24B 53/053 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B24B53/00 B
B24B53/053
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046248
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000150604
【氏名又は名称】株式会社ナガセインテグレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 幸泰
(72)【発明者】
【氏名】板津 武志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一人
【テーマコード(参考)】
3C047
【Fターム(参考)】
3C047AA04
3C047AA06
3C047AA15
3C047BB04
3C047BB15
(57)【要約】
【課題】高精度加工を可能にした加工用砥石を得ることができるようにすること。
【解決手段】加工用砥石101の軸線βが修正用砥石100の修正面110の径方向を指向するように、加工用砥石101が修正面110上に配置される。加工用砥石101及び修正用砥石100が加工用砥石101と同方向Qに回転される。研削面102の幅方向の中心線γから離れた部分においては、修正面110と研削面102との間に速度差が生じる。そして、この速度差は、研削面102が中心線γから離れるにつれて、大きくなる。この速度差により、中心線γ以外の部分においては、研削面102に対して引き剥がし力が生じる。この引き剥がし力により、研削面102の修正が行われる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸線を中心に回転されるとともに、前記第1軸線と直交する面内に位置する修正面を有した回転修正体を用い、前記第1軸線と直交する方向に延びる第2軸線を中心に回転する砥石の外周における研削面を前記修正面に当てて、その研削面を修正する砥石の研削面の修正方法であって、
前記研削面の修正を前記修正面の180度離れた2箇所で行う砥石の研削面の修正方法。
【請求項2】
各箇所の前記修正において、前記回転修正体の回転方向を切り換える請求項1に記載の砥石の研削面の修正方法。
【請求項3】
前記回転修正体を前記砥石に追随回転させる請求項1または2に記載の砥石の研削面の修正方法。
【請求項4】
平行な第1軸線を中心に同方向に回転されるとともに、前記第1軸線と直交する面内に位置する修正面を有した一対の回転修正体を用い、前記第1軸線と異なる方向に延びる第2軸線を中心に回転する砥石の研削面を前記修正面に当てて、その研削面を修正する砥石の研削面の修正方法であって、
前記修正を前記各修正面の軸線を通る反対側の2箇所で行う請求項2に記載の砥石の研削面の修正方法。
【請求項5】
前記修正を両回転修正体の軸線間の位置で行う請求項4に記載の砥石の研削面の修正方法。
【請求項6】
前記第1軸線と第2軸線とは直角をなす請求項4または5に記載の砥石の研削面の修正方法。
【請求項7】
両回転修正体の回転方向を異なる方向とする請求項5または6に記載の砥石の研削面の修正方法。
【請求項8】
両回転修正体を前記砥石に追随回転させる請求項4~7のうちのいずれか一項に記載の砥石の研削面の修正方法。
【請求項9】
第1軸線を中心に回転されるとともに、前記第1軸線と直交する面内に位置する修正面を有した一対の回転修正体を用い、回転される砥石をその幅方向の中心線が前記回転修正体の軸線を通る前記修正面の半径線上に位置するように配置し、その位置において前記砥石の外周の研削面の修正を行う砥石の研削面の修正方法。
【請求項10】
第1軸線を中心に回転されるとともに、前記第1軸線と直交する面内に位置した修正面を有した一対の回転修正体を用い、回転される砥石をその幅方向の中心線が前記修正面の半径線上に位置することなく、半径線と平行な線上に位置するように配置し、その位置において前記砥石の外周の研削面の修正を行う砥石の研削面の修正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転される加工用砥石の外周における研削面の修正(ドレッシングやツルーイング)を行うようにした加工用砥石の研削面の修正方法に関するものである。ここで、ドレッシングは、前記研削面の目立てを指し、ツルーイングは研削面の整形を指す。そして、ドレッシングとツルーイングとを総称して、修正と称する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、修正用砥石(ドレッシング砥石)により加工用砥石の研削面を修正する方法が開示されている。すなわち、特許文献1においては、
図17(a)~(c)に示すように、軸線αを中心に回転される修正用砥石100の上面の修正面110に対して加工用砥石101の外周の研削面102が回転されながら当てられる。加工用砥石101の軸線βは前記修正用砥石100の軸線αに対して直角方向に延びる。そして、加工用砥石101が修正用砥石100の修正面110の内径側と外径側との間において移動されて、修正(ドレッシング)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の修正方法においては、
図18に示すように、修正用砥石100の修正面110及び加工用砥石101の研削面102が傾斜状に偏摩耗される。これは、修正用砥石100の上面の修正面110の周速度が外径側ほど速くなるために、その外径側ほど削り取り量が多くなるためである。
【0005】
このように、加工用砥石101の研削面102の形状が変形してしまうと、加工用砥石101を用いた研削加工を高精度に行うことが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、第1軸線を中心に回転されるとともに、前記第1軸線と直交する面内に位置する修正面を有した回転修正体を用い、前記第1軸線と直交する方向に延びる第2軸線を中心に回転する砥石の外周における研削面を前記修正面に当てて、その研削面を修正する砥石の研削面の修正方法であって、前記修正を前記修正面の180度離れた2箇所で行うことを特徴とした。
【0007】
本発明は、第1軸線を中心に回転されるとともに、前記第1軸線と直交する面内に位置する修正面を有した一対の回転修正体を用い、回転される砥石をその幅方向の中心線が回転修正体の軸線を通る修正面の半径線上に位置するように配置し、その位置において前記砥石の外周の研削面の修正を行うことを特徴とした。
【0008】
本発明は、第1軸線を中心に回転されるとともに、前記第1軸線と直交する面内に位置する修正面を有した一対の回転修正体を用い、回転される砥石をその幅方向の中心線が前記修正面の半径線上に位置することなく、半径線と平行な線上に位置するように配置し、その位置において前記研削面の修正を行うことを特徴とした。
【0009】
以上の方法によれば、砥石に偏摩耗が生じることはなく、研削面をその軸線を中心とした円筒面形状に修正できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、砥石の外周の研削面を円筒形状に修正できるため、高精度加工を達成可能にした加工用の砥石を得ることができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図8】修正用砥石に対する動力の伝達系を示す断面図。
【
図10】修正システムの電気的構成を示すブロック図。
【
図17】従来の修正方法を示すものであって、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は正面図。
【
図18】従来の修正方法における結果を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図10に示すように、本実施形態において、研削盤11と修正装置21とは修正システム1を構成している。なお、本実施形態において、修正を示すドレッシングとツルーイングとは、修正システム1を用いて実行されるものである。この場合、後述の加工用砥石101の結合材105の硬度や修正用砥石100の砥粒106の硬度、あるいは修正のための切り込み量など、各種の条件に応じて加工態様が決定される。すなわち、これらの条件の相違により、砥粒106の目立てであるドレッシングであるか、加工用砥石101の研削面102の整形であるツルーイングであるかが決定される。
【0013】
(研削盤11)
図1及び
図10に示すように、研削盤11のベッド12の上面にはテーブル13がX軸モータ131により左右方向であるX軸方向に移動可能に支持されている。このテーブル13の上面にワーク200が支持される。ベッド12上にはコラム14がZ軸モータ141により前後方向であるZ軸方向に移動可能に支持されている。このコラム14上には、回転駆動モータ161により、Z軸方向に延びる軸線βを中心として回転される回転軸16が支持されている。回転軸16には加工用砥石101が固定支持されている。加工用砥石101は、回転軸16とともにY軸モータ161により上下方向であるY軸方向に移動される。
【0014】
図2に示すように、加工用砥石101においては、円盤状の本体103の外周に砥粒層104が一体化されている。この砥粒層104は、金属製の結合材105によって砥粒106を保持することによって構成されている。
【0015】
図10に示すように、研削盤11の前記各モータ131,141,151,161の動作は、研削盤11の制御装置17によって制御される。キーボードなどの操作部18は、手動操作されて、制御のための信号を制御装置17に送る。
【0016】
(修正装置21)
修正装置21は前記テーブル13上に設置される。
図1,
図3及び
図4に示すように、修正装置21のケーシング22には軸24によりカップ状の砥石よりなる回転修正体としての修正用砥石100が配置されている。前記軸24の軸線(第1軸線)αは、修正装置21がテーブル13上に設置された状態においてY軸方向に延びる。この状態において、修正用砥石100の上面がX軸方向及びZ軸方向に平行な面内に位置する修正面110になっている。修正用砥石100は、
図10に示すモータ25によって回転される。モータ25は制御装置26によって回転数などの動作が制御される。操作盤などの操作部27は手動操作されて、制御装置26に対して制御のための信号を出力する。
【0017】
修正装置21は、その底面にマグネット(図示しない)を有し、そのマグネットの磁気力によって修正装置21はテーブル13の上面に固着される。修正装置21の固着位置は任意であって、例えば、ワーク200の設置位置の後部側の位置が選ばれる。
【0018】
(第1実施形態の作用)
次に、本実施形態の研削面102の修正方法を説明する。
図5は加工用砥石101の研削面102の修正工程の状態を示すものである。
【0019】
加工用砥石101の外周面である研削面102の修正に際しては、加工用砥石101が第1位置301に配置される。すなわち、この状態では、修正用砥石100の軸線αの方向の上方から見て、加工用砥石101の軸線(第2軸線)βが修正用砥石100の修正面110の径方向を指向するようにする。
図5に実線で示すように、この第1位置301は修正用砥石100のZ軸方向の後端部側に位置する。従って、軸線αと軸線βとは直交し、直角をなす。この状態において、加工用砥石101が一方向Pに回転されるとともに、修正用砥石100が第1位置301において加工用砥石101と同方向Qに回転される。この場合における同方向とは、加工用砥石101の研削面102と修正用砥石100の修正面110とが接した場合、それらの接触部がほぼ同方向に移動することを指す。
【0020】
また、この場合、初期は、加工用砥石101の研削面102の速度と、修正用砥石100の修正面110における研削面102との接触部の速度とが同速度で回転されるようにする。この場合、修正用砥石100のモータ駆動は、前記のように初期のみでよい。そして、モータ駆動を停止すれば、修正用砥石100は、加工用砥石101との接触を介して、加工用砥石101に追随回転される。そして、加工用砥石101を実線及び2点鎖線で示すように、Z軸方向に適当回数往復移動させる。この場合、研削面102のZ軸方向の移動により、研削面102に対して引き剥がし力が生じる。この引き剥がし力により、研削面102の修正が行われる。また、修正用砥石100の追随回転状態においては、研削面102の幅方向の中心線γから離れた部分においては、修正面110と研削面102との間に速度差が生じる。そして、この速度差は、中心線γから離れるにつれて、大きくなる。この速度差により、研削面102に対してねじれ方向の引き剥がし力が生じる。従って、この引き剥がし力によっても、研削面102の修正が行われる。
【0021】
次いで、加工用砥石101を修正用砥石100の修正面において第1位置301から180度離れた反対側の第2位置302へ軸線βがZ軸上に位置した状態でZ軸に沿って移動させる。この場合、第2位置302に移動した修正初期に、モータ駆動により、修正用砥石100の回転方向を加工用砥石101の回転方向である逆の方向Rに切り換える。この場合も、前記と同様に加工用砥石101と修正用砥石100との接触初期にその接触部の回転速度を同速度とする。その後は、修正用砥石100のモータ駆動を停止する。そして、その修正面における第2位置302において同様に加工用砥石101を回転させながらZ軸方向に往復動させる。従って、第2位置302において第1位置301と同様な修正が行われる。なお、研削面102の修正量が少ないのであれば、第1位置及び第2位置におけるZ軸方向における移動は、往復でなくてもよい。また、研削面102の移動方向が
図5の場合の逆方向であれば、修正用砥石100の回転方向Q,Rも
図5とは逆方向になる。
【0022】
なお、修正用砥石100と加工用砥石101との双方を連続してモータ駆動してもよい。この場合、両者の速度差がそれほど大きくないことが好ましい。
このようにすれば、第1位置301及び第2位置302において研削面102に対する修正面110との位置関係が逆転する。このため、第1位置301の修正において、研削面102に傾斜による偏摩耗が生じたとしても、第2位置302の修正においてその偏摩耗が修正される。従って、研削面102は、軸線βを中心とした高精度な円筒面となるように修正(ドレッシングまたはツルーイング)される。
【0023】
(第1実施形態の効果)
本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)加工用砥石101の研削面102をその軸線βを中心とした円筒面に修正できて、偏摩耗を回避できる。このため、この加工用砥石101を用いたワーク200の研削加工を高精度に実行できる。
【0024】
(2)修正用砥石100により、加工用砥石101の研削面102のツルーイングやドレッシングなどの修正を行うことができる。このため、従来の研削装置とは異なり、ツルーイング専用の装置及びドレッシング専用の装置が不要になる。
【0025】
(3)回転される修正用砥石100の修正面110における広い面積においてドレッシングなどの修正が実行される。このため、先鋭状の単一のドレッサによってピンポイント的にドレッシングを行う場合と比較して、ドレッシングを短時間で効率よく行うことが可能になる。
【0026】
(4)ツルーイングとドレッシングとを連続して行う場合、ツルーイング装置とドレッシング装置とが離隔して単独で装備されている研削盤と比較して、同じ位置において両作業を行うことができる。このため、両作業間のタイムラグを小さくできて、連続作業を能率よく行うことができる。
【0027】
(5)加工用砥石101の研削面102は、ねじられて引き剥がされるようにして修正される。従って、加工用砥石101の砥粒結合材105が金属のような高硬度のものであっても、研削面102を効率よく、かつ高精度に修正できる。
【0028】
(6)修正用砥石100の回転初期にその修正用砥石100を加工用砥石101の回転速度とほぼ同じ速度となるように、モータ駆動した後に、モータ駆動を停止するようにした。このため、修正用砥石100は、加工用砥石101の回転に追随して回転される。従って、修正用砥石100の回転速度をインバータ制御するように構成した場合、インバータに不具合が生じることを未然に防止できる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の第2実施形態及び変更例においては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0030】
本実施形態においては、修正用砥石100が一対配置されている。すなわち、
図6~
図8に示すように、ケーシング22には、1基のモータ25によって回転される一対の修正用砥石100が設けられている。モータ25の軸261及び修正用砥石100の軸24にはそれぞれプーリ30が設けられている。ケーシング22には軸33によりアイドルプーリ32が設けられている。そして、
図7及び
図8に示すように、モータ25のプーリ30から両修正用砥石100のプーリ30及びアイドルプーリ32を周回するように、環状索としてのベルト31が掛装されている。このため、修正用砥石100が互いの逆方向に回転される。この構成において、一対の修正用砥石100は、近接して配置されている。この近接間隔は、修正用砥石100どうしが接触していなければ狭いほうが好ましく、加工用砥石101の幅より狭いことが好ましい。両修正用砥石100の軸線βは、Z軸方向線上に配置されている。
【0031】
(第2実施形態の作用)
次に、第2実施形態の作用を説明する。
本実施形態において、修正動作を行うための第1位置301は一方の修正用砥石100において他方の修正用砥石100側におけるZ軸方向の端部に設定される。第2位置302は、他方の修正用砥石100の前記第1位置301と近接した位置に設定される。つまり、第1位置301及び第2位置302は、両修正面110の軸線α上に位置し、両軸線α間の2箇所の位置において、修正面110の互いの反対側に位置する。
【0032】
図9に示すように、加工用砥石101の研削面102の修正に際しては、第1位置301及び第2位置302において両修正用砥石100を加工用砥石101の回転方向を同方向となるように回転させる。この状態で、加工用砥石101を軸線βを通るZ軸線上における第1位置301と第2位置302において、修正用砥石100の径方向に往復動させる。修正量が少ない場合は、往復させる必要はない。このようにすれば、前記実施形態と同様に加工用砥石101の研削面102を修正できる。つまり、研削面102に対して、両修正用砥石100の修正面110の外径側が研削面102の幅方向反対側に位置するため、研削面102の偏摩耗を防ぐことができる。
【0033】
この場合においても、修正初期に両修正用砥石100をモータ駆動させ、その後、モータ駆動を停止させれば、修正用砥石100は追随回転される。そして、一方の修正用砥石100の駆動回転や追随回転がベルト31を介して他方の修正用砥石100に伝達される。このため、両修正用砥石100を同時に同速度で回転させることができる。
【0034】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態においては、前記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果がある。
(7)一対の修正用砥石100を第1,第2位置301,302において同時に逆方向に回転させるため、加工用砥石101を第1,第2位置301,302間において移動させる際、修正用砥石100の回転方向を切り換える必要がない。従って、修正作業を短時間で能率よく遂行できる。
【0035】
(8)両修正用砥石100の最接近部の外周の間隔が加工用砥石101の幅より狭いため、加工用砥石101が修正用砥石100間に位置しても、少なくとも一方の修正用砥石100に接触し続ける。しかも、両修正用砥石100はベルト31を介して一体的に回転される。このため、修正用砥石100のモータ駆動が停止されていても、加工用砥石101が回転している一方の修正用砥石100から同速度で回転している他方の修正用砥石100に円滑に移行する。
【0036】
(変更例)
前記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。そして、各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・
図11及び
図12に示すように、前記第1実施形態の構成において、加工用砥石101をその中心線γが修正用砥石100の軸線αを通る修正面110の半径線上に位置するように配置する。そして、
図12に示すように、実線及び2点鎖線で示すように、加工用砥石101を前記半径線び沿って往復移動させる。この場合、修正用砥石100の回転方向は、切り換えることなく、Q方向またはR方向に継続回転させる。また、この場合、
図13に実線及び2点鎖線で示すように、示すように、加工用砥石101を軸線αを跨いで移動させてもよい。さらに、この場合、修正用砥石100のモータ駆動を停止することなく、継続し、回転方向は切り換えることは、必ずしも必要ない。この方法においても、研削面102の偏摩耗を回避できる。
【0038】
・
図14に示すように、加工用砥石101を軸線αを跨いだ第1位置301と第2位置302との間を中心線γの延長方向に移動させて修正動作させること。すなわち、この場合、第1及び第2位置301,302において、加工用砥石101はその中心線γが修正面110の半径線上に位置することなく、半径線と平行な線上に位置する。この場合も、修正用砥石100のモータ駆動を停止することなく、そのモータ駆動を継続し、回転方向は切り換えることは、必ずしも必要ない。なお、修正用砥石100及び加工用砥石101が
図14の位置関係に配置された状態において、加工用砥石101を第1位置301及び第2位置302の双方において中心線γと平行に移動させてもよい。この場合は、修正用砥石100のモータ駆動を停止することなく、継続し、第1位置301及び第2位置302において回転方向を切り換えることが好ましい。この方法においても、研削面102の偏摩耗を回避できる。
【0039】
・
図15に示すように、前記第2実施形態の構成において、加工用砥石101の中心線γが一対の修正用砥石100の軸線αを通る半径線上に位置するように配置する。そして、実線及び2点鎖線で示すように、加工用砥石101を両修正用砥石100の軸線αを跨いで、第1位置301と第2位置302との間において移動させる。この場合においても、修正用砥石100の回転方向は、切り換えることなく、Q方向またはR方向に継続回転させる。この方法においても、研削面102の偏摩耗を回避できる。
【0040】
・
図16に示すように、加工用砥石101を両修正用砥石100の軸線α間の位置の外側に第1位置301及び第2位置302に設定する。そして、加工用砥石101を両修正用砥石100間の間隔部分を介して第1位置301及び第2位置302の間において
図16の斜め方向に移動させること。この場合、第1及び第2位置301,302において、加工用砥石101はその中心線γが修正面110の半径線上に位置することなく、半径線と平行な線上に位置する。この場合も、修正用砥石100のモータ駆動を停止することなく、継続し、回転方向は切り換えることは、必ずしも必要ない。この方法においても、研削面102の偏摩耗を回避できる。
【0041】
・修正後の加工用砥石101の研削面102をカメラで撮影して画像を取得し、その画像とあらかじめ設定された基準画像と比較して、研削面102の状況を自動的に評価すること。そして、研削面102の修正が所定にレベルに達したときに、修正が終了されるようにすること。
【0042】
・両修正用砥石100間の間隔を加工用砥石101の幅より広くすること。この場合は、修正用砥石100の回転においてモータ駆動を停止することなく、継続することが好ましい。
【0043】
・第2実施形態において、ベルト31を用いた回転連動構成を省略すること。この構成において、両修正用砥石100の最接近部の外周の間隔が加工用砥石101の幅より狭ければ、加工用砥石101が修正用砥石100間に位置しても、少なくとも一方の修正用砥石100に接触し続ける。このため、加工用砥石101が一方の修正用砥石100から他方の修正用砥石100に移行する際に、他方の修正用砥石100の加工用砥石101の追随回転が開始される。
【0044】
・第2実施形態において、第1位置301及び第2位置302を、両修正用砥石100の修正面110の軸線α上に位置において、両軸線α間の位置の外側2箇所において互いの反対側に位置するようにすること。言い換えれば、第1位置301及び第2位置302を、両軸線α間の部分の外側に位置させること。
【0045】
・加工用砥石101を第1位置301及び第2位置302などの位置において、動かすことなく、定位置に保持すること。このようにしても、研削面102の偏摩耗を回避できる。ただし、この場合は、修正用砥石100として、摩耗しにくいものを用いることが好ましい。
【0046】
・前記第1,第2実施形態においては、修正初期にのみ修正用砥石100をモータ駆動としたが、修正初期から修正終期までモータ駆動とすること。
・回転修正体として、修正用砥石100に代えて、修正面110にローレットや多数の放射方向に延びる溝が形成された金属製の円盤を用いること。
【0047】
・回転修正体として、ステンレススチールの生材などの粘性に富んだ金属を用いること。
(他の技術的思想)
前記第1,第2実施形態及び変更例から把握される技術的思想は以下のとおりである。
【0048】
(A)加工用砥石を有する研削盤と、その研削盤に装着され、前記加工用砥石の研削面を修正する回転修正体を有する修正装置とを有する加工用砥石の研削面の修正システムにおいて、前記加工用砥石の研削面の周速度と、前記回転修正体の修正面の周速度とを同方向に同速度で回転させる制御手段を設けた加工用砥石の研削面の修正システム。
【0049】
(B)前記回転修正体が一対設けられ、その両回転修正体は環状索を介して連動される前記(A)項に記載の修正装置。
(C)前記回転修正体間の間隔を前記両加工用砥石間の幅より狭くした前記(B)項に記載の修正装置。
【符号の説明】
【0050】
11…研削盤
100…修正用砥石
101…加工用砥石
102…研削面
110…修正面
α…軸線
β…軸線
γ…中心線
Q…回転方向
R…回転方向