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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145390
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 3/20 20060101AFI20220927BHJP
【FI】
A47C3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085782
(22)【出願日】2021-05-21
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2021-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】521119854
【氏名又は名称】株式会社マーベラス・パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 実
【テーマコード(参考)】
3B091
【Fターム(参考)】
3B091GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比較的小さな力で、着座部を昇降可能な椅子を提供する。
【解決手段】椅子1は、昇降部30が、軸形状に形成され、一方の端部が着座部10にスライド自在に接続され、他方の端部が支持部20にスライド自在に接続された第1部材と、軸形状に形成され、一方の端部が着座部10にスライド自在に接続され、他方の端部が支持部20にスライド自在に接続された第2部材と、一端側が、第1部材に接続された第1接続部に接続され、他端側が、第2部材が接続された第2接続部に接続され、使用者の操作に基づく内圧の変化により全長が変化する伸縮部材と、を有し、伸縮部材の全長が伸びることで、第1接続部と第2接続部が離間することで、着座部が上昇し、伸縮部材の全長が縮むことで、第1接続部と第2接続部が近接することで、着座部が降下することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する着座部と、
前記着座部を下方から支持する支持部と、
前記支持部に固定され、前記着座部を昇降する昇降部と、を備え、
前記昇降部は、
軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が前記支持部にスライド自在に接続された第1部材と、
軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が前記支持部にスライド自在に接続された第2部材と、
一端側が、前記第1部材に接続された第1接続部に接続され、他端側が、前記第2部材が接続された第2接続部に接続され、使用者の操作に基づき、内圧により全長が変化する伸縮部材と、を有し、
前記伸縮部材の全長が伸びることで、前記第1接続部と前記第2接続部が離間し、前記着座部が上昇し、
前記伸縮部材の全長が縮むことで、前記第1接続部と前記第2接続部が近接し、前記着座部が降下することを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記昇降部は、
前記第1部材と、軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が前記支持部にスライド自在に接続され、中央で前記第1部材に回動自在に接続された別第1部材と、を備える第1昇降部と、
前記第2部材と、軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が前記支持部にスライド自在に接続され、中央で前記第2部材に回動自在に接続された別第2部材と、を備える第2昇降部と、を備え、
前記第1接続部は、前記着座部側に設けられ、
前記第2接続部は、前記支持部側に設けられ、
前記第1部材と前記別第1部材の両端部の間隔及び前記第2部材と前記別第2部材の両端部の間隔が、それぞれ近接することで、前記着座部が上昇し、
前記第1部材と前記別第1部材の両端部の間隔及び前記第2部材と前記別第2部材の両端部の間隔が、それぞれ離間することで、前記着座部が降下することを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記昇降部は、
軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部に回動自在に軸支され、他方の端部が前記第1部材の中間部分に、回動自在に軸支された第1補助部材と、
軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部に回動自在に軸支され、他方の端部が前記第2部材の中間部分に、回動自在に軸支された第2補助部材と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座部が昇降する椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、楽器演奏用等の椅子は、使用者の体格に合わせ、使用者が着座する着座部の高さを調整する機能を備える。
【0003】
例えば、特許文献1には、下方の固定ベースと上方の可動ベースとに、それぞれ支持されたX形のリンク機構を、長手方向に並設し、それら2個のリンク機構が、右ねじと左ねじとからなるターンバックル形のボルトによって連結され、ボルトの先端に配置されたノブを回転することにより、可動ベースの上に配置された着座部である座板を昇降させる楽器演奏用椅子が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-14477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ターンバックル形のボルトをノブにより回転させて、座板を昇降させる場合、座板等の重さが、リンク機構とボルトとが螺合する部分の摩擦力となり、ノブを回転させるには比較的大きな力が必要となるといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、比較的小さな力で、着座部を昇降可能な椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 使用者が着座する着座部と、
前記着座部を下方から支持する支持部と、
前記支持部に固定され、前記着座部を昇降する昇降部と、を備え、
前記昇降部は、
軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が前記支持部にスライド自在に接続された第1部材と、
軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が前記支持部にスライド自在に接続された第2部材と、
一端側が、前記第1部材に接続された第1接続部に接続され、他端側が、前記第2部材が接続された第2接続部に接続され、使用者の操作に基づき、内圧により全長が変化する伸縮部材と、を有し、
前記伸縮部材の全長が伸びることで、前記第1接続部と前記第2接続部が離間し、前記着座部が上昇し、
前記伸縮部材の全長が縮むことで、前記第1接続部と前記第2接続部が近接し、前記着座部が降下することを特徴とする椅子。
【0008】
(1)の発明において、椅子は、着座部と、支持部と、昇降部と、を備える。
着座部は、使用者が着座する。
支持部は、着座部を下方から支持する。
昇降部は、支持部に固定され、第1部材と、第2部材と、伸縮部材と、を有し、着座部を昇降する。
第1部材は、軸形状に形成され、一方の端部が着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が支持部にスライド自在に接続されている。
第2部材は、軸形状に形成され、一方の端部が着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が支持部にスライド自在に接続されている。
伸縮部材は、一端側が、第1部材に接続された第1接続部に接続され、他端側が、第2部材が接続された第2接続部に接続され、使用者の操作に基づき、内圧により全長が変化する。
そして、椅子は、伸縮部材の全長が伸びることで、第1接続部と第2接続部が離間し、着座部が上昇し、伸縮部材の全長が縮むことで、第1接続部と第2接続部が近接し、着座部が降下する。
【0009】
(1)の発明によれば、使用者の操作に基づき、内圧により全長が変化する伸縮部材が伸びることで、第1接続部と第2接続部が離間し、着座部が上昇し、伸縮部材の全長が縮むことで、第1接続部と第2接続部が近接し、着座部が降下する。
これにより、例えば、ボルト等の螺合する部材のように、着座部の重さが摩擦力になってしまう部材を用いることなく、第1接続部と第2接続部を離間又は近接し、着座部を昇降することが可能となる。また、伸縮部材の全長の伸縮を、内圧により行うことで、スムーズに、着座部を昇降することが可能となる。
したがって、比較的小さな力で、着座部を昇降可能な椅子を提供できる。
【0010】
(2) 前記昇降部は、
前記第1部材と、軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が前記支持部にスライド自在に接続され、中央で前記第1部材に回動自在に接続された別第1部材と、を備える第1昇降部と、
前記第2部材と、軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が前記支持部にスライド自在に接続され、中央で前記第2部材に回動自在に接続された別第2部材と、を備える第2昇降部と、を備え、
前記第1接続部は、前記着座部側に設けられ、
前記第2接続部は、前記支持部側に設けられ、
前記第1部材と前記別第1部材の両端部の間隔及び前記第2部材と前記別第2部材の両端部の間隔が、それぞれ近接することで、前記着座部が上昇し、
前記第1部材と前記別第1部材の両端部の間隔及び前記第2部材と前記別第2部材の両端部の間隔が、それぞれ離間することで、前記着座部が降下することを特徴とする(1)に記載の椅子。
【0011】
(2)の発明において、昇降部は、第1昇降部と、第2昇降部と、を備える。
第1昇降部は、第1部材と、軸形状に形成され、一方の端部が着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が支持部にスライド自在に接続され、中央で第1部材に回動自在に接続された別第1部材と、を備える。
第2昇降部は、第2部材と、軸形状に形成され、一方の端部が着座部にスライド自在に接続され、他方の端部が支持部にスライド自在に接続され、中央で第2部材に回動自在に接続された別第2部材と、を備える。
第1接続部は、着座部側に設けられている。
第2接続部は、支持部側に設けられている。
そして、椅子は、第1部材と別第1部材の両端部の間隔及び第2部材と別第2部材の両端部の間隔が、それぞれ近接することで、着座部が上昇する。
また、椅子は、第1部材と別第1部材の両端部の間隔及び第2部材と別第2部材の両端部の間隔が、それぞれ離間することで、着座部が降下する。
【0012】
(2)の発明によれば、伸縮部材は、一端側(第1接続部)が、第1部材を備える第1昇降部の着座部側に接続され、他端側(第2接続部)が、第2部材を備える第2昇降部の支持部側に接続されている。すなわち、伸縮部材は、第1昇降部及び第2昇降部に対して、斜めに配置されている。
これにより、例えば、第1昇降部及び第2昇降部に対して、水平に配置された場合に比べ、より小さい力で、着座部を昇降することが可能となる。
【0013】
(3) 前記昇降部は、
軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部に回動自在に軸支され、他方の端部が前記第1部材の中間部分に、回動自在に軸支された第1補助部材と、
軸形状に形成され、一方の端部が前記着座部に回動自在に軸支され、他方の端部が前記第2部材の中間部分に、回動自在に軸支された第2補助部材と、を備えることを特徴とする(1)又は(2)に記載の椅子。
【0014】
(3)の発明において、昇降部は、第1補助部材と、第2補助部材と、を備える。
第1補助部材は、軸形状に形成され、一方の端部が着座部に回動自在に軸支され、他方の端部が第1部材の中間部分に、回動自在に軸支されている。
第2補助部材は、軸形状に形成され、一方の端部が着座部に回動自在に軸支され、他方の端部が第2部材の中間部分に、回動自在に軸支されている。
【0015】
(3)の発明によれば、第1部材の中間部分に、着座部に回動自在に軸支された第1補助部材を回動自在に軸支させ、第2部材の中間部分に、着座部に回動自在に軸支された第2補助部材を回動自在に軸支させた。
ここで、着座部を最下位置まで降下させた場合に、第1部材と第2部材が水平又は水平に近い状態となると、伸縮部材の全長を伸ばし第1接続部と第2接続部を離間させようとしても、第1部材と第2部材の端部が、着座部と接続された部分のスライド方向の端部に支えてしまい、第1接続部と第2接続部を離間させることができなくなってしまう(着座部を上昇させることができなくなってしまう)。
(3)の発明によれば、第1補助部材及び第2補助部材を設けたことで、第1部材と第2部材が水平又は水平に近い状態となることを防止できるので、着座部を上昇させることができなくなってしまう状態となることを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、比較的小さな力で、着座部を昇降可能な椅子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る椅子の分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る昇降部を斜め下方から視た斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る昇降部を斜め下方から視た斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、同一又は類似の構成には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図である。本実施形態では、椅子1は、例えば、ピアノ等の楽器を演奏する使用者が着座する楽器用の椅子であるが、これに限らず、椅子1は、多様な用途の椅子に適用することが可能である。
【0020】
椅子1は、使用者が着座する着座部10と、着座部10を下方から支持する支持部20と、支持部20に固定され、着座部10を昇降させる昇降部30と、支持部20に取り付けられ、使用者が足を掛けることが可能な補助部40と、を備える。
【0021】
着座部10は、上面側に、使用者が着座するクッションが配置され、下面側が、支持部20に固定された昇降部30に接続されている。着座部10は、図1に示す例では、上面視で、四角形状に形成されているが、これに限らず、円形形状、その他の多角形形状に形成してもよい。
【0022】
支持部20は、着座部10の外周近傍(図1に示す例では、4つのコーナー)の下側において、下方に延びる複数(図1に示す例では、4本)の脚部21と、互いに隣接する脚部21の上端側を、互いに連結する枠部22と、を備える。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係る椅子の分解斜視図である。
昇降部30は、支持部20に固定される下部材310と、着座部10に固定される上部材320と、下部材310及び上部材320に接続され、下部材310及び上部材320を互いに離間又は近接させる昇降部材330と、を備え、着座部10を昇降する。
【0024】
図3及び図4は、本発明の一実施形態に係る昇降部を斜め下方から視た斜視図である。図3は、下部材310及び上部材320が互いに近接した状態を示している。図4は、下部材310及び上部材320が互いに離間した状態を示している。
【0025】
下部材310は、支持部20の互いに対面する一対の枠部22(図1参照)の内側側面にそれぞれ取り付けられ、当該枠部22に沿って延びる板状体で形成されている。
【0026】
一対の下部材310は、それぞれ、枠部22(図1参照)の延びる方向(図3に示す例では、左右方向)に沿って、下部材310が延びる方向に沿って延びる孔であり、後述する第1部材341の下方側の端部が、スライド自在に係合する第1ガイド311が形成されている。
【0027】
一対の下部材310は、それぞれ、枠部22(図1参照)の延びる方向(図3に示す例では、左右方向)に沿って、下部材310が延びる方向に沿って延びる孔であり、後述する第2部材351の下方側の端部が、スライド自在に係合し、第1ガイド311と同じ長さで形成された第2ガイド312が形成されている。
【0028】
上部材320は、着座部10の下面に取り付けられ、上面視で四角形の枠形状に形成されている。
【0029】
上部材320は、着座部10(図1参照)の延びる方向(図3に示す例では、左右方向)に沿って延びる互いに対向する枠(一対の下部材310の上方において、一対の下部材310と平行して配置された枠)にそれぞれ、当該枠が延びる方向に沿って延びる孔であり、後述する第1部材341の上方側の端部が、スライド自在に係合する第1ガイド321が形成されている。
【0030】
また、上部材320は、当該枠にそれぞれ、当該枠が延びる方向に沿って延び、第1ガイド321より長い孔であり、後述する別第1部材342の上方側の端部が、スライド自在に係合する別第1ガイド322が形成されている。
【0031】
また、上部材320は、当該枠にそれぞれ、当該枠が延びる方向に沿って延び、第1ガイド321と同じ長さの孔であり、後述する第2部材351の上方側の端部が、スライド自在に係合する第2ガイド323が形成されている。
【0032】
また、上部材320は、当該枠にそれぞれ、当該枠が延びる方向に沿って延び、別第1ガイド322と同じ長さの孔であり、後述する別第2部材352の上方側の端部が、スライド自在に係合する別第2ガイド324が形成されている。
【0033】
下部材310と上部材320との間には、上部材320の移動方向に伸縮可能な壁部材(例えば、蛇腹等)を配置してもよい。これにより、下部材310と上部材320とが離間した状態から、下部材310と上部材320とが近接する場合に、使用者が指を挟むのを防止することが可能となる。
【0034】
昇降部材330は、互いに対向して(図3及び図4に示す例では、前後に)配置された一対の第1昇降部340と、着座部10(図2参照)の延びる方向に沿って、第1昇降部340と並列して、互いに対向して(図3及び図4に示す例では、前後に)配置された一対の第2昇降部350と、第1昇降部340と第2昇降部350とを連動して動作させる伸縮部材370と、を備える。
【0035】
第1昇降部340は、前方から視て、略X字形状に形成され、所定方向に傾斜して配置された第1部材341と、中央で第1部材341に回動自在に接続され、所定方向と反対方向に傾斜して配置された別第1部材342と、を備る。第1昇降部340は、第1部材341及び別第1部材342の上端側及び下端側が離間した状態(図3に示す状態)から、第1部材341及び別第1部材342の上端側及び下端側が近接した状態(図4に示す状態)となることで、高さが高くなる(上端と下端とが離間する。)。
【0036】
第1部材341は、軸形状に形成され、上方側の端部が、着座部10(図1参照)に取り付けられた上部材320の第1ガイド321にスライド自在に接続されている。また、第1部材341は、下方側の端部が、支持部20の枠部22(図1参照)に取り付けられた下部材310の第1ガイド311にスライド自在に接続されている。
【0037】
別第1部材342は、軸形状に形成され、上方側の端部が、着座部10(図1参照)に取り付けられた上部材320の別第1ガイド322にスライド自在に接続されている。また、別第1部材342は、下方側の端部が、支持部20の枠部22(図1参照)に取り付けられた下部材310に回動自在に軸支されている。
【0038】
第2昇降部350は、前方から視て、略X字形状に形成され、所定方向と反対方向に傾斜して配置された第2部材351と、中央で第2部材351に回動自在に接続され、所定方向に傾斜して配置された別第2部材352と、を備える。第2昇降部350は、第2部材351及び別第2部材352の上端側及び下端側が離間した状態(図3に示す状態)から、第2部材351及び別第2部材352の上端側及び下端側が近接した状態(図4に示す状態)となることで、高さが高くなる(上端と下端とが離間する。)。
【0039】
第2部材351は、軸形状に形成され、上方側の端部が、着座部10(図1参照)に取り付けられた上部材320の第2ガイド323にスライド自在に接続されている。また、第2部材351は、下方側の端部が、支持部20の枠部22(図1参照)に取り付けられた下部材310の第2ガイド312にスライド自在に接続されている。
【0040】
別第2部材352は、軸形状に形成され、上方側の端部が、着座部10(図1参照)に取り付けられた上部材320の別第2ガイド324にスライド自在に接続されている。また、別第2部材352は、下方側の端部が、支持部20の枠部22(図1参照)に取り付けられた下部材310に回動自在に軸支されている。
【0041】
一対の第1部材341、一対の別第1部材342、一対の第2部材351及び一対の別第2部材352は、上方側の端部において、それぞれ第1接続部361により接続されている。
【0042】
また、一対の第1部材341、一対の別第1部材342、一対の第2部材351及び一対の別第2部材352は、下方側の端部において、それぞれ第2接続部362により接続されている。
【0043】
第1接続部361及び第2接続部362は、一対の第1部材341、一対の別第1部材342、一対の第2部材351及び一対の別第2部材352の配列方向(図3及び図4に示す例では、前後方向)に延びる軸状体である。第1接続部361及び第2接続部362は、円柱形状でもよいし、アングル形状でもよい。
【0044】
また、一対の第1部材341には、それぞれ、第1補助部材363が接続されている。
第1補助部材363は、軸形状に形成され、一方の端部が、着座部10(図1参照)に取り付けられた上部材320に回動自在に軸支され、他方の端部が、第1部材341の中間部分に、回動自在に軸支されている。
【0045】
また、一対の第2部材351には、それぞれ、第2補助部材364が接続されている。
第2補助部材364は、軸形状に形成され、着座部10(図1参照)に取り付けられた上部材320に回動自在に軸支され、他方の端部が、第2補助部材364の中間部分に、回動自在に軸支されている。
【0046】
伸縮部材370は、ガスばね、金属ばね、樹脂ばね又は流体ばね等のシリンダで構成され、一端側が、第1部材341の上方側の端部に接続された第1接続部361に接続され、他端側が、第2部材351の下方側の端部に接続された第2接続部362に接続され、例えば、シリンダ内におけるガス(気体不活性)ばねによる内圧により全長が変化し、使用者の操作に基づき、ロック又はロックが解除される。また、伸縮部材370は、油圧式又は機械式等のロック機構を備える。
【0047】
例えば、伸縮部材370は、全長を変化しないロック状態を、操作部371における使用者の操作により、全長を変化可能な解除状態に移行することができる。伸縮部材370は、最も短い状態(図3に示す状態)において、操作部371が操作され解除状態に移行すると、全長が伸び、図4に示す状態となる。また、伸縮部材370は、全長が伸びた状態(図4に示す状態)において、操作部371が操作され解除状態に移行したときに、着座部10(図1参照)に使用者が座り、その重さで、全長が縮む方向に圧力がかかると、全長が縮み、操作部371の操作を止めると、その時の全長でロックされる。
【0048】
このように、本実施形態の椅子1は、斜めに配置された1本の伸縮部材370で昇降が手軽にかつスピーディにできるので、その他の昇降機構を設けた場合に比べ、スペース効率に優れ、経済性に優れる。また、椅子1は、全体的に、各部材を回動自在に軸支させるリンクを多用することで、可動域を広くとることが可能となっている。なお、伸縮部材370は、1本が望ましいが、複数本設けてもよい。
【0049】
次に、椅子1の動作について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図である。
椅子1は、図1に示す着座部10が最も低い状態において、使用者が操作部371を操作し、伸縮部材370のロックを解除すると、伸縮部材370の全長が伸びる。すると、第1昇降部340の第1部材341の上方側の端部に接続された第1接続部361と、第2部材351の下方側の端部に接続された第2接続部362とが、互いに離間する。
これにより、第1昇降部340の第1部材341及び別第1部材342と、第2昇降部350の第2部材351及び別第2部材352と、の上端側及び下端側が近接した状態(図4に示す状態)となり、図1に示す着座部10が、支持部20から離れた位置に移動し、図5に示す状態となる。
【0050】
また、椅子1は、図5に示す着座部10が、支持部20から離れた位置に移動した状態において、使用者が操作部371を操作し、伸縮部材370のロックを解除し、例えば、着座部10に座り、着座部10を下方に押圧すると、伸縮部材370の全長が縮む。すると、第1昇降部340の第1部材341の上方側の端部に接続された第1接続部361と、第2部材351の下方側の端部に接続された第2接続部362とが、互いに近接する。
これにより、第1昇降部340の第1部材341及び別第1部材342と、第2昇降部350の第2部材351及び別第2部材352と、の上端側及び下端側が離間した状態(図3に示す状態)となり、図5に示す着座部10が、支持部20に近接した位置に移動し、図1に示す状態となる。
【0051】
使用者は、このような着座部10を昇降させる操作において、着座部10が所望の高さとなった位置で、操作部371の操作を止めることで、伸縮部材370がロックされ、全長が伸縮しなくなり、着座部10を所望の高さで固定することができる。
【0052】
図1に戻って、補助部40は、例えば、互いに隣接する2本の脚部21の中間部分に、跨がって配置される板形状の部材であり、楽器(例えば、ピアノ)を演奏するのに適切な位置に、着座部10の高さを調節した場合に、例えば、使用者が、子供等のように体格が比較的小さく、足が床に付かない場合に、当該使用者が足をのせる部材である。補助部40は、互いに隣接する2本の脚部21の中間部分において、高さを調整可能に構成されている。
【0053】
このような椅子1によれば、使用者の操作に基づき、内圧により全長が変化する伸縮部材370が伸びることで、第1接続部361と第2接続部362が離間し、着座部10が上昇し、伸縮部材370の全長が縮むことで、第1接続部361と第2接続部362が近接し、着座部10が降下する。
これにより、例えば、ボルト等の螺合する部材のように、着座部10の重さが摩擦力になってしまう部材を用いることなく、第1接続部361と第2接続部362を離間又は近接し、着座部10を昇降することが可能となる。また、伸縮部材370の全長の伸縮を、ガスばね又は金属ばね等により行うことで、スムーズに、着座部10を昇降することが可能となる。
したがって、比較的小さな力で、着座部10を昇降可能な椅子を提供できる。
【0054】
また、椅子1によれば、伸縮部材370は、一端側(第1接続部361)が、第1部材341を備える第1昇降部340の着座部10側に接続され、他端側(第2接続部362)が、第2部材351を備える第2昇降部350の支持部20側に接続されている。すなわち、伸縮部材370は、第1昇降部340及び第2昇降部350に対して、斜めに配置されている。
これにより、例えば、第1昇降部340及び第2昇降部350に対して、水平に配置された場合に比べ、より小さい力で、着座部10を昇降することが可能となる。
【0055】
また、椅子1によれば、第1補助部材363及び第2補助部材364を設けたことで、第1部材341と第2部材351が水平又は水平に近い状態となることを防止できるので、着座部10を上昇させることができなくなってしまう状態となることを防止できる。
【0056】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 椅子
10 着座部
20 支持部
21 脚部
22 枠部
30 昇降部
40 補助部
310 下部材
311 第1ガイド
312 第2ガイド
320 上部材
321 第1ガイド
322 別第1ガイド
323 第2ガイド
324 別第2ガイド
330 昇降部材
340 第1昇降部
341 第1部材
342 別第1部材
350 第2昇降部
351 第2部材
352 別第2部材
361 第1接続部
362 第2接続部
363 第1補助部材
364 第2補助部材
370 伸縮部材
371 操作部
図1
図2
図3
図4
図5