(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145061
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】無線機
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20220926BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20220926BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20220926BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20220926BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/38
H04W84/10
H04W84/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046310
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】猪子 照恵
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅文
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 創太
(72)【発明者】
【氏名】土岐 爽真
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
(72)【発明者】
【氏名】福島 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】神谷 健司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚利
(72)【発明者】
【氏名】小野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】田井 貴久
(72)【発明者】
【氏名】畠内 孝明
(72)【発明者】
【氏名】星野 充紀
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】無線機の交換時間の短縮化を図ることができる無線機を提供する。
【解決手段】無線機は、他の無線機と共に無線通信の通信ネットワークを構成すると共に、通信可能な設定器を用いて新規の無線機と交換可能な無線機であって、情報を記憶する記憶部と、情報を送受信する送受信部と、制御部と、を備え、制御部は、通信ネットワークに属している無線機として動作する第1モード、及び、通信ネットワークに既に属している無線機に替わって通信ネットワークに参入する無線機として動作する第2モード、を有し、制御部は、第1モードのとき、設定器からの指令に基づいて、記憶部に記憶された通信ネットワークに関する情報であるネットワーク情報を、送受信部により設定器へ送信すると共に、記憶部から当該ネットワーク情報を消去し、第2モードのとき、設定器からの指令に基づいて、ネットワーク情報を、送受信部により設定器から受信して記憶部に記憶させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の無線機と共に無線通信の通信ネットワークを構成すると共に、通信可能な設定器を用いて新規の無線機と交換可能な無線機であって、
情報を記憶する記憶部と、
情報を送受信する送受信部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記通信ネットワークに属している無線機として動作する第1モード、及び、前記通信ネットワークに既に属している無線機に替わって前記通信ネットワークに参入する無線機として動作する第2モード、を有し、
前記制御部は、
前記第1モードのとき、前記設定器からの指令に基づいて、前記記憶部に記憶された前記通信ネットワークに関する情報であるネットワーク情報を、前記送受信部により前記設定器へ送信すると共に、前記記憶部から当該ネットワーク情報を消去し、
前記第2モードのとき、前記設定器からの指令に基づいて、前記ネットワーク情報を、前記送受信部により前記設定器から受信して前記記憶部に記憶させる、無線機。
【請求項2】
前記ネットワーク情報は、前記通信ネットワークを利用する事業者に情報を送信するための宛先情報、前記通信ネットワークの識別情報、前記通信ネットワークにおける前記無線機の識別情報、並びに、前記無線通信の周波数帯及び出力を含んでいる、請求項1に記載の無線機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記ネットワーク情報に基づいた前記他の無線機との無線通信の周波数帯とは異なる周波数帯で前記設定器と無線通信を行う、請求項1又は2に記載の無線機。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記ネットワーク情報に基づいた無線通信において同期用信号を発信する間隔よりも短い間隔で同期用信号を発信して前記設定器と無線通信を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項5】
前記ネットワーク情報は、前記情報の送信回数を含み、
前記制御部は、前記第2モードにおいて鍵情報を前記設定器から受信し、前記第1モードにおいて前記ネットワーク情報に基づいた前記他の無線機との無線通信において前記鍵情報及び前記送信回数により前記情報を暗号化して送信する、請求項1~4のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、前記ネットワーク情報に基づいた前記他の無線機との無線通信が可能でないと判定した場合、前記ネットワーク情報を前記記憶部から消去し、無線通信可能な別の無線機から情報を受信し、前記別の無線機との通信状況を示す情報を検出し、受信した前記情報及び検出した前記情報を前記別の無線機の無線機情報として取得し、前記別の無線機が属している前記通信ネットワークが参入可能な前記通信ネットワークであるか前記無線機情報に基づいて判定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の無線機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線機として、例えば、特許文献1に示す無線端末が知られている。この無線端末は、起動すると、無線通信可能な他端末の無線機情報に基づいて、無線端末の参入可能なネットワークを自動的に判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の無線端末により構築されているネットワークにおいて、バッテリの寿命等により、既に参入している既存の無線端末からこれとは別の新規の無線端末に交換する場合がある。この場合、既存の無線端末をネットワークから撤去して、新規の無線端末を起動してネットワークへの参入を試みる。
【0005】
例えば、上記特許文献1の無線端末を新規の無線端末として、ネットワーク内の既存の無線端末と交換する場合、ネットワークの状況が、既存の無線端末がネットワークに参入したときの状況から変化していると、新規の無線端末は既存の無線端末とは異なるネットワークに参入することがある。この場合、既存の無線端末が参入していたネットワークから無線端末が抜けるため、ネットワークを再構築する必要があり、無線端末の交換後のネットワークの回復に時間を要するおそれがある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、無線機の交換時間の短縮化を図ることができる無線機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る無線機は、他の無線機と共に無線通信の通信ネットワークを構成すると共に、通信可能な設定器を用いて新規の無線機と交換可能な無線機であって、情報を記憶する記憶部と、情報を送受信する送受信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記通信ネットワークに属している無線機として動作する第1モード、及び、前記通信ネットワークに既に属している無線機に替わって前記通信ネットワークに参入する無線機として動作する第2モード、を有し、前記制御部は、前記第1モードのとき、前記設定器からの指令に基づいて、前記記憶部に記憶された前記通信ネットワークに関する情報であるネットワーク情報を、前記送受信部により前記設定器へ送信すると共に、前記記憶部から当該ネットワーク情報を消去し、前記第2モードのとき、前記設定器からの指令に基づいて、前記ネットワーク情報を、前記送受信部により前記設定器から受信して前記記憶部に記憶させる。
【0008】
この構成によれば、第1モードの既存の無線機は、属している通信ネットワークのネットワーク情報を設定器を介して、第2モードの新規の無線機に渡す。このため、通信ネットワークの状況が変化していても、新規の無線機はこのネットワーク情報を用いて通信ネットワークに参入することにより、既存の無線機が属していた通信ネットワークに参入することができる。よって、通信ネットワークの再構築に時間を要さずに無線機の交換時間の短縮化を図ることができる。
【0009】
また、既存の無線機の記憶部からネットワーク情報を消去することにより、既存の無線機と新規の無線機とは同じネットワーク情報を有さない。このため、既存の無線機が新規の無線機の通信ネットワークへの参入を阻害せずに、無線機の交換時間の短縮化を図ることができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る無線機では、第1の態様において、前記ネットワーク情報は、前記通信ネットワークを利用する事業者に情報を送信するための宛先情報、前記通信ネットワークの識別情報、前記通信ネットワークにおける前記無線機の識別情報、並びに、前記無線通信の周波数帯及び出力を含んでいる。
【0011】
この構成によれば、既存の無線機は、記憶している全ての情報ではなく、その一部のネットワーク情報を設定器を介して新規の無線機に渡す。このため、情報の通信時間を短く抑えられ、無線機の交換時間の短縮化を図ることができる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る無線機では、第1又は2の態様において、前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記ネットワーク情報に基づいた前記他の無線機との無線通信の周波数帯とは異なる周波数帯で前記設定器と無線通信を行う。
【0013】
この構成によれば、新規の無線機が設定器と無線通信を行う際の周波数帯と、無線機同士で無線通信する際の周波数帯とは、互いに異なる。このため、設定器は、新規の無線機を特定するための情報を別途、要さずに、新規の無線機を容易に特定することができる。また、設定器は、他の無線機による無線通信によって、新規の無線機と設定器との無線通信が阻害されない。よって、無線機の交換時間の短縮化を図ることができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る無線機では、第1~3のいずれかの態様において、無線機では、前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記ネットワーク情報に基づいた無線通信において同期用信号を発信する間隔よりも短い間隔で同期用信号を発信して前記設定器と無線通信を行う。
【0015】
この構成によれば、無線機は同期用信号に伴って情報を送受信する。この同期用信号の間隔を短くすることにより、情報の送受信の効率を上げ、無線機の交換時間の短縮化を図ることができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る無線機では、第1~4のいずれかの態様において、前記ネットワーク情報は、前記情報の送信回数を含み、前記制御部は、前記第2モードにおいて鍵情報を前記設定器から受信し、前記第1モードにおいて前記ネットワーク情報に基づいた前記他の無線機との無線通信において前記鍵情報及び前記送信回数により前記情報を暗号化して送信する。
【0017】
この構成によれば、既存の無線機からの送信回数、及び、設定器からの鍵情報を用いて情報を暗号化している。このように、暗号化に用いる情報を互いに異なる機器から得ることにより、情報のセキュリティの向上を図ることができる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る無線機では、第1~5のいずれかの態様において、前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記ネットワーク情報に基づいた前記他の無線機との無線通信が可能でないと判定した場合、前記ネットワーク情報を前記記憶部から消去し、無線通信可能な別の無線機から情報を受信し、前記別の無線機との通信状況を示す情報を検出し、受信した前記情報及び検出した前記情報を前記別の無線機の無線機情報として取得し、前記別の無線機が属している前記通信ネットワークが参入可能な前記通信ネットワークであるか前記無線機情報に基づいて判定する。
【0019】
この構成によれば、既存の無線機からのネットワーク情報に基づいて通信ネットワークへの参入ができない場合であっても、別の無線機からの情報に基づいて通信ネットワークへの参入を図る。これにより、無線機の交換時間の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上に説明した構成を有し、無線機の交換時間の短縮化を図ることができる無線機を提供することができるという効果を奏する。
【0021】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係る収集用無線機を備える自動検針システムを概略的に示す図である。
【
図2】
図1の収集用無線機の親機及び子機、並びに、送信用無線機の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図3】
図1の第1収集用無線機、第2収集用無線機及び設定器の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図4】
図3の第1収集用無線機と第2収集用無線機との交換処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の変形例2に係る第2収集用無線機の交換処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態)
<自動検針システムの構成>
図1に示すように、実施の形態に係る無線機は、例えば、自動検針システム10に用いられる。自動検針システム10は、例えばガス、水道及び電気の使用量等のメータ11により検針された検針データ等の情報であるメータ情報を無線機により収集して、メータ情報を無線機から遠隔地の事業者のセンタ12に送信するシステムである。
【0024】
無線機は、メータ情報をメータ11から収集する1台以上の収集用無線機20、及び、収集されたメータ情報をセンタ12に送信する1台の送信用無線機30を有している。送信用無線機30は、センタ12との間に無線通信である送信用通信ネットワーク14を構築し、例えば、使用量を計測するメータ11に設けられている。
【0025】
収集用無線機20は、メータ11に導線によって接続されており、メータ情報をメータ11から取得する。また、収集用無線機20は、送信用無線機30と導線により接続された1つの無線機である親機20a、及び、送信用無線機30と接続されていない他の無線機である子機20bを有している。なお、収集用無線機20はメータ11と無線通信可能であってもよく、また、親機20aは送信用無線機30と無線通信可能であってもよい。
【0026】
親機20a及び子機20bは互いに無線通信により相互接続して、互いに情報を送信、受信及び中継して、収集用通信ネットワーク13を構築している。このようなマルチホップの収集用通信ネットワーク13において、子機20bは、メータ情報をメータ11から取得して、メータ情報を多段中継により親機20aに送る。親機20aは、子機20bからメータ情報を取得し、送信用無線機30に送る。そして、送信用通信ネットワーク14において送信用無線機30はメータ情報を無線通信により送信する。
【0027】
<収集用無線機の構成>
収集用無線機20は、
図2に示すように、他の収集用無線機20と共に無線通信の収集用通信ネットワーク13を構成すると共に、
図3に示すように、通信可能な設定器40を用いて新規の収集用無線機20と交換可能な無線機である。
図2に示すように、収集用無線機20は、情報を記憶する収集用記憶部21、情報を送受信する収集用送受信部22、収集用制御部23、第1収集用インターフェース24及び第2収集用インターフェース25を備えている。
【0028】
収集用記憶部21は、収集用制御部23にアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。ROMは、情報収集処理及び交換処理等の各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報を記憶し、RAMは、各種処理の実行における情報を一時的に記憶している。
【0029】
収集用制御部23は、例えば、CPU等のプロセッサ、又は、マイクロコンピュータにより構成されており、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、各種処理を実行する。収集用制御部23は、収集用通信ネットワーク13に属している既存の無線機として動作する第1モード、及び、収集用通信ネットワーク13に既に属している既存の無線機に替わって通信ネットワークに参入する新規の無線機として動作する第2モード、を有している。第1モード及び第2モードの詳細については後述する。
【0030】
第1収集用インターフェース24は、メータ11(
図1)に導線によって接続されており、メータ情報をメータ11から導線を介して受信する。収集用無線機20のうち親機20aでは、第2収集用インターフェース25は、送信用無線機30に導線によって接続されており、メータ情報を送信用無線機30に導線を介して送信する。なお、収集用無線機20がメータ11と無線通信する場合には、第1収集用インターフェース24は無線通信の送受信器であってもよい。また、収集用無線機20が送信用無線機30と無線通信する場合には、第2収集用インターフェース25は無線通信の送受信器であってもよい。
【0031】
収集用送受信部22は、アンテナを介して情報を無線通信にて送信する送信器、及び、アンテナを介して情報を無線通信にて受信する受信器を有している。なお、送信器及び受信器は、一体型であってもよいし、互いに別々に設けられていてもよい。
【0032】
<送信用無線機>
送信用無線機30は、情報を記憶する送信用記憶部31、情報を無線通信で送受信する送信用送受信部32、送信用制御部33、及び、送信用インターフェース34を備えている。送信用記憶部31は、送信用制御部33にアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。ROMは、情報送信処理等の各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報を記憶し、RAMは、各種処理の実行における情報を一時的に記憶している。
【0033】
送信用インターフェース34は、第2収集用インターフェース25に導線によって接続されており、メータ情報を親機20aの第2収集用インターフェース25から導線を介して受信する。なお、送信用制御部33は収集用制御部23と同様であり、送信用送受信部32は収集用送受信部22と同様である。
【0034】
<情報収集処理>
第1モードの収集用無線機20では、収集用記憶部21は、通信ネットワークに関する情報であるネットワーク情報を記憶している。ネットワーク情報は、通信ネットワークを利用する事業者に情報を送信するための宛先情報である送信者ID、通信ネットワークの識別情報であるネットワークID、通信ネットワークにおける無線機の識別情報である無線機ID、並びに、第1通信情報を含んでいる。
【0035】
送信者IDは、収集用無線機20が収集した情報をセンタ12に送信するために経由する送信用無線機30を、他の送信用無線機30と識別する情報であって、収集用無線機20が所属している収集用通信ネットワーク13の親機20aに接続されている送信用無線機30の識別情報が用いられる。ネットワークIDは、自動検針システム10に備えられた複数の収集用通信ネットワーク13において他の収集用通信ネットワーク13から、自己の収集用通信ネットワーク13を識別するための情報である。通信ネットワークにおける無線機IDは、収集用通信ネットワーク13において、他の収集用無線機20から、自己の収集用無線機20を識別するための情報である。
【0036】
第1通信情報は、収集用通信ネットワーク13における無線通信の周波数帯及び出力を含んでいる。この無線通信の周波数帯は、収集用通信ネットワーク13において他の収集用無線機20と無線通信する際に用いられる電波の周波数帯(チャンネル)である。無線通信の出力は、収集用通信ネットワーク13において他の収集用無線機20と無線通信する際に用いられる電波の強さである。
【0037】
情報収集処理では、収集用無線機20は、第1モードにおいて、収集用記憶部21に記憶された送信者ID、ネットワークID及び無線機IDを含んだ同期用信号であるビーコン(RIT Data Request)を所定の第1周期(例えば、5秒間隔)で発信しながら、ビーコンに伴って情報を送信する。そして、収集用無線機20は、ビーコンを発信してから、第1周期よりも短い第1所定時間、情報を受信可能とする。この情報の送信及び受信において、収集用無線機20は、収集用記憶部21に記憶された第1通信情報に応じた電波を用いて無線通信を行う。なお、第1所定時間は第1周期以上に延長されてもよい。
【0038】
ここで、子機20bの収集用無線機20は、メータ情報をメータ11から取得すると、メータ情報を収集用記憶部21に記憶すると共に、メータ情報を送信する。この収集用無線機20と同じ収集用通信ネットワーク13に属している他の収集用無線機20は、メータ情報を受信すると、このメータ情報をさらに別の収集用無線機20に送信する。これにより、収集用通信ネットワーク13において、メータ情報は収集用無線機20を中継されて、親機20aの収集用無線機20に送信される。
【0039】
<情報送信処理>
このような情報収集処理により、親機20aの収集用無線機20は、接続されているメータ11からメータ情報を受信したり、子機20bの収集用無線機20からメータ情報を受信したりする。そして、情報送信処理では、収集用無線機20は、受信したメータ情報を送信用無線機30に送信する。そして、送信用無線機30は、送信用通信ネットワーク14により、受信したメータ情報をセンタ12に送信する。
【0040】
<設定器>
図3に示すように、設定器40は、情報を記憶する設定用記憶部41、情報を無線通信で送受信する設定用送受信部42、及び、これらを制御する設定用制御部43を備えている。設定用記憶部41は、設定用制御部43にアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。ROMは、交換処理等の各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報を記憶し、RAMは、各種処理の実行における情報を一時的に記憶している。なお、設定用制御部43は収集用制御部23と同様であり、設定用送受信部42は収集用送受信部22と同様である。
【0041】
<交換処理>
収集用制御部23は、第1モードのとき、設定器40からの指令に基づいて、収集用記憶部21に記憶された通信ネットワークに関する情報であるネットワーク情報を、収集用送受信部22により設定器40へ送信すると共に、収集用記憶部21から当該ネットワーク情報を消去し、第2モードのとき、設定器40からの指令に基づいて、ネットワーク情報を、収集用送受信部22により設定器40から受信して収集用記憶部21に記憶させる。
【0042】
具体的には、例えば、設定器40を用いて第1収集用無線機20fから第2収集用無線機20sに交換する。この第1収集用無線機20fは、第1モードであって、収集用通信ネットワーク13に既に属している既存の収集用無線機20である。この収集用記憶部21は、ネットワーク情報及びメータ情報等を記憶している。第1収集用無線機20fは、ビーコンを第1周期で発信しながら、ネットワーク情報の第1通信情報に基づいた無線通信により設定器40と情報を送受信する。
【0043】
第2収集用無線機20sは、第2モードであって、第1収集用無線機20fに替わって収集用通信ネットワーク13に新たに参入する新規の収集用無線機20である。この収集用記憶部21は、第2収集用無線機20sの識別情報である無線機ID、及び、第2通信情報を初期情報として予め記憶している。
【0044】
第2通信情報は、設定器40との無線通信の周波数帯及び出力を含んでいる。この無線通信の周波数帯は、交換処理において設定器40と無線通信する際に用いられる電波の周波数帯(チャンネル)であって、第1通信情報の電波の周波数帯とは異なる。無線通信の出力は、交換処理において設定器40と無線通信する際に用いられる電波の強さである。
【0045】
第2収集用無線機20sは、自己の無線機IDを含んだビーコンを、第1周期よりも短い所定の第2周期(例えば、2秒間隔)で発信しながら、ビーコンに伴って情報を送信する。そして、第2収集用無線機20sは、ビーコンを送信してから、第2周期よりも短い第2所定時間、情報を受信可能とする。このような情報の送信及び受信において、第2収集用無線機20sは、第2通信情報の電波を用いて無線通信を行う。なお、第2所定時間は、第2周期以上に延長されてもよい。
【0046】
設定器40では、設定用記憶部41は、設定器40の識別情報である設定器ID、並びに、交換する第1収集用無線機20fの送信者ID、ネットワークID及び無線機ID、第2収集用無線機20sの無線機IDを記憶している。また、設定用記憶部41は、第1通信情報及び第2通信情報を記憶している。
【0047】
このような設定器40を用いて第1収集用無線機20fと第2収集用無線機20sとの間において、
図4のフローチャートの一例に示すように交換処理が実行される。この交換処理では、設定器40は、ユーザの指示等により交換処理を開始すると、第1通信情報に基づいた無線通信により第1収集用無線機20fからビーコンを受信する(ステップS1)。設定器40は、ビーコンに含まれたネットワークID及び無線機IDが設定用記憶部41に記憶されている第1収集用無線機20fのネットワークID及び無線機IDと一致するか判定する。これらが一致すれば、設定器40は、ビーコンを送信した無線機が交換する第1収集用無線機20fであると判定して、認証指令を送信する(ステップS2)。
【0048】
これに対し、第1収集用無線機20fは、認証指令を受信すると、指令応答を送信する(ステップS3)。これにより、設定器40と第1収集用無線機20fとのリンクが確立する。この状態において、設定器40は、ネットワーク情報の要求指令を送信する(ステップS4)。第1収集用無線機20fは、要求指令に応じて、収集用記憶部21に記憶されている情報からネットワーク情報を抽出し、ネットワーク情報を送信する(ステップS5)。ここで、ネットワーク情報が大きい場合には、第1収集用無線機20fはネットワーク情報を複数に分割して送信する。
【0049】
設定器40は、ネットワーク情報を受信すると、ネットワーク情報を設定用記憶部41に記憶して、終了指令を送信する(ステップS6)。このように、設定器40は、収集用記憶部21に記憶されている情報のうち、第1収集用無線機20fが属している収集用通信ネットワーク13が構成を保持するために必要な最小限のネットワーク情報を取得する。このため、設定器40と第1収集用無線機20fとの通信時間を短くすることができる。
【0050】
第1収集用無線機20fは、終了指令を受信すると、終了応答を送信する(ステップS7)。そして、第1収集用無線機20fは、収集用送受信部22の送受信機能をオフにする(ステップS8)。これにより、第1収集用無線機20fは、収集用送受信部22による情報の送受信ができなくなる。また、第1収集用無線機20fは、収集用記憶部21からネットワーク情報を消去する(ステップS9)。これにより、第1収集用無線機20fは、ネットワーク情報に基づいた無線通信ができなくなる。このようにして、第1収集用無線機20fは休止する。このため、第1収集用無線機20fにより、第2収集用無線機20sの収集用通信ネットワーク13への参入が阻害され難くなる。
【0051】
続いて、設定器40は、ステップS7における第1収集用無線機20fからの終了応答を受信すると、第1通信情報に基づいた無線通信から、第2通信情報に基づいた無線通信に変更する(ステップS10)。これにより、設定器40と第2収集用無線機20sとの間の無線通信の周波数帯は、第1収集用無線機20fの無線通信に用いられる無線通信の周波数帯とは異なる。
【0052】
このため、設定器40は、第1通信情報と異なる第2通信情報に基づいて無線通信を行うことにより、第2収集用無線機20sを容易に特定することができる。また、設定器40は、第1通信情報に基づいた無線通信により第1収集用無線機20fと情報を送受信せずに、第2通信情報に基づいた無線通信により第2収集用無線機20sと情報を送受信する。このため、設定器40は第2収集用無線機20sとの交換処理を迅速に実行することができる。
【0053】
また、第2収集用無線機20sはユーザの操作等により起動し(ステップS11)、ビーコンを第2周期で発信する。これに対し、設定器40は、第2収集用無線機20sからビーコンを受信し(ステップS12)、ビーコンに含まれた無線機IDが設定用記憶部41に記憶されている第2収集用無線機20sの無線機IDと一致すると、認証指令を送信する(ステップS13)。
【0054】
これに対し、第2収集用無線機20sは、認証指令を受信すると、指令応答を送信する(ステップS14)。これにより、設定器40と第2収集用無線機20sとのリンクが確立する。そして、設定器40は、指令応答を受信すると、ネットワーク情報を送信する(ステップS15)。これに対し、第2収集用無線機20sは、ネットワーク情報を受信し、収集用記憶部21に記憶する(ステップS16)。ここで、ネットワーク情報が大きい場合には、設定器40はネットワーク情報を複数に分割して送信する。第2収集用無線機20sは、ネットワーク情報を受信すると、受信応答を送信する(ステップS17)。
【0055】
設定器40は、受信応答を受信すると、終了指令を送信する(ステップS18)。第2収集用無線機20sは、終了指令を受けると、モードを第2モードから第1モードに変更し、第2通信情報の電波を用いた無線通信から、ネットワーク情報の第1通信情報の電波を用いて無線通信に変更する。さらに、第2収集用無線機20sは、ビーコンの周期を第2周期から第1周期に変更する(ステップS19)。これにより、第2収集用無線機20sは、交換処理を終了し、情報収集処理を開始する。第2収集用無線機20sは、ネットワーク情報を用いることにより、第1収集用無線機20fに替えて収集用通信ネットワーク13に属して、情報収集処理を実行することができる。
【0056】
このように、交換処理において、第1モードの既存の第1収集用無線機20fは、属している収集用通信ネットワーク13のネットワーク情報を設定器40を介して、第2モードの新規の第2収集用無線機20sに渡す。このため、第1収集用無線機20fが収集用通信ネットワーク13に参入したときと収集用通信ネットワーク13の状況が変化していても、第2収集用無線機20sは第1収集用無線機20fのネットワーク情報を用いて第1収集用無線機20fが属していた収集用通信ネットワーク13に同一の無線機として参入することができる。よって、収集用通信ネットワーク13の再構築に時間を要さずに収集用無線機20の交換時間の短縮化を図ることができる。
【0057】
また、第1収集用無線機20fがネットワーク情報を設定器40に送信した後、収集用記憶部21からネットワーク情報を消去することにより、第1収集用無線機20fと第2収集用無線機20sとは同じネットワーク情報を有さない。このため、第1収集用無線機20fが第2収集用無線機20sの収集用通信ネットワーク13への参入を阻害せずに、収集用無線機20の交換時間の短縮化を図ることができる。
【0058】
<変形例1>
変形例1に係る収集用制御部23では、上記実施の形態において、ネットワーク情報は、情報の送信回数を含む。収集用制御部23は、第2モードにおいて鍵情報を設定器40から受信し、第1モードにおいてネットワーク情報に基づいた他の第1無線機との無線通信において鍵情報及び送信回数により情報を暗号化して送信する。
【0059】
具体的には、第1収集用無線機20fは、送信回数及び鍵情報を収集用記憶部21に記憶している。そして、第1収集用無線機20fは、情報収集処理、又は、交換処理及び情報収集処理において収集用送受信部22から情報を送信する度に、収集用記憶部21の送信回数に1を加えて収集用記憶部21に記憶し、送信回数を更新していく。鍵情報は、セッション鍵等であって、送信不可能に設定されている。
【0060】
交換処理では、
図4のステップS5において、第1収集用無線機20fは、この送信回数、送信者ID、ネットワークID、無線機ID及び第1通信情報をネットワーク情報として設定器40に送信する。
【0061】
設定器40は、交換処理前に、センタ12から鍵情報を取得して設定用記憶部41に記憶しておく。そして、交換処理では、
図4のステップS15において、設定器40は、第1収集用無線機20fからのネットワーク情報と共に、センタ12からの鍵情報を送信する。これに応じ、
図4のステップS16において、第2収集用無線機20sはネットワーク情報及び鍵情報を受信して収集用記憶部21に記憶する。
図4のステップS19において、第2収集用無線機20sは、モード、送信情報及びビーコンの周期を変更して交換処理を終了した後、情報収集処理において、収集用記憶部21に記憶しているネットワーク情報の送信回数、及び、鍵情報を用いて情報を暗号化して送信する。
【0062】
このように、収集用記憶部21に記憶されている鍵情報は送信できない。また、鍵情報は、センタ12で管理され、交換処理前に設定器40によりセンタ12から取得されて交換処理において第2収集用無線機20sに送信される。このため、鍵情報の漏洩が防止され、情報収集処理のセキュリティの向上が図られる。
【0063】
また、第1収集用交換機から取得した送信回数と、設定器40が保管している鍵情報とを、第2収集用無線機20sは情報収集処理における情報の暗号化に用いている。このように、取得元が異なる2つの情報を用いることにより、情報収集処理のセキュリティの向上が図られる。
【0064】
<変形例2>
変形例2に係る収集用無線機20では、上記実施の形態及び変形例1において、収集用制御部23は、第2モードにおいて、ネットワーク情報に基づいた他の収集用無線機20との無線通信が可能でないと判定した場合、ネットワーク情報を収集用記憶部21から消去し、無線通信可能な別の収集用無線機20から情報を受信し、別の収集用無線機20との通信状況を示す情報を検出し、受信した情報及び検出した情報を別の収集用無線機20である第3収集用無線機20t(
図3)の無線機情報として取得し、第3収集用無線機20tが属している収集用通信ネットワーク13が参入可能な通信ネットワークであるか無線機情報に基づいて判定する。
【0065】
具体的には、第1収集用無線機20fの収集用記憶部21は、ネットワーク情報に加えて、ランク及びホップ数テーブルをさらに記憶している。
【0066】
<ランク>
ランクは、収集用通信ネットワーク13における自己の収集用無線機20から親機20aまでのホップ数のうち最小のものであって、例えば0h~Fhがランクとして設定される。ランクは、ホップ数テーブル交換毎に更新される。
【0067】
例えば、親機20aのランクは0hと設定される。また、親機20aと1ホップで隣接する収集用無線機20のランクは、1hが設定される。収集用無線機20が収集用通信ネットワーク13に属しており、且つ、子機20bである場合、親機20aまでの通信ルートが複数ある場合、各通信ルートにおけるホップ数のうちの最も小さいものをランクとして設定される。さらに、収集用無線機20が収集用通信ネットワーク13に属していない場合、及び、故障等により収集用通信ネットワーク13において親機20aを認識できない場合、ランクはFhに設定される。
【0068】
<ホップ数テーブル>
ホップ数テーブルは、収集用通信ネットワーク13に属している収集用無線機20の無線機IDと、その収集用無線機20のホップ数と、を対応付けた情報である。ホップ数テーブルは、自己の収集用無線機20の情報だけでなく、収集用通信ネットワーク13に参入済みで隣接した他の収集用無線機20の情報も保持している。ホップ数は、収集用通信ネットワーク13の親機20aに到達するまでに経由する収集用無線機20(子機20b)の数となる。
【0069】
例えば、ホップ数テーブルは、収集用無線機20が収集用通信ネットワーク13に参入した際、及び、所定時間毎に、無線通信可能な他の収集用無線機20との間において無線通信により交換される。収集用無線機20は、他の収集用無線機20から受信したホップ数テーブルに応じて自己の収集用無線機20のホップ数テーブルを更新する。例えば、収集用無線機20は、無線通信可能な他の収集用無線機20のホップ数に1hを足して、自己の収集用無線機20のホップ数とする。このため、収集用通信ネットワーク13における収集用無線機20の参入及び離脱に応じて、その収集用無線機20と無線通信する他の収集用無線機20から順にホップ数テーブルが更新される。なお、収集用無線機20は、収集用通信ネットワーク13に参入する前に自己端末のホップ数テーブルを初期化した後、他端末からホップ数テーブルを受信する。
【0070】
<交換処理>
交換処理では、
図4のステップS1~S19が実施される。ただ、このステップS19において、第2収集用無線機20sは、通信情報及びビーコンの周期を変更するが、第2モードを変更せずに、交換処理を継続する。第2収集用無線機20sは、第1収集用無線機20fのネットワーク情報を用いることにより、第1収集用無線機20fに替わって第1収集用無線機20fが属していた収集用通信ネットワーク13に参入できるはずである。しかしながら、何らかの理由により、この収集用通信ネットワーク13に参入できないおそれがある。
【0071】
そこで、第2収集用無線機20sは、
図5のステップS20の処理を実行し、第1収集用無線機20fが属していた収集用通信ネットワーク13に参入することができるか否かを判定する。このため、第2収集用無線機20sは、第1通信情報に基づいた無線通信により、ネットワーク情報のネットワークID及び無線機IDを含むビーコンを第1周期で発信しながら、ビーコンに伴って更新指令を送信する。
【0072】
第1収集用無線機20fが属していた収集用通信ネットワーク13における他の収集用無線機20は、更新指令を受信すると、そのビーコンに含まれたネットワークIDが自己のネットワークIDと一致すると、無線機IDと共に更新指令を送信する。これにより、更新指令及び第2収集用無線機20sの無線機IDは中継されて親機20aに送信される。親機20aは、更新指令に応じて、収集用通信ネットワーク13における無線機IDを新たに発行し、これを収集用記憶部21において更新すると共に、他の収集用無線機20を介して第2収集用無線機20sに送信する。
【0073】
第2収集用無線機20sは、親機20aによって発行された新しい無線機IDを受信すると、他の収集用無線機20との無線通信が可能であると判定する(ステップS20:YES)。これにより、第2収集用無線機20sは、無線機IDを第1収集用無線機20fの無線機IDから新しい無線機IDに更新し、モードを第2モードから第1モードに変更して、交換処理を終了し、情報収集処理を開始する。
【0074】
一方、第2収集用無線機20sは、親機20aから新しい無線機IDを受信しない場合、他の収集用無線機20との無線通信が可能でないと判定する(ステップS20:NO)。この場合、第2収集用無線機20sは、第1通信情報を除いたネットワーク情報を収集用記憶部21から消去して(ステップS21)、ネットワーク情報を用いた収集用通信ネットワーク13への参入を断念する。
【0075】
そして、第2収集用無線機20sは、
図5のステップS22以降の処理を実行して、収集用通信ネットワーク13への自動参入処理を行う。なお、参入を試みる収集用通信ネットワーク13は、第1収集用無線機20fが属していた収集用通信ネットワーク13と同じ通信ネットワークであってもよいし、別の通信ネットワークであってもよい。
【0076】
このため、第2収集用無線機20sは、初期情報の無線機ID、及び、ネットワーク情報の第1通信情報を収集用記憶部21に記憶している。これにより、第2収集用無線機20sは、第1通信情報に基づいた無線通信により、無線機IDを含むビーコンを第1周期で発信して、ビーコンに伴って情報を送信する。
【0077】
また、第2収集用無線機20sは、事業者ID及びランクFhは収集用記憶部21に予め記憶している。この事業者IDは、自動検針システム10に用いられる複数の収集用通信ネットワーク13を含む通信ネットワークを他の通信ネットワークと識別する情報であって、例えば、ガス供給事業者等、自動検針システム10を利用している事業者を識別する情報が用いられる。
【0078】
自動参入処理では、第2収集用無線機20sは、周囲に存在する収集用通信ネットワーク13に参入済みの収集用無線機20を確認するための通信(RITスキャン処理)を実行する(ステップS22)。このRITスキャン処理により、第2収集用無線機20sは、別の収集用無線機20である第3収集用無線機20tが発するビーコンを受信し、これに伴う情報を受信する。この第3収集用無線機20tは、1台であっても、複数であってもよい。第3収集用無線機20tからの情報には、ネットワークID、無線機ID及びランクが含まれている。
【0079】
第2収集用無線機20sが、複数の第3収集用無線機20tからビーコンを受信した場合、これらのビーコンに含まれるネットワークIDを比較し、ネットワークIDが同じ場合、これらのビーコンに含まれるランクを比較し、最も小さいランクのビーコンに含まれている情報を受信情報とする。
【0080】
また、第2収集用無線機20sは、第3収集用無線機20tからビーコンを受信した際に、第3収集用無線機20tとの通信状況を示す情報を取得する。この通信状況を示す情報は、第3収集用無線機20tとの間の通信安定性を示す情報であって、第3収集用無線機20tとの間の電解強度測定値であり、例えば、ビーコンを受信した際の信号の強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))である。そして、第2収集用無線機20sは、受信情報と通信状況を示す情報とを対応付けて無線機情報として取得し収集用記憶部21に記憶する(ステップS23)。
【0081】
第2収集用無線機20sは、複数の無線機情報を取得した場合、これらのうち、ランクがFhでない無線機情報をランクが小さい方から順に並べる。さらに、複数の無線機情報のランクが同じ場合、第2収集用無線機20sは、これらの無線機情報をRSSIの大きい順に並べる。そして、第2収集用無線機20sは、この順において、ランクが小さい方から、且つ、同じランクの無線機情報においてはRSSIが大きい方から、所定数(例えば、3つ)の無線機情報を選択する(ステップS24)。これにより、所定の事業者の自動検針システム10における収集用通信ネットワーク13に参入済みであって、通信状況が安定し、且つ、親機20aからできる限り近い収集用無線機20が、選択される。
【0082】
続いて、第2収集用無線機20sは、台数取得処理を実行して、ステップS24で選択した第3収集用無線機20tに、台数要求を事業者IDと共に送信する(ステップS25)。これに応じて、第3収集用無線機20tは、受信した事業者IDが自己に記憶されている事業者IDと一致すれば、収集用記憶部21に記憶しているホップ数テーブルにおける無線機IDの一覧に基づいて、自己の収集用通信ネットワーク13に属する全ての収集用無線機20の台数を抽出し送信する。これにより、第2収集用無線機20sは、第3収集用無線機20tが属する収集用通信ネットワーク13の収集用無線機20の台数を受信して、収集用記憶部21に記憶する(ステップS26)。
【0083】
続いて、第2収集用無線機20sは、判定処理を実行し、第3収集用無線機20tが属している収集用通信ネットワーク13が参入可能な収集用通信ネットワーク13の候補であるか無線機情報に基づいて判定する。判定処理では、第2収集用無線機20sは、判定処理が初回であるか否かを判定する(ステップS27)。ここで、ステップS21にてネットワーク情報を消去してから、初めての判定処理の実行であれば、第2収集用無線機20sは、初回の判定処理であると判定し(ステップS7:YES)、台数が第1閾値(例えば、30台)以下であるか否かを判定する(ステップS28)。
【0084】
ステップS28の判定処理において台数が第1閾値以下であれば(ステップS28:YES)、第2収集用無線機20sは、その台数の収集用通信ネットワーク13を候補と判定する。一方、台数が第1閾値より大きければ、第2収集用無線機20sは、その台数の収集用通信ネットワーク13を参入不可能であると判定し、候補から除外する。この判定を、第2収集用無線機20sは、台数を取得した全ての収集用通信ネットワーク13に対して行う。この結果、収集用通信ネットワーク13の候補がなければ(ステップS28:NO)、第2収集用無線機20sはステップS22の処理に戻り、これ以降の処理を実行する。
【0085】
一方、初回の判定処理でない場合(ステップS27:NO)、第2収集用無線機20sは、台数が、第2閾値以下の収集用通信ネットワーク13があるか否かを判定する(ステップS29)。この第2閾値は、第1閾値より大きく、例えば、収集用記憶部21に記憶可能な収集用無線機20の最大台数等、収集用記憶部21の記憶容量に基づいて設定され、例えば、50台である。
【0086】
台数が第2閾値以下であれば、第2収集用無線機20sはその収集用通信ネットワーク13を候補と判定する(ステップS29:YES)。一方、台数が第2閾値より大きければ、第2収集用無線機20sはその収集用通信ネットワーク13には参入不可能であると判定し、その収集用通信ネットワーク13を候補から除外する。この判定を、台数を取得した全ての収集用通信ネットワーク13に対して行い、全ての台数が第2閾値より大きければ、候補がないと判定する(ステップS29:NO)。そして、第2収集用無線機20sはステップS22の処理に戻り、これ以降の処理を実行する。
【0087】
このように、第2閾値よりも小さな第1閾値に基づいて台数を初回に判定することにより、複数の収集用通信ネットワーク13のそれぞれに属する収集用無線機20の台数を均等化することができる。これにより、複数の収集用通信ネットワーク13のうちのいずれか一部の収集用通信ネットワーク13内の端末台数が過剰に増加し、この収集用通信ネットワーク13においてホップ数テーブル等の情報量及び通信料が増え、この収集用通信ネットワーク13に属する収集用無線機20の電池が消耗することを抑制することができる。
【0088】
このような判定処理の結果、収集用通信ネットワーク13の候補があれば(ステップS28:YES、ステップS29:YES)、第2収集用無線機20sは無線機IDの要求処理を実行する。要求処理では、第2収集用無線機20sは、候補のネットワークID、その収集用通信ネットワーク13における最小ランク及びその無線機ID、第3収集用無線機20tとのRSSIを収集用記憶部21に記憶する。そして、第2収集用無線機20sは、候補の中から、ランクが小さいほど、収集用通信ネットワーク13の優先順位を高く設定する。ここで、候補のランクが等しい場合、その第3収集用無線機20tのRSSIが高いほど、優先順位を高くする。そして、第2収集用無線機20sは、この優先順位に従って決定した候補に対し無線機IDの要求処理を実行する。
【0089】
要求処理では、第2収集用無線機20sは、候補の収集用通信ネットワーク13において第3収集用無線機20tに、その収集用通信ネットワーク13における無線機IDの発行を要求する発行指令を事業者IDと共に送信する(ステップS30)。この第3収集用無線機20tが親機20aである場合、受信した事業者IDが自己に記憶されている事業者IDと一致すれば、第3収集用無線機20tは発行指令に応じて無線機IDを発行し鍵情報と共に送信すると共に、無線機IDを子機20bの情報として収集用記憶部21に記憶する。一方、第3収集用無線機20tが子機20bである場合、受信した事業者IDが自己に記憶されている事業者IDと一致すれば、第3収集用無線機20tは中継して発行指令を親機20aに送信する。親機20aは、発行指令に応じて無線機IDを発行し鍵情報と共に送信すると共に、無線機IDを子機20bの情報として収集用記憶部21に記憶する。
【0090】
第2収集用無線機20sは、無線機ID及び鍵情報を取得して(ステップS31:YES)、これらを記憶する(ステップS32)。また、これらの情報と共に、第2収集用無線機20sは、所属する収集用通信ネットワーク13のネットワークID、及び、情報を送信するための送信者IDを、親機20a又は第3収集用無線機20tから取得して、これらを情報収集処理における通信情報として設定とする。これにより、第2収集用無線機20sは収集用通信ネットワーク13に算入でき、通信情報に基づいた無線通信によりビーコンを周期的に発する。
【0091】
一方、ステップS31の処理において、第2収集用無線機20sは、候補の収集用通信ネットワーク13における第3収集用無線機20tから無線機IDを取得することができない場合(ステップS31:NO)、候補が残っている場合には(ステップS33:NO)、優先順位に従って次の候補の収集用通信ネットワーク13における第3収集用無線機20tに対して発行指令を送信する(ステップS30)。
【0092】
これに対して、第2収集用無線機20sは、全ての候補から無線機IDを受信できない場合(ステップS31:NO、S33:YES)、全ての候補に対して発行指令の送信を所定回数行う(ステップS30~S34:NO)。この発行要求の再送信を全候補に対して所定回数、行っても(ステップS34:YES)、第2収集用無線機20sが無線機IDを受信できない場合(ステップS31:NO)、参入可能な収集用通信ネットワーク13がないとする。そして、第2収集用無線機20sは、発行指令から所定時間が経過すると(ステップS35:YES)、第2収集用無線機20sはステップS22の処理に戻り、これ以降の処理を実行する。
【0093】
これにより、収集用通信ネットワーク13への自動参入処理が自動的に周期的に繰り返されることにより、ユーザが収集用通信ネットワーク13への参入するための作業を繰り返す必要がなく、作業性に優れている。また、近くに参入可能な収集用通信ネットワーク13が新たに構築されると、その収集用通信ネットワーク13に第2収集用無線機20sは自動的に参入できる。
【0094】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の無線機は、無線機の交換時間の短縮化を図ることができる無線機等として有用である。
【符号の説明】
【0096】
11 :メータ
13 :収集用通信ネットワーク
20a :親機
20b :子機
20f :第1収集用無線機
20s :第2収集用無線機
21 :収集用記憶部
22 :収集用送受信部
23 :収集用制御部
40 :設定器