(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145301
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】金融取引システム及び金融取引方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20220926BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046653
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】永浴 竜次
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB08
(57)【要約】
【課題】一括振込を行うユーザの作業負担を軽減することができるシステムを提供すること。
【解決手段】金融取引システムは、振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信し、前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成する。前記正誤判定結果に基づいて自動的に振込指示を生成してもよい。前記申請よりも後に前記ユーザから振込要求を受けることなく、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信し、
前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、
前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成する金融取引システム。
【請求項2】
前記正誤判定結果に基づいて自動的に振込指示を生成する、請求項1に記載の金融取引システム。
【請求項3】
前記申請よりも後に、前記申請を送信したユーザから振込要求を受けることなく、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成する、請求項1に記載の金融取引システム。
【請求項4】
振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信し、
前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、
前記正誤判定結果を提供する金融取引システム。
【請求項5】
前記正誤判定結果は、前記申請を送信したユーザに提供される、請求項4に記載の金融取引システム。
【請求項6】
前記振込の申請は、前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対が複数指定された一括振込の申請である、請求項4又は5に記載の金融取引システム。
【請求項7】
前記申請を受信した金融機関とは異なる金融機関に対する口座確認を行う一括口座確認システムから送信された前記正誤判定結果を取得する、請求項1乃至6のいずれか一に記載の金融取引システム。
【請求項8】
前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込が完了したことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行う、請求項1乃至7のいずれか一に記載の金融取引システム。
【請求項9】
前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込ができなかったことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行う、請求項1乃至8のいずれか一に記載の金融取引システム。
【請求項10】
1つの前記振込先口座番号に対して複数の前記振込先口座名義が指定された前記申請を受信し、
前記複数の前記振込先口座名義のうち、前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しいと判定された前記振込先口座名義に対して振込指示を生成する、請求項1乃至9のいずれか一に記載の金融取引システム。
【請求項11】
前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しい、及び/又は、誤っていると判定された前記振込先口座名義に関する情報を、前記申請を送信したユーザに提供する、請求項10に記載の金融取引システム。
【請求項12】
振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信し、
前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、
前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成する金融取引方法。
【請求項13】
前記正誤判定結果に基づいて自動的に振込指示を生成する、請求項12に記載の金融取引方法。
【請求項14】
前記申請よりも後に、前記申請を送信したユーザから振込要求を受けることなく、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成する、請求項12に記載の金融取引方法。
【請求項15】
振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信し、
前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、
前記正誤判定結果を提供する金融取引方法。
【請求項16】
前記正誤判定結果は、前記申請を送信したユーザに提供される、請求項15に記載の金融取引方法。
【請求項17】
前記振込の申請は、前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対が複数指定された一括振込の申請である、請求項15又は16に記載の金融取引方法。
【請求項18】
前記申請を受信した金融機関とは異なる金融機関に対する口座確認を行う一括口座確認システムから送信された前記正誤判定結果を取得する、請求項12乃至17のいずれか一に記載の金融取引方法。
【請求項19】
前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込が完了したことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行う、請求項12乃至18のいずれか一に記載の金融取引方法。
【請求項20】
前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込ができなかったことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行う、請求項12乃至19のいずれか一に記載の金融取引方法。
【請求項21】
1つの前記振込先口座番号に対して複数の前記振込先口座名義が指定された前記申請を受信し、
前記複数の前記振込先口座名義のうち、前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しいと判定された前記振込先口座名義に対して振込指示を生成する、請求項12乃至20のいずれか一に記載の金融取引方法。
【請求項22】
前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しい、及び/又は、誤っていると判定された前記振込先口座名義に関する情報を、前記申請を送信したユーザに提供する、請求項21に記載の金融取引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金融取引システム及び金融取引方法に関する。特に、本発明は、一括振込を行う金融取引システム及び金融取引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、統合ATMシステムを利用した金融取引システムが普及している。ユーザは、統合ATMシステムを利用して、ATMやインターネットバンキングを介してある銀行の預金口座から他行の預金口座へと資金を振り込むことができる(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1及び2に示すように、統合ATMシステムは、振込先口座番号に応じて振込先口座の受取人名を返信する受取人口座確認機能が備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6689442号公報
【特許文献2】特許第6783406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に示すような統合ATMシステムを利用した金融取引システムでは、振込先の口座番号や口座名義に不備があっても振込処理を実行してしまっていたため、当該不備があった場合には振込済み資金の返却(組戻し)を行う必要があった。そのため、ユーザが一括振込を行う場合、上記のような不備を避けるために入念なチェックが必要であり、一括振込におけるユーザへの負担が大きかった。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、一括振込を行うユーザの作業負担を軽減することができるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る金融取引システムは、振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信し、前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成する。
【0007】
本発明の一実施形態に係る金融取引システムは、振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信し、前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、前記正誤判定結果を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態に係る金融取引方法は、振込先口座番号及び振込先口座名義の対が複数指定された一括振込の申請をユーザから受信し、前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成する。
【0009】
本発明の一実施形態に係る金融取引方法は、振込先口座番号及び振込先口座名義の対が複数指定された一括振込の申請をユーザから受信し、前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、前記正誤判定結果を提供する。
【0010】
前記正誤判定結果に基づいて自動的に振込指示を生成してもよい。
【0011】
前記申請よりも後に、前記申請を送信したユーザから振込要求を受けることなく、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成してもよい。
【0012】
前記正誤判定結果は、前記申請を送信したユーザに提供されてもよい。
【0013】
前記振込の申請は、前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対が複数指定された一括振込の申請であってもよい。
【0014】
前記申請を受信した金融機関とは異なる金融機関に対する口座確認を行う一括口座確認システムから送信された前記正誤判定結果を取得してもよい。
【0015】
前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込が完了したことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行ってもよい。
【0016】
前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込ができなかったことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行ってもよい。
【0017】
1つの前記振込先口座番号に対して複数の前記振込先口座名義が指定された前記申請を受信し、前記複数の前記振込先口座名義のうち、前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しいと判定された前記振込先口座名義に対して振込指示を生成してもよい。
【0018】
前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しい、及び/又は、誤っていると判定された前記振込先口座名義に関する情報を、前記申請を送信したユーザに提供してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によれば、一括振込を行うユーザの作業負担を軽減することができるシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る金融取引システムの概要を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る金融取引システムに用いられる第1金融機関の機能構成を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、振込処理の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、一括振込の申請においてユーザから受信するリストの一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、正誤判定結果が追加されたリストの一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、正誤判定結果が追加されたリストの一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、振込結果が追加されたリストの一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、一括振込の申請においてユーザから受信するリストの一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、正誤判定結果が追加されたリストの一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、正誤判定結果が追加されたリストの一例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る金融取引システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における金融取引システム、並びに、当該システムに用いられるプログラム及び情報処理装置について説明する。但し、本発明の一実施形態における金融取引システムは多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号又は同一の符号の後にアルファベットを付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
以下の実施形態では、「一括振込」とは、例えば総合振込又は給与賞与振込のように、一度の振込申請で複数件の振込処理に対する申請を行う振込形式を意味する。
【0023】
「一括口座確認システム」とは、ある金融機関と他の金融機関との間に設けられたシステムであり、ある金融機関から受信した振込先の口座照会要求に基づいて他の金融機関に対して口座の正誤判定を要求する。例えば、当該口座照会要求に含まれる振込先の口座番号(振込先口座番号)及び口座名義(振込先口座名義)を他の金融機関に送信し、当該振込先口座番号及び振込先口座名義の対について正誤を判定するよう要求する。一括口座確認システムは、上記の他の金融機関から、判定対象の正誤に関する情報を受信し、上記の口座照会要求を送信した金融機関に対して当該正誤に関する情報を送信する。
【0024】
「全銀システム」とは、全国銀行データ通信システムであり、全銀ネットによって金融機関間の金融取引をオンラインかつリアルタイムで中継するとともに、取引に伴う資金決済を行うための金融機関間のネットワークシステムである。
【0025】
なお、特に技術的な矛盾が生じない限り、異なる実施形態間の技術を組み合わせることができる。
【0026】
〈第1実施形態〉
図1~
図7を用いて、本発明の第1実施形態に係る金融取引システム10について説明する。金融取引システム10では、ユーザ(ユーザ端末20)から一括振込の申請を受信した金融機関(第1金融機関100)が、一括口座確認システム200を介して当該一括振込に含まれる他の金融機関(第2金融機関30)の振込先口座番号及び振込先口座名義の対について正誤判定を要求し、その正誤判定の結果に応じて振込指示を生成する。
【0027】
[金融取引システム10の概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムの概要を示す図である。
図1に示すように、本発明に係る金融取引システム10は、一括振込の申請をユーザ端末20から受信する。なお、上記の通り、一括振込では、複数の振込処理が指定されている。つまり、一括振込では、振込先口座番号及び振込先口座名義の対が複数指定されている。金融取引システム10は、一括振込において指定されている各々の振込処理について、振込先口座番号及び振込先口座名義について正誤判定を行う。
【0028】
個々の振込処理において指定された振込元の口座及び振込先の口座の両方が金融取引システム10に含まれる第1金融機関100に属する口座である場合、第1金融機関100内で振込先口座番号及び振込先口座名義について正誤判定を行うことができる。一方、個々の振込処理において指定された振込元の口座が第1金融機関100に属し、振込先の口座が第1金融機関100とは異なる第2金融機関30に属する場合、金融取引システム10は、一括振込の申請に含まれる振込先口座番号及び振込先口座名義について、第2金融機関30に対して正誤判定を要求する。
【0029】
上記の要求に対して、金融取引システム10が第2金融機関30から、振込先口座番号及び振込先口座名義の対が「正しい」、又は当該対が「誤り」という正誤判定結果を受信する。第1金融機関100は、一括口座確認システム200を介して第2金融機関30から「正しい」という当該正誤判定結果を受信すると、当該正誤判定結果に基づいて振込指示を生成する。そして、第1金融機関100が生成した振込指示を全銀システム300に送信することで、当該振込指示に基づく振込処理が行われる。一方、第1金融機関100は、一括口座確認システム200を介して第2金融機関30から「誤り」という当該正誤判定結果を受信すると、当該正誤判定結果をユーザ端末20に提供する。なお、第1金融機関100が第2金融機関30から「正しい」という当該正誤判定結果を受信した場合に、当該正誤判定結果をユーザ端末20に提供してもよい。
【0030】
なお、第2金融機関30は、第1金融機関100以外の金融機関であり、複数存在する。複数の第2金融機関30のいずれかが第1金融機関100と入れ替わる場合がある。本実施形態では、上記の一括振込によって、第1金融機関100の口座から第2金融機関30の口座に振込が行われる。
【0031】
ここで、第1金融機関100は上記の正誤判定結果に基づいて自動的に振込指示を生成することができる。又は、本実施形態に係る金融取引システム10では、第1金融機関100は、上記の正誤判定結果をユーザに提供しつつ、当該ユーザに振込指示を作成させる代わりに、振込指示を生成する。換言すると、金融取引システム10では、ユーザが一括振込の申請を行うだけで、当該一括振込の申請に含まれる振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しければ、その後のユーザの振込要求を受けることなく振込指示が生成され、振込処理が行われる。
【0032】
図1に示すように、金融取引システム10は、第1金融機関100、一括口座確認システム200、及び全銀システム300を含む。
【0033】
第1金融機関100はユーザ端末20から一括振込の申請を受信する金融機関である。第1金融機関100は、ユーザ端末20から一括振込の申請を受信すると、当該一括振込の申請に含まれる振込先口座番号及び振込先口座名義の対についての正誤判定を一括口座確認システム200に要求する。また、第1金融機関100は、一括口座確認システム200から受信した正誤判定結果に基づいて振込指示を生成し、全銀システム300に対して振込指示を送信する(振込の実行を要求する)。
【0034】
一括口座確認システム200は、第1金融機関100から上記の正誤判定の要求を受信すると、正誤判定を行う対象の口座が属する第2金融機関30に対して当該正誤判定を要求する。一括口座確認システム200は、各第2金融機関30から正誤判定結果を受信すると、当該正誤判定結果を第1金融機関100に送信する。
【0035】
全銀システム300は、第1金融機関100から受信した振込指示に応じて、第1金融機関100の口座から第2金融機関30の口座に振込処理を実行する。
【0036】
第1金融機関100、一括口座確認システム200、及び全銀システム300の各々は、例えばサーバなどの情報処理装置を備えている。第1金融機関100、一括口座確認システム200、及び全銀システム300の各々の各種機能は、これらの情報処理装置に備えられた中央演算処理装置(CPU)及び記憶装置(メモリ)が協働することによって実現される。具体的には、メモリに格納されたプログラムをCPUが実行することで、第1金融機関100、一括口座確認システム200、及び全銀システム300の各々の各種機能が実現される。当該メモリは一時的な記憶を行う揮発性のメモリであってもよく、不揮発性のメモリであってもよく、これらのメモリを組み合わせたものであってもよい。
【0037】
[第1金融機関100の機能構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムに用いられる第1金融機関の機能構成を示す概略図である。
図2に示すように、第1金融機関100は、第1受信部110、送信部120、第2受信部130、振込指示生成部140、及び結果提供部150を有する。これらの機能部は互いに通信可能に接続されている。
【0038】
第1受信部110は、ユーザ端末20から一括振込の申請を受信する。例えば、第1受信部110はユーザ端末20から、振込先の口座照会情報(金融機関コード、店番号、口座番号、口座種別、及び口座名義)を受信する。ただし、第1受信部110が受信する口座照会情報は上記に限定されない。上記の情報のうち一部だけを受信してもよく、上記の情報に加えて又は代わりに他の情報を受信してもよい。なお、第1受信部110がユーザ端末20から受信した口座照会情報に含まれる各項目の情報は、互いに関連付けられて第1金融機関100の記憶装置に記憶される。
【0039】
送信部120は、対象の口座に対する正誤判定要求とともに第1受信部110が受信した一括振込の申請に含まれる口座照会情報を一括口座確認システム200に送信する。送信部120は、当該一括振込の申請に含まれる全ての口座照会情報を送信してもよく、当該一括振込の申請に含まれる口座照会情報のうち、一括口座確認システム200に要求される一部の情報だけを抽出して送信してもよい。送信部120が一括口座確認システム200に送信する情報を正誤判定用情報という場合がある。
【0040】
第2受信部130は、一括口座確認システム200から正誤判定結果を受信する。一括口座確認システム200は、いずれかの第2金融機関30から受信した正誤判定結果を、送信部120によって送信された正誤判定用情報又は当該正誤判定用情報の識別子とともに第1金融機関100に送信する。第1金融機関100は、第2受信部130が受信した正誤判定用情報又は識別子に基づいて対象口座を特定し、第1金融機関100の記憶装置において互いに関連付けて記憶された対象口座の各種情報に対して正誤判定結果を追加で記憶する。
【0041】
振込指示生成部140は、第2受信部130によって受信された正誤判定結果に基づいて、正しいと判定された対象口座に対して振込指示を生成する。なお、振込指示生成部140は、当該正誤判定結果に基づいて自動的に振込指示を生成する。つまり、振込指示生成部140は、ユーザからの一括振込の申請よりも後の追加の指示を受けることなく振込指示を生成する。
【0042】
結果提供部150は、第2受信部130によって受信された正誤判定結果をユーザ端末20に提供する。また、結果提供部150は、振込指示生成部140によって生成された振込指示、及び当該振込指示に基づく振込処理の成否をユーザ端末20に提供してもよい。例えば、結果提供部150は、正誤判定結果のうち、少なくとも振込先口座番号及び振込先口座名義の対が「誤り」であるという結果とともに、当該正誤判定結果に基づく振込が完了したことをユーザ端末20に提供してもよい。このような振込が完了したという情報は、「正しい」という正誤判定結果とともに、又はその代わりにユーザ端末20に提供されてもよい。つまり、ユーザ端末20には、「誤り」という正誤判定結果又は振込が完了したという情報が提供される。
【0043】
なお、正誤判定結果において振込先口座番号及び振込先口座名義の対が「正しい」と判定された場合、通常であれば振込ができるはずである。しかし、口座情報が変更されるタイミングによっては、正誤判定結果において「正しい」と判定されたにも拘わらず、振込ができない場合があり得る。このような場合、上記の振込が完了したという情報の代わりに振込ができなかったという情報をユーザ端末20に提供してもよい。つまり、ユーザ端末20には、「誤り」という正誤判定結果、又は、振込が完了したという情報若しくは振込ができなかったという情報が提供される。
【0044】
なお、本実施形態では、金融取引システム10が一括振込の申請を扱う構成について例示したが、金融取引システム10によって扱われる振込は一括振込に限定されない。つまり、金融取引システム10が一度の振込申請で一件の振込処理に対する申請を行う振込形式に適用されてもよい。また、本実施形態では、第1金融機関100がユーザ端末20から振込の申請を受信する構成を例示したが、この構成に限定されない。第1金融機関100がユーザ端末20以外の通信機器から振込の申請を取得してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、第1金融機関100が「正しい」という正誤判定結果を受信した場合に、自動的に振込指示を生成する構成を例示したが、この構成に限定されない。第1金融機関100は、正誤判定結果(「正しい」又は「誤り」)に拘わらず一度ユーザに当該結果を提供し、当該結果を確認したユーザによって振込指示が生成された場合に、ユーザからの振込指示に従って振込処理を実行してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、第1金融機関100が一括口座確認システム200から正誤判定結果を受信する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、一括口座確認システム200に備えられた正誤判定機能が第1金融機関100の機能部(正誤判定部)に備えられている場合、第1金融機関100の内部において正誤判定結果が生成される。このように正誤判定結果が生成される構成と、本実施形態のように正誤判定結果を受信する構成とを併せて、金融取引システム10が正誤判定結果を「取得する」と表現する。
【0047】
[正誤判定]
本実施形態において行われる正誤判定について説明する。
【0048】
[振込先口座番号が存在しない場合]
一括口座確認システム200が第1金融機関100から正誤判定要求を受信すると、一括口座確認システム200は、正誤判定要求において指定された第2金融機関30に対して、正誤判定を行う対象の振込先口座番号の存否を確認する。指定された第2金融機関30に当該振込先口座番号が存在しなければ、当該第2金融機関30は一括口座確認システム200に対して当該口座番号が存在しないことを通知する。当該通知に基づいて一括口座確認システム200は、「誤り」という正誤判定結果を生成する。
【0049】
[振込先口座番号は存在するが、当該口座番号と振込先口座名義の対が存在しない場合]
上記の例とは異なり、第2金融機関30において、正誤判定を行う対象の振込先口座番号は存在するが、その口座番号に関連付けられた振込先口座名義が正誤判定要求に含まれる振込先口座名義とは異なる場合がある。この場合、第2金融機関30は一括口座確認システム200に対して、対象の振込先口座番号が存在すること、及び当該口座番号に関連付けられた(つまり当該口座番号と対をなす)振込先口座名義を通知する。一括口座確認システム200は、第2金融機関30から通知された振込先口座名義が正誤判定要求に含まれる振込先口座名義と同一の名義人を指すか否かを判断する。もちろん、これらの口座名義が完全同一であれば、これらの名義人は同一であると判断されるが、これらの口座名義が完全同一ではなくても、所定の範囲内の差であれば、これらの名義人は同一とみなされる。
【0050】
[金融取引システム10の動作]
図3~
図7を用いて、金融取引システム10の動作について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、振込処理の動作を示すフローチャートである。
図4は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、一括振込の申請にユーザから受信するリストの一例を示す図である。
図5及び
図6は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、正誤判定結果が追加されたリストの一例を示す図である。
図7は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、振込結果が追加されたリストの一例を示す図である。以下のフローチャートに示す動作は、上記で説明した、第1金融機関100の各機能部によって実現される。
【0051】
図3に示すように、ユーザはユーザ端末20を用いて取引先の金融機関が提供するインターネットバンキングシステムにログインし、一括振込の申請を行う(ステップS901)。
【0052】
S901でユーザ端末20から送信された一括振込の申請は、第1金融機関100によって受信される(ステップS911)。
図4に一例を示すように、一括振込の申請には、振込先の口座照会情報(金融機関コード、店番号、口座番号、口座種別、及び口座名義)が含まれる。
図4に示すリストを「一括申請リスト170」という場合がある。第1金融機関100は、一括振込の申請を受信すると、一括口座確認システム200に対して取引対象の口座に対する正誤判定を要求する(ステップS912)。S912の当該正誤判定の要求の際に、第1金融機関100は、一括口座確認システム200が正誤判定を行うために必要な情報(正誤判定用情報)を、一括口座確認システム200に送信する。上記のように、正誤判定用情報は、一括申請リスト170と同一であってもよく、一括申請リスト170の一部を抽出したものであってもよい。
【0053】
一括口座確認システム200は、S912で第1金融機関100から送信された正誤判定要求を受信すると、当該要求に含まれる正誤判定用情報に基づいて、第2金融機関30に対して取引対象の口座に対する正誤判定を要求する(ステップS921)。具体的には、一括口座確認システム200は、正誤判定用情報に基づいて取引対象の口座が属する第2金融機関30を特定し、特定された第2金融機関30に対して取引対象の口座に対する正誤判定を要求する。例えば、一括口座確認システム200は、正誤判定用情報に含まれる振込先口座番号及び振込先口座名義の対と同一のものが、特定された第2金融機関30に存在しているか否かを判定するよう、第2金融機関30に要求する。
【0054】
第2金融機関30は、S921で一括口座確認システム200から送信された正誤判定要求に応じて、取引対象の口座に対する正誤を判定し、一括口座確認システム200に返信する(ステップS931)。具体的には、第2金融機関30は、上記の振込先口座番号及び振込先口座名義の対をキーとして、第2金融機関30が管理する口座のデータベースを検索する。第2金融機関30は、検索対象が存在する場合は「取引対象の口座は正しい」ことを示す正誤判定結果を返信し、検索対象が存在しない場合は「取引対象の口座は誤っている」ことを示す正誤判定結果を返信する。
【0055】
一括口座確認システム200は、第2金融機関30から送信された正誤判定結果を受信すると(ステップS922)、正誤判定用情報に含まれる第2金融機関30の振込先口座番号と当該第2金融機関30に対する正誤判定結果とを互いに関連付けて、一括口座確認システム200に備えられた記憶装置に格納する。一括口座確認システム200は、一括申請リスト170に含まれる全ての口座に対する正誤判定結果を第2金融機関30から受信すると、これらの正誤判定結果を、当該正誤判定結果を受信した第2金融機関30の振込先口座番号の各々と関連付けて第1金融機関100に送信する(ステップS923)。なお、一括口座確認システム200は、一括申請リスト170に含まれる口座が属する第2金融機関30のうち、正誤判定結果を受信していない第2金融機関30に対して督促通知又はエラー通知を送信してもよい。
【0056】
第1金融機関100は、S923で一括口座確認システム200から送信された全ての正誤判定要求に対する正誤判定結果を受信すると、
図5に一例を示すように、S911でユーザ端末20から受信した口座照会情報に正誤判定結果を追加する。
図5において、「正誤判定結果」の項目において、「○」は「取引対象の口座は正しい」ことを示す記号であり、「×」は「取引対象の口座は誤っている」ことを示す記号である。
図5に示すリストを「正誤判定結果リスト180」という場合がある。
【0057】
第1金融機関100は、
図5において「正誤判定結果」が「○」である対象口座について、全銀システム300に対して振込を要求するための振込指示を生成する(ステップS913)。S913の振込指示の生成は、ユーザ端末20から一括振込の申請以降の追加の指示なく自動的に行われる。換言すると、S913の振込指示の生成は、正誤判定結果に少なくとも1つの「○」が存在することを条件に、S923の正誤判定結果の受信をトリガとして行われる。なお、第1金融機関100は、
図5に示された「正誤判定結果」の項目をキーとしてソートし(
図6参照)、
図6に示すように、正誤判定結果が「○」である対象口座だけがソートされた正誤判定結果リスト180を振込指示として全銀システム300に送信してもよい。
【0058】
全銀システム300は、S913で第1金融機関100から振込指示を受信すると、当該振込指示に応じた振込を実行する(ステップS941)。そして、振込が完了すると、全銀システム300は振込が完了した又は振込ができなかったこと(振込結果)を第1金融機関100に通知する。
【0059】
第1金融機関100は、全銀システム300から振込結果を受信すると、
図7に示すように当該振込結果を他の各種情報と関連付けて記憶する。
図7に示すリストを「振込結果リスト190」という場合がある。第1金融機関100は、ユーザ端末20に対して正誤判定結果及び振込結果を提供する(ステップS914)。S914の正誤判定結果及び振込結果の提供は、例えば第1金融機関100が管理するホームページ上で、ユーザ端末20が例えば
図7のような振込結果リスト190を閲覧可能又はダウンロード可能にすることによって行われる(ステップS902)。
【0060】
上記のフローチャートでは、全銀システム300によって振込が実行された後に正誤判定結果及び振込結果の両方をユーザ端末20に提供する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第1金融機関100は、S923で正誤判定結果を受信した後であれば、正誤判定結果をS941における振込の実行やS913の振込要求よりも前にユーザ端末20に提供してもよい。また、第1金融機関100は、S913で生成した振込指示又は正誤判定結果リスト180をユーザ端末20に提供してもよい。この場合、ユーザ端末20には正誤判定結果リスト180だけを提供し、ユーザ端末から振込内容に同意する旨の指示に基づいて、全銀システム300に振込指示を送信してもよい。また、第1金融機関100は、S914で正誤判定結果及び振込結果を提供可能な状態になったことを、又は正誤判定結果及び振込結果自体をユーザ端末20にプッシュ通知してもよい。
【0061】
上記のS913において、正誤判定結果が「×」の場合、S914において当該正誤判定結果をユーザ端末20に提供する。
【0062】
本実施形態では、S914において、第1金融機関100がユーザ端末20に対して正誤判定結果及び振込結果の両方を提供する構成を例示したが、正誤判定結果及び振込結果のいずれか一方をユーザ端末20に提供してもよい。又は、振込が実行され、振込結果がある対象口座に対しては正誤判定結果ではなく振込結果が提供され、振込が実行されなかった対象口座に対してのみ正誤判定結果が提供されてもよい。
【0063】
なお、本実施形態では、1つの第1金融機関100に上記の全ての機能部が含まれる構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、これらの機能部が異なるサーバに設けられ、これらのサーバが協働することで金融取引システム10の機能が実現されてもよい。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る金融取引システム10によると、振込を実行する前に、ユーザによって指定された振込先口座番号及び振込先口座名義の対に対する正誤判定が行われるため、振込を実行する前に振込先の口座番号等の不備を検知することができる。よって、ユーザの負担を軽減することができる。また、一括振込の申請のうち正しいと判定された対象口座については、一括振込の申請の後にユーザによる操作を要することなく振込指示を生成することができる。さらに、一括振込の内容に誤りがなければ、ユーザは一度の操作(一括振込の申請)で手続を完了させることができるため、ユーザの操作負担を軽減することができる。また、一括振込の対象口座に誤りがあった場合であっても、ユーザが不備を修正する必要がある口座だけをユーザに提供することができるため、ユーザが振込口座の正誤判定結果を確認する際の監視負担を軽減することができる。
【0065】
〈第2実施形態〉
図8及び
図9を用いて、本発明の第2実施形態に係る金融取引システム10Aについて説明する。
図8及び
図9に示す金融取引システム10Aは、
図1~
図7に示す金融取引システム10と類似しているが、一括振込の申請内容が相違する。以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、両者の相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成について説明をする場合、
図1~
図7を参照し、これらの図に示された符号の後にアルファベット“A”を付して説明する。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、一括振込の申請にユーザから受信するリストの一例を示す図である。
図9は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、正誤判定結果が追加されたリストの一例を示す図である。
図8に示すように、一括振込の申請に含まれる口座照会情報において、2つの口座名義(『TTT』又は『TTP』)が指定されている。
【0067】
金融取引システム10Aの第1金融機関100Aは、
図8の一括申請リスト170Aに示すように口座照会情報(例えば、口座名義)の1つの項目に複数の情報が含まれている場合、当該複数の情報の各々について正誤判定を一括口座確認システム200Aに要求する(
図3のS912の工程)。つまり、第1金融機関100Aは、『口座番号:0123456』及び『口座名義:TTT』の対、及び、『口座番号:0123456』及び『口座名義:TTP』の対の両方について正誤判定を一括口座確認システム200Aに要求する。
【0068】
上記の正誤判定の要求に対して、第1金融機関100Aが一括口座確認システム200Aから正誤判定結果を受信すると、
図9の正誤判定結果リスト180Aに示すように、口座名義が『TTT』の場合と『TTP』の場合とのそれぞれについて正誤判定結果を追加する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、正誤判定で正しいと判断された口座(『口座番号:0123456』及び『口座名義:TTT』の対を有する口座)に対する振込が実行される。なお、正誤判定結果及び振込結果の提供(
図3のS914の工程)の際に、ユーザ端末20Aに対して
図9の結果が提供されるため、ユーザは、一括振込の申請における不備を修正する必要がなく、複数指定した口座名義(『TTT』又は『TTP』)のうちどちらの名義が正しいかを知ることができる。
【0069】
例えば、ユーザが振込の申請をする際に、口座名義が旧姓か新姓か確証が持てない場合がある。そのような場合であっても、現在の金融取引システムでは、いずれか一方の口座名義しか指定することができない。口座名義が2択であるにも拘わらず、運悪く誤った姓を選択した場合、振込先の修正をする手間が生じてしまう。しかし、本実施形態の金融取引システム10Aであれば、誤った姓を選択して振込先の修正をするリスクを低減することができる。
【0070】
〈第3実施形態〉
図10を用いて、本発明の第3実施形態に係る金融取引システム10Bについて説明する。
図10に示す金融取引システム10Bは、
図1~
図7に示す金融取引システム10と類似しているが、正誤判定結果リストの内容が相違する。以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、両者の相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成について説明をする場合、
図1~
図7を参照し、これらの図に示された符号の後にアルファベット“B”を付して説明する。
【0071】
図10は、本発明の一実施形態に係る金融取引システムにおいて、正誤判定結果が追加されたリストの一例を示す図である。
図10の正誤判定結果リスト180Bに示すように、本実施形態に係る金融取引システム10Bでは、「正誤判定結果」の項目に加えて「エラーコード」の項目が規定されている。
図10の「エラーコード」の項目では、正誤判定結果の詳細な内容が表示されている。
【0072】
図10において、「正誤判定結果」の項目が「○」の場合、「エラーコード」の項目には「000」が表示されている。つまり、「エラーコード」が「000」であることは、エラーが発生していないことを意味する。また、「正誤判定結果」の項目が「×」の場合、「エラーコード」の項目には「D11」又は「D13」が表示されている。「D11」及び「D13」はエラーの内容を表している。例えば、「D11」は「金融機関コード」に誤りがあることを意味し、「D13」は「店番号」に誤りがあることを意味する。
【0073】
ただし、上記のエラーコードは一例に過ぎず、本発明の内容を限定するものではない。当該エラーコードは、ユーザ端末20Bに提供されてもよく、ユーザ端末20Bには提供されずに、第1金融機関100B及び/又は一括口座確認システム200Bに記憶されてもよい。後者の場合、第1金融機関100Bは、エラーコードに基づいてエラーコードとは異なる情報をユーザ端末20Bに提供してもよい。
【0074】
以上のように、第3実施形態に係る金融取引システム10Bによると、正誤判定結果の詳細な内容が分かるため、ユーザは修正すべき項目を知ることができ、また金融取引システム10Bはユーザに対して修正すべき項目に関するフィードバックをかけることができる。したがって、ユーザは適正かつ迅速に振込先の修正をすることができる。
【0075】
〈第4実施形態〉
図11を用いて、本発明の第4実施形態に係る金融取引システム10Cについて説明する。
図11に示す金融取引システム10Cは、
図1~
図7に示す金融取引システム10と類似しているが、ユーザ端末20Cがクライアントサーバ40Cを経由して金融取引システム10Cと通信をする点において、金融取引システム10と相違する。以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、両者の相違点について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成について説明をする場合、
図1~
図7を参照し、これらの図に示された符号の後にアルファベット“C”を付して説明する。
【0076】
図11に示すように、ユーザ端末20Cと第1金融機関100Cとの間にクライアントサーバ40Cが設けられている。クライアントサーバ40Cは、ユーザ端末20Cから振込申請を受信する。この振込申請は一括振込の申請であってもよく、通常の振込(一度の振込申請で一件の振込処理を行う申請を行う振込形式)の申請であってもよい。クライアントサーバ40Cは、ユーザ端末20Cから複数の振込申請を受信すると、これらをまとめて第1金融機関100Cに送信する。つまり、第1金融機関100Cは、クライアントサーバ40Cから一括振込の申請を受信すると、当該一括振込の申請に含まれる振込先口座番号及び振込先口座名義の対についての正誤判定を一括口座確認システム200Cに要求する。それ以降の構成は、第1実施形態の構成と同様なので、説明を省略する。
【0077】
以上のように、第4実施形態に係る金融取引システム10Cのように、第1金融機関100Cはユーザ端末20Cを統括するクライアントサーバ40Cと通信をすることで、第1実施形態に係る金融取引システム10と同等の機能を果たすことができる。
【0078】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の金融取引システムを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0079】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0080】
10:金融取引システム、 20:ユーザ端末、 30:第2金融機関、 40C:クライアントサーバ、 100:第1金融機関、 110:第1受信部、 120:送信部、 130:第2受信部、 140:振込指示生成部、 150:結果提供部、170:一括申請リスト、 180:正誤判定結果リスト、 190:振込結果リスト、 200:一括口座確認システム、 300:全銀システム
【手続補正書】
【提出日】2022-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信する受信部と、
前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得する取得部と、
前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成し、生成された前記振込指示を全銀システムに送信する振込指示生成部と、を有する金融取引システム。
【請求項2】
前記振込指示生成部は、前記正誤判定結果に基づいて自動的に振込指示を生成し、生成された前記振込指示を全銀システムに送信する、請求項1に記載の金融取引システム。
【請求項3】
前記振込指示生成部は、前記申請よりも後に、前記申請を送信したユーザから振込要求を受けることなく、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成し、生成された前記振込指示を全銀システムに送信する、請求項1に記載の金融取引システム。
【請求項4】
結果提供部をさらに有し、
前記振込指示生成部は、前記正誤判定結果が「正しい」の場合に、生成された前記振込指示を全銀システムに送信し、
前記結果提供部は、前記正誤判定結果が「誤り」の場合に、前記申請を送信したユーザに対して前記正誤判定結果を提供する、請求項1に記載の金融取引システム。
【請求項5】
前記結果提供部は、前記申請を送信したユーザに前記正誤判定結果を提供する、請求項4に記載の金融取引システム。
【請求項6】
前記振込の申請は、前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対が複数指定された一括振込の申請である、請求項4又は5に記載の金融取引システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記申請を受信した金融機関とは異なる金融機関に対する口座確認を行う一括口座確認システムから送信された前記正誤判定結果を取得する、請求項1乃至6のいずれか一に記載の金融取引システム。
【請求項8】
前記結果提供部は、前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込が完了したことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行う、請求項4に記載の金融取引システム。
【請求項9】
前記結果提供部は、前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込ができなかったことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行う、請求項4に記載の金融取引システム。
【請求項10】
前記受信部は、1つの前記振込先口座番号に対して複数の前記振込先口座名義が指定された前記申請を受信し、
前記振込指示生成部は、前記複数の前記振込先口座名義のうち、前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しいと判定された前記振込先口座名義に対して振込指示を生成する、請求項1乃至9のいずれか一に記載の金融取引システム。
【請求項11】
前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しい、及び/又は、誤っていると判定された前記振込先口座名義に関する情報が、前記申請を送信したユーザに提供される、請求項10に記載の金融取引システム。
【請求項12】
情報処理装置が実行する金融取引方法であって、
振込先口座番号及び振込先口座名義の対が指定された振込の申請を受信し、
前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対の正誤判定結果を取得し、
前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成し、生成された前記振込指示を全銀システムに送信する金融取引方法。
【請求項13】
前記正誤判定結果に基づいて自動的に振込指示を生成し、生成された前記振込指示を全銀システムに送信する、請求項12に記載の金融取引方法。
【請求項14】
前記申請よりも後に、前記申請を送信したユーザから振込要求を受けることなく、前記正誤判定結果に基づいて振込指示を生成し、生成された前記振込指示を全銀システムに送信する、請求項12に記載の金融取引方法。
【請求項15】
前記正誤判定結果が「正しい」の場合に、生成された前記振込指示を全銀システムに送信し、
前記正誤判定結果が「誤り」の場合に、前記申請を送信したユーザに対して前記正誤判定結果を提供する、請求項12に記載の金融取引方法。
【請求項16】
前記正誤判定結果は、前記申請を送信したユーザに提供される、請求項15に記載の金融取引方法。
【請求項17】
前記振込の申請は、前記振込先口座番号及び前記振込先口座名義の対が複数指定された一括振込の申請である、請求項15又は16に記載の金融取引方法。
【請求項18】
前記申請を受信した金融機関とは異なる金融機関に対する口座確認を行う一括口座確認システムから送信された前記正誤判定結果を取得する、請求項12乃至17のいずれか一に記載の金融取引方法。
【請求項19】
前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込が完了したことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行う、請求項12乃至18のいずれか一に記載の金融取引方法。
【請求項20】
前記正誤判定結果のうち、少なくとも前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が誤っているという結果とともに、前記正誤判定結果に基づく振込ができなかったことを、前記申請を送信したユーザに提供することをさらに行う、請求項12乃至19のいずれか一に記載の金融取引方法。
【請求項21】
1つの前記振込先口座番号に対して複数の前記振込先口座名義が指定された前記申請を受信し、
前記複数の前記振込先口座名義のうち、前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しいと判定された前記振込先口座名義に対して振込指示を生成する、請求項12乃至20のいずれか一に記載の金融取引方法。
【請求項22】
前記正誤判定結果において前記申請に含まれる前記振込先口座番号及び振込先口座名義の対が正しい、及び/又は、誤っていると判定された前記振込先口座名義に関する情報を、前記申請を送信したユーザに提供する、請求項21に記載の金融取引方法。