IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

特開2022-145209作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法
<>
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図1
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図2
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図3
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図4
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図5
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図6
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図7
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図8
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図9
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図10
  • 特開-作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145209
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20220926BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E02F9/20 C
E02F9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046512
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 将崇
(72)【発明者】
【氏名】関 洋平
(72)【発明者】
【氏名】草香 孝二
(72)【発明者】
【氏名】細田 佑樹
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA03
2D003BA07
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】作業対象の有無をより高精度に検出すること。
【解決手段】作業機械の制御システムは、作業機械1の作業対象を計測する三次元計測装置20と、作業対象を検出する検出装置25と、三次元計測装置20及び検出装置25の両方で作業対象を検出したとき、作業機械1の介入制御を行う介入制御部としての作業機制御部87、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の作業対象を計測する三次元計測装置と、
前記作業対象を検出する検出装置と、
前記三次元計測装置及び前記検出装置の両方で前記作業対象を検出したとき、作業機械の介入制御を行う介入制御部、
を備える作業機械の制御システム。
【請求項2】
前記介入制御部は、前記三次元計測装置及び前記検出装置の一方が前記作業対象を検出し、他方が前記作業対象を検出しないとき、介入制御を停止する、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項3】
前記三次元計測装置及び前記検出装置の一方が前記作業対象を検出し、他方が前記作業対象を検出しないとき、警報を出力する出力部、
を備える、請求項1又は2に記載の作業機械の制御システム。
【請求項4】
前記三次元計測装置の計測結果に基づいて、前記作業機械の積み込み対象の位置を算出する対象算出部、
を備え、
前記介入制御部は、前記対象算出部が算出した前記積み込み対象の位置に基づいて、介入制御を行う、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項5】
前記介入制御部は、前記作業機械の作業機の角度が角度閾値以上であり、前記三次元計測装置及び前記検出装置の両方で前記作業対象を検出したとき、介入制御を行う、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項6】
前記介入制御は、前記作業機械の積み込み対象に対して、前記作業機械の作業機を上昇させる制御を含み、
前記介入制御部は、前記三次元計測装置及び前記検出装置の一方が前記作業対象を検出し、他方が前記作業対象を検出しないとき、前記作業機の上昇を停止させる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項7】
前記介入制御は、前記作業機械の積み込み対象に対して、前記作業機械の作業機を上昇させる制御、前記作業機の掘削物を前記積み込み対象に積み込みする制御、及び前記作業機を下降させる制御を含み、
前記介入制御部は、前記三次元計測装置及び前記検出装置の一方が前記作業対象を検出し、他方が前記作業対象を検出しないとき、前記作業機の上昇、前記積み込み、及び前記作業機の下降の少なくもいずれかを停止させる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項8】
前記検出装置は、前記三次元計測装置と異なる位置に設置される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項9】
前記作業機械は、ホイールローダであって、
前記検出装置は、フロントアクスル上に設置され、
前記介入制御部は、作業機の角度が角度閾値以上の場合において、前記三次元計測装置及び前記検出装置の両方で前記作業対象を検出したとき、介入制御を行う、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項10】
作業機械の作業対象を計測する三次元計測装置及び前記作業対象を検出する検出装置の両方で前記作業対象を検出したとき、作業機械の介入制御を行う、
作業機械の制御方法。
【請求項11】
前記三次元計測装置及び前記検出装置の一方が前記作業対象を検出し、他方が前記作業対象を検出しないとき、介入制御を停止する
請求項10に記載の作業機械の制御方法。
【請求項12】
前記三次元計測装置及び前記検出装置の一方が前記作業対象を検出し、他方が前記作業対象を検出しないとき、警報を出力する
請求項10又は11に記載の作業機械の制御方法。
【請求項13】
前記三次元計測装置の計測結果に基づいて、前記作業機械の積み込み対象の位置を算出し、
算出した前記積み込み対象の位置に基づいて、介入制御を行う、
請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の作業機械の制御方法。
【請求項14】
前記作業機械の作業機の角度が角度閾値以上であり、前記三次元計測装置及び前記検出装置の両方で前記作業対象を検出したとき、介入制御を行う、
請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の作業機械の制御方法。
【請求項15】
前記介入制御は、前記作業機械の積み込み対象に対して、前記作業機械の作業機を上昇させる制御を含み、
前記三次元計測装置及び前記検出装置の一方が前記作業対象を検出し、他方が前記作業対象を検出しないとき、前記作業機の上昇を停止させる、
請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の作業機械の制御方法。
【請求項16】
前記介入制御は、前記作業機械の積み込み対象に対して、前記作業機械の作業機を上昇させる制御、前記作業機の掘削物を前記積み込み対象に積み込みする制御、及び前記作業機を下降させる制御を含み、
前記三次元計測装置及び前記検出装置の一方が前記作業対象を検出し、他方が前記作業対象を検出しないとき、前記作業機の上昇、前記積み込み、及び前記作業機の下降の少なくもいずれかを停止させる、
請求項10から請求項15のいずれか一項に記載の作業機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械による作業の自動化を実現するために、作業対象との相対位置を良好に計測可能な作業機械の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1では、三次元計測装置の計測データに基づいて、ホイールローダと作業対象との相対位置を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-132068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業の自動化では、作業機械において作業対象の有無を高精度に検出することが望まれる。ところが、三次元計測装置は、例えば粉塵、雨、照明、又は直射日光などの外乱の影響を受けやすい。
【0005】
本開示の態様は、作業対象の有無をより高精度に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様に従えば、作業機械の作業対象を計測する三次元計測装置と、前記作業対象を検出する検出装置と、前記三次元計測装置及び前記検出装置の両方で前記作業対象を検出したとき、作業機械の介入制御を行う介入制御部、を備える作業機械の制御システムが提供される。
【0007】
本開示の態様に従えば、作業機械の作業対象を計測する三次元計測装置及び前記作業対象を検出する検出装置の両方で前記作業対象を検出したとき、作業機械の介入制御を行う、作業機械の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様によれば、作業対象の有無をより高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る作業機械の一例を示す側面図である。
図2図2は、本実施形態に係る作業機械の動作を示す模式図である。
図3図3は、本実施形態に係る作業機械の積込作業モードを示す模式図である。
図4図4は、本実施形態に係る作業機械の制御システムを示す機能ブロック図である。
図5図5は、作業機を上昇させる動作を説明する図である。
図6図6は、作業機の掘削物を積み込み先に積み込みする動作を説明する図である。
図7図7は、作業機を下降させる動作を説明する図である。
図8図8は、判定結果に基づく処理の一例を説明する図である。
図9図9は、本実施形態に係る作業機械の制御方法を示すフローチャートである。
図10図10は、検出装置による作業対象の検出方法を示すフローチャートである。
図11図11は、コンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。作業機械の制御システムは、作業機械の作業対象の有無をより高精度に検出するシステムである。作業機械の制御システムは、作業機械の各部を組み合わせて実装されている。
【0011】
(実施形態)
[ホイールローダ]
図1は、本実施形態に係るホイールローダ1の一例を示す側面図である。作業機械1は、作業現場において作業対象に対して所定の作業を実施する。本実施形態においては、作業機械1がアーティキュレート式の作業機械の一種であるホイールローダ1であるとして説明する。所定の作業は、掘削作業及び積込作業を含む。作業対象は、掘削対象、及び、掘削された掘削物が積み込まれる積込対象を含む。ホイールローダ1は、掘削対象を掘削する掘削作業、及び掘削作業により掘削した掘削物を積込対象に積み込む積込作業を実施する。積込作業は、掘削物を排出対象に排出する排出作業を含む概念である。掘削対象として、地山、岩山、石炭、及び壁面の少なくとも一つが例示される。地山は、土砂により構成される山であり、岩山は、岩又は石により構成される山である。積込対象として、運搬車両、作業現場の所定エリア、ホッパ、ベルトコンベヤ、及びクラッシャの少なくとも一つが例示される。
【0012】
図1に示すように、ホイールローダ1は、車体2と、運転席が設けられる運転台3と、車体2を走行させる走行装置4と、トランスミッション装置30と、車体2に支持される作業機10と、作業機10の角度を検出する角度センサ50と、車体2よりも前方の作業対象を計測する三次元計測装置20と、車体2よりも前方の作業対象を検出する検出装置25と、運転台3の周辺に設けられるブザー7と、運転台3の周辺に設けられるランプ8と、制御装置80とを備える。
【0013】
車体2は、車体前部2Fと車体後部2Rとを含む。車体前部2Fと車体後部2Rとは、関節機構9を介して屈曲可能に連結される。
【0014】
運転台3は、車体2に支持される。ホイールローダ1の少なくとも一部は、運転台3に搭乗した運転者によって操作される。
【0015】
走行装置4は、車体2を支持する。走行装置4は、地面RSを走行可能である。走行装置4は、車輪5を有する。車輪5は、車体2に搭載されているエンジンが発生する駆動力により回転する。車輪5は、車体前部2Fに装着される2つの前輪5Fと、車体後部2Rに装着される2つの後輪5Rとを含む。車輪5には、タイヤ6が装着される。タイヤ6は、前輪5Fに装着される前タイヤ6Fと、後輪5Rに装着される後タイヤ6Rとを含む。前輪5F及び前タイヤ6Fは、回転軸FXを中心に回転可能である。後輪5R及び後タイヤ6Rは、回転軸RXを中心に回転可能である。車体2が直進状態で走行するとき、回転軸FXと回転軸RXとは平行である。
【0016】
以下の説明においては、前輪5Fの回転軸FXと平行な方向を適宜、車幅方向、と称する。地面RSと接触する前タイヤ6Fの接地面と直交する方向を適宜、上下方向、と称する。車幅方向及び上下方向の両方と直交する方向を適宜、前後方向、と称する。
【0017】
走行装置4は、駆動装置4Aと、ブレーキ装置4Bと、操舵装置4Cとを有する。駆動装置4Aは、ホイールローダ1を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置4Aは、例えばディーゼルエンジンのような内燃機関を含む。駆動装置4Aで発生した駆動力がトランスミッション装置30を介して車輪5に伝達され、車輪5が回転する。ブレーキ装置4Bは、ホイールローダ1を減速又は停止させるための制動力を発生する。操舵装置4Cは、ホイールローダ1の走行方向を調整可能である。ホイールローダ1の走行方向は、車体前部2Fの向きを含む。操舵装置4Cは、油圧シリンダによって車体前部2Fを屈曲させることによって、ホイールローダ1の走行方向を調整する。
【0018】
本実施形態において、走行装置4は、運転台3に搭乗した運転者によって操作される。運転台3には、走行装置4を操作する走行操作装置40が配置される。運転者は、走行操作装置40を操作して、走行装置4を作動させる。走行操作装置40は、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングレバー、及び前後進を切り換えるためのシフトレバー41を含む。アクセルペダルが操作されることにより、ホイールローダ1の走行速度が増大する。ブレーキペダルが操作されることにより、ホイールローダ1の走行速度が減少したり走行が停止したりする。ステアリングレバーが操作されることにより、ホイールローダ1が旋回する。シフトレバー41が操作されることにより、ホイールローダ1の前進又は後進が切り換えられる。
【0019】
トランスミッション装置30は、駆動装置4Aで発生した駆動力を車輪5に伝達する。
【0020】
作業機10は、制御装置80によって制御される。作業機10は、車体前部2Fに回動可能に連結されるブーム11と、ブーム11に回動可能に連結されるバケット12とを有する。
【0021】
ブーム11は、ブームシリンダ13が発生する動力によって作動する。ブームシリンダ13が伸縮することにより、ブーム11は上げ動作又は下げ動作する。ブームシリンダ13は、図示しない油圧ポンプから供給される作動油の流量及び方向を制御する図示しないブーム制御弁を有する。
【0022】
バケット12は、刃先を含む先端部12Bを有する作業部材である。バケット12は、前輪5Fよりも前方に配置される。バケット12は、ブーム11の先端部に連結される。バケット12は、ベルクランク15とリンク16とを介して、バケットシリンダ14に連結される。バケット12は、バケットシリンダ14が発生する動力によって作動する。バケットシリンダ14は、油圧ポンプから供給される作動油の流量及び方向を制御する図示しないバケット制御弁を有する。バケットシリンダ14が伸縮することにより、バケット12はダンプ動作又はチルト動作する。ダンプ動作によって、バケット12内の掘削物がバケット12から排出される。チルト動作によって、バケット12が掘削物をすくい取る。
【0023】
角度センサ50は、作業機10に搭載され、作業機10の姿勢を検出する。角度センサ50は、作業機10の角度を検出する。角度センサ50は、ブーム11の角度を検出するブーム角度センサ51と、バケット12の角度を検出するバケット角度センサ52とを含む。ブーム角度センサ51は、例えば車体前部2Fに規定された車体座標系の基準軸に対するブーム11の角度を検出する。バケット角度センサ52は、ブーム11に対するバケット12の角度を検出する。角度センサ50は、ポテンショメータでもよいし、油圧シリンダのストロークを検出するストロークセンサでもよいし、慣性計測装置でもよいし、傾斜計でもよい。作業機10の角度を示す角度データは、後述する位置データ算出部83及び判定部91に出力される。
【0024】
三次元計測装置20は、ホイールローダ1に搭載される。三次元計測装置20は、車体前部2Fよりも前方の作業対象を計測する。作業対象は、作業機10により掘削された掘削物が積み込まれる積込対象を含む。三次元計測装置20は、三次元計測装置20から作業対象の表面の複数の各計測点までの相対位置を計測して、作業対象の三次元形状を計測する。三次元計測装置20は、写真計測装置の一種であるステレオカメラ22を含む。ステレオカメラ22は、車体2の車幅方向の右側方及び左側方にそれぞれ配置されている。以下の説明においては、片側のステレオカメラ22について説明する。
【0025】
ステレオカメラ22は、前方を撮影する。ステレオカメラ22は、作業対象を撮像して、作業対象を計測する。本実施形態では、ステレオカメラ22は、少なくとも運搬車両LSなどの積込対象を含む作業対象を計測する。ステレオカメラ22の計測データは、作業対象の画像データを含む。画像データは、複数の画素により構成される。画像データは、計測データの一例である。
【0026】
ステレオカメラ22は、第1カメラ22Aと第2カメラ22Bとを一対として有する。第1カメラ22Aと第2カメラ22Bとは、間隔を空けて配置されている。第1カメラ22Aに取得された第1画像データ及び第2カメラ22Bに取得された第2画像データは、制御装置80に出力される。第1画像データ及び第2画像データは、二次元の画像データである。
【0027】
検出装置25は、ホイールローダ1に搭載される。検出装置25は、三次元計測装置20と異なる位置に配置される。検出装置25は、車体前部2Fよりも前方の検出対象を検出する。検出装置25は、検出対象の三次元形状を計測する。検出装置25は、非接触センサ26を含む。非接触センサ26は、ホイールローダ1に配置されている。非接触センサ26は、ホイールローダ1の周辺の物体を非接触で検出する。非接触センサ26は、ホイールローダ1の周辺を走査して、物体を検出する。非接触センサ26は、ホイールローダ1の周辺をミリ波などの電波で走査して物体を検出するレーダ装置を含む。非接触センサ26の検出データは、物体の有無を示す有無データ、及び、物体の位置を示す位置データを含む。非接触センサ26の検出データは、制御装置80に出力される。
【0028】
ブザー7は、運転台3の近傍に配置されている。ブザー7は、警報音を出力するブザー装置である。ブザー7は、判定部91の判定結果を出力する。ブザー7は、判定部91によってどちらか一方で運搬車両LSを検出したと判定された場合、警報音を出力する。
【0029】
ランプ8は、運転台3の近傍に配置されている。ランプ8は、判定部91の判定結果を出力する。ランプ8は、判定部91によってどちらか一方で運搬車両LSを検出したと判定された場合、ランプ8を点滅する。ランプ8は、判定部91によって両方で運搬車両LSを検出したと判定された場合、ランプ8を点灯する。ランプ8は、判定部91によってどちらでも運搬車両LSを検出していないと判定された場合、ランプ8を消灯する。
【0030】
[動作]
図2は、本実施形態に係るホイールローダ1の動作を示す模式図である。ホイールローダ1は、複数の作業モードで作業する。作業モードは、作業機10のバケット12で掘削対象を掘削する掘削作業モードと、掘削作業モードによりバケット12ですくい取った掘削物を積込対象に積み込む積込作業モードとを含む。掘削対象は、例えば地面RS上の地山DSである。積込対象は、例えば地面RSを走行可能な運搬車両LSのベッセルBEである。運搬車両LSは、例えばダンプトラックである。
【0031】
掘削作業モードにおいて、ホイールローダ1は、バケット12に掘削物が保持されていない状態で、地山DSに向かって前進する。運転者は、走行操作装置40を操作して、図2の矢印M1で示すように、ホイールローダ1を前進させて地山DSに接近させる。制御装置80は、バケット12で地山DSが掘削されるように、作業機10を制御する。地山DSがバケット12により掘削され、掘削物がバケット12にすくい取られる。
【0032】
ホイールローダ1は、バケット12に掘削物が保持されている状態で、地山DSから離れるように後進する。運転者は、走行操作装置40を操作して、図2の矢印M2で示すように、ホイールローダ1を後進させて地山DSから離間させる。
【0033】
次に、積込作業モードが実施される。積込作業モードにおいて、ホイールローダ1は、バケット12に掘削物が保持されている状態で、運搬車両LSに向かって前進する。運転者は、走行操作装置40を操作して、図2の矢印M3で示すように、ホイールローダ1を旋回させながら前進させて運搬車両LSに接近させる。このとき、ホイールローダ1に搭載されている三次元計測装置20は、運搬車両LSを計測する。制御装置80は、三次元計測装置20の計測データに基づいて、バケット12に保持されている掘削物が運搬車両LSのベッセルBEに積み込まれるように、作業機10を制御する。すなわち、制御装置80は、ホイールローダ1が運搬車両LSに接近するように前進している状態において、ブーム11が上げ動作するように、作業機10を制御する。ブーム11が上げ動作し、バケット12がベッセルBEの上方に配置された後、制御装置80は、バケット12がダンプ動作するように、作業機10を制御する。ダンプ動作されたバケット12から掘削物が排出され、ベッセルBEに積み込まれる。
【0034】
掘削物がベッセルBEに積み込まれた後、ホイールローダ1は、バケット12に掘削物が保持されていない状態で、運搬車両LSから離れるように後進する。運転者は、走行操作装置40を操作して、図2の矢印M4で示すように、ホイールローダ1を旋回させながら後進させて運搬車両LSから離間させる。
【0035】
運転者及び制御装置80は、ベッセルBEに掘削物が満載されるまで、または、地山DSの掘削が完了するまで、上述の動作を繰り返す。
【0036】
図3は、本実施形態に係るホイールローダ1の積込作業モードを示す模式図である。運転者は、走行操作装置40を操作して、ホイールローダ1を旋回させながら前進させて運搬車両LSに接近させる。図3(A)に示すように、三次元計測装置20は、運搬車両LSの三次元形状及び運搬車両LSとの相対位置を計測する。制御装置80は、三次元計測装置20の計測データに基づいて、ホイールローダ1と運搬車両LSとの距離Db及びベッセルBEの上端部BEtの高さHbを検出する。
【0037】
図3(B)に示すように、制御装置80は、ホイールローダ1が運搬車両LSに接近するように前進している状態で、三次元計測装置20の計測データに基づいて、バケット12がベッセルBEの上端部BEtよりも上方に配置され、かつ、バケット12に保持されている掘削物がバケット12からこぼれないように、バケット12の角度を制御しながら、ブーム11を上げ動作させる。
【0038】
図3(C)に示すように、ブーム11が上げ動作し、バケット12がベッセルBEの上方に配置された後、制御装置80は、バケット12がダンプ動作するように、作業機10を制御する。これにより、バケット12から掘削物が排出され、ベッセルBEに積み込まれる。
【0039】
図3(C)の後、運転者は、走行操作装置40を操作して、ホイールローダ1を旋回させながら後進させて運搬車両LSから離間させる。
【0040】
[制御装置]
図4は、本実施形態に係るホイールローダ1の制御システム200を示す機能ブロック図である。制御装置80は、コンピュータシステムを含む。制御装置80は、ホイールローダ1を制御する。制御装置80に、作業機10、三次元計測装置20、検出装置25、角度センサ50、走行操作装置40、ブザー)7、及びランプ8が接続される。制御装置80は、計測データ取得部81と、検出データ取得部84と、記憶部82と、位置データ算出部83と、対象算出部86と、介入制御部としての作業機制御部87と、判定部91と、出力制御部92とを有する。ブザー7は、出力部の一例である。ランプ8は、出力部の一例である。作業機制御部87は、介入制御部の一例である。位置データ算出部83は、位置算出部の一例である。
【0041】
制御システム200は、異常判定システムの一例である。制御システム200は、作業機10、三次元計測装置20、角度センサ50、走行操作装置40、ブザー7、ランプ8、及び制御装置80を含む。
【0042】
制御装置80は、計測された積込対象の三次元形状に基づいて、積込対象に関するパラメータを算出する。積込対象に関するパラメータは、積込対象までの距離、積込対象の上端部の位置、及び積込対象の高さの少なくとも一つを含む。制御装置80は、算出したパラメータに基づいて、作業機10に対する介入制御を行う。
【0043】
計測データ取得部81は、三次元計測装置20の計測データを取得する。本実施形態において、計測データ取得部81は、ステレオカメラ22の第1カメラ22Aから第1画像データを取得し、第2カメラ22Bから第2画像データを取得する。計測データ取得部81により取得された作業対象の画像データは、対象算出部86に出力される。
【0044】
検出データ取得部84は、検出装置25の検出データを取得する。本実施形態において、検出データ取得部84は、非接触センサ26から検出データを取得する。検出データからベッセルBEを含む運搬車両LSの有無を判定する方法は公知の方法を使用可能であり、その一例を図10を用いて後述する。検出データ取得部84により取得された検出データは、判定部91に出力される。
【0045】
本実施形態では、検出データ取得部84は、所定の領域内に検出点が存在するか否かによって、運搬車両LSの有無を検出可能である。所定の領域は、非接触センサ26の走査範囲のうち、運搬車両LSが存在すると推測される位置である。所定の領域は、例えば、ホイールローダ1と運搬車両LSとの相対的な位置関係、又は、ホイールローダ1と運搬車両LSとの距離Dbに応じて規定してもよい。
【0046】
記憶部82は、作業機データを記憶する。作業機データは、例えば作業機10のCAD(Computer Aided Design)データを含む設計データ、又は、諸元データを含む。作業機データは、作業機10の作業機10の寸法データを含む外形データを含む。
【0047】
本実施形態において、作業機データは、ブーム長さ、バケット長さ、及びバケット外形を含む。ブーム長さとは、ブーム回転軸とバケット回転軸との距離をいう。バケット長さとは、バケット回転軸とバケット12の先端部12Bとの距離をいう。ブーム回転軸とは、車体前部2Fに対するブーム11の回転軸をいい、車体前部2Fとブーム11とを連結する連結ピンを含む。バケット回転軸とは、ブーム11に対するバケット12の回転軸をいい、ブーム11とバケット12とを連結する連結ピンを含む。バケット外形は、バケット12の形状及び寸法を含む。バケット12の寸法は、バケット12の左端と右端との距離を示すバケット幅、バケット12の開口部の高さ、及びバケット底面長さなどを含む。
【0048】
位置データ算出部83は、角度センサ50の検出結果に基づいて、作業機10の姿勢を示す位置データを算出する。より詳しくは、位置データ算出部83は、角度センサ50により検出された作業機10の角度データと、記憶部82に記憶されている作業機10の作業機データとに基づいて、作業機10の位置データを算出する。作業機10の位置データは、例えば車体座標系におけるバケット12の各部位の位置データを含む。位置データ算出部83により算出された作業機10の位置データは、判定部91に出力される。
【0049】
対象算出部86は、三次元計測装置20の計測結果に基づいて、ホイールローダ1の積み込み対象の位置を算出する。より詳しくは、対象算出部86は、計測データ取得部81により取得された計測データに基づいて、三次元計測装置20により計測された作業対象の三次元データを算出する。作業対象は、ベッセルBEを含む運搬車両LSのことである。作業対象の三次元データは、運搬車両LSの三次元形状を示す。対象算出部86により算出された運搬車両LSの三次元データは、作業機制御部87及び判定部91に出力される。
【0050】
対象算出部86は、第1カメラ22Aに取得された画像データと第2カメラ22Bに取得された画像データとに基づいてステレオ処理を実施して、作業対象の三次元形状を計測する。対象算出部86は、画像データ(第1画像データ及び第2画像データ)をステレオ処理して、ステレオカメラ22から各画素に写る作業対象の表面における複数の計測点までの距離を算出する。対象算出部86は、各計測点までの距離に基づいて、例えば車体座標系における三次元データを算出する。
【0051】
本実施形態では、対象算出部86は、運搬車両LSの三次元データに基づいて、運搬車両LSに関するパラメータを算出する。運搬車両LSに関するパラメータは、地面RSを基準とした運搬車両LS(ベッセルBE)の上端部BEtの位置(高さ)Hb、及びホイールローダ1から運搬車両LSまでの距離Dbを含む。ホイールローダ1から運搬車両LSまでの距離Dbは、例えばバケット12の先端部12Bと、水平方向においてバケット12の先端部12Bに最も近い運搬車両LSの部位を示す最近接点との距離である。
【0052】
作業機制御部87は、対象算出部86により算出された作業対象の三次元データに基づいて、作業対象に掘削物を積み込む作業機10の動作を制御する介入制御を行う。本実施形態では、作業機制御部87は、算出された運搬車両LSの三次元データに基づいて、ベッセルBEに掘削物を積み込む作業機10の動作を制御する。作業機制御部87は、ベッセルBEの上端部BEtの高さHbを示す高さデータ及びホイールローダ1から運搬車両LSまでの距離Dbを示す距離データに基づいて、ベッセルBEに掘削物を積み込む作業機10の動作を制御する。
【0053】
作業機制御部87による作業機10の動作の制御は、ブームシリンダ13及びバケットシリンダ14の少なくとも一方の動作の制御を含む。より詳しくは、作業機制御部87は、ブーム制御弁及に制御信号を出力して、ブームシリンダ13に供給される作動油の流量及び方向を制御して、ブーム11の上げ下げ動作を制御する。作業機制御部87は、バケット制御弁に制御信号を出力して、バケットシリンダ14に供給される作動油の流量及び方向を制御して、バケット12の上げ下げ動作を制御する。
【0054】
介入制御は、積み込み対象に対して作業機10のバケット12を上昇させる制御を含む。介入制御は、積み込み対象に対して作業機10のバケット12を上昇させる制御、作業機10のバケット12内の掘削物を積み込み先に積み込みする制御、及び作業機10のバケット12を下降させる制御を含んでもよい。
【0055】
図5ないし図7を用いて、介入制御の対象となる作業機10の動作について説明する。図5ないし図7において、作業機10の角度の所定範囲をA1で示している。三次元計測装置20の計測範囲、言い換えると、ステレオカメラ22の撮像範囲(ステレオカメラ22の光学系の視野領域)をA2で示している。三次元計測装置20の計測範囲A2には、作業対象として、運搬車両LSのみならず、例えば作業機10、地面RS又は運搬車両LSの周囲の物体も存在する。検出装置25の検出範囲、言い換えると、非接触センサ26の走査範囲(非接触センサ26の走査領域)をA3で示している。検出装置25の検出範囲である非接触センサ26の走査領域A3には、作業対象として、運搬車両LSのみならず、例えば作業機10も存在する。非接触センサ26は、三次元計測装置20と異なる位置に設置される。例えば、非接触センサ26は、フロントアクスル上に設置される。
【0056】
図5は、バケット12を上昇させる動作を説明する図である。図5においては、運搬車両LSのベッセルBEまで、作業機10のバケット12を上昇させている。バケット12を上昇させる場合、バケット12の近傍に、ベッセルBEが存在している必要がある。
【0057】
図6は、バケット12の掘削物を積み込み先に積み込みする動作を説明する図である。図6においては、作業機10のバケット12内の掘削物を、運搬車両LSのベッセルBEに積み込んでいる。バケット12内の掘削物の積み込みを行う場合、バケット12の近傍に、ベッセルBEが存在している必要がある。
【0058】
図7は、バケット12を下降させる動作を説明する図である。図7においては、運搬車両LSのベッセルBEの高さHbから、作業機10のバケット12を下降させている。バケット12を下降させる場合、バケット12の近傍に、ベッセルBEが存在している必要がある。
【0059】
作業機制御部87は、三次元計測装置20及び検出装置25の両方で運搬車両LSを検出したとき、作業機10の介入制御を行う。本実施形態では、作業機制御部87は、ステレオカメラ22及び非接触センサ26の両方で運搬車両LSを検出したとき、作業機10の介入制御を行う。作業機制御部87は、対象算出部86が算出した積み込み対象の位置に基づいて、介入制御を行う。作業機制御部87は、三次元計測装置20及び検出装置25の両方で積み込み対象を検出しない場合、作業機10の上昇を停止させる。本実施形態では、作業機制御部87は、ステレオカメラ22及び非接触センサ26の両方で積み込み対象を検出しない場合、作業機10の上昇を停止させる。
【0060】
作業機制御部87は、三次元計測装置20及び検出装置25の両方で積み込み対象を検出しない場合、作業機10の上昇、積み込み、及び作業機10の下降の少なくもいずれかを停止させてもよい。本実施形態では、作業機制御部87は、ステレオカメラ22及び非接触センサ26の両方で積み込み対象を検出しない場合、作業機10の上昇、積み込み、及び作業機10の下降の少なくもいずれかを停止させてもよい。
【0061】
本実施形態において、ホイールローダ1は、トランスミッション制御部88と、走行制御部89とを有する。
【0062】
トランスミッション制御部88は、トランスミッション装置30を制御する制御信号を出力する。
【0063】
走行制御部89は、運転者による走行操作装置40の操作に基づいて、走行装置4の動作を制御する。走行制御部89は、走行装置4を作動するための運転指令を出力する。走行制御部89は、駆動装置4Aを作動するためのアクセル指令を出力する。走行制御部89は、ブレーキ装置4Bを作動するためのブレーキ指令を出力する。走行制御部89は、操舵装置4Cを作動するためのステアリング指令を出力する。
【0064】
判定部91は、三次元計測装置20及び検出装置25の両方で運搬車両LSが検出されているか否かを判定する。本実施形態では、判定部91は、ステレオカメラ22及び非接触センサ26の両方で運搬車両LSが検出されているか否かを判定する。より詳しくは、判定部91は、対象算出部86によって、計測データに基づいて運搬車両LSの三次元データが算出され、かつ、検出データに基づいて運搬車両LSが検出されたか否かを判定する。
【0065】
図8は、判定結果に基づく処理の一例を説明する図である。ステレオカメラ22及び非接触センサ26の両方が運搬車両LSを検出した場合、言い換えると、三次元計測装置20及び検出装置25の両方が運搬車両LSを検出した場合、介入制御を作動させる。この場合、検出が成功した旨を表示する。検出が成功した旨の表示として、例えば、ランプ8を点灯させてもよい。
【0066】
三次元計測装置20が運搬車両LSを検出し、検出装置25が運搬車両LSを検出しなかった場合、又は、三次元計測装置20が運搬車両LSを検出せず、検出装置25が運搬車両LSを検出した場合、介入制御を作動させない。この場合、検出が異常である旨を表示させる。検出が異常である旨の表示として、例えば、ランプ8を点滅させてもよい。
【0067】
ステレオカメラ22及び非接触センサ26の両方が運搬車両LSを検出しない場合、言い換えると、三次元計測装置20及び検出装置25の両方が運搬車両LSを検出しない場合、介入制御を作動させない。この場合、検出していない旨を表示する。検出していない旨の表示として、例えば、ランプ8を消灯させてもよい。
【0068】
本実施形態では、判定部91は、作業機10のブーム角度が角度閾値θ以上である場合に判定を行ってもよい。例えば、作業機10が非接触センサ26の走査範囲外となるような角度閾値θ以上である場合に判定を行ってもよい。また、所定範囲A1より大きい角度閾値θ以上である場合に判定を行ってもよい。バケット12が運搬車両LSのベッセルBEより下方に位置する場合、非接触センサ26が発した電波は、バケット12の表面で反射されて、運搬車両LSまで到達しない。これにより、運搬車両LSが正しく検出されないおそれがある。そこで、判定部91は、バケット12を上昇させるときに、作業機10のブーム角度の角度が角度閾値θ以上である場合に、判定を行う。
【0069】
出力制御部92は、判定部91の判定結果を出力するよう制御する。出力制御部92は、判定部91によってどちらか一方で検出したと判定された場合、ブザー7から警報音を出力するよう制御する。出力制御部92は、判定部91によってどちらか一方で検出したと判定された場合、ランプ8を点滅するよう制御する。出力制御部92は、判定部91によって両方で検出したと判定された場合、ランプ8を点灯するよう制御する。
【0070】
[制御方法]
図9は、本実施形態に係るホイールローダ1の制御方法を示すフローチャートである。一例として、積込作業について説明する。積込作業時に、運転者によって、図示しない操作部を介して運搬車両検出モードが起動される。積込作業モードにおいて、三次元計測装置20であるステレオカメラ22及び検出装置25である非接触センサ26は、作業対象を検出する。
【0071】
ステレオカメラ22で運搬車両LSを計測する(ステップS11)。より詳しくは、ステレオカメラ22は、前方を計測する。ステレオカメラ22の計測データは、制御装置80に出力される。制御装置80は、計測データ取得部81によって、ステレオカメラ22が撮像した画像データを取得する。計測データ取得部81により取得された作業対象の画像データは、対象算出部86に出力される。制御装置80は、対象算出部86によって、ステレオカメラ220の計測結果に基づいて、ホイールローダ1の積み込み対象の位置を算出する。制御装置80は、ステップS12へ進む。
【0072】
非接触センサ26で運搬車両LSを検出する(ステップS12)。より詳しくは、非接触センサ26は、前方を電波によって走査する。非接触センサ26の検出データは、制御装置80に出力される。制御装置80は、検出データ取得部84によって、非接触センサ26が検出した検出データを取得する。検出データ取得部84により取得された検出対象の検出データは、判定部91に出力される。制御装置80は、ステップS13へ進む。
【0073】
制御装置80は、判定部91によって、ステレオカメラ22が運搬車両LSを検出したか否かを判定する(ステップS13)。制御装置80は、判定部91によって、ステレオカメラ22が運搬車両LSを検出したと判定する場合(ステップS13でYes)、ステップS14へ進む。制御装置80は、判定部91によって、ステレオカメラ22が運搬車両LSを検出したと判定しない場合(ステップS13でNo)、ステップS16へ進む。
【0074】
制御装置80は、判定部91によって、非接触センサ26が運搬車両LSを検出したか否かを判定する(ステップS14)。制御装置80は、判定部91によって、非接触センサ26が運搬車両LSを検出したと判定する場合(ステップS14でYes)、ステップS15へ進む。制御装置80は、判定部91によって、非接触センサ26が運搬車両LSを検出したと判定しない場合(ステップS14でNo)、ステップS16へ進む。
【0075】
制御装置80は、介入制御を作動する(ステップS15)。制御装置80は、作業機制御部87によって、対象算出部86により算出されたベッセルBEの高さHb及び運搬車両LSまでの距離Dbに基づいて、作業機10を制御する。制御装置80は、処理を終了する。
【0076】
図3を参照して説明したように、作業機制御部87は、ホイールローダ1が運搬車両LSに接近するように前進している状態で、対象算出部86により算出された運搬車両LSまでの距離Db及びベッセルBEの上端部BEtの高さHbに基づいて、バケット12がベッセルBEの上端部BEtよりも上方に配置され、かつ、バケット12に保持されている掘削物がバケット12からこぼれないように、バケット12の角度を制御しながら、ブーム11を上げ動作させる。作業機制御部87は、バケット12をベッセルBEの上方に配置させる。そして、作業機制御部87は、バケット12がダンプ動作するように、作業機10を制御する。このようにして、バケット12から掘削物が排出され、ベッセルBEに積み込まれる。
【0077】
ステップS15の実行時、制御装置80は、出力制御部92によって、ランプ8を点灯させてもよい。
【0078】
制御装置80は、介入制御を不作動にする(ステップS16)。制御装置80は、作業機制御部87による作業機10の制御を停止する。ステップS16の実行時、制御装置80は、出力制御部92によって、ブザー7から音声を出力させてもよい。制御装置80は、出力制御部92によって、ランプ8を点滅させてもよい。制御装置80は、処理を終了する。
【0079】
図10は、検出装置25である非接触センサ26による作業対象の検出方法を示すフローチャートである。図10の処理は、図9のステップS12の処理が実行されると、実行される。図10の処理を開始する際に、検出あり時間及び検出なし時間のカウントをクリアする。
【0080】
積込作業モードにおいて、角度センサ50は、作業機10の角度を検出する。作業機10の角度は、ブーム角度センサ51によって検出されるブーム11の角度と、バケット角度センサ52によって検出されるバケット12の角度とを含む。作業機10の角度を示す角度データは、位置データ算出部83に出力される。
【0081】
制御装置80は、ブーム角度が角度閾値θ以上であるか否かを判定する(ステップS21)。制御装置80は、位置データ算出部83によって、作業機10の角度データと、記憶部82に記憶されている作業機10の作業機データとに基づいて、作業機10の位置データを算出する。制御装置80は、ブーム角度が角度閾値θ以上であると判定する場合(ステップS21でYes)、ステップS22へ進む。制御装置80は、ブーム角度が角度閾値θ以上であると判定しない場合(ステップS21でNo)、ステップS21の処理を再度実行する。
【0082】
制御装置80は、領域内に検出点があるか否かを判定する(ステップS22)。制御装置80は、検出データ取得部84によって、非接触センサ26の走査領域A3内に検出点があると判定する場合(ステップS22でYes)、ステップS23へ進む。制御装置80は、検出データ取得部84によって、非接触センサ26の走査領域A3内に検出点があると判定しない場合(ステップS22でNo)、ステップS26へ進む。
【0083】
制御装置80は、検出データ取得部84によって、検出あり時間を更新する(ステップS23)。制御装置80は、ステップS24へ進む。
【0084】
制御装置80は、所定時間以上、検出点ありが継続しているか否かを判定する(ステップS24)。所定時間は、任意の時間である。制御装置80は、検出データ取得部84によって、所定時間以上、検出点ありが継続していると判定する場合(ステップS24でYes)、ステップS25へ進む。制御装置80は、検出データ取得部84によって、所定時間以上、検出点ありが継続していると判定しない場合(ステップS24でNo)、ステップS21の処理を再度実行する。
【0085】
制御装置80は、検出データ取得部84によって、検出ありを確定する(ステップS25)。制御装置80は、検出データ取得部84によって、運搬車両LSが検出されたと確定する。制御装置80は、処理を終了する。
【0086】
非接触センサ26の走査領域A3内に検出点があると判定しない場合(ステップS22でNo)、制御装置80は、検出データ取得部84によって、検出なし時間を更新する(ステップS26)。制御装置80は、ステップS27へ進む。
【0087】
制御装置80は、所定時間以上、検出点なしが継続しているか否かを判定する(ステップS27)。制御装置80は、検出データ取得部84によって、所定時間以上、検出点なしが継続していると判定する場合(ステップS27でYes)、ステップS28へ進む。制御装置80は、検出データ取得部84によって、所定時間以上、検出点なしが継続していると判定しない場合(ステップS27でNo)、ステップS21の処理を再度実行する。
【0088】
制御装置80は、検出データ取得部84によって、検出なしを確定する(ステップS28)。制御装置80は、検出データ取得部84によって、運搬車両LSが検出されていないと確定する。制御装置80は、処理を終了する。
【0089】
[コンピュータシステム]
図11は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の制御装置80は、コンピュータシステム1000によって構成される。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の制御装置80の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0090】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、三次元計測装置20及び検出装置25の両方で運搬車両LSを検出したとき、ホイールローダ1の介入制御を行う。本実施形態によれば、ホイールローダ1の介入制御を行う際に、運搬車両LSの有無をより高精度に判定することができる。
【0091】
本実施形態は、三次元計測装置20及び検出装置25の一方が運搬車両LSを検出し、他方が運搬車両LSを検出しないとき、介入制御を停止する。本実施形態によれば、運搬車両LSが存在しない可能性がある場合、介入制御を停止できる。
【0092】
本実施形態は、三次元計測装置20及び検出装置25の一方が運搬車両LSを検出し、他方が運搬車両LSを検出しないとき、警報を出力する。本実施形態によれば、運搬車両LSが存在しない可能性がある場合、警報を出力して運転者に報知できる。
【0093】
本実施形態は、算出した積み込み対象の位置に基づいて、介入制御を行う。本実施形態によれば、高精度に介入制御を行うことができる。
【0094】
本実施形態は、ホイールローダ1のブーム角度が角度閾値θ以上であり、三次元計測装置20及び検出装置25の両方で運搬車両LSを検出したとき、介入制御を行う。本実施形態によれば、検出装置25によって運搬車両LSが検出可能であるときに、検出を行うことができる。
【0095】
本実施形態は、三次元計測装置20及び検出装置25の一方が運搬車両LSを検出し、他方が運搬車両LSを検出しないとき、バケット12の上昇を停止させることができる。
【0096】
本実施形態は、三次元計測装置20及び検出装置25の一方が運搬車両LSを検出し、他方が運搬車両LSを検出しないとき、バケット12の上昇、積み込み、及びバケット12の下降の少なくもいずれかを停止させることができる。
【0097】
本実施形態は、検出装置25は、三次元計測装置20と異なる位置に設置される。本実施形態によれば、運搬車両LSの有無をより高精度に判定することができる。
【0098】
[その他の実施形態]
上述の各実施形態において、三次元計測装置20は、ステレオカメラ22に限定されるものではなく、例えばレーザスキャンでもよい。
【0099】
検出装置25は、ミリ波で走査するレーダ装置に限定されない。非接触センサ26は、ホイールローダ1の周辺をレーザ光で走査して物体を検出するレーザスキャナ装置を含んでもよい。非接触センサ26は、ホイールローダ1の周辺を超音波で走査して物体を検出する超音波センサ装置を含んでもよい。
【0100】
三次元計測装置20及び検出装置25の一方が運搬車両LSを検出し、他方が運搬車両LSを検出しないとき、介入制御を停止するとしたが、これに限定されない。例えば、介入制御による作業機10の上昇が行われている場合、警報を出力した状態で、当該動作を継続してもよい。
【0101】
ホイールローダ1が作業を実施する作業現場は、鉱山の採掘現場でもよいし、施工現場又は建設現場でもよい。
【0102】
ホイールローダ1は、除雪作業に使用されてもよいし、農畜産業における作業に使用されてもよいし、林業における作業に使用されてもよい。
【0103】
上述の実施形態において、バケット12は、複数の刃を有してもよいし、ストレート状の刃先を有してもよい。
【0104】
ブーム11の先端部に連結される作業部材は、バケット12でなくてもよく、除雪作業に使用されるスノープラウ又はスノーバケットでもよいし、農畜産業の作業において使用されるベールグラブ又はフォークでもよいし、林業の作業において使用されるフォーク又はバケットでもよい。
【0105】
ランプ8に変えて、ホイールローダ1に設定された、図示しないモニタに判定結果を表示してもよい。ブザー7、ランプ8、モニタは、ホイールローダ1に備えている必要はなく、いずれか1つ以上を備えるものでもよい。また、ブザー7、ランプ8、モニタは、ホイールローダ1の外に備えるようにしてもよい。
【0106】
上述した実施形態に係る制御システム200は、制御システム200を構成する一部の構成が作業機械1の内部に搭載され、他の構成が作業機械1の外部に設けられてもよい。また、上述した実施形態に係る制御システム200は、作業機10、三次元計測装置20、角度センサ50、走行操作装置40、ブザー7、ランプ8、及び制御装置80を含むものとして説明したが、これに限定されず、一部の構成は含まないものであってもよい。一例として、ブザー7、ランプ8を含まない制御システム200としてもよい。
【0107】
上述した実施形態に係る制御装置80は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、制御装置80の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで制御装置80として機能するものであってもよい。
【0108】
作業機械1は、ホイールローダに限定されず、例えば油圧ショベル又はブルドーザのような作業機を有する作業機械に上述の実施形態で説明した制御装置80及び制御方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1…ホイールローダ(作業機械)、2…車体、2F…車体前部、2R…車体後部、3…運転台、4…走行装置、4A…駆動装置、4B…ブレーキ装置、4C…操舵装置、5…車輪、5F…前輪、5R…後輪、6…タイヤ、6F…前タイヤ、6R…後タイヤ、7…ブザー(出力部)、8…ランプ(出力部)、9…関節機構、10…作業機、11…ブーム、12…バケット、12B…先端部、13…ブームシリンダ、14…バケットシリンダ、15…ベルクランク、16…リンク、20…三次元計測装置、22…ステレオカメラ、22A…第1カメラ、22B…第2カメラ、25…検出装置、26…非接触センサ、30…トランスミッション装置、40…走行操作装置、50…角度センサ、51…ブーム角度センサ、52…バケット角度センサ、80…制御装置、81…計測データ取得部、82…記憶部、83…位置データ算出部、84…検出データ取得部、86…対象算出部、87…作業機制御部、88…トランスミッション制御部、89…走行制御部、91…判定部、92…出力制御部、100…画像データ、200…異常判定システム、BE…ベッセル(積込対象)、DS…地山(掘削対象)、FX…回転軸、LS…運搬車両、RX…回転軸、RS…地面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11