(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145198
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】蓄電池管理装置及び蓄電池管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220926BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20220926BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H02J7/02 H
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046500
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】竹井 英俊
(72)【発明者】
【氏名】上野 敬章
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 正夫
(72)【発明者】
【氏名】植杉 淳司
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503EA02
5G503EA05
5G503EA09
5G503GD03
5G503HA01
5H030AA10
5H030AS03
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】蓄電池における電池モジュールの各々を接続する接続経路の間に接触抵抗が存在し、充電及び放電時の電流が流れる期間でも、接触抵抗による影響を受けずに電池モジュールを構成する電池セルの各々の電圧を測定する蓄電池管理装置を提供する。
【解決手段】本発明の蓄電池管理装置は、電池モジュール内の電池セルの各々の電圧を管理する装置であり、電池セルのセル電圧を測定する、電池セルの+端子、-端子それぞれが独立して接続される測定端子間の電圧差を測定する電池セル電圧測定回路を備え、直列接続された電池セルにおいて、高電圧側の電池セルの-端子と低電圧側の+端子とを一つの測定点とし、直列に接続される電池モジュールの-側接続端子に接続される電池セルの-端子と、電池モジュールの+側接続端子に接続される電池セルの+端子とを、それぞれ一つの測定点とし、電池セル電圧測定回路が測定点の間の電位差をセル電圧として測定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を構成する電池モジュール内の電池セルの各々の電圧を管理する蓄電池管理装置であり、
前記電池セルの各々のセル電圧を測定する、当該電池セルの各々の+端子、-端子それぞれが独立して接続される測定端子を備え、測定端子間の電圧差を前記セル電圧として測定する電池セル電圧測定回路
を備え、
前記電池モジュールを構成する直列に接続された電池セルの各々において、高電圧側の電池セルの-端子と低電圧側の+端子との各々を一つの測定点とし、一方、直列に接続される前記電池モジュールの各々における-側接続端子に接続される電池セルの-端子と、前記電池モジュールの+側接続端子に接続される電池セルの+端子との各々を、それぞれ一つの測定点として、前記電池セル電圧測定回路が前記測定点の間の電位差を前記セル電圧として測定する
ことを特徴とする蓄電池管理装置。
【請求項2】
蓄電池を構成する電池モジュールにおける電池セルの各々の電圧を管理する蓄電池管理方法であり、
電池セル電圧測定回路が、前記電池セルの各々のセル電圧を測定する、当該電池セルの各々の+端子、-端子それぞれが独立して接続される測定端子を備え、測定端子間の電圧差を前記セル電圧として測定する電池セル電圧測定過程
を含み、
前記電池モジュールを構成する直列に接続された電池セルの各々において、高電圧側の電池セルの-端子と低電圧側の+端子との各々を一つの測定点とし、一方、直列に接続される前記電池モジュールの各々における-側接続端子に接続される電池セルの-端子と、前記電池モジュールの+側接続端子に接続される電池セルの+端子との各々を、それぞれ一つの測定点として、前記電池セル電圧測定回路が前記測定点の間の電位差を前記セル電圧として測定する
ことを特徴とする蓄電池管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池管理装置及び蓄電池管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー化を図るため、再生可能エネルギーにより生成した電力、例えば太陽電池(所謂ソーラーパネル)などで発電した電力を、一旦、蓄電池に蓄えて必要に応じて使用することで、電気エネルギーの利用効率を向上させる蓄電池が運用されている。
また、蓄電池に用いる電池モジュールを構成する電池セルによっては、例えばリチウムイオン電池などは、常用領域と使用禁止領域の電圧値が近接しているため厳格な電圧管理が必要である。
このため、電池セルの電圧の管理のため、蓄電池を構成する複数の電池モジュール毎ににおける電池セルの各々の電圧(セル電圧)が測定され、電池セルそれぞれに対するセルバランスの処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、
図9に示すように、蓄電池において、直列に接続された高電圧側の電池モジュール201の-側接続端子201(-)端子と、低電圧側の電池モジュール202の+側接続端子202(+)との間には、-側接続端子201(-)及び+側接続端子202(+)の接続経路CPにおいて接触抵抗(あるいは接続抵抗)Rが発生する。
すなわち、この接続経路CPは、コネクタ211及びコネクタ621の接続点、コネクタ611及びコネクタ111の接続点、コネクタ112及びコネクタ612の接続点、及びコネクタ622及びコネクタ212(後述する
図6)の接続点の各々においての接触面の接触抵抗の合計値として、上記接触抵抗Rが形成される。
【0005】
ここで、電池モジュール201及び202の各々において、放電や充電が行われていない場合、接触抵抗Rに電流が流れないため、接続経路CPにおける接触抵抗Rの両端に電位は発生しない。
一方、電池モジュール201及び202の各々に対して充電や放電が行われている場合、接触抵抗Rには充電電流や放電電流としての電流Iが流れる。
これにより、接触抵抗Rの抵抗値と電流Iの電流値とに対応した電位Vが、接触抵抗Rの両端、すなわち、-側接続端子201(-)及び+側接続端子202(+)の各々の間に発生する。
そのため、電池モジュール201の-側接続端子201(-)と、電池モジュール202の+側接続端子202(+)とが同一の電位ではなくなる。
【0006】
また、電池モジュール201の電池セル201_nの-端子と、電池モジュール202の+端子とは、すなわち、-側接続端子201(-)と+側接続端子202(+)とは、電池セル電圧測定回路301における同一の測定端子P1zに接続されている。
図9に示す測定端子の各々は、電池セル電圧測定回路301の測定端子に対して、以下に示すように、直列に接続された電池セルの各々の-端子及び+端子の接続点を接続させ、測定端子間の電圧をセル電圧として計測するために用いられる。
【0007】
ここで、接続経路CPにおいて、電池モジュール201の-側接続端子201(-)と、電池モジュール202の+側接続端子202(+)との電圧が上述した接触抵抗による電圧降下により同一ではない。
そして、電池モジュール201の-側接続端子201(-)(すなわち、電池セル201_nの-端子)と電池セル電圧測定回路301の測定端子QP1n(-)との間には、接続端子302における接触抵抗や配線抵抗による経路抵抗R1が存在する。
同様に、電池モジュール202の+側接続端子202(+)(すなわち、電池セル202_1の+端子)と電池セル電圧測定回路301の測定端子QP21(+)との間には、接続端子303における接触抵抗や配線抵抗による経路抵抗R2が存在する。
【0008】
このため、経路抵抗R1及びR2の各々により、抵抗Rの両端に発生した電圧Vがそれぞれ分圧され、経路抵抗R1及びR2の各々に電圧V1、V2のそれぞれが発生する。
そして、電池モジュール201の-側接続端子201(-)に対して-端子が接続されている電池セル201_nの測定電圧VS1_nと、電池モジュール202の+側接続端子202(+)に対して+端子が接続されている電池セル202_1の測定電圧VS2_1との各々に、それぞれ電圧V1及びV2が印加される。
これにより、充電や放電が行われて電流が接触抵抗に流れている場合、電池セル電圧測定回路301が測定する測定電圧VS1_nには電圧V1が含まれており、測定電圧VS2_1には電圧V2が含まれている。
【0009】
したがって、充電や放電が行われている場合には、直列接続された高電圧側の電池モジュール201の-側接続端子に接続された電池セル201_n、また低電圧側の電池モジュール202の+側接続端子202(+)に接続された電池セル202_1の電圧を、正確に測定することができない。
このため、電池モジュール201及び202の各々におけるセル電圧それぞれのセルバランスの処理を行う際、電池セル201_n、電池セル202_1の測定されたセル電圧のそれぞれに誤差として電圧V1、V2が含まれるため、セルバランスなどの電池セルの各々に対する厳格な電圧管理が行えない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、蓄電池における電池モジュールの各々を接続する接続経路の間に接触抵抗が存在し、充電及び放電時における電流が流れる期間においても、当該接触抵抗による影響を受けずに電池モジュールを構成する電池セルの各々の電圧を測定することができる蓄電池管理装置及び蓄電池管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の蓄電池管理装置の一態様は、蓄電池を構成する電池モジュール内の電池セルの各々の電圧を管理する蓄電池管理装置であり、前記電池セルの各々のセル電圧を測定する、当該電池セルの各々の+端子、-端子それぞれが独立して接続される測定端子を備え、測定端子間の電圧差を前記セル電圧として測定する電池セル電圧測定回路を備え、前記電池モジュールを構成する直列に接続された電池セルの各々において、高電圧側の電池セルの-端子と低電圧側の+端子との各々を一つの測定点とし、一方、直列に接続される前記電池モジュールの各々における-側接続端子に接続される電池セルの-端子と、前記電池モジュールの+側接続端子に接続される電池セルの+端子との各々を、それぞれ一つの測定点として、前記電池セル電圧測定回路が前記測定点の間の電位差を前記セル電圧として測定することを特徴とする。
【0012】
本発明の蓄電池管理方法の一態様は、蓄電池を構成する電池モジュールにおける電池セルの各々の電圧を管理する蓄電池管理方法であり、電池セル電圧測定回路が、前記電池セルの各々のセル電圧を測定する、当該電池セルの各々の+端子、-端子それぞれが独立して接続される測定端子を備え、測定端子間の電圧差を前記セル電圧として測定する電池セル電圧測定過程を含み、前記電池モジュールを構成する直列に接続された電池セルの各々において、高電圧側の電池セルの-端子と低電圧側の+端子との各々を一つの測定点とし、一方、直列に接続される前記電池モジュールの各々における-側接続端子に接続される電池セルの-端子と、前記電池モジュールの+側接続端子に接続される電池セルの+端子との各々を、それぞれ一つの測定点として、前記電池セル電圧測定回路が前記測定点の間の電位差を前記セル電圧として測定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓄電池における電池モジュールの各々を接続する接続経路の間に接触抵抗が存在し、充電及び放電時における電流が流れる期間においても、当該接触抵抗による影響を受けずに電池モジュールを構成する電池セルの各々の電圧を測定することができる蓄電池管理装置及び蓄電池管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る電源システムの概要を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る電源システムで用いられる蓄電池ユニットの概要の説明図である。
【
図3】電池モジュールのコネクタと制御管理モジュールのコネクタとを接続する中継ケーブルの概要の説明図である。
【
図4】電池モジュールのコネクタと制御管理モジュールのコネクタとを接続する中継ケーブルの概要の説明図である。
【
図6】制御管理モジュールの構成を示すブロック図である。
【
図7】BMS基板に配置されるAFE回路素子の概要を示すブロック図である。
【
図8】本発明の一実施形態の電池モジュールにおける電池セルの管理を行う蓄電池管理装置の概略構成の一例を示したブロック図である。
【
図9】一般的な電池モジュールにおける電池セルの管理を行う蓄電池管理装置の概略構成の一例を示したブロック図である。
【
図10】本発明に係る電源システムの他の構成例の概要を示すブロック図である。
【
図11】本発明に係る電源システムの他の構成例の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
<全体システム>
図1は、本発明に係る電源システム10の概要を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電源システム10は、パワーコンディショナー1と、ソーラーパネル2と、蓄電ユニット3とを含んで構成される。
【0016】
パワーコンディショナー1は、直流電源と交流電源との変換、電源電圧の制御、買電及び売電などの処理を行う。すなわち、商用電源5では交流電源を用いているのに対して、太陽光発電や蓄電には直流電源を用いる。また、商用電源5の電圧と、ソーラーパネル2や蓄電池ユニット3で用いるバッテリーの電圧は異なっている。パワーコンディショナー1は、商用電源5、ソーラーパネル2、蓄電池ユニット3との間で、直流電源と交流電源との変換及び電源電圧の制御を行っている。そして、パワーコンディショナー1は分電盤6に電力を供給し、分電盤6は各部屋のコンセントに電力を分配する。
【0017】
ソーラーパネル2は、昼間の太陽が現れる時間には発電を行えるが、夜間、太陽が沈むと発電が行えず、発電量が安定しない。蓄電池ユニット3は、昼間、商用電源5とパワーコンディショナー1を介して系統から充電を行うことが可能であり、ソーラーパネル2とパワーコンディショナー1を介して充電を行うことが可能であり、パワーコンディショナー1を介して電力の供給を補うことも可能である。蓄電池ユニット3は、夜間、商用電源5とパワーコンディショナー1を介して系統から充電を行うことが可能であり、パワーコンディショナー1を介して電力の供給を補うことも可能である。
【0018】
また、パワーコンディショナー1は、電力が不足している場合には、商用電源5から電源を買い取り、ソーラーパネル2による電力が余剰になるときには、商用電源5に電源を売るような、買電及び売電などの処理を行っている。
【0019】
また、電源システム10には、EV(Electric Vehicle)スタンド4を組み込むことができる。EVスタンド4は、電気自動車への充電を行う他、電気自動車に搭載されているバッテリーを利用して、電力を蓄積するのに用いることができる。また、EVスタンド4は、パワーコンディショナー1を介して電力の供給を補うことも可能である。
【0020】
図2は、本発明に係る電源システム10で用いられる蓄電池ユニット3の概要の説明図である。
図2に示すように、蓄電池ユニット3は、例えば7個の電池モジュール201~207と、制御管理モジュール100(蓄電池管理装置100と示す場合もある)とから構成される。本実施形態においては、電池モジュールが7個の構成を例として説明するが、2個以上の複数であれば、何個でもよい。
電池モジュール201~207には、複数のバッテリーセル(電池セル)からなるバッテリースタックが設けられている。また、電池モジュール201~202には、それぞれ、コネクタ211~217及びコネクタ221~222が備えられている。
【0021】
制御管理モジュール100は、電池モジュール201~207の充放状態及び放電電状態を管理している。制御管理モジュール100には、コネクタ111~117及びコネクタ121~127が備えられている。
電池モジュール201~207のコネクタ211~217と、制御管理モジュール100のコネクタ111~117とは、
図3に示すような中継ケーブル60-1~60-7により接続される。電池モジュール201~207のコネクタ221~227と、制御管理モジュール100のコネクタ121~127とは、
図4に示すような中継ケーブル70-1~70-7により接続される。
【0022】
図3は、電池モジュール201~207のコネクタ211~217と、制御管理モジュール100のコネクタ111~117とを接続する中継ケーブル60(601~607)の概要の説明図である。
【0023】
図3に示すように、中継ケーブル60は、電池モジュール201~207側のコネクタ61(611~617)と、制御管理モジュール100側のコネクタ62(621~627)と、その間のケーブル63(631~63n)とからなる。ケーブル63(631~637)は、正極の配線(+側配線)と負極の配線(-側配線)との2線になる。
【0024】
図4は、電池モジュール201~207のコネクタ221~227と、制御管理モジュール100のコネクタ121~127とを接続する中継ケーブル70(70-1~70-7)の概要の説明図である。
【0025】
図4に示すように、中継ケーブル70(701~707)は、電池モジュール201~207側のコネクタ71(711~717)と、制御管理モジュール10側のコネクタ72(721~727)と、その間のケーブル73(731~737)とからなる。ケーブル73(731~737)は、バッテリースタックを構成するバッテリーセルに応じた数の配線からなる。
【0026】
図5は、電池モジュール20(201~207)の構成例を示す図である。なお、電池モジュール201~207の各々は、全て、同様の構成である。
図5に示すように、電池モジュール20(201~207)には、直列接続された電池セル20_1(201_1、202_1)、20_2(202_1、202_2)、…、20_n(201_1、201_n)からなるバッテリースタックが設けられている。
【0027】
電池セル20_1、20_2、…、20_nとしては、リチウムイオン電池、例えば、リン酸鉄リチウムイオン電池が用いられる。リン酸鉄リチウムイオン電池は、リン酸鉄リチウムを正極(+端子側)に使用するもので、電池内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくく、安全性が高いという特徴がある。1つの電池セル20_1、20_2、…、20_nのセル電圧は、セル構造により異なる。リチウムイオン電池の場合、セル電圧は、2V~4Vである。リン酸鉄リチウムイオン電池では、セル電圧は、例えば3.3V程度である。
【0028】
電池モジュール20(201~207)には、コネクタ21(211~217)及びコネクタ22(221~227)が設けられる。コネクタ21(211~217)は、電池モジュール20(201~207)の各々の充放電を行うためのコネクタである。コネクタ22(221~227)は、電池セル20_1、20_2、…、20_nのセル電圧を監視するためのコネクタである。
【0029】
図6は、制御管理モジュール100の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、制御管理モジュール100には、端子台31と、ブレーカ33と、HV(High-Voltage)基板40と、BMS(Battery Management System)基板50とが実装されている。
【0030】
端子台31は、パワーコンディショナー1からの配線を接続するコネクタである。端子台31には、正極(+)端子31aと、負極(-)端子31bと、接地端子31cとが配設されている。この例では、接地端子31cは接地電位として筐体に接続している。端子台31の正極端子31a及び負極端子31bから伸びる配線が充放電ライン35a及び35bを形成する。ブレーカ33は、大電流が流れたときの保護用である。
【0031】
通信コネクタ32は、パワーコンディショナー1からの通信用のシールド線を接続するコネクタである。通信コネクタ32は、BMS基板50上の通信コネクタ51と接続される。パワーコンディショナー1からのデータは、通信コネクタ32を介して受信され、マイクロプロセッサ54に送られる。また、マイクロプロセッサ54からのデータが通信コネクタ32を介してパワーコンディショナー1に送られる。
【0032】
HV基板40は、電池モジュール201~207の充放電を行うための基板である。HV基板40には、リレー41と、電流センサ42と、通信コネクタ43と、コネクタ221~227が実装されている。
【0033】
リレー41は、蓄電ユニット3の動作を開始/停止させるスイッチとなる。電流センサ42は、電池モジュール201~207への充放電電流を検出している。通信コネクタ43は、BMS基板50上の通信コネクタ52と接続される。通信コネクタ43は、例えば電流センサ42の検出電流をマイクロプロセッサ54に送信している。
【0034】
コネクタ111~117は、それぞれ、電池モジュール201~207側のコネクタ211~217と接続する端子である。電池モジュール201~207側のコネクタ211~217は充放電用のコネクタである。コネクタ111~117からは、バッテリースタックを構成する電池セル20_1、20_2、…、20_nの両端からの配線が導出されている。
そして、最も電位の高いコネクタ111の+端子が充放電ライン35aと接続され、最も電位の低いコネクタ117の-端子が充放電ライン35bと接続される。
【0035】
ここで、電池セル20_1は、電池モジュール201~207の各々における電池セル201_から207_1の各々を示している。他の電池セル20_2、…、20_nも、上述した電池セル20_1と同様に、電池モジュール201~207の各々の電池セルそれぞれを示しているである。
コネクタ111~117は直列接続して、所望の充放電電圧が得られるようにしている。
【0036】
BMS基板50は、電池モジュール201~207の状態を監視及び制御するための基板である。BMS基板50には、通信コネクタ51及び52、AFE(Analog Front End)53、マイクロプロセッサ54、フォトカップラ55、コネクタ121~127が実装されている。
【0037】
通信コネクタ51は、通信コネクタ32と接続され、パワーコンディショナー1との間でデータの送受を行う。通信コネクタ52は、通信コネクタ43と接続され、HV基板40との間でデータの送受を行う。
【0038】
AFE53は、後述する電池セル電圧測定回路101に相当し、電池モジュール201~207の各々における電池セルのそれぞれセル電圧を検出し、ディジタルデータに変換する。
【0039】
マイクロプロセッサ54は、パワーコンディショナー1からのデータ、HV基板40からのデータ、AFE53からのデータ等を基に、各種の制御を行う。
【0040】
フォトカップラ55は、光絶縁素子であり、AFE53とマイクロプロセッサ54との間を接続する。AFE53には高電圧が印加されるので、AFE53とマイクロプロセッサ54との間は、フォトカップラ55でアイソレーションを行っている。また、フォトカップラ55に換えてディジタルアイソレータ等の素子を用いても良い。
【0041】
コネクタ121~127は、それぞれ、電池モジュール201~207側のコネクタ221~227と接続する端子である。コネクタ121(121~127)は、電池セル20_1、20_2、…、20_nのセル電圧を監視するためのコネクタである。コネクタ121~127は、それぞれ、電池モジュール201~207のセル電圧をBMS基板50側に伝達している。
【0042】
図7は、BMS基板50に配置されるAFE回路素子530の概要を示すブロック図である。本実施形態では、電池モジュール201~207に対応させた数だけ、
図7に示すようなAFE回路素子530を配置して、AFE53の機能を実現している。なお、ここでは、AFE回路素子530の機能の中で、本発明の説明に必要な部分に限定して説明する。
【0043】
図7において、端子A1、A2、…、Am(mは任意の整数)は、後述する電池セル電圧測定回路101における測定端子QP(+)からQP2n(-)に相当し、バッテリースタックの電池セルの各々のセル電圧を検出するための測定端子である。バッテリースタックのセル電圧を検出する場合、端子A1から端子Amの順に、最も高い電位の電極から最も電位の低い電極となるように、電池セルを接続する。
【0044】
端子A1、A2、…、Amの段間の抵抗Ra及びスイッチ回路Saは、電池セルをバランスさせるセルバランスの処理を行うためのものである。すなわち、スイッチ回路Saをオンすると、電池セルの両極が抵抗Raを介して接続され、電池セルに蓄積される電気エネルギーがジュール熱により消費される。これにより、電池セルの中で充電量が多いセルのエネルギーを消費させ、各電池セルの充電量や電圧を均一化することができる。
端子D1及び端子D2は、データの入出力の端子である。AFE53(後述する電池セル電圧測定回路101に相当)とマイクロプロセッサ54(後述する蓄電池制御回路102に相当)との間は、端子D1及び端子D2を通じて、データが入出力される。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態の電池モジュールにおける電池セルの管理を行う蓄電池管理装置の概略構成の一例を示したブロック図である。
図8においては、説明を簡単にするため、
図6における電池モジュール201及び202の各々のみを示している。
図8の蓄電池管理装置100は、
図6のBMS基板50上に設けられており、電池セル電圧測定回路101と、蓄電池制御回路102とを備えている。ここで、電池セル電圧測定回路101は、
図6におけるAFE53(AFE回路素子530の集合体)を用いて構成された回路である。また、蓄電池制御回路102は、
図6におけるマイクロプロセッサ54によるセルバランス処理などの電池制御機能を有する回路である。
【0046】
本実施形態においては、2個の電池モジュール201及び電池モジュール202の各々の電池セルの各々の電圧(セル電圧)を測定し、測定したセル電圧を蓄電池制御回路102へ出力する構成として説明する。しかしながら、電池モジュールの数は、構成する蓄電池の特性により、任意に設定されるものであり、
図6に示したように、3個以上の複数が設けられた構成としてもよい。
【0047】
電池セル電圧測定回路101は、蓄電池としてのバッテリースタックを構成する電池モジュール、例えば電池モジュール201及び202の電池セルの各々の電圧(セル電圧)の各々を測定する。
ここで、電池セル電圧測定回路101は、測定端子P11、P12、P13、…、P1n-1、P1n、P1z、P21、P22、P23、…、P2n-1、P2n、P2zの各々の間の電位差を、セル電圧として測定する。
【0048】
このため、接続端子103により、電池モジュール201の電池セルの各々の+端子、-端子それぞれが、電池セル電圧測定回路101の測定点としての測定端子に接続される。
同様に、接続端子104により、電池モジュール202の電池セルの各々の+端子、-端子それぞれが、電池セル電圧測定回路101の測定点としての測定端子に接続される。
また、電池モジュール201の-側接続端子201(-)と、電池モジュール202の+側接続端子202(+)とは、接続経路CPにおいて接続されている。
【0049】
接続経路CPには、すでに従来例において説明したように、-側接続端子201(-)と+側接続端子202(+)とを接続する各コネクタの端子の各々の接触面における接触抵抗Rが存在する。すなわち、接続経路CPは、
図6におけるコネクタ211及びコネクタ621の接続点、コネクタ611及びコネクタ111の接続点、コネクタ112及びコネクタ612の接続点、及びコネクタ622及びコネクタ212の接続点の各々を含み、それぞれのコネクタにおける接触面における接触抵抗の合計値として、上記接触抵抗Rが存在する。
【0050】
電池セル電圧測定回路101における測定端子P11には、電池モジュール201の電池セル201_1の+端子が接続されている。
また、測定端子P12には、電池モジュール201を構成する電池セル201_1の-端子と、電池セル201_2の+端子が接続されている。
測定端子P13には、電池モジュール201を構成する電池セル201_2の-端子と、電池セル202_3(不図示)の+端子が接続されている。
【0051】
測定端子P1n-1には、電池モジュール201の電池セル201_n-2(不図示)の-端子と、電池セル201_n-1の+端子との接続点が接続されている。
測定端子P1nには、電池モジュール201の電池セル201_n-1の-端子と、電池セル201_nの+端子との接続点が接続されている。
測定端子P1zには、電池モジュール201を構成する電池セル201_nの-端子、すなわち電池モジュール201の-側接続端子201(-)が接続されている。
【0052】
また、測定端子P21には、電池モジュール202を構成する電池セル202_1の+端子、すなわち電池モジュール202の+側接続端子202(+)が接続されている。
また、測定端子P22には、電池モジュール202を構成する電池セル202_1の-端子と、電池セル201_2の+端子との接続点が接続されている。
測定端子P23には、電池モジュール202を構成する電池セル202_2の-端子と、電池セル202_3(不図示)の+端子が接続されている。
【0053】
測定端子P2n-1には、電池モジュール202を構成する電池セル202_n-2(不図示)の-端子と、電池セル202_n-1の+端子との接続点が接続されている。
測定端子P2nには、電池モジュール202を構成する電池セル202_n-1の-端子と、電池セル202_nの+端子との接続点が接続されている。
測定端子P2zには、電池モジュール202を構成する電池セル202_nの-端子、すなわち電池モジュール202の-端子202(-)が接続されている。
【0054】
これにより、電池セル電圧測定回路101は、測定端子P11及び測定端子P12の各々の間の電圧を、電池セル201_1のセル電圧として測定電圧VS1_1を測定する。
また、電池セル電圧測定回路1は、測定端子P12及び測定端子P13の各々の間の電圧を、電池セル201_2のセル電圧として測定電圧VS1_2を測定する。
電池セル電圧測定回路101は、測定端子P1n-1及び測定端子P1nの各々の間の電圧を、電池セル201_n-1のセル電圧として測定電圧VS1_n-1を測定する。
電池セル電圧測定回路101は、測定端子P1n及び測定端子P1zの各々の間の電圧を、電池セル201_nのセル電圧として測定電圧VS1_nを測定する。
【0055】
また、電池セル電圧測定回路101は、測定端子P21及び測定端子P22の各々の間の電圧を、電池セル202_1の測定電圧VS2_1として測定する。
また、電池セル電圧測定回路101は、測定端子P22及び測定端子P23の各々の間の電圧を、電池セル202_2の測定電圧VS2_2として測定する。
電池セル電圧測定回路101は、測定端子P2n-1及び測定端子P2nの各々の間の電圧を、電池セル202_n-1の測定電圧VS2_n-1として測定する。
電池セル電圧測定回路101は、測定端子P2n及び測定端子P2zの各々の間の電圧を、電池セル202_nの測定電圧VS2_nとして測定する。
【0056】
すなわち、本実施形態においては、電池セルの各々のセル電圧を測定する際、直列に接続された電池モジュール201及び202の各々における、高電圧側の電池モジュール201の-側接続端子201(-)と、低電圧側の電池モジュール202の+側接続端子202との各々を、電池セル電圧測定回路101の異なる測定端子P1z、P21のそれぞれに接続した状態となっている。
一方、電池モジュール201及び202の各々を構成する直列に接続された電池セル201_nの-端子と、電池セル202_1の+端子との各々は、セル電圧を測定する独立した測定点とされ、別々の測定端子に接続されている。
【0057】
上述したように、本実施形態の蓄電池管理装置において、電池セル電圧測定回路101は、蓄電池を構成する電池モジュール20の各々における電池セルのそれぞれのセル電圧を管理するため、電池セルの各々のセル電圧を測定するために電池セルの各々の+端子及び-端子の接続点がそれぞれが独立して接続される測定端子を備えており、測定端子間の電位差を前記セル電圧として測定する。
【0058】
すなわち、電池セル電圧測定回路101は、電池モジュール20における直列に接続された電池セルの各々において、高電圧側の電池セルの-端子と低電圧側の+端子との接続点を同電位として一つの測定端子に接続としている。
しかしながら、電池セル電圧測定回路101は、直列に接続される電池モジュール20の各々における-側接続端子に接続される電池セルの-端子と、他の電池モジュールの+側接続端子に接続される電池セルの+端子との各々を、それぞれ一つの独立した測定端子に接続して、当該測定端子の間の電位差をセル電圧としては測定しない。
【0059】
すなわち、測定端子P1z及び測定端子P21の各々の間の電圧は、電池モジュール201の端子201(-)と、電池モジュール202の端子202(+)との接続点において、電流Iの電流値及び接触抵抗Rの抵抗値の各々により、接触抵抗Rの両端に発生する電圧Vである。
電池セル電圧測定回路101は、測定端子P1z及び測定端子P21の各々の間の電圧、すなわち接触抵抗Rの両端に発生する電圧Vを、直列接続された電池セルの各々において測定されるセル電圧におけるブランク値として計測を行わない。
すなわち、電池セル電圧測定回路101は、電池モジュールにおける電池セルのセルバランスにおける電圧制御において、接触抵抗Rの両端に発生する電圧Vを用いないため、測定端子P1z及び測定端子P21の各々の間の電圧の測定を行わない、あるは測定しても利用しない。
【0060】
これにより、電池モジュール201及び202の各々における電池セルに充電を行っている場合、また電池セルの放電を行っている場合において、電池モジュール201及び202の接続点における接触抵抗Rに発生する電圧が、電池セル201_n及び電池セル202_1の各々のセル電圧VS1_n、セル電圧VS2_1のそれぞれに含まれることがなくなる。
この結果、電池セル電圧測定回路101は、直列に接続される電池モジュールの接続点に接続されている電池セルのセル電圧も正確に測定することができる。
【0061】
そして、電池セル電圧測定回路101は、測定した蓄電池モジュール201における電池セル201_1、201_1、…、201_n-1及び201_nの各々のセル電圧VS1_1、VS1_2、…、VS1_n-1、VS1nのそれぞれを、蓄電池制御回路102へ出力する。
また、電池セル電圧測定回路101は、測定した蓄電池モジュール202における電池セル202_1、202_1、…、202_n-1及び202_nの各々のセル電圧である、セル電圧VS2_1、VS2_2、…、VS2_n-1、VS2nのそれぞれを、蓄電池制御回路102へ出力する。
【0062】
電池セルの各々は、個々の容量やリークなどの特性の個体差により、充電時や放電時においてセル電圧のアンバランスを生じる。
蓄電池制御回路102は、電池モジュールにおける電池セルの各々の測定されたセル電圧それぞれが、電池セル電圧測定回路101から供給された場合、当該セル電圧に対応して、放電時における過放電や、充電時における過充電を抑制するセルバランスの処理を行う。
これにより、蓄電池制御回路102は、電池モジュール201から電池モジュール207の各々の電池セルそれぞれに対する精度の高い電圧管理を行うセルバランスの処理を、充電時及び放電時においても行うことができる。
【0063】
上述したように、本実施形態によれば、従来例のように、複数の電池モジュールを直列に接続した蓄電池において、電池モジュールの各々における電池セルそれぞれのセル電圧を測定する際、電池モジュール内における電池セル間の接続点と異なり、電池モジュール間の接続の接続点に接続される電池セルの端子(+端子あるいは-端子)の各々を独立の一つの測定端子に接続し、接続点における高電圧側の電池モジュールの-側接続端子と、低電圧側の電池モジュールの+側接続端子との電位を別々に測定することにより、充電時及び放電時に上記接続点における接触抵抗Rに流れる電流により発生する電圧Vが、接続点における高電圧側の電池モジュールの-側接続端子に-端子が接続された電池セルと、低電圧側の電池モジュールの+側接続端子に+端子が接続された電池セルとの各々のセル電圧に影響を与えることを防止し、従来例に比較して高い精度で各電池モジュールの電池セルのセル電圧を測定することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態によれば、充電時及び放電時において高い精度で、各電池モジュールの電池セルのセル電圧を測定して取得することが可能となるため、蓄電池制御回路102が従来例に比較して高い精度で、各電池セルに対して充電時及び放電時の各々における過充電、過放電のそれぞれにおけるセル電圧に対応したセルバランスの処理を行うことができる。
【0065】
また、上述した実施形態において、電源システムを
図10に示す構成としてもよい。
図10は、本発明に係る電源システムの他の構成例の概要を示すブロック図である。
図10の電源システム10Aにおいて、ソーラーパネル2、蓄電池ユニット3及びEVスタンド4の各々は、パワーコンディショナー1A、1B、1Cのそれぞれに独立して接続されている。
図10において、パワーコンディショナー1A、1B及び1Cの各々は、分電盤6を介して、ソーラーパネル2、蓄電池ユニット3、EVスタンド4のそれぞれの間における電力(電気エネルギー)の供給または需給を行っている。
図10における、蓄電池ユニット3の構成及び動作については、すでに説明した本実施形態における蓄電池ユニット3と同様である。
【0066】
また、上述した実施形態において、電源システムを
図11に示す構成としてもよい。
図11は、本発明に係る電源システムの他の構成例の概要を示すブロック図である。
図11の電源システム10Bにおいて、ソーラーパネル2及び蓄電池ユニット3の各々はパワーコンディショナー1Dに接続され、EVスタンド4は、パワーコンディショナー1Cに接続されている。
図11において、パワーコンディショナー1C及び1Dの各々は、分電盤6を介して、ソーラーパネル2、蓄電池ユニット3、EVスタンド4のそれぞれの間における電力(電気エネルギー)の供給または需給を行っている。
図11における、蓄電池ユニット3の構成及び動作については、すでに説明した本実施形態における蓄電池ユニット3と同様である。
【0067】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0068】
100…蓄電池管理装置 101…電池セル電圧測定回路 102…蓄電池制御回路 103,104…接続端子 201,202…電池モジュール 電池セル…201_1,201_2,201_n-1,201_n,202_1,202_2,202_n-1,202_n 201(-)…-側接続端子 202(+)…+側接続端子 P11,P12,P1n-1,P1n,P1z,P21,P22,P2n-1,P2n,P2z…測定端子 R…接触抵抗 R1,R2…経路抵抗 CP…接続経路