(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145218
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】磁界可視化システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220926BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220926BHJP
【FI】
H04N7/18 U
G06T19/00 600
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046527
(22)【出願日】2021-03-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】521117263
【氏名又は名称】植田 達郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】植田 達郎
【テーマコード(参考)】
5B050
5C054
【Fターム(参考)】
5B050AA04
5B050BA06
5B050BA09
5B050BA11
5B050BA13
5B050DA04
5B050EA19
5B050EA26
5B050FA02
5C054CD03
5C054CE11
5C054CF01
5C054FA07
5C054FC12
5C054FE12
(57)【要約】
【課題】磁力線をリアルに表現することが可能な磁界可視化システムを提供する。
【解決手段】カメラで撮像した映像22cにマーカが映った場合に、当該マーカの位置を認識する認識部と、認識部の認識結果に基づいて仮想の磁石の位置を決定し、当該決定結果から仮想の磁石についての3次元の磁力線Bを作成して現実の世界に重ね合わせて表示する重畳部と、を具備し、認識部は、映像22cに複数のマーカ32が映った場合に、当該複数のマーカの位置をそれぞれ認識し、重畳部は、認識部の認識結果に基づいて複数の仮想の磁石の位置を決定し、当該複数の仮想の磁石の磁力を考慮して磁力線Bの形状を決定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部で撮像した映像に目印が映った場合に、当該目印の位置を認識する認識部と、
前記認識部の認識結果に基づいて仮想の磁石の位置を決定し、当該決定結果から前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を作成して現実の世界に重ね合わせて表示する重畳部と、
を具備する、
磁界可視化システム。
【請求項2】
前記認識部は、
前記映像に複数の前記目印が映った場合に、当該複数の目印の位置をそれぞれ認識し、
前記重畳部は、
前記認識部の認識結果に基づいて複数の前記仮想の磁石の位置を決定し、当該複数の仮想の磁石の磁力を考慮して前記磁力線の形状を決定する、
請求項1に記載の磁界可視化システム。
【請求項3】
前記重畳部は、
前記複数の仮想の磁石の相対的な位置の変化に応じて、前記磁力線の形状を再決定して前記磁力線の表示を更新する、
請求項2に記載の磁界可視化システム。
【請求項4】
前記重畳部は、
前記仮想の磁石の磁極の近傍に配置した仮想的な正多面体の各面の中心を前記磁力線の端部とする、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の磁界可視化システム。
【請求項5】
前記重畳部は、
前記映像の奥行き方向において前記仮想の磁石の2つの磁極が互いに異なる位置となった場合に、前記映像の奥行き方向を考慮して前記磁力線を表示する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の磁界可視化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界を可視化する磁界可視化システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁界を可視化するための技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の磁力線表示器は、2枚のフィルムの内側に液体及び磁性粒子が封入されることで構成される。磁性粒子は、磁石がフィルムの外側に置かれると、当該磁石の磁力線を描くように移動する。こうして、磁力線表示器は、磁力線を可視化することができる。
【0004】
特許文献1に記載の磁性粒子は、移動範囲がフィルム内に限られているため、磁力線を立体的に(リアルに)表現することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、磁力線をリアルに表現することが可能な磁界可視化システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、撮像部で撮像した映像に目印が映った場合に、当該目印の位置を認識する認識部と、前記認識部の認識結果に基づいて仮想の磁石の位置を決定し、当該決定結果から前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を作成して現実の世界に重ね合わせて表示する重畳部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記認識部は、前記映像に複数の前記目印が映った場合に、当該複数の目印の位置をそれぞれ認識し、前記重畳部は、前記認識部の認識結果に基づいて複数の前記仮想の磁石の位置を決定し、当該複数の仮想の磁石の磁力を考慮して前記磁力線の形状を決定するものである。
【0010】
請求項3においては、前記重畳部は、前記複数の仮想の磁石の相対的な位置の変化に応じて、前記磁力線の形状を再決定して前記磁力線の表示を更新するものである。
【0011】
請求項4においては、前記重畳部は、前記仮想の磁石の磁極の近傍に配置した仮想的な正多面体の各面の中心を前記磁力線の端部とするものである。
【0012】
請求項5においては、前記重畳部は、前記映像の奥行き方向において前記仮想の磁石の2つの磁極が互いに異なる位置となった場合に、前記映像の奥行き方向を考慮して前記磁力線を表示するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、磁力線をリアルに表現することができる。
【0015】
請求項2においては、複数の仮想の磁石がある場合における磁力線をリアルに表現することができる。
【0016】
請求項3においては、仮想の磁石の相対移動に伴う磁界の変化を表現することができる。
【0017】
請求項4においては、磁力線をよりリアルに表現することができる。
【0018】
請求項5においては、磁力線をよりリアルに表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)端末を示す斜視図。(b)磁界可視化システムの構成を示すブロック図。
【
図2】(a)ボードを示す正面図。(b)同じく側面図。
【
図3】(a)カメラに映った映像を示す図。(b)映像に枠体を重ね合わせた重畳結果を示す図。
【
図4】映像に映った磁石の近傍に正二十面体を作成する様子を示す図。
【
図5】(a)正二十面体から直線を引く様子を示す図。(b)点Pnにおける引力及び斥力を示す図。(c)点Pnから磁力の方向に沿った直線を作成する様子を示す図。
【
図6】正二十面体の各面の中心を端部とする複数の磁力線を示す図。
【
図7】カメラの映像に磁力線を重ね合わせた様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明においては、
図1(a)に示す端末20を装着した利用者Uを基準として、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0021】
以下では、本発明の一実施形態に係る磁界可視化システム10について説明する。
【0022】
磁界可視化システム10は、現実の世界と仮想の世界とを混合する複合現実(MR:Mixed Reality)を用いて、磁界を可視化するためのものである。磁界可視化システム10は、例えば、教育現場で磁界についての説明を行う際等に用いられる。磁界可視化システム10は、現実の世界に磁力線Bを重ね合わせて表示することで、磁界を可視化することができる(
図7参照)。なお、磁力線Bは、後述する仮想の磁石についての磁力線である。磁界可視化システム10は、端末20を用いることで磁力線Bを作成して現実の世界に表示することができる。また、磁界可視化システム10は、
図2に示すボード30のマーカ32を認識することで、現実の世界の磁石(
図2に示す磁石31)に磁力線Bを重ね合わせて、当該磁力線Bを磁石31の磁力線として表示することができる。以下ではまず、ボード30及び端末20の構成について説明する。
【0023】
まず、
図2を参照してボード30の構成について説明する。ボード30は、磁石31及びマーカ32の位置を決めるためのものである。ボード30は、略板状に形成される。
【0024】
磁石31は、ボード30の上部に固定される棒磁石である。磁石31は、長手方向を左右方向に向けて配置される。磁石31は、ボード30に1つ設けられる。N極31aは、ボード30から左方へ僅かに突出するように配置される。S極31bは、ボード30から右方へ僅かに突出するように配置される。以下では、N極31a及びS極31bを総称して「磁極31a・31b」と称する。
【0025】
マーカ32は、後述する磁界可視化システム10の認識部11が認識可能な目印である。マーカ32は、ボード30に固定され、磁石31の上方に間隔をあけて配置される。マーカ32は、1つの磁石31に対して1つ設けられる。マーカ32には、黒い枠の内側に白と黒で所定の模様が付されたARマーカが用いられる。マーカ32の模様は、認識部11が当該マーカ32の位置及び向きを認識可能なものとなっている。
【0026】
上述の如く構成される磁石31及びマーカ32(ボード30)は、複数準備される(
図4参照)。複数のマーカ32は、認識部11がマーカ32を一意に特定可能となるように、互いに異なる模様が付されている。
【0027】
次に、
図1を参照して端末20の構成について説明する。端末20は、利用者U(磁界可視化システム10を利用する者)に複合現実を提供するための機器である。端末20は、利用者Uが装着可能な眼鏡型のウェアラブルデバイスによって構成される。端末20は、アーム部21及びゴーグル部22を具備する。
【0028】
アーム部21は、利用者Uの頭部に装着する部分である。アーム部21には、音声を出力するためのスピーカ21aが設けられる。
【0029】
ゴーグル部22は、利用者Uの目の周囲を覆う部分である。ゴーグル部22は、カメラ22a及びディスプレイ22bを具備する。
【0030】
カメラ22aは、写真や映像を撮像するためのものである。カメラ22aは、ゴーグル部22の上部に設けられる。カメラ22aのレンズは、利用者Uの目線(前方を見る際の目線)と概ね同一方向を向くように配置される。以下では、カメラ22aで撮像した映像(撮像結果)を「映像22c」と称する(
図3(a)参照)。カメラ22aの映像22cは、利用者Uが前方を見た際に映る光景と概ね同一のものとなっている。
【0031】
ディスプレイ22bは、磁界可視化システム10が作成した磁力線B等を表示するためのものである。ディスプレイ22bは、ゴーグル部22の裏側(利用者Uに近い側)に設けられる。ディスプレイ22bは、例えば、透明の液晶ディスプレイ等によって構成される。こうして利用者Uは、ディスプレイ22b越しに前方の光景を視認することができる。
【0032】
上述の如く構成される端末20には、演算処理を行う演算装置やプログラム等を記憶する記憶装置等が設けられる。端末20は、記憶装置に記憶されたプログラムを演算装置で処理することで、種々の機能を提供することができる。端末20には、磁界可視化システム10が構築される。
【0033】
次に、
図1を参照して磁界可視化システム10の構成について説明する。
【0034】
磁界可視化システム10は、端末20の記憶装置に記憶されたプログラムによって構成される。磁界可視化システム10は、認識部11及び重畳部12を具備する。
【0035】
認識部11は、ボード30のマーカ32の位置を認識するためのものである。認識部11は、カメラ22aで撮像した映像22cを取得可能に構成される。認識部11は、取得した映像22cを解析することで、マーカ32の3次元の位置及び向きを認識することができる。なお、マーカ32の向きとは、所定の姿勢(例えば、
図2に示す姿勢)を基準として、映像22cに映ったマーカ32がどのように傾いているのかを示す情報を指す。認識部11は、マーカ32の3次元の位置及び向きの認識結果を、マーカ32の識別情報と関連付けて後述する重畳部12へ入力することができる。
【0036】
重畳部12は、現実の世界と仮想の世界とを混合するためのものである。具体的には、重畳部12は、現実の世界に磁力線Bを重ね合わせて表示するためのものである。重畳部12は、認識部11からの入力結果(マーカ32の位置及び向き)に基づいて磁力線Bを作成すると共に、当該磁力線Bをディスプレイ22bに表示させ、現実の世界に磁力線Bを重ね合わせることができる。なお、重畳部12による磁力線Bの作成手順については後述する。
【0037】
上述の如く構成される磁界可視化システム10を利用する場合、端末20を装着した利用者Uは、カメラ22aでマーカ32を撮像する。このとき、利用者Uは、例えば、ボード30を手に持って所定方向へスライドさせたり回転させる等して、カメラ22aに対するマーカ32の位置及び向きを適宜変更してマーカ32を撮像する。磁界可視化システム10は、当該マーカ32を認識部11で認識して磁力線Bを重ね合わせて表示する。このとき、磁界可視化システム10は、認識したマーカ32の位置及び向きに基づいて、磁石31から磁力線Bが出ているように磁界を表現する(
図7参照)。また、磁界可視化システム10は、認識したマーカ32の数と同一の数の磁石31による磁界を、磁力線Bで表現する。
【0038】
以下では、磁界可視化システム10による処理について説明する。
【0039】
磁界可視化システム10の処理は、利用者Uが端末20を操作することで適宜開始される。磁界可視化システム10の処理が開始されると、カメラ22aは、
図3(a)に示すように、映像22cの撮像を開始する。なお、
図3(a)に示す映像22cには、説明の便宜上、ボード30のみを記載し、背景の記載を省略している。また、ボード30は、映像22cの左端部に映っている。
【0040】
カメラ22aが映像22cの撮像を開始すると、
図3(b)に示すように、重畳部12は、ディスプレイ22bに枠体Aを表示する。枠体Aは、マーカ32を映像22c内のどの範囲に映すのかを示す目安となるものである。なお、
図3(b)は、利用者Uがディスプレイ22b越しに見た前方の光景(現実の世界)に、枠体Aを重ね合わせた重畳結果Rを模式的に示す図である。
図3(b)では、説明の便宜上、ボード30及び枠体Aのみを記載し、背景の記載を省略している。
【0041】
また、カメラ22aが映像22cの撮像を開始すると、認識部11は、カメラ22aの映像22cを取得する。認識部11は、取得した映像22cを解析して、映像22cの所定範囲内(枠体A内)に映ったマーカ32を抽出する。
図3(a)のように枠体Aからマーカ32の一部がはみ出している場合や、枠体A内にマーカ32が一切映っていない場合、認識部11は、マーカ32を抽出しない。この場合、認識部11は、マーカ32を抽出するまで映像22cの解析を繰り返し実行する。また、利用者Uは、枠体A内にマーカ32が映るようにカメラ22aに対するマーカ32の位置を調整する。例えば、利用者Uは、ボード30を移動させたり、利用者U自身が向きを変える等して位置を調整する。
【0042】
以下では、利用者Uがボード30を適宜移動させ、
図4のように2つのマーカ32が枠体A内に映った場合を例に挙げて、マーカ32を抽出した場合の処理を説明する。
図4に示す枠体A内には、2つのボード30のマーカ32が互いに前後方向及び左右方向に間隔をあけて映っている。以下では、
図4に示す左側の磁石31を「左側の磁石31L」と称する。また、紙面右側の磁石31を「右側の磁石31R」と称する。
【0043】
認識部11は、
図4に示す映像22cの解析結果から、2つのマーカ32を抽出する。そして、認識部11は、映像22cに映ったマーカ32の位置及び大きさ等に基づいて、抽出したマーカ32の3次元の位置(例えば、カメラ22aを原点としたマーカ32の3次元座標)及び向きを認識する。また、認識部11は、マーカ32の模様から、抽出したマーカ32を特定する。認識部11は、特定したマーカ32についての識別情報(例えば、ID等)を、マーカ32の位置及び向きの認識結果と関連付けて重畳部12へ入力する。
【0044】
重畳部12は、認識部11から入力されたマーカ32の位置等の認識結果に基づいて、仮想の磁石の位置を決定する。なお、仮想の磁石とは、端末20に設定された仮想的な空間に配置される磁石である。また、仮想の磁石の位置とは、磁力線Bを作成するのに必要な仮想の磁石の位置情報を指す。具体的には、仮想の磁石の位置は、仮想の磁石の磁極の3次元座標である。
【0045】
重畳部12は、枠体A内に映ったマーカ32の数と同一の数だけ仮想の磁石の位置を決定する。したがって、
図4のように枠体A内に2つのマーカ32が映った場合、2つの仮想の磁石の位置を決定する。このとき、重畳部12は、左右の磁石31L・31R(現実の世界の磁石)と重なるように仮想の磁石の位置を決定する。
【0046】
具体的には、マーカ32は、ボード30に固定されて磁石31に対する相対的な位置が予め決められている。重畳部12は、例えば、端末20の記憶装置にアクセスすることで、当該記憶装置に予め記憶されたマーカ32と磁石31との位置関係を取得する。重畳部12は、マーカ32の位置及び向きの認識結果と、マーカ32及び磁石31の位置関係の取得結果とに基づいて、左右の磁石31L・31Rの磁極31a・31bの位置と概ね一致するように、仮想の磁石の磁極の位置(3次元座標)を決定する。具体的には、重畳部12は、磁石31L・31Rの磁極31a・31bから、当該磁石31L・31Rの長手方向外側に数mm(例えば、2mm)離れた位置を仮想の磁石の磁極の位置とする。このようにして重畳部12は、左右の磁石31L・31Rと重なるように仮想の磁石の位置を決定する。
【0047】
重畳部12は、上述のような仮想の磁石の位置の決定結果に基づいて磁力線Bを作成して表示することで、左右の磁石31の磁極31a・31bから磁力線Bが出ているように磁界を表現することができる。以下では、右側の磁石31RのN極31aから磁力線Bが出ているように表現する場合を例に挙げ、磁力線Bを作成する処理の概略について説明する。
【0048】
重畳部12は、まず、決定した仮想の磁石のN極31aの位置(右側の磁石31RのN極31aから長手方向に数mm離れた位置)に仮想の正二十面体Cを作成する。このとき、重畳部12は、マーカ32の向き等に基づいて、正二十面体Cの向きを適宜決定する。例えば、重畳部12は、仮想の磁石の長手方向に沿った直線上に、正二十面体Cの一部の頂点が配置されるように、正二十面体Cの向きを決定する。なお、正二十面体Cは、磁力線Bの端部の位置を決定するためのものである。以下では、正二十面体Cの20個の正三角形の各面を「面C1」と称する。
【0049】
図5(a)に示すように、重畳部12は、作成した正二十面体Cの面C1の中心C2の位置を算出し、当該中心C2から面C1に対して直交する直線L1を作成する。当該直線L1は、比較的短い長さ(例えば、数mm程度の長さ)となっている。
【0050】
重畳部12は、作成した直線L1の端部(中心C2とは反対側の端部)の点P2を出発点として、直線L2を作成する。このとき、重畳部12は、点P2における磁力の方向を算出し、当該方向に平行な所定の長さの直線L2を作成する。そして、重畳部12は、当該直線L2の端部の点P3における磁力の方向を算出し、当該点P3を出発点とすると共に磁力の方向に平行な所定の長さの直線L3を作成する。重畳部12は、このような直線の作成を繰り返し行って直線をつなげてゆき、1本の磁力線Bを作成する。なお、重畳部12が作成する直線の長さは、予め設定されている。
【0051】
以下では、
図5に示す点Pnから直線Lnを作成する場合を例に挙げて、直線の作成方法の具体例を説明する。なお、点Pnは、正二十面体Cの面C1の中心C2から繰り返し作成された(n-1)本目の直線の端部となっている。
【0052】
重畳部12は、点Pnに+1Wbの単位正磁極を置いた場合に、当該単位正磁極が仮想の磁石から受ける引力F1及び斥力F2を算出することで、点Pnにおける磁力の方向を算出する。上述のように、仮想の磁石は、左右の磁石31(現実の世界の磁石)と重なるように配置されている。このため、以下では、仮想の磁石を左右の磁石31L・31Rに置き換えて、引力F1及び斥力F2の算出について説明する。まず、引力F1の算出について説明する。
【0053】
引力F1は、点Pnに置いた単位正磁極がS極31bに引き付けられる力である。重畳部12は、点Pnにおける引力F1を算出する場合に、左側の磁石31LのS極31bの3次元の位置及び点Pnの3次元の位置に基づいて、点Pnと左側の磁石31LのS極31bとの間の距離D1を算出する。そして、重畳部12は、クーロンの法則を用いて左側の磁石31LのS極31bからの引力F1を算出する。具体的には、重畳部12は、以下の数式(1)を用いて引力F1を算出する。
F=km*(m1*m2)/r2・・・(1)
なお、上記数式(1)に記載のFは、磁気力である。また、kmは、比例定数である。また、m1及びm2は、2つの磁極の磁気量である。また、rは、2つの磁極間の距離である。
【0054】
重畳部12は、上記数式(1)のm1及びm2に単位正磁極及び左側の磁石31LのS極31bの磁気量を代入すると共に、点Pnと左側の磁石31LのS極31bとの間の距離D1をrに代入することで、左側の磁石31LのS極31bからの引力F1(磁気力)を算出する。また、重畳部12は、右側の磁石31RのS極31bについても、上記数式(1)を用いて引力F1を算出する(不図示)。
【0055】
次に、斥力F2の算出について説明する。斥力F2は、点Pnに置いた単位正磁極がN極31aに対して反発する力である。重畳部12は、点Pnにおける斥力F2を算出する場合に、右側の磁石31RのN極31aの3次元の位置及び点Pnの3次元の位置に基づいて、点Pnと右側の磁石31RのN極31aとの間の距離D2を算出する。そして、重畳部12は、上記数式(1)を用いて、右側の磁石31RのN極31aからの斥力F2を算出する。また、重畳部12は、左側の磁石31LのN極31aについても、上記数式(1)を用いて斥力F2を算出する(不図示)。
【0056】
重畳部12は、こうして算出した全ての引力F1及び斥力F2を合算することで、点Pnにおける磁力F3(方向及び大きさ)を算出する。そして、
図5(c)に示すように、重畳部12は、点Pnを出発点として、磁力F3の方向に平行な所定の長さの直線を作成する。こうして、重畳部12は、点P2~Pnごと(節目ごと)に磁力の方向を算出し、当該算出結果に応じて直線L2~Lnの向きを修正しながら磁力線Bの形状を決定していく。重畳部12は、作成した直線がS極31bへ到達した場合や、ディスプレイ22bからはみ出すような場合(例えば、直線が所定の範囲外へ出た場合)に、磁力線Bの作成を終了する。
【0057】
図6に示すように、重畳部12は、正二十面体Cの各面C1の中心C2を出発点として上述した磁力線Bの作成を行い、N極31aから20本の3次元の磁力線Bを作成する。なお、
図6では、説明の便宜上、20本の磁力線Bのうち、一部(5本)の磁力線Bのみ記載している。また、重畳部12は、S極31bについてもN極31aと同様に、正二十面体Cを作成して20本の磁力線Bを作成する。このとき、重畳部12は、上記数式(1)を用いて、S極31bからN極31aへ向かうように20本の磁力線Bを作成する。こうして、
図7に示すように、重畳部12は、1本の磁石31から複数(合計40本)の3次元の磁力線Bを作成し、当該磁力線Bをディスプレイ22bに表示する。こうして重畳部12は、利用者Uが視認する現実の世界に磁力線Bを重ね合わせて表示する。なお、
図7は、磁力線Bを重ね合わせた結果(重畳結果R)を示すものであり、説明の便宜上、磁石31及び磁力線Bのみを記載し、その他の部材(マーカ32やボード30本体)の記載を省略している。また、
図7では、重畳部12が作成した磁力線Bのうち、一部の磁力線Bのみを記載している。
【0058】
磁界可視化システム10の処理では、上述のような認識部11によるマーカ32の認識と、重畳部12による磁力線Bの作成及び表示と、が繰り返し実行される。このため、仮に磁界可視化システム10の処理を行っているとき利用者Uがボード30を動かす等して、
図4に示す2つマーカ32が相対移動した場合、認識部11は、相対移動したマーカ32を再認識する。そして、重畳部12は、認識部11の認識結果から仮想の磁石の位置を再計算し、当該再計算の結果から相対移動したマーカ32に応じた磁力線Bを再作成(形状を再決定)して磁力線Bの表示を更新する。こうして、重畳部12は、磁石の相対移動に伴う磁力線Bの変化を、利用者Uに視認させることができる。
【0059】
なお、重畳部12は、2つのマーカ32の位置及び向きの算出結果から、左右の磁石31L・31Rの磁極31a・31bが互いに吸着したか否かを適宜判定している。重畳部12は、仮に、磁極31a・31bが吸着したと判定した場合、吸着していない磁極31a・31bのみを考慮して磁力線Bを作成する。例えば、重畳部12は、左側の磁石31LのN極31a及び右側の磁石31RのS極31bが吸着した場合に、左側の磁石31LのS極31b及び右側の磁石31RのN極31a(吸着していない磁極)を互いに結ぶ磁力線Bを作成する。これによって、重畳部12は、複数の磁石31L・31Rが吸着した場合の磁界を表現することができる。
【0060】
上述した磁界可視化システム10の処理は、利用者Uが端末20を適宜操作することで終了する。
【0061】
このように、重畳部12が3次元の磁力線Bを表示することで、利用者Uは、磁力線Bを様々なアングル(例えば、
図4に示すようなマーカ32がカメラ22aに対して傾斜する角度や、
図2に示すようなマーカ32がカメラ22aに対して正面を向く角度等)から、視認することができる。これにより、重畳部12は、視認不能な磁界をリアルに(あたかも現実に存在しているように)表現することができる。
【0062】
ここで、
図7に示す左右の磁石31L・31Rの磁極31a・31bは、映像22cの奥行き方向(
図7における紙面奥行き方向)に互いに異なる位置に配置されている。例えば、右側の磁石31Rの場合、N極31aは、S極31bよりも手前側に配置されている。この場合、重畳部12は、奥行き方向を考慮して磁力線Bを表示して、磁界をよりリアルに表現することができる。具体的には、
図2(a)のように磁極31a・31bの奥行き方向における位置が同じである場合に磁力線Bを表示すると、一部の磁力線Bが奥行き方向に重複して利用者Uが当該磁力線Bを視認できない可能性がある。これに対し、
図7のように磁極31a・31bの奥行き方向における位置が異なっている場合、前記一部の磁力線B(利用者Uが視認できなかった磁力線B)を利用者Uが視認可能となる。こうして、重畳部12は、磁界をよりリアルに表現することができる。
【0063】
また、重畳部12は、マーカ32の認識結果に基づいて、仮想の磁石を左右の磁石31L・31Rと重なるように配置して、当該磁石31L・31Rの近傍に磁力線Bの端部が位置するように、磁力線Bを表示している。これにより、現実の世界の磁石31L・31Rから磁力線Bが出ているように磁界を表現することができる。これによって、磁界をよりリアルに表現することができる。
【0064】
ここで、磁石31は、一般的に、N極31aが赤色に着色されると共に、S極31bが青色に着色される。重畳部12は、このようなN極31a及びS極31bの色に対して見易い色(同化せず、かつハレーションし難い色、例えば黄色)の磁力線Bを表示する。これにより、磁力線Bを視認し易くすることができる。
【0065】
以上の如く、本実施形態に係る磁界可視化システム10は、カメラ22a(撮像部)で撮像した映像22cにマーカ32(目印)が映った場合に、当該マーカ32の位置を認識する認識部11と、前記認識部11の認識結果に基づいて仮想の磁石の位置を決定し、当該決定結果から前記仮想の磁石についての3次元の磁力線Bを作成して現実の世界に重ね合わせて表示する重畳部12と、を具備するものである。
【0066】
このように、3次元の磁力線Bを現実の世界に重ね合わせることで、磁力線Bをリアルに表現することができる。
【0067】
また、前記認識部11は、前記映像22cに複数の前記マーカ32が映った場合に、当該複数のマーカ32の位置をそれぞれ認識し、前記重畳部12は、前記認識部11の認識結果に基づいて複数の前記仮想の磁石の位置を決定し、当該複数の仮想の磁石の磁力(
図5(b)に示す引力F1及び斥力F2)を考慮して前記磁力線Bの形状を決定するものである。
【0068】
このように構成することにより、ある仮想の磁石についての磁力線Bに対して、別の仮想の磁石が与える影響を見せることができる。これにより、複数の仮想の磁石がある場合における磁力線Bをリアルに表現することができる。
【0069】
また、前記重畳部12は、前記複数の仮想の磁石の相対的な位置の変化に応じて、前記磁力線Bの形状を再決定して前記磁力線Bの表示を更新するものである。
【0070】
このように構成することにより、仮想の磁石の相対移動に伴う磁界の変化を表現することができる。
【0071】
また、前記重畳部12は、前記仮想の磁石の磁極31a・31bの近傍に配置した仮想的な正多面体(正二十面体C)の各面C1の中心C2を前記磁力線Bの端部とするものである(
図6参照)。
【0072】
このように構成することにより、各面C1の中心C2から磁力線Bを描き始めることができる(
図5参照)。これによって、特定の方向(例えば、水平方向)に偏りがないという磁界の性質を正確に表現することができるため、磁力線Bをよりリアルに表現することができる。特に、重畳部12は、磁石31L・31R(仮想の磁石)から当該磁石31L・31Rの長手方向の向きに所定距離だけ離れた位置に正二十面体Cを配置している。これにより、磁力線Bの端部(正二十面体Cの各面C1の中心C2)の位置を適切に設定することができる。
【0073】
また、前記重畳部12は、前記映像22cの奥行き方向において前記仮想の磁石の2つの磁極31a・31bが互いに異なる位置となった場合に、前記映像22cの奥行き方向を考慮して前記磁力線Bを表示するものである。
【0074】
このように構成することにより、磁力線Bをよりリアルに表現することができる。
【0075】
なお、本実施形態に係るカメラ22aは、本発明に係る撮像部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るマーカ32は、本発明に係る目印の実施の一形態である。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0077】
例えば、磁界可視化システム10は、教育の用途に用いられるものとしたが、磁界可視化システム10の用途は特に限定されるものではない。
【0078】
また、磁界可視化システム10は、眼鏡型のウェアラブルデバイスに実装されるものとしたが、磁界可視化システム10が実装される端末20は、複合現実を提供可能な機器であれば特に限定されるものではない。磁界可視化システム10は、例えば、PCやスマートフォン等に実装されていてもよい。
【0079】
また、重畳部12は、複数の磁石の磁力(引力F1及び斥力F2)をそれぞれ考慮して磁力線Bを作成したが(
図5参照)、磁石の位置関係(例えば、遠すぎる場合)等によっては、1つの磁石のみの磁力を考慮して磁力線Bを作成してもよい。
【0080】
また、重畳部12は、仮想の磁石の長手方向に沿った直線上に正二十面体Cの一部の頂点が配置されるように、正二十面体Cの向きを決定したが、正二十面体Cの向きは、特に限定されるものではない。例えば、重畳部12は、一部の面C1の中心C2が前記長手方向に沿った直線上に配置されるように、正二十面体Cの向きを決定してもよい。また、N極31aの近傍に配置されたN極31a側の正二十面体Cの向きと、S極31bの近傍に配置されたS極31b側の正二十面体Cの向きと、の関係は特に限定されるものではない。したがって、例えば、重畳部12は、N極31a側及びS極31b側の正二十面体Cが互いに同一の向きとなるように、正二十面体Cの向きを決定してもよい。また、重畳部12は、N極31a側及びS極31b側の正二十面体Cの向きが互いに異なる向きとなるように、正二十面体Cの向きを決定してもよい。
【0081】
また、重畳部12は、磁極31a・31bの近傍に正二十面体Cを配置したが、磁極31a・31bの近傍に配置する正多面体は、正二十面体Cに限定されるものではなく、例えば、正八面体や正十二面体等であってもよい。なお、重畳部12が表示する磁力線Bの本数は、ある程度多い方が望ましい。したがって、重畳部12は、正多面体の中で、比較的面が多い正多面体、具体的には、正十二面体又は正二十面体Cを配置することが望ましい。これによって、重畳部12は、磁力の強さ(磁力が強くなるにしたがって磁力線Bの間隔が狭くなること)を表現し易くなる。
【0082】
また、重畳部12は、必ずしも正多面体の各面の中心から磁力線Bを作成する必要はない。重畳部12は、例えば、正多面体の頂点から磁力線Bを作成してもよい。また、重畳部12は、必ずしも正多面体を基準として磁力線Bを作成する必要はなく、正多面体とは異なる所定の部分(例えば、磁石の端面等)を基準として磁力線を作成してもよい。
【0083】
また、重畳部12は、1つのマーカ32から1つの仮想の磁石の位置を決定したが、1つの仮想の磁石の位置を決定するのに必要なマーカ32の個数は、特に限定されるものではない。重畳部12は、例えば、位置が異なる複数のマーカ32から1つの仮想の磁石の位置を決定してもよい。この場合、複数のマーカ32の組み合わせ(1セット)が、1つの仮想の磁石の位置を決定する目印となる。このように、1つの仮想の磁石の位置を決めるための1つの目印としては、1つ又は複数のマーカ32の組み合わせを用いることが可能である。
【0084】
また、認識部11は、ARマーカ(マーカ32)を認識したが、これに限定されるものではなく、ARマーカ以外のものを認識してもよい。
【0085】
また、重畳部12は、N極31aからS極31bへ向けて磁力線Bを徐々に(利用者Uが目で追える程度の速度で)表示してもよい。このような構成により、磁力がN極31aからS極31bへ向かうことを、磁力線Bで表現することができる。
【符号の説明】
【0086】
10 磁界可視化システム
11 認識部
12 重畳部
22a カメラ(撮像部)
22c 映像
32 マーカ(目印)
B 磁力線
【手続補正書】
【提出日】2021-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部で撮像した映像に目印が映った場合に、当該目印の位置を認識する認識部と、
前記認識部の認識結果に基づいて仮想の磁石の位置情報を決定し、当該決定結果から前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を作成して現実の世界に重ね合わせて表示する重畳部と、
を具備し、
前記認識部は、
前記映像に複数の前記目印が映った場合に、当該複数の前記目印の位置情報をそれぞれ認識するものであって、
前記重畳部は、
前記認識部の認識結果に基づいて複数の前記仮想の磁石の位置情報を決定し、当該複数の前記仮想の磁石の磁力を考慮して前記磁力線の形状を決定し、
前記目印が取り付けられると共に前記利用者が把持可能に形成され、前記重畳部が前記3次元の磁力線を表示させている際、当該利用者の把持操作により前記目印の位置情報を変更可能な複数の把持手段をさらに具備し、
複数の前記把持手段には、
前記重畳部により決定される前記仮想の磁石の位置情報に対応するように、現実の磁石が取り付けられる、
磁界可視化システム。
【請求項2】
利用者の頭部に装着され、当該頭部が向く方向の映像を撮像する撮像部、及び、前記映像を前記利用者に表示する表示部に用いられ、
前記重畳部は、
前記決定結果から作成した前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を、前記映像上に重ねて表示させることにより、前記頭部が向く方向に対応して見え方が変わるように当該3次元の磁力線を現実の世界に重ね合わせて表示する、
請求項1に記載の磁界可視化システム。
【請求項3】
前記認識部は、
前記映像に表示された所定の領域に対する前記目印の位置情報の変化の経過を認識し、
前記重畳部は、
前記決定結果から前記仮想の磁石の位置情報の変化の経過を取得し、当該仮想の磁石の位置情報の変化の経過に対応して変形していく前記3次元の磁力線を作成する、
請求項2に記載の磁界可視化システム。
【請求項4】
前記位置情報には、位置及び向きに関する情報が含まれる、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の磁界可視化システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
即ち、請求項1においては、撮像部で撮像した映像に目印が映った場合に、当該目印の位置を認識する認識部と、前記認識部の認識結果に基づいて仮想の磁石の位置情報を決定し、当該決定結果から前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を作成して現実の世界に重ね合わせて表示する重畳部と、を具備し、前記認識部は、前記映像に複数の前記目印が映った場合に、当該複数の前記目印の位置情報をそれぞれ認識するものであって、前記重畳部は、前記認識部の認識結果に基づいて複数の前記仮想の磁石の位置情報を決定し、当該複数の前記仮想の磁石の磁力を考慮して前記磁力線の形状を決定し、前記目印が取り付けられると共に前記利用者が把持可能に形成され、前記重畳部が前記3次元の磁力線を表示させている際、当該利用者の把持操作により前記目印の位置情報を変更可能な複数の把持手段をさらに具備し、複数の前記把持手段には、前記重畳部により決定される前記仮想の磁石の位置情報に対応するように、現実の磁石が取り付けられるものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項2においては、利用者の頭部に装着され、当該頭部が向く方向の映像を撮像する撮像部、及び、前記映像を前記利用者に表示する表示部に用いられ、前記重畳部は、前記決定結果から作成した前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を、前記映像上に重ねて表示させることにより、前記頭部が向く方向に対応して見え方が変わるように当該3次元の磁力線を現実の世界に重ね合わせて表示するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項3においては、前記認識部は、前記映像に表示された所定の領域に対する前記目印の位置情報の変化の経過を認識し、前記重畳部は、前記決定結果から前記仮想の磁石の位置情報の変化の経過を取得し、当該仮想の磁石の位置情報の変化の経過に対応して変形していく前記3次元の磁力線を作成するものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項4においては、前記位置情報には、位置及び向きに関する情報が含まれるものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2021-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部で撮像した映像に目印が映った場合に、当該目印の位置を認識する認識部と、
前記認識部の認識結果に基づいて仮想の磁石の位置情報を決定し、当該決定結果から前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を作成して現実の世界に重ね合わせて表示する重畳部と、
を具備し、
前記認識部は、
前記映像に複数の前記目印が映った場合に、当該複数の前記目印の位置情報をそれぞれ認識するものであって、
前記重畳部は、
前記認識部の認識結果に基づいて複数の前記仮想の磁石の位置情報を決定し、当該複数の前記仮想の磁石の磁力を考慮して前記磁力線の形状を決定し、
前記目印が取り付けられると共に利用者が把持可能に形成され、前記重畳部が前記3次元の磁力線を表示させている際、当該利用者の把持操作により前記目印の位置情報を変更可能な複数の把持手段をさらに具備し、
複数の前記把持手段には、
前記重畳部により決定される前記仮想の磁石の位置情報に対応するように、現実の磁石が取り付けられる、
磁界可視化システム。
【請求項2】
利用者の頭部に装着され、当該頭部が向く方向の映像を撮像する撮像部、及び、前記映像を前記利用者に表示する表示部に用いられ、
前記重畳部は、
前記決定結果から作成した前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を、前記映像上に重ねて表示させることにより、前記頭部が向く方向に対応して見え方が変わるように当該3次元の磁力線を現実の世界に重ね合わせて表示する、
請求項1に記載の磁界可視化システム。
【請求項3】
前記認識部は、
前記映像に表示された所定の領域に対する前記目印の位置情報の変化の経過を認識し、
前記重畳部は、
前記決定結果から前記仮想の磁石の位置情報の変化の経過を取得し、当該仮想の磁石の位置情報の変化の経過に対応して変形していく前記3次元の磁力線を作成する、
請求項2に記載の磁界可視化システム。
【請求項4】
前記位置情報には、位置及び向きに関する情報が含まれる、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の磁界可視化システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
即ち、請求項1においては、撮像部で撮像した映像に目印が映った場合に、当該目印の位置を認識する認識部と、前記認識部の認識結果に基づいて仮想の磁石の位置情報を決定し、当該決定結果から前記仮想の磁石についての3次元の磁力線を作成して現実の世界に重ね合わせて表示する重畳部と、を具備し、前記認識部は、前記映像に複数の前記目印が映った場合に、当該複数の前記目印の位置情報をそれぞれ認識するものであって、前記重畳部は、前記認識部の認識結果に基づいて複数の前記仮想の磁石の位置情報を決定し、当該複数の前記仮想の磁石の磁力を考慮して前記磁力線の形状を決定し、前記目印が取り付けられると共に利用者が把持可能に形成され、前記重畳部が前記3次元の磁力線を表示させている際、当該利用者の把持操作により前記目印の位置情報を変更可能な複数の把持手段をさらに具備し、複数の前記把持手段には、前記重畳部により決定される前記仮想の磁石の位置情報に対応するように、現実の磁石が取り付けられるものである。