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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145246
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220926BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220926BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20220926BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20220926BHJP
【FI】
G09F9/30 360
G09F9/30 349Z
G09F9/30 348A
G09F9/00 338
G09F9/00 346D
H01L33/62
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046568
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA42
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA25
5C094CA19
5C094DB01
5C094ED20
5C094FB02
5C094FB15
5F142AA58
5F142AA82
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB03
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD43
5F142CD44
5F142CD49
5F142DB24
5F142FA30
5F142FA34
5F142GA02
5G435BB04
5G435CC09
5G435EE41
5G435FF14
(57)【要約】
【課題】簡易な方法により、LED素子を回路基板に強固に接合すること。
【解決手段】表示装置の製造方法は、絶縁基板上にLED素子を駆動する駆動回路を形成し、前記駆動回路の上に光吸収層を形成し、前記光吸収層を覆う絶縁層を形成し、前記絶縁層の上に前記駆動回路と電気的に接続された接続電極を形成し、前記接続電極と前記LED素子の端子電極とが接するように前記LED素子を配置し、前記LED素子の半導体層を通してレーザー光を前記光吸収層に照射することにより、前記接続電極と前記端子電極とを接合することを含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上にLED素子を駆動する駆動回路を形成し、
前記駆動回路の上に光吸収層を形成し、
前記光吸収層を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層の上に前記駆動回路と電気的に接続された接続電極を形成し、
前記接続電極と前記LED素子の端子電極とが接するように前記LED素子を配置し、
前記LED素子の半導体層を通してレーザー光を前記光吸収層に照射することにより、前記接続電極と前記端子電極とを接合することを含む、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記レーザー光の照射により前記光吸収層を加熱し、
前記光吸収層で生じた熱を、前記絶縁層を介して前記接続電極及び前記端子電極に伝える、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記光吸収層は、タングステン、クロム、コバルト、モリブデン、チタン、亜鉛、ニッケル、又は、鉄を含む金属層である、請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁層は、酸化アルミニウム層である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記接続電極と前記端子電極とを接合することは、前記接続電極と前記端子電極との間に、両者の構成材料を含む合金層を形成することを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記光吸収層は、前記合金層よりも高い融点を有する、請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記レーザー光は、YAGレーザー又はYVO4レーザーから発する近赤外光である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
平面視において、前記接続電極は、前記光吸収層の一部と重畳するように形成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
絶縁基板の上に設けられた駆動回路と、
前記駆動回路の上に設けられた光吸収層と、
前記光吸収層を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の上に設けられ、前記駆動回路と電気的に接続された接続電極と、
前記接続電極を介して前記駆動回路と電気的に接続されたLED素子と、
を含む、表示装置。
【請求項10】
前記光吸収層は、タングステン、クロム、コバルト、モリブデン、チタン、亜鉛、ニッケル、又は、鉄を含む金属層である、請求項8又は9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記絶縁層は、酸化アルミニウム層である、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記接続電極と前記LED素子の端子電極との間に、両者の構成材料を含む合金層を含む、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記光吸収層は、前記合金層よりも高い融点を有する、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
平面視において、前記接続電極は、前記光吸収層の一部と重畳する、請求項8乃至13のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置及びその製造方法に関する。特にLED(Light Emitting Diode)素子を実装した表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の表示装置として、各画素に微小なLED素子を実装したLEDディスプレイの開発が進められている。通常、LEDディスプレイは、画素アレイを構成する回路基板上に、複数のLED素子を実装した構造を有している。回路基板は、各画素に対応する位置に、LEDを発光させるための駆動回路を有する。これらの駆動回路は、それぞれ各LED素子と電気的に接続される。
【0003】
前述の駆動回路とLED素子とは、接続電極を介して電気的に接続される。具体的には、駆動回路側に設けられた電極パッドとLED素子側に設けられた電極パッドとが互いに電気的に接続される。例えば、特許文献1には、LED素子と回路基板とを接着層を用いて接合する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0031974号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術のように、接着層を介在させてLED素子と回路基板とを接着する場合は、強い振動によりLED素子が回路基板から脱離することが懸念される。また、上述の従来技術のように接着層を用いて製造された最終製品は、回路基板とLED素子との間に接着層が残存する。接着層は、回路基板の全面に設けられているため、回路を構成する半導体素子が接着層を構成する有機物等に含まれるアルカリ成分により汚染され、動作不良を起こすおそれがある。
【0006】
本発明の課題の一つは、簡易な方法により、LED素子を回路基板に強固に接合することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における表示装置の製造方法は、絶縁基板上にLED素子を駆動する駆動回路を形成し、前記駆動回路の上に光吸収層を形成し、前記光吸収層を覆う絶縁層を形成し、前記絶縁層の上に前記駆動回路と電気的に接続された接続電極を形成し、前記接続電極と前記LED素子の端子電極とが接するように前記LED素子を配置し、前記LED素子の半導体層を通してレーザー光を前記光吸収層に照射することにより、前記接続電極と前記端子電極とを接合することを含む。
【0008】
本発明の一実施形態における表示装置は、絶縁基板の上に設けられた駆動回路と、前記駆動回路の上に設けられた光吸収層と、前記光吸収層を覆う絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられ、前記駆動回路と電気的に接続された接続電極と、前記接続電極を介して前記駆動回路と電気的に接続されたLED素子と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の表示装置における概略の構成を示す平面図である。
図2】本発明の第1実施形態の表示装置における回路構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態の表示装置における画素回路の構成を示す回路図である。
図4】本発明の第1実施形態の表示装置における画素の構成を示す断面図である。
図5】本発明の第1実施形態の表示装置における製造方法を示すフローチャート図である。
図6】本発明の第1実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図8】本発明の第1実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図9】本発明の第1実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図10】本発明の第1実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図11】本発明の第1実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図12】第1実施形態の表示装置におけるLED素子の近傍を拡大した平面図である。
図13】比較例の表示装置におけるLED素子の近傍を拡大した平面図である。
図14】本発明の第2実施形態の表示装置における画素の構成を示す断面図である。
図15】本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示すフローチャート図である。
図16】本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図17】本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図18】本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図19】本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図20】本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
図21】本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができる。本発明は、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかしながら、図面は、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0011】
本発明の実施形態を説明する際、基板からLED素子に向かう方向を「上」とし、その逆の方向を「下」とする。ただし、「上に」又は「下に」という表現は、単に、各要素の上限関係を説明しているにすぎない。例えば、基板の上にLED素子が配置されるという表現は、基板とLED素子との間に他の部材が介在する場合も含む。さらに、「上に」又は「下に」という表現は、平面視において各要素が重畳する場合だけでなく、重畳しない場合をも含む。
【0012】
本明細書および特許請求の範囲において、ある一つの膜に対してエッチング等の加工処理を施すことにより形成された複数の要素(element)は、それぞれ異なる機能又は役割を有する要素として記載されることがある。これら複数の要素は、同一の層構造及び同一の材料で構成されたものであり、同一層にある要素として記載される。
【0013】
本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA、B及びCのいずれかを含む」、「αはA、B及びCからなる群から選択される一つを含む」といった表現は、特に明示が無い限り、αはA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0014】
本発明の実施形態を説明する際、既に説明した要素と同様の機能を備えた要素については、同一の符号又は同一の符号にアルファベット等の記号を付して、説明を省略することがある。例えば、ある符号を付した要素が図面中に複数存在する場合、それぞれ「a」、「b」等を符号に付して区別する場合がある。他方、それぞれの要素を区別する必要がない場合は、その要素を示す符号のみを用いて説明する。同様に、ある要素について、RGBの各色に区別して説明する必要がある場合は、その要素を示す符号の後に、R、G又はBの記号を付して区別する場合がある。他方、その要素について、RGBの各色に区別して説明する必要がない場合は、その要素を示す符号のみを用いて説明する。
【0015】
<第1実施形態>
[表示装置の構成]
図1図4を用いて、本発明の一実施形態の表示装置10の構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態の表示装置10における概略の構成を示す平面図である。図1に示すように、表示装置10は、回路基板100、フレキシブルプリント回路基板160(FPC160)、及びIC素子170を有する。表示装置10は表示領域112、周辺領域114、及び端子領域116に区分される。回路基板100は、TFT基板、バックプレーン基板、アレイ基板などと称されることもある。
【0017】
表示領域112は、LED素子200を含む複数の画素110が行方向(D1方向)及び列方向(D2方向)に配置された領域である。具体的には、本実施形態では、LED素子200Rを含む画素110R、LED素子200Gを含む画素110G、及びLED素子200Bを含む画素110Bが配置される。表示領域112は、映像信号に応じた画像を表示する領域として機能する。
【0018】
周辺領域114は、表示領域112の周囲の領域である。周辺領域114には、各画素110に設けられた画素回路(図2に示す画素回路120R、120G及び120B)を制御するためのドライバ回路(図2に示すデータドライバ回路130及びゲートドライバ回路140)が設けられた領域である。
【0019】
端子領域116は、前述のドライバ回路に接続された複数の配線が集約された領域である。フレキシブルプリント回路基板160は、端子領域116において複数の配線に電気的に接続される。外部装置(図示せず)から出力された映像信号(データ信号)又は制御信号は、フレキシブルプリント回路基板160に設けられた配線(図示せず)を介して、IC素子170に入力される。IC素子170は、映像信号に対して各種の信号処理を行ったり表示制御に必要な制御信号を生成したりする。IC素子170から出力された映像信号及び制御信号は、フレキシブルプリント回路基板160を介して、表示装置10に入力される。
【0020】
[表示装置の回路構成]
図2は、本発明の第1実施形態の表示装置10における回路構成を示すブロック図である。図2に示すように、表示領域112には、各画素110に対応して、画素回路120が設けられている。本実施形態では、画素110R、画素110G及び画素110Bに対応して、それぞれ画素回路120R、画素回路120G及び画素回路120Bが設けられている。すなわち、表示領域112には、複数の画素回路120が、行方向(D1方向)及び列方向(D2方向)に配置されている。
【0021】
図3は、本発明の第1実施形態の表示装置10における画素回路120の構成を示す回路図である。画素回路120は、データ線121、ゲート線122、アノード電源線123及びカソード電源線124に囲まれた領域に配置される。本実施形態の画素回路120は、選択トランジスタ126、駆動トランジスタ127、保持容量128及びLED129を含む。LED129は、図1に示したLED素子200に対応する。画素回路120のうち、LED129以外の回路要素は、回路基板100に設けられた駆動回路125(図4参照)に相当する。つまり、回路基板100に対してLED素子200を実装した状態で画素回路120が完成する。
【0022】
図3に示すように、選択トランジスタ126のソース電極、ゲート電極及びドレイン電極は、それぞれデータ線121、ゲート線122及び駆動トランジスタ127のゲート電極に接続される。駆動トランジスタ127のソース電極、ゲート電極及びドレイン電極は、それぞれアノード電源線123、選択トランジスタ126のドレイン電極及びLED129に接続される。駆動トランジスタ127のゲート電極とドレイン電極との間には保持容量128が接続される。すなわち、保持容量128は、選択トランジスタ126のドレイン電極に接続される。LED129は、アノード及びカソードが、それぞれ駆動トランジスタ127のドレイン電極及びカソード電源線124に接続される。
【0023】
データ線121には、LED129の発光強度を決める階調信号が供給される。ゲート線122には、階調信号を書き込む選択トランジスタ126を選択するためのゲート信号が供給される。選択トランジスタ126がON状態になると、階調信号が保持容量128に蓄積される。その後、駆動トランジスタ127がON状態になると、階調信号に応じた駆動電流が駆動トランジスタ127を流れる。駆動トランジスタ127から出力された駆動電流がLED129に入力されると、LED129が階調信号に応じた発光強度で発光する。
【0024】
再び図2を参照すると、表示領域112に対して列方向(D2方向)に隣接する位置には、データドライバ回路130が配置される。また、表示領域112に対して行方向(D1方向)に隣接する位置には、ゲートドライバ回路140が配置される。本実施形態では、表示領域112を両側に、2つのゲートドライバ回路140を設けているが、いずれか一方のみであってもよい。
【0025】
データドライバ回路130及びゲートドライバ回路140は、いずれも周辺領域114に配置されている。ただし、データドライバ回路130を配置する領域は周辺領域114に限られない。例えば、データドライバ回路130は、フレキシブルプリント回路基板160に配置されていてもよい。
【0026】
図3に示したデータ線121は、データドライバ回路130から列方向に延在し、各画素回路120における選択トランジスタ126のソース電極に接続される。ゲート線122は、ゲートドライバ回路140から方向に延在し、各画素回路120における選択トランジスタ126のゲート電極に接続される。
【0027】
端子領域116には、端子部150が配置されている。端子部150は、接続配線151を介してデータドライバ回路130と接続される。同様に、端子部150は、接続配線152を介してゲートドライバ回路140と接続される。さらに、端子部150は、フレキシブルプリント回路基板160と接続される。
【0028】
[画素の断面構造]
図4は、本発明の第1実施形態の表示装置10における画素110の構成を示す断面図である。画素110は、絶縁基板11の上に設けられた駆動トランジスタ127を有する。絶縁基板11としては、ガラス基板、樹脂基板、セラミックス基板又は金属基板の上に絶縁層を設けた基板を用いることができる。絶縁基板11として樹脂基板を用いた場合、表示装置10に可撓性を付与することができる。
【0029】
駆動トランジスタ127は、半導体層12、ゲート絶縁層13及びゲート電極14を含む。半導体層12には、絶縁層15を介してソース電極16及びドレイン電極17が接続される。図示は省略するが、ゲート電極14は、図3に示した選択トランジスタ126のドレイン電極に接続される。
【0030】
ソース電極16及びドレイン電極17と同一の層には、配線18が設けられている。配線18は、図3に示したアノード電源線123として機能する。そのため、ソース電極16及び配線18は、平坦化層19の上に設けられた接続配線20によって電気的に接続される。平坦化層19は、ポリイミド、アクリル等の樹脂材料を用いた透明な樹脂層である。接続配線20は、ITOなどの金属酸化物材料を用いた透明導電層である。ただし、この例に限らず、接続配線20として、その他の金属材料を用いることもできる。
【0031】
接続配線20の上には、窒化シリコン等で構成された絶縁層21が設けられる。絶縁層21の上には、アノード電極22及びカソード電極23が設けられる。アノード電極22及びカソード電極23は、金属材料で構成される。アノード電極22は、平坦化層19及び絶縁層21に設けられた開口を介してドレイン電極17に接続される。アノード電極22及びカソード電極23が形成された時点で、駆動回路125が完成する。図4では図示を省略するが、駆動トランジスタ127以外にも、選択トランジスタ126及び保持容量128が形成されている。
【0032】
アノード電極22及びカソード電極23は、それぞれ平坦化層24を介して実装パッド25a及び25bに接続される。実装パッド25aは、駆動トランジスタ127とLED素子200とを電気的に接続する中間層として機能する。実装パッド25bは、LED素子200とカソード電極23とを電気的に接続する中間層として機能する。
【0033】
本実施形態では、実装パッド25とともに、光吸収層26を形成する。光吸収層26は、レーザー光を吸収して熱エネルギーに変換するための層として機能する。後述するように、光吸収層26は、レーザー光を吸収して生成した熱エネルギーを放射するため、レーザー光の照射により接続電極103と端子電極203とを溶融接合する際に利用される。
【0034】
光吸収層26は、後述するLED素子200の半導体層202を透過する光の波長において、相対的に高い吸収率を示す材料で構成されることが望ましい。本実施形態では、半導体層202として、近赤外光を透過する窒化ガリウムを含む半導体材料を用いるため、レーザー光として、YAGレーザー又はYVO4レーザーから発する光(波長:約1064nm)を用いる。そのため、光吸収層26は、1.0μm以上1.5μm以下の波長における光の吸収率が20%以上(好ましくは、30%以上)であることが望ましい。このような材料としては、タングステン、クロム、コバルト、モリブデン、チタン、亜鉛、ニッケル、又は、鉄を含む金属材料(合金材料を含む)を用いることができる。特に、タングステンは、1.0μm付近の波長における近赤外光の吸収率が30%以上であることから光吸収層26として好適である。これらの材料を用いた金属層は、単層で用いてもよいし、2種類以上の金属層を積層してもよい。また、金属材料に限らず、光吸収層26を構成する材料としては、酸化アルミニウムなどの金属酸化物を用いることも可能である。
【0035】
本実施形態では、実装パッド25及び光吸収層26を同一プロセスにより形成する。すなわち、実装パッド25及び光吸収層26は、同一材料を用いて同一層に形成される。実装パッド25及び光吸収層26は、タングステンを含む金属層で構成される。図4に示すように、光吸収層26は、LED素子200の半導体層202の直下に配置される。具体的には、光吸収層26は、接続電極103aと接続電極103bとの間に配置される。このとき、平面視において、光吸収層26は、接続電極103aと接続電極103bとに重畳することが望ましい。これにより、光吸収層26に赤外光を照射した際、光吸収層26から接続電極103a及び103bへの熱伝導の効率を向上させることができる。ただし、この例に限らず、光吸収層26は、接続電極103と重畳していなくてもよい。
【0036】
実装パッド25及び光吸収層26の上には、絶縁層27が設けられる。絶縁層27は、接続電極103と光吸収層26とを絶縁分離する役割を有するとともに、光吸収層26から放射された熱エネルギーを接続電極103に伝達する役割を有する。そのため、絶縁層27としては、熱伝導率の高い絶縁材料を用いることが好ましい。例えば、絶縁層27の熱伝導率は、室温における熱伝導率が10W/m・K以上(好ましくは、20W/m・K以上)であることが望ましい。また、絶縁層27は、光吸収層26に照射される赤外光を通過させる必要があるため、赤外光の透過率も高いことが望ましい。
【0037】
上記事情に鑑み、本実施形態では、絶縁層27として、酸化アルミニウム(サファイアも含む)又は窒化シリコンを用いる。特に、酸化アルミニウムは、赤外光の透過率が高く、熱伝導性に優れているため、後述する赤外光の照射による接続電極103と端子電極203との溶融接合の際に効率よく熱を伝達することができる。
【0038】
絶縁層27は、実装パッド25及び光吸収層26に起因する凹凸を緩和する役平坦化層として機能してもよい。この場合、絶縁層27は、実装パッド25及び光吸収層26の膜厚に比べて十分に厚い膜厚を有することが好ましい。
【0039】
絶縁層27の上には、接続電極103a及び接続電極103bが設けられる。接続電極103a及び103bは、それぞれ絶縁層27に設けられた開口部を介して実装パッド25a及び25bに接続される。本実施形態では、接続電極103として、錫(Sn)で構成される電極を配置する。
【0040】
接続電極103a及び103bの上には、LED素子200が配置される。LED素子200は、半導体層202、端子電極203a及び端子電極203bを含む。半導体層202は、n型半導体層及びp型半導体層を含む光電変換層として機能する。本実施形態では、窒化ガリウムを含む半導体材料を用いて半導体層202を構成しているが、この例に限られるものではない。
【0041】
本実施形態では、図3に示すように、LED素子200のアノードが、駆動トランジスタ127に接続される。したがって、端子電極203aは、半導体層202のうちp型半導体層に接続されるとともに、接続電極103aに接続される。また、端子電極203bは、半導体層202のうちn型半導体層に接続されるとともに、接続電極103bに接続される。
【0042】
本実施形態において、端子電極203は、金(Au)で構成される電極である。後述するように、接続電極103と端子電極203とはレーザー光照射による溶融接合により接合される。そのため、接続電極103と端子電極203との間には、図示しない合金層(錫と金とを含む共晶合金)が存在する。このように、接続電極103と端子電極203とは合金層が形成される温度まで加熱されるため、光吸収層26は、合金層よりも高い融点を有する。
【0043】
LED素子200は、図3に示した回路図において、LED129に相当する。具体的には、LED素子200の端子電極203aは、駆動トランジスタ127のドレイン電極17に接続されたアノード電極22に接続される。LED素子200の端子電極203bは、カソード電極23に接続される。カソード電極23は、図3に示したカソード電源線124と電気的に接続される。
【0044】
以上の構造を有する本実施形態の表示装置10は、LED素子200が赤外光照射による溶融接合により強固に実装されているため、衝撃等に対する耐性が高いという利点を有する。
【0045】
[表示装置の製造方法]
図5は、本発明の第1実施形態の表示装置10における製造方法を示すフローチャート図である。図6図11は、本発明の第1実施形態の表示装置10における製造方法を示す断面図である。以下、図5を用いて表示装置10の製造方法について説明する。その際、図6図11を用いて各製造プロセスにおける断面構造について説明する。
【0046】
まず、図5のステップS11において、絶縁基板11の上にLED素子200を駆動する駆動回路125を形成する。図6は、図5のステップS11に対応する断面構造を示している。絶縁基板11としては、例えば、ガラス基板、樹脂基板、セラミックス基板又は金属基板を用いることができる。図6では図示を省略しているが、本実施形態の駆動回路125は、駆動トランジスタ127のほか、選択トランジスタ126及び保持容量128を含む。ただし、駆動回路125の構成は、この例に限らず、必要に応じて他の回路要素を含んでもよい。
【0047】
駆動回路125は、通常の薄膜形成技術を用いて形成することができるため、駆動回路125の具体的な製造プロセスについての説明は省略する。絶縁基板11の上に駆動回路125を形成したら、平坦化層24を形成して駆動回路125に起因する起伏を平坦化する。
【0048】
次に、図5のステップS12において、駆動回路125の上(具体的には、駆動回路125を覆う平坦化層24の上)に、実装パッド25a、実装パッド25b及び光吸収層26を形成する。図7は、図5のステップS12に対応する断面構造を示している。図示は省略するが、実装パッド25a及び25bは、図4に示したように、それぞれアノード電極22及びカソード電極23に接続されている。
【0049】
本実施形態において、実装パッド25及び光吸収層26は、駆動回路125を覆う平坦化層24の上に、同一材料を用いて同一プロセスにより形成する。本実施形態では、構成材料として、タングステンを用いる。そのため、実装パッド25及び光吸収層26は、タングステンを材料とする同一層の金属層で構成される。本実施形態では、スパッタ法により、実装パッド25a、実装パッド25b及び光吸収層26を形成する。
【0050】
次に、図5のステップS13において、光吸収層26を覆う絶縁層27を形成する。図8は、図5のステップS13に対応する断面構造を示している。絶縁層27は、後に形成される接続電極103と、光吸収層26とを絶縁分離するための層である。本実施形態では、絶縁層27として、酸化アルミニウムで構成される絶縁層を用いる。酸化アルミニウムで構成される絶縁層は、例えば、スパッタ法で形成することができる。
【0051】
次に、図5のステップS14において、絶縁層27の上に駆動回路125と電気的に接続された接続電極103a及び接続電極103bを形成する。図9は、図5のステップS14に対応する断面構造を示している。本実施形態では、接続電極103の構成材料として錫(Sn)を用いる。ただし、この例に限らず、後述するLED素子200の端子電極203との間で共晶合金を形成し得る他の金属材料を用いてもよい。例えば、接続電極103及び端子電極203は、共に錫(Sn)で構成されていてもよい。接続電極103の厚さは、0.2μm以上5μm以下(好ましくは、1μm以上3μm以下)の範囲内で決めればよい。
【0052】
接続電極103は、実装パッド25の位置に合わせて形成される。具体的には、図5のステップS13で絶縁層27を形成した後、実装パッド25a及び25bに対応する位置において、絶縁層27に、それぞれ開口部28a及び開口部28bを形成する。その後、絶縁層27の上に、実装パッド25と電気的に接続する接続電極103を形成する。このとき、接続電極103a及び103bのそれぞれは、平面視において光吸収層26と重畳するように形成することが望ましい。このような構造とした場合、後述するレーザー光の照射の際、光吸収層26から接続電極103a及び103bへの熱伝導の効率を向上させることができる。
【0053】
次に、図5のステップS15において、接続電極103とLED素子200の端子電極203とが接するようにLED素子200を配置する。図10は、図5のステップS15に対応する断面構造を示している。このとき、端子電極203aは、接続電極103aの上に位置し、端子電極203bは、接続電極103bの上に位置する。なお、図10では、1つのLED素子200のみ図示しているが、実際には、各画素にLED素子200が配置されている。
【0054】
複数のLED素子200は、一括して接続電極103に対して位置合わせを行うことができる。例えば、サファイア基板等の半導体基板の上に、複数のLED素子200を画素ピッチに合わせて形成しておく。その後、複数のLED素子200と、各画素に設けられた複数の端子電極203とを一括して位置合わせすればよい。
【0055】
図10に示すように、本実施形態では、駆動回路125に対向する面に2つの端子電極203a及び203bを有するフリップ素子型のLED素子200を実装する例について説明する。ただし、LED素子200の形態は、この例に限られるものではない。例えば、LED素子200は、駆動回路125に近い側にアノード電極(もしくはカソード電極)を有し、駆動回路125から遠い側にカソード電極(もしくはアノード電極)を有する構造であってもよい。すなわち、LED素子200は、アノード電極とカソード電極との間に発光層を挟んだ構造を有するフェイスアップ型のLED素子であってもよい。LED素子200としてフェイスアップ型のLED素子を用いる場合、接続電極103は、各画素に1つ設けられていればよい。
【0056】
図10に示すLED素子200は、半導体基板(図示せず)の上に成長させた窒化ガリウムを含む半導体材料で構成された半導体層202を有する。本実施形態では、半導体基板としてサファイア基板を用いる。ただし、半導体基板を構成する材料とLED素子200の半導体層202を構成する材料との組み合わせは、LED素子200の発光色に応じて適宜決定すればよい。
【0057】
次に、図5のステップS16において、LED素子200の半導体層202を通してレーザー光40を光吸収層26に照射することにより、接続電極103と端子電極203とを接合する。図11は、図5のステップS16に対応する断面構造を示している。本実施形態では、レーザー光40として、YAGレーザー又はYVO4レーザーから発する近赤外光(波長:約1064nm)を用いる。
【0058】
図11に示すように、外部の光源から発したレーザー光40は、LED素子200の半導体層202を通過して、光吸収層26に照射される。本実施形態では、半導体層202が窒化ガリウム系の半導体材料であるため、近赤外光を透過する。他方、光吸収層26は、近赤外光に対する吸収率が比較的高いタングステンを材料としているため、効率よくレーザー光40を吸収して熱に変換する。
【0059】
光吸収層26で発生した熱は、伝熱性に優れた絶縁層27を介して接続電極103に伝達される。接続電極103に伝達された熱は、さらにLED素子200の端子電極203にも伝達される。つまり、光吸収層26からの熱放射により、接続電極103と端子電極203との界面に十分な熱が伝わり、接続電極103と端子電極203とが溶融接合される。このとき、図示は省略するが、接続電極103と端子電極203との間には合金層(錫と金とを含む共晶合金)が形成される。本実施形態では、接続電極103と端子電極203との間に共晶合金で構成された合金層が形成されることにより、接続電極103と端子電極203とが強固に接合される。
【0060】
以上説明したとおり、本実施形態では、レーザー光を照射することにより、駆動回路125に接続された接続電極103とLED素子200の端子電極203とを溶融接合する。その際、LED素子200の半導体層202の直下に配置された光吸収層26が発熱源として用いられる。すなわち、半導体層202を通過して光吸収層26に照射されたレーザー光は、光吸収層26で熱に変換され、絶縁層27を介して接続電極103に伝達される。
【0061】
ここで、図12は、第1実施形態の表示装置10におけるLED素子200の近傍を拡大した平面図である。図12に示すように、本実施形態では、半導体層202の直下の光吸収層26に当たるようにレーザー光40を照射すれば済むため、レーザー光40のスポット径を小さく設定することが可能である。つまり、本実施形態によれば、レーザー光40のスポット径を小さくすることにより、レーザー光40のエネルギー密度を上げることができ、効率よくレーザー光照射を行うことができる。また、光吸収層26で受けた光エネルギーを効率よく熱に変換して接続電極103を加熱できるため、光エネルギーの損失を抑制することができる。
【0062】
これに対し、光吸収層26を設けない比較例では、レーザー光40の光エネルギーの損失が本実施形態に比べて大きい。例えば、図13は、比較例の表示装置におけるLED素子200の近傍を拡大した平面図である。図13に示すように、半導体層202の直下にはレーザー光(図示せず)を受け止める層がないため、照射されたレーザー光は、そのまま駆動回路125に到達する。この場合、駆動回路125に到達したレーザー光によって駆動トランジスタ127の半導体層12に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0063】
また、レーザー光のスポット径を大きくしてLED素子200の全体が入るようにレーザー光を照射した場合、金(Au)で構成された端子電極203の表面でレーザー光が反射されてしまう。この場合、図13において一点鎖線で示す領域30a又は領域30bが若干加熱されるにとどまり、接続電極103と端子電極203との接合部まで効率よく熱を伝えることが難しい。
【0064】
(変形例1)
本実施形態では、レーザー光40として、近赤外光を用いる例を示したが、この例に限られるものではない。レーザー光40は、LED素子200の半導体層202を構成する半導体材料等に応じて、適切な波長のレーザー光を選択することが可能である。例えば、レーザー光40は、近赤外光よりも波長が長い赤外光であってもよい。また、レーザー光40は、近赤外光よりも波長が短い可視光(例えばグリーンレーザー光)であってもよい。いずれのレーザー光を用いる場合であっても、使用するレーザー光40の波長に合わせて、効率よくレーザー光40を吸収できるように光吸収層26の材料を選択することが望ましい。
【0065】
(変形例2)
第1実施形態では、光吸収層26の材料として、タングステン等の金属材料を用いる例を示したが、光吸収層26の材料は、上述の例に限られるものではな。例えば、光吸収層26は、グラファイト、又は、カーボン(ダイヤモンドライクカーボンを含む)などの炭素含有層を用いてもよい。炭素含有層は、近赤外光の吸収率が非常に高く、近赤外光を効率的に熱エネルギーへと変換することができる。
【0066】
炭素含有層は、単層で用いてもよいが、他の金属層と炭素含有層とを積層して用いてもよい。例えば、タングステン、アルミニウム、クロム、コバルト、モリブデン、チタン、亜鉛、ニッケル、又は、鉄などの金属材料で構成された金属層の上に、炭素含有層を積層した構造としてもよい。この場合、光吸収層26は、炭素含有層で赤外光を吸収して熱エネルギーに変換し、その熱エネルギーを金属層により接続電極103へ伝達することが可能である。
【0067】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる画素構造を有する表示装置について説明する。具体的には、本実施形態の表示装置は、第1実施形態の表示装置10とは画素110の構成が異なる。本実施形態では、第1実施形態と相違する部分について説明する。本実施形態の説明に用いる図面について、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
[画素の断面構造]
図14は、本発明の第2実施形態の表示装置における画素110aの構成を示す断面図である。図14に示すように、本実施形態では、接続電極103と同一層に光吸収層26aを設けている。具体的には、光吸収層26aは、接続電極103aと接続電極103bとの間に、両者と短絡しないように配置される。したがって、本実施形態では、光吸収層26aから放射された熱が、絶縁層27aを介して接続電極103に伝達される。この場合、光吸収層26aと接続電極103との間の距離を十分短くすることにより、効率的に熱を伝達することができる。
【0069】
本実施形態では、光吸収層26として酸化アルミニウムを含む材料を用いるが、第1実施形態で説明した他の金属材料を用いてもよい。ただし、光吸収層26aの材料としては、接続電極103よりも融点の高い材料を用いることが望ましい。そのため、本実施形態では、接続電極103とは別のプロセスで光吸収層26aを形成している。
【0070】
本実施形態の絶縁層27aは、第1実施形態とは異なる絶縁材料であってもよい。本実施形態の場合、光吸収層26aで発生した熱は、駆動回路125の方へ伝わらない方がよい。そのため、本実施形態の絶縁層27aの材料としては、熱伝導率が比較的低い絶縁材料(例えば、酸化シリコン等)を用いることが好ましい。
【0071】
[表示装置の製造方法]
図15は、本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示すフローチャート図である。図16図21は、本発明の第2実施形態の表示装置における製造方法を示す断面図である。以下、図15を用いて本実施形態の表示装置の製造方法について説明する。その際、図16図21を用いて各製造プロセスにおける断面構造について説明する。
【0072】
まず、図15のステップS21において、絶縁基板11の上にLED素子200を駆動する駆動回路125を形成する。図16は、図15のステップS21に対応する断面構造を示している。絶縁基板11及び駆動トランジスタ127については、第1実施形態と同様である。絶縁基板11の上に駆動回路125を形成したら、平坦化層24を形成して駆動回路125に起因する起伏を平坦化する。
【0073】
次に、図15のステップS22において、駆動回路125の上(具体的には、駆動回路125を覆う平坦化層24の上)に、実装パッド25a及び実装パッド25bを形成するとともに、絶縁層27aを形成する。図17は、図15のステップS22に対応する断面構造を示している。図示は省略するが、実装パッド25a及び25bは、それぞれアノード電極22及びカソード電極23に接続されている。本実施形態において、絶縁層27aは、酸化シリコン層である。
【0074】
次に、図15のステップS23において、絶縁層27aの上に光吸収層26aを形成する。図18は、図15のステップS23に対応する断面構造を示している。本実施形態では、光吸収層26aの構成材料として、酸化アルミニウムを用いる。光吸収層26aは、例えばスパッタ法により形成することができる。
【0075】
次に、図15のステップS24において、絶縁層27aの上に駆動回路125と電気的に接続された接続電極103a及び接続電極103bを形成する。図19は、図15のステップS24に対応する断面構造を示している。第1実施形態と同様に、接続電極103は、実装パッド25の位置に合わせて形成される。具体的には、実装パッド25a及び25bに対応する位置において、絶縁層27aにそれぞれ開口部28a及び開口部28bを形成する。その後、絶縁層27aの上に、実装パッド25と電気的に接続する接続電極103を形成する。
【0076】
本実施形態では、接続電極103の構成材料として錫(Sn)を用いる。本実施形態では、接続電極103を光吸収層26aと同一層に形成する。具体的には、接続電極103は、接続電極103aと接続電極103bとの間に光吸収層26aが位置するように形成される。
【0077】
次に、図15のステップS25において、接続電極103とLED素子200の端子電極203とが接するようにLED素子200を配置する。図20は、図15のステップS25に対応する断面構造を示している。図15のステップS25に示すプロセスは、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0078】
次に、図15のステップS26において、LED素子200の半導体層202を通してレーザー光40を光吸収層26aに照射することにより、接続電極103と端子電極203とを接合する。図21は、図15のステップS26に対応する断面構造を示している。本実施形態では、レーザー光40として、YAGレーザー又はYVO4レーザーから発する近赤外光(波長:約1064nm)を用いる。
【0079】
図21に示すように、外部の光源から発したレーザー光40は、LED素子200の半導体層202を通過して、光吸収層26aに照射される。本実施形態では、半導体層202が窒化ガリウム系の半導体材料であるため、近赤外光を透過する。他方、光吸収層26は、近赤外光に対する吸収率が比較的高い酸化アルミニウムを含む材料を用いているため、効率よくレーザー光40を吸収して熱に変換する。
【0080】
光吸収層26aで発生した熱は、絶縁層27aを介して同一層に配置された接続電極103に伝達される。接続電極103に伝達された熱は、さらにLED素子200の端子電極203にも伝達される。つまり、光吸収層26aからの熱放射により、接続電極103と端子電極203との界面に十分な熱が伝わり、接続電極103と端子電極203とが溶融接合される。したがって、第1実施形態と同様に、接続電極103と端子電極203との間に共晶合金で構成された合金層が形成されることにより、接続電極103と端子電極203とが強固に接合される。
【0081】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0082】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0083】
10…表示装置、11…絶縁基板、12…半導体層、13…ゲート絶縁層、14…ゲート電極、15…絶縁層、16…ソース電極、17…ドレイン電極、18…配線、19…平坦化層、20…接続配線、21…絶縁層、22…アノード電極、23…カソード電極、24…平坦化層、25a、25b…実装パッド、26、26a…光吸収層、27、27a…絶縁層、28a、28b…開口部、30a、30b…領域、40…レーザー光、100…回路基板、125…駆動回路、103a、103b…接続電極、110、110R、110G、110B…画素、112…表示領域、114…周辺領域、116…端子領域、120、120R、120G、120B…画素回路、121…データ線、122…ゲート線、123…アノード電源線、124…カソード電源線、126…選択トランジスタ、127…駆動トランジスタ、128…保持容量、129…LED、130…データドライバ回路、140…ゲートドライバ回路、150…端子部、151、152…接続配線、160…フレキシブルプリント回路基板、170…IC素子、200、200R、200G、200B…LED素子、202…半導体層、203a、203b…端子電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21