IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145349
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】光学系及び光学テスト装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20220926BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20220926BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20220926BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20220926BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20220926BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
G01R31/26 E
G01M11/00 T
H01L21/66 X
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046714
(22)【出願日】2021-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】593160529
【氏名又は名称】応用電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136928
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮 章
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良蔵
【テーマコード(参考)】
2G003
2G086
2H087
4M106
4M118
【Fターム(参考)】
2G003AA06
2G003AA09
2G003AG16
2G003AH05
2G086EE01
2H087KA12
2H087PA04
2H087PA17
2H087PB04
2H087QA01
2H087QA05
2H087QA13
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA38
2H087QA41
2H087QA45
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087RA45
4M106AB09
4M106BA04
4M106CA17
4M106CA19
4M106DH31
4M106DH38
4M118AA09
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118GD03
(57)【要約】
【課題】入射角度が大きな光にも対応し小さなFナンバを実現しながら広照野を高い均一性で照明できる光学系を提供する。
【解決手段】光源からの光を所定の照射位置Pに照射する光学系であり、瞳レンズ14と、該瞳レンズ14よりも光源側位置であって、該瞳レンズ14に関して前記照射位置Pと光学的共役となる位置又はその近傍位置に配置された拡散板12と、を備える。瞳レンズ14は、拡散板12側から順に、第1の凸レンズ16と、第2の凸レンズ18と、第1の非球面レンズ20と、第2の非球面レンズ22と、で構成されるとよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を所定の照射位置に照射する光学系であり、
瞳レンズと、
該瞳レンズより光源側位置であって、該瞳レンズに関して前記照射位置と光学的共役となる位置又はその近傍位置に配置された拡散板と、を備えたことを特徴とする光学系。
【請求項2】
瞳レンズは、非球面レンズ面が形成された非球面レンズを含む複数のレンズを組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1記載の光学系。
【請求項3】
瞳レンズは、少なくとも3つの非球面レンズ面を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光学系。
【請求項4】
瞳レンズは、拡散板側から順に、第1の凸レンズと、第2の凸レンズと、第1の非球面レンズと、第2の非球面レンズと、で構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光学系。
【請求項5】
第1の非球面レンズは、光源側に非球面レンズ面が形成された片面非球面レンズからなり、
第2の非球面レンズは、両面に非球面レンズ面が形成された両面非球面レンズからなる請求項4記載の光学系。
【請求項6】
第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとの間に開口絞りが設置されたことを特徴とする請求項4又は5記載の光学系。
【請求項7】
開口絞りは、第1の非球面レンズに近接して設置されたことを特徴とする請求項6記載の光学系。
【請求項8】
光路中にアポダイジング・フィルタが設置されたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の光学系。
【請求項9】
該アポダイジング・フィルタは、前記拡散板の近傍に設置されたことを特徴とする請求項8記載の光学系。
【請求項10】
該アポダイジング・フィルタは、中心部よりもその周囲のリング状部分に高濃度の減光領域が形成されたことを特徴とする請求項8又は9記載の光学系。
【請求項11】
固体撮像素子を光学テストするための光学テスト装置であって、
請求項1ないし請求項10のいずれかの光学系を備え、
前記光学系の光照射位置に光学テスト対象の固体撮像素子をセットさせる光学テスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば固体撮像素子の光学テストに利用可能な光学系及び光学テスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOS等の半導体の集積回路で設けられる固体撮像素子(イメージセンサ)は、光を電気信号に変換する特性を利用して、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、携帯電話のカメラ、自動車の先進運転支援システム等の各種センサ、その他種々の産業機器等に広く活用されている。固体撮像素子は、ウエハ完成後や製品出荷前にその光電特性が正常か否かの光学テストが必要である。近時では、固体撮像素子の光学テストでは、スループットが重要視され、多数個のイメージセンサを同時に光学テストすることが一般的となっている。多数個のイメージセンサの同時テストを実現するためには、イメージセンサが並設された広い範囲に、照度の均一性が高い平行光を照射することが求められている。従来、広範囲への均一な照度の平行光を照射するためにケーラー照明法が利用されている。
【0003】
一方、近年では、デバイス画素(素子)数の増加、高密度化に伴い画素ピッチも微細になってきており、入射する光量を十分に確保するためにデバイス上にマイクロレンズを置いて集光させて、光の利用効率を上げ感度を向上させている。さらに、デバイスを実際に使用する際にも種々の写真レンズと組み合わされて使用されることから、平行光のみならず大きな角度でデバイス素子に入射する光についても重要性が増している。入射角度の大きな光が入射されると周辺光量が低下し明暗差いわゆるシェーディングが生じる。従来、このシェーディングを補正して光を均一的にするために、大きな角度で入射する光をデバイス素子上に適切に集光させるようにデバイス素子上のマイクロレンズの位置を光軸側にずらす方法が行われている。
【0004】
また、例えば、特許文献1には、実際の光学系によって生成される光の成分に対応した光を固体撮像素子へ照射して適切な光学テストを行うための技術が提案されている。特許文献1では、光源と固体撮像素子との間に配置され、固体撮像素子の受光面における中央部分から周辺部分へ向かうに従い受光面に対する略垂直方向の光量より斜め方向の光量を強くする光学系を備えるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-26521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、光学系として実際のカメラ等の撮像装置に使用されるレンズ系が利用されるが、現実には固体撮像素子の光学テストには必ずしも適さない問題が生じていた。例えば、実際のカメラ等の撮像装置に使用されるレンズ系は固体撮像素子素子より大きいことが多く、光学テスト装置に組み込むことが困難となったり制限される場合があった。また、前述の特許文献1の光学系では、光の入射角度を大きくして固体撮像素子に照射する光学テストを行うためのものとしては適用しにくい問題があった。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、入射角度が大きな光にも対応し小さなFナンバを実現しながら広範囲を照明できる光学系を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、光源からの光を所定の照射位置Pに照射する光学系であり、瞳レンズ14と、該瞳レンズ14よりも光源側位置であって、該瞳レンズ14に関して前記照射位置Pと光学的共役となる位置又はその近傍位置に配置された拡散板12と、を備えた光学系10から構成される。
【0009】
また、瞳レンズ14は、非球面レンズ面(20a、22a、22b)が形成された非球面レンズ(20、22)を含む複数のレンズ(16、18、20、22)を組み合わせて構成されることとしてもよい。
【0010】
また、瞳レンズは、少なくとも3つの非球面レンズ面(20a、22a、22b)を有することとしてもよい。
【0011】
また、瞳レンズ14は、拡散板12側から順に、第1の凸レンズ16と、第2の凸レンズ18と、第1の非球面レンズ20と、第2の非球面レンズ22と、で構成されることとしてもよい。
【0012】
また、第1の非球面レンズ20は、光源側に非球面レンズ面(20a)が形成された片面非球面レンズからなり、第2の非球面レンズ22は、両面に非球面レンズ面(22a、22b)が形成された両面非球面レンズからなることとしてもよい。
【0013】
また、第1の非球面レンズ20と第2の非球面レンズ22との間に開口絞り24が設置されたこととしてもよい。
【0014】
また、開口絞り24は、第1の非球面レンズ20に近接して設置されたこととしてもよい。
【0015】
また、光路中にアポダイジング・フィルタ26が設置されたこととしてもよい。
【0016】
また、該アポダイジング・フィルタ26は、前記拡散板の近傍に設置されたこととしてもよい。
【0017】
また、該アポダイジング・フィルタ26は、中心部よりもその周囲のリング状部分に高濃度の減光領域が形成されたこととしてもよい。
【0018】
固体撮像素子を光学テストするための光学テスト装置であって、前記いずれかの光学系を備え、前記光学系の光照射位置に光学テスト対象の固体撮像素子をセットさせる光学テスト装置から構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光学系によれば、光源からの光を所定の照射位置に照射する光学系であり、瞳レンズと、該瞳レンズよりも光源側位置であって、該瞳レンズに関して前記照射位置と光学的共役となる位置又はその近傍位置に配置された拡散板と、を備えたことから、入射角度が比較的大きな光にも対応しながら、照度の高い均一性を保持しながら広い範囲に光を照射することができる。
【0020】
また、瞳レンズは、非球面レンズ面が形成された非球面レンズを含む複数のレンズを組み合わせて構成されることにより、レンズの枚数が比較的少ない構成で瞳レンズを実現できる。
【0021】
また、瞳レンズは、少なくとも3つの非球面レンズ面を有する構成とすることにより、比較的レンズの枚数が比較的少ない構造で瞳レンズを実現できる。
【0022】
また、瞳レンズは、拡散板側から順に、第1の凸レンズと、第2の凸レンズと、第1の非球面レンズと、第2の非球面レンズと、で構成されることにより、4枚といった比較的少ないレンズ構成で瞳レンズを具体的に実現することができ、低コストで製造することができる。
【0023】
また、第1の非球面レンズは、光源側に非球面レンズ面が形成された片面非球面レンズからなり、第2の非球面レンズは、両面に非球面レンズ面が形成された両面非球面レンズからなる構成とすることにより、所望のCRA特性に応じた瞳レンズを少ないレンズ枚数で具体的に実現できる。
【0024】
また、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとの間に開口絞りが設置されたことにより、広範囲に照度が均一な光を照射することができる。
【0025】
また、開口絞りは、第1の非球面レンズに近接して設置された構成とすることにより、より確実に広範囲に照度が均一な光を照射することができる。
【0026】
また、光路中にアポダイジング・フィルタが設置された構成とすることにより、照度ムラが少なく均一性が高い照明を実現できる。
【0027】
また、該アポダイジング・フィルタは、前記拡散板の近傍に設置された構成とすることにより、より均一性が高い照明を実現できる。
【0028】
また、該アポダイジング・フィルタは、中心部よりもその周囲のリング状部分に高濃度の減光領域が形成された構成とすることにより、より均一性が高い照明を実現できる。
【0029】
本発明の光学テスト装置によれば、固体撮像素子を光学テストするための光学テスト装置であって、前記いずれかの光学系を備え、前記光学系の光照射位置に光学テスト対象の固体撮像素子をセットさせることから、入射角度の大きな光にも対応しテスト対象の固体撮像素子のCRA特性に対応する光学テストを好適かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係る光学系の概略構成説明図である。
図2図1の光学系から照射される光のCRA特性と要求されるCRA特性を比較したグラフである。
図3図1の光学系のアポダイジング・フィルタの一例の説明図である。
図4図1の光学系から照射される光の照度分布特性を示すグラフである。
図5図1の光学系でアポダイジング・フィルタがない場合の光の照度分布特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下添付図面を参照しつつ本発明の光学系の実施形態について説明する。本発明に係る光学系は、例えば、平行光を照射する光源装置からの光を所定の照射位置に対して広範囲に均一的に照射するのに利用できる光学モジュールであり、固体撮像素子であるイメージセンサ等の光学デバイスをテストするための照明用の光学系として好適に利用しうるものである。図1ないし図4は、本発明の光学系の一実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態に係る光学系10は、拡散板12と、瞳レンズ14と、を備える。
【0032】
拡散板12は、光源からの光を拡散して均一化する光均一化光学素子であり、例えば、平行光を照明する光源からの光束の射出瞳径を大きくする。すなわち、光路に拡散板12を設置することで、Fナンバを小さくすることができ、入射角度を大きく確保することができる。図1に示すように、本実施形態では、拡散板12は、光路中の瞳レンズ14に対して光源側となる位置に設置される。拡散板12は、瞳レンズ14から照射対象の照射位置Pと光学的共役となる位置又は光学的共役となる位置の近傍位置に配置される。これによって、拡散板12の像が照射位置Pで結像されるように設定されている。例えば、拡散板12は、照射位置Pと光学的共役となる位置に設定するとよいが、拡散板12の細かな構造が照射位置で結像して影響がある場合には、前記共役となる位置から若干(例えば数mm程度)ずらした近傍位置に設定するとよい。
【0033】
瞳レンズ14は、拡散板12を通過して均一化された光を比較的広い範囲に照射するように設けられている。例えば、固体撮像素子の光学テスト装置で使用される際には、デバイスの瞳位置から光を照射できるようにしたレンズ系である。瞳レンズ14は、拡散板12からの光を所定の主光線角度と像高の特性、いわゆるCRA(Chief Ray Angle)特性の光束で照射するレンズ系である。本実施形態では、瞳レンズ14は、光源側、すなわち拡散板12に近い側から順に、第1の凸レンズ16と、第2の凸レンズ18と、第1の非球面レンズ20と、第2の非球面レンズ22と、で構成されている。なお、図1上、Xは光軸を示す。
【0034】
第1の凸レンズ16は、例えば、平凸レンズからなり、平面レンズ面16aが拡散板12側となる前方側に向けられ、球面凸レンズ面16b側が後方に向けて配置されている。
【0035】
第2の凸レンズ18は、例えば、凸メニスカスレンズからなり、球面凸レンズ面18aが前方側に向けられるとともに、球面凹レンズ面18bが後方に向けて設置されている。さらに第2の凸レンズ18は、前方側の球面凸レンズ面18aを第1の凸レンズ16に近接させて、互いに凸レンズ面どうしを対向させて配置されている。
【0036】
第1の非球面レンズ20は、例えば、一つの面が非球面レンズ面で、他の面が球面又は平面のレンズ面で形成される片面非球面レンズからなる。第1の非球面レンズ20は、凸状に形成された非球面レンズ面20aが前方側に向けられるとともに、球面凹レンズ面20bが後方側に向けて設置されている。第1の非球面レンズ20は、第2の凸レンズ18の後方側の凹レンズ面18bに近接して配置されている。
【0037】
第2の非球面レンズ22は、例えば、両面が非球面レンズ面で形成される両面非球面レンズからなる。すなわち、瞳レンズ14は、第1、第2の非球面レンズ20、22により3つの非球面レンズ面を含むレンズ群で構成されている。第2の非球面レンズ22は、凹状に形成された非球面レンズ面22aを前方に向けるとともに、中心部周辺が凹状に形成されるとともに周辺部分が凸状に形成された他方の非球面レンズ面22bを後方に向けて設置されている。第2の非球面レンズ22は、第1の非球面レンズ20に対しては、第1の凸レンズ16と第2の凸レンズ18との間、及び第2の凸レンズと第1の非球面レンズ20との間の距離と比較して、大きな間隙を開けて配置されている。本実施形態では、第2の非球面レンズ22から出た光が瞳レンズ14からの照射光として所定の照射位置Pすなわち光学テスト対象の固体撮像素子がセットされる位置に照射する。
【0038】
なお、瞳レンズ14は、上述の構成に限らず、5つ以上のレンズを組み合わせて構成することとしてもよい。その場合でも少なくとも1つのレンズは非球面レンズであるとよい。さらに好適には、3つのレンズ面が非球面レンズ面であるとよい。3つの非球面レンズ面は、3つの片面非球面レンズで形成することとしてもよい。
【0039】
図1に示すように、本実施形態では、第1の非球面レンズ20と第2の非球面レンズ22との間に開口絞り24が設置されている。開口絞り24は、第1の非球面レンズ20からの出る光すなわち第2の非球面レンズ22に入る光の量及び入射角度を制御する光学素子であり、第2の非球面レンズ22の前方側に設置されることで、瞳レンズ14からの照射光の条件を決定しうる要素となっている。開口絞り24は、第1の非球面レンズ20の後方側の凹レンズ面18bに近接して設置されている。
【0040】
図1に示すように、本実施形態では、光路中にはアポダイジング・フィルタ26が設置される。アポダイジング・フィルタ26は、瞳レンズ14から照射される光の明暗ムラすなわちシェーディングを改善するための光均一化用光学部材である。アポダイジング・フィルタ26は、例えば、瞳レンズ14に関して照射位置Pと光学的共役となる位置の近傍に配置されている。すなわち、アポダイジング・フィルタ26は、拡散板12に近接した位置に設置されている。図1では、アポダイジング・フィルタ26は、拡散板12と瞳レンズ14との間に配置されている。なお、アポダイジング・フィルタ26は、拡散板12の前方側すなわち光源側に配置されてもよい。図3に示すように、アポダイジング・フィルタ26は、例えば、同心円状に濃淡が設けられた減光フィルタ(NDフィルタ)からなり、中心部は低濃度の減光領域であり、該中心部よりもその周囲のリング状部分に高濃度の減光領域が形成され、さらにその高濃度のリング状部分の外側は低濃度の減光領域で形成されている。例えば、拡散板12と瞳レンズ14とのみで構成されると図5のグラフに示すような照度分布特性(シェーディング)で、中心から2~3mm部分の照度が高い光となり周辺がシェーディングを示すことから、図3のようにリング状に高濃度の減衰領域が形成されたアポダイジング・フィルタ26を設置することにより、図4のグラフのように、照度が均一化されて明暗ムラが少なくシェーディング特性が好適な、かつ図2に示すCRA特性の光を得ることができる。
【0041】
表1は、本実施例の光学系のレンズデータを示している。表1のレンズデータでは、非球面のレンズ面の面番号の横には*印を付与して表している。
【表1】
【0042】
このように照射位置と共役となる位置に設置される拡散板12と、非球面レンズを含む複数のレンズで構成された瞳レンズ14と、を備えた光学系10を利用することで、例えば、固体撮像素子の光学テストに利用する際に、図2の実線に示すようなCRA特性の光を照射することができる。また、図2上の破線は、ある特性の固体撮像素子に要求されるCRA特性を示しているが、図2に示すように、本実施形態の光学系10からの光は、光学テスト対象の固体撮像素子に要求されるCRA特性に近似した光を得ることができる。その結果、大きな入射角度の光に対応することができ、小さなFナンバを実現することができる上、明暗ムラが少ない均一性が高い光を照射でき、固体撮像素子の光学テストに実用的に利用することができる。また、上述のような非球面レンズを利用したことにより、瞳レンズを比較的少ない枚数で具体的に構成することができる。
【0043】
さらに、本実施形態の光学系10を搭載した光学テスト装置を実現することができる。すなわち、固体撮像素子を光学テストする光学テスト装置は、平行光を照明する光源装置と、光源装置からの平行光を所定のCRA特性で照射位置Pに照射する光学系10と、を備え、光学系10からの光の照射位置Pに光学テスト対象の固体撮像素子をセットして、光学テストを行うことができる。
【0044】
以上説明した本発明の光学系及び光学テスト装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の光学系は、例えば、固体撮像素子であるイメージセンサ等の光学デバイスのテスト用の光学系として利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 光学系
12 拡散板
14 瞳レンズ
16 第1の凸レンズ
18 第2の凸レンズ
20 第1の非球面レンズ
22 第2の非球面レンズ
24 開口絞り
26 アポダイジング・フィルタ
P 照射位置
図1
図2
図3
図4
図5