(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145060
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】加工処理システム
(51)【国際特許分類】
B26F 1/00 20060101AFI20220926BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B26F1/00 A
B26F1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046309
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】大木 豊
【テーマコード(参考)】
3C060
【Fターム(参考)】
3C060AA01
3C060AA03
3C060AA04
3C060AA10
3C060AA16
3C060BA03
3C060BC26
3C060BD01
3C060BE10
(57)【要約】
【課題】加工型の抜き差しが可能で比較的小型な加工装置を備える加工処理システムを提供する。
【解決手段】加工処理システムは、搬入されたシートに加工型を用いて所定の加工を施す加工装置と、シートの搬送方向において加工装置に隣接する隣接装置と、を備える。隣接装置の少なくとも一部は、加工装置と搬送方向に隣接する隣接位置と、加工装置の搬送方向における抜き差し口180から加工型を抜き差し可能となる退避位置であって平面視において隣接位置から離間した退避位置との間を移動可能に構成されている。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されたシートに加工型を用いて所定の加工を施す加工装置と、
シートの搬送方向において前記加工装置に隣接する隣接装置と、
を備え、
前記隣接装置の少なくとも一部は、前記加工装置と前記搬送方向に隣接する隣接位置と、前記加工装置の前記搬送方向における抜き差し口から前記加工型を抜き差し可能となる退避位置であって平面視において前記隣接位置から離間した退避位置との間を移動可能に構成されている加工処理システム。
【請求項2】
前記退避位置は、前記少なくとも一部が前記搬送方向において前記抜き差し口と対向しない位置である請求項1に記載の加工処理システム。
【請求項3】
前記少なくとも一部の前記隣接位置と前記退避位置との間の移動において、前記少なくとも一部をガイドするとともに支持するガイド機構を備える請求項1または2のいずれかに記載の加工処理システム。
【請求項4】
前記少なくとも一部に連結され、前記少なくとも一部が前記退避位置に移動すると前記隣接位置に移動し、抜き差しされる加工型をガイドする加工型ガイドを備える請求項1から3のいずれかに記載の加工処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下方向に対向配置された移動定盤及び対向定盤と、移動定盤を対向定盤に向けて移動させる移動機構と、移動機構を制御する制御手段と、を備え、移動機構が、移動定盤を対向定盤に近づけることで、移動定盤と対向定盤との一方に取り付けられた抜型によってシートを所定の形状に打ち抜く打抜装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような従来の打抜装置では、シートが搬送される搬送方向に対して直交する幅方向から抜型を抜き差ししていた。このため、打抜装置のフレームの幅方向に抜型を抜き差しするための開口が必要となり、強度確保のために装置が大型化していた。
【0005】
このような課題は、抜型によってシートを所定の形状に打ち抜く打抜装置に限定されず、加工型を用いてシートに所定の加工を施す他の種類の加工装置でも生じうる。
【0006】
本発明はこうした状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、加工型の抜き差しが可能で比較的小型な加工装置を備える加工処理システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の加工処理システムは、搬入されたシートに加工型を用いて所定の加工を施す加工装置と、シートの搬送方向において加工装置に隣接する隣接装置と、を備える。隣接装置の少なくとも一部は、加工装置と搬送方向に隣接する隣接位置と、加工装置の搬送方向における抜き差し口から加工型を抜き差し可能となる退避位置であって平面視において隣接位置から離間した退避位置との間を移動可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加工型の抜き差しが可能で比較的小型な加工装置を備える加工処理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】手前フレームと奥フレームとを非表示としたダイカッターの正面図である。
【
図6】手前フレームと奥フレームとを非表示としたダイカッターの背面図である。
【
図7】手前フレームと奥フレームとを非表示としたダイカッターの斜視図である。
【
図11】円柱部が下死点から上死点まで移動するように昇降伝達機構を駆動させたときの昇降伝達ロッドと円柱部との変位を示す説明図である。
【
図15】偏心シャフトの回転位置の違いによる偏心軸部の変位量の違いを示す説明図である。
【
図16】ベルト支持機構を追記したダイカッターの上流側側面の模式図である。
【
図18】搬送ベルト対と移動定盤との背面図である。
【
図20】シート材搬送中のダイカッターの説明図である。
【
図21】搬送方向下流側から見たセパレータとその周辺の斜視図である。
【
図25】セパレータとその周面を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、重複した説明は適宜省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
以下、本発明に係る打抜装置と、この打抜装置を備えた打抜処理システムとの一実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る打抜処理システムであるダイカットシステム500の概略斜視図である。ダイカットシステム500は、被加工物であるシート材の搬送方向上流側からシートフィーダー200、レジスト装置300、ダイカッター100、セパレータ400及びスタッカー480を備える。
【0013】
ダイカットシステム500では、被加工物供給手段であるシートフィーダー200が、載置棚に載置されたシート材をレジスト装置300に向けて供給する。被加工物位置補正手段であるレジスト装置300は、シート材の搬送方向に平行な方向(図中のX軸方向)に対するシート材の傾きや、幅方向(図中のY軸方向)のシート材の位置を調整し、ダイカッター100に向けてシート材を搬送する。打抜手段であるダイカッター100は、レジスト装置300から供給されたシート材を一旦停止し、詳細は後述する固定定盤と移動定盤とで挟むことでシート材を固定定盤に装着された抜型の形状に打ち抜く処理を行う。ダイカッター100は、その上面に操作パネル101を備える。セパレータ400は、打抜処理が施されたシート材を成果物と余剰部とに分離する。スタッカー480は、分離された成果物を集積する。
【0014】
ダイカッター100について説明する。
【0015】
図2~
図7は、外装カバーを取り外した状態のダイカッター100の説明図である。
図2は、ダイカッター100の正面図である。
図3は、
図2中の右側から見たダイカッター100の上流側側面図、
図4は、
図2中の左側から見たダイカッター100の下流側側面図である。
図5は、
図2の正面図から手前フレーム5と奥フレーム6とを非表示としたダイカッター100の正面図であり、
図6は、
図5に示す状態の手前フレーム5と奥フレーム6とを非表示としたダイカッター100の背面図である。また、
図7は、手前フレーム5と奥フレーム6とを非表示としたダイカッター100の斜視図である。
図8は、
図3に示すダイカッター100の上流側側面図を模式的に示した説明図である。
【0016】
図2~
図7に示すように、ダイカッター100は、装置のフレーム(5,6,7等)に対して上下動可能な移動定盤1と、移動定盤1の上方に対向配置され、装置のフレームに対して固定された固定定盤2と、を備える。
ダイカッター100は、金属製のフレーム構造として、架台フレーム7、手前フレーム5、奥フレーム6、上流ガイドフレーム21及び下流ガイドフレーム23を備える。架台フレーム7は、移動用のキャスターと、移動防止固定機構とを有する。手前フレーム5及び奥フレーム6は、板状部材であって、その下部が架台フレーム7に固定されている。上流ガイドフレーム21及び下流ガイドフレーム23は、装置の幅方向に延在し、その両端が手前フレーム5と奥フレーム6とに固定された角棒状の部材である。
固定定盤2は、手前フレーム5及び奥フレーム6の上部に固定されている。また、
図8に示すように、切断刃81を有する抜型8は、ステンレス板82を挟んで固定定盤2の下面に固定されている。一方、移動定盤1の上面には面板9が固定されている。
【0017】
ダイカッター100は移動定盤1を上下動させる移動機構として、四つの昇降伝達機構4(4a、4b、4c、4d)と、四つのプレスモータ3(3a、3b、3c、3d)と、を備える。移動定盤1は、その下部に、軸方向が搬送方向に平行な四つの円柱部10(10a、10b、10c、10d)が固定されている。昇降伝達機構4は、入力された回転運動を上下方向の往復運動に変換するクランク機構の構成を備え、プレスモータ3が回転駆動し、昇降伝達機構4が昇降運動を円柱部10に伝達することで、移動定盤1が上下方向に移動する。
図2~
図7は、四つ全ての円柱部10が昇降伝達機構4の下死点に位置する状態であり、移動定盤1の可動範囲で、移動定盤1が固定定盤2から最も離れた状態の説明図である。
図8は、移動定盤1が上部停止位置まで上昇し、抜型8の切断刃81によってシート材Sを打ち抜いた状態の説明図である。
【0018】
移動定盤1は、
図3に示すように、搬送方向上流側の面の幅方向の中央部に、図中のX軸に平行で搬送方向上流側に突き出した上流側被ガイド軸11を備える。また、移動定盤1は、
図4に示すように、搬送方向下流側の面の幅方向の中央部に、図中のX軸に平行で搬送方向下流側に突き出した下流側被ガイド軸12を備える。上流側被ガイド軸11及び下流側被ガイド軸12には上流側被ガイドベアリング11a及び下流側被ガイドベアリング12aが設けられている。
【0019】
図3に示すように、上流ガイドフレーム21の幅方向の中央部には、上流側ガイド部22を備える。上流側ガイド部22は、搬送方向下流側に突き出し、上下方向に延在する二本の上流側ガイドレール22aを備え、二本の上流側ガイドレール22aで上流側被ガイドベアリング11aを挟むように係合することで、上流側被ガイド軸11の幅方向の移動を規制する。
また、
図4に示すように、下流ガイドフレーム23の幅方向の中央部には、下流側ガイド部24を備える。下流側ガイド部24は、搬送方向上流側に突き出し、上下方向に延在する二本の下流側ガイドレール24aを備え、二本の下流側ガイドレール24aで下流側被ガイドベアリング12aを挟むように係合することで、下流側被ガイド軸12の幅方向の移動を規制する。
上流側ガイド部22及び下流側ガイド部24によって上流側被ガイド軸11及び下流側被ガイド軸12の幅方向の移動を規制することで、移動定盤1が上下動する際の移動定盤1の幅方向の変位を防止できる。
【0020】
ダイカッター100は、移動定盤1に対して幅方向の奥側にシート材Sを搬送する搬送ベルト対(14、15)を備える。また、この搬送ベルト対の駆動源であるベルト駆動モータ13と、駆動力を伝達するベルト駆動伝達機構16とを備える。ベルト駆動モータ13を駆動することで、下搬送ベルト14と上搬送ベルト15とが同じ表面移動速度で無端移動し、下搬送ベルト14と上搬送ベルト15とによってシート材Sの幅方向の一方の端部を挟んで搬送する。
また、ベルト駆動モータ13を駆動すると、入口ローラ対20の入口駆動ローラ20aも回転する。入口ローラ対20は、入口駆動ローラ20a及び入口従動ローラ20bによってシート材Sの幅方向の複数箇所を挟んで搬送する。
【0021】
下搬送ベルト14と上搬送ベルト15とは複数の張架ローラに張架される。この張架ローラのうちの一部が、下搬送ベルト14の上部張架面と上搬送ベルト15の下部張架面との間でシート材Sを挟む面を水平に形成するように、下搬送ベルト14と上搬送ベルト15との経路を規定する。このシート材Sを挟む面を形成する張架ローラは、上下動可能なローラ保持部材に支持されている。
打抜処理を行う際には、移動定盤1と固定定盤2との間までシート材Sを搬送し、下搬送ベルト14と上搬送ベルト15を停止する。移動定盤1は、幅方向の奥側に突き出した突出部を備え、移動定盤1が上昇すると、突出部がローラ保持部材を押し上げて、ローラ保持部材が保持する張架ローラによって形成される張架面を移動定盤1とともに上昇させる構成となっている。これにより、移動定盤1の上昇に合わせて、加工対象のシート材Sを固定定盤2に向けて上昇させることができる。
【0022】
搬送ベルト対(14、15)で挟んだシート材Sを上下方向に移動させる構成としては、ベルト駆動機構(ベルト駆動モータ13、ベルト駆動伝達機構16)を含めて、搬送ベルト対(14、15)を上下方向に移動可能な保持ユニットに保持させてもよい。この場合、移動定盤1の突出部でベルト駆動機構を含めた搬送ベルト対を保持する保持ユニットを押し上げる構成となる。
【0023】
図9は、ダイカッター100のブロック図である。
ダイカッター100の制御部30は、操作パネル101や後端検知センサ25からの出力に基づいて、四つのプレスモータ3(3a~3d)とベルト駆動モータ13との駆動を制御する。本実施形態のダイカッター100では、制御部30が、四つのプレスモータ3(3a~3d)をそれぞれ独立して駆動制御可能となっている。
【0024】
次に、打抜処理を行う際の準備作業について説明する。
シートフィーダー200では、打抜加工を施すシート材Sの束を載置棚に載置する。
【0025】
ダイカッター100では、抜型8を固定定盤2にセットし、面板9を移動定盤1にセットする。抜型8や面板9をセットする際には、詳しくは後述するようにセパレータ400の可動部を、手動または電動で退避位置に移動させる。これにより、固定定盤2と移動定盤1との間のシート材Sを通過させる空間の出口側が開かれ、外部からのアクセスが可能となる。
【0026】
固定定盤2の下方には、抜型8を搬送方向に沿う方向にスライドさせることができる型スライドガイドを備える。抜型8を装置本体の搬送方向下流側から固定定盤2の下方の空間に挿入することで、抜型8が型スライドガイドに沿って搬送方向の上流側に向けてスライドする。抜型8の挿入方向の先端が型突き当て板19に突き当たるまで抜型8を挿入し、型固定レバー17を引き下げて
図2等に示す状態にすることで、型固定部材18が抜型8を型突き当て板19に突き当て、且つ、抜型8を固定定盤2の下面に突き当てた状態でロックされる。これにより、抜型8を固定定盤2に対して固定する。
【0027】
抜型8についての情報を呼び出すためのバーコード等の識別子が抜型8に付与されている場合は、ハンディースキャナ等の読み取り手段で識別子を読み取った後に抜型8を固定定盤2にセットする。
【0028】
抜型8と面板9とをセットした後は、排出ユニットを所定の位置まで手動または電動で上昇させる。
【0029】
次に、操作パネル101や外部入力装置を用いてジョブ設定を行う。設定内容としては、シート材Sのサイズ、抜型8の切断刃81の高さ、抜型8のシートの厚さ、打抜回数、抜型基準位置及びシート基準位置等を挙げることができる。
ここで、抜型8のシートの厚さとは、抜型8の上面に固定されるステンレス板82と、このステンレス板82の上面に固定され、抜型8の切断刃81の配置が描かれた画像シートと、画像シートの上面を覆う保護シートと、の厚さの総和である。
抜型8は、その上面にステンレス板82、必要に応じシムテープが貼り付けられた画像シート、保護シートの順に積層した状態でダイカッター100に対して挿脱される。
【0030】
ステンレス板82は、抜型8の切断刃81が、面板9に押し上げられて抜型8の裏面(上面)から突き出すことを防止する部材である。画像シートは、抜型8の切断刃81の配置を確認できるものであり、切断刃81の配置から打抜圧が不足する箇所が分かる場合に、ムラ取り用のシムテープを画像シートの上面に貼り付けておくことができる。保護シートは、ムラ取り用のシムテープを貼った画像シートの上面を覆って保護するため、抜型8をセットするためにスライドさせた際に、ムラ取り用のシムテープが固定定盤2の下面と擦れて剥がれることを防止できる。
【0031】
上述した抜型基準位置及びシート基準位置は、打抜処理時のシート材Sの停止位置が、シート材S上の切断されるべき位置と抜型8の切断刃81の位置とが合致する停止位置となるようにするためにジョブ設定で入力する基準値である。
シート材Sは、搬送ベルト対(14、15)よりも上流側に配置された後端検知センサ25がシート材Sの後端を検知してから、所定の停止パルス数を取得した時点で停止し、その停止位置で打ち抜きが行われる。
ジョブ設定において、作業者は、抜型8の切断刃81のうちの任意の刃基準点を抽出し、その刃基準点から、抜型8の上流側端部までの距離である抜型基準位置を入力する。また、作業者は、打ち抜かれるシート材S上の切断されるべき位置のうち、上述した刃基準点に対応する被切断基準点を抽出し、その被切断基準点から、打ち抜かれるシート材Sの上流側端までの距離であるシート基準位置を入力する。
制御部30は、入力された抜型基準位置とシート基準位置とに基づいて、刃基準点と被切断基準点とが合致する停止位置でシート材Sが停止するように、上述した停止パルス数を算出し、設定する。この処理によって、打抜処理時の、抜型8の切断刃81と、シート材S上の切断されるべき位置とを一致させることができる。
【0032】
ダイカッター100で実行させるジョブが、シート材Sに筋を付ける筋付け処理を含む場合には、面板9に筋付け対向凹部材を固定する作業を行う。この作業では、筋付け対向凹部材の下面に両面テープを貼り、抜型8に設けられた筋付け凸部に対して筋付け対向凹部材とクリップとを取り付ける。この状態で筋付け凹部転写ボタンが操作されると、移動定盤1が打抜処理動作よりも少ない移動量で移動し、面板9が対向凹部材の下面に接触し、両面テープによって対向凹部材を面板9に貼り付ける。貼り付けた対向凹部材にはクリップが残っているので、移動定盤1から面板9を取り外し、不要部材であるクリップを除去し、面板9を移動定盤1に固定する。
【0033】
ダイカッター100では、上述した各種の設定の後、シート材Sを連続的に搬送して連続的に打抜処理を行う量産処理の前に、適切な打ち抜きが行えるように調整処理を行う。
【0034】
調整処理では、シート材Sを一枚だけ給送し、打抜処理を行うテスト給送を行う。テスト給送では、ダイカッター100による打抜処理は行うが、セパレータ400による分離処理を行わず、打抜処理の成果物と余剰部とが分離されていない状態のものをスタッカー480に排出する。
作業者が操作パネル101のテスト給送ボタンを押すことで、テスト給送を行い、テスト給送での成果物を作業者が見て各部の調整を行う。必要に応じて、テスト給送と調整操作とを繰り返す。
【0035】
調整操作は、操作パネル101で行うが、外部入力装置で行ってもよい。
調整する対象は、シート材Sの幅方向の位置、搬送方向に対するシート材Sの傾き(スキュー)、打ち抜き時に停止させたときのシート材Sの搬送方向の位置等である。また、本実施形態のダイカッター100は、詳細は後述するように、抜きムラを補正する調整も操作パネル101の操作で行うことができる。作業者は、このような調整操作を、テスト給送で得られたシート材Sを目視し、その抜きずれ、抜きムラに基づいて行う。
【0036】
調整処理後、作業者が操作パネル101で、処理枚数と処理速度を入力し、スタートボタンを押すことで、量産処理を実行する。量産処理は、入力された処理枚数の処理満了、エラーの検出または作業者によるストップボタンの操作によって停止する。
スタートボタン及びストップボタンを、操作パネル101だけでなく、シートフィーダー200の操作部にも設け、どちらからでも操作可能としてもよい。
【0037】
次に、ダイカッター100での打抜処理の動作について説明する。
操作パネル101のスタートボタンが押されると、シートフィーダー200からシート材Sが送られ、レジスト装置300でシート材Sの傾きや幅方向の位置が補正され、ダイカッター100にシート材Sが供給される。ダイカッター100では、ベルト駆動モータ13が駆動し、搬送ベルト対の下搬送ベルト14及び上搬送ベルト15が無端移動を開始する。そして、レジスト装置300から供給されたシート材Sを搬送ベルト対で挟んで搬送する。搬送ベルト対の上流側に配置された後端検知センサ25でシート材Sの後端を検知してから所定のタイミング経過後にベルト駆動モータ13を停止する。これにより、搬送ベルト対で挟んだシート材Sを移動定盤1と固定定盤2との間の打抜位置に停止させる。
【0038】
次に、四つのプレスモータ3を駆動し、移動定盤1を上昇させる。移動定盤1が上昇すると、移動定盤1の突出部が上述したローラ保持部材を押し上げ、搬送高さにあったシート材Sも上昇する。四つのプレスモータ3をそれぞれ所定の回転量だけ正転駆動して停止することで、移動定盤1が上部停止位置に到達し、シート材Sが抜型8の切断刃81の形状に打ち抜かれる。
【0039】
次に、四つのプレスモータ3が所定の回転量だけ逆転駆動して停止することで、移動定盤1が下降して下部停止位置に到達する。このとき、ローラ保持部材も移動定盤1とともに下降し、シート材Sが搬送高さまで下降する。この後、ベルト駆動モータ13の駆動を再開することで、打抜処理を施したシート材Sをセパレータ400に搬送するとともに、レジスト装置300から供給される後続のシート材Sを搬送ベルト対で挟んで打抜位置まで搬送する。
量産処理の際には、これらの動作を繰り返す。
【0040】
上述した説明では、ベルト駆動モータ13が停止後にプレスモータ3を正転駆動させ、プレスモータ3の逆転駆動を停止後にベルト駆動モータ13の駆動を再開させているが、モータの駆動タイミングとしてはこれに限るものではない。詰まり等のシート材Sの搬送不良が生じない範囲で、ベルト駆動モータ13の停止前にプレスモータ3を正転駆動させてもよいし、プレスモータ3の逆転駆動の停止前にベルト駆動モータ13の駆動を再開させてもよい。ベルト駆動モータ13の駆動期間とプレスモータ3の駆動期間とが重なる期間を設けることで、処理速度の向上を図ることができる。
【0041】
次に、打抜動作の際のプレスモータ3の動きについて説明する。
ベルト駆動モータ13の駆動時には、昇降伝達機構4が下部停止位置で待機するように、制御部30は、サーボモータであるプレスモータ3の回転位置が下部停止位置に対応した下基準回転位置となるように回転位置を制御する。
【0042】
後端検知センサ25でシート材Sの後端の通過を検知してから所定のタイミング経過後にベルト駆動モータ13を停止し、プレスモータ3の正回転を開始する。そして、昇降伝達機構4が上部停止位置となるように、プレスモータ3を上基準回転位置まで正回転させて停止する。
四つすべてのプレスモータ3の回転位置が上基準回転位置となり、正回転が停止すると、所定時間(20[msec(ミリ秒)])待機し、その後は、逆回転を開始する。四つのプレスモータ3は下基準回転位置まで逆回転すると停止する。
このように四つのプレスモータ3が、下基準回転位置から上基準回転位置まで回転する正回転と、上基準回転位置から下基準回転位置まで回転する逆回転と、を繰り返すことで、打抜処理を行う。
【0043】
図10は、四つの昇降伝達機構4のうちの一つの概略説明図である。
図10(a)は、X-Z平面の説明図、
図10(b)は、Y-Z平面の説明図、
図10(c)は、斜視図である。
図10に示すように、昇降伝達機構4は、回転出力ギヤ31と係合する回転入力ギヤ41と、回転入力ギヤ41ともに回転する偏心シャフト44と、架台フレーム7に固定され、偏心シャフト44の回転軸部441を回転可能に保持するシャフト保持部42と、を備える。さらに、昇降伝達機構4は、下部が偏心シャフト44の偏心軸部442と係合し、上部が移動定盤1の円柱部10と係合する昇降伝達ロッド43を備える。
【0044】
図11は、円柱部10が下死点から上死点まで移動するように、偏心シャフト44を回転軸部441の中心線周りで回転させたときの昇降伝達ロッド43と円柱部10との変位を示す説明図である。
図11(a)は、円柱部10が下死点に位置する状態の説明図、
図11(b)は、円柱部10が下死点と上死点との中間に位置する状態の説明図、
図11(c)は、円柱部10が上死点に位置する状態の説明図である。
【0045】
偏心シャフト44は、シャフト保持部42に係合する回転軸部441と、昇降伝達ロッド43に係合する偏心軸部442とで中心線の位置が異なる部材である。回転入力ギヤ41は、回転軸部441と中心線の位置が一致する。
【0046】
プレスモータ3が回転駆動して回転出力ギヤ31が回転すると、回転入力ギヤ41が回転し、回転入力ギヤ41が固定された偏心シャフト44は、回転軸部441の中心線周りで回転する。これにより、偏心軸部442が回転軸部441の中心軸周りを回転移動し、偏心軸部442に係合する昇降伝達ロッド43と、昇降伝達ロッド43に係合する円柱部10とが移動する。このとき、円柱部10を有する移動定盤1は、上流側ガイド部22及び下流側ガイド部24によって幅方向(
図11中の左右方向、Y軸に平行な方向)への移動が規制され、円柱部10も幅方向へは移動しない。このため、偏心シャフト44の回転によって偏心軸部442が上下方向及び幅方向に変位すると、
図11(b)に示すように、昇降伝達ロッド43が傾きつつ、円柱部10は上下方向のみに移動する。
【0047】
本実施形態の偏心シャフト44は、回転軸部441の中心軸と偏心軸部442の中心軸との偏心量が15[mm]である。このため、
図11(a)に示す下死点の状態から
図11(c)に示す上死点の状態まで偏心シャフト44を回転させたときの円柱部10の変位量である上下可動範囲Hは、30[mm]である。
【0048】
移動定盤1を移動させる移動機構は、複数の加圧部としての四箇所の円柱部10を、それぞれ独立して加圧する複数の加圧機構としての四つの昇降伝達機構4(4a~4d)と、これらをそれぞれ駆動する複数の駆動源としての四つのプレスモータ3(3a~3d)とを有する。
制御部30は、四つのプレスモータ3をそれぞれ独立して駆動を制御することができるため、上部停止位置に対応する上基準回転位置をプレスモータ3毎に変更することができる。これにより、上部停止位置のときの円柱部10の高さを個別に変更することができる。
【0049】
本実施形態のダイカッター100では、偏心シャフト44を一回転させるような制御を行わず、円柱部10が下死点と上死点との間に挟まれた範囲である下部停止位置と上部停止位置との間を行き来する制御を行う。
偏心シャフト44の回転角度θについて、円柱部10が下死点のときをθ=0[°]とすると、円柱部10が上死点のときはθ=180[°]となる。ここで、円柱部10が下部停止位置のときの偏心シャフト44の回転角度をθ1、円柱部10が上部停止位置のときの回転角度をθ2、とすると、以下の(1)式の関係が成り立つ。
0[°]≦θ1<θ2<180[°] ・・・・・・(1)
【0050】
このように、上部停止位置の回転角度を上死点の回転角度よりも小さくすることにより、円柱部10が上部停止位置のときの回転角度「θ2」の変更が可能となり、上部停止位置のときの円柱部10の位置を調整することが可能となる。
加圧する際には、昇降伝達機構4のホームポジションである円柱部10が下部停止位置に位置する状態に対応した下基準回転位置の状態の四つのプレスモータ3を同じ速度で正回転させる。そして、昇降伝達機構4の上部停止位置に対応した上基準回転位置まで回転したプレスモータ3から順次停止する。四つのプレスモータ3の「θ2」が互いに相違している場合は、下基準回転位置から上基準回転位置までの回転量が大きいプレスモータ3は他のプレスモータ3よりも停止タイミングが遅くなる。
これに対して、下基準回転位置から上基準位置までの回転量をそれぞれ算出し、回転量が大きいプレスモータ3ほど回転速度を速くして、全てのプレスモータ3について、下基準回転位置から上基準回転位置までの駆動時間が同じ時間になるように制御してもよい。
【0051】
プレスモータ3同士で上基準回転位置の回転量が互いに相違する場合に、上基準回転位置までの回転数が同じとなるように下基準回転位置の回転量を設定してもよい。これにより、プレスモータ3同士で上基準回転位置の回転量が互いに相違しても、下基準回転位置から上基準回転位置までの駆動時間及び回転速度を同じ値にできる。そして、打抜動作の際に、一部のプレスモータ3の駆動時間を長くしたり、回転速度を遅くしたりする必要がなく、打抜動作に要する時間の短縮を図れる。下基準回転位置の回転量の設定は、制御部30が自動的に算出してもよいし、使用者が入力してもよい。
【0052】
上述したように、本実施形態のダイカッター100は、上部停止位置に対応する上基準回転位置をプレスモータ3毎に変更することができ、上部停止位置のときの円柱部10の高さを個別に変更することができる。
このような構成により、一つのプレスモータ3の上基準回転位置のときの回転量を大きくする変更を行うことで、上基準回転位置のときの偏心シャフト44の回転角度「θ2」の値が大きくなり、上部停止位置のときの円柱部10の位置が高くなる。これにより、上部停止位置のときの位置が高くなった円柱部10の鉛直上方において、打抜処理時の面板9と抜型8との当接圧である打抜圧を高くすることができる。
【0053】
このように、打抜処理時の面板9と抜型8との当接圧を部分的に高くできる構成では、テスト給送の際に抜きムラが生じた箇所の下方の円柱部10の上部停止位置が高くなるように、プレスモータ3の上基準回転位置の回転量を大きくすることで、抜きムラを解消する補正が可能となる。
【0054】
すなわち、従来のダイカッターで、ムラ取り用のシムテープを抜型の裏に貼って調整していた打抜圧を、プレスモータ3の上基準回転位置の回転量を変更することで調整が可能となる。
例えば、テスト給送で出力したシート材Sの手前上流側に抜きムラが生じた場合、第一プレスモータ3aの上基準回転位置の回転量を大きくする設定を行う。これにより、第一昇降伝達機構4aの偏心シャフト44の回転角度「θ2」の値が大きくなり、上部停止位置のときの第一円柱部10aの位置を設定前よりも高くすることができる。そして、打抜処理時のシート材Sの手前上流側の打抜圧を上昇させることができ、抜きムラの解消を図ることができる。
【0055】
操作パネル101で抜きムラを補正する際には、操作パネル101上に四隅を示し、作業者が抜き圧を変更したい隅部を選択して、当該隅部の抜き圧を変更する画面を表示する。
図12は、操作パネル101で抜きムラの補正を行う「抜き高さ調整」の操作パネル101の表示画面(抜き高さ調整画面)の説明図である。
抜き高さ調整は、テスト給送を行った成果物に対して、抜きが不足している箇所の加圧量を大きくする調整の際に利用する。本実施形態では四つのプレスモータ3の回転量をそれぞれ調整可能であるため、四隅に抜き高さの可変値を持つ。
【0056】
図12に示す表示画面では、その中央部に抜き高さ分布表示部75がある。
抜き高さ分布表示部75の右下には、第一プレスモータ3aの調整値を示す右前抜き高さ調整値表示窓70があり、その上下に移動定盤1の右前の抜き高さ(上部停止位置)を上昇させる右前抜き高さ上昇ボタン71と、右前の抜き高さを下降させる右前抜き高さ下降ボタン72と、を有する。
抜き高さ分布表示部75の左下には、第二プレスモータ3bの調整値を示す左前抜き高さ調整値表示窓64があり、その上下に移動定盤1の左前の抜き高さを上昇させる左前抜き高さ上昇ボタン65と、左前の抜き高さを下降させる左前抜き高さ下降ボタン66と、を有する。
抜き高さ分布表示部75の右上には、第三プレスモータ3cの調整値を示す右奥抜き高さ調整値表示窓67があり、その上下に移動定盤1の右奥の抜き高さを上昇させる右奥抜き高さ上昇ボタン68と、右奥の抜き高さを下降させる右奥抜き高さ下降ボタン69と、を有する。
抜き高さ分布表示部75の左上には、第四プレスモータ3dの調整値を示す左奥抜き高さ調整値表示窓61があり、その上下に移動定盤1の左奥の抜き高さを上昇させる左奥抜き高さ上昇ボタン62と、左奥の抜き高さを下降させる左奥抜き高さ下降ボタン63と、を有する。
【0057】
さらに、抜き高さ分布表示部75の中央上方には、四箇所全ての抜き高さを上昇させる全体抜き高さ上昇ボタン73と、四箇所全ての抜き高さを下降させる全体抜き高さ下降ボタン74と、を備える。
本実施形態では、抜き高さの四隅の調整単位は「0.01[mm]」であり、調整範囲は「0.00~2.50[mm]」であるがこれに限るものではない。
本実施形態では、面板9が平面の状態を保つために、四隅のうちの抜き高さを調整する隅の対角の隅を支点とし、他の二つの隅を追従するように変化させる。
図12に示す例では、左奥の隅を「0.09」上昇させる調整をしている。この調整では、右前の隅は支点となるため調整値は変化せず、「0.00」のままである。一方、他の二つの隅(左前の隅、右奥の隅)は、左奥の隅の上昇に追従して上昇する。
【0058】
抜き高さ分布表示部75は、移動定盤1の上面の高さの分布の概略を示しており、移動定盤1の上面を16の領域に分け、四隅の調整値の値に基づいて算出された各領域の高さを表示している。
図12では、抜き高さ分布表示部75で抜き高さの分布を数値で示しているが、抜き高さの分布をカラー化して表示してもよい。
【0059】
図12に示す抜き高さ調整画面で、抜き圧を大きくする設定が入力された場合には、制御部30は、対応するプレスモータ3の上基準回転位置の回転量を大きくするように設定を変更する。また、抜き圧を小さくする設定が入力された場合には、制御部30は、対応するプレスモータ3の上基準回転位置の回転量を小さくするように設定を変更する。そして、打抜処理の際に、制御部30は、プレスモータ3毎に設定した上基準回転位置まで正回転させる制御を行う。
【0060】
本実施形態のダイカッター100では、打抜処理時に下方から上方に移動する移動定盤1の四隅のそれぞれを、独立したプレスモータ3及び昇降伝達機構4によって上下動させる構成を備え、これに加えて、それぞれのプレスモータ3は個別に回転量を調節可能に構成されているため、抜きムラに応じて四隅の上昇位置をそれぞれ調整し、抜きムラの改善を図ることができる。
【0061】
抜きムラは、抜型8の切断刃81の配置や抜型8の製造誤差によって生じるため、一度取り外した抜型8を、ダイカッター100に再び装着する場合には、前回装着時と同様のムラ取り処理を行うことがある。
本実施形態のダイカッター100では、抜型8毎の識別情報と制御情報とを紐づけて制御部30の記憶部に記憶する。このときの制御情報としては、抜型8の前回装着時の四つのプレスモータ3の上基準回転位置の情報を含む。これにより、抜型8を装着する際に識別情報が入力されることで、識別情報に紐づけられた制御情報を呼び出して四つのプレスモータ3の上基準回転位置を前回装着時の設定とすることができ、量産動作前の調整時の作業負担を軽減し、セットアップ時間の短縮を図ることができる。
【0062】
抜型8は、バーコードや管理番号等の識別情報表示部を備えていることが望ましい。そして、ダイカッター100に設けたバーコードリーダーによるバーコードの読み取りや、操作パネル101での管理番号を入力等により、装着する抜型8の識別情報を入力することができる。
抜型8に応じた上基準回転位置を設定する構成としては、RFタグやICタグ等の読み取り可能な記憶素子を抜型8に設け、前回装着時の四つのプレスモータ3の上基準回転位置の情報を含む制御情報を抜型8の記憶素子に記憶させておき、装着時に読み取った抜型8の記憶素子の情報に基づいて上基準回転位置を設定する構成としてもよい。
【0063】
本実施形態のダイカッター100では、新規の抜型8の装着時には、操作パネル101上での操作によって四つプレスモータ3の上基準回転位置を設定でき、抜きムラを改善することができるため、ムラ取り用のシムテープの貼り付け作業の削減を図ることができる。さらに、装着回数が二回目以上の抜型8の装着時には、識別情報を入力することによって、前回装着時の制御情報を呼び出して設定することができるため、量産動作前の調整の半自動化と簡素化とを図ることができる。
【0064】
上述した抜型8毎の識別情報に紐づけられた制御情報としては、抜型8の切断刃81の高さ、抜型8のシートの厚さ、抜型8の使用履歴及び抜型基準位置等の何れか一つ以上のジョブ設定の情報を含んでいてもよい。使用履歴としては、使用日時や打ち抜き回数等を挙げることができる。
抜型8を装着した状態で、予め記憶されている制御情報に対して、変更があったときには、識別情報と紐づけしてルックアップテーブルに記憶させる。そして、次回その抜型8を装着して識別情報が入力されたときには、紐付らけれた制御情報が自動的に呼び出さ、ジョブ設定が行われる。
【0065】
抜型8を装着して調整する調整に時間のかかる工程や、実際に処理してみて損紙が発生することで初めて精度が確認できる項目などを制御情報として抜型8の識別情報と紐づけることで、使用者の作業負担を軽減できるとともに、セットアップ時間の短縮を図ることができる。
【0066】
移動定盤1の上部停止位置は、抜型8によってほぼ決まってくるので、制御情報として、前回装着時の四つプレスモータ3の上基準回転位置の設定情報を取得することで、移動定盤1の上部停止位置を自動で設定でき、作業負担の軽減及びセットアップ時間の短縮に優位である。
打抜処理には抜型8の基準位置の入力が不可欠である。制御情報として、抜型8の基準位置となる抜型基準位置の情報を取得し、自動で設定することで、調整時間短縮を図ることができる。
【0067】
制御情報として、抜型8の使用履歴を取得することで、使用日時やその打ち抜き回数を記録に残すことができ、切断刃81の交換時期など、抜型8のマネジメントを行い易くなる。
【0068】
また、制御情報として、抜型8と用紙等のシート材Sとの整合性の情報を含めてもよい。この場合、抜型8で抜くべきシート材Sの一部にバーコード等の識別子を付与しておく。また、シートフィーダー200からダイカッター100までの間に、シート材Sの識別子を読み取る識別子読取手段(CCDカメラ等)を配置する。そして、打抜処理を行う前に、識別子読取手段で取得した情報と、抜型8の識別情報とに基づいて、シート材Sと抜型8とが適切な組み合わせであるか否かの確認を行う。これにより、抜型8と整合しないシート材Sに不要な打抜処理が行われることを防止でき、損紙発生の防止及び無駄な打抜処理の防止を図ることができる。
【0069】
本実施形態のダイカッター100は、移動定盤1が上部停止位置に到達したときの移動定盤1の上面と、固定定盤2の下面とを平行な状態に近づける水平出し調整を行うことができる。
図13は、水平出し調整に用いる水平調整治具50の斜視説明図である。
図14は、水平調整治具50の説明図であって、
図14(a)は上面図、
図14(b)は正面図である。
水平調整治具50は、抜型8の代わりに固定定盤2に固定して使用するものであり、抜型8と同様の外形の治具本体板部51と、四つのスペーサー52とを備える。
【0070】
スペーサー52は、変形し難い高剛性の部材であり、四つのスペーサー52の高さ(図中のZ方向の長さ)が均一になるように高精度に作成されており、治具本体板部51に設けられた四つの孔をそれぞれ貫通した状態で固定されている。四つのスペーサー52の配置は、水平調整治具50を固定定盤2に固定したときに、長方形状の移動定盤1の上面の四隅近傍にそれぞれ対向する位置となっている。
【0071】
水平出し調整を行う際には、作業者は、抜型8の代わりに水平調整治具50を固定定盤2に固定してダイカッター100に装着し、操作パネル101で水平出し調整を実行させる操作を入力する。水平出し調整の操作が入力された制御部30は、四つの円柱部10が下死点に位置する状態から四つのプレスモータ3を同時に正回転させる。移動定盤1が水平調整治具50に到達しない範囲で四つの昇降伝達機構4を予め設定された所定の回転量(一定パルス)だけ正回転させた後、四つのプレスモータ3の制御を、低トルクに設定されたトルク制限(設定されたトルクに到達したらプレスモータ3の回転を停止させる制御)に切り替える。ここでの低トルクは、移動定盤1を上昇させるために必要なトルクであって、移動定盤1が何かに突き当たると、それ以上に移動定盤1を移動させることができない程度のトルクである。移動定盤1が水平調整治具50のスペーサー52に接触したときに停止するように、少なくとも接触直前には極低トルクで回転させる。そして、停止した位置を水平基準位置として記憶する。
【0072】
水平出し調整では、四つの円柱部10が上死点となる回転位置を目標として対応する四つの昇降伝達機構4のそれぞれのプレスモータ3を回転駆動させる。
しかし、低トルクのトルク制限の制御では、移動定盤1の上面が水平調整治具50のスペーサー52に接触し、スペーサー52を介して固定定盤2の下面に突き当たると、円柱部10が上死点となる回転位置に到達していなくても、プレスモータ3の回転が停止して、位置偏差エラーとなる。例えば、円柱部10が下死点から上死点まで移動するように昇降伝達機構4を駆動させたときのプレスモータ3の駆動パルスが1000パルスであった場合、制御部30は、1000パルスを目標としてプレスモータ3を駆動させるが、995パルス駆動時に移動定盤1が突き当たりトルク制限によってプレスモータ3が駆動できなくなると、位置偏差エラーとなる。
【0073】
四つのスペーサー52は高精度に高さが一致しているため、移動定盤1が四つのスペーサー52を介して固定定盤2に突き当たっている状態では、移動定盤1の上面と固定定盤2の下面とが平行な状態となる。このとき、四つのプレスモータ3の回転位置が、移動定盤1の上面と固定定盤2の下面とを平行にできる回転位置であるため、この回転位置を水平基準位置として制御部30の記憶部にそれぞれ記憶する。ここで記憶した水平基準位置に基づいて四つのプレスモータ3の上基準回転位置を設定することで、移動定盤1が上部停止位置に到達したときの移動定盤1の上面と、固定定盤2の下面とを平行な状態に近づけることができる。
【0074】
四つのプレスモータ3が位置偏差エラーで回転が停止し、そのときの回転位置を水平基準位置として記憶した後、少し逆回転させた後、低トルクのトルク制限の制御で、再び正回転させる制御を繰り返してもよい。そして、位置偏差エラーで回転が停止する水平基準位置の情報を四つのプレスモータ3のそれぞれについて複数回分記憶し、プレスモータ3毎に記憶した複数回分の水平基準位置の平均を算出して水平基準位置を設定することで、より適切な水平基準位置の情報を取得することができる。
【0075】
切断刃81を含めた抜型8の厚さがスペーサー52の高さよりも大きい場合には、その差分だけ上部停止位置が低くなるように上基準回転位置を設定する。また、切断刃81を含めた抜型8の厚さがスペーサー52の高さよりも小さい場合には、その差分だけ上部停止位置が高くなるように上基準回転位置を設定する。これにより、抜型8を装着して打抜処理を施す際に、抜型8に対する面板9の圧力のバラつきが大きくなることを防止できる。何れの場合であっても、四つのプレスモータ3のそれぞれについて、差し引く、または、加える差分の値は同一である。
【0076】
従来のダイカッターでは、移動定盤と固定定盤との平行度を補正するような水平出しは行われていない。このため、ダイカッターの製造時の組付け誤差、部品誤差または継時使用によって移動定盤と固定定盤との平行度が悪化している場合は、平行度の悪化に起因する抜きムラを補正するようにムラ取り用のシムテープを貼り付ける作業を行うのみで、平行度そのものを改善することは行われていない。このような従来のダイカッターでは、悪化した平行度分も含めてシムテープで補正する必要があり、作業者の作業負担が大きくなるともに、作業者の能力によっては抜きムラを十分に解消できないおそれがある。さらに、悪化した平行度分も含めてシムテープで補正する場合には、毎回同じ位置に多めのシムテープを貼る必要があり、テスト給送の回数が増え、損紙が多くなる。
【0077】
本実施形態のダイカッター100では、抜型8を装着する前に、水平出し調整を行うことで、抜型8を装着したテスト給送時に平行度の悪化に起因する抜きムラの発生を防止し、作業者による抜きムラを補正する作業負担の軽減を図ることができる。また、水平出し調整は、制御部30の制御によって行われるため、作業者の能力に寄らず、平行度の悪化に起因する抜きムラを解消できる。さらに、損紙の低減を図ることができる。
【0078】
ダイカッター100は、
図2に示すように手前フレーム5の搬送方向上流側と下流側とに、第一歪センサ26aと第二歪センサ26bとを備える。また、
図3及び
図4に示すように、奥フレーム6の搬送方向上流側と下流側とに、第三歪センサ26cと第四歪センサ26dとを備える。
四つの歪センサ26(26a、26b、26c、26d)は、ダイカッター100のフレームのうち固定定盤2を保持する保持部材である手前フレーム5及び奥フレーム6の上下方向の伸び量を測定する伸び量測定手段である。
測定箇所は、シート材Sの搬送路の両サイドのフレームである手前フレーム5及び奥フレーム6の各々に、搬送方向に離間した複数箇所(本実施形態では二箇所)としている。
【0079】
四つの歪センサ26は、手前フレーム5または奥フレーム6の上端部近傍に固定され、歪センサ26の下方にはそれぞれ歪検出棒27(27a、27b、27c、27d)が配置されている。四つの歪検出棒27の下端部は、手前フレーム5または奥フレーム6の下端部近傍の検出棒固定部28(28a、28b、28c、28d)に固定されている。歪検出棒27は、下端部のみが手前フレーム5または奥フレーム6に固定されているため、その上端部の位置は、手前フレーム5や奥フレーム6の変形の影響を受けない。一方、歪センサ26は、手前フレーム5または奥フレーム6の上端部に配置されているため、手前フレーム5や奥フレーム6が伸びると上方に移動して対向する歪検出棒27の上面までの距離が離れ、伸びが解消されると歪センサ26から歪検出棒27の上面までの距離も元に戻る。よって、歪センサ26は、対向配置された歪検出棒27の上面までの距離の変化を測定することで、配置された位置における手前フレーム5や奥フレーム6の伸び量を検出することができる。
【0080】
四つの歪センサ26は、設置された位置における手前フレーム5や奥フレーム6の伸び量を電気信号として検出するものである。制御部30は、歪センサ26の測定結果に基づいて四つのプレスモータ3の駆動をそれぞれ制御可能となっている。
【0081】
ダイカッター100で、シート材Sを打ち抜く瞬間は、上下方向に大きな負荷がかかり、フレームに伸びが生じる。フレームが伸びると、移動定盤1を上部停止位置まで移動させたときの打抜圧が低下し、抜きムラが生じるおそれがある。フレームの伸びはジョブ(抜型8とシート材Sとの組み合わせ等)や調整によって変わるため、調整処理の際に、それぞれの歪センサ26の測定結果に応じて、それぞれのプレスモータ3の上基準回転位置となる回転量を補正する。歪センサ26で測定された伸びが大きいほど、対応するプレスモータ3の上基準回転位置を、円柱部10が上死点となる回転位置に近づける補正を行う。これにより、四隅のうち、打ち抜き時にフレームの伸びが大きくなる箇所では、打ち抜き時の移動定盤1の上部停止位置を高くし、フレームの伸びに起因する打抜圧の低下を予め補正することができる。このため、テスト給送での成果物を作業者が見て抜きムラの補正を行う作業負担を軽減でき、調整時間を短縮できる。
【0082】
伸び量測定手段である歪センサ26は、フレームの上端近傍に固定された歪センサ26と、フレームの下端近傍に固定された歪検出棒27との距離の変動を検出するものである。距離の変動を検出する構成としては、歪センサ26本体に対して回動可能で歪検出棒27の上面に接触する回動レバーを備え、歪センサ26の検出部で回動レバーの角度を検出し、検出角度に基づいて歪センサ26と歪検出棒27との距離の変動を検出する構成とすることができる。また、伸び量測定手段の他の構成としては、フレームの上端と下端近傍との一方に固定された反射型光学式距離センサから、フレームの上端と下端近傍との他方に固定された反射部までの距離を算出する構成としてもよい。さらに、フレームの伸びを測定する伸び量測定手段としては、歪センサ26のような距離センサを用いるものに限らず、フレームに歪ゲージを貼り付けて、フレームの伸びを測定するものでもよい。
【0083】
四つのプレスモータ3は、その駆動時にダイカッター100を構成する各部材に過負荷が作用して破損することを防止するために、打抜処理の際にトルク制限を行ってもよい。
この場合、制御部30は、四つの偏心シャフト44のそれぞれの回転位置(円柱部10が下死点のときをθ=0[°]としたときの偏心シャフト44の回転角度)によって、対応するプレスモータ3の発生トルクの上限値を変更する制御を行うことが望ましい。
【0084】
図15は、偏心シャフト44の回転位置の違いによる偏心軸部442の変位量の違いを示す説明図である。
図15(a)は、偏心シャフト44の回転させたときの昇降伝達ロッド43及び円柱部10の動きの説明図であり、
図15(b)は、偏心シャフト44の回転位置が違う状態での同一の回転量(α1=α2=α3)に対する偏心軸部442の変位量の違いを示す説明図である。
図15(b)中の「L」は、偏心シャフト44の回転軸部441の中心線と偏心軸部442の中心線との距離である。
【0085】
図15(b)中の「α1」は、
図15(a)の(i)で示すように偏心シャフト44の回転角度が「0[°]」の状態から「α」だけ回転した状態を示し、その変位量は「L・sinα1」となる。「α2」は、
図15(a)の(ii)で示すように、偏心シャフト44の回転角度が「90[°]」近傍で「α」だけ回転した状態を示し、その変位量は「L・sinα2」となる。「α3」は、
図15(a)の(iii)で示すように偏心シャフト44の回転角度が「180[°]」となる状態に向けて「α」だけ回転した状態を示し、その変位量は「L・sinα3」となる。
【0086】
図15(b)に示すように、回転角度が「0[°]」や「180[°]」近傍となる状態では、回転量「α」に対する変位量「L・sinα」が、回転角度が「90[°]」近傍となる状態に比べて十分に小さい。このため、プレスモータ3での発生トルクが同一であっても、円柱部10を上昇させようとする力は、回転角度が「90[°]」近傍となる状態よりも、回転角度が「0[°]」や「180[°]」近傍となる状態の方が十分に大きい。
【0087】
このため、発生トルクの上限値を一定した場合、回転角度が「90[°]」近傍となる状態で移動定盤1を円滑に上昇させることができるように発生トルクの上限値を高い値に設定すると、回転角度が「0[°]」や「180[°]」近傍となる状態で、円柱部10等のダイカッター100を構成する部材に大きな荷重がかかっても、プレスモータ3の発生トルクは上限値に到達せず、プレスモータ3が駆動し続けてダイカッター100を構成する部材を破損させるおそれがある。特に、回転角度が「180[°]」近傍まで到達する打ち抜き時には、発生トルクが上限値に到達し難いと、紙詰まりや何等かの物品の引っ掛かり等で、打ち抜き時の抵抗が大きくなっても、発生トルクが上限値に達さず、設定された上部停止位置となるまでプレスモータ3が駆動され、ダイカッター100を構成する部材を破損させるおそれがある。
一方、回転角度が「0[°]」や「180[°]」近傍となる状態で、部材の破損を防止できるように発生トルクの上限値を低い値に設定すると、回転角度が「90[°]」近傍となる状態で、移動定盤1を円滑に上昇させるのに必要な力が得られなくなるおそれがある。
【0088】
これに対して、偏心シャフト44の回転角度等によってプレスモータ3の発生トルクの上限値を変更する。具体的には、回転角度が「90[°]」近傍となる状態では、プレスモータ3の発生トルクの上限値を高い値に設定し、回転角度が「180[°]」に近づくほど、連続的に、または、段階的に、値が小さくなるように、プレスモータ3の発生トルクの上限値の設定を変更する。
そして、打抜動作の際に、上部停止位置に到達するまでの間に、プレスモータ3の発生トルクが上限値に達したら、プレスモータ3の駆動を停止し、操作パネル101等の表示部にエラー表示を行う。
このように、上部停止位置に近づくまでは発生トルクの上限値を高い値に設定することで移動定盤1を円滑に上昇させることができ、上部停止位置に近づいてからは、発生トルクの上限値を低い値に変更することで装置への負荷を低減して、抜型8や昇降伝達機構4等のダイカッター100を構成する部材の損傷を防止できる。
【0089】
発生トルクの上限値を変更する構成としては、移動定盤1が上部停止位置に近づいたとき、プレスモータ3の発生トルクの上限値を小さくする制御を行ってもよい。移動定盤1の上昇開始時が最もトルクが必要であり、上部停止位置に近づくにつれ、必要なトルクは低くなる。
本実施形態のダイカッター100で用いる移動定盤1は、とても重いため(約280[kg])、起動及び加速させるには大きなトルクが必要になる。このため、下部停止位置にある移動定盤1を動かし始めるときには、プレスモータ3の発生トルクに上限値を設けないように設定し、プレスモータ3の最大トルクまでかけることができるようにする。そして、打ち抜きを行う上部停止位置に近づいたときには、偏心シャフト44を介して昇降伝達ロッド43や円柱部10及び移動定盤1に作用する上下方向の力が一定値を超えないように、プレスモータ3の発生トルクの上限値を制限する。
【0090】
ダイカッター100は、抜型8の下方の対向する範囲の外側となる幅方向の奥側に配置した搬送ベルト対(14、15)でシート材Sを挟持し、搬送する。
また、搬送ベルト対(14、15)の上流側端部の近傍に配置された後端検知センサ25の検知結果に基づいてベルト駆動モータ13の停止タイミングを決定する。
【0091】
図16に示すように、ダイカッター100は、搬送ベルト対(14、15)を支持するベルト支持機構32を備える。ベルト支持機構32は、奥フレーム6に固定された固定プレート34と、固定プレート34に対して上下方向に移動可能な可動プレート33とを備える。
図17は、搬送ベルト対の正面図であり、
図17(a)は、打ち抜き前の説明図、
図17(b)は打ち抜き時の説明図である。
図18は、搬送ベルト対と移動定盤との背面図であり、
図18(a)は、打ち抜き前の説明図、
図18(b)は打ち抜き途中の説明図、
図18(c)は打ち抜き時の説明図である。
図19は、ダイカッター100の正面の模式図であり、
図19(a)は、シート材Sを打抜領域に向けて搬送する途中の説明図であり、
図19(b)は、シート材Sを打抜領域で停止後、移動定盤1を上昇させた状態の説明図である。
【0092】
下搬送ベルト14は、下駆動ローラ140、複数の下張架ローラ141及び下テンションローラ142に張架され、上搬送ベルト15は、上駆動ローラ150、複数の上張架ローラ151及び上テンションローラ152に張架されている。
【0093】
ベルト駆動モータ13が駆動すると、駆動出力ギヤ35、駆動出力ベルト36、ベルト駆動ギヤ37を介して回転駆動が伝達され、上駆動ローラ150及び駆動伝達ギヤ150aが回転し、上搬送ベルト15が回転する。駆動伝達ギヤ150aが回転すると、下ベルト駆動入力ギヤ140aが回転し、これと同軸の下駆動ローラ140が回転し、下搬送ベルト14が回転する。
下テンションローラ142及び上テンションローラ152は、下搬送ベルト14及び上搬送ベルト15に張力を付与する。
下搬送ベルト14の上部張架面と上搬送ベルト15の下部張架面とのシート材Sを挟む部分を形成する複数の下張架ローラ141と複数の上張架ローラ151とは、ローラ保持部材である可動プレート33に支持されている。移動定盤1は、幅方向の奥側に突き出した突出部29を備える。
【0094】
移動定盤1が上昇すると、
図18(b)に示すように突出部29が可動プレート33の下屈曲部の下面に接触する。さらに、移動定盤1が上昇することで突出部29が可動プレート33を押し上げ、可動プレート33が保持する下張架ローラ141及び上張架ローラ151が上昇する。そして、下搬送ベルト14の上部張架面と上搬送ベルト15の下部張架面とのシート材Sを挟む部分が、移動定盤1とともに上昇し(
図17(b)中の破線で示す距離「dH」分上昇)、
図17(b)、
図18(c)及び
図19(b)に示す状態となる。
【0095】
打抜処理の際には、移動定盤1の上昇によって、シート材Sが移動定盤1によって押し上げられ、固定定盤2側の抜型8の切断刃81の先端と移動定盤1(面板9)の表面とでシート材Sを挟む。そして、移動定盤1がさらに上昇することでシート材Sを抜型8の切断刃81の形状に打抜く。シート材Sは移動定盤1と切断刃81とで挟まれることで、挟まれた部分の移動定盤1に対する相対的な位置が固定される。その後、移動定盤1がさらに上昇すると、シート材Sにおける移動定盤1と切断刃81とによって挟まれる部分が上昇する。このとき、シート材Sにおける移動定盤1と切断刃81とによって挟まれる部分と、搬送ベルト対(14、15)に保持される部分と、の上下方向の距離が離れると、シート材Sを引っ張る力が作用し、シート材Sが損傷するおそれがある。
【0096】
本実施形態では、下搬送ベルト14の上部張架面と上搬送ベルト15下部張架面とが移動定盤1の上昇に連動して上昇する。このため、移動定盤1と切断刃81(固定定盤2)とでシート材Sを挟む位置と、搬送ベルト対(14、15)がシート材Sを保持する位置とが上下方向で離れることを防止できる。これにより、打抜処理の際に、シート材Sに引っ張る力が作用することを防止でき、シート材Sの損傷を防止できる。
また、切断刃81に接触する前の状態で、移動定盤1に押し上げられるシート材Sが、位置が固定の保持手段に引っ張られてシート材Sにおける移動定盤1に対向する範囲がずれることを防止でき、シート材Sの打ち抜かれる部分に位置ずれが生じることを防止できるため、精度の良い打抜処理を行うことができる。
【0097】
図18に示すように、下張架ローラ141の回転軸である下張架ローラ軸141aは、可動プレート33に対して位置が固定で、上張架ローラ151の回転軸である上張架ローラ軸151aは、可動プレート33に対して上下方向に移動可能である。張架ローラ付勢バネ38によって下張架ローラ軸141aに向けて上張架ローラ軸151aを付勢することで、上張架ローラ151が、上搬送ベルト15及び下搬送ベルト14を挟んで下張架ローラ141に当接する。
【0098】
固定プレート34は手前側に突き出した上突出板34a及び下突出板34bを備え、上突出板34aと下突出板34bとを繋ぐ張架ベルトスライド軸34dを備える。
可動プレート33は奥側に突き出し、上突出板34aと下突出板34bとの間に位置するスライド部材33aを備える。スライド部材33aには張架ベルトスライド軸34dが貫通し、スライド部材33aが張架ベルトスライド軸34dに沿って上下動することで、可動プレート33が上下方向に移動する。スライド部材33aと上突出板34aとの間には、可動プレート位置決めバネ34cを備え、スライド部材33aを下方に押圧する。
【0099】
移動定盤1が上昇する前は、可動プレート位置決めバネ34cに押圧されたスライド部材33aが下突出板34bに突き当たることで、スライド部材33aを有する可動プレート33の固定プレート34に対する位置が定まり、可動プレート33に保持される上張架ローラ151及び下張架ローラ141の上下方向の位置が定まる。移動定盤1が上昇し、突出部29が可動プレート33を押し上げると、
図18(c)に示すように、スライド部材33aが上昇し、可動プレート位置決めバネ34cが圧縮した状態となる。可動プレート位置決めバネ34cの付勢力と、突出部29との突き当たりによって、可動プレート33の位置が定まる。
【0100】
図20は、シート材搬送中のダイカッター100の説明図であり、
図20(a)は、シート材Sが通過する領域よりも上方の平面図に、上気流A2を追記した模式図である。
図20(b)は、ダイカッター100の正面図に上気流A2及び下気流A1を追記した模式図である。
図20(c)は、シート材Sが通過する領域よりも下方の平面図に、下気流A1を追記した模式図である。
図20に示すように、ダイカッター100は、搬送ベルト対(14、15)で保持して搬送するシート材Sが通過する領域に気流を発生させる下送風機170及び上送風機90を備える。
図20では、下送風機170が発生する下気流A1を一点鎖線で示し、上送風機90が発生する上気流A2を二点鎖線で示している。また、シート材Sの搬送方向を矢印「Td」で示し、
図20(c)中の上方にシート材Sが位置する箇所を破線で示している。
【0101】
下送風機170では下ブロア173で発生した気流が、下気流上昇案内管174を通過し、下気流水平案内管172の幅方向奥側端部に流入し、下気流管壁部175が形成する隙間を通過して、幅方向の手前側に向けて流入する。下気流管壁部175よりも手前側に到達した気流は、下送風口171から下気流A1として吐出される。
【0102】
下気流管壁部175が形成する隙間から流入することで、幅方向の奥側から手前側に向かう気流となる。また、下気流水平案内管172の搬送方向下流側に開口した下送風口171から流出することで、搬送方向に向かう気流となる。よって、下気流A1は、
図20(c)に示すように、搬送方向「Td」に対して、幅方向の奥側から手前側に向かうように傾斜した気流となる。
【0103】
幅方向の奥側の端部のみが保持された状態で搬送されるシート材Sは、幅方向の手前側が垂れ下がり、移動定盤1の上面に固定された面板9と接触し、破損する恐れがある。ダイカッター100では、搬送ベルト対(14、15)で保持して搬送するシート材Sが通過する領域におけるシート材Sの下面に下送風口171から下気流A1を吐出する。シート材Sの下面を押し上げる気流、または、シート材Sの下方の気流層、を形成することができる。よって、シート材Sが下方の部材に接触することを抑制でき、シート材Sの損傷を抑制できる。
【0104】
また、下送風口171から打抜領域に向かう気流によって、搬送されるシート材Sに対する向かい風を抑制し、シート材Sの捲れを抑制できる。さらに、奥側から手前側に向かう気流によりシート材Sの手前側がバタつくことを抑制できる。よって、シート材Sの捲れやバタつきによってシート材Sがその上下に位置する部材に接触することを抑制できる。
【0105】
搬送中のシート材Sの下面に気流を吹き付ける構成としては、幅方向奥側でシート材Sを保持する搬送ベルト対(14、15)の下方等から気流を吹き付けてもよい。すなわち、シート材Sの下面を押し上げる気流、または、シート材Sの下方の気流層、を形成する構成であればよい。
【0106】
上送風機90では、上ブロア93で発生した気流が、上気流下降案内管94を通過し、上気流水平案内管92内に向けて流入する。上気流水平案内管92内には整流板92aを複数備え、上気流水平案内管92内の整流板92aの上方は、気流が通過可能な流路がある。上気流水平案内管92に流入した気体は、整流板92aの上方の流路を通過しつつ、整流板92a同士の間を通過する。この通過の際に、搬送方向「Td」に沿った気流に整流され、上送風口91から上気流A2として吐出される。
ダイカッター100では、搬送ベルト対(14、15)が保持・搬送するシート材Sの上面側に上送風口91から上気流A2を吐出する。これにより、シート材Sの上方に気流層を形成でき、シート材Sが上方に位置する部材の下面に接触することを抑制できる。
また、下送風機170及び上送風機90からの気流で、シート材Sの手前側を持ち上げ、水平に近づけることでシート材Sの姿勢を安定させることができる。
【0107】
本実施形態のダイカッター100では、量産処理の際の打抜処理では、移動定盤1は下部停止位置と上部停止位置とを往復する構成であり、上部停止位置から下部停止位置まで下降する途中で停止することなく移動するように制御する。これに対して、抜型8によって打ち抜かれたシート材Sが搬送高さまで下降したタイミングで移動定盤1が停止するように、四つのプレスモータ3の逆転駆動を停止し、ベルト駆動モータ13の駆動を再開する第二の打抜制御を選択できるようにしてもよい。この第二の打抜制御では、打抜処理が施されたシート材Sの後端が移動定盤1の上方を通過した後に、四つのプレスモータ3の逆転駆動を再開し、移動定盤1を下部停止位置まで下降させて停止し、次の打抜動作に備える。
【0108】
ダイカッター100の通常の打抜処理では、打抜処理後のシート材Sの成果物の部分と余剰部の部分とは、完全に切り離されていない。これは、搬送ベルト対(14、15)のような保持部で保持されている部分が余剰部である場合には成果物が装置内で落下し、成果物となる部分が保持されている場合には余剰部が装置で落下してしまうおそれがあるためである。このため、抜型8の切断刃81は成果物と余剰部とを繋ぐ幅の狭い「ニック」と呼ばれる接続線を残す形状となっている。そして、セパレータ400で余剰部を押し落とすことでニックを切断し、成果物を得る。これに対して、上記第二の打抜制御を行うことで、打抜処理で成果物と余剰部とを完全に切り離しても、移動定盤1の上面(面板9の上面)がシート材Sの下面を支持しているため、余剰部または成果物のうちの保持部で保持されていない部分が装置内に落下することを防止し、ニックがなくても成果物と余剰部とをダイカッター100の外に排出することが可能となる。これにより、排出後のシート材Sのニックの切断が不要となり、成果物にニックの跡が残ることを防止し、成果物の品質の向上を図ることができる。
【0109】
板状の被加工物であるシート材Sとしては、普通紙、ボール紙、ラベル紙、厚紙及びコート紙等の紙媒体を挙げることができる。また、本発明に係る打抜装置の加工対象である板状の被加工物としては、紙媒体の他に、OHPシート、フィルム、布帛、樹脂製シート、金属製シート、金属箔やメッキ処理等を施した電子回路基板材、特殊フィルム、プラスチックフィルム、プリプレグ、電子回路基板用シート等を含み、複数枚を重ねた束状でも単枚でも良い。
【0110】
移動定盤を下方に配置し、固定定盤を上方に配置する構成について説明したが、移動定盤を上方に配置し、固定定盤を下方に配置してもよい。さらに、上下に対向する二つの定盤の両方を上下に移動可能な移動定盤として、それぞれ複数(四つ)の昇降駆動源によって接離させる構成としてもよい。
本実施形態のように、移動定盤を下方に配置し、固定定盤を上方に配置する構成では、ある程度重さのある四つのプレスモータ3と、四つの昇降伝達機構4とを装置の低い位置に配置することができ、ダイカッター100の装置の重心を低くできる。
【0111】
セパレータ400について説明する。
【0112】
図21~
図25は、セパレータ400の説明図である。
図21は、搬送方向下流側から見たセパレータ400とその周辺の斜視図である。
図22~
図24は、セパレータ400の下流側側面図である。
図25は、セパレータ400とその周面を示す模式的な平面図である。
図22及び
図23ではセパレータ400の可動部404は隣接位置にあり、
図21、
図24及び
図25では退避位置にある。
【0113】
セパレータ400は、固定部402と、可動部404と、可動部ガイド機構406と、加工型ガイド408と、を備える。
【0114】
セパレータ400は、ダイカッター100の抜き差し口180に面する。抜き差し口180は、搬送方向に開口した口である。抜き差し口180は、ダイカッター100に抜型8を差し込んで固定定盤2に抜型8をセットしたり、固定定盤2から抜型8を取り外してダイカッター100から抜型8を抜き出したりするための口である。抜き差し口180は、特に限定しないが本実施の形態では、ダイカッター100に面板9(
図21~
図25では不図示)を差し込んで移動定盤1に面板9をセットしたり、移動定盤1から面板を取り外してダイカッター100から面板9を抜き出したりするための口である。
【0115】
固定部402は、ダイカッター100と搬送方向に隣接する。固定部402は、抜き差し口180と搬送方向に対向しない。固定部402には、ダイカッター100のプレスモータ3b,3d(
図21~
図25では不図示)の一部が進入している。可動部404が隣接位置(後述)にあるとき、可動部404の下方にはプレスモータ3b,3dの一部が位置している。
【0116】
可動部404は、隣接位置と退避位置との間を移動可能に構成される。隣接位置は、ダイカッター100と搬送方向に隣接する位置である。隣接位置は、セパレータ400がセパレータ400としての機能(すなわち分離処理機能)を発揮するときの可動部404の位置ともいえる。特に限定しないが本実施の形態では、可動部404が隣接位置にあるときに、ダイカッター100から可動部404にシートが搬入され、可動部404は搬入されたシートを成果物と余剰部とに分離し、また可動部404は、図示しない搬送機構を備え、分離した成果物をこの搬送機構によりスタッカー480に搬送する。
【0117】
可動部404は、隣接位置にあるとき、ダイカッター100の抜き差し口180の少なくとも一部と搬送方向に対向する。本実施の形態では、可動部404は隣接位置にあるときに抜き差し口180の全体と搬送方向に対向し、抜き差し口180の全体が可動部404によって覆い隠された状態になる。
【0118】
退避位置は、平面視において隣接位置から離間した位置であり、抜型8を抜き差し口180から抜き差し可能となる位置である。退避位置は、平面視において、ダイカッター100と搬送方向に隣接する領域Rであって、抜型8と同じ大きさ以上で抜型8を包含しうる領域Rを避けた位置であってもよい(
図25参照)。
【0119】
例えば退避位置は、平面視において、隣接位置から幅方向に離間した位置、あるいは隣接位置から幅方向および搬送方向に交差する方向に離間した位置であってもよい。つまり、退避位置は、搬送方向に見たときに、隣接位置から少なくとも幅方向に離間した位置であってもよい。また例えば退避位置は、平面視において、隣接位置から搬送方向に離間した位置であってもよい。
【0120】
可動部404を退避位置に移動可能であることにより、ダイカッター100の抜型8を搬送方向における抜き差し口180から抜き差し可能となる。したがって、例えばダイカッター100の手前フレーム5または奥フレーム6(
図21~
図25ではいずれも不図示)に開口を設けて幅方向に抜き差し口180を形成する必要がないため、手前フレーム5および奥フレーム6が比較的小さくても強度を確保できる。つまり、抜型8の抜き差しが可能で比較的小型なダイカッター100を備えるダイカットシステム500を実現できる。
【0121】
図示の例では、退避位置は隣接位置から幅方向に離間した位置である。この場合、可動部404の移動に影響しないようにスタッカー480を構成する必要はないため、可動部404を搬送方向すなわちスタッカー480側に移動させる場合に比べてスタッカーの設計の自由度を高められる。
【0122】
退避位置は、隣接位置と同じ高さ位置であってもよいし、隣接位置よりも低いあるいは隣接位置よりも高い高さ位置であってもよい。つまり、退避位置の高さ位置と隣接位置の高さ位置は問わない。
【0123】
図示の例では、退避位置は、隣接位置と同じ高さ位置である。また、可動部404は、隣接位置と退避位置との間を水平に移動するように構成される。この場合、隣接位置から退避位置に移動させる場合も、退避位置から隣接位置に移動させる場合も、比較的軽い力で可動部404を移動させることができる。
【0124】
可動部ガイド機構406は、可動部404の隣接位置と退避位置との間の移動をガイドする。図示の例では、可動部ガイド機構406は、幅方向に可動部404が移動されるようにガイドする。また、可動部ガイド機構406は可動部404を支持する。詳しくは、可動部ガイド機構406は、可動部404が隣接位置にあるときも、退避位置にあるときも、隣接位置と退避位置との間を移動しているときも、可動部404を支持する。
【0125】
可動部ガイド機構406は、図示の例ではリニアガイドであり、2つのガイドレール部410(
図22~
図24参照)と、2つのスライダ部412(
図21参照)と、を含む。なお、
図22~
図24では、1つの(搬送方向下流側の)ガイドレール部410のみが見えている。また、
図21では、1つの(搬送方向下流側の)スライダ部412のみが見えている。
【0126】
2つのガイドレール部410は、固定部402に固定される。2つのガイドレール部410は、互いに対して搬送方向に離間し、幅方向に水平に延在する。2つのガイドレール部410は特に、平面視においてあるいは搬送方向に見て、隣接位置と退避位置との間を跨がるように延在する。
【0127】
2つのスライダ部412は、可動部404に固定される。2つのスライダ部412は、互いに対して搬送方向に離間している。2つのスライダ部412はそれぞれ、対応するガイドレール部410に支持されながらガイドレール部410に沿ってスライド可能に構成される。スライダ部412またはガイドレール部410は、スライダ部412のスライドを容易にするための複数の転動体を含んでいてもよい。
【0128】
加工型ガイド408は、可動部404に固定された第1フレーム420と、第1フレームに連結された第2フレーム422と、第1フレーム420および第2フレーム422のそれぞれに固定される搬送方向に延在する2本の加工型ガイドレール424,426と、を含む。第2フレーム422は、ヒンジ機構428を介して、搬送方向と平行な軸を中心に回動可能に第1フレーム420に連結される。第2フレーム422は、当該軸に直交する方向に延在する。
【0129】
可動部404を隣接位置から退避位置に移動させるときは、まず、第2フレーム422を例えば手動で回動させて、
図22に示す鉛直方向に延在する姿勢から、
図23に示す幅方向に延在する姿勢にする。ヒンジ機構28は、好ましくは、第2フレーム422が自重によって回動せずに幅方向に延在する姿勢を維持できるトルクを有する。
【0130】
続いて、
図23に示す状態において第2フレーム422を例えば手動で幅方向に押して、
図24に示すように可動部404を退避位置に移動させるとともに第1フレーム420および第2フレーム422を隣接位置に移動させる。このとき、加工型ガイドレール424,426は、加工型ガイドレールとしての機能を発揮できる状態となる。すなわち、加工型ガイドレール424,426は、抜型8をダイカッター100に抜き差しする際に、抜型8の搬送方向の移動をガイドするとともに、抜型8を支持する。
【0131】
可動部404を退避位置から隣接位置に移動させるときは、第2フレーム422を例えば手動で幅方向に引っ張って、可動部404を
図24に示す退避位置から
図23に示す隣接位置に移動させる。続いて、第2フレーム422を例えば手動で回動させて、
図23に示す幅方向に延在する姿勢から、
図22に示す鉛直方向に延在する姿勢にする。
【0132】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0133】
実施の形態では、隣接位置と退避位置との間を、セパレータ400の一部である可動部404が移動可能な場合について説明したが、セパレータ400の全体が移動可能であってもよい。つまり、セパレータ400の全体が可動部であってもよい。
【0134】
実施の形態および上述の変形例では、抜型8を抜き差し可能とするために、搬送方向下流側においてダイカッター100に隣接する装置であるセパレータ400の少なくとも移動可能とする場合について説明したが、これには限定されない。抜型8を抜き差し可能とするために、セパレータ400に代えて、あるいはセパレータ400に加えて、レジスト装置300の少なくとも一部が移動可能であってもよい。つまり、搬送方向に抜型8を抜き差しできるように、搬送方向上流側においてダイカッター100に隣接する隣接装置の少なくとも一部、および、搬送方向下流側においてダイカッター100に隣接する隣接装置の少なくとも一部、の少なくとも一方が、退避位置に移動可能であればよい。
【0135】
実施の形態および上述の変形例では、ダイカッター100を備えるダイカットシステム500について説明したが、これに限定されず、実施の形態または変形例の技術的思想は搬入されたシートに加工型を用いて所定の加工を施す他の加工装置を備える加工処理システムにも適用できる。加工装置は、例えば、加工型を用いてシートに立体的な形状を付与するエンボス加工を施す装置であってもよいし、また例えば、加工型を用いてシートに所定模様の箔を転写する装置であってもよい。
【0136】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0137】
8 抜型、 100 ダイカッター、 180 抜き差し口、 400 セパレータ、 404 可動部、 500 ダイカットシステム。