(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145158
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】害獣監視装置、害獣監視方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A01M 29/10 20110101AFI20220926BHJP
【FI】
A01M29/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046449
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】関 永人
(72)【発明者】
【氏名】吉山 和伸
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 由尊
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121DA17
2B121DA63
2B121EA21
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】害獣を適切に退避させること。
【解決手段】害獣監視装置は、レーザ光源部がレーザ光線を照射可能な領域を含む領域を撮影するカメラから映像データを取得する映像データ取得部と、映像データに基づいて、害獣を検出する害獣検出部と、害獣検出部が検出した害獣の移動方向を検出する移動方向検出部と、移動方向検出部が検出した移動方向と、予め設定された害獣を退避させたい退避方向とに基づいて、レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定する照射判断部と、照射判断部が、レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があると判定した場合に、レーザ光源部を制御して、害獣の前方にレーザ光線を照射させるレーザ光源制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源部がレーザ光線を照射可能な領域を含む領域を撮影するカメラから映像データを取得する映像データ取得部と、
前記映像データに基づいて、害獣を検出する害獣検出部と、
前記害獣検出部が検出した前記害獣の移動方向を検出する移動方向検出部と、
前記移動方向検出部が検出した前記移動方向と、予め設定された前記害獣を退避させたい退避方向とに基づいて、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定する照射判断部と、
前記照射判断部が、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があると判定した場合に、前記レーザ光源部を制御して、前記害獣の前方にレーザ光線を照射させるレーザ光源制御部と、
を備える、害獣監視装置。
【請求項2】
前記害獣監視装置は複数配置されており、
各害獣監視装置の識別情報および配置位置情報と、前記害獣の前記退避方向に関する情報とを記憶する記憶部と、
前記害獣検出部が検出した前記害獣の情報と、前記害獣の移動方向に関する情報および前記害獣監視装置の識別情報とを関連付けて送信し、前記害獣監視装置が検出した前記害獣の情報と、前記害獣の移動方向に関する情報および前記害獣監視装置の識別情報とを関連付けた情報を受信する通信部と、をさらに備え、
前記照射判断部は、前記害獣検出部が検出した前記害獣の移動方向と、前記害獣監視装置から受信した前記害獣の移動方向とに関する情報と、前記記憶部に記憶された前記退避方向に関する情報とに基づいて、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定する、
請求項1に記載の害獣監視装置。
【請求項3】
前記害獣の個体情報を識別する個体情報識別部をさらに備え、
前記記憶部は、前記害獣の特徴情報と関連付けて前記個体情報識別部が識別した個体情報を記憶しており、
前記照射判断部は、前記害獣検出部が検出した前記害獣の特徴情報に関連付けられた前記個体情報識別部が識別した情報に応じて、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定する、
請求項2に記載の害獣監視装置。
【請求項4】
レーザ光源部がレーザ光線を照射可能な領域を含む領域を撮影するカメラから映像データを取得するステップと、
前記映像データに基づいて、害獣を検出するステップと、
検出した前記害獣の移動方向を検出するステップと、
検出した前記移動方向と、予め設定された前記害獣を退避させたい退避方向とに基づいて、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定するステップ、
前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があると判定した場合に、前記レーザ光源部を制御して、前記害獣の前方にレーザ光線を照射させるステップと、
を含む、害獣監視方法。
【請求項5】
レーザ光源部がレーザ光線を照射可能な領域を含む領域を撮影するカメラから映像データを取得するステップと、
前記映像データに基づいて、害獣を検出するステップと、
検出した前記害獣の移動方向を検出するステップと、
検出した前記移動方向と、予め設定された前記害獣を退避させたい退避方向とに基づいて、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定するステップ、
前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があると判定した場合に、前記レーザ光源部を制御して、前記害獣の前方にレーザ光線を照射させるステップと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害獣監視装置、害獣監視方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鳥獣などの害獣による農作物への被害が問題となっている。例えば、特許文献1には、動物を自動的に検知して、検知した動物の目の方向にレーザ光を照射して、動物を退散させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のように、単にレーザ光を照射するだけでは、動物は住宅地の方に移動してしまい、山などに退避させることができない可能性がある。
【0005】
本発明は、害獣を適切に退避させることのできる害獣監視装置、害獣監視方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る害獣監視装置は、レーザ光源部がレーザ光線を照射可能な領域を含む領域を撮影するカメラから映像データを取得する映像データ取得部と、前記映像データに基づいて、害獣を検出する害獣検出部と、前記害獣検出部が検出した前記害獣の移動方向を検出する移動方向検出部と、前記移動方向検出部が検出した前記移動方向と、予め設定された前記害獣を退避させたい退避方向とに基づいて、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定する照射判断部と、前記照射判断部が、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があると判定した場合に、前記レーザ光源部を制御して、前記害獣の前方にレーザ光線を照射させるレーザ光源制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る害獣監視方法は、レーザ光源部がレーザ光線を照射可能な領域を含む領域を撮影するカメラから映像データを取得するステップと、前記映像データに基づいて、害獣を検出するステップと、検出した前記害獣の移動方向を検出するステップと、検出した前記移動方向と、予め設定された前記害獣を退避させたい退避方向とに基づいて、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定するステップ、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があると判定した場合に、前記レーザ光源部を制御して、前記害獣の前方にレーザ光線を照射させるステップと、を含む。
【0008】
本発明に係るプログラムは、レーザ光源部がレーザ光線を照射可能な領域を含む領域を撮影するカメラから映像データを取得するステップと、前記映像データに基づいて、害獣を検出するステップと、検出した前記害獣の移動方向を検出するステップと、検出した前記移動方向と、予め設定された前記害獣を退避させたい退避方向とに基づいて、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定するステップ、前記レーザ光源部がレーザ光線を照射する必要があると判定した場合に、前記レーザ光源部を制御して、前記害獣の前方にレーザ光線を照射させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、害獣を適切に退避させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る害獣監視システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る害獣監視装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る害獣監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る害獣監視システムの概要を示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る害獣監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係る害獣監視装置の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る害獣監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
図1を用いて、第1実施形態に係る害獣監視システムの概要について説明する。
図1は、第1実施形態に係る害獣監視システムの概要を示す図である。
【0013】
図1に示すように、害獣監視システム1は、複数の害獣監視装置10を含む。複数の害獣監視装置10は、例えば、畑などの害獣Vによって農作物の被害に合う可能性がある場所に設置される。害獣監視装置10は、例えば、農作物を荒らす恐れのある害獣Vを検出する。害獣監視装置10は、例えば、検出した害獣Vに対して、レーザ光線Lを照射することで、害獣Vを山の方向などに退避させる。害獣監視装置10は、例えば、夜間において、害獣Vの監視処理を実行する。害獣監視装置10は、例えば、昼間において、害獣Vの監視処理を実行してもよい。本実施形態において、害獣Vは、例えば、猪や鹿であるがこれに限定されない。
【0014】
[害獣監視装置]
図2を用いて、第1実施形態に係る害獣監視装置の構成例について説明する。
図2は、第1実施形態に係る害獣監視装置の構成例を示す図である。
【0015】
図2に示すように、害獣監視装置10は、レーザ光源部12と、カメラ14と、監視制御装置16と、を備える。
【0016】
レーザ光源部12は、レーザ光を投射する投射装置である。レーザ光源部12は、害獣Vに向かってレーザ光を投射する。レーザ光源部12は、例えば、害獣Vの移動方向の路面に対してレーザ光を投射する。レーザ光源部12は、例えば、害獣Vの目に向かってレーザ光を投射する。レーザ光源部12は、例えば、レーザ光源を利用したプロジェクタである。レーザ光源部12は、例えば、液晶を利用したプロジェクタであってもよい。レーザ光源部12は、例えば、一点にレーザ光を照射するスポット照射と、広範囲にレーザ光を照射する拡散照射を切り替えて照射できるように構成されている。
【0017】
カメラ14は、少なくともレーザ光源部12の照射範囲を撮像する。カメラ14は、レーザ光源部12の照射範囲の周辺の可視光を検出することで撮像する。カメラ14は、可視光に限らず、例えば、赤外光を検出することで撮像するものであってもよい。カメラ14は、所定のフレームレートごとに撮像するビデオカメラであってよい。
【0018】
監視制御装置16は、通信部20と、記憶部22と、制御部24と、を備える。
【0019】
通信部20は、外部装置との通信を行う。通信部20は、例えば、他の害獣監視装置10との間の通信を行う。通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)、または通信回路などによって実現される。通信部20は、例えば。無線または有線のネットワークを介して、他の害獣監視装置10との間で情報の送受信を行う。
【0020】
記憶部22は、制御部24の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0021】
記憶部22は、例えば、自身を一意に識別するための識別情報と、位置情報とを記憶している。記憶部22は、例えば、他の害獣監視装置10を一意に識別するための識別情報と、位置情報とを記憶している。記憶部22は、例えば、害獣Vを検出するために使用される辞書データを記憶している。記憶部22は、害獣Vを退避させるための退避方向に関する情報を記憶する。退避方向は、例えば、人が住む住宅地から離れる方向および畑などの農作地から離れる方向である。
【0022】
制御部24は、害獣監視装置10の各部の動作を制御する。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部22に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部24は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部24は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0023】
制御部24は、映像データ取得部30と、害獣検出部32と、移動方向検出部34と、照射判断部36と、眼球位置検出部38と、レーザ光源制御部40と、通信制御部42と、を備える。
【0024】
映像データ取得部30は、カメラ14を制御して、撮像させる。映像データ取得部30は、カメラ14から映像データを取得する。
【0025】
害獣検出部32は、例えば、映像データ取得部30が取得した映像データに基づいて、害獣Vを検出する。害獣検出部32は、例えば、記憶部22が記憶している辞書データを用いて、映像データ取得部30が取得した映像データから害獣を検出する。本実施形態において、害獣Vは猪、鹿など予め指定されていてよい。これにより、本実施形態では、例えば、人間などにはレーザ光が照射されないように構成されている。
【0026】
移動方向検出部34は、害獣検出部32が検出した害獣Vの移動方向を、映像データ取得部30が取得した映像データに基づいて検出する。移動方向検出部34は、例えば、映像データ取得部30が取得した映像データから動きベクトルを検出することで、害獣Vの動きを検出する。移動方向検出部34は、例えば、映像データ取得部30が取得した映像データにおけるピクセル単位または数ピクセル四方のブロック単位において、輝度または色情報がフレームごとに変化している領域を検出することで、動きベクトルを検出する。
【0027】
照射判断部36は、移動方向検出部が検出した移動方向と、予め設定された害獣Vを退避させたい退避方向とに基づいて、レーザ光源部12がレーザ光線を照射する必要があるか否かを判定する。
【0028】
眼球位置検出部38は、害獣検出部32が検出した害獣Vの目の位置を、映像データ取得部30が取得した映像データに基づいて、検出する。眼球位置検出部38は、例えば、記憶部22が記憶している辞書データを用いて、映像データ取得部30が取得した映像データから害獣Vの目の位置を検出する。
【0029】
レーザ光源制御部40は、レーザ光源部12を制御して、レーザ光を照射させる。レーザ光源制御部40は、照射判断部36によりレーザ光源部12がレーザ光源を照射する必要があると判定した場合に、レーザ光源部12を制御して、レーザ光を照射させる。
【0030】
通信制御部42は、通信部20を制御して、害獣監視装置10と外部装置の間の通信を制御する。通信制御部42は、例えば、通信部20を制御して、害獣監視装置10と他の害獣監視装置10との間の通信を制御する。
【0031】
[処理内容]
図3を用いて、第1実施形態に係る害獣監視装置の処理内容について説明する。
図3は、第1実施形態に係る害獣監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0032】
映像データ取得部30は、映像データを取得する(ステップS10)。具体的には、映像データ取得部30は、カメラ14から映像データを取得する。そして、ステップS12に進む。
【0033】
害獣検出部32は、映像データ取得部30がカメラ14から取得した映像データに基づいて、害獣Vを検出できたか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、害獣検出部32は、記憶部22に記憶された辞書データを用いて、映像データ取得部30がカメラ14から取得した映像データから害獣Vが検出できたか否かを判定してもよいし、その他周知の方法を用いて、害獣Vを検出できたか否かを判定してもよい。害獣Vを検出できたと判定された場合(ステップS12;Yes)、ステップS14に進む。害獣Vが検出できたと判定されない場合(ステップS12;No)、ステップS20に進む。
【0034】
ステップS12でYesと判定された場合、移動方向検出部34は、害獣Vの移動方向を検出する(ステップS14)。具体的には、移動方向検出部34は、映像データ取得部30がカメラ14から取得した映像データから害獣Vの動きベクトルを検出することで、害獣Vの移動方向を検出する。移動方向検出部34は、その他の周知の方法を用いて、害獣Vの移動方向を検出してもよい。ステップS14では、眼球位置検出部38は、映像データ取得部30がカメラ14から取得した映像データから害獣Vの目の位置を検出してもよい。そして、ステップS16に進む。
【0035】
照射判断部36は、害獣Vに対してレーザ光を照射する必要があるか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、照射判断部36は、例えば、移動方向検出部34が検出した害獣Vの移動方向が畑などの農作地に向かっていたり、住宅地に向かっていたりする場合には、レーザ光を照射する必要があると判定する。照射判断部36は、例えば、移動方向検出部34が検出した害獣Vの移動方向が予め定められた害獣Vを退避させる退避方向に向かっていたり、山の方向に向かっていたりする場合には、レーザ項を照射する必要がないと判定する。レーザ光を照射する必要があると判定された場合(ステップS16;Yes)、ステップS18に進む。レーザ光を照射する必要があると判定されなかった場合(ステップS16No)、ステップS20に進む。
【0036】
ステップS16でYesと判定された場合、レーザ光源制御部40は、レーザ光源部12を制御して、レーザ光を照射させる(ステップS18)。具体的には、レーザ光源制御部40は、レーザ光源部12を制御して、害獣Vが予め定められた退避方向に退避するようにレーザ光を照射する。レーザ光源制御部40は、例えば、レーザ光源部12を制御して、害獣Vの進行方向における前方にレーザ光を照射する。レーザ光源制御部40は、例えば、眼球位置検出部38が検出した害獣Vの目を検出した場合には、害獣Vの目の位置に基づいて、レーザ光を照射してもよい。具体的には、レーザ光源制御部40は、例えば、害獣Vの目に対してレーザ光を照射するように、レーザ光源部12を制御してもよい。そして、ステップS20に進む。
【0037】
制御部24は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS20)。具体的には、害獣検出部32が映像データ取得部30から害獣Vが検出できなくなった場合に、処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS20;Yes)、
図3の処理を終了する。処理を終了しないと判定された場合(ステップS20;No)、ステップS10に進む。
【0038】
上述のとおり、第1実施形態は、害獣Vが検出された場合、害獣Vに移動方向と、予め定めた退避方向とに基づいて、害獣Vを退避方向に退避させるようにレーザ光を照射する。これにより、第1実施形態は、害獣Vを適切に退避させることができる。
【0039】
[第2実施形態]
図4を用いて、第2実施形態に係る害獣監視システムの概要について説明する。
図4は、第2実施形態に係る害獣監視システムの概要を示す図である。
【0040】
図4に示すように、第2実施形態では、監視システム1Aは、害獣監視装置10
1と、害獣監視装置10
2と、害獣監視装置10
3と、害獣監視装置10
4と、を含むとする。第2実施形態では、害獣監視装置10
1、害獣監視装置10
2、害獣監視装置10
3、及び害獣監視装置10
4とのそれぞれの間で、各種の情報を送受信して、害獣Vを退避させる処理を行う。害獣監視装置10
1、害獣監視装置10
2、害獣監視装置10
3、及び害獣監視装置10
4の構成は、
図2に示す第1実施形態に係る害獣監視装置10の構成と同一なので、説明を省略する。
【0041】
[処理内容]
図5を用いて、第2実施形態に係る害獣監視装置の処理内容について説明する。
図5は、第2実施形態に係る害獣監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0042】
図5は、害獣監視装置10
1が行う処理として説明するが、害獣監視装置10
2、害獣監視装置10
3、及び害獣監視装置10
4についても同様の処理を行う。
【0043】
ステップS30からステップS34の処理は、
図3に示すステップS10からステップS14の処理と同一なので、説明を省略する。
【0044】
ステップS32でNoと判定された場合またはステップS34の後、通信制御部42は、他の害獣監視装置10に監視情報を送信する(ステップS36)。具体的には、通信制御部42は、害獣監視装置102、害獣監視装置103、及び害獣監視装置104に対して、自身の識別情報と、自身の位置情報と、害獣Vの検出結果の有無に関する情報を含む監視情報を送信する、通信制御部42は、害獣検出部32が害獣Vを検出した場合には、移動方向検出部34が検出した害獣Vの移動方向に関する情報を含めて監視情報を害獣監視装置102、害獣監視装置103、及び害獣監視装置104に対して送信する。そして、ステップS38に進む。
【0045】
通信制御部42は、他の害獣監視装置10から監視情報を受信する(ステップS38)。具体的には、通信制御部42は、害獣監視装置102、害獣監視装置103、及び害獣監視装置104からそれぞれの識別情報および位置情報と、害獣Vの検出の有無に関する情報と、害獣Vの移動方向に関する情報とを害獣監視装置102、害獣監視装置103、及び害獣監視装置104から受信する。そして、ステップS40に進む。
【0046】
照射判断部36は、レーザ光を照射する必要があるか否かを判定する(ステップS40)。具体的には、照射判断部36は、自身の監視情報と、害獣監視装置102、害獣監視装置103、及び害獣監視装置104から受信した監視情報とに基づいて、レーザ光を照射する必要があるか否かを判定する。そして、ステップS42に進む。
【0047】
照射判断部36は、害獣Vを他の害獣監視装置10の方に誘導するか否かを判定する(ステップS42)。具体的には、照射判断部36は、例えば、害獣監視装置102から自身の方に害獣Vが向かってくる旨の監視情報を受信した場合に、他の害獣監視装置10の方に誘導させた方が退避方向に退避させ易いと判定した場合に、他の害獣監視装置10の方に誘導すると判定する。害獣Vを他の害獣監視装置10の方に誘導すると判定された場合(ステップS42;Yes)、ステップS44に進む。害獣Vを他の害獣監視装置10の方に誘導しないと判定された場合(ステップS42;No)、ステップS46に進む。なお、照射判断部36は、レーザ光を照射させない方が他の害獣監視装置10の方に誘導させ易いと判定した場合には、レーザ光を照射しないと判定してもよい。
【0048】
ステップS42でYesと判定された場合、レーザ光源制御部40は、レーザ光源部12を制御して、害獣Vが他の害獣監視装置10の方に退避するようにレーザ光を照射させる(ステップS44)。具体的には、レーザ光源制御部40は、例えば、レーザ光源部12を制御して、通信制御部42が受信した他の害獣監視装置10の位置情報などに基づいて、レーザ光を照射させる。なお、照射判断部36がレーザ光を照射させない方が他の害獣監視装置10の方に誘導させ易いと判定した場合には、レーザ光源制御部40は、レーザ光源部12を制御して、レーザ光を照射させない。そして、ステップS48に進む。
【0049】
ステップS42でNoと判定された場合、レーザ光源制御部40は、レーザ光源部12を制御して、害獣Vが退避方向に退避するようにレーザ光を照射させる(ステップS46)。具体的には、レーザ光源制御部40は、例えば、レーザ光源部12を制御して、予め登録された退避方向に害獣Vが退避するように、レーザ光を照射させる。そして、ステップS48に進む。
【0050】
ステップS48の処理は、
図3に示すステップS20の処理と同一なので、説明を省略する。
【0051】
上述のとおり、第2実施形態は、他の害獣監視装置10と連携して、害獣Vを退避方向に退避させるようにレーザ光を照射する。これにより、第2実施形態は、より適切に害獣Vを退避させることができる。
【0052】
[第3実施形態]
[害獣監視装置]
図6を用いて、第3実施形態に係る害獣監視装置の構成例について説明する。
図6は、第3実施形態に係る害獣監視装置の構成例を示す図である。
【0053】
図6に示すように、第3実施形態に係る監視装置10Aは、監視制御装置16Aの制御部24Aが個体情報識別部44を備える点で、
図2に示す害獣監視装置10とは異なる。
【0054】
個体情報識別部44は、害獣検出部32が、映像データ取得部30が取得した映像データから害獣Vを検出した場合、その害獣Vの個体情報を識別する。個体情報識別部44は、例えば、記憶部22が記憶している捕獲対象情報に基づいて、害獣検出部32が検出した害獣Vが捕獲対象の害獣Vであるか否かを判定する。
【0055】
第3実施形態において、記憶部22が記憶している捕獲対象情報は、例えば、捕獲対象の害獣Vを識別するための辞書データであり得る。辞書データとは、例えば、害獣Vの映像データから抽出された形状や色の特徴情報であり得る。捕獲対象の害獣Vとは、例えば、頻繁に出没して農作物を荒らす個体であり得る。このような個体は、退避させても再び農作物を荒らす可能性が高いため、第3実施形態では、退避させずに捕獲対象として判定する。
【0056】
[処理内容]
図7を用いて、第3実施形態に係る害獣監視装置の処理内容について説明する。
図7は、第3実施形態に係る害獣監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS60およびステップS62の処理は、それぞれ、
図3に示すステップS10およびステップS12に示す処理と同一なので、説明を省略する。
【0058】
ステップS62でYesと判定された場合、個体情報識別部44は、検出された害獣Vは捕獲対象であるか否かを判定する(ステップS64)。具体的には、個体情報識別部44は、ステップS62で検出された害獣Vの映像データから抽出された特徴情報が予め捕獲対象として、記憶部22に記憶されている捕獲対象の特徴情報と一致している場合に、捕獲対象であると判定する。個体情報識別部44は、例えば、通信部21を介して、捕獲対象に関する特徴情報を記憶している外部のサーバ装置などに問い合わせて、ステップS62で検出された害獣Vが捕獲対象であるか否かを判定してもよい。検出された害獣Vが捕獲対象であると判定された場合(ステップS64;Yes)、ステップS66に進む。検出された害獣Vが捕獲対象であると判定されなかった場合(ステップS64;No)、ステップS70に進む。
【0059】
ステップS64でYesと判定された場合、移動方向検出部34は、捕獲対象の害獣Vの移動方向を検出する(ステップS66)。具体的には、移動方向検出部34は、映像データ取得部30がカメラ14から取得した映像データから捕獲対象の害獣Vの動きベクトルを検出することで、害獣Vの移動方向を検出する。移動方向検出部34は、その他の周知の方法を用いて、捕獲対象の害獣Vの移動方向を検出してもよい。ステップS66では、眼球位置検出部38は、映像データ取得部30がカメラ14から取得した映像データから捕獲対象の害獣Vの目の位置を検出してもよい。そして、ステップS68に進む。
【0060】
レーザ光源制御部40は、レーザ光源部12を制御して、害獣Vが罠方向に退避するようにレーザ光を照射させる(ステップS68)。具体的には、レーザ光源制御部40は、例えば、レーザ光源部12を制御して、予め設置した罠の方向に捕獲対象の害獣Vが退避するように、レーザ光を照射させる。すなわち、捕獲対象の害獣Vについては、移動方向によらず罠の方向に退避するように、レーザ光を照射する。罠は、例えば、害獣Vを捕獲するための捕獲檻である。捕獲檻には、例えば、カメラが設置されており、害獣Vが檻の中へ入ったと認識したら檻の入り口を閉じて、害獣Vが檻から逃げられないようにする。そして、ステップS76に進む。
【0061】
ステップS70からステップS76の処理は、それぞれ、
図3に示すステップS14からステップS20の処理と同一なので、説明を省略する。
【0062】
上述の通り、第3実施形態は、捕獲対象として登録されている害獣Vが検出されている場合には、罠の方向に退避させて害獣Vを捕獲する。これにより、第3実施形態は、頻繁に姿を見せる害獣Vについては、捕獲することができるので、農作物への被害をより低減することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 害獣監視システム
10 害獣監視装置
12 レーザ光源部
14 カメラ
16 監視制御装置
20 通信部
22 記憶部
24 制御部
30 映像データ取得部
32 害獣検出部
34 移動方向検出部
36 照射判断部
38 眼球位置検出部
40 レーザ光源制御部
42 通信制御部
44 個体情報識別部