(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145129
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ガラスパネル構造体及びガラスユニット
(51)【国際特許分類】
E06B 3/54 20060101AFI20220926BHJP
E06B 3/58 20060101ALI20220926BHJP
E06B 3/677 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E06B3/54 A
E06B3/58 B
E06B3/677
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046413
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】久田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 厳己
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016AA05
2E016BA01
2E016BA07
2E016CB01
2E016DA02
2E016DA06
2E016DC01
2E016DD01
2E016EA01
(57)【要約】
【課題】SSG構法によって支持されるガラスパネルを適正に保持可能なガラスパネル構造体及びこのガラスパネル構造体に用いられるガラスユニットを提供する。
【解決手段】第1ガラスパネル1と、第1ガラスパネル1に隣り合って配置される第2ガラスパネル2と、を含むガラスユニット10を備えると共に、第1ガラス裏面5及び第2ガラス裏面6に対向する支持部材20と、第1ガラス裏面5の第1縁部8及び第2ガラス裏面6における第1縁部8と隣り合う第2縁部9と、支持部材20と、を接着する一対のシール部31,32と、を備え、シール部31,32は、第1縁部8又は第2縁部9の両端部分8a,9aに対向する第一領域41と、第1縁部8又は第2縁部9の中央部分8b、9bに対向する第二領域42とを有し、第二領域42の弾性率が第一領域41の弾性率よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ガラス表面と、前記第1ガラス表面の裏側に設けられる第1ガラス裏面とを有する第1ガラスパネルと、
前記第1ガラスパネルに隣り合って配置され、前記第1ガラス表面に沿う方向に設けられる第2ガラス表面と、前記第2ガラス表面の裏側に設けられる第2ガラス裏面とを有する第2ガラスパネルと、を含むガラスユニットを備えると共に、
前記第1ガラス裏面及び前記第2ガラス裏面に対向する支持部材と、
前記第1ガラス裏面の第1縁部及び前記第2ガラス裏面における前記第1縁部と隣り合う第2縁部と、前記支持部材と、を接着する一対のシール部と、を備え、
前記シール部は、前記第1縁部又は前記第2縁部の両端部分に対向する第一領域と、前記第1縁部又は前記第2縁部の中央部分に対向する第二領域とを有し、
前記第二領域の弾性率が前記第一領域の弾性率よりも小さいガラスパネル構造体。
【請求項2】
前記シール部は、前記第二領域の厚みが前記第一領域の厚みよりも大きい請求項1に記載のガラスパネル構造体。
【請求項3】
前記シール部は、前記第二領域において分散して配置されている請求項1または2に記載のガラスパネル構造体。
【請求項4】
第1ガラス表面と、前記第1ガラス表面の裏側に設けられる第1ガラス裏面とを有する第1ガラスパネルと、
前記第1ガラスパネルに隣り合って配置され、前記第1ガラス表面に沿う方向に設けられる第2ガラス表面と、前記第2ガラス表面の裏側に設けられる第2ガラス裏面とを有する第2ガラスパネルと、を含むガラスパネルを備えると共に、
前記第1ガラス裏面及び前記第2ガラス裏面に対向する支持部材と、
前記第1ガラス裏面の第1縁部及び前記第2ガラス裏面における前記第1縁部と隣り合う第2縁部と、前記支持部材と、を接着する一対のシール部と、を備え、
前記シール部は、前記第1縁部又は前記第2縁部の両端部分のみに対向して設けられているガラスパネル構造体。
【請求項5】
前記支持部材は、金属体またはガラス体である請求項1から4のいずれか一項に記載のガラスパネル構造体。
【請求項6】
前記支持部材は、
前記第1縁部及び前記第2縁部と一対の前記シール部を介して接着される一対の第一部材と、
一対の前記第一部材と嵌合する第二部材と、
前記第二部材と締結される第三部材と、を有する請求項1から5のいずれか一項に記載のガラスパネル構造体。
【請求項7】
前記第1ガラスパネル及び前記第2ガラスパネルは何れも、第1ガラス板と、前記第1ガラス板の板面と所定間隔をおいて対向配置される第2ガラス板と、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の外縁全周に設けられ、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間が断熱された断熱空間を封止する封止材と、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間に配置され、前記断熱空間を形成するスペーサーと、を有する複層ガラスパネルである請求項1から6のいずれか一項に記載のガラスパネル構造体。
【請求項8】
前記スペーサーを複数有し、複数の前記スペーサーが所定の間隔毎に設けられている請求項7に記載のガラスパネル構造体。
【請求項9】
前記断熱空間は減圧されている請求項8に記載のガラスパネル構造体。
【請求項10】
前記スペーサーは、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の周縁に設けられている請求項7に記載のガラスパネル構造体。
【請求項11】
前記断熱空間に乾燥空気又は不活性ガスが封入されている請求項10に記載のガラスパネル構造体。
【請求項12】
前記第1ガラス板は、第1面と、前記第1面の裏側に設けられる第2面とを有しており、
前記第2ガラス板は、前記第2面に対向する第3面と、前記第3面の裏側に設けられる第4面とを有しており、
前記第2面または前記第3面にLow-E膜が積層されている請求項7から11のいずれか一項に記載のガラスパネル構造体。
【請求項13】
隣り合う前記第1ガラスパネルと前記第2ガラスパネルとの間の間隙を封止する間隙封止部材を更に備える請求項1から12のいずれか一項に記載のガラスパネル構造体。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のガラスパネル構造体に用いられ、前記第1ガラスパネル及び前記第2ガラスパネルを備えたガラスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスパネル構造体及びガラスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、SSG構法を用いたガラスパネル構造体が開示されている。SSG構法は、複数のガラスパネルと支持部材(例えば方立や無目)を構造シーラントにて接着することで荷重を支持する構法である。SSG構法は、構造シーラントによる接着耐久性に依存しているため、何らかの理由で接着不良が生じた際に、ガラスパネルの脱落を一時的に防ぐ必要がある。
【0003】
特許文献1に記載のガラスパネル構造体では、ガラスパネルと、ガラスパネルを支持する支持部材と、ガラスパネルと支持部材とを接着する構造シーラントと、ガラスパネルの縁部に配置され、構造シーラントに接着不良が生じた際にガラスパネルを支持するフェイルセーフ用支持金物と、を備える。ガラスパネル構造体において、フェイルセーフ用支持金物を備えることで、構造シーラントの接着不良が生じた際でもガラスパネルの脱落を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SSG構法を用いたガラスパネル構造体では、ガラスパネルが風等の外乱の影響により衝撃を受ける場合や、室外側と室外側の温度差の影響を受けることで、反りが発生することがある。このとき、ガラスパネルは、構造シーラント及び支持部材によって支持されているものの、ガラスパネルの周縁角部と周縁中央部とにおいて反り度合いが異なる。このため、ガラスパネルの周縁中央部の反りが大きい場合には、構造シーラントではガラスパネルの反りを十分に吸収できず、構造シーラントの接着強度が低下することにより、ガラスパネルの保持性能が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、SSG構法によって支持されるガラスパネルを適正に保持可能なガラスパネル構造体及びこのガラスパネル構造体に用いられるガラスユニットが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガラスパネル構造体の特徴構成は、第1ガラス表面と、前記第1ガラス表面の裏側に設けられる第1ガラス裏面とを有する第1ガラスパネルと、前記第1ガラスパネルに隣り合って配置され、前記第1ガラス表面に沿う方向に設けられる第2ガラス表面と、前記第2ガラス表面の裏側に設けられる第2ガラス裏面とを有する第2ガラスパネルと、を含むガラスユニットを備えると共に、前記第1ガラス裏面及び前記第2ガラス裏面に対向する支持部材と、前記第1ガラス裏面の第1縁部及び前記第2ガラス裏面における前記第1縁部と隣り合う第2縁部と、前記支持部材と、を接着する一対のシール部と、を備え、前記シール部は、前記第1縁部又は前記第2縁部の両端部分に対向する第一領域と、前記第1縁部又は前記第2縁部の中央部分に対向する第二領域とを有し、前記第二領域の弾性率が前記第一領域の弾性率よりも小さい点にある。
【0008】
ガラスパネルでは、周縁のうち角部となる両端部分よりも2つの角部に挟まれた中央部分において変形(反り)が起こり易い。ガラスパネルの中央部分において反りが発生した場合、シール部は当該中央部分に対向する領域がガラスパネルからの応力を受けることで圧縮されて、当該領域に歪が発生する。シール部は、当該歪を解消するためにガラスパネル及び支持部材に対して応力を与え続ける。このため、ガラスパネルの反りが解消された際に、当該応力の影響を受けてガラスパネル又は支持部材に対してシール部の接着強度が低下することがある。そうなると、支持部材に支持される第1ガラスパネル及び第2ガラスパネルにおいてガラス面の面方向が均一とならず美観を損なうことや、ガラスパネルの支持部材による保持性能が低下すること等が起こり得る。
【0009】
そこで、本構成では、一対の第1ガラスパネル及び第2ガラスパネル(以下、ガラスユニットと言う場合がある)と支持部材との間に配置されるシール部において、第1ガラスパネルの第1縁部及び第2ガラスパネルの第2縁部の中央部分に対向する第二領域の弾性率が両端部分に対向する第一領域の弾性率よりも小さくなるように構成されている。本構成により、ガラスユニットの縁部の中央部分の変形はシール部の第二領域によって許容され易くなる。これにより、シール部からガラスユニットの縁部の中央部分及び支持部材が受ける応力を低減することができる。その結果、ガラスユニットの反りが解消されるときにシール部から受ける反力が小さくなり、ガラスユニット及び支持部材に対するシール部の接着強度の低下を抑制することができる。こうして、ガラスパネルを適正に保持可能なガラスパネル構造体を実現することができた。
【0010】
他の特徴構成は、前記シール部は、前記第二領域の厚みが前記第一領域の厚みよりも大きい点にある。
【0011】
本構成のように、シール部において第二領域の厚みが第一領域の厚みよりも大きいことで、ガラスユニットの中央部分が変形した際にシール部の第二領域は弾性変形し易くなる。これにより、ガラスユニットの中央部分の変形はシール部の第二領域によって許容され易くなる。その結果、シール部からガラスユニットの縁部の中央部分及び支持部材が受ける応力を低減することができる。
【0012】
他の特徴構成は、前記シール部は、前記第二領域において分散して配置されている点にある。
【0013】
本構成のように、シール部が前記第二領域において分散して配置されていると、ガラスユニットの中央部分に対するシール部の当接領域が小さくなる。これにより、ガラスユニットの中央部分の変形はシール部の第二領域によって許容され易くなる。その結果、シール部からガラスユニットの縁部の中央部分及び支持部材が受ける応力を低減することができる。
【0014】
本発明に係るガラスパネル構造体の特徴構成は、第1ガラス表面と、前記第1ガラス表面の裏側に設けられる第1ガラス裏面とを有する第1ガラスパネルと、前記第1ガラスパネルに隣り合って配置され、前記第1ガラス表面に沿う方向に設けられる第2ガラス表面と、前記第2ガラス表面の裏側に設けられる第2ガラス裏面とを有する第2ガラスパネルと、を含むガラスパネルを備えると共に、前記第1ガラス裏面及び前記第2ガラス裏面に対向する支持部材と、前記第1ガラス裏面の第1縁部及び前記第2ガラス裏面における前記第1縁部と隣り合う第2縁部と、前記支持部材と、を接着する一対のシール部と、を備え、前記シール部は、前記第1縁部又は前記第2縁部の両端部分のみに対向して設けられている点にある。
【0015】
本構成のように、シール部が第1ガラスパネルの第1縁部及び第2ガラスパネルの第2縁部の両端部分のみに対向することで、第1縁部及び第2縁部の中央部分にはシール部は対向せず、当該中央部分と支持部材との間に空隙が存在することになる。したがって、ガラスユニットの中央部分の変形は当該空隙の存在により許容され易くなる。その結果、ガラスユニット及び支持部材がシール部から受ける応力を低減することが可能となり、ガラスユニットの反りが解消されるときにシール部から受ける反力が小さくなり、ガラスユニット及び支持部材に対するシール部の接着強度の低下を抑制することができる。こうして、ガラスパネルを適正に保持可能なガラスパネル構造体を実現することができた。
【0016】
他の特徴構成は、前記支持部材は、金属体またはガラス体である点にある。
【0017】
本構成のように、支持部材が金属体またはガラス体であることで、ガラスユニットの支持強度を高めることができる。また、支持部材がガラス体であることで、ガラスパネル構造体において支持部材を目立ち難くすることができる。
【0018】
他の特徴構成は、前記支持部材は、前記第1縁部及び前記第2縁部と一対の前記シール部を介して接着される一対の第一部材と、一対の前記第一部材と嵌合する第二部材と、前記第二部材と締結される第三部材と、を有する点にある。
【0019】
本構成のように、支持部材が3部材で構成されることで、支持部材がシール部から受ける応力を分散させて、支持性能を高めることができる。また、支持部材が3部材で構成されることで、第1ガラスパネル及び第2ガラスパネルに対して第一部材を組み付けた後に、第一部材に第二部材及び第三部材を順に組み付けることで、組付けが容易となる。また、3部材のうち1部材または2部材を取り換えることで、支持部材の形状を容易に変更することもできる。
【0020】
他の特徴構成は、前記第1ガラスパネル及び前記第2ガラスパネルは何れも、第1ガラス板と、前記第1ガラス板の板面と所定間隔をおいて対向配置される第2ガラス板と、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の外縁全周に設けられ、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間が断熱された断熱空間を封止する封止材と、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間に配置され、前記断熱空間を形成するスペーサーと、を有する複層ガラスパネルである点にある。
【0021】
本構成によれば、第1ガラスパネル及び第2ガラスパネルが断熱空間を有する複層ガラスパネルであるので、ガラスパネル構造体においてガラスユニットの断熱性能を向上させることができる。
【0022】
他の特徴構成は、前記スペーサーを複数有し、複数の前記スペーサーが所定の間隔毎に設けられている点にある。
【0023】
本構成によれば、第1ガラス板と第2ガラス板との間において、複数のスペーサーが所定の間隔毎に設けられているので、複数のスペーサーによって第1ガラス板と第2ガラス板との間の断熱空間の間隔が確実に保持される。
【0024】
他の特徴構成は、前記断熱空間は減圧されている点にある。
【0025】
本構成のように、断熱空間が減圧されていることで、ガラスパネル構造体においてガラスユニットの断熱性能をより向上させることができる。
【0026】
他の特徴構成は、前記スペーサーは、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の周縁に設けられている点にある。
【0027】
本構成のように、スペーサーが第1ガラス板及び第2ガラス板の周縁に設けられることで、第1ガラス板及び前記第2ガラス板の外縁全周に設けられて断熱された断熱空間を封止する封止材を容易に配置することできる。
【0028】
他の特徴構成は、前記断熱空間に乾燥空気又は不活性ガスが封入されている点にある。
【0029】
本構成のように、断熱空間に乾燥空気又は不活性ガスが封入されていることで、ガラスユニットにおいて断熱性能を向上させることができる。
【0030】
他の特徴構成は、前記第1ガラス板は、第1面と、前記第1面の裏側に設けられる第2面とを有しており、前記第2ガラス板は、前記第2面に対向する第3面と、前記第3面の裏側に設けられる第4面とを有しており、前記第2面または前記第3面にLow-E膜が積層されている点にある。
【0031】
Low-E膜とは、低放射性の特殊金属膜をコーティングし、熱エネルギーを有する赤外線域における反射率を大きくした膜である。本構成のガラスパネル構造体において、第1ガラスの第1面を室外側とし、第2ガラス板の第4面を室外側として、以下説明する。Low-E膜が第2面に積層されることで、室外からの太陽熱がLow-E膜で反射されるため、ガラスユニットの遮熱性能が向上する。一方、Low-E膜が第3面に積層されることで、室内の暖房熱等がLow-E膜で反射されるため、ガラスユニットの断熱性能が向上する。
【0032】
他の特徴構成は、隣り合う前記第1ガラスパネルと前記第2ガラスパネルとの間の間隙を封止する間隙封止部材を更に備える点にある。
【0033】
ガラスパネル構造体において、隣り合う第1ガラスパネルと第2ガラスパネルとを接触させて配置した場合でも、通常、両者の間には多少の間隙が存在する。また、隣り合う第1ガラスパネルと第2ガラスパネルとの間にデザインとして空間部分を設ける場合も存在する。この場合、ガラスパネルの側面が露出することにもなり、ガラスパネル構造体の美観を損なうおそれがある。そこで、本構成では、隣り合う第1ガラスパネルと第2ガラスパネルとの間の間隙を封止する間隙封止部材を備えている。本構成により、隣り合う第1ガラスパネルと第2ガラスパネルにおいて対向する側面は間隙封止部材によって保護することが可能となり、気密性が高まると共に第1ガラスパネル及び第2ガラスパネルの間から水等の浸入を阻止することができる。また、隣り合う第1ガラスパネルと第2ガラスパネルの間に間隙封止部材が配置されることで、ガラスパネル構造体において間隙封止部材をデザインの要素として用いることもできる。
【0034】
本発明に係るガラスユニットの特徴構成は、上記構成の何れかのガラスパネル構造体に用いられ、前記第1ガラスパネル及び前記第2ガラスパネルを備えた点にある。
【0035】
本構成のガラスユニットは、上記構成のガラスパネル構造体に用いられることで適正に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】ガラスパネル構造体の一部を室内側から見た斜視図である。
【
図4】従来のガラスパネル構造体の模式断面図ある。
【
図5】第1実施形態のガラスパネル構造体の模式断面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明に係るガラスパネル構造体の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0038】
〔第1実施形態〕
図1~
図3に示されるように、ガラスパネル構造体100は、隣接して配置される第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2が支持部材20に接着固定されて構成されている。
【0039】
ガラスパネル構造体100は、第1ガラスパネル1、第2ガラスパネル2、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2を支持する支持部材20、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2と支持部材20の間に配置される一対のシール部31,32と、を備える。本実施形態では、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2は、夫々単層ガラスであってガラスユニット10を構成する。第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2に用いられるガラス板としては、耐熱ガラス、ソーダガラス、強化ガラス等が挙げられる。ガラスパネル構造体100は、建築物等に複数並列させて用いられるものであり、支持部材20は所謂方立であり、シール部31,32は所謂ストラクトシールである。支持部材20は、例えば建築物等の躯体(不図示)に固定される。なお、図示では、一対のシール部31,32が夫々分離されて一対の第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2に密着しているが、一対のシール部31,32が一体となった状態で、夫々が一対の第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2に密着していても良い。
【0040】
第1ガラスパネル1は、第1ガラス表面3と、第1ガラス表面3の裏側に設けられる第1ガラス裏面5とを有する。第2ガラスパネル2は、第1ガラスパネル1に隣り合って配置され、第1ガラス表面3に沿う方向に設けられる第2ガラス表面4と、第2ガラス表面4の裏側に設けられる第2ガラス裏面6とを有する。隣り合う第1ガラスパネル1と第2ガラスパネル2との間には間隙Sが設けられている。支持部材20は、第1ガラス裏面5及び第2ガラス裏面6に一対のシール部31,32を介して対向する。なお、ガラスパネル構造体100において、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2は、矩形状に構成されており、外周全周が支持部材20により支持されているが、少なくとも一対の両側縁部が支持部材20により支持されていれば良い。
【0041】
一対のシール部31,32は、第1ガラス裏面5の第1縁部8及び第2ガラス裏面6における第1縁部8と隣り合う第2縁部9と、支持部材20と、を接着する。具体的には、第1シール部31が、第1ガラス裏面5の第1縁部8と支持部材20に接着し、第2シール部32が、第2ガラス裏面6の第2縁部9と支持部材20に接着する。一対のシール部31,32は、弾性を有する各種ゴムや樹脂によって構成されている。
【0042】
一対のシール部31,32は、第1縁部8又は第2縁部9の両端部分8a,9aに対向する第一領域41と、第1縁部8又は第2縁部9の中央部分8b,9bに対向する第二領域42とを有する。ここで、一対のシール部31,32においては、第二領域42の弾性率が第一領域41の弾性率よりも小さい。第一領域41の弾性率は、0.2N/mm2以上2.0N/mm2以下であることが好ましく、0.4N/mm2以上1.0N/mm2以下であることが更に好ましい。第二領域42の弾性率は、0.01N/mm2以上0.4N/mm2以下であることが好ましく、0.1N/mm2以上0.2N/mm2以下であることが更に好ましい。第一領域41及び第二領域42は、異なるゴムや樹脂によって構成される。一対のシール部31,32は、第一領域41のシール材と第二領域42のシール材とを接着または溶着等により一体化してもよいし、接合しない状態で配置してもよい。
【0043】
支持部材20は、例えば金属体またはガラス体によって構成されている。支持部材20が金属体またはガラス体であることで、ガラスパネル1,2の支持強度を高めることができる。また、支持部材20がガラス体であることで、ガラスパネル構造体100において支持部材20を目立ち難くすることができる。金属体によって構成される支持部材20はパイプ状であってもよい。
【0044】
以下、
図4及び
図5を用いて本実施形態の作用効果を説明する。
図4は従来のガラスパネル構造体200の構成を示す模式断面図であり、
図5は本実施形態のガラスパネル構造体100の構成を示す模式断面図である。
図4及び
図5は、ガラスパネル構造体100,200において、ガラスユニット10の第1ガラスパネル1が変形する際の状態を示す。図示しないが、第2ガラスパネル2においても変形する際には第1ガラスパネル1と同様の応力を受けることになる。
【0045】
図4に示す従来のガラスパネル構造体200では、シール部31aは全体において弾性率が同じである。第1ガラスパネル1は、加熱されて高温になると膨張し冷却されて低温になると収縮する。ここでは、ガラスパネル構造体200において第1ガラスパネル1が加熱された状態を想定する。ガラスパネル構造体200では、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2は、上端面及び下端面が図示しない支持体に当接されて位置保持されている場合がある。その場合、第1ガラスパネル1は板面に沿って膨張することができず、二点鎖線で示されるようにシール部31aに向けて中央部分8bが変形して反るようになる。また、第1ガラスパネル1が強風等による外乱により衝撃を受けた場合にも、第1ガラスパネル1は同方向に変形して反ることがある。
【0046】
第1ガラスパネル1の中央部分8bにおいて反りが発生した場合、第1シール部31は当該中央部分8bに対向する領域が第1ガラスパネル1からの応力を受けることで圧縮されて、当該領域に歪が発生する。第1シール部31は、この歪を解消するために第1ガラスパネル1及び支持部材20に対して応力を与え続けるため、第1ガラスパネル1の反りが解消された際に、当該応力の影響を受けて支持部材20に対して第1シール部31の一部が剥離することがある。そうなると、第1ガラスパネル1又は支持部材20に対する第1シール部31の接着強度が低下し、支持部材20に支持される第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2においてガラス面の面方向が均一とならず美観を損なうことや、ガラスパネル1,2の支持部材20による保持性能が低下すること等が起こり得る。
【0047】
一方、
図5に示す本実施形態のガラスパネル構造体100では、第1ガラスパネル1の両端部分8aに挟まれた中央部分8bが第1シール部31のうち弾性率の小さい第二領域42に対向する。このため、第1ガラスパネル1が第二領域42に向けて反る際に、第1ガラスパネル1の当該反りを第二領域42によって吸収することになる。換言すると、第二領域42が第1ガラスパネル1の反りを吸収する緩衝機能を発揮する。これにより、第1シール部31から第1ガラスパネル1及び支持部材20が受ける応力を低減することができる。その結果、第1ガラスパネル1及び支持部材20に対する第1シール部31の接着強度の低下を抑制することができる。
【0048】
〔第1実施形態の変形例1〕
図6に示されるように、ガラスパネル構造体100は、隣り合う第1ガラスパネル1と第2ガラスパネル2との間の間隙Sを封止する間隙封止部材55を備えてもよい。間隙封止部材55は、弾性を有する各種ゴムや樹脂等によって構成することができる。
【0049】
ガラスパネル構造体100において、隣り合う第1ガラスパネル1と第2ガラスパネル2とを接触させて配置した場合でも、通常、両者の間には多少の間隙が存在する。また、隣り合う第1ガラスパネル1と第2ガラスパネル2との間にデザインとして空間部分を設ける場合も存在する。この場合、ガラスパネル1,2の側面が露出することにもなり、ガラスパネル構造体100の美観を損なうおそれや、ガラスパネル1,2の側面が損傷するおそれがある。そこで、本変形例1では、ガラスパネル構造体100は、隣り合う第1ガラスパネル1と第2ガラスパネル2との間の間隙Sを封止する間隙封止部材55を備えている。これにより、隣り合う第1ガラスパネル1と第2ガラスパネル2において対向する側面は間隙封止部材55によって保護することが可能となり、気密性が高まると共に第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2の間からの水等の浸入を阻止することができる。また、隣り合う第1ガラスパネル1と第2ガラスパネル2の間に間隙封止部材55が配置されることで、ガラスパネル構造体100において間隙封止部材55をデザインの要素として用いることもできる。
【0050】
〔第1実施形態の変形例2〕
図7に示されるように、ガラスパネル構造体100は、間隙封止部材55を備えるとともに、第1シール部31と第2シール部32との間にバックアップ材56が配置されていても良い。このバックアップ材56により、間隙封止部材55が無い場合でも、第1シール部31及び第2シール部32の耐久性が向上するため、間隙封止部材55を省略しても良い。なお、上述したように、第1シール部31及び第2シール部32を一体化しても良い。
【0051】
〔第1実施形態の変形例3〕
図8に示されるように、ガラスパネル構造体100において、ガラスユニット10は、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2が複層ガラスパネルであってもよい。
図8に示す例では、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2は、夫々、第1ガラス板11と、第1ガラス板11の板面と所定間隔をおいて対向配置される第2ガラス板12と、を有する。更に、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2は、夫々、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の外縁全周に設けられ、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間が断熱された断熱空間13を封止する封止材14と、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に配置され、断熱空間13を形成するスペーサー15と、を有する。断熱空間13には、例えば乾燥空気又は不活性ガス等が封入されている。
【0052】
また、第1ガラス板11は、第1面51と、第1面51の裏側に設けられる第2面52とを有し、第2ガラス板12は、第2面52に対向する第3面53と、第3面53の裏側に設けられる第4面54とを有している。本変形例3では、第3面53にLow-E膜12aが積層されている。
【0053】
Low-E膜12aは、金属層の単層、又は、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層及び金属酸窒化物層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなる。金属層の好適な例としては銀層が挙げられる。金属酸化物層の好適な例としては、酸化スズ層、酸化チタン層または酸化亜鉛層が挙げられる。金属窒化物層の好適な例としては窒化ケイ素が挙げられる。金属酸窒化物層の好適な例としては酸窒化ケイ素が挙げられる。Low-E膜12aは、物理的気相成長法(PVD)等の真空成膜法が好ましく、特にスパッタリング法が大面積を均一に成膜できるため好ましい。
【0054】
Low-E膜12aは、低放射性の特殊金属膜をコーティングし、熱エネルギーを有する赤外線域における反射率を大きくした膜である。ガラスユニット10において、第1ガラス板11の第1面51を室外側とし、第2ガラス板12の第4面54を室外側として、以下説明する。Low-E膜12aが第3面53に積層されることで、室内の暖房熱等がLow-E膜12aで反射されるため、ガラスユニット10の断熱性能が向上する。Low-E膜12aは第2面52に積層してもよい。この場合には、室外からの太陽熱が第2面52に積層されたLow-E膜12aで反射されるため、ガラスユニット10の遮熱性能が向上する。
【0055】
〔第1実施形態の変形例4〕
上記の変形例3に代えて、
図9に示されるように、ガラスユニット10は、断熱空間13が減圧された減圧複層ガラスユニットによって構成されていてもよい。
図9に示されるガラスユニット10では、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の間に、スペーサー15を複数有し、複数のスペーサー15が第1ガラス板11及び第2ガラス板12の板面において所定の間隔毎に設けられている。
【0056】
複数のスペーサー15は、例えば円柱状の柱体によって構成されている。当該柱体は、アルミナやジルコニアなどのセラミック等によって形成される。柱体は、ジルコニアなどのナノ粒子充填剤を含んでもよい。
【0057】
〔第2実施形態〕
図10に示されるように、本実施形態のガラスパネル構造体100では、支持部材20が第一部材21、第二部材22、及び第三部材23によって構成されている。第一部材21は、第1縁部8及び第2縁部9と一対のシール部31,32を介して接着される。第二部材22は、一対の第一部材21と嵌合する。第三部材23は第二部材22と締結される。
【0058】
具体的には、第一部材21及び第二部材22は、第1ガラスパネル1及び第1シール部31と、第2ガラスパネル2及び第2シール部32とに対して夫々配置されている。第一部材21は、ガラスパネル1(2)のガラス表面3(4)に当接する第1部分61と、第1部分61に連設されてガラスパネル1(2)の端面と間隙封止部材55とに当接する第2部分62と、第2部分62に連設されて第二部材22に嵌合する第3部分63とを有する。第3部分63は断面コ字状に形成されており、端部に円柱状の係合部63aが設けられている。第2部分62とガラスパネル1,2の端面との間には緩衝材29が介在されている。第二部材22は、第一部材21の第3部分63の係合部63aに係合される被係合部64aを有する第4部分64、第三部材23に締結される第6部分66と、第4部分64と第6部分66との間に介在される第5部分65とを有する。第5部分65は第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2の板面に沿って設けられている。第4部分64は第5部分65から第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2に向けて断面L字状に延設されており、端部に円柱状の被係合部64aが設けられている。第6部分66は、第5部分65から第三部材23の側面に沿って延設されている。
図10に示される実施形態では、第二部材22の第6部分66と第三部材23とはボルト67,ナット68によって締結されている。
【0059】
本実施形態のように、支持部材20が3部材(第一部材21、第二部材22、第三部材23)で構成されることで、支持部材20がシール部31,32から受ける応力を分散させて、支持性能を高めることができる。また、支持部材20が3部材で構成されることで、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2に対して第一部材21を組み付けた後に、第一部材21に第二部材22及び第三部材23を順に組み付けることで、組付けが容易となる。また、3部材のうち1部材または2部材を取り換えることで、支持部材20の形状を容易に変更することもできる。
【0060】
〔第3実施形態〕
ガラスパネル構造体100の第3実施形態について、
図11に基づいて説明する。第1実施形態と同様の部材については同じ番号を付しており、ここでの説明は省略する。また、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2は同じ構成であり、第1シール部31及び第2シール部32は同じ構成である。このため、第3実施形態を含む以下の実施形態では、第1ガラスパネル1及び第1シール部31についてのみ説明し、第2ガラスパネル2及び第2シール部32についての説明は省略する。
【0061】
本実施形態では、
図11に示されるように、第1シール部31は、第1縁部8の両端部分8aに対向する領域に第一領域41が設けられ、第1縁部8の中央部分8bに対向する領域には設けられていない。したがって、第1シール部31は、ガラスユニット10の第1縁部8の両端部分8aのみに対向する。これにより、ガラスユニット10の中央部分8bには第1シール部31は対向せず、当該中央部分8bと支持部材20との間に空隙58が存在することになる。したがって、ガラスユニット10の中央部分8bの変形は当該空隙58の存在により許容され易くなる。その結果、ガラスユニット10及び支持部材20が第1シール部31から受ける応力を低減することができるので、ガラスユニット10及び支持部材20に対するシール部31の接着強度の低下を抑制することができる。
【0062】
〔第4実施形態〕
ガラスパネル構造体100の第4実施形態について、
図12に基づいて説明する。第1実施形態と同様の部材については同じ番号を付しており、ここでの説明は省略する。
【0063】
本実施形態は、
図12に示されるように、支持部材20は、ガラスユニット10の第1縁部8のうち、両端部分8aに対向する第一支持領域26と、中央部分8bに対向する第二支持領域27と、を有し、第二支持領域27が第一支持領域26よりも中央部分8bから離れるように、第1ガラスパネル1の板面に対して垂直な方向において、中央部分8bと第二支持領域27との間の距離が、両端部分8aと第一支持領域26との間の距離よりも大きくなるように構成されている。
【0064】
第1シール部31は、第二領域42が中央部分8bと第二支持領域27とに亘って配置されている。したがって、第1シール部31は、第二領域42の厚みが第一領域41の厚みよりも大きい。第一領域41よりも厚みの大きい第二領域42がガラスユニット10の中央部分8bに対向することで、中央部分8bが変形した際に第二領域42は弾性変形し易くなる。これにより、第1ガラスパネル1の中央部分8bの変形は第1シール部31の第二領域42によって許容され易くなる。その結果、第1シール部31から第1ガラスパネル1の第1縁部8の中央部分8b及び支持部材20が受ける応力を低減することができる。
【0065】
〔第5実施形態〕
ガラスパネル構造体100の第5実施形態について、
図13に基づいて説明する。第1実施形態と同様の部材については同じ番号を付しており、ここでの説明は省略する。
【0066】
本実施形態においても、第4実施形態と同じく、
図13に示されるように、支持部材20は、第一支持領域26及び第二支持領域27を有し、第二支持領域27が第一支持領域26よりも中央部分8bから離れるように、第1ガラスパネル1の板面に対して垂直な方向において、中央部分8bと第二支持領域27との間の距離が、両端部分8aと第一支持領域26との間の距離よりも大きくなるように構成されている。
【0067】
ただし、本実施形態では第4実施形態とは異なり、第1シール部31は一定の厚みを有して構成されている。したがって、第一領域41と第二領域42とは厚みが同じであり、第二領域42と第二支持領域27との間に空隙59が形成されている。
【0068】
本構成により、ガラスユニット10の中央部分8bの変形は空隙59の存在により許容され易くなる。また、支持部材20自体も熱により変形して第一支持領域26よりも第二支持領域27の方が反りやすいが、空隙59の存在により、支持部材20の変形に起因した応力がガラスユニット10に伝播しない。なお、本実施形態における第1シール部31は、第一領域41の弾性率と第二領域42の弾性率とが同じであってもよい。
【0069】
〔第6実施形態〕
ガラスパネル構造体100の第6実施形態について、
図14に基づいて説明する。第1実施形態と同様の部材については同じ番号を付しており、ここでの説明は省略する。
【0070】
本実施形態では、
図14に示されるように、第1シール部31は、第二領域42において分散して配置されている。第1シール部31が第二領域42において分散して配置されていると、ガラスユニット10の中央部分8bに対する第1シール部31の当接領域が小さくなる。これにより、ガラスユニット10の中央部分8bの変形は第1シール部31の第二領域42によって許容され易くなる。その結果、第1シール部31から第1ガラスパネル1の第1縁部8の中央部分8b及び支持部材20が受ける応力を低減することができる。
【0071】
〔他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、一対のシール部31,32において、第二領域42が単体のシール材によって構成される例を示したが、第二領域42は異なる弾性率を有する複数のシール材によって構成してもよい。異なる弾性率を有する複数のシール材は、例えば第二領域42の長手方向における中央側ほど弾性率が小さくなるよう配置してもよい。このように複数のシール材を第二領域42に配置することで、第二領域42においてガラスユニット10の反りの吸収性能をさらに向上させることができる。その他、シール部31,32として単体のシール材に添加剤を混入したうえで、第一領域41及び第二領域42において添加剤の量を変えること第二領域42の弾性率を第一領域41の弾性率よりも小さくなる構成でもよい。
【0072】
(2)上記の実施形態のうち、第1ガラスパネル1及び第2ガラスパネル2が複数のガラス板11,12を有する複層ガラスにおいて、ガラス板11,12を耐熱ガラス又はLow-Eガラスで構成する例を示したが、ガラス板11,12は、ソーダガラスや強化ガラス等で構成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、ガラスパネル構造体及びガラスユニットに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 :第1ガラスパネル
2 :第2ガラスパネル
3 :第1ガラス表面
4 :第2ガラス表面
5 :第1ガラス裏面
6 :第2ガラス裏面
8 :第1縁部
8a,9a :両端部分
8b,9b :中央部分
9 :第2縁部
10 :ガラスユニット
11 :第1ガラス板
12 :第2ガラス板
12a :Low-E膜
13 :断熱空間
14 :封止材
15 :スペーサー
20 :支持部材
21 :第一部材
22 :第二部材
23 :第三部材
26 :第一支持領域
27 :第二支持領域
31 :第1シール部
32 :第2シール部
41 :第一領域
42 :第二領域
51 :第1面
52 :第2面
53 :第3面
54 :第4面
55 :間隙封止部材
58,59 :空隙
100 :ガラスパネル構造体
S :間隙