(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145086
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】コイル部品及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20220926BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20220926BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01F17/04 Z
H01F27/29 123
H01F27/32 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046344
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】勅使川原 秀多
(72)【発明者】
【氏名】長野 将典
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB10
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】外部電極が意図しない部分に延びて形成されることを抑制すること。
【解決手段】コイル部品300は、鉄を主成分とする軟磁性合金からなる金属磁性粒子を含む磁性基体10と、磁性基体10に設けられるコイル導体30と、磁性基体10の表面に設けられ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンのうちの少なくとも1つのフィラーを含有する低温焼結ガラスからなるガラス膜50と、ガラス膜50に接して設けられ、コイル導体30に電気的に接続される外部電極60と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄を主成分とする軟磁性合金からなる金属磁性粒子を含む磁性基体と、
前記磁性基体に設けられるコイル導体と、
前記磁性基体の表面に設けられ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンのうちの少なくとも1つのフィラーを含有する低温焼結ガラスからなるガラス膜と、
前記ガラス膜に接して設けられ、前記コイル導体に電気的に接続される外部電極と、を備えるコイル部品。
【請求項2】
前記外部電極は、金属膜と前記金属膜上のめっき膜とを含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記ガラス膜は、前記フィラーを10体積%以上含有する、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記ガラス膜は、酸化チタンフィラー及び酸化ジルコニウムフィラーの少なくとも一方を含有するホウ珪酸ガラスからなる、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記ガラス膜は、前記磁性基体と前記外部電極との間に挟まれて設けられ、前記外部電極よりも大きな外形を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記ガラス膜は、前記磁性基体の稜線に接して設けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記ガラス膜は、前記外部電極と異なる色を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記ガラス膜は、酸化マンガン、酸化コバルト、及びフェライトうちの少なくとも1つからなるフィラーを含有することで前記外部電極と色が異なる、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のコイル部品と、
前記コイル部品が実装されている回路基板と、を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
フェライトの代わりに磁気飽和特性に優れた軟磁性合金からなる金属磁性粒子を用いることがある。例えば、鉄、シリコン、アルミニウムを主成分とする合金粉末とホウ珪酸系ガラス又はシリカを含む耐熱性接着剤との複合体により形成された磁性体層と、導電性粉末により形成された導電体層と、を積層することでコイル部品を形成することが知られている(例えば特許文献1)。また、金属磁性粒子と熱硬化性樹脂を含有する金属磁性体ペーストにより形成された金属磁性体層と、導体ペーストにより形成された導体パターンと、を積層することでコイル部品を形成することが知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-148118号公報
【特許文献2】特開2007-27353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軟磁性合金は、フェライトに比べて、電気抵抗が低い。このため、軟磁性合金からなる金属磁性粒子を用いて形成された磁性基体の表面に、電解めっき法を用いて外部電極を形成する場合に、外部電極が意図しない部分にまで延びて形成されてしまうことがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、外部電極が意図しない部分に延びて形成されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鉄を主成分とする軟磁性合金からなる金属磁性粒子を含む磁性基体と、前記磁性基体に設けられるコイル導体と、前記磁性基体の表面に設けられ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンのうちの少なくとも1つのフィラーを含有する低温焼結ガラスからなるガラス膜と、前記ガラス膜に接して設けられ、前記コイル導体に電気的に接続される外部電極と、を備えるコイル部品である。
【0007】
上記構成において、前記外部電極は、金属膜と前記金属膜上のめっき膜とを含む構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記ガラス膜は、前記フィラーを10体積%以上含有する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記ガラス膜は、酸化チタンフィラー及び酸化ジルコニウムフィラーの少なくとも一方を含有するホウ珪酸ガラスからなる構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記ガラス膜は、前記磁性基体と前記外部電極との間に挟まれて設けられ、前記外部電極よりも大きな外形を有する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記ガラス膜は、前記磁性基体の稜線に接して設けられる構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記ガラス膜は、前記外部電極と異なる色を有する構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記ガラス膜は、酸化マンガン、酸化コバルト、及びフェライトうちの少なくとも1つからなるフィラーを含有することで前記外部電極と色が異なる構成とすることができる。
【0014】
本発明は、上記に記載のコイル部品と、前記コイル部品が実装されている回路基板と、を備える電子機器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外部電極が意図しない部分に延びて形成されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1(a)は、本願発明の第1の実施形態に係るコイル部品の斜視図であり、
図1(b)は、
図1のコイル部品をA方向から見た平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のコイル部品の磁性基体の分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、第1の比較形態に係るコイル部品の下面図であり、
図4(b)は、外部電極近傍の断面図である。
【
図5】
図5(a)は、第2の比較形態に係るコイル部品の外部電極近傍の断面図であり、
図5(b)は、めっき膜を形成する前の断面図である。
【
図6】
図6(a)は、析出物近傍の走査型電子顕微鏡像の模式図であり、
図6(b)から
図6(d)は、
図6(a)部分の、エネルギー分散型X線分析画像の模式図である。
【
図7】
図7(a)は、第1の実施形態に係るコイル部品の走査型電子顕微鏡像の模式図であり、
図7(b)から
図7(e)は、
図7(a)部分の、エネルギー分散型X線分析画像の模式図である。
【
図8】
図8(a)は、第1の実施形態に係るコイル部品の下面図であり、
図8(b)は、外部電極近傍の断面図である。
【
図9】
図9は、バレル研磨を行った後のコイル部品の磁性基体の稜線(辺)のR部に設けられた外部電極の部分の断面図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の変形例に係るコイル部品の外部電極を透視してガラス膜の状態を示した平面図である。
【
図11】
図11(a)は、本願発明の第2の実施形態に係るコイル部品の斜視図であり、
図11(b)は、
図11(a)のコイル部品の断面図である。
【
図12】
図12(a)は、本願発明の第3の実施形態に係るコイル部品の斜視図であり、
図12(b)は、
図12(a)のコイル部品の断面図である。
【
図13】
図13(a)は、本願発明の第4の実施形態に係るコイル部品の斜視図であり、
図13(b)は、
図13(a)のコイル部品の断面図である。
【
図14】
図14は、本願発明の第5の実施形態に係るコイル部品の断面図である。
【
図15】
図15は、本願発明の第1の実施形態に係るコイル部品を備える電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を適宜参照しながら、本願発明の実施形態について説明する。但し、本願発明は図示された態様に限定される訳ではない。また、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0018】
[第1の実施形態]
図1(a)は、本願発明の第1の実施形態に係るコイル部品300の斜視図であり、
図1(b)は、
図1のコイル部品300をA方向から見た平面図である。
図1(b)では、外部電極60を透視して図示している。
図2は、
図1のコイル部品300の断面図である。
図3は、
図1のコイル部品300の磁性基体10の分解斜視図である。なお、
図1(a)及び
図2では、図の明確化のために、後述する
図8とは外部電極60の4辺それぞれの部分でのガラス膜50の大きさが異なり、ガラス膜50の露出部を大きく図示している。
図1(a)、
図1(b)、
図2、及び
図3には、様々な回路で受動素子として用いられる積層インダクタが示されている。積層インダクタは、本願発明に適用可能なコイル部品の一例である。本願発明は、DC-DCコンバータに用いられるパワーインダクタ又はそれ以外の様々なコイル部品に適用することができる。
【0019】
本第1の実施形態におけるコイル部品300は、
図1(a)、
図1(b)、
図2、及び
図3に示すように、磁性基体10と、磁性基体10に埋設されたコイル導体30と、ガラス膜50と、コイル導体30に電気的に接続された一対の外部電極60と、を備える。コイル部品300の「長さ」方向、「幅」方向、「高さ」方向をそれぞれ、「L軸」方向、「W軸」方向、「T軸」方向とする。L軸、W軸、T軸は、互いに直交している。コイル導体30のコイル軸Aは、T軸方向に沿って延びている。磁性基体10の大きさは、特に制限を受けないが、例えば長さ寸法(L軸方向の寸法)が0.2mm~6.0mm、幅寸法(W軸方向の寸法)が0.1mm~4.5mm、高さ寸法(T軸方向の寸法)が0.1mm~4.0mmである。
【0020】
磁性基体10は、概ね直方体の形状(略直方体形状)をしている。磁性基体10は、6つの面によって外面が画定されている。なお、略直方体形状とは、各頂点が丸みを帯びている場合、各稜(各面の境界部)が丸みを帯びている場合、又は各面が曲面を有している場合などを含むものである。
【0021】
本第1の実施形態において、コイル部品300の上下方向を言及する場合には、
図1(a)、
図2、及び
図3における上下方向を基準とする。つまり、T軸方向の正方向を上方向、負方向を下方向とする。
【0022】
磁性基体10は、鉄を主成分とする軟磁性合金からなる金属磁性粒子を含んで形成されている。本第1の実施形態では、磁性基体10は、複数の金属磁性粒子が金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜を介して結合することで形成されているとするが、磁性基体10は、複数の金属磁性粒子が樹脂により固められることで形成されてもよい。金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜は、軟磁性合金の酸化物である。鉄を主成分とするとは、軟磁性合金を構成する元素の合計量に対する鉄の割合が50wt%(重量%)以上の場合であり、70wt%以上の場合でもよく、80wt%以上の場合でもよく、90wt%以上の場合でもよい。
【0023】
例えば、金属磁性粒子は、鉄とシリコンを含む合金粒子であってもよいし、鉄と鉄よりもイオン化傾向が大きい金属元素Mとを含む合金粒子であってもよい。金属元素Mとして、例えばクロム、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、マンガン等が挙げられる。一例として、金属磁性粒子は、鉄とシリコンと鉄よりもイオン化傾向が大きい1種類以上の金属元素M(例えばクロム及びアルミニウムの少なくとも一方)との合金粒子であってもよい。鉄の割合は85wt%~97wt%、シリコンの割合は1.5wt%~7wt%、金属元素Mの割合は1.5wt%~8wt%であってもよい。金属磁性粒子は、酸素及び/又は炭素などの意図しない不純物を含んでいてもよい。不純物の割合は1wt%以下であってもよい。また、金属磁性粒子は、コバルト、ニッケル、銅、硫黄、リン、及び/又はホウ素などを含んでいてもよい。金属磁性粒子の組成比は、例えば磁性基体10の断面を走査型電子顕微鏡により2000倍から20000倍程度で撮影し、エネルギー分散型X線分析(EDS)によるZAF法で算出することができる。
【0024】
コイル導体30は、周回部32を有する。周回部32は、周回パターンC11~C15とビアV1~V4とを有する。周回パターンC11~C15は、コイル軸Aに直交する平面(LW平面)に沿って延びるとともに、コイル軸Aの方向(T軸方向)において互いに離れている。周回パターンC11~C15のうちT軸方向で隣接する周回パターンは、ビアV1~V4を介して電気的に接続されている。これにより、コイル軸Aを周回する周回部32が形成される。
【0025】
周回部32の一端は、ビアV5、V6により形成される引出部34aにより一方の外部電極60に電気的に接続されている。周回部32の他端は、ビアV11~V16により形成される引出部34bにより他方の外部電極60に電気的に接続されている。
【0026】
磁性基体10は、周回部32が設けられた磁性体層11~15からなる本体部20と、本体部20上に設けられ、1又は複数の層からなる上部カバー層16と、本体部20下に設けられ、1又は複数の層からなる下部カバー層17と、を有する。周回パターンC11及びビアV1、V11は磁性体層11に形成され、周回パターンC12及びビアV2、V12は磁性体層12に形成され、周回パターンC13及びビアV3、V13は磁性体層13に形成され、周回パターンC14及びビアV4、V14は磁性体層14に形成され、周回パターンC15及びビアV5、V15は磁性体層15に形成されている。ビアV6、V16は下部カバー層17に形成されている。
【0027】
周回パターンC11~C15及びビアV1~V6、V11~V16は、導電性に優れた金属材料、例えば銀、パラジウム、銅、アルミニウム、又はこれらの合金により形成される。
【0028】
ガラス膜50は、磁性基体10の表面に設けられている。本第1の実施形態では、ガラス膜50は、磁性基体10の外面を構成する6つの面のうちの下面に、L軸方向に分離して設けられている。ガラス膜50は、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び酸化タングステン(WO3)のうちの少なくとも一つの金属酸化物フィラーを含有する低温焼結ガラスにより形成されている。例えば、ガラス膜50は、酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスにより形成されているとする。酸化チタンフィラーの含有量は、例えば10vol%(体積パーセント)以上である。ガラス膜50中のガラス部分と金属酸化物フィラー部分はSEM観察によって区別できる。例えば、ガラス部分は不定形状に観察される。金属酸化物フィラー部分は粒界を持つ粒子として観察される。両者はコントラストによって区別でき、又、EDS分析によって成分分析を行うことで区別することも出来る。
【0029】
外部電極60は、ガラス膜50に接して設けられている。外部電極60は、平面視において、ガラス膜50と重なるように設けられていてもよい。本第1の実施形態では、外部電極60は、引出部34aまたは引出部34bが磁性基体10より露出されている部分とその周囲に設けられた開口52aまたは開口52bの部分を除いて、ガラス膜50の下面に設けられている。すなわち、引出部34aまたは引出部34bが磁性基体10より露出されている部分とその周囲に設けられた開口52aまたは開口52bの部分を除いて、外部電極60と磁性基体10の間にガラス膜50が挟まれている。平面視において、ガラス膜50は外部電極60よりも大きい。すなわち、平面視において、外部電極60はガラス膜50全てを覆っておらず、ガラス膜50が単独で目視できる部分がある。一対の外部電極60のうちの一方は、ガラス膜50に設けられた開口52aに埋め込まれることで引出部34aに電気的に接続され、他方は、ガラス膜50に設けられた開口52bに埋め込まれることで引出部34bに電気的に接続されている。開口52aまたは開口52bの大きさは引出部34aまたは引出部34bが磁性基体10より露出されている部分より大きく、その周囲にまで設けられていることが望ましいが、引出部34aまたは引出部34bが磁性基体10より露出されている部分と同じ寸法に設けられていてもよい。また、開口52aまたは開口52bの大きさが引出部34aまたは引出部34bが磁性基体10より露出されている部分に対して小さく、引出部34aまたは引出部34bが磁性基体10より露出されている部分の一部をガラス膜50が覆っていてもよい。外部電極60は、金属膜62と、金属膜62の下面に設けられためっき膜64と、を有する。金属膜62は、例えば銀、パラジウム、銅、又はこれらの合金により形成される。めっき膜64は、例えばニッケルめっき膜と錫めっき膜との積層膜である。
【0030】
[製造方法]
本第1の実施形態に係るコイル部品300の製造方法の一例を説明する。まず、上部カバー層16となる上部積層体を形成する。上部積層体は、複数の磁性体シートを積層することにより形成される。磁性体シートは、例えば、プラスチック製のベースフィルムの表面にスラリーを塗布して乾燥させ、乾燥後のスラリーを所定のサイズに切断することで得られる。スラリーは、鉄を主成分とする軟磁性合金からなる金属磁性粒子を有機バインダー及び溶剤などと混合して作製される。有機バインダーとしては、例えばポリビニルブチラール(PVB)樹脂又はエポキシ樹脂などの絶縁性に優れた樹脂材料が用いられる。溶剤としては、例えばトルエンなどが用いられる。
【0031】
次に、下部カバー層17となる下部積層体を形成する。下部積層体は、上述した磁性体シートに未焼成の導体ビアが設けられた複合シートを積層することにより形成される。複合シートは、磁性体シートのビアV6、V16に相当する位置に貫通孔を形成し、この貫通孔に例えばスクリーン印刷を用いて導電ペーストを埋め込むことで得られる。なお、導体ビアは、スクリーン印刷以外の方法により形成されてもよい。
【0032】
次に、本体部20となる中間積層体を形成する。中間積層体は、磁性体層11~15となる磁性体シートに周回パターンC11~C15となる未焼成の導体パターンとビアV1~V5、V11~V15となる未焼成の導体ビアが設けられた複合シートを積層することにより形成される。この複合シートを形成するために、まず上述した磁性体シートのビアV1~V5、V11~V15に相当する位置に貫通孔を形成する。次に、磁性体シートに例えばスクリーン印刷を用いて導電ペーストを印刷することで、磁性体シートに未焼成の導体パターンを形成する。このとき、磁性体シートに形成された貫通孔に導電ペーストが埋め込まれるようにする。これにより、磁性体シートに、周回パターンC11~C15となる未焼成の導体パターン及びビアV1~V5、V11~V15となる未焼成の導体ビアが形成される。なお、導体パターン及び導体ビアは、スクリーン印刷以外の方法により形成されてもよい。
【0033】
次に、磁性基体10の最下層となる磁性体シート(例えば、下部積層体の最下層の磁性体シート)の下面にガラス膜50となる絶縁体パターンを形成する。絶縁体パターンは、酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラスペーストを印刷することにより形成される。次に、ガラス膜50となる絶縁体パターンの下面に導電ペーストを塗布することで、外部電極60の金属膜62となる未焼成の導体パターンを形成する。ガラス膜50となる絶縁体パターンおよび外部電極60の金属膜62となる未焼成の導体パターンは、磁性基体10の最下層となる磁性体シートに形成する場合以外に、後述の圧着により本体積層体を形成した後、もしくは本体積層体を個片化してチップ積層体を形成した後、もしくは、チップ積層体を熱処理した後に形成することも出来る。この場合は磁性基体10の最下層となる磁性体シートには、この段階でガラス膜50となる絶縁体パターンおよび外部電極60の金属膜62となる未焼成の導体パターンは形成されない。
【0034】
次に、下部積層体、中間積層体、及び上部積層体をT軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順序で積層する。積層体をプレス機により熱圧着することで本体積層体を形成する。本体積層体を形成する工程において、ガラス膜50となる絶縁体パターン及び外部電極60の金属膜62となる導体パターンに対して積層方向に圧力が加えられる。このため、ガラス膜50となる絶縁体パターン及び外部電極60の金属膜62となる導体パターンが磁性基体10の最下層となる磁性体シートの下面に埋め込まれる場合がある。ガラス膜50となる絶縁体パターンおよび外部電極60の金属膜62となる未焼成の導体パターンを圧着後に形成する場合、この段階で、絶縁体パターンおよび導体パターンの順に形成される。各パターンの形成は、適宜既存の方法を適用できる。例えばスクリーン印刷を用いてもよく、例えば転写法を用いてもよい。
【0035】
次に、ダイシング機又はレーザ加工機などの切断機を用いて本体積層体を所望のサイズに個片化することでチップ積層体を形成する。ガラス膜50となる絶縁体パターンおよび外部電極60の金属膜62となる未焼成の導体パターンを個片化後に形成する場合、この段階で、絶縁体パターン及び導体パターンの順に形成される。各パターンの形成は、適宜既存の方法を適用できる。例えばスクリーン印刷を用いてもよく、例えば転写法を用いてもよく、例えばディッピング法を用いても良い。次に、チップ積層体に対して焼成のための熱処理を行う。熱処理は、酸素を含む雰囲気下で所定温度にて行われる。この熱処理によって、下部積層体、中間積層体、及び上部積層体に含まれる金属磁性粒子の表面に金属磁性粒子の材料成分の酸化物からなる酸化膜が形成され、かつ、複数の金属磁性粒子が酸化膜を介して互いに結合する。このチップ積層体の端部に対して、必要に応じて、バレル研磨などの研磨処理を行う。ガラス膜50となる絶縁体パターンおよび外部電極60の金属膜62となる導体パターンを熱処理後に形成する場合、この段階で、絶縁体パターン及び導体パターンの順に形成される。各パターンの形成は、適宜既存の方法を適用できる。例えばスクリーン印刷を用いてもよく、例えば転写法を用いてもよく、例えばディッピング法を用いてもよく、スパッタ等の薄膜プロセスを用いてもよい。ガラス膜50となる絶縁体パターンおよび外部電極60の金属膜62となる導体パターンが形成された後、必要に応じて熱処理が行われ、ガラス膜50と金属膜62を得ることができる。
【0036】
次に、外部電極60の金属膜62となる導体パターンの表面に、電解めっき法を用いてめっき膜を形成することで、金属膜62とめっき膜64からなる外部電極60を形成する。これにより、コイル部品300が得られる。
【0037】
[第1の比較形態]
第1の比較形態に係るコイル部品は、磁性基体の下面にガラス膜が設けられていない点で、第1の実施形態に係るコイル部品300と異なる。第1の比較形態に係るコイル部品のその他の構成は、第1の実施形態に係るコイル部品300と同じである。また、第1の比較形態に係るコイル部品は、ガラス膜を形成しない点以外は、第1の実施形態で説明した製造方法と同じ方法により形成される。
【0038】
図4(a)は、第1の比較形態に係るコイル部品1000の下面図であり、
図4(b)は、外部電極160近傍の断面図である。
図4(a)は、コイル部品1000の下面を光学顕微鏡で観察した顕微鏡画像を模式的に表した図であり、
図4(b)は、コイル部品1000の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したSEM像を模式的に表した図である。観察したコイル部品1000は、Fe-Si-Cr系の軟磁性合金からなる金属磁性粒子が金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜を介して結合することで磁性基体110が形成されている。コイル導体130は銀で形成され、外部電極160は銀からなる金属膜162と、電解めっき法により形成されたニッケルめっき膜166と錫めっき膜168からなるめっき膜164と、で形成されている。
【0039】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、第1の比較形態に係るコイル部品1000では、めっき膜164が金属膜162よりも外側に延びて形成された。特に、磁性基体110を構成する稜線近傍(辺近傍)においてめっき膜164は大きく延びて形成された。
【0040】
このように、めっき膜164が金属膜162よりも外側に延びて形成されたのは、以下の理由によるものと考えられる。磁性基体110は、鉄を主成分とする軟磁性合金からなる金属磁性粒子が金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜を介して結合することで形成されている。磁性基体110の表面は、製造プロセス(例えばバレル研磨や異物除去処理など)により物理的な衝撃を受けるため、金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜がダメージを受けることが考えられる。金属磁性粒子である軟磁性合金はその表面に生成している酸化膜に比べて電気抵抗が低いことから、金属磁性粒子の表面の酸化膜がダメージを受けることで、磁性基体110の表面における電気抵抗が低くなることが考えられる。特に、磁性基体110の稜線近傍(辺近傍)や頂点近傍(角近傍)は、製造プロセスによる物理的な衝撃を受け易いと考えられるため、この部分のみ局部的に電気抵抗が低くなり易いと考えられる。このようなことから、電解めっき法によりめっき膜164を形成するときに、めっき膜164が金属膜162よりも外側に延びて形成されたものと考えられ、特に金属膜162のうちで、磁性基体110の稜線近傍(辺近傍)や頂点近傍(角近傍)に形成されている部分で、めっき膜164が金属膜162よりも外側に延びて形成されたと考えられる。
【0041】
電子機器の小型化に伴い、コイル部品の小型化も進んでいるため、一対の外部電極160どうしの間隔が狭くなってきている。このため、外部電極160が意図しない部分にまで延びて形成されると、一対の外部電極160の間の耐圧が不十分になり、コイル部品1000に不具合が生じる恐れがある。このような場合、特に本発明を実施することで、そのような不具合を防止することができる。
【0042】
[第2の比較形態]
外部電極160が意図しない部分にまで延びて形成されることを抑制するために、磁性基体110と外部電極160の間に絶縁性のガラス膜を設けることが考えられる。そこで、第2の比較形態に係るコイル部品では、磁性基体110と外部電極160を構成する金属膜162との間にホウ珪酸ガラス(酸化チタンフィラーを含有せず)からなるガラス膜を設けた。第2の比較形態に係るコイル部品は、ガラス膜の材質が異なる点以外は、第1の実施形態と同じ構成をしている。また、第2の比較形態に係るコイル部品は、ガラス膜の材質を異ならせる以外は、第1の実施形態で説明した製造方法と同じ方法により形成される。
【0043】
図5(a)は、第2の比較形態に係るコイル部品1100の外部電極160近傍の断面図であり、
図5(b)は、めっき膜164を形成する前の断面図である。
図5(a)及び
図5(b)は、コイル部品1100の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したSEM像を模式的に表した図である。観察したコイル部品1100は、第1の比較形態と同様、Fe-Si-Cr系の軟磁性合金からなる金属磁性粒子が金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜を介して結合することで磁性基体110が形成されている。コイル導体130は銀で形成され、外部電極160は銀からなる金属膜162と、電解めっき法により形成されたニッケルめっき膜166と錫めっき膜168からなるめっき膜164と、で形成されている。ガラス膜150は、酸化チタンフィラーを含有しないホウ珪酸ガラスで形成されている。
【0044】
図5(a)に示すように、磁性基体110の表面にガラス膜150を形成した場合でも、めっき膜164は金属膜162よりも外側に延びて形成された。また、ガラス膜150近傍の磁性基体110の領域180は、磁性基体110の他の領域と比べて、変質していることが観察された。また、ガラス膜150とニッケルめっき膜166との間、及び、磁性基体110とニッケルめっき膜166との間などに、析出物190が形成されていることが観察された。
図5(b)に示すように、変質した領域180及び析出物190は、めっき膜164を形成する前でも観察された。
【0045】
次に、析出物190をエネルギー分散型X線分析(EDS)により評価した。
図6(a)は、析出物190近傍を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したSEM像の模式図、
図6(b)から
図6(d)は、
図6(a)の部分の、エネルギー分散型X線分析(EDS)画像の模式図である。
図6(b)、
図6(c)、
図6(d)は、それぞれ鉄、シリコン、酸素のK線をマッピングしている。ハッチング領域は該当する元素が多く含まれる領域であり、ハッチングが濃い領域は薄い領域に比べて該当する元素の含有量が多いことを示している(後述の
図7(b)から
図7(e)も同じ)。
【0046】
図6(a)に示すように、エネルギー分散型X線分析(EDS)を行った画像は、磁性基体110の表面にガラス膜150が形成され、ガラス膜150の表面に析出物190が形成されている。
図6(b)から
図6(d)に示すように、析出物190には、鉄とシリコンと酸素が分布していることが確認された。析出物190に鉄とシリコンと酸素が含まれているのは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、磁性基体110を形成する熱処理においてガラス膜150が軟化して磁性基体110内に拡散し(これにより変質した領域180が形成されたものと考えられる)、これによりガラス膜150に鉄が取り込まれ、その結果、鉄とシリコンと酸素を含む析出物190が形成されたと考えられる。析出物190に鉄とシリコンと酸素が含まれていることから、析出物190には鉄の酸化物とシリコンの酸化物が含まれていると推測される。鉄の酸化物にはヘマタイト(Fe
2O
3)とマグネタイト(Fe
3O
4)があるが、析出物190の酸素の量が多いことから、鉄の酸化物としてマグネタイトを多く含んでいることが考えられる。マグネタイトの電気抵抗率は、ガラス膜150における二酸化シリコン(SiO
2)の電気抵抗率に比べて低い。したがって、ガラス膜150の下面に析出物190が析出されることで電気抵抗が低くなったと推測される。
【0047】
このように、ガラス膜150の下面に析出物190が析出されて電気抵抗が低くなったために、めっき膜164が金属膜162からガラス膜50の下面及び磁性基体110の下面にまで延びて形成されたものと考えられる。
【0048】
[第1の実施形態の評価]
図7(a)は、第1の実施形態に係るコイル部品300の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したSEM像の模式図であり、
図7(b)から
図7(e)は、
図7(a)の部分の、エネルギー分散型X線分析(EDS)画像の模式図である。
図7(b)、
図7(c)、
図7(d)、
図7(e)は、それぞれ鉄、シリコン、酸素、チタンのK線をマッピングしている。
図7(a)は、めっき膜64が形成される前のSEM像の模式図であり、磁性基体10の表面にガラス膜50が形成され、ガラス膜50の表面に金属膜62が形成されている。観察したコイル部品300は、Fe-Si-Cr系の軟磁性合金からなる金属磁性粒子が金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜を介して結合することで磁性基体10が形成されている。外部電極60の金属膜62は銀で形成され、ガラス膜50は酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスで形成されている。
図7(a)から
図7(e)の例では、酸化チタンフィラーの含有量は25vol%である。
【0049】
図7(a)に示すように、第1の実施形態のコイル部品300では、磁性基体10に変質した領域は観察されず、磁性基体10の表面及びガラス膜50の表面に析出物は観察されなかった。酸化チタンフィラーを含有するガラス膜50を用いることで、磁性基体10の変質、並びに、磁性基体10の表面及びガラス膜50の表面の析出物の形成が抑制されたのは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、酸化チタンフィラーが含有されたホウ珪酸ガラスをガラス膜50に用いることで、磁性基体10を形成するための熱処理を行っても、ガラス膜50が軟化し難い又は軟化してもガラス膜50の粘度が低下し難くなると推測される。これは、酸化チタンフィラーの周囲にガラス成分が保持されているためと考えられる。このため、磁性基体10を形成する熱処理を行っても、ガラス膜50が磁性基体10内に拡散することが抑制され、その結果、磁性基体10の変質、並びに、磁性基体10及びガラス膜50の表面の析出物の形成が抑制されたものと推測される。
【0050】
図7(b)に示すように、鉄は、磁性基体10内に分布し、ガラス膜50にはほとんど分布していなかった。
図7(c)に示すように、シリコンは、磁性基体10とガラス膜50の両方に分布していたが、ガラス膜50は磁性基体10に比べて含有量が多かった。
図7(d)に示すように、酸素は、ガラス膜50に多く含有され、磁性基体10にも少し含有されていた。
図7(e)に示すように、チタンは、ガラス膜50に多く含有され、磁性基体10にはほとんど含有されていなかった。
【0051】
図8(a)は、第1の実施形態に係るコイル部品300の下面図であり、
図8(b)は、外部電極60近傍の断面図である。
図8(a)は、コイル部品300の下面を光学顕微鏡で観察した顕微鏡画像を模式的に表した図であり、
図8(b)は、コイル部品300の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したSEM像を模式的に表した図である。観察したコイル部品300は、上述したように、Fe-Si-Cr系の軟磁性合金からなる金属磁性粒子が金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜を介して結合することで磁性基体10が形成されている。コイル導体30及び外部電極60の金属膜62は銀で形成され、ガラス膜50は酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスで形成されている。
図8(a)及び
図8(b)の例では、酸化チタンフィラーの含有量は25vol%である。外部電極60のめっき膜64は、電解めっき法により形成され、ニッケルめっき膜66と錫めっき膜68で構成されている。
【0052】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、第1の実施形態に係るコイル部品300では、めっき膜64が金属膜62から外側に延びて形成されることが抑制されている。これは、酸化チタンフィラーを含有するガラス膜50を用いることで、
図7(a)に示したように、ガラス膜50の表面及び磁性基体10の表面に析出物が形成されることが抑制されたために、電気抵抗の低下が抑制されたためと考えられる。
【0053】
以上のように、本第1の実施形態によれば、
図1(a)及び
図2に示すように、磁性基体10の表面に酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラス膜50が設けられている。外部電極60は、ガラス膜50に接して設けられている。ガラス膜50が酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなることで、磁性基体10の製造工程において熱処理を行った場合でも、ガラス膜50の表面に析出物が形成されることが抑制されて電気抵抗が低くなることを抑制できる。よって、このようなガラス膜50に接して外部電極60を形成することで、外部電極60が意図しない部分にまで延びて形成されることを抑制できる。
【0054】
なお、上記第1の実施形態では、ガラス膜50は、酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなる場合を例に示したが、この場合に限られず、Feとの反応性に乏しく、ガラス化すると高軟化点となるような金属元素としてのジルコニウムの酸化物(酸化ジルコニウム)のフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなる場合でもよい。また、同様の理由から、ガラス膜50は、酸化タングステンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなる場合でもよい。また、ガラス膜50は、ホウ珪酸ガラスの場合に限られず、低温焼結ガラスの場合であればよい。これらの場合でも、磁性基体10及びガラス膜50の表面に析出物が形成されることを抑制できる。
【0055】
また、本第1の実施形態では、外部電極60は、金属膜62と金属膜62上のめっき膜64とを含んで構成されている。ガラス膜50の表面の電気抵抗が低い場合、めっき膜64は延びて形成され易いが、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンのうちの少なくとも1つのフィラーを含有する低温焼結ガラスからなるガラス膜50を用いることで、ガラス膜50の表面の電気抵抗の低下が抑制され、めっき膜64が延びて形成されることを抑制できる。
【0056】
また、本第1の実施形態では、ガラス膜50は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化タングステンのうちの少なくとも1つのフィラーを10vol%(体積%)以上含有している。これにより、外部電極60が意図しない部分まで延びて形成されることを効果的に抑制できる。外部電極60が意図しない部分まで延びて形成されることを抑制する点から、フィラーの含有量は15vol%以上の場合が好ましく、20vol%以上の場合がより好ましく、25vol%以上の場合が更に好ましい。一方、ガラス膜50を形成するためのガラスペーストの製造の点から、フィラーの含有量が多すぎると、ガラスペーストの粘度が上昇し、分散性が悪くなる。このため、フィラーの含有量は60vol%以下としないと工業的にガラスペーストを製作するのは困難であり、50vol%以下の場合が好ましく、さらに、印刷のしやすさを考慮した粘度特性とすることを考えて40vol%以下とした場合が更に好ましい。ガラス膜50中のガラス部分とフィラー部分はSEM観察によって区別できる。例えば、ガラス部分は不定形状に観察される。フィラー部分は粒界を持つ粒子として観察される。両者はコントラストによって区別でき、又、EDS分析によって成分分析を行うことで区別することも出来る。ガラス膜50中のフィラーの含有量は、ガラス膜50を平面視してSEMにて2000倍から20000倍に拡大観察した時の、フィラーの面積とその他のガラス部分の面積より算出できる。フィラー部分とその他のガラス部分は、コントラストで区別でき、例えば2値化もしくは多値化技術を用いて各々の面積を算出できる。また、コントラストで区別が難しい場合でも、EDS分析によって、マッピングを行うことで、その部分の元素組成を求めて、フィラー部分とその他のガラス部分を特定し各々の面積を算出できる。
【0057】
また、本第1の実施形態では、ガラス膜50は、磁性基体10の稜線(辺)に接して設けられている。磁性基体10の稜線(辺)及び頂点(角)は、製造プロセス(例えばバレル研磨や異物除去処理など)により物理的な衝撃を受けるため、金属磁性粒子の表面に形成された酸化膜がダメージを受けることによって電気抵抗が低くなり易く、外部電極60が延びて形成され易い。したがって、磁性基体10の稜線(辺)に接してガラス膜50が設けられることで、外部電極60が意図しない部分まで延びて形成されることを効果的に抑制できる。
【0058】
また、本第1の実施形態では、ガラス膜50は、引出部34aまたは引出部34bが磁性基体10より露出されている部分とその周囲に設けられた開口52aまたは開口52bの部分とを除いて、磁性基体10と外部電極60の間に挟まれて設けられ、外部電極60よりも大きな外形を有する。すなわち、平面視において、外部電極60はガラス膜50全てを覆っておらず、ガラス膜50が単独で目視できる部分がある。これにより、外部電極60が意図しない部分まで延びて形成されることを効果的に抑制できる。
【0059】
また、上記第1の実施形態において、ガラス膜50は外部電極60と異なる色である場合が好ましい。これにより、外部電極60が意図しない部分に延びて形成されているか否かの判断を画像認識により行うことができる。言い換えると、画像認識においてガラス膜50が設けられた領域を外部電極60が延びて形成された領域であると誤認識することを抑制できる。ガラス膜50は、酸化マンガン、酸化コバルト、及びフェライトのうちの少なくとも1つのフィラーを含有することで、外部電極60と異なる色となっている場合でもよい。これにより、ガラス膜50を外部電極60と異なる色にすることを容易に実現できる。
【0060】
なお、上記第1の実施形態において、コイル部品300の製造工程で、熱処理後のチップ積層体に対してバレル研磨を行う場合が好ましい。バレル研磨を行うことで、
図9に示すように、磁性基体10の稜線(辺)が面取りされ、ガラス膜50が露出し易くなる。磁性基体10の稜線(辺)はめっき膜64が延びて形成され易い箇所であるが、この箇所にガラス膜50が露出することで、めっき膜64の延びが抑制され、外部電極60が意図しない部分に形成されることを抑制できる。
【0061】
[第1の実施形態の変形例]
図10は、第1の実施形態の変形例に係るコイル部品310の平面図である。
図10では、外部電極60を透視して図示している。第1の実施形態の変形例に係るコイル部品310では、
図10に示すように、ガラス膜50は、磁性基体10の稜線(辺)に沿って延びたコの字形状をしている。磁性基体10の稜線(辺)はめっき膜が延びて形成され易い箇所である。ガラス膜50がこのような形状をしている場合でも、めっき膜が延びて形成され易い箇所で、実際にめっき膜が伸びることが抑制され、外部電極60が意図しない部分に形成されることを抑制できる。
【0062】
[第2の実施形態]
図11(a)は、本願発明の第2の実施形態に係るコイル部品400の斜視図であり、
図11(b)は、
図11(a)のコイル部品400の断面図である。第2の実施形態に係るコイル部品400では、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、磁性基体10の下面のうち引出部34aまたは引出部34bが磁性基体10より露出されている部分とその周囲に設けられた開口52aまたは開口52bの部分とを除いた領域の全てにガラス膜50が設けられている。その他の構成は、第1の実施形態に係るコイル部品300と同じであるため説明を省略する。
【0063】
本第2の実施形態においても、磁性基体10の表面に酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び酸化タングステン(WO3)のうちの少なくとも一つの金属酸化物フィラーを含有する低温焼結ガラスにより形成されたガラス膜50が設けられている。例えば、酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラス膜50が設けられ、外部電極60はガラス膜50に接して設けられている。よって、第1の実施形態と同様に、外部電極60が意図しない部分にまで延びて形成されることを抑制できる。
【0064】
また、本第2の実施形態では、ガラス膜50は磁性基体10の下面全体に設けられているため、外部電極60が意図しない部分に形成されることを更に抑制できる。更に、ガラス膜50が磁性基体10の下面全体に設けられているということは、外部電極60どうしの間にガラス膜50が存在することになり、外部電極60どうしの短絡を抑制することができる。
【0065】
[第3の実施形態]
図12(a)は、本願発明の第3の実施形態に係るコイル部品500の斜視図であり、
図12(b)は、
図12(a)のコイル部品500の断面図である。第3の実施形態に係るコイル部品500では、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、ガラス膜50は、磁性基体10の下面から端面(WT面)にかけて延びている。外部電極60も同様に、磁性基体10の下面から端面にかけて延びている。引出部34a及び34bは、L軸方向に延びて形成され、磁性基体10の端面において外部電極60に接続されている。ガラス膜50および外部電極60を磁性基体10の端面(WT面)に形成するためには、個片化以降の工程で形成することが望ましいことから、ガラス膜50となる絶縁体パターンおよび外部電極60の金属膜62となる未焼成の導体パターンの形成は、個片化後、もしくは熱処理後の段階で、順に各々形成される。その他の構成は、第1の実施形態に係るコイル部品300と同じであるため説明を省略する。
【0066】
本第3の実施形態においても、磁性基体10の表面に酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び酸化タングステン(WO3)のうちの少なくとも一つの金属酸化物フィラーを含有する低温焼結ガラスにより形成されたガラス膜50が設けられている。例えば、酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラス膜50が設けられ、外部電極60はガラス膜50に接して設けられている。よって、第1の実施形態と同様に、外部電極60が意図しない部分にまで延びて形成されることを抑制できる。外部電極60が、磁性基体10の下面から端面にかけて延びていることにより、回路基板へのコイル部品の実装時に端面(WT面)を半田フリットによって固定できる。このため、高い実装強度を実現することができる。
【0067】
[第4の実施形態]
図13(a)は、本願発明の第4の実施形態に係るコイル部品600の斜視図であり、
図13(b)は、
図13(a)のコイル部品600の断面図である。第4の実施形態に係るコイル部品600では、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、ガラス膜50は磁性基体10の下面から端面(WT面)及び側面(LT面)を経由して上面まで延びている。外部電極60も同様に、磁性基体10の下面から端面及び側面を経由して上面まで延びている。引出部34a及び34bは、L軸方向に延びて形成され、磁性基体10の端面において外部電極60に接続されている。ガラス膜50および外部電極60を磁性基体10の端面(WT面)、側面(LT面)、及び上面に形成するためには、個片化以降の工程で形成することが望ましいことから、ガラス膜50となる絶縁体パターンおよび外部電極60の金属膜62となる未焼成の導体パターンの形成は、個片化後、もしくは熱処理後の段階で、順に各々形成される。その他の構成は、第1の実施形態に係るコイル部品300と同じであるため説明を省略する。
【0068】
本第4の実施形態においても、磁性基体10の表面に酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び酸化タングステン(WO3)のうちの少なくとも一つの金属酸化物フィラーを含有する低温焼結ガラスにより形成されたガラス膜50が設けられている。例えば、酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラス膜50が設けられ、外部電極60はガラス膜50に接して設けられている。よって、第1の実施形態と同様に、外部電極60が意図しない部分にまで延びて形成されることを抑制できる。外部電極60が、磁性基体10の下面から端面(WT面)及び側面(LT面)を経由して上面まで延びていることにより、回路基板へのコイル部品の実装時に端面(WT面)及び側面(LT面)を半田フリットによって固定できる。このため、高い実装強度を実現することができる。また、上面と下面のどちらかを基板への実装面とすることができるので、実装時の上下整列が不要とできる。
【0069】
[第5の実施形態]
上記第1の実施形態から第4の実施形態では、積層型のコイル部品の場合を例に示したが、第5の実施形態では、巻線型のコイル部品の場合の例を示す。
図14は、本願発明の第5の実施形態に係るコイル部品700の断面図である。第5の実施形態に係るコイル部品700は、
図14に示すように、磁性基体10は、軸部70と、軸部70の両端に設けられた一対の鍔部72と、を有する。コイル導体30は、絶縁被膜付きの導線74が軸部70の周りに巻回されることで形成されている。一対の鍔部72それぞれにガラス膜50が設けられ、ガラス膜50上に外部電極60が設けられている。一方の鍔部72に設けられた外部電極60はコイル導体30の一端に電気的に接続され、他方の鍔部72に設けられた外部電極60はコイル導体30の他端に電気的に接続されている。なお、
図14では、一対の鍔部72それぞれにガラス膜50と外部電極60が設けられている場合を例に示したが、一対の鍔部72のうちの一方の鍔部にガラス膜50と2つの外部電極60が設けられている場合でもよい。
【0070】
本第5の実施形態においても、磁性基体10の表面に酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び酸化タングステン(WO3)のうちの少なくとも一つの金属酸化物フィラーを含有する低温焼結ガラスにより形成されたガラス膜50が設けられている。例えば、酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラス膜50が設けられ、外部電極60はガラス膜50に接して設けられている。よって、第1の実施形態と同様に、外部電極60が意図しない部分にまで延びて形成されることを抑制できる。
【0071】
図15は、本願発明の第1の実施形態に係るコイル部品300を備える電子機器800の断面図である。電子機器800は、
図15に示すように、コイル部品300が回路基板90に実装されている。コイル部品300は、外部電極60がはんだ92によって回路基板90のランド電極94に接合されることで、回路基板90に実装されている。コイル部品300は外部電極60が意図しない部分に形成されることが抑制されるため、コイル部品300に近接して他の電子部品を実装する場合でも、他の電子部品に悪影響を与えることを抑制できる。電子機器800としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、及びゲームコンソールなどが挙げられる。なお、回路基板90に実装されるコイル部品は、第2の実施形態から第5の実施形態に係るコイル部品400~700の場合でもよい。
【実施例0072】
以下、本願発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本願発明はこれらの実施例に記載された態様に限定される訳ではない。以下の実施例及び比較例のコイル部品では、長さ寸法(L軸方向の寸法)を2.0mm、幅寸法(W軸方向の寸法)を1.6mm、高さ寸法(T軸方向の寸法)を0.65mmとした。また、実施例及び比較例のコイル部品は、上記第1の実施形態及び第1の比較形態に係るコイル部品のように、ガラス膜がL軸方向に2つに分離して設けられている態様とした。各々のガラス膜のL軸方向の寸法を0.5mm、W軸方向の寸法を1.6mm、T軸方向の寸法(厚み)を20μmとした。各々の外部電極を構成する金属膜のL軸方向の寸法を0.4mm、W軸方向の寸法を1.52mm、T軸方向の寸法(厚み)を20μmとし、磁性基体の稜線(辺)側はガラス膜の縁に対して各40μm±20μmの間隔をあけ、各々の外部電極が対向する側については、ガラス膜の縁に対して100μm±20μmの間隔をあけた。外部電極を構成するめっき膜のT軸方向の寸法(厚み)をNiめっき1μm、Snめっき3μmとした
【0073】
[実施例1]
実施例1のコイル部品は以下の方法により作製した。原料粒子として組成比がシリコン:3.5wt%、クロム:1.5wt%、残部を鉄および不可避不純物とする合金粉を用い、この合金粉とトルエン(溶剤)とポリビニルブチラール(バインダー)とを含むスラリーを調整した。このスラリーをドクターブレード法によりベースフィルムの表面に塗布し、熱風乾燥機で乾燥させ、乾燥後のスラリーを所定サイズに切断して磁性体シートを作製した。必要に応じて磁性体シートの所定位置にレーザを用いて貫通孔を形成し、その後、磁性体シートの表面に銀粉とブチルカルビトール(溶剤)とエチルセルロース(バインダー)とを含む導電ペーストを印刷し、熱風乾燥機で乾燥させて、導体パターン及びビアの前駆体を有する磁性体シートを作製した。
【0074】
磁性基体の最下層となる磁性体シートの下面に酸化チタンフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラスペーストを印刷し、熱風乾燥機で乾燥させて、ガラス膜の前駆体である絶縁体パターンを形成した。次いで、絶縁体パターン上に、銀粉とブチルカルビトール(溶剤)とエチルセルロース(バインダー)とを含む導電ペーストを印刷し、熱風乾燥機で乾燥させて、外部電極を構成する金属膜の前駆体である導体パターンを形成した。
【0075】
これら磁性体シートを所定の順序で積層した後、所定の圧力で圧着した。圧着した圧着体をチップ単位に切断し、脱バインダー処理等を行った後、酸素を含む雰囲気下で800℃、1時間の熱処理を行った。熱処理後のガラス膜に含まれる酸化チタンフィラーの含有量を10vol%とした。次いで、外部電極を構成する金属膜の前駆体である導体パターンの表面に、電解めっき法を用いて、ニッケルめっき膜と錫めっき膜からなるめっき膜を形成することで、金属膜とめっき膜からなる外部電極を形成した。
【0076】
[実施例2]
熱処理後のガラス膜に含まれる酸化チタンフィラーの含有量を12vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0077】
[実施例3]
熱処理後のガラス膜に含まれる酸化チタンフィラーの含有量を15vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0078】
[実施例4]
熱処理後のガラス膜に含まれる酸化チタンフィラーの含有量を20vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0079】
[実施例5]
熱処理後のガラス膜に含まれる酸化チタンフィラーの含有量を25vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0080】
[実施例6]
熱処理後のガラス膜に含まれる酸化チタンフィラーの含有量を40vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0081】
[実施例7]
熱処理後のガラス膜に含まれる酸化チタンフィラーの含有量を50vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0082】
[実施例8]
熱処理後のガラス膜に含まれる酸化チタンフィラーの含有量を60vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0083】
[実施例9]
酸化ジルコニウムフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラスペーストを用いてガラス膜を形成し、熱処理後のガラス膜に含まれる酸化ジルコニウムフィラーの含有量を25vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0084】
[実施例10]
酸化ジルコニウムフィラーを含有するホウ珪酸ガラスからなるガラスペーストを用いてガラス膜を形成し、熱処理後のガラス膜に含まれる酸化ジルコニウムフィラーの含有量を50vol%とした点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0085】
[比較例]
ガラス膜の前駆体である絶縁体パターンを酸化チタンフィラー及び酸化ジルコニウムフィラーを含有しないホウ珪酸ガラスからなるガラスペーストを用いて形成した点以外は、実施例1と同じ方法にてコイル部品を作製した。
【0086】
実施例1から実施例10及び比較例のコイル部品の外部電極近傍の磁性基体断面に対してエネルギー分散型X線分析(EDS)を行い、外部電極を構成する金属膜(銀膜)の先端と、めっき膜に含まれる錫めっき膜の先端と、の間の距離を測定した。そして、金属膜と錫めっき膜との間の距離が20μm以上である場合、めっき伸びが発生しているとした。このような評価を、実施例1から実施例5及び比較例のコイル部品それぞれ20個行い、めっき伸びが発生しているコイル部品の割合を求めた。
【0087】
【0088】
表1のように、酸化チタンフィラー及び酸化ジルコニウムフィラーを含有しないガラス膜を用いた比較例では、100%の割合(20個のコイル部品の全て)でめっき伸びが発生した。一方、酸化チタンフィラーを10vol%含有するガラス膜を用いた実施例1では、めっき伸びが発生したコイル部品の割合は30%に減少し、酸化チタンフィラーを12vol%含有するガラス膜を用いた実施例2では、めっき伸びが発生したコイル部品の割合は15%に減少した。更に、酸化チタンフィラーを15vol%、20vol%、25vol%、40vol%、50vol%、又は60vol%含有するガラス膜を用いた実施例3から実施例8、及び、酸化ジルコニウムフィラーを25vol%又は50vol%含有するガラス膜を用いた実施例9、実施例10では、20個のコイル部品全てでめっき伸びは発生しなかった。
【0089】
このように、酸化チタンフィラー又は酸化ジルコニウムフィラーを含有するガラス膜を用いることで、めっき伸びの発生が抑えられ、外部電極が意図しない部分にまで伸びて形成されることを抑制できることが確認された。また、酸化チタンフィラー及び酸化ジルコニウムフィラーの含有量は、10vol%以上が好ましく、12vol%以上がより好ましく、15vol%以上が更に好ましいことが確認された。
【0090】
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。