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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145248
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】台車位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 35/08 20060101AFI20220926BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20220926BHJP
   B22C 25/00 20060101ALI20220926BHJP
   B22D 33/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B65G35/08 Z
B65G47/52 101
B22C25/00
B22D33/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046570
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100130096
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一総
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【テーマコード(参考)】
3F044
4E094
【Fターム(参考)】
3F044AA11
3F044AB28
3F044CE02
3F044CE08
3F044CE46
4E094CC61
(57)【要約】
【課題】搬送路に沿って搬送される台車を、位置決めされた状態で安定して維持することができる台車位置決め装置を提供する。
【解決手段】台車を所定の位置で位置決めをする台車位置決め装置であって、台車に設けられた被係合部と、搬送路に対して固定された軸受け部と、軸受け部に回転中心となる回転軸が軸支され、搬送路に沿った搬送方向および垂直方向に延在する平面内において、水平位置と水平位置から傾斜した傾斜位置との間で傾動する回転アームと、回転アームを傾動させる傾動駆動装置と、回転アームに設けられ被係合部に係合する係合部と、を備え、回転アームは、水平位置において係合部が被係合部に係合し、係合した際に係合部と被係合部との接触位置が、回転アームの回転軸の回転中心線と同一の水平面上で一致し、かつ、傾斜位置において係合部が被係合部から離脱する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って搬送される台車を所定の位置で位置決めをする台車位置決め装置であって、
前記台車に設けられた被係合部と、
前記搬送路に対して固定された軸受け部と、
前記軸受け部に回転中心となる回転軸が軸支され、前記搬送路に沿った搬送方向および垂直方向に延在する平面内において、水平方向に延在するように位置決めされた水平位置と前記水平位置から傾斜した傾斜位置との間で傾動する回転アームと、
前記回転アームを傾動させる傾動駆動装置と、
前記回転アームに設けられ前記被係合部に係合する係合部と、
を備え、
前記回転アームは、前記水平位置において前記係合部が前記被係合部に係合し、係合した際に前記係合部と前記被係合部との接触位置が、前記回転アームの前記回転軸の回転中心線と同一の水平面上で一致し、かつ、前記傾斜位置において前記係合部が前記被係合部から離脱する台車位置決め装置。
【請求項2】
前記係合部は、前記回転アームが前記水平位置にあるときに、前記被係合部を前記搬送方向および前記搬送方向の逆方向から挟持可能な二か所の位置に設けられている請求項1に記載の台車位置決め装置。
【請求項3】
前記係合部は、回転ローラである請求項1または請求項2に記載の台車位置決め装置。
【請求項4】
前記回転アームは、前記傾動駆動装置の駆動力が消滅した際に、前記回転アームを前記水平位置に維持する水平位置維持装置を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の台車位置決め装置。
【請求項5】
前記回転アームは、一方の端部に前記係合部が設けられ、他方の端部に前記回転軸が設けられている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の台車位置決め装置。
【請求項6】
前記回転アームは、前記係合部が一方の端部に設けられるとともに前記傾動駆動装置が他方の端部に連結され、前記回転軸が前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられ、前記水平位置を維持する方向に付勢する前記水平位置維持装置としての弾性部材が前記他方の端部と前記回転軸との間に設けられている請求項4に記載の台車位置決め装置。
【請求項7】
前記回転アームは、並べられた複数の前記台車の前記被係合部のうちの対応する二つの被係合部間に跨る長さに形成されているとともに、両端部にそれぞれ前記係合部が設けられ、前記回転軸が前記両端部に設けられた前記係合部の間に設けられている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の台車位置決め装置。
【請求項8】
前記被係合部は、前記台車の車軸の回転中心と平行に中心軸が設けられた円柱形状の部材である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の台車位置決め装置。
【請求項9】
前記被係合部は、前記台車の底部に下方に向かって突設されている請求項6に記載の台車位置決め装置。
【請求項10】
台車に設けられた被係合部と、
前記被係合部に係合して前記台車を位置決めする係合部と、を備え、搬送路に沿って搬送される前記台車を所定の位置で位置決めをする台車位置決め装置による台車位置決め方法であって、
前記搬送路に設けられた回転軸に回転可能に軸支された回転アームに前記係合部が設けられ、前記台車の位置決め時において、前記係合部、前記被係合部および前記回転軸は前記搬送路の搬送方向に平行となる台車位置決め方法。
【請求項11】
前記位置決め時に、前記係合部は。前記被係合部を前記搬送方向と平行に挟む請求項11に記載の台車位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路に沿って搬送される台車を所定の位置で位置決めをする台車位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造ラインにおいて、鋳型や鋳枠が載せられた複数の台車を一列にレール上に並べて搬送する。その際に、搬送路の端部、枠移し替え位置、錘載せ替え位置等において、台車を正確な停止位置で停止させることが必要な場合がある。
そのため、従来特許文献1に記載されるような、位置決め装置を使用している。この位置決め装置は、先端にローラが付いた短尺アームと一方の先端にローラが付いた長尺アームとを二つのギアによって同期させてカニバサミのように先端が接近離間するように構成されている。そして、長尺アームの他方の先端部に連結されたシリンダ装置により位置決め装置を駆動させ、台車の車輪を短尺アームと長尺アームとで把持することで、台車を所定位置に位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-210015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の位置決め装置は、保全作業のための電力遮断時や停電時には駆動力が絶たれてしまうので、駆動装置であるシリンダによる各アームの支持力がなくなる。そのため、台車が小さな不慮の力で動いてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、搬送路に沿って搬送される台車を、位置決めされた状態で安定して維持することができる台車位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、台車位置決め装置は、搬送路に沿って搬送される台車を所定の位置で位置決めをする台車位置決め装置である。
【0007】
そして、前記台車に設けられた被係合部と、前記搬送路に対して固定された軸受け部と、前記軸受け部に回転中心となる回転軸が軸支され、前記搬送路に沿った搬送方向および垂直方向に延在する平面内において、水平方向に延在するように位置決めされる水平位置と前記水平位置から傾斜した傾斜位置との間で傾動する回転アームと、前記回転アームを傾動させる傾動駆動装置と、前記回転アームに設けられ前記被係合部に係合する係合部と、を備えている。
【0008】
そして、前記回転アームは、前記水平位置において前記係合部が前記被係合部に係合し、係合した際に前記係合部と前記被係合部との接触位置が、前記回転アームの回転軸の回転中心線と同一の水平面上で一致し、かつ、前記傾斜位置において前記係合部が前記被係合部から離脱する。
【0009】
これによれば、係合部と被係合部とが係合すると、係合部と被係合部との接触位置が、回転アームの回転軸の回転中心線と同一の水平面上で一致するため、台車による搬送方向の力によって、回転アームの回転方向の力成分が生じない。そのため、位置決めされた台車に何らかの搬送方向の力が加わった場合でも、被係合部から係合部が離脱することなく台車を所定位置で位置決めし続けることができる。
【0010】
本発明の第二の態様によれば、前記係合部は、前記回転アームが前記水平位置にあるときに、前記被係合部を搬送方向および搬送方向の逆方向から挟持可能な二か所の位置に設けられている。
これによれば、台車の被係合部を回転アームの係合部で挟持し、台車の搬送方向および搬送方向の逆方向から台車を確実に位置決めすることができる。
【0011】
本発明の第三の態様によれば、前記係合部は、回転ローラである。
これによれば、係合時に被係合部に対する係合部の係合位置がずれていても、被係合部と係合部との接触位置が、回転ローラの外周の頂部を係合する方向に超えることで、円滑にガイドされて係合することができる。
【0012】
本発明の第四の態様によれば、前記回転アームは、前記傾動駆動装置の駆動力が消滅した際に、前記回転アームを前記水平位置に維持する水平位置維持装置を備える。
これによれば、傾動駆動装置の駆動力が消滅した場合でも、係合部と被係合部とを係合状態で維持するので、台車の予定しない動きを抑制して安全性を向上させることができる。
【0013】
本発明の第五の態様によれば、前記回転アームは、一方の端部に前記係合部が設けられ、他方の端部に前記回転軸が設けられている。
これによれば、簡素な構造でコンパクトな台車位置決め装置とすることができる。
【0014】
本発明の第六の態様によれば、前記回転アームは、前記係合部が一方の端部に設けられるとともに前記傾動駆動装置が他方の端部に連結され、前記回転軸が前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられ、前記水平位置を維持する方向に付勢する前記水平位置維持装置としての弾性部材が前記他方の端部と前記回転軸との間に設けられている。
これによれば、一方の端部を下方に傾動させる台車位置決め装置を簡素な構造で実現させることができる。
【0015】
本発明の第七の態様によれば、前記回転アームは、複数の前記台車の前記被係合部のうちの対応する二つの被係合部間に跨る長さに形成されているとともに、両端部にそれぞれ係合部が設けられ、前記回転軸が前記両端部に設けられた前記係合部の間に設けられている。
これによれば、一つの回転アームにより複数の台車の位置決めを行うことができる。
【0016】
本発明の第八の態様によれば、前記被係合部は、前記台車の車軸と平行に中心軸が設けられた円柱形状の部材である。
被係合部が円柱形状の部材であることにより、円弧状の外周面に沿って滑らかに係合部と係合することができる。
【0017】
本発明の第九の態様によれば、前記被係合部は、前記台車の底部に下方に向かって突設されている。
これによれば、係合部および被係合部を台車の下方に収納した省スペースの設計を行うことができる。
【0018】
本発明の第十の態様によれば、台車に設けられた被係合部と、前記被係合部に係合して前記台車を位置決めする係合部と、を備え、搬送路に沿って搬送される前記台車を所定の位置で位置決めをする台車位置決め装置による台車位置決め方法である。そして、前記搬送路に設けられた回転軸に回転可能に軸支された回転アームに前記係合部が設けられ、前記台車の位置決め時において、前記係合部、前記被係合部および前記回転軸は前記搬送路の搬送方向に平行となる。
【0019】
これによれば、位置決め時において、係合部、被係合部および回転軸は、搬送路の搬送方向に平行となるため、係合部と被係合部との接触位置が、回転アームの回転軸の回転中心線とが、同一の水平面上で一致する。そのため、台車による搬送方向の力が、回転アームの回転方向の力成分が生じない。その結果、位置決めされた台車に何らかの搬送方向の力が加わった場合でも、被係合部から係合部が離脱することなく台車を所定位置で位置決めし続けることができる。
【0020】
本発明の第十一の態様によれば、前記位置決め時に、前記係合部は、前記被係合部を前記搬送方向と平行に挟む。
これによれば、台車の被係合部を回転アームの係合部で搬送方向に平行に挟持するので、台車の搬送方向および搬送方向の逆方向から台車を確実に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を鋳造ラインに実施した第一実施形態の台車位置決め装置の概要を示す平面図である。
図2】第一搬送路の側面図である。
図3】第二搬送路の側面図である。
図4】第一搬送路に実施した台車位置決め装置の側面図である。
図5】第一搬送路に実施した台車位置決め装置の正面図である。
図6】位置決めする台車との位置関係を示す台車位置決め装置の平面図である。
図7】回転アームを回転させて台車の係合を外した状態を示す説明図である。
図8】搬入位置と装着位置の二か所で位置決めする第二実施形態における台車位置決め装置の平面図である。
図9】搬入位置と装着位置の二か所で位置決めする第二実施形態における台車位置決め装置の側面図である。
図10】回転アームを回転させて台車の係合を外した状態を示す第二実施形態における台車位置決め装置の説明図である。
図11】第三実施形態の台車位置決め装置を示す側面図である。
図12】回転アームを回転させて台車の係合を外した状態を示す第三実施形態における台車位置決め装置の説明図である。
図13】第三実施形態における台車位置決め装置の別例を示す図である。
図14】第三実施形態における台車位置決め装置の別例において、回転アームを回転させて台車の係合を外した状態を示す図である。
図15】第四実施形態の台車位置決め装置を示す側面図である。
図16】第四実施形態の台車位置決め装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第一実施形態)
本発明に係る台車位置決め装置を、鋳造ラインに実施した第一実施形態について、図1図7を参照して以下に説明する。
【0023】
(鋳造ライン)
図1は、本発明に係る台車位置決め装置1を含む鋳造ラインCTLの一部の設備概要を示している。
鋳造ラインCTLは、図1に示すように、造型ラインML、注湯ラインPL、冷却ラインCLを備えている。この設備では、造型ラインMLで造型された鋳型Mが、注湯ラインPLに搬入され、台車2に載置されて注湯ラインPLで搬送されている間に注湯エリアPAで注湯される。そして注湯された鋳型Mが冷却ラインCLに搬出され、冷却ラインCLで冷却されながら台車2で搬送される。
【0024】
本明細書において、注湯済み鋳型PMが鋳造ラインCTLの第一・第二搬送路TP1,TP2に沿って搬送される方向を「搬送方向」という。鋳型の搬送を水の流れに例えて、鋳造ラインCTLにおいて搬送の始点となる側を「上流側」、搬送の終点となる側を「下流側」という。搬送方向において上流方向を「後方」といい、下流方向を「前方」というものとする。搬送方向に延在する中心線を想定した場合に、その中心線より遠い側を「外側」、近い側を「内側」というものとする。
【0025】
造型ラインMLは、図略の造型装置によって、水分、粘結材などが調整された鋳物砂を押圧することで上鋳型UMと下鋳型LMとを形成し、下鋳型LMに上鋳型UMを重ねて鋳型Mを造型する。造型ラインMLでは、転動するローラコンベヤ(図略)の上を下鋳型LMが形成される下鋳枠LCFおよび上鋳型UMが形成される上鋳枠UCFが搬送される。造型ラインMLと注湯ラインPLとは、枠合わせ移し替え装置FATDにより連絡されている。
【0026】
枠合わせ移し替え装置FATDは、下鋳型LMを上下反転させる鋳枠反転装置(図略)、下鋳型LMに上鋳型UMを重ねる枠合わせ装置(図略)、造型ラインMLより注湯ラインPLに重ね合わされた鋳型Mを注湯ラインPLに移し替える移し替え装置(図略)を備える。鋳枠反転装置、枠合わせ装置および移し替え装置は、それぞれ公知技術であるので説明を省略する。
【0027】
注湯ラインPLは、重ね合わされ並べられた複数の鋳型Mに、順に溶湯を注入する作業が行われる。
注湯ラインPLは、第一鋳型搬送装置MT1、第二実施形態で説明する第四台車位置決め装置1d、錘移し替え装置WT、注湯エリアPA、および台車位置決め装置1としての第一台車位置決め装置1aを備えている。
【0028】
(第一鋳型搬送装置)
第一鋳型搬送装置MT1は、第一搬送路TP1上に並べられた複数の台車2を上流側から下流側へ搬送する。
第一鋳型搬送装置MT1は、第一搬送路TP1と第一プッシャー装置(図略)と第一クッション装置CD1とを備えている。第一鋳型搬送装置MT1は、造型ラインMLで造型された鋳型Mを台車2に載せて注湯エリアPAまで搬送し、注湯エリアPAで注湯された注湯済み鋳型PMを、さらに冷却ラインCLに連絡する第一トラバーサT1まで搬送する。
【0029】
台車2は、鋳型Mを載置する矩形状の載置台21と載置台21の側面に搬送方向に直交する回転軸を有する4つの車輪22(回転自在)とを備えている。各車輪22の中心軸22aの延長部分であって、台車2の外側面には、それぞれ被係合部23が設けられている。被係合部23は、車輪22の中心軸22aに平行(本実施形態では同軸)な中心軸を有する円柱形状に形成され、搬送方向に直角な方向に向かって突設されている。その他の台車2の構成は、鋳型Mを載せて搬送するものとして公知技術であるので、説明を省略する。
【0030】
第一搬送路TP1は、図2に示すように、搬送方向に沿って設けられ床面BGから立ち上がる架台MOTと、架台MOT上に設けられ搬送方向に沿って平行に対に延在する搬送レールTR(軌道レール)とを備えている。搬送レールTRには、それぞれ鋳型Mが載置される複数の台車2が一列に並べられる。
【0031】
第一プッシャー装置(図略)は、第一搬送路TP1の上流側の端部に設けられ、第一搬送路TP1上に並べられた一番後方に位置する台車2を搬送方向に1ストローク(1つの台車2の搬送方向の長さ)ずつ押圧する。
【0032】
第一クッション装置CD1は、第一搬送路TP1の下流側の端部に設けられ、第一搬送路TP1上に並べられた台車2のうち一番前方に位置する台車2を受けるように働く。第一鋳型搬送装置MT1では、複数の台車2が自由に動くことないように第一クッション装置CD1と第一プッシャー装置とで挟持した状態で、搬送方向に搬送する。第一プッシャー装置および第一クッション装置CD1は、公知技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0033】
(錘移し替え装置)
錘移し替え装置WTは、第一搬送路TP1の注湯エリアPAの上流側位置(錘装着位置MP)および第二搬送路(後述)TP2の前記上流側位置に対応する下流側の位置(錘の離脱位置WP)に、両位置を連絡するように設けられている。錘Wは、鋳型Mに上方から被せられ、注湯時の内圧による鋳型Mの損傷破壊を防止するものである。錘移し替え装置WTは、公知技術であるので、説明を省略する。
【0034】
(注湯エリア)
注湯エリアPAは、金属を高温で溶かす溶解炉(図略)と溶けた金属の湯を鋳型に注入するトリベLとを備えている。溶解炉およびトリベLは公知技術であるため説明を省略する。
第一搬送路TP1の下流端部には、本願発明の実施形態に係る台車位置決め装置1である第一台車位置決め装置1aが設けられている。
【0035】
(第一台車位置決め装置)
第一台車位置決め装置1aは、例えば第一搬送路TP1の下流端に停止される台車2と第一トラバーサT1に搭載される台車2との間で隙間を設けるために位置調整のための位置決めを実施する。
第一台車位置決め装置1aは、図4に示すように、台座11、軸受け部12、回転アーム13、係合部(回転ローラ131)、および傾動駆動装置15を備えている。
【0036】
台座11は、例えば、鉄製で直方体形状に形成されている。台座11は、図5に示すように、架台MOTを構成し搬送レールTRを支持するレール支持部材RSMに固定されている。レール支持部材RSMは、例えば鉄製で搬送レールTRに沿って延在し断面矩形状に形成されている。台座11は、レール支持部材RSMの外側側面に例えばボルト・ナット等(図略)で組付けられている。台座11の上面には、軸受け部12が例えばボルト・ナット等(図略)で固定されている。
【0037】
軸受け部12は、台座11上に組付けられるブラケット部12aとブラケット部12aに一体に形成された軸受け12bとを備えている。軸受け12bの中心軸は、搬送方向に対して直角な方向に設けられている。
軸受け12bには、回転アーム13の後述する回転軸13aが回転自在に軸支されている。
【0038】
回転アーム13は、例えば鉄製で水平方向に延在する薄板の棒状に形成されている。回転アーム13の断面は、縦方向が長辺、搬送方向に直角な方向が短辺に形成されている。回転アーム13の基端部13be(他方の端部TTに相当)は、搬送方向および垂直方向に直径方向が延在する円盤状に形成され、円盤状の中心より回転中心となる回転軸13aが直角に外側に向かって突設されている。回転アーム13の先端側は、先端に向かって中央部よりも幅が狭くなるようにテーパが形成されている。
【0039】
回転アーム13の先端部13pe(一方の端部OTに相当)には、搬送方向に二つ並んでローラ回転軸131sが突設されている。ローラ回転軸131s(図6参照)は、それぞれ搬送方向に対して直角な内側方向に突設されている。各ローラ回転軸131sには、それぞれ回転ローラ131が回転自在に遊嵌されている。回転ローラ131は、例えば鉄製で、環状に形成されている。回転ローラ131はそれぞれ係合部に相当する。並んだ二つの回転ローラ131(係合部)の間には、被係合部23が挟持可能となっている。
【0040】
回転アーム13は、図7に示すように、回転アーム13が水平方向に沿って延在する水平位置HPと、水平位置HPから上方に先端部13peが回転して傾斜する傾斜位置TPとを有している。回転アーム13は、搬送方向および垂直方向に延在する仮想の垂直平面上で傾動する。回転アーム13は、水平位置HPにおいて係合部(回転ローラ131)が台車2の被係合部23に係合し、係合した際に係合部(回転ローラ131)と被係合部23との接触位置CPが、回転アーム13の回転軸13aの回転中心線13acと同一の水平面上で一致し(図4参照)、かつ、傾斜位置TPにおいて係合部(回転ローラ131)が被係合部23から離脱する(図7参照)。
【0041】
なお、係合部(回転ローラ131)が回転アーム13の先端部13pe(一方の端部OTに相当)に設けられているものとしたが、これに限定されない。回転軸13aから離れた位置にあって回転移動するものであればよく、例えば、回転軸13aと先端部13peとの間に設けてもよい。
また、回転アーム13の回転軸13aおよび先端部13peの中間部には、傾動駆動装置15の先端部が連結され、台座11には傾動駆動装置15の基端部が連結されている。
【0042】
(傾動駆動装置)
傾動駆動装置15は、エアシリンダで構成され、回転アーム13を水平に延在させる水平位置HPと水平位置HPから傾斜した傾斜位置TPとの間で傾動させる。
傾動駆動装置15は、図4に示すように、シリンダ部151、ピストンロッド152aを備えたピストン部152、エアポンプ153および電磁切替弁154を備えている。
【0043】
シリンダ部151は、台座11の搬送方向の側面にブラケットBRを介して固定されている。シリンダ部151は下端に下部連結部151dが設けられ、下部連結部151dは連結軸151sを介してブラケットBRの先端に連結されている。シリンダ部151は、上下方向に延在するが、連結軸151sによって搬送方向および垂直方向に延在する仮想の垂直平面内で傾動可能に連結されている。
【0044】
ピストンロッド152aは、シリンダ部151の上部より前進および後退するように設けられている。ピストンロッド152aの先端は、上部連結部152uが設けられ、上部連結部152uは回転アーム13の回転軸13aと先端部13peとの間の中間部に連結軸152sを介して連結されている。ピストンロッド152aが後退した下端位置にあるとき、回転アーム13は水平位置HPに延在し、ピストンロッド152aが前進した上昇端位置にあるとき回転アーム13は傾斜位置TPとなる(図7参照)。
【0045】
シリンダ部151は、エア送付パイプを介してエアポンプ153に連通されている。シリンダ部151とエアポンプ153との間には、電磁切替弁154が設けられている。電磁切替弁154は、ピストンロッド152aを前進させる前進位置FPと、ピストンロッド152aを後退させる後退位置BPとに切り替えられて位置決めされる。電磁切替弁154は、制御装置(図略)によって作動が制御される。
【0046】
エアポンプ153の圧力が停電等によって低減した場合には、回転アーム13およびピストンロッド152aの自重によって、回転アーム13が水平位置HPに位置決めされるように設定されている。
回転アーム13およびピストンロッド152aの自重によって、回転アーム13を水平位置HPに位置決めする構造は、エアポンプ153による駆動力が消滅した際に、回転アーム13を水平位置HPに維持する水平位置維持装置を構成する。
注湯ラインPLを搬送された注湯済み鋳型PMは、台車2に載置された状態でトラバーサT1により冷却ラインCLに連絡される。
【0047】
(トラバーサ)
トラバーサT1は、注湯済み鋳型PMが載置された台車2を載置する台車載置台T1aと搬送レールTRに直交する遷移レールT1bと台車載置台T1aを遷移レールT1b上で駆動させる駆動装置(図略)とを備えている。台車載置台T1aは、台車2を載置する載置レールT1cと側面に搬送方向に沿って延在する回転軸を有する4つの車輪T1dとを備えている。トラバーサT1は、公知技術であるため説明を省略する。
【0048】
(冷却ライン)
冷却ラインCLは、注湯され高温となった注湯済み鋳型PMを搬送しながら冷却する。
冷却ラインCLは、第二鋳型搬送装置MT2、第二台車位置決め装置1bおよび第三台車位置決め装置1cを備える。冷却ラインCLは、図略の型バラシ装置まで注湯済み鋳型PMを搬送する。型バラシ装置では、冷却された注湯済み鋳型PMから鋳造品を取り出す作業が行われる。また、注湯済み鋳型PMが台車2から取り除かれ、台車2は第二トラーバーサ(図略)まで搬送される。
【0049】
(第二鋳型搬送装置)
第二鋳型搬送装置MT2は、第二搬送路TP2と第二プッシャー装置PD2と第二クッション装置(図略)とを備えている。
第二鋳型搬送装置MT2は、第一鋳型搬送装置MT1とは逆方向に注湯済み鋳型PMが載置された台車2を搬送するものである。第二搬送路TP2、第二プッシャー装置PD2、および第二クッション装置の構成は、第一鋳型搬送装置MT1におけるそれぞれ対応する第一搬送路TP1,第一プッシャー装置および第一クッション装置CD1と同様なので説明を省略する。
【0050】
(第二トラバーサ)
第二トラバーサ(図略)は、第二搬送路TR2の下流端と第一搬送路の上流端とを連絡する。第二トラバーサは、注湯済み鋳型PMが取り除かれた台車2を第一トラバーサT1とは逆方向に搬送するもので、その構成は第一トラバーサT1と同様なので、説明を省略する。
【0051】
第一搬送路TP1、第一トラバーサT1、第二搬送路TP2および第二トラバーサに沿って台車2を搬送することで、台車2を循環させ、同じ台車2を繰り返し使用できるようになっている。
【0052】
(第二台車位置決め装置・第三台車位置決め装置)
第二台車位置決め装置1bは、冷却ラインCLの上流端に停止された台車2の位置決めを行う。冷却ラインの上流端位置UEPに置かれる台車2は、第一トラバーサT1で搬送される台車との間に隙間を形成するように、正確な位置決めが行われる。
【0053】
第三台車位置決め装置1cは、錘移し替え装置WTの錘Wの離脱位置WPに停止された台車2の位置決めを行う。離脱位置WPでは錘を確実に採取するため、正確な位置決めが必要である。
第二および第三の台車位置決め装置1b,1cは、第一台車位置決め装置1aと構成が同様であるため、説明を省略する。
【0054】
(制御装置)
制御装置は、第一台車位置決め装置1a、第二台車位置決め装置1bおよび第三台車位置決め装置1cにおける傾動駆動装置15の駆動、第一プッシャー装置、第二プッシャー装置PD2、第一クッション装置CD1および第二クッション装置の作動を制御する。
【0055】
(作動)
次に、上記のように構成された台車位置決め装置1の作動について説明する。
第二・第三台車位置決め装置1b,1cは、第一台車位置決め装置1aと構成が同様であるので、第一台車位置決め装置1aで代表して作動を説明する。
【0056】
まず、制御装置は、傾動駆動装置15の電磁切替弁154を前進位置FPに切り替え、第一台車位置決め装置1aの回転アーム13を傾斜位置TPに位置決めする。
次に、制御装置は、第一プッシャー装置(図略)を駆動させて、第二トラバーサ(図略)の搬入位置より第一搬送路TP1の上流端位置(図略)に搬入し、第一搬送路TP1に並べられた複数の台車2を同時に1ピッチ分だけ下流側へ移動する。その際に、制御装置は、並べられた複数の台車2の下流側の端に位置する台車2は、第一クッション装置CD1に当接させる。そして、制御装置は、第一プッシャー装置と第一クッション装置CD1との間に複数の並べられた台車2を挟持して移動させる。制御装置は、下流側の端に位置する台車2を、第一搬送路TP1の下流端位置DEPに停止させる。
【0057】
次に、制御装置は、電磁切替弁154を後退位置BPに位置決めし、回転アーム13を水平位置HPに位置決めする。下流端位置DEPに停止した台車2の位置がずれていても、二つの回転ローラ131が被係合部23をガイドできる範囲で、正確な位置に台車2を位置決めすることができる。回転ローラ131の直径が10cmである場合、被係合部23との接触位置CPが回転ローラ131の頂部を、係合する方向に例えば2.5cm超える位置となった場合のずれを1つの回転ローラ131で調整することができる。本実施形態では、二つの回転ローラ131により、搬送方向および搬送方向の逆方向に5cmの調整が可能となる。
【0058】
これによって、下流端位置DEPに位置決めされる台車2の位置を下流側に詰めたり、上流側に戻したりして、第一トラバーサT1で搬送する台車2との間に必要な隙間を形成して、迅速かつ安全な搬送の継続を確保することができる。
【0059】
また、係合部(回転ローラ131)と被係合部23との接触点CPは、回転アーム13の回転軸13aの回転中心線13acと同じ水平面に一致している。そのため、係合部(回転ローラ131)と被係合部23間で生じる搬送方向の力は、回転アーム13の回転力に影響を与えることがない。さらに、例えば傾動駆動装置15の駆動力が消失した場合においても、第一台車位置決め装置1aは、水平位置維持装置(回転アーム13およびピストンロッド152aの自重)によって係合状態が維持され、下流端位置DEPから台車が移動するという不慮の状態を未然に防止することができる。
【0060】
上記の記載で明らかなように、本実施形態の台車位置決め装置1は、搬送路TP1,TP2に沿って搬送される台車2を所定の位置(下流端位置DEP,上流端位置UEP)で位置決めをする台車位置決め装置である。
【0061】
そして、台車2に設けられた被係合部23と、搬送路TP1,TP2に対して固定された軸受け部12と、軸受け部12に回転中心となる回転軸13aが軸支され、搬送路TP1,TP2に沿った搬送方向および垂直方向に延在する平面内において、水平方向に延在するように位置決めされる水平位置HPと水平位置HPから傾斜した傾斜位置TPとの間で傾動する回転アーム13と、回転アーム13を傾動させる傾動駆動装置15と、回転アーム13の先端部に設けられ被係合部23に搬送方向から係合する係合部(回転ローラ131)と、を備えている。
【0062】
そして、回転アーム13は、水平位置HPにおいて係合部(回転ローラ131)が被係合部23に係合し、係合した際に係合部(回転ローラ131)と被係合部23との接触位置CPが、回転アーム13の回転軸13aの回転中心線13acと同一の水平面上で一致し、かつ、傾斜位置TPにおいて係合部(回転ローラ131)が被係合部23から離脱する。
【0063】
これによれば、係合部(回転ローラ131)と被係合部23とが係合すると、係合部(回転ローラ131)と被係合部23との接触位置CPが、回転アーム13の回転軸13aの回転中心線と同一の水平面上で一致するため、台車2による搬送方向の力が、回転アーム13の回転方向の力成分を生じない。そのため、位置決めされた台車2に何らかの搬送方向の力が加わった場合でも、被係合部23から係合部(回転ローラ131)が離脱することなく台車2を所定位置で位置決めし続けることができる。
【0064】
また、係合部(回転ローラ131)は、回転アーム13が水平位置HPにあるときに、被係合部23を搬送方向および搬送方向の逆方向から挟持可能な二か所の位置に設けられている。
これによれば、台車2の被係合部23を回転アーム13の係合部(回転ローラ131)で挟持し、台車2の搬送方向および搬送方向の逆方向から台車を確実に位置決めすることができる。
【0065】
また、係合部は、回転ローラ131である。
これによれば、係合時に被係合部23に対する係合部(回転ローラ131)の係合位置がずれていても、被係合部23と係合部(回転ローラ131)との接触位置CPが、回転ローラ131の外周の頂部を係合する方向に超えることで、円滑にガイドされて係合することができる。
【0066】
また、回転アーム13は、傾動駆動装置15の駆動力が消滅した際に、回転アーム13を水平位置HPに維持する水平位置維持装置(回転アーム13およびピストンロッド152aの自重)を備える。
これによれば、傾動駆動装置15の駆動力が消滅した場合でも、係合部(回転ローラ131)と被係合部23とを係合状態で維持するので、台車2の予定しない動きを抑制して安全性を向上させることができる。
【0067】
また、回転アーム13は、一方の端部OTに係合部(回転ローラ131)が設けられ、他方の端部TTに回転軸13aが設けられている。
これによれば、簡素な構造でコンパクトな台車位置決め装置とすることができる。
また、被係合部23は、台車2の車軸と平行に中心軸が設けられた円柱形状の部材である。
被係合部23が円柱形状の部材であることにより、円弧状の外周面に沿って滑らかに係合部(回転ローラ131)と係合することができる。
【0068】
また、台車2に設けられた被係合部23と、被係合部23に係合して台車2を位置決めする係合部(回転ローラ131)と、を備え、第一・第二搬送路TP1,TP2に沿って搬送される台車2を所定の位置で位置決めをする台車位置決め装置1による台車位置決め方法である。
【0069】
そして、第一・第二搬送路TP1,TP2に対して設けられた回転軸13aに回転可能に軸支された回転アーム13に係合部(回転ローラ131)が設けられ、台車2の位置決め時において、係合部(回転ローラ131)、被係合部23および回転軸13aは第一・第二搬送路TP1,TP2の搬送方向に平行となる。
【0070】
これによれば、台車2の位置決め時において、係合部(回転ローラ131)、被係合部23および回転軸13aは、第一・第二搬送路TP1,TP2の搬送方向に平行となるため、係合部(回転ローラ131)と被係合部23との接触位置CPが、回転アーム13の回転軸13aの回転中心線13acとが、同一の水平面上で一致する。そのため、台車2による搬送方向の力によって、回転アーム13の回転方向の力成分が生じない。その結果、位置決めされた台車2に何らかの搬送方向の力が加わった場合でも、被係合部23から係合部(回転ローラ131)が離脱することなく台車2を所定位置で位置決めし続けることができる。
【0071】
また、台車の位置決め時に、係合部(回転ローラ131)は、被係合部23を搬送方向と平行に挟む。
これによれば、台車2の被係合部23を回転アーム13の係合部(回転ローラ131)で搬送方向に平行に挟持するので、台車2の搬送方向および搬送方向の逆方向から台車2を確実に位置決めすることができる。
【0072】
(第二実施形態)
次に、本発明に係る台車位置決め装置を、鋳造ラインに実施した第二実施形態について、図8図10を参照して以下に説明する。
第二実施形態の台車位置決め装置101は、第一搬送路TP1の二か所の位置において同時に台車2の位置決めをする。
第二実施形態における第四台車位置決め装置1d(101)は、注湯ラインPLの第一搬送路TP1に並べられた台車2のうち、造型ラインMLから注湯ラインPLへの搬入位置CIPに置かれた台車2と、錘移し替え装置WTDの錘Wの装着位置MPに置かれた台車2と、搬入位置CIPと装着位置MPと間に置かれた台車2との位置決めを行う。
【0073】
第二実施形態の回転アーム113は、複数(本実施形態では三台)の台車2の造型ラインMLから注湯ラインPLへの搬入位置CIPに置かれた台車2の下流側の被係合部23と、一つ台車2を置いて、錘移し替え装置WTDの錘Wの装着位置MPに置かれた台車2の上流側の被係合部23間に跨る長さに形成されている。回転アーム113の両端部に係合部である回転ローラ131がそれぞれ二つずつ組みとなって設けられている。回転アーム113の回転軸113aが両端部に設けられた係合部(回転ローラ131)の二つの組の間即ち回転アーム113の中央部に設けられている。
【0074】
傾動駆動装置15は、一方の端部OTと回転軸113aとの間に一つ設けられている。
傾動駆動装置15と回転軸113aとの間にはコイルばねSが設けられ、コイルばねSによって回転アーム113が水平位置HPとなる方向に付勢されている。コイルばねSは、弾性部材に相当するとともに水平位置維持装置を構成する。本実施形態において弾性部材をコイルばねSとしたが、これに限定されない。回転アームに一方向の付勢力を与えるものであればよく、例えば、ゴム部材、渦巻きばねなどでもよい。
【0075】
その他の構成は、第一実施形態における台車位置決め装置1と同様であるので、説明を省略する。
第二実施形態の台車位置決め装置101によれば、一つの回転アーム113により三台の台車2の位置決めを同時に行うことができる。
また、回転アーム113は、複数の前記台車2の被係合部23のうちの対応する二つの被係合部23間に跨る長さに形成されているとともに、両端部にそれぞれ係合部(回転ローラ131)が設けられ、回転軸113aが両端部に設けられた係合部(回転ローラ131)の間に設けられている。複数の前記台車2の被係合部23のうちの対応する二つの被係合部23間に跨る長さとは、例えば、搬入位置CIPに位置決めされた台車の下流側の被係合部23と、装着位置MPに位置決めされた台車2の上流側の被係合部23との間の長さをいい、回転アーム113の両端の係合部(回転ローラ131)がそれぞれ被係合部23に係合できる長さである。
これによれば、一つの回転アーム113により複数の台車2の位置決めを行うことができる。位置決めできる複数の台車2は、三台に限定されず、例えば二台、四台以上でもよい。
【0076】
(第三実施形態)
次に、本発明に係る台車位置決め装置を、鋳造ラインに実施した第三実施形態について、図11図14を参照して以下に説明する。
第三実施形態の台車位置決め装置201において、回転アーム213は、図11に示すように、一方の先部OTには係合部(回転ローラ131)が設けられ、他方の端部TTは傾動装置15に連結されている。一方の端部OTと他方の端部TTとの間には、回転軸213aが設けられ、回転軸213と一方の端部OTとの間にはコイルばねSが設けられている。
【0077】
回転アーム213は、図12に示すように、回転アーム213が水平方向に延在する水平位置HPと、水平位置HPより一方の端部OTが上方に回転して傾斜する傾斜位置TPとの間で傾動する。
その他の構成は、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0078】
以下に、相違点について詳述する。
回転アーム213は、例えば鉄製で水平方向に延在する薄板の棒状に形成されている。回転アーム213は、一方の端部OTには係合部(回転ローラ131)が設けられ、他方の端部TTは傾動装置15に連結されている。一方の端部OTと他方の端部TTとの間には、回転軸213aが設けられ、回転軸213aと一方の端部OTとの間にはコイルばねSが設けられている。
【0079】
なお、コイルばねSは、回転軸213aと一方の端部OTとの間に設けることに限定されない。例えば、図13に示すように、回転軸213aと他方の端部TTとの間に設けてもよい。この場合、回転アーム213は、図14に示すように、回転アーム213が水平方向に延在する水平位置HPと、水平位置HPより一方の端部OTが下方に回転して傾斜する傾斜位置TPとの間で傾動する。
【0080】
また、上記のように、回転アーム213は、一方の端部OTに前記係合部(回転ローラ131)が設けられるとともに他方の端部TTに前記傾動駆動装置15が連結され、回転軸213aが一方の端部OTと他方の端部TTとの間に設けられ、水平位置HPを維持する方向に付勢する水平位置維持装置としての弾性部材(コイルばねS)が他方の端部TTと回転軸213aとの間に設けられている。
これによれば、一方の端部OTを下方に傾動させる台車位置決め装置201を簡素な構造で実現させることができる。
【0081】
(第四実施形態)
次に、本発明に係る台車位置決め装置を、鋳造ラインに実施した第四実施形態について、図15図16を参照して以下に説明する。
第四実施形態の台車位置決め装置301は、被係合部323が台車2の底部に設けられ、被係合部323は下方に向かって突設されている。
【0082】
被係合部323は、例えば鉄製の搬送法に直角な方向の厚みが薄い短冊状に形成され、上端部が台車2の底部の中央に組付けられている。被係合部323の上部は、上方に向かって搬送方向の幅が徐々に拡大するよう形成されている。
【0083】
回転アーム313は、台座311が対向する二本のレール支持部材RSMの間に固定され、台座311の上面に軸受け部12が固定されている。台座311は、例えば図略のブラケットを介してボルト等で固定されている。回転アーム313の一方の端部OTには係合部(回転ローラ131)が設けられ、他方の端部TTには傾動駆動装置15に連結されている。一方の端部OTと他方の端部TTとの間には、回転軸313aが設けられ、回転軸313aと他方の端部TTとの間にはコイルばねSが設けられている。
【0084】
回転アーム313は、図16に示すように、回転アーム313が水平方向に延在する水平位置HPと、水平位置HPより一方の端部が下方に回転して傾斜する傾斜位置TPとの間で傾動する。係合部(回転ローラ131)は、台車2の底面に組付けられた被係合部323に係合する。これらの点において第一実施形態と構成が相違する。その他の構成は第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0085】
上記のように、被係合部323は、台車2の底部に下方に向かって突設されている。
これによれば、係合部(回転ローラ131)および被係合部323を台車2の下方に収納した省スペースの設計を行うことができる。
【0086】
なお、本実施形態において、回転アーム13の係合部を、回転ローラ131としたが、これに限定されない。係合動作において位置のずれた被係合部23を正しい位置にガイドするものであればよく、例えば、開口部が先端に行くほど広がるU字形の部材でもよい。
【0087】
また、係合部(回転ローラ131)は、被係合部23が挟持可能な二つの係合部としたが、これに限定されない。例えば、搬送路の上流端位置においては、上流側から被係合部に係合する一つの係合部でよい。
また、一つずつ設けられた係合部が向かい合う二つの回転アームを搬送方向に並べ、一つの被係合部23の搬送方向の前後の側面に当接するようにして係合してもよい。
【0088】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0089】
1:台車位置決め装置、1a:第一台車位置決め装置、1b:第二台車位置決め装置、1c:第三台車位置決め装置、1d:第四台車位置決め装置、12:軸受け部、13:回転アーム、131:回転ローラ(係合部)、13a:回転軸、13ac:回転中心線、15:傾動駆動装置、2:台車、23:被係合部、201:台車位置決め装置、213:回転アーム、213a:回転軸、301:台車位置決め装置、313:回転アーム、313a:回転軸、CIP:搬入位置、CP:接触位置、DEP:下流端位置(所定位置)、HP:水平位置、MP:装着位置(所定位置)、OT:一方の端部、S:コイルばね(水平位置維持装置)、TP:傾斜位置、TP1:第一搬送路(搬送路)、TP2:第二搬送路(搬送路)、TT:他方の端部、UEP:上流端位置(所定位置)、WP:離脱位置(所定位置)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16