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特開2022-145115支援システム、生体情報取得装置、支援装置および支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145115
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】支援システム、生体情報取得装置、支援装置および支援方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046397
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】牧 伸
(72)【発明者】
【氏名】金田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 雅司
(72)【発明者】
【氏名】徳永 裕香
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB02
4C117XB20
4C117XC11
4C117XC21
4C117XE01
4C117XE52
4C117XF21
4C117XH12
4C117XJ42
4C117XQ20
(57)【要約】
【課題】対象者のより適切な救助を可能とする。
【解決手段】本開示に係る支援システムは、対象者に装着または埋め込まれ、対象者の生体情報を取得する生体情報取得装置と、周辺を撮像可能な無人飛行体と、対象者に異常が発生すると、対象者の救助を支援する支援装置と、を備え、生体情報取得装置は、生体情報に基づき、対象者の異常の発生を検知すると、対象者に異常が発生したことを示す通知を支援装置に送信するとともに、無人飛行体に、対象者の位置を示す位置情報に基づき、位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させ、対象者および対象者の周辺を撮像させることで、対象者および対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させ、支援装置は、無人飛行体から状況情報を取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に装着または埋め込まれ、前記対象者の生体情報を取得する生体情報取得装置と、
周辺を撮像可能な無人飛行体と、
前記対象者に異常が発生すると、前記対象者の救助を支援する支援装置と、を備え、
前記生体情報取得装置は、前記生体情報に基づき、前記対象者の異常の発生を検知すると、前記対象者に異常が発生したことを示す通知を前記支援装置に送信するとともに、前記無人飛行体に、前記対象者の位置を示す位置情報に基づき、前記位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させ、前記対象者および前記対象者の周辺を撮像させることで、前記対象者および前記対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させ、
前記支援装置は、前記無人飛行体から前記状況情報を取得する、支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の支援システムにおいて、
前記支援装置は、前記通知を受信すると、救急隊を管理する所定の救急機関に通報を行うとともに、前記取得した状況情報を前記所定の救急機関に提供する、支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の支援システムにおいて、
前記支援装置は、予め登録された前記対象者の医療記録と、前記生体情報とに基づき、前記対象者の救助に必要な装備を推定し、推定結果を前記所定の救急機関に提供する、支援システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の支援システムにおいて、
前記生体情報取得装置と前記支援装置とは、前記無人飛行体を介して、通信可能である、支援システム。
【請求項5】
対象者に装着または埋め込まれる生体情報取得装置であって、
前記対象者の生体情報を取得するセンサ部と、
前記生体情報に基づき、前記対象者の異常の発生を検知すると、前記対象者に異常が発生したことを示す通知を、前記対象者の救助を支援する支援装置に送信する第1制御部と、を備え、
前記第1制御部は、周辺を撮像可能な無人飛行体に、前記対象者の位置を示す位置情報に基づき、前記位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させ、前記対象者および前記対象者の周辺を撮像させることで、前記対象者および前記対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させる、生体情報取得装置。
【請求項6】
対象者の救助を支援する支援装置であって、
前記対象者に装着または埋め込まれ、前記対象者の生体情報を取得する生体情報取得装置から、前記対象者に異常が発生したことを示す通知を受信し、前記対象者の位置情報に示される位置またはその近傍で飛行する無人飛行体により取得された、前記対象者および前記対象者の周辺の撮像により得られた前記対象者および前記対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得する第2制御部を備える、支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の支援装置において、
前記第2制御部は、前記通知を受信すると、所定の救急機関に通報を行うとともに、前記取得した状況情報を前記所定の救急機関に提供する、支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の支援装置において、
前記第2制御部は、予め登録された前記対象者の医療記録と、前記生体情報とに基づき、前記対象者の救助に必要な装備を推定し、推定結果を前記所定の救急機関に提供する、支援装置。
【請求項9】
対象者の救助を支援する支援方法であって、
前記対象者に装着または埋め込まれた生体情報取得装置により、前記対象者の生体情報を取得するステップと、
前記取得した生体情報に基づき、前記対象者に異常が発生したか否かを判定するステップと、
前記対象者の異常の発生を検知すると、前記対象者に異常が発生したことを示す通知を、前記対象者の救助を支援する支援装置に送信するステップと、
周辺を撮像可能な無人飛行体に、前記対象者の位置情報に基づき、前記位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させ、前記対象者および前記対象者の周辺をさせることで、前記対象者および前記対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させるステップと、
前記支援装置が、前記無人飛行体から前記状況情報を取得するステップと、を含む支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支援システム、生体情報取得装置、支援装置および支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象者の生理状態を判定するシステムが記載されている。このシステムは、対象者により携帯され、対象者の生体情報を取得する携帯端末装置と、携帯端末装置が取得した生体情報に基づき、対象者の生理状態を判定する生理状態サーバとからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-088666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているようなシステムを用いて、対象者の生体情報に基づき、対象者の異常の発生を検知すると、救急隊を管理する所定の機関に通知するといった運用が考えられる。しかしながら、単に、対象者の異常の発生を通知するだけでは、対象者の状況(例えば、出血の有無、意識の有無など)および対象者の周辺の状況(例えば、対象者が存在する現場に救急車が接近可能か否か、現場は屋内であるか屋外であるか、など)を把握することができず、対象者の適切な救助が困難になる場合がある。
【0005】
上記のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、対象者のより適切な救助を可能とする支援システム、生体情報取得装置、支援装置および支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様としての支援システムは、対象者に装着または埋め込まれ、前記対象者の生体情報を取得する生体情報取得装置と、周辺を撮像可能な無人飛行体と、前記対象者に異常が発生すると、前記対象者の救助を支援する支援装置と、を備え、前記生体情報取得装置は、前記生体情報に基づき、前記対象者の異常の発生を検知すると、前記対象者に異常が発生したことを示す通知を前記支援装置に送信するとともに、前記無人飛行体に、前記対象者の位置を示す位置情報に基づき、前記位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させ、前記対象者および前記対象者の周辺を撮像させることで、前記対象者および前記対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させ、前記支援装置は、前記無人飛行体から前記状況情報を取得する。
【0007】
本開示の1つの実施形態として、前記支援装置は、前記通知を受信すると、救急隊を管理する所定の救急機関に通報を行うとともに、前記取得した状況情報を前記所定の救急機関に提供する。
【0008】
本開示の1つの実施形態として、前記支援装置は、予め登録された前記対象者の医療記録と、前記生体情報とに基づき、前記対象者の救助に必要な装備を推定し、推定結果を前記所定の救急機関に提供する。
【0009】
本開示の1つの実施形態として、前記生体情報取得装置と前記支援装置とは、前記無人飛行体を介して、通信可能である。
【0010】
本開示の第2の態様としての生体情報取得装置は、対象者に装着または埋め込まれる生体情報取得装置であって、前記対象者の生体情報を取得するセンサ部と、前記生体情報に基づき、前記対象者の異常の発生を検知すると、前記対象者に異常が発生したことを示す通知を、前記対象者の救助を支援する支援装置に送信する第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、周辺を撮像可能な無人飛行体に、前記対象者の位置を示す位置情報に基づき、前記位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させ、前記対象者および前記対象者の周辺を撮像させることで、前記対象者および前記対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させる。
【0011】
本開示の第3の態様としての支援装置は、対象者の救助を支援する支援装置であって、前記対象者に装着または埋め込まれ、前記対象者の生体情報を取得する生体情報取得装置から、前記対象者に異常が発生したことを示す通知を受信し、前記対象者の位置情報に示される位置またはその近傍で飛行する無人飛行体により取得された、前記対象者および前記対象者の周辺の撮像により得られた前記対象者および前記対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得する第2制御部を備える。
【0012】
本開示の1つの実施形態として、前記第2制御部は、前記通知を受信すると、所定の救急機関に通報を行うとともに、前記取得した状況情報を前記所定の救急機関に提供する。
【0013】
本開示の1つの実施形態として、前記第2制御部は、予め登録された前記対象者の医療記録と、前記生体情報とに基づき、前記対象者の救助に必要な装備を推定し、推定結果を前記所定の救急機関に提供する。
【0014】
本開示の第4の態様としての支援方法は、対象者の救助を支援する支援方法であって、前記対象者に装着または埋め込まれた生体情報取得装置により、前記対象者の生体情報を取得するステップと、前記取得した生体情報に基づき、前記対象者に異常が発生したか否かを判定するステップと、前記対象者の異常の発生を検知すると、前記対象者に異常が発生したことを示す通知を、前記対象者の救助を支援する支援装置に送信するステップと、周辺を撮像可能な無人飛行体に、前記対象者の位置情報に基づき、前記位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させ、前記対象者および前記対象者の周辺をさせることで、前記対象者および前記対象者の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させるステップと、前記支援装置が、前記無人飛行体から前記状況情報を取得するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、対象者のより適切な救助を可能とする支援システム、生体情報取得装置、支援装置および支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態に係る支援システムの構成例を示す図である。
図2図1に示す生体情報取得装置の構成例を示す図である。
図3図1に示す支援装置の構成例を示す図である。
図4図1に示す支援システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図5図1に示す支援システムの動作の他の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態に係る支援システム1の構成例を示す図である。本実施形態に係る支援システム1は、対象者2の生体情報に基づき、対象者2の異常の発生を検知すると、対象者2の救助を支援するものである。具体的には、支援システム1は、患者の救助を行う救急車などの救急隊4の、対象者2が存在する現場への派遣、および、対象者2の搬送を支援するものである。対象者2は、例えば、心疾患(脳血管疾患)の高リスク者などであるが、これに限られない。なお、図1においては、図の簡略化のために、救急隊4を管理する救急機関と、対象者2への医療処置を行う医療機関とをまとめて、救急・医療機関3と記載しているが、救急機関と医療機関とは別の機関であってもよい。以下では、これらの機関を区別する場合には、救急機関3a、医療機関3bと称する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る支援システム1は、生体情報取得装置10と、無人飛行体20と、支援装置30とを備える。
【0020】
生体情報取得装置10は、対象者2に埋め込まれ、または、対象者2に装着されて、対象者2の生体情報を取得する。図2は、生体情報取得装置10の構成例を示す図である。
【0021】
図2に示すように、生体情報取得装置10は、通信部11と、記憶部12と、センサ部13と、第1制御部としての制御部14とを備える。
【0022】
通信部11は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースまたはBluetooth(登録商標)インタフェースなどである。通信部11は、直接的にまたは間接的に、後述する無人飛行体20および支援装置30と通信可能である。通信部11は、例えば、対象者2が携帯する携帯電話、スマートフォンなどの、Wifi(登録商標)あるいは携帯電話網などを介して通信を行う通信機能を備える通信端末を介して、無人飛行体20および支援装置30と通信を行う。この場合、生体情報取得装置10と連携するためのアプリケーションが、通信端末にインストールされる。生体情報取得装置10と通信端末とは、例えば、Bluetoothなどの近距離無線通信により通信を行う。また、通信部11は、無人飛行機20を中継局として支援装置30と通信を行う機能を備えていてもよい。すなわち、生体情報取得装置10と支援装置30とは、無人飛行体20を介して通信可能であってよい。こうすることで、例えば、対象者2の存在場所で、対象者2が所有する通信端末による通信が不良である場合にも、後述するように、対象者2の異常の発生を支援装置30に通知することができる。
【0023】
記憶部12は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリまたは光メモリであるが、これらに限定されない。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置またはキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、生体情報取得装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラムなどを記憶してよい。
【0024】
センサ部13は、対象者2の生体情報を取得する。センサ部13は、例えば、生体情報として、心電、心拍、体温、血中酸素濃度、血糖値などの情報を取得する。
【0025】
制御部14は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路またはこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)もしくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサまたは特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specification Integrated Circuit)である。制御部14は、生体情報取得装置10の各部を制御しながら、生体情報取得装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0026】
制御部14は、センサ部13が取得した生体情報に基づき、対象者2の異常(例えば、心疾患の発症、急性増悪など)の発生の有無を検知し、異常の発生を検知すると、対象者2に異常が発生したことを示す通知(以下、「緊急通知」と称する。)を、通信部11を介して支援装置30に送信する。また、制御部14は、緊急通知とともに、センサ部13が取得した生体情報を支援装置30に送信する。例えば、制御部14は、異常の発生を検知した時点の前後、所定の時間における生体情報を、支援装置30に送信する。
【0027】
また、制御部14は、対象者2の異常の発生を検知すると、対象者2の位置情報に基づき、無人飛行体20を誘導して、位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させる。無人飛行体20は、自動制御による無人飛行が可能な、いわゆるドローンと称される飛行体である。無人飛行体20には、無人飛行体20の周辺、特に、無人飛行体20から地表に向かって撮像可能な撮像装置を備えている。制御部14は、位置情報に示される位置またはその近傍で無人飛行体20を飛行させながら、対象者2および対象者2の周辺を撮像させる。このように、生体情報取得装置10は、無人飛行体20に、対象者2の位置情報に基づき、位置情報に示される位置またはその近傍で飛行させ、対象者2および対象者2の周辺を撮像させることで、対象者2および対象者2の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させる。無人飛行体20による撮像により、例えば、対象者2の出血の有無、対象者2の意識の有無などの情報が、対象者2の状況に関する情報として取得することができる。また、無人飛行体20による撮像により、例えば、対象者2が存在する現場に救急隊4(例えば、救急車)が接近可能か否か、現場は屋内であるか屋外であるかなどの情報が、対象者2の周辺の状況に関する情報として取得することができる。本実施形態の無人飛行体20は、対象者2に異常が発生したことを生体情報取得装置10の制御部14が検知した場合に、生体情報取得装置10からの指示で飛行するが、この構成に限られない。無人飛行体20は、緊急通知を受信した支援装置30の指示により飛行する構成であってもよい。
【0028】
上述したように、通信部11は、例えば、対象者2が携帯する通信端末を介して、無人飛行体20および支援装置30と通信を行う。近年、このような通信端末の多くは、例えば、GPS(Global Positioning System)信号に基づき、自端末の位置を計測する位置計測機能を備えるものが多い。制御部14は、対象者2が携帯する通信端末が計測した位置情報を、対象者2の位置情報として取得してよい。なお、生体情報取得装置10自体が位置計測機能を備えていてもよい。
【0029】
図1を再び参照すると、支援装置30は、対象者2に異常が発生すると、対象者2の救助を支援する。具体的には、支援装置30は、異常が発生した対象者2への救急隊4の派遣および対象者2の医療機関3bへの搬送を支援する。図3は、支援装置30の構成例を示す図である。
【0030】
図3に示すように、支援装置30は、通信部31と、記憶部32と、第2制御部としての制御部33とを備える。
【0031】
通信部31は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースなどである。通信部31は、直接的にまたは間接的に、生体情報取得装置10および無人飛行体20と通信可能である。通信部31は、例えば、携帯電話網などを介して、生体情報取得装置10および無人飛行体20と通信を行う。
【0032】
記憶部32は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリまたは光メモリであるが、これらに限定されない。記憶部32は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置またはキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部32は、支援装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラムなどを記憶してよい。
【0033】
制御部33は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路またはこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPUもしくはGPUなどの汎用プロセッサまたは特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGAまたはASICである。制御部33は、支援装置30の各部を制御しながら、支援装置30の動作に関わる処理を実行する。
【0034】
制御部33は、生体情報取得装置10から送信されてきた緊急通知を受信すると、生体情報取得装置10の制御に従い対象者2またはその近傍を飛行する無人飛行体20から、状況情報を取得する。無人飛行体20により状況情報を取得することで、対象者2の状況および対象者2の周辺の状況を把握することができるので、対象者2のより適切な救助が可能となる。
【0035】
制御部33は、緊急通知を受信すると、救急隊4を管理する所定の救急機関3aに通報を行ってよい。こうすることで、対象者2に異常が発生した場合に、救急隊4の派遣が必要な対象者2の存在を自動的に救急機関3aに通知することができる。また、制御部33は、救急機関3aに通報を行うとともに、取得した状況情報を、救急機関3aに提供してよい。状況情報を救急機関3aに提供することで、状況情報に基づき、例えば、対象者2の状況に応じた装備を予め用意するといった対応が可能となる。また、状況情報に基づき、例えば、対象者2が存在する現場が屋外であることが分かっている場合には、屋外での処置に必要な装備を予め用意するといった対応が可能となる。
【0036】
また、制御部33は、データベース5に予め登録された、対象者2の医療記録と、生体情報とに基づき、対象者2の救助に必要な装備を推定し、推定結果を救急機関3aに提供してよい。例えば、対象者2の医療記録として、特定の疾患への既往歴がデータベース5に予め登録されている場合には、制御部33は、その疾患に対応可能な装備が必要であると推定し、推定結果を救急機関3aに提供する。
【0037】
データベース5には、対象者2の医療記録の他に、複数の医療機関3bにおける患者への対応可能状況に関する情報が記録されている。医療機関3bにおける患者への対応可能状況に関する情報とは、例えば、医療機関3bが備える施設(ICU(Intensive Care Unit),CCU(Cardiac Care Unit),SCU(Stroke Care Unit)など)、設備、ベッド数、人員、遠隔診療への対応可能な医療従事者の有無などの情報である。このように、データベース5には、対象者2の医療記録および複数の医療機関3bにおける患者への対応可能状況を含む医療情報が記録されている。
【0038】
また、制御部33は、生体情報取得装置10から緊急通知を受信すると、受信した生体情報と、交通情報と、データベース5に記録されている医療情報とに基づき、対象者2を搬送する医療機関を選択する。交通情報とは、道路ごとの、車両の走行状況に関する情報である。交通情報は、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System):「VICS」は登録商標)から取得することができる。制御部33は、例えば、データベース5に記録されている複数の医療機関3bにおける患者への対応可能状況に基づき、対象者2の受け入れ候補となる医療機関3bをリストアップする。そして、制御部33は、リストアップした医療機関3bの中から、対象者2の生体情報と、データベース5に記録されている対象者2の医療記録とから推定される対象者2の病状に対応可能な設備を備え、かつ、交通情報に基づき、例えば、最短時間で到着可能と想定される医療機関3bを、対象者2の受け入れ先の医療機関3bとして選択する。
【0039】
生体情報、交通情報および医療情報に基づき対象者2を搬送する医療機関3bを選択することで、対象者2の病状に対応可能な医療機関3bに、道路の混雑などによる遅滞を低減しつつ、対象者2を搬送することができる。
【0040】
また、制御部33は、交通情報に基づき、現場から対象者2を搬送する救急隊4を、対象者2の受け入れ先として選択した医療機関3bに誘導してよい。こうすることで、対象者2の医療機関3bへの迅速な搬送が可能となる。
【0041】
また、制御部33は、現場に到着した救急隊4により得られる、対象者2の診断結果を示す診断情報を取得してよい。対象者2の診断は、例えば、救急隊4が備える装備を用いて、対象者2の受け入れ先として選択された医療機関3bにおける医師などが遠隔により行うことができる。制御部33は、現場に到着した救急隊4により得られる対象者2の診断結果と、交通情報とに基づき、現場において対象者2に対する処置を行うか、対象者2の受け入れ先として選択された医療機関3bに搬送するかを判定してもよい。制御部33は、例えば、診断結果から推定される、対象者2に対する処置の猶予時間と、交通情報に基づく対象者2の受け入れ先として選択した医療機関3bまでの所要時間とを比較して、現場において対象者2に対する処置を行うか、対象者2の受け入れ先として選択された医療機関3bに搬送するかを判定する。このような判断は、例えば、AIを用いて行うことができる。
【0042】
支援装置30の判定結果に基づき、現場で対象者2に対する処置が行われる場合、救急隊4における対応者は、例えば、対象者2の受け入れ先として選択された医療機関3bにおける医師などの医療従事者の指示のもと、種々の装置を対象者2に装着したり、種々の装置を操作したりすることで、医療従事者による処置を支援する。救急隊4には、HMD(Head Mounted Display)、AR(Augmented Reality)グラスなどの表示デバイスが搭載され、これらの表示デバイスに、対象者2の生体情報、救急隊4に搭載された各種装置からの情報などが表示されてもよい。救急隊4の対応者は、表示デバイスを装着し、その表示デバイスに表示される情報を見ながら、医療従事者により処置を支援してもよい。
【0043】
次に、本実施形態に係る支援システム1の動作について説明する。
【0044】
図4は、本実施形態に係る支援システム1の動作の一例を示すフローチャートであり、本開示に係る支援方法を説明するための図である。図4においては、救急隊4の現場への派遣を支援する際の、支援システム1の動作例について説明する。
【0045】
生体情報取得装置10は、対象者2の生体情報を取得する(ステップS11)。生体情報取得装置10は、取得した生体情報に基づき、対象者2に異常が発生したか否かを判定する(ステップS12)。
【0046】
対象者2に異常が発生していないと判定した場合(ステップS12:No)、生体情報取得装置10は、ステップS11の処理に戻る。
【0047】
対象者2に異常が発生したと判定した場合(ステップS12:Yes)、生体情報取得装置10は、緊急通知を支援装置30に送信する(ステップS13)。
【0048】
次に、生体情報取得装置10は、無人飛行体20に、対象者2の位置情報に基づき、位置情報に示される位置またはその近傍を飛行させる。そして、生体情報取得装置10は、無人飛行体20に、対象者2および対象者2の周辺を撮像させることで、対象者2および対象者2の周辺の状況に関する情報である状況情報を取得させる(ステップS14)。
【0049】
支援装置30は、生体情報取得装置10から緊急通知を受信すると、生体情報取得装置10の制御に従い状況情報を取得した無人飛行体20から、状況情報を取得する(ステップS15)。
【0050】
無人飛行体20により状況情報を取得することで、対象者2の状況および対象者2の周辺の状況を把握することができるので、対象者2のより適切な救助が可能となる。
【0051】
図5は、本実施形態に係る支援システム1の動作の他の一例を示すフローチャートである。図5においては、対象者2の医療機関3bへの搬送を支援する際の、支援システム1の動作例について説明する。図5において、図4と同様の処理には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0052】
支援装置30は、生体情報取得装置10から緊急通知を受信すると、対象者2を搬送する医療機関3bを選択する(ステップS21)。具体的には、支援装置30は、生体情報と、交通情報と、対象者2の医療記録および複数の医療機関3bにおける患者の対応可能状況を含む医療情報とに基づき、対象者2を搬送する医療機関を選択する。
【0053】
生体情報、交通情報および医療情報に基づき対象者2を搬送する医療機関3bを選択することで、対象者2の病状に対応可能な医療機関3bに、道路の混雑などによる遅滞を低減しつつ、対象者2を搬送することができる。
【0054】
なお、実施形態では特に触れていないが、支援装置30は、コンピュータとプログラムとによっても実現することができる。また、当該プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMおよびDVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。また、当該プログラムは、ネットワークを介して提供することも可能である。
【0055】
本開示は、上述した実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再構成可能であり、複数の構成部またはステップなどを1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 支援システム
2 対象者
3a 救急機関
3b 医療機関
4 救急隊
5 データベース
10 生体情報取得装置
11 通信部
12 記憶部
13 センサ部
14 制御部(第1制御部)
20 無人飛行体
30 支援装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部(第2制御部)
図1
図2
図3
図4
図5