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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145333
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】接客支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/00 20120101AFI20220926BHJP
   G16Y 10/45 20200101ALI20220926BHJP
【FI】
G06Q30/00 330
G16Y10/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046694
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】519088797
【氏名又は名称】ウェルヴィル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】松田 公太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB05
(57)【要約】
【課題】顧客との接客を支援することができるようにする。
【解決手段】接客支援システムであって、顧客を特定する顧客特定情報に対応付けて、顧客の嗜好を説明する嗜好情報を記憶するデータベースと、顧客が手渡す容器に設けられたタグから顧客特定情報を読み取る読み取り部と、読み取った顧客特定情報に対応する嗜好情報をデータベースから読み取って出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客を特定する顧客特定情報に対応付けて、前記顧客の嗜好を説明する嗜好情報を記憶するデータベースと、
前記顧客が手渡す容器に設けられたタグから前記顧客特定情報を読み取る読み取り部と、
読み取った前記顧客特定情報に対応する前記嗜好情報を前記データベースから読み取って出力する出力部と、
を備えることを特徴とする接客支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の接客支援システムであって、
前記タグは、無線タグであり、
前記読み取り部は、無線タグリーダーであること、
を特徴とする接客支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の接客支援システムであって、
前記容器を乗せるマットを備え、
前記マットは、前記容器又は前記タグと接触することにより、前記タグから前記顧客特定情報を読み取り、
前記読み取り部は、前記マットから前記顧客特定情報を受信し、
前記読み取り部は、前記マットが前記顧客特定情報を読み取ったことに応じて、前記顧客が前記容器を手渡したことを検出すること、
を備えることを特徴とする接客支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の接客支援システムであって、
前記読み取り部は、前記顧客と対面で接客を行う対応者の人体を介した通信により前記タグから前記顧客特定情報を読み取ること、
を特徴とする接客支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の接客支援システムであって、
前記顧客に販売した商品を示す販売情報を取得する販売情報取得部と、
前記顧客特定情報を読み取った時間及び前記顧客特定情報を読み取った位置の少なくともいずれかに対応付けて前記販売情報を記憶する販売情報記憶部と、
をさらに備えることを特徴とする接客支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の接客支援システムであって、
店舗内における前記顧客の位置を示す滞在情報を記憶する滞在情報記憶部をさらに備え、
前記店舗内の複数のテーブルのそれぞれにマットを配し、
前記マットは、前記容器又は前記タグと接触することにより、前記タグから前記顧客特定情報を読み取り、
前記顧客特定情報を読み取った前記マットの位置、読み取られた前記顧客特定情報、及び前記マットが前記容器又は前記タグと接触した時間とを対応付けて前記滞在情報に設定して前記滞在情報記憶部に登録する登録部をさらに備えること、
を特徴とする接客支援システム。
【請求項7】
請求項1に記載の接客支援システムであって、
前記タグは無線タグであり、
店舗内における前記顧客の位置を示す滞在情報を記憶する滞在情報記憶部をさらに備え、
前記店舗内に複数のアンテナを配置し、
前記アンテナが前記タグから前記顧客特定情報を読み取り、
前記顧客特定情報を読み取った前記アンテナの位置、読み取られた前記顧客特定情報、及び前記アンテナが前記顧客特定情報を読み取った時間とを対応付けて前記滞在情報に設定して前記滞在情報記憶部に登録する登録部をさらに備えること、
を特徴とする接客支援システム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の接客支援システムであって、
前記滞在情報に基づいて前記顧客の前記店舗内における滞在時間を計算する滞在時間計算部と、
前記滞在時間に応じた金額を前記顧客に課金する課金処理部と、
をさらに備えることを特徴とする接客支援システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の接客支援システムであって、
前記顧客に対して提供する商品の準備ができた旨を報知する報知部をさらに備えること、
を特徴とする接客支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の接客支援システムであって、
前記報知部は、前記読み取り部が、前記商品が準備された前記容器に設けられた前記タグから前記顧客特定情報を読み取ることができたことを契機として、前記商品の準備ができた旨を報知すること、
を特徴とする接客支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接客支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、顧客の過去の履歴データを基にして顧客の嗜好に合わせたメニューを提案するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-76757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは顧客はICカードを携帯して来店する必要がある。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、顧客との接客を支援することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、接客支援システムであって、顧客を特定する顧客特定情報に対応付けて、前記顧客の嗜好を説明する嗜好情報を記憶するデータベースと、前記顧客が手渡す容器に設けられたタグから前記顧客特定情報を読み取る読み取り部と、読み取った前記顧客特定情報に対応する前記嗜好情報を前記データベースから読み取って出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顧客との接客を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の接客支援システムの全体構成例を示す図である。
図2】支援装置20のハードウェア構成例を示す図である。
図3】支援装置20のソフトウェア構成例を示す図である。
図4】来店した顧客1が商品を購入する処理の流れを示す図である。
図5】店内における顧客1の位置をトラッキングする処理の流れを示す図である。
図6】第2の実施形態に係る接客支援システムの全体像を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る支援装置20のソフトウェア構成例を示す図である。
図8】来店時における報知処理の流れを示す図である。
図9】商品の受け渡しに係る報知処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
顧客を特定する顧客特定情報に対応付けて、前記顧客の嗜好を説明する嗜好情報を記憶するデータベースと、
前記顧客が手渡す容器に設けられたタグから前記顧客特定情報を読み取る読み取り部と、
読み取った前記顧客特定情報に対応する前記嗜好情報を前記データベースから読み取って出力する出力部と、
を備えることを特徴とする接客支援システム。
[項目2]
項目1に記載の接客支援システムであって、
前記タグは、無線タグであり、
前記読み取り部は、無線タグリーダーであること、
を特徴とする接客支援システム。
[項目3]
項目1に記載の接客支援システムであって、
前記容器を乗せるマットを備え、
前記マットは、前記容器又は前記タグと接触することにより、前記タグから前記顧客特定情報を読み取り、
前記読み取り部は、前記マットから前記顧客特定情報を受信し、
前記読み取り部は、前記マットが前記顧客特定情報を読み取ったことに応じて、前記顧客が前記容器を手渡したことを検出すること、
を備えることを特徴とする接客支援システム。
[項目4]
項目1に記載の接客支援システムであって、
前記読み取り部は、前記顧客と対面で接客を行う対応者の人体を介した通信により前記タグから前記顧客特定情報を読み取ること、
を特徴とする接客支援システム。
[項目5]
項目1に記載の接客支援システムであって、
前記顧客に販売した商品を示す販売情報を取得する販売情報取得部と、
前記顧客特定情報を読み取った時間及び前記顧客特定情報を読み取った位置の少なくともいずれかに対応付けて前記販売情報を記憶する販売情報記憶部と、
をさらに備えることを特徴とする接客支援システム。
[項目6]
項目1に記載の接客支援システムであって、
店舗内における前記顧客の位置を示す滞在情報を記憶する滞在情報記憶部をさらに備え、
前記店舗内の複数のテーブルのそれぞれにマットを配し、
前記マットは、前記容器又は前記タグと接触することにより、前記タグから前記顧客特定情報を読み取り、
前記顧客特定情報を読み取った前記マットの位置、読み取られた前記顧客特定情報、及び前記マットが前記容器又は前記タグと接触した時間とを対応付けて前記滞在情報に設定して前記滞在情報記憶部に登録する登録部をさらに備えること、
を特徴とする接客支援システム。
[項目7]
項目1に記載の接客支援システムであって、
前記タグは無線タグであり、
店舗内における前記顧客の位置を示す滞在情報を記憶する滞在情報記憶部をさらに備え、
前記店舗内に複数のアンテナを配置し、
前記アンテナが前記タグから前記顧客特定情報を読み取り、
前記顧客特定情報を読み取った前記アンテナの位置、読み取られた前記顧客特定情報、及び前記アンテナが前記顧客特定情報を読み取った時間とを対応付けて前記滞在情報に設定して前記滞在情報記憶部に登録する登録部をさらに備えること、
を特徴とする接客支援システム。
[項目8]
項目6又は7に記載の接客支援システムであって、
前記滞在情報に基づいて前記顧客の前記店舗内における滞在時間を計算する滞在時間計算部と、
前記滞在時間に応じた金額を前記顧客に課金する課金処理部と、
をさらに備えることを特徴とする接客支援システム。
[項目9]
項目1乃至8のいずれか1項に記載の接客支援システムであって、
前記顧客に対して提供する商品の準備ができた旨を報知する報知部をさらに備えること、
を特徴とする接客支援システム。
[項目10]
項目9に記載の接客支援システムであって、
前記報知部は、前記読み取り部が、前記商品が準備された前記容器に設けられた前記タグから前記顧客特定情報を読み取ることができたことを契機として、前記商品の準備ができた旨を報知すること、
を特徴とする接客支援システム。
【0011】
<システムの概要>
以下、本発明の一実施形態に係る接客支援システムについて説明する。本実施形態の接客支援システムは、顧客に接客する接客者を支援しようとするものである。顧客が持参する容器にタグを取り付け、そのタグから顧客を特定する情報を読み取り、顧客の嗜好等を接客者に伝達することで、接客者が顧客との間のコミュニケーションに活用できるようにしている。さらに、このタグを利用することで、店舗内における顧客の移動の導線を追跡することができる。以下、本実施形態では、一例として、コーヒーショップにおいてバリスタの接客対応を支援する形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の接客支援システムの全体構成例を示す図である。本実施形態では、顧客1はタンブラー11を持参して飲料の提供を受け付ける。タンブラー11はタグ12を備えている。本実施形態では、タグ12は、非接触型の無線タグ(RFタグ、ICタグ、NFCタグ、UHFタグなど)であることを想定する。カウンター13上にはタグリーダ21(1)が配置される。タグリーダ21は、接触又は非接触での通信により、その上に載置されたタグ12から情報を読み出すことができる。
【0013】
タグ12には、顧客1を特定する情報(ユーザID)が予め記録されるものとする。タグリーダ21は、タンブラー11の備えるタグ12からユーザIDを読み出し、タンブラー11を持参した顧客1を特定することができる。タグリーダ21は、例えば、マット状にすることができる。例えば、マットの内部又は裏面にタグリーダ21を配置するようにすることができる。タグリーダ21は、マット上に載置されたタンブラー11のタグ12からユーザIDを読み取ることができる。タグリーダ21は、支援装置20と通信可能に接続されており、支援装置20は、タグリーダ21が読み取ったユーザIDを取得することができる。
【0014】
タグリーダ21は、店内のテーブル14にも配置される。顧客1がカウンター13においてコーヒー等の供給を受けたタンブラー11を受け取った後、店内のテーブル14にタンブラー11を置くと、テーブル14上に配置されたタグリーダ21(2)によりユーザIDが読み取られる。支援装置20は、テーブル14のタグリーダ21からユーザIDを受信することにより、顧客1の店内における位置を追跡することができる。
【0015】
支援装置20は、接客支援を行うコンピュータである。支援装置20は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。支援装置20は、ユーザIDに対応する顧客の嗜好情報を接客者端末30に送信し、バリスタ2は接客者端末30に表示された嗜好情報を参考に、顧客1とのコミュニケーションを行うことができる。例えば、バリスタ2は、顧客1の好みの商品やトッピング、サイドメニューなどを提案することができる。また、顧客1が過去にオーダーした商品についての感想を問い合わせるなどの、顧客1との間の話題として利用することもできる。
【0016】
<支援装置20>
図2は、支援装置20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。支援装置20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する支援装置20が備える欠く機能部は、CPU201が記憶部203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、各記憶部(データベース)は、メモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0017】
図3は、支援装置20のソフトウェア構成例を示す図である。支援装置20は、読み取り部211、出力部212、販売情報取得部213、データベース231、販売情報記憶部232、滞在情報記憶部233を備える。
【0018】
データベース231は、顧客を特定する顧客特定情報(ユーザID)に対応付けて、顧客の嗜好を説明する嗜好情報を記憶する。嗜好情報は、例えば、顧客が好む商品に関連する情報である。嗜好情報は、例えば、顧客がよく購入する商品、商品のカスタマイズ(例えば、コーヒーショップの場合に、カフェラテのミルクを低脂肪にしたり、フレイバーを追加したりすることなど)などである。データベース231には、顧客のニックネームを登録することもできる。
【0019】
読み取り部211は、顧客1が手渡すタンブラー11に設けられたタグ12に記録されているユーザIDを取得する。読み取り部211が、タグ12から直接ユーザIDを読み取るリーダ機能であってもよいが、本実施形態では、読み取り部211は、タグリーダ21がタグ12から読み取ったユーザIDをタグリーダ21から取得する。
【0020】
また、本実施形態では、タグリーダ21はタンブラー11を乗せるマットであり、マットにタンブラー11が乗せられた状態でタグ12からユーザIDを読み取ることができる。タグリーダ21は、無線方式でタグ12からユーザIDを読み取るものとするが、導電性のマットをタグ12と接触させることによりタグ12からユーザIDを読み取る形態としてもよい。
【0021】
読み取り部211は、タグリーダ21がタグ12からユーザIDを読み取ったこと、すなわち、タグリーダ21からユーザIDを受信したことにより、顧客1がタンブラー11をバリスタ2に手渡したことを検出することができる。
【0022】
出力部212は、読み取ったユーザIDに対応する嗜好情報をデータベース231から読み出して出力する。出力部212は、接客者端末30に嗜好情報を送信し、接客端末30がバリスタ2に嗜好情報を表示することができる。
【0023】
販売情報記憶部232は、顧客1に販売した商品を示す販売情報を記憶する。販売情報には、例えば、商品を販売した店舗を示す店舗ID、販売日時、顧客1に販売した商品、数量、価格などが含まれうる。
【0024】
販売情報取得部213は、販売情報を取得する。販売情報取得部213は、例えば、POSレジスタや販売管理システムなどから販売情報を取得することができる。販売情報取得部213は、タンブラー11に提供した飲料商品に関する販売情報が取得可能であるものとする。販売情報取得部213は、タグリーダ21がタグ12から読み取ったユーザIDと、タンブラー11に飲料を入れて顧客1に提供した位置(すなわち、タグリーダ21の位置)とを販売情報に追加して、販売情報記憶部232に登録することができる。また、販売情報取得部213は、例えば、ユーザIDを読み取った日時(あるいは、読み取り部211がタグリーダ21からユーザIDを受信した日時)を販売情報に追加するようにしてもよい。
【0025】
滞在情報記憶部233は、顧客1の店舗内での滞在に関する情報(以下、滞在情報という。)を記憶する。滞在情報には、店舗を示す店舗ID、顧客1を示すユーザID、タグリーダ21がタグ12からユーザIDを読み取った日時、及び顧客1の位置(タグリーダ12の位置とすることができる。)を含む。また、滞在情報には、顧客1が店舗に入店したことを示す入店フラグを設定することもできる。入店フラグは、例えば、滞在情報の登録時点から所定時間前までの間の日時に対応する滞在情報が登録されていない場合に真とすることができる。また、後述するように、カウンター13においてユーザIDが読み取られた場合に、入店フラグを真と設定することもできる。
【0026】
読み取り部211は、店舗内のテーブル14等に配置されたタグリーダ21(2)からユーザIDを受信した場合には、受信したユーザID及びユーザIDの送信元であるタグリーダ12(2)の設置位置(既知であるものとする。)と、店舗ID及び日時を設定した滞在情報を作成して滞在情報記憶部233に登録することができる。また、読み取り部211は、カウンター13上に配置されたタグリーダ21(1)がユーザIDを読み取った場合にも、滞在情報を作成して滞在情報記憶部233に登録することができる。ここで、読み取り部211は、カウンター13においてユーザIDが読み取られた場合には、入店フラグに真を設定することができる。
【0027】
店舗内にアンテナ型のタグリーダ21(2)を複数配置することもできる。読み取り部211は、アンテナ型のタグリーダ21(2)のうち、タグ12からユーザIDを読み取ったものの位置を顧客1の店舗内での位置として把握することができる。また、タグリーダ21(2)が無線型のタグ21からの反射強度や電波強度などを取得できる場合には、複数のタグリーダ21(2)が取得した反射強度や電波強度に基づいて、店舗内の顧客1の位置を特定することができる。
【0028】
滞在時間計算部214は、滞在情報に基づいて顧客1が店舗内に滞在した滞在時間を計算する。滞在時間計算部214は、例えば、滞在情報を日時順に並べ、計算の起算時点(例えば、現在時刻)から直近の入店フラグが真である滞在情報を特定し、当該滞在情報の日時から起算時点までの時間を滞在時間として算出することができる。
【0029】
課金処理部215は、滞在時間に応じた金額を顧客1に課金することができる。
【0030】
<動作>
以下、本実施形態の接客支援システムの動作について説明する。図4は、来店した顧客1が商品を購入する処理の流れを示す図である。
【0031】
店舗に入店した顧客1が、カウンター13上に置かれたマット状のタグリーダ21(1)の上にタンブラー11を置くと(S301)、タグリーダ21(1)はタンブラー11のタグ12からユーザIDを読み取り(S302)、支援装置20に送信する。
【0032】
支援装置20は、ユーザIDに対応する嗜好情報をデータベース231から読み出して、接客端末30に送信し、接客端末30が嗜好情報をバリスタ2に対して表示する(S303)。支援装置20は、バリスタ1が作成して顧客1に提供した商品に関する販売情報を取得し(S304)、タグリーダ21(1)が読み取ったユーザIDと、タグリーダ21(1)の位置とを設定して販売情報記憶部232に登録する(S305)。
【0033】
以上のようにして、入店した顧客1が持参したタウンブラー11が備えるタグ12から顧客1を特定し、顧客1の嗜好情報をバリスタ2に伝達することができる。したがって、バリスタ2は、顧客1との間の話題として嗜好情報を利用したり、顧客1に対して顧客1の好む商品を勧めたりすることができる。
【0034】
図5は、店内における顧客1の位置をトラッキングする処理の流れを示す図である。
【0035】
顧客1が店内に滞在している間、例えば、テーブル14に設けたタグリーダ21(2)は、定期的に(例えば、1秒、10秒、1分、5分など任意の時間おきに)、近傍に存在しているタンブラー11のタグ12からユーザIDを読み取り、支援装置20に送信する(S321)。支援装置20は、店舗ID、タグリーダ21(2)が読み取ったユーザID、現在の日時、タグリーダ21(2)の位置を設定した滞在情報を滞在情報記憶部233に登録する(S322)。なお、入店フラグは「偽」に設定することができる。
【0036】
顧客1が退店するまで(S323:NO)、ステップS321からの処理を繰り返す。
【0037】
顧客1の退店時(S323:YES)には、支援装置20は、滞在情報に基づいて顧客1の滞在時間を計算する(S324)。支援装置20は、例えば、顧客1の退店時には、カウンター13のタグリーダ21(1)でタグ12からユーザIDを読み取るようにしてもよいし、バリスタ2又はバリスタ2以外の店員が、カウンター13上のタグリーダ21(1)とは異なるタグリーダ21(不図示)を用いて、タンブラー11のタグ12からユーザIDを読み取るようにしてもよい。支援装置20は、滞在時間に応じて顧客1に課金することができる(S325)。
【0038】
以上のようにして、タンブラー11に、ユーザIDを設定したタグ12を設けることにより、店舗内における顧客1の位置をトラッキングすることができる。また、これにより顧客の店内滞在時間を計算することができる。
【0039】
<第2の実施形態>
図6は、第2の実施形態に係る接客支援システムの全体像を示す図である。第2の実施形態では、支援装置20は、タンブラー11による飲料の提供準備が完了した旨を顧客1に対して報知することができるようにしている。これにより、例えば、バリスタ2が聾唖者であり、「ご注文の○○をお待ちのお客様、お待たせしました」というような、顧客1に対する直接的な声かけができない場合であっても、支援装置20によりその旨を報知することができる。
【0040】
第2の実施形態では、バリスタ2がタグリーダ21(3)を、例えば手首や腕などに装着することを想定する。タグリーダ21(3)とバリスタ2の皮膚とを接触させ、タグリーダ21(3)は、バリスタ2の人体を介して電気信号の通信を行うことができる。
【0041】
第2の実施形態の支援装置20のハードウェア構成は、上述した第1の実施形態に係る図2に示す構成例と同様とすることができる。図7は、第2の実施形態に係る支援装置20のソフトウェア構成例を示す図である。第2の実施形態に係る支援装置20は、図3に示す支援装置20の構成に加えて、報知部216を備えている。
【0042】
報知部216は、顧客1への情報の報知を行う。
【0043】
報知部216は、顧客1が来店したことに対する感謝のメッセージを報知することができる。報知部216は、例えば、タンブラー11がカウンター13に置かれたことを検出し、検出したことを契機として、「いらっしゃいませ」や「こんにちは」のような挨拶のメッセージを報知することができる。メッセージは例えば、音声データとしてスピーカ22から出力してもよいし、テキストデータをディスプレイ等の出力装置に出力してもよい。報知部216は、タグリーダ21を介してタンブラー11のタグ12からユーザIDを取得できた場合には、当該ユーザIDに対応するニックネームをデータベース231から読み出して、例えば、「○○さま、いらっしゃいませ」のように、ニックネームをメッセージに含めるようにすることができる。メッセージが音声データの場合には、報知部216は、例えば、音声合成により顧客1のニックネームを呼びかける音声データを作成し、作成したメッセージを追加することができる。
【0044】
報知部216は、タンブラー11に飲料が準備されたことを報知することができる。報知部216は、例えば、スピーカ22から音声を出力することができる。報知部216は、バリスタ2により飲料の準備されたタンブラー11がカウンター13に置かれたことを契機として、報知を行うことができる。飲料の準備されたタンブラー11がカウンター13に置かれたことは、例えば、カウンター13上のタグリーダ21がタンブラー11のタグ12からユーザIDを読み出すことができたことにより検知することができる。報知部216は、例えば、所定期間(例えば2時間、6時間、1日など任意の時間を設定することができる。)内に2回目、2の倍数回目、又は3回目以上にユーザIDを読み出すことができた場合に、飲料の準備されたタンブラー11が置かれたことを検知してもよいし、商品提供用のカウンター13は、商品購入時のカウンター13とは異なるようにして、商品提供用のカウンター13上のタグリーダ21がユーザIDを読み出すことができたことにょり、飲料の準備されたタンブラー11がカウンター13に置かれたことを検知してもよい。
【0045】
報知部216は、例えば、タグリーダ21がタンブラー11のタグ12から読み取ったユーザIDに対応する、顧客1からのオーダー内容を表す音声をスピーカ22から出力することができる。報知部216は、例えば、当該店舗を示す店舗IDと、現在日時から所定時間以内の日時と、タグ12から読み取ったユーザIDとに対応する販売情報を販売情報記憶部232から取得し、取得した販売情報の商品に対応する音声をスピーカ22から出力することができる。商品に対応する音声は、事前に販売される全ての商品について音声を登録しておいてもよいし、公知の音声合成処理を用いて音声合成により報知用の音声を作成するようにすることもできる。なお、報知部216は、対応する販売情報が登録されていない場合には、間違えてタンブラー11がカウンター13上に置かれたものとして、エラーを示す音声を報知するようにするようにしてもよい。
【0046】
また、報知部216は、タンブラー11がカウンター13上に置かれたことに代えて又は加えて、接客者端末30からの指示に応じて報知をするようにしてもよい。例えば、バリスタ2が準備を完了した商品の内容を接客者端末30に入力し、あるいは、支援装置20からオーダーが入っている(販売された)商品のリストを接客者端末30に送信し、接客者端末30は、オーダーが入っている商品のリストから、準備が整ったものをバリスタ2が選択するようにすることができる。接客者端末30は、バリスタ2から指定された、準備された商品の内容を支援装置20に送信し、報知部216はこれを契機に報知を行うようにすることができる。
【0047】
また、報知部216は、スピーカ22への出力に代えて、またはそれに加えて、顧客1が携帯する携帯端末15に、飲料が準備された旨を通知するようにしてもよい。報知部216は、例えば、商品の内容と、その商品がカウンター13に準備された旨を示すメッセージを携帯端末15に送信することができる。報知部216は、タンブラー11のタグ12から読み取ったユーザIDをあて先として、当該メッセージを送信することができる。これにより、バリスタ2が発声できない場合であっても、顧客1は飲料の完成を知ることができる。商品のリストを選択するようにした場合には、商品の内容に、当該商品を購入した顧客1を示すユーザIDを付帯させたもののリストを支援装置20から接客者端末30に送信し、選択された商品に対応するユーザIDを特定するようにすればよい。
【0048】
また、報知部216は、顧客1がタンブラー11を受け取ったこと、すなわち、カウンター13(上のタグリーダ21)からタンブラー11が離れたことを検知し、検知したことを契機として、例えば、「いってらっしゃいませ」など、顧客1への挨拶のメッセージを報知することもできる。この場合、顧客1の来店時と同様に、メッセージは音声データとしてもよいし、テキストデータとしてもよく、ニックネームを入れて、「○○さま、いってらっしゃいませ」のように、ニックネームを含めたメッセージを報知するようにしてもよい。
【0049】
また、支援装置20は、バリスタ2の携帯端末15との間でメッセージのやりとりを行うメッセージ処理部217を備えることもできる。バリスタ2は接客者端末30にメッセージを入力し、接客者端末30は、支援装置20を介して又は直接に、顧客1の携帯端末15に入力されたメッセージを送信することができる。また、顧客1は携帯端末15にメッセージを入力し、携帯端末15は支援装置20宛てに又は接客者端末30(バリスタ2)宛てに、入力されたメッセージを送信することができる。これにより、バリスタ2の接客者端末30と顧客1の携帯端末15との間で、テキストや手描きグラフィックス等によるメッセージのやりとりを行うことができる。したがって、バリスタ2が聾唖者であったとしても、バリスタ2と顧客1との間で手話を用いずに筆談と同様のコミュニケーションを取ることができる。なお、音声メッセージをやりとりしても良く、この場合、支援装置20又は接客者端末30は、携帯端末15から送信されてきた音声メッセージの音声から文字を検出して接客者端末30に表示し、接客者端末30の入力された文字列を音声合成により音声メッセージとして携帯端末15に送信するようにすることもできる。
【0050】
<来店時の声かけ処理>
図8は、来店時における報知処理の流れを示す図である。
【0051】
バリスタ2が顧客1からタンブラー11を受け取ると(S401)、タンブラー11に貼ってあるタグ12から人の体を通して電気信号がタグリーダ21(3)に伝わり(S402)、タグリーダ21(3)が読み取ったユーザIDを支援装置20に送信する(S403)。
【0052】
報知部216は、タグリーダ21(3)から取得したユーザIDに対応する顧客1のニックネームをデータベース231から読み出し(S404)、読み出したニックネームを含むメッセージを作成する(S405)。報知部216は、読み出したニックネームを含むテキストメッセージを作成することができる。また、報知部216は、音声合成により、例えば、「いらっしゃいませ、〇〇さま」といった、ニックネームを含むメッセージを作成することもできる。報知部216は、作成した音声メッセージをスピーカ22から出力するとともに(S406)、テキストメッセージを、ディスプレイ等の出力装置に出力することができる(S407)。
【0053】
<商品の受け渡し後の声かけ処理>
図9は、商品の受け渡しに係る報知処理の流れを示す図である。
【0054】
バリスタ2がカウンター13にタンブラー11を置くと(S421)、タグリーダ21(1)又は21(3)は、タンブラー11が置かれたことを検知することができる(S422)。例えば、タグリーダ21(1)は、例えば、定期的にコイルに電気を流して磁気を発生させ、電磁誘導方式によりタグ12からの通信を検出することができる。また、タグリーダ21(3)は、タンブラー11に貼ってあるタグ12から電気信号が伝わることで検知することもできる。タグリーダ21は、タグ12から読み出したユーザIDを支援装置20に送信し、支援装置20はユーザIDを取得することができる(S423)。
【0055】
報知部216は、タグリーダ21から取得したユーザIDに対応する顧客1のニックネームをデータベース231から読み出し(S424)、読み出したニックネームを含むメッセージを作成する(S425)。報知部216は、読み出したニックネームを含むテキストメッセージを作成することができる。また、報知部216は、音声合成により、例えば、「いってらっしゃいませ、〇〇さま」といった、ニックネームを含むメッセージを作成することもできる。報知部216は、作成した音声メッセージをスピーカ22から出力するとともに(S426)、テキストメッセージを、ディスプレイ等の出力装置に出力することができる(S427)。
【0056】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0057】
例えば、本実施形態では、コーヒーショップでの接客を想定していたが、これに限らず、商品を販売する各種の接客業務に適用することができる。飲食以外の業態であってもよい。何らかの商品を販売し、その商品を顧客1が持参した容器に入れる形態であれば適用可能である。また、顧客1が持参する容器についても、タンブラー11ではなく、カップやボウルなどであってもよい。また、飲料ではなく、食べ物を入れるための、皿や密閉容器、どんぶりなどであってもよい。さらに、飲食物ではなく、日用品や衣料品などの物品を販売する形態の場合には、容器は、マイバック等の入れ物であってよい。これらの容器には、ユーザIDが記録されたタグ12が配されていればよい。
【0058】
また、本実施形態では、タグ12はタンブラー11に組み込まれていることを想定していたが、例えば、シール状のタグ12をタンブラー11に後付けで貼付するようにすることもできる。
【0059】
また、本実施形態では、タグ12は無線タグであることを想定していが、接触式のタグ12であってもよい。接触式のタグ12の場合、マット状のタグリーダ21がタグ12に接触することによりタグ12からユーザIDを読み取ることができる。また、タンブラー11が導電性の底材を有しているような場合には、タンブラー11を介して接触式のタグ12に通電し、ユーザIDを読み取るようにすることができる。
【0060】
また、本実施形態におけるタグ12の通信方式については、電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式など、アクティブ型及びパッシブ型の任意の方式を用いることができる。
【0061】
また、本実施形態では、タグ12とタグリーダ21との間の通信によりユーザIDが読み取れるものとしたが、例えば、タグ12をQRコード(登録商標)やバーコードなどのユーザIDを符号化したコードとして、タンブラー11に印刷し、又はシール等によりタンブラー11に貼付し、タグリーダ12はカメラにより実装し、コードを撮影することによりユーザIDを読み取るようにすることもできる。
【0062】
また、タグ12が接触式である場合に、タグリーダ21は、顧客1と対面で接客を行う対応者(バリスタ2)の人体を介した通信によりタグ12からユーザIDを読み取るようにすることもできる。例えば、バリスタ2が顧客1からタンブラー11を直接受け取った際に、バリスタ2のタグ12を素手で触ることで、タグリーダ21は、バリスタ2の人体を通じてタグ12との間の通信を行うこともできる。
【0063】
また、本実施形態では支援装置20は、店舗に配置されているような記載となっていたが、これに限らず、インターネット等を介した、いわゆるクラウドコンピューティングにより実装することもできる。この場合、タグリーダ21やスピーカ22などをインターネット経由で支援装置20に接続するようにしてもよいし、タグリーダ21やスピーカ22を制御する制御装置(コンピュータ)を配置して、支援装置20と制御装置との間で通信を行うようにし、支援装置20は制御装置を介してタグリーダ21やスピーカ22などの制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 顧客
2 バリスタ
11 タンブラー
12 タグ
13 カウンター
14 テーブル
20 支援装置
21 タグリーダ
30 接客者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9