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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145335
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】運用支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20220926BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046697
(22)【出願日】2021-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】518420813
【氏名又は名称】株式会社Luup
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡井 大輝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】乗り物の利用状況を把握することができるようにする乗り物共有サービスの運用支援システムを提供する。
【解決手段】運用支援システムにおいて、利用者端末13は、自転車1に貼付された機体IDを読取り、利用開始要求を管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は、目的ポートの設定指示を返信する。利用者端末13は、利用者から目的地の選択を受付け、目的地のポートリクエストを管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は、目的地近傍のポートの一覧を返信する。利用者端末13は、受信したポートの一覧を出力して目的ポートの指定を受付け、機体IDと目的ポートIDとを設定した利用開始要求を管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は、受信した利用開始要求に応じて自転車1の利用可否を判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人乗りの乗り物の共有サービスに関する運用を支援するシステムであって、
前記乗り物から位置情報を受信する位置情報受信部と、
前記位置情報の履歴を記憶する位置履歴記憶部と、
前記乗り物の停車ポートを記憶する機体情報記憶部と、
前記乗り物の現在位置が前記停車ポートの位置から所定距離以上離れている場合に、その旨を出力する検出部と、
を備えることを特徴とする運用支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の運用支援システムであって、
前記乗り物の利用履歴を記憶する利用履歴記憶部と、
前記乗り物を特定する機体IDの入力を受け付け、受け付けた前記機体IDに対応する前記利用履歴を表示する出力部と、
を備えることを特徴とする運用支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物のシェアリングでサーバから乗り物の走行可能化を制御する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-169051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、どこで乗り物が利用されているのかの状況を把握することができない。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、乗り物の利用状況を把握することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、1人乗りの乗り物の共有サービスに関する運用を支援するシステムであって、前記乗り物から位置情報を受信する位置情報受信部と、前記位置情報の履歴を記憶する位置履歴記憶部と、前記乗り物の停車ポートを記憶する機体情報記憶部と、前記乗り物の現在位置が前記停車ポートの位置から所定距離以上離れている場合に、その旨を出力する検出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、乗り物の利用状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る自転車の共有サービスを説明する図である。
図2】本実施形態の運用支援システムの全体構成例を示す図である。
図3】通信機11の機能構成を説明する図である。
図4】利用者端末13のハードウェア構成例を示す図である。
図5】利用者端末13のソフトウェア構成例を示す図である。
図6】目的ポートの選択画面の一例を示す図である。
図7】自転車1の駐車状態を撮影した状態の例を示す図である。
図8】管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。
図9】管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。
図10】自転車1の利用開始時における運用支援システムの動作を説明する図である。
図11】自転車1の利用終了時における運用支援システムの動作を説明する図である。
図12】第2の実施形態に係る管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。
図13】位置ずれを表示する画面50の一例を示す図である。
図14】機体情報出力部219が出力する画面60の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システム概要>
以下、本発明の一実施形態に係る乗り物共有サービスの運用支援システムについて説明する。本実施形態では、電動機付きの自転車の共有サービス(レンタルサービスを含む。)を想定しているが、任意の乗り物の共有サービスに適用することができる。乗り物には1人乗りの乗り物(パーソナルモビリティ)全般が含まれうる。
【0011】
乗り物は、全長1m以下であり、電動機を備える1人乗りのパーソナルモビリティであってよい。乗り物は、電動(自動走行)と電動アシストとを切替可能な自転車やスクーター、スケートボードなどであってよい。乗り物は、一般的に駐車場の確保が必要とされていないものであってよい。乗り物には、例えば、自転車やスクーター(キックボード,キックスケーターとも呼ばれる。)、スケートボード、平行二輪車、二輪倒立振子(セグウェイなど)、自立安定一輪車などが含まれうる。また、乗り物には、原動機付き自転車、自動二輪車が含まれうる。乗り物は、最高時速30km未満に設定されているもの(例えば、原動機付き自転車)、最高時速24km未満のもの(例えば、電動アシスト自転車)、最高時速20km未満のもの(例えば、電動キックボードなどが想定される。)が含まれうる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る自転車の共有サービスを説明する図である。自転車1は、各所に設けられたポート2に駐輪されている。本実施形態では、ポート2とは、自転車1を駐輪させることのできる場所を意味するものとする。ポート2は、例えば、駐車場、駐輪場である。ポート2は、乗り物を置いておくことのできる場所であればよく、停めておくことのできる乗り物の数は固定でなくてもよいが、本実施形態では、ポート2には、所定の台数までの自転車1を駐輪することができるものとする。すなわち、各ポート2には使用中スペース21と空きスペース22との少なくともいずれかが存在しうる。自転車共有サービスの利用者は、出発ポート2(S)から目的ポート2(D)まで自転車1により移動するにあたり、自転車1の利用に先立って目的ポート2(D)を指定する。目的ポート2(D)に空きポート22が存在していれば、自転車1の利用は許可され、自転車1は自動的に解錠されて利用者が利用可能となる。
【0013】
なお、ポート2は、物理的に離散した土地又は建物の床面の区画の集合としてもよい。
【0014】
図2は、本実施形態の運用支援システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の運用支援システムは、管理サーバ20を含んで構成される。管理サーバ20は、自転車1が備える通信機11及び利用者端末13のそれぞれと通信ネットワーク30を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク30は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0015】
自転車1にはまたロック装置12が設けられており、通信機11は、ロック装置12の施解錠を制御することもできる。本実施形態では、通信機11は管理サーバ20から受信する命令に応じてロック装置12の施解錠を制御するものとするが、例えば、利用者端末13からの制御によりロック装置12の制御を行うような構成とすることもできる。
【0016】
利用者端末13は、利用者が用いる携帯端末であり、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。利用者端末13はカメラを備えており、自転車1の状態を撮影することができる。
【0017】
管理サーバ20は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。管理サーバ20は、利用者による自転車1の利用可否を判定し、利用状態を管理することができる。
【0018】
<通信機11>
図3は、通信機11の機能構成を説明する図である。通信機11は、施解錠命令受信部111、施解錠制御部112、位置情報取得部113、位置情報送信部114を備える。なお、これらの各機能部は、ロジック回路により実現するようにしてもよいし、汎用プロセッサがプログラムを実行することにより実現するようにしてもよい。
【0019】
施解錠命令受信部111は、自転車1のロックを施錠又は解錠するように指示する命令(施錠命令又は解錠命令という。施錠命令及び解錠命令を合わせて施解錠命令という。)を受信する。本実施形態では、管理サーバ20から施解錠命令が送信され、施解錠命令受信部111はこれを受信する。
【0020】
施解錠制御部112は、施解錠命令に応じてロック装置12を制御して施錠又は解錠する。施解錠制御部112によるロック装置12の制御処理については公知の手法を用いるものとしてここでは説明を省略する。
【0021】
位置情報取得部113は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機(不図示、通信機11が備えるようにしてもよいし、外部センサから取得するようにしてもよい。)が受信したGPS信号に基づいて、自転車1の位置を測定することができる。
【0022】
位置情報送信部114は、位置情報取得部113が取得した位置情報を送出する。本実施形態では、位置情報送信部114は、自転車1の利用時に自転車1の位置情報を管理サーバ20に定期的に送信することができる。位置情報送信部114は、例えば、1秒、1分、5分、10分など事前に定めた任意の時間ごとに位置情報を管理サーバ20に送信することができる。なお、位置情報送信部114は、例えば、自転車1の移動距離が所定値以上になった場合に、位置情報を送出するようにしてもよい。
【0023】
<利用者端末13>
図4は、利用者端末13のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。利用者端末13は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、タッチパネルディスプレイ105、カメラ106、GPS107を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。タッチパネルディスプレイ105は、データの入出力を行うことができる。GPS107は、利用者端末13の位置を測定することができる。
【0024】
図5は、利用者端末13のソフトウェア構成例を示す図である。利用者端末13は、機体特定部131、利用開始要求送信部132、目的ポート決定部133、利用終了要求送信部134、機体撮影部135を備えることができる。
【0025】
なお、利用者端末13の上記各機能部は、例えば、CPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現することができる。
【0026】
機体特定部131は、利用者が利用しようとしている機体(自転車1)を特定する。本実施形態では、自転車1には自転車1の識別情報(機体ID)を符号化したQRコード(登録商標)などのコードが貼付されており、利用者端末13の機体特定部131は、このコードをカメラ106で撮影した画像を復号化することで機体IDを取得することができるものとする。なお、機体特定部131は、例えば、自転車1に機体IDを印刷しておき、利用者から機体IDの入力を受け付けるようにしてもよいし、自転車1に設けられた機器から、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信により機体IDを受信するようにしてもよい。また、機体特定部131は、その他の任意の方法により自転車1の機体IDを取得することができる。
【0027】
利用開始要求送信部132は、自転車1の利用を開始したい旨のリクエスト(利用開始要求)を管理サーバ20に送信する。利用開始要求には、利用者を示す利用者IDと自転車1を示す機体IDとが設定される。利用者から事前に目的地となるポート(目的ポート)の指定がされている場合には利用開始要求には目的ポートも設定される。
【0028】
目的ポート決定部133は、目的ポートを決定する。目的ポート決定部133は、例えば、地図を表示して目的地の指定を受け付け、指定された目的地近傍に存在するポートを出力して利用者に目的ポートを選択させることができる。目的ポート決定部133は、例えば、まず目的地の指定を受け付けることができる。目的地の指定は、上述したように地図から所定の地点の指定を受け付けてもよし、エリアの名称や駅名などの指定を受け付けるようにしてもよい。目的ポート決定部133は、指定された目的地を設定して、その目的地近傍に存在するポートの一覧のリクエスト(ポートリクエスト)を管理サーバ20に送信することができる。目的ポート決定部133は、管理サーバ20から応答されるポートの一覧から目的ポートの選択を受け付けることができる。図6は、目的ポートの選択画面の一例を示す図である。同図に示すように、目的ポート決定部133は、例えば、画面上に地図を表示し、地図上にポート2の一覧をアイコン表示することができる。利用者はこのアイコンを指3などにより選択することにより、目的ポート2の指定をすることができる。利用開始要求送信部132は、目的ポート決定部133が受け付けた目的ポート2の指定を利用開始要求に設定して管理サーバ20に送信することができる。
【0029】
後述するように、目的ポート2に空きがある場合には、自転車1の利用が許可され、管理サーバ20から指示により自転車1のロック装置12が解錠され、利用者は自転車1を利用することができる。
【0030】
利用終了要求送信部134は、自転車1の利用を終了するリクエスト(利用終了要求)を管理サーバ20に送信する。利用終了要求には、利用者を示す利用者IDと自転車1を示す機体IDとが設定される。利用終了要求には、最初から後述する駐車画像を含めて送信するようにしてもよい。
【0031】
機体撮影部135は、カメラ106を制御して自転車1の外観を撮影する。本実施形態では、機体撮影部135は、自転車1が目的ポートに到着した後に、自転車1が駐車された状態が撮影されることを期待している。機体撮影部135は、利用者により手動で起動されてよく、利用者に対して駐輪した状態を撮影するように指示するメッセージを出力するようにしてよい。図7は、自転車1の駐車状態を撮影した状態の例を示す図である。同図に示すように、利用者は降車後に駐車した自転車1の様子を撮影し、機体撮影部135がこの撮影された画像(駐車画像という。)を取得することができる。利用終了要求送信部134は、機体撮影部135が撮影した又は機体撮影部135が取得した画像を管理サーバ20に送信する。これにより自転車1の利用が終了する。
【0032】
<管理サーバ>
図8は、管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ20は、CPU01、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0033】
図9は、管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ20は、ポート情報提供部211、利用開始処理部212、利用可否判定部213、利用料金決定部214、ロック通信部215、利用終了処理部216、ポート情報記憶部231、管理者記憶部232、画像記憶部233、機体情報記憶部234、利用履歴記憶部235、広告記憶部236を備える。
【0034】
なお、上記各機能部211乃至216は、CPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、上記各記憶部231乃至236は、メモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現されうる。
【0035】
ポート情報記憶部231は、ポート2に関する情報(ポート情報)を記憶する。ポート情報には、ポート2を特定するポートIDに対応付けて、ポート2の位置(代表位置とすることができ、例えば、緯度経度で特定することができる。)、ポート2を管理している管理者を示す管理者ID、ポート2に駐車可能な自転車1の数(駐車可能台数)、現在駐輪可能な台数(空いているスペース22の数)などが含まれる。なお、ポート2が第三者により管理されていない場合には、管理者IDには値が設定されなくてよい。
【0036】
管理者記憶部232は、管理者に関する情報(管理者情報)を記憶する。管理者情報には、管理者を特定する管理者ID、支払情報が含まれうる。支払情報は、例えば、管理者に対して報酬を支払う場合に必要な情報とすることができる。ポート2の提供に対する報酬を、支払情報に基づいて支払うことができる。
【0037】
画像記憶部233は、駐車画像を記録する。画像記憶部233は、駐車画像を撮影した利用者を特定する利用者ID、駐車画像の撮影日時、駐車画像に写っている自転車1を示す機体ID、駐車画像が撮影された位置、駐車画像に映っている自転車1が駐輪されているポート2を示すポートID、及び駐車画像の画像データを含めることができる。
【0038】
機体情報記憶部234は、自転車1に関する情報(機体情報)を記憶する。機体情報には、自転車1を特定する機体ID、機体情報が最後に更新された日時(最終更新日時)、最終更新日時における自転車1の位置及び自転車1の充電量、自転車1が現在利用中であるか否かを示すフラグ(利用中フラグ)、ならびに、自転車1が駐車されている場合には、駐車されているポート2を示すポートIDを含めることができる。機体情報は、定期的に更新することができる。
【0039】
利用履歴記憶部235は、利用者による自転車1の利用履歴を記憶する。利用履歴には、自転車1を利用した利用者を特定する利用者ID、自転車1の利用の開始日時及び終了日時、利用者が利用した自転車1を特定する機体ID、利用者が自転車1の利用を開始したポート2(出発ポート)、自転車1の目的地のポート2(到着ポート)、ならびに、利用料金を含めることができる。
【0040】
広告記憶部236は、広告に関する情報(広告情報)を記憶する。広告情報には、広告を特定する広告IDに対応付けて、広告を出力する条件及び広告データが含まれる。条件は、各種の情報に対する条件であってよく、例えば、自転車1が利用されるとき、あるいは、自転車1の利用が終了したときなどの時期的な条件であってもよいし、自転車1が特定のポート2に駐車された場合や、特定の場所を通って(機体情報の位置が特定の場所の近傍を通過した場合)など空間的な条件であってもよいし、利用者が女性である場合など利用者の属性に対する条件であってもよい。広告データは、例えば、HTMLにより記載された画面データであってもよいし、動画データや静止画像データ、プレインテキストのデータなどとすることもできる。
【0041】
ポート情報提供部211は、利用者端末13にポート情報を提供する。ポート情報提供部211は、利用者端末13からのリクエスト(利用開始要求であってもよいし、他のリクエストであってもよい。)に応じてポート情報を提供することができる。ポート情報提供部211は、例えば、利用開始要求に目的地(又は目的の座標等)が含まれている場合に、指定された目的地近傍の、あるいは指定された座標から所定距離内の位置のポート情報をポート情報記憶部231から検索し、検索結果のリストを応答することができる。また、ポート情報提供部211は、例えば、定期的にポート情報をブロードキャストし、あるいはセッションの確立している利用者端末13のそれぞれに送信するようにすることもできる。
【0042】
利用開始処理部212は、利用者による自転車1の利用開始に係る処理を行う。本実施形態では、利用開始処理部212は、利用者端末13から利用開始要求を受信し、受信した利用開始要求に指定されている自転車1が利用可能であるか否かを後述する利用可否判定部213に判定させる。また、利用開始処理部212は、利用開始要求に目的ポート2が設定されていない場合には、目的ポート2を設定するように指示するメッセージを利用者端末13に送信することができる。また、目的ポート2が指定されている場合には、利用開始処理部212は、後述する利用可否判定部213に、利用可否を判定させることができる。利用可否判定部213が利用可能と判断した場合、利用開始処理部212は、後述のロック通信部215に、利用開始要求に指定されている自転車1のロックを解除するように解除命令を送信させ、また、利用開始処理部212は、出発ポート(指定された自転車1が現在駐車しているポート、すなわち機体情報に含まれるポートIDが示すポート)のポート情報の空き台数に1加算し、目的ポートに対応するポート情報の空き台数を1減算することができる。さらに、利用開始処理部212は、指定された自転車1に対応する機体情報の利用中フラグを真に更新することができる。
【0043】
利用開始処理部212は、利用開始時に広告を送信することができる(広告送信部)。利用開始処理部212は、例えば、条件が満たされている広告情報を広告記憶部236から検索し、検索いた広告情報の広告データを利用者端末13に送信することができる。また、利用開始処理部212は、例えば、出発ポート又は目的ポートの近傍に関する広告情報を検索するようにしてもよい。また、利用開始処理部212は、複数の広告情報が検索できた場合には、出発ポート又は目的ポートに近い場所の条件が設定されている広告データを優先的に送信することができる。
【0044】
利用可否判定部213は、自転車1の利用可否を判定する。利用可否判定部213は、例えば、機体情報の利用中フラグが真であれば、利用不可と判定することができる。利用可否判定部213は、機体情報の充電量が所定値未満であれば利用不可と判定することができる。また、利用可否判定部213は、目的ポートのポート情報の空き台数が0であれば利用不可と判定することができる。さらに、利用可否判定部213は、例えば、ブラックリスト(不図示)に利用者IDが登録されている場合には、利用不可と判定することができる。上記のような不可判定が行われなかった場合、利用可否判定部213は、自転車1が利用可能であると判定することができる。
【0045】
利用料金決定部214は、自転車1の利用料金を決定する。利用料金決定部214は、例えば、自転車1の利用時間に応じて利用料金を決定することができる。また、利用料金決定部214は、例えば、自転車1の種類に応じた所定の金額を利用料金として決定するようにしてもよい。利用料金決定部214は、また、例えば、利用者の属性や、利用履歴などに応じて価格を変動させるダイナミックプライシングを行うことができる。利用料金決定部214は、例えば、利用頻度の高い利用者に対して安価な利用料を設定し、特定のキャンペーン対象の属性を有する利用者に対して安価な利用料を設定し、利用頻度(利用履歴の数)が所定数以上である場合に、段階的に安価な利用料を決定するようにしてもよい。
【0046】
また、利用料金決定部214は、ポートごとに固定のまたは動的な利用料金を設定することもできる。利用料金決定部214は、例えば、目的ポートの空き台数に応じて(空き台数が多いほど安くなるように)利用料金を決定することもできる。また、利用料金決定部214は、目的ポートの利用率(1日、1週間などの所定期間中に出発又は目的のポートとして利用された回数の駐車可能台数に対する割合)に応じて(利用率が高いほど高くなるように)利用料金を決定することもできる。また、利用料金決定部214は、ポートの駅や商業施設などからの距離に応じて(距離が短いほど高くなるように)利用料金を決定することもできる。
【0047】
また、利用料金決定部214は、自転車1のルートに応じて利用料を設定することもできる。例えば、利用料金決定部214は、特定のルートを通った場合には、利用料金に加算を行うことができる。例えばイルミネーションやスポーツ観戦、ライブイベントなど混雑が見込まれる場所については、利用料金を高く設定することができる。逆に、利用料金決定部214は、所定のルートを通ると利用料金を減額するようにしてもよい。例えば、商業施設や商店が面している道路のトラフィックを増やしたいような場合や、イベントやお祭りなどで、一本脇道の活性化を目指したいような場合、新しく建てた商業施設を認知してほしいような場合などには、プロモーション目的で利用料金を安価に設定するようにすることができる。この場合において、例えば、商業施設等に課金を行うようにしてもよい。利用料金決定部214は、例えば、自転車1が料金が加算される道路に向かって進行していることを検知して、あるいは、料金が加算される道路上に自転車1が存在することを検知して、利用者の端末(又は自転車1の通信機11)に対してアラートを送信し、利用者の端末又は通信機11からアラートを出力するようにしてもよい。また、利用料金決定部214は、例えば、現在自転車1が進行中の道路に平行する道路の料金が安価に設定されている場合に、その旨を利用者の端末や通信機11に通知するようにしてもよい。
【0048】
ロック通信部215は、自転車1のロック装置12の施解錠を制御する。本実施形態では、ロック通信部215は、施解錠命令を通信機11に送信することによりロック装置12の施解錠を行うことができる。
【0049】
利用終了処理部216は、自転車の利用終了時に必要な処理を行う。利用終了処理部216は、利用終了要求に駐車画像が含まれていない場合には、駐車画像を撮影するように指示するメッセージを利用者端末13に送信することができる。また、利用終了処理部216(降車画像受信部)は、利用者端末13から受信した駐車画像を、利用者の利用者ID、日時、機体ID、位置情報、目的ポートを示すポートIDを付帯させて画像記憶部233に登録することができる。また、利用終了処理部216は、利用終了要求に設定されている位置情報又は機体情報の位置情報に基づいて、自転車1が目的ポート2にあるか否かを判定し、目的ポート2に到着していないと判定した場合には、終了不可と判定し、その旨を示すメッセージを利用者端末13に送信することができる。利用終了処理部216は、利用終了要求に設定されている機体IDに対応する機体情報の利用中フラグを偽に更新することができる。
【0050】
また、利用終了処理部216は、利用終了時に広告を利用者端末13に送信することができる。利用終了処理部216は、例えば、利用終了要求に応答して、条件が満たされている広告情報のうちの一つの広告データを利用者端末13に送信することができる。
【0051】
<動作>
以下、本実施形態の運用支援システムの動作について説明する。
【0052】
図10は、自転車1の利用開始時における運用支援システムの動作を説明する図である。利用者は自転車1を利用する際に、利用者端末13を用いて自転車1に貼付されているQRコード(登録商標)を読み取り(S401)、機体IDを取得する。利用者端末13は、取得した機体IDを設定した利用開始要求を管理サーバ20に送信する(S402)。管理サーバ20からは、目的ポートを設定することを指示するメッセージが応答される(S403)。利用者端末13は、利用者から目的地の選択を受け付ける(S404)。目的地の選択は、地図上から所定の位置の指定を受け付けたり、駅名やエリア名等の指定を受け付けたりすることにより行うことができる。利用者端末13は、目的地を設定したポートリクエストを管理サーバ20に送信し(S405)、管理サーバ20からは目的地近傍のポートの一覧が応答される(S4076)。
【0053】
利用者端末13は、応答されたポートの一覧を出力し、その中から目的ポートの指定を受け付けることができる(S407)。利用者端末13は、例えば、図6に示すような画面から目的ポートの指定を受け付けることができる。利用者端末13は、機体IDと目的ポートを示すポートIDとを設定した利用開始要求を管理サーバ20に送信する(S408)。
【0054】
管理サーバ20は、受信した利用開始要求に応じて自転車1の利用可否を判定する(S409)。利用可否の判定は、上述した利用可否判定部213により行われる。自転車1の利用が可能と判断された場合には、利用料金を決定する(S410)。利用料金は、上述した利用料金決定部214により決定される。管理サーバ20は、機体IDが示す自転車1の通信機11に対して解錠命令を送信し(S411)、通信機11は、受信した解錠命令に応じてロック装置12を制御して解錠する(S412)。
【0055】
一方で、管理サーバ20からは利用が開始されたことを表すメッセージとともに、広告データが利用者端末13に送信される(S413)。広告データは、利用者端末13においてメッセージとともに表示される。
【0056】
図11は、自転車1の利用終了時における運用支援システムの動作を説明する図である。利用者は自転車1を目的ポートまで乗車していった後、利用者端末13を操作して、自転車1の利用終了のために利用終了要求を管理サーバ20に送信する(S421)。利用終了要求には、自転車1の機体IDと、現在位置とが設定される。
【0057】
管理サーバ20では、現在位置に応じて現在自転車1が到着しているポートを判定することができる(S422)。管理サーバ20は、利用終了要求に駐車画像が設定されていない場合には、駐車画像を撮影するように指示するメッセージを利用者端末13に送信することができる(S423)。
【0058】
利用者端末13は、メッセージを表示し、この表示に応じて利用者は利用者端末13を用いて自転車1を駐車した状態を撮影する(S424)。利用者端末13は、策定した駐車画像を管理サーバ20に送信し(S425)、管理サーバ20において、画像が画像記憶部233に登録され、利用履歴も登録される(S426)。管理サーバ20は、さらに自転車1に対して施錠する旨の命令を送信する(S427)。
【0059】
自転車1の通信機11は管理サーバ20から施錠命令を受信すると、これに応じてロック装置12を制御して施錠を行うことができる(S428)。
【0060】
一方で、管理サーバ20からは利用が終了したことを表すメッセージとともに、広告データが利用者端末13に送信される(S429)。広告データは、利用者端末13においてメッセージとともに表示される。
【0061】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、機体の位置ずれを検出するようにする。第2の実施形態では、機体の通信機11が発信する位置情報を参照し、機体が紐づいているポート2の位置情報と一定上離れていたら自動でアラートを上げる。
【0062】
図12は、第2の実施形態に係る管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ20は、図9に示したソフトウェア構成に加えて、機体位置記憶部237、機体位置更新部217、位置ずれ検出部218を備えることができる。
【0063】
機体位置記憶部237は、機体1の位置の履歴を記憶する。機体位置記憶部237は、例えば、機体1を特定する機体IDと日時と機体1の位置とを対応付けて記憶することができる。
【0064】
機体位置更新部217は、通信機11から定期的に又は不定期に機体ID及び位置情報を受信し、受信した機体ID及び位置情報と現在日時とを対応付けて機体位置記憶部237に登録することができる。
【0065】
位置ずれ検出部218は、機体情報記憶部234に記憶されている機体情報及びポート情報記憶部231に記憶されているポート情報に基づいて、機体が紐付いているポート2の位置と機体から取得した位置とが、所定の閾値以上ずれている場合に、アラートを発することができる。位置ずれ検出部218は、例えば、チャットのメッセージ、テキストメッセージ、電子メールなどにより、システムの管理者に対してアラートを送信することができる。
【0066】
位置ずれ検出部218は、位置ずれをマップ上に表示することもできる。図13は、位置ずれを表示する画面50の一例を示す図である。位置ずれ検出部218は、機体1ごとに以下のような処理を行うことができる。位置ずれ検出部218は、機体1から受信した位置情報(機体位置記憶部237に記憶されている最新日時の位置)と、当該機体1に対応する機体情報のポートIDに対応するポート情報の位置との距離を計算し、計算した距離が所定値以上離れている場合に、図13に示す画面50には、マップ51が表示され、マップ50には、ポート2が表示されるとともに、機体1が停車されているはずのポート511(機体情報のポートIDが示すポート2の位置)を示すピン513と、機体1から取得した位置を示すピン514とが表示される。
【0067】
また、位置ずれ検出部218は、他のポート2も含めて、機体1がどのポート2に一番近い位置にいるのかを判定してサジェストすることができる。画面50では、機体1が停車されているはずのポート511を表す文字521「XXX」と、機体番号522「0001」と、機体1の位置から最も近いポート512を表す文字523「○○○」と、ポート512から機体1の位置までの距離を表す文字524「113m」とを含むメッセージ52が表示される。これにより、管理者は機体1の状況を容易に把握することができる。
【0068】
さらに、画面50では、機体1の所在位置を手動で変更するためのボタン53が表示される。ボタン53のいずれかが押下されることにより、位置ずれ検出部218は、機体情報のポートIDを更新することができる。また、画面50のボタン53では、ポート2以外にも、倉庫など、機体1が配置されるうる場所を選択することができ、これらのボタン53が選択された場合、位置ずれ検出部218は、倉庫等の場所を示すIDを機体情報のポートIDに設定することができる。
【0069】
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について説明する。第2の実施形態では、機体1の状態を問い合わせ可能としている。第3の実施形態では、管理サーバ20は、機体情報出力部219を備えることができる。図14は、機体情報出力部219が出力する画面60の一例を示す図である。
【0070】
画面60の入力欄611に機体IDが入力され、検索ボタン612が押下されると、機体情報出力部219は、充電残量、現在地ポート2などの情報に加え、その機体1が利用されたライド情報、走行ルートなども表示することができる。機体情報出力部219は、入力された機体IDに対応する機体情報を読み出して、表示欄62に表示することができる。ここでポートIDに対応するポート情報も合わせて出力することができる。機体情報出力部219はまた、利用履歴記憶部235から、機体IDに対応する利用履歴を所定数(図14の例では3つ)読み出して、履歴の表示欄64に表示することができる。さらに機体情報出力部219は、機体位置記憶部237に記憶されていた機体1の位置の履歴を時系列に沿ってマップ63上にプロットし、プロットした位置間を直線又は曲線補間により描画して、機体1の移動経路632をマップ63上に表示することができる。また、マップ60上には、現在の機体1の位置631を表示することもできる。なお、機体情報出力部219は、ユーザの個人情報等はマスク表示するようにする。
【0071】
機体1の位置と、停車しているべきポート2の位置とのずれが生じた機体1について検索を行うことにより、どこでずれが生じたのかの原因を推測することができる。
【0072】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0073】
例えば、本実施形態では、通信機11と管理サーバ20とが直接通信を行うものとしていたが、これに限らず、通信機11と管理サーバ20との間に、例えば、APIサーバなどのコンピュータを介在させるようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、管理サーバ20は1台のコンピュータであるものとしたが、これに限らず、複数台のコンピュータにより実現し、管理サーバ20の備える各種機能を複数のコンピュータに分散させるようにしてもよい。
【0075】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
1人乗りの乗り物の共有サービスに関する運用を支援するシステムであって、
前記乗り物から位置情報を受信する位置情報受信部と、
前記位置情報の履歴を記憶する位置履歴記憶部と、
前記乗り物の停車ポートを記憶する機体情報記憶部と、
前記乗り物の現在位置が前記停車ポートの位置から所定距離以上離れている場合に、その旨を出力する検出部と、
を備えることを特徴とする運用支援システム。
[項目2]
項目1に記載の運用支援システムであって、
前記乗り物の利用履歴を記憶する利用履歴記憶部と、
前記乗り物を特定する機体IDの入力を受け付け、受け付けた前記機体IDに対応する前記利用履歴を表示する出力部と、
を備えることを特徴とする運用支援システム。
【符号の説明】
【0076】
1 自転車
2 ポート
11 通信機
12 ロック装置
13 利用者端末
20 管理サーバ
30 通信ネットワーク
111 施解錠命令受信部
112 施解錠制御部
113 位置情報取得部
114 位置情報送信部
131 機体特定部
132 利用開始要求送信部
133 目的ポート決定部
134 利用終了要求送信部
135 機体撮影部
211 ポート情報提供部
212 利用開始処理部
213 利用可否判定部
214 利用料金決定部
215 ロック通信部
216 利用終了処理部
231 ポート情報記憶部
232 管理者記憶部
233 画像記憶部
234 機体情報記憶部
235 利用履歴記憶部
236 広告記憶部
図1
図2
図3
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図5
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図14