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特開2022-145396風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法
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  • 特開-風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145396
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20220926BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20220926BHJP
   F03D 80/30 20160101ALI20220926BHJP
【FI】
F03D7/04 Z
F03D1/06 A
F03D80/30
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099058
(22)【出願日】2021-06-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2021046630
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】王 道洪
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB01
3H178BB43
3H178CC02
3H178DD54Z
3H178EE40
(57)【要約】
【課題】 ブレードの絶縁体部分に着雷することを抑制する風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法を提供することである。
【解決手段】 風力発電装置100は、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130とを有する。第2ブレード120の補助導体122、123、124、125、126は、第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置する場合に、主導体111に対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。第3ブレード130の補助導体132、133、134、135、136は、第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置する場合に、主導体111に対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとを有する風力発電装置の回転羽根において、
前記第1ブレードは、
前記第1ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第1主導体と、
前記第1主導体と電気的に接続されている第1補助導体と、
を有し、
前記第2ブレードは、
前記第2ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第2主導体と、
前記第2主導体と電気的に接続されている第2補助導体と、
を有し、
前記第3ブレードは、
前記第3ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第3主導体と、
前記第3主導体と電気的に接続されている第3補助導体と、
を有し、
前記第1ブレードの前記先端が地面から最も離れた位置に位置するときに前記第1ブレードおよび前記第2ブレードおよび前記第3ブレードをこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、
射影後の前記第2ブレードの前記第2補助導体は、
射影後の前記第1ブレードの前記根本から前記先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いており、
射影後の前記第3ブレードの前記第3補助導体は、
射影後の前記第1ブレードの前記根本から前記先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いていること
を含む風力発電装置の回転羽根。
【請求項2】
請求項1に記載の風力発電装置の回転羽根において、
前記第2ブレードの前記第2補助導体は、
第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、
前記第2ブレードを貫通しており、
前記第2ブレードの前記第2補助導体の前記第1先端部および前記第2先端部は、
前記第2ブレードの外部に露出しており、
前記第2補助導体は、
前記第2主導体に対して55°以上65°以下の角度をもつ方向を向いて配置されており、
前記第3ブレードの前記第3補助導体は、
第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、
前記第3ブレードを貫通しており、
前記第3ブレードの前記第3補助導体の前記第1先端部および前記第2先端部は、
前記第3ブレードの外部に露出しており、
前記第3補助導体は、
前記第3主導体に対して55°以上65°以下の角度をもつ方向を向いて配置されていること
を含む風力発電装置の回転羽根。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の風力発電装置の回転羽根において、
前記第1ブレードの前記第1補助導体は、
前記第1ブレードの前記先端に向かうにつれて前記第1主導体から離れており、
前記第1ブレードの前記第1補助導体は、
前記第1ブレードの前記第1主導体に対して3°以上45°以下で配置されていること
を含む風力発電装置の回転羽根。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の風力発電装置の回転羽根において、
前記第1ブレードの前記第1主導体および前記第1補助導体と、
前記第2ブレードの前記第2主導体および前記第2補助導体と、
前記第3ブレードの前記第3主導体および前記第3補助導体とは、
前記第1ブレードおよび前記第2ブレードおよび前記第3ブレードの回転軸に対して互いに回転対称に配置されていること
を含む風力発電装置の回転羽根。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の風力発電装置の回転羽根において、
前記第1補助導体と前記第1主導体とが交差する交差点で前記第1補助導体と前記第1主導体と交差する補助導体と、
前記第2補助導体と前記第2主導体とが交差する交差点で前記第2補助導体と前記第2主導体と交差する補助導体と、
前記第3補助導体と前記第3主導体とが交差する交差点で前記第3補助導体と前記第3主導体と交差する補助導体と、
を含む風力発電装置の回転羽根。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の風力発電装置の回転羽根
を含む風力発電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の風力発電装置を制御する風力発電装置の制御方法において、
雷雲位置情報取得部が雷雲の位置情報を取得し、
雷雲位置判断部が、雷雲が前記風力発電装置の位置から予め定めた範囲内にあるか否かを判断し、
回転制御部が前記第1ブレードと前記第2ブレードと前記第3ブレードとの回転位置を制御し、
前記雷雲位置判断部が、雷雲が前記風力発電装置の位置から予め定めた範囲内にあると判断した場合に、
前記回転制御部は、
前記第1ブレードの前記先端が地面から最も離れた位置に位置する状態で前記第1ブレードと前記第2ブレードと前記第3ブレードとの回転を停止させること
を含む風力発電装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、落雷対策を施した風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガスを排出しない太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスに代表される再生可能エネルギーが注目されている。これらの再生可能エネルギーを効果的に利用すべく研究開発が活発になってきている。
【0003】
例えば、風力発電装置においては、ブレードへの落雷対策がなされてきている。特許文献1には、雷撃を受けるレセプタと、レセプタ同士を連結する導体層と、ブレードの内部に設けられたダウンコンダクタと、を有する風力発電装置が開示されている(特許文献1の段落[0047]-[0052])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2011/077970
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、雷がブレードの絶縁体部分に落ちるおそれがある。この場合には、ブレードの絶縁体部分が破損することがある。このため、ブレードの絶縁体部分に着雷することは、可能な限り抑制することが好ましい。
【0006】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、ブレードの絶縁体部分に着雷することを抑制する風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様における風力発電装置の回転羽根は、第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとを有する。第1ブレードは、第1ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第1主導体と、第1主導体と電気的に接続されている第1補助導体と、を有する。第2ブレードは、第2ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第2主導体と、第2主導体と電気的に接続されている第2補助導体と、を有する。第3ブレードは、第3ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第3主導体と、第3主導体と電気的に接続されている第3補助導体と、を有する。第1ブレードの先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレードおよび第2ブレードおよび第3ブレードをこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレードの第2補助導体は、射影後の第1ブレードの根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いており、射影後の第3ブレードの第3補助導体は、射影後の第1ブレードの根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0008】
この風力発電装置は、第1ブレードの先端が地面から最も離れた位置に位置する状態では、第1ブレードの第1主導体に着雷しやすく、第2ブレードおよび第3ブレードに落雷することを抑制する。第1ブレードの第1主導体に着雷したときの雷電流は、主としてダウンコンダクタを介して大地に流れる。第1ブレードの第1主導体または第1補助導体から逸れた雷撃は、第2ブレードの第2補助導体または第3ブレードの第3補助導体に着雷する。それとともに、雷電流は、第2ブレードの第2補助導体または第3ブレードの第3補助導体から大気を伝って大地に流れることができる。
【発明の効果】
【0009】
本明細書では、ブレードの絶縁体部分に着雷することを抑制する風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の風力発電装置100の概略構成図である。
図2】第1の実施形態の風力発電装置100の導体の構造を説明するための図である。
図3】第1の実施形態の風力発電装置100のナセル150の内部を示す図である。
図4】第1の実施形態の風力発電装置100のナセル150および制御部CT10を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態の風力発電装置200のブレードおよび導体を示す図である。
図6】第3の実施形態の風力発電装置300のブレードおよび導体を示す図である。
図7】第4の実施形態の風力発電装置400のブレードおよび導体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施形態について、風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。なお、ブレードの縦横比等は、実際の比と異なっていることがある。導体の配置を分かりやすくするために、縦横比をデフォルメしていることがある。
【0012】
(第1の実施形態)
1.風力発電装置
図1は、第1の実施形態の風力発電装置100の概略構成図である。風力発電装置100は、第1ブレード110と、第2ブレード120と、第3ブレード130と、ローターハブ140と、ナセル150と、タワー160と、を有する。第1ブレード110と、第2ブレード120と、第3ブレード130とを、まとめて、ブレードということがある。第1ブレード110と、第2ブレード120と、第3ブレード130との一組は、風力発電装置100の回転羽根である。
【0013】
第1ブレード110と、第2ブレード120と、第3ブレード130とは、風を受けて回転するブレードである。ローターハブ140は、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130と、ナセル150の内部の発電機の回転軸とを接続する部材である。ナセル150は、発電機と増速機とを有する。タワー160は、上記の各部を支持する支柱である。
【0014】
2.ブレード
2-1.第1ブレード
第1ブレード110は、主導体111と、補助導体112、113と、を有する。主導体111は、第1ブレード110の根本から先端に向かう向きに延伸している第1主導体である。すなわち、第1ブレード110の径方向に配置されている。主導体111は、第1ブレード110の内部に配置されている。
【0015】
主導体111は棒状である。主導体111は、先端部111aを有する。主導体111の先端部111aは、第1ブレード110の先端に露出している。主導体111においては、先端部111aが第1ブレード110の外部に露出しており、先端部111a以外の部分が第1ブレード110の内部に収容されている。主導体111の先端部111aは、第1ブレード110の外形形状にならって滑らかな形状をしている。ブレードの空気抵抗を減らすためである。主導体111は、金属またはその他の導体である。
【0016】
補助導体112、113は、主導体111に対して、所定の角度だけ回転して配置されている第1補助導体である。補助導体112、113と主導体111とがなす角の角度は、3°以上45°以下である。好ましくは、5°以上30°以下である。第1ブレード110の補助導体112、113は、第1ブレード110の先端に向かうにつれて主導体111から離れている。補助導体112、113は、第1ブレード110の根本の側で主導体111に電気的に接続されている。補助導体112、113は、その接続箇所において主導体111と合流している。
【0017】
補助導体112、113は、棒状である。補助導体112、113は、それぞれ、先端部112a、113aを有する。補助導体112、113の先端部112a、113aは、第1ブレード110の端に露出している。補助導体112、113においては、先端部112a、113aが第1ブレード110の外部に露出しており、先端部112a、113a以外の部分が第1ブレード110の内部に収容されている。補助導体112、113の先端部112a、113aは、第1ブレード110の外形形状にならって滑らかな形状をしている。補助導体112、113は、金属またはその他の導体である。
【0018】
2-2.第2ブレード
第2ブレード120は、主導体121と、補助導体122、123、124、125、126と、を有する。主導体121は、第2ブレード120の根本から先端に向かう向きに延伸している第2主導体である。すなわち、第2ブレード120の径方向に配置されている。主導体121は、第2ブレード120の内部に配置されている。
【0019】
主導体121は棒状である。主導体121は、先端部121aを有する。主導体121の先端部121aは、第2ブレード120の先端に露出している。主導体121においては、先端部121aが第2ブレード120の外部に露出しており、先端部121a以外の部分が第2ブレード120の内部に収容されている。主導体121の先端部121aは、第2ブレード120の外形形状にならって滑らかな形状をしている。主導体121は、金属またはその他の導体である。
【0020】
補助導体122、123、124、125、126は、主導体121に対して、所定の角度だけ回転して配置されている第2補助導体である。補助導体122、123、124、125、126と主導体121とがなす角の角度は、55°以上65°以下である。好ましくは、57°以上63°以下である。最も好ましくは、60°である。補助導体122、123、124、125、126は、主導体121に電気的に接続されている。
【0021】
補助導体122は、先端部122a、122bを有する。補助導体122の先端部122a、122bは、第2ブレード120の端に露出している。補助導体122においては、先端部122a、122bが第2ブレード120の外部に露出しており、先端部122a、122b以外の部分が第2ブレード120の内部に収容されている。補助導体122は、棒状であり、第2ブレード120を貫通している。補助導体122の先端部122a、122bは、第2ブレード120の外形形状にならって滑らかな形状をしている。
【0022】
補助導体122は、主導体121と交差している。補助導体122は、直線形状であるとともに、第2ブレード120を貫通している。第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置する場合には、補助導体122は主導体121と平行かまたはそれに近い方向を向いている。補助導体122は、金属またはその他の導体である。
【0023】
補助導体123、124、125、126は、補助導体122と平行に配置されている。補助導体123、124、125、126は、それぞれ、先端部123a、123bと、先端部124a、124bと、先端部125a、125bと、先端部126a、126bと、を有する。その他の点において、補助導体123、124、125、126は、補助導体122と同様である。
【0024】
2-3.第3ブレード
第3ブレード130は、主導体131と、補助導体132、133、134、135、136と、を有する。主導体131は、第3ブレード130の根本から先端に向かう向きに延伸している第3主導体である。すなわち、第3ブレード130の径方向に配置されている。主導体131は、第3ブレード130の内部に配置されている。
【0025】
主導体131は棒状である。主導体131は、先端部131aを有する。主導体131の先端部131aは、第3ブレード130の先端に露出している。主導体131においては、先端部131aが第3ブレード130の外部に露出しており、先端部131a以外の部分が第3ブレード130の内部に収容されている。主導体131の先端部131aは、第3ブレード130の外形形状にならって滑らかな形状をしている。主導体131は、金属またはその他の導体である。
【0026】
補助導体132、133、134、135、136は、主導体131に対して、所定の角度だけ回転して配置されている第3補助導体である。補助導体132、133、134、135、136と主導体131とがなす角の角度は、55°以上65°以下である。好ましくは、57°以上63°以下である。最も好ましくは、60°である。補助導体132、133、134、135、136は、主導体131に電気的に接続されている。
【0027】
補助導体132は、先端部132a、132bを有する。補助導体132の先端部132a、132bは、第3ブレード130の端に露出している。補助導体132においては、先端部132a、132bが第3ブレード130の外部に露出しており、先端部132a、132b以外の部分が第3ブレード130の内部に収容されている。補助導体132は、棒状であり、第3ブレード130を貫通している。補助導体132の先端部132a、132bは、第3ブレード130の外形形状にならって滑らかな形状をしている。
【0028】
補助導体132は、主導体131と交差している。補助導体132は、直線形状であるとともに、第3ブレード130を貫通している。第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置する場合には、補助導体132は主導体131と平行かまたはそれに近い方向を向いている。補助導体132は、金属またはその他の導体である。
【0029】
補助導体133、134、135、136は、補助導体132と平行に配置されている。補助導体133、134、135、136は、それぞれ、先端部133a、133bと、先端部134a、134bと、先端部135a、135bと、先端部136a、136bと、を有する。その他の点において、補助導体133、134、135、136は、補助導体132と同様である。
【0030】
2-4.主導体および補助導体の効果
図2は、第1の実施形態の風力発電装置100の導体の構造を説明するための図である。図2において、ブレードは破線で描かれている。図2において、第1ブレード110の先端は地面から最も離れた位置に位置する。第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード110および第2ブレード120および第3ブレード130をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合であって回転軸が水平面と平行である場合には、射影後の第1ブレード110の先端は地面に対して鉛直上方を向く。
【0031】
図2に示すように、第2ブレード120の補助導体122、123、124、125、126は、第2ブレード120の主導体121に対して55°以上65°以下の角度で配置されている。
【0032】
図2に示すように、第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード110および第2ブレード120および第3ブレード130をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレード120の補助導体122、123、124、125、126は、射影後の第1ブレード110の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0033】
図2に示すように、第3ブレード130の補助導体132、133、134、135、136は、第3ブレード130の主導体131に対して55°以上65°以下の角度で配置されている。
【0034】
図2に示すように、第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード110および第2ブレード120および第3ブレード130をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第3ブレード130の補助導体132、133、134、135、136は、射影後の第1ブレード110の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0035】
雷撃L1は、第1ブレード110の主導体111に落ちている。この場合には、雷撃L1による電流は、第1ブレード110の主導体111からローターハブ140、ナセル150、タワー160のダウンコンダクタを介して大地に流れる。なお、ダウンコンダクタについては後述する。
【0036】
雷撃L2は、第1ブレード110の補助導体112に落ちている。この場合には、雷撃L2による電流は、第1ブレード110の補助導体112から主導体111、ローターハブ140、ナセル150、タワー160のダウンコンダクタを介して大地に流れる。
【0037】
雷撃L3aは、第2ブレード120の補助導体122に落ちている。この場合には、雷撃L3aによる電流は、補助導体122の先端部122aから主に第2ブレード120の主導体121、ローターハブ140、ナセル150、タワー160のダウンコンダクタを介して大地に流れる。なお、雷撃L3aの電流の一部が補助導体122の先端部122aから122bまで流れた後、雷撃L3bとして補助導体122の先端部122bから大気を伝って大地に流れることもある。
【0038】
第1ブレード110の先端からわずかに外れた位置に落雷する場合には、第1ブレード110の補助導体112、113が雷を受け止める。
【0039】
第1ブレード110から逸れて第2ブレード120に落雷する場合には、例えば、第2ブレード120の補助導体122が雷を受け止める。この落雷による電流は、タワー160または大気を伝って大地に流れる。雷撃がさらに逸れて第2ブレード120に落ちる場合には、第2ブレード120のその他の補助導体123、124、125、126が雷撃を受け止める。
【0040】
同様に、第3ブレード130に落雷する場合には、第3ブレード130の補助導体132、133、134、135、136が雷を受け止める。
【0041】
このように、風力発電装置100における最も高い位置である第1ブレード110の先端以外に雷撃が落ちた場合であっても、その雷電流を好適に流すことができる。
【0042】
3.ナセル
図3は、第1の実施形態の風力発電装置100のナセル150の内部を示す図である。図3に示すように、ナセル150は、発電機151と、増速機152と、制御部CT10と、を有する。
【0043】
発電機151は、風を受けたブレードが回転することにより発電する発電部である。増速機152は、ブレードの回転により回転する回転軸の回転を増加させる。軸AX2は、ブレードとともに回転する回転軸である。軸AX2は、ブレードと増速機152とに連結されている。軸AX1は、増速機152と発電機151とに連結されている。増速機152は、軸AX2から入力された回転を増加させて軸AX1に伝達する。
【0044】
制御部CT10については後述する。
【0045】
4.制御系
図4は、第1の実施形態の風力発電装置100のナセル150および制御部CT10を示すブロック図である。制御部CT10は、雷雲位置情報取得部CT11と、雷雲位置判断部CT12と、回転制御部CT13と、を有する。
【0046】
雷雲位置情報取得部CT11は、雷雲の位置情報を取得する。例えば、気象庁の雷ナウキャストから、推定された雷雲位置の情報を取得する。雷雲位置情報取得部CT11は、電気通信回線等に接続されている。
【0047】
雷雲位置判断部CT12は、雷雲位置情報取得部CT11により取得された雷雲の位置情報と風力発電装置100の位置とを比較する。そして、風力発電装置100の位置から予め定めた範囲内に雷雲が存在するか否かを判断する。
【0048】
回転制御部CT13は、ブレードの回転および位置を制御する。回転制御部CT13は、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130との回転位置を制御する。回転制御部CT13は、発電機151の回転状態を制御することができる。また、ブレードと連結されている軸AX2にエンコーダ等の回転位置センサーを設けてもよい。回転制御部CT13は、ブレードの位置を高い精度で制御することができる。
【0049】
5.風力発電装置の動作および制御方法
雷雲位置情報取得部CT11は、通信回線から雷雲位置情報を取得し続ける。雷雲位置判断部CT12は、取得した雷雲位置情報から雷雲が風力発電装置100の近くに位置しているか否かを判断する。雷雲位置判断部CT12が、雷雲が風力発電装置100の位置から予め定めた範囲内に存在すると判断した場合に、回転制御部CT13がブレードの回転を減速する。回転制御部CT13が、第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置する状態で、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130との回転を停止させる。
【0050】
雷雲位置判断部CT12が、雷雲が風力発電装置100から離れたと判断した場合に、回転制御部CT13がブレードの回転の停止を解除する。これにより、ブレードが回転し始め、風力発電装置100は、再び発電を開始する。
【0051】
6.第1の実施形態の効果
第1の実施形態の風力発電装置100は、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130とを有する。雷雲が風力発電装置100の近くに存在する場合には、第1ブレード110が地面から最も離れた位置に位置するようにブレードを停止させる。第1ブレード110は主導体111の他に補助導体112、113を有する。このため、雷撃が第1ブレード110の先端から外れた場合であっても、第1ブレード110の補助導体112、113に雷撃が落ちる。このため、第1ブレード110の絶縁体部分に落雷するおそれがほとんどない。
【0052】
また、第2ブレード120は、主導体121と補助導体122とを有する。補助導体122は、先端部122a、122bを有する。先端部122a、122bは、第2ブレード120の外側に露出している。風力発電装置100は、雷雲からの雷撃を先端部122aで受け止めるとともに、雷電流を先端部122bから大気を伝達させて大地に流すことができる。したがって、ブレードの絶縁体部分が雷撃を受けるおそれがほとんどない。
【0053】
また、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130とが回転を停止しているため、ブレードに落ちた雷撃の雷電流をダウンコンダクタから大地に流すことが容易である。
【0054】
7.変形例
7-1.制御部
制御部CT10は、ナセル150の外部にあってもよい。制御部CT10は、例えば、風力発電装置100の外部のコントロールセンターの内部にあってもよい。コントロールセンターは、例えば、複数の風力発電装置100を一括して管理することができる。
【0055】
7-2.モーター
風力発電装置は、図4に示すように、軸AX1または軸AX2を回転可能な回転部153を有するとよい。回転部153は、例えば、モーターである。回転制御部CT13が回転部153の回転を制御することにより、第1ブレード110が地面から最も離れた位置に位置するように第1ブレード110を制止させることができる。
【0056】
7-3.補助導体
補助導体の本数やレイアウトは、ブレードの形状や大きさに応じて最適化することが可能である。例えば、補助導体112、113の本数を3本以上とし、主導体111に対して上下方向の位置をずらして配置したり、主導体111を取り囲むように配置したりしてもよい。
【0057】
7-4.ダウンコンダクタ
風力発電装置100は、第1ブレード110の主導体111と、第2ブレード120の主導体121と、第3ブレード130の主導体131と、導通するダウンコンダクタを有するとよい。ダウンコンダクタは、接地されている。
【0058】
7-5.主導体および補助導体の露出部分
第1の実施形態では、補助導体112、113の先端部112a、113aは、ブレードの外形形状に沿うように滑らかな形状をしている。しかし、ブレードの外部に露出する先端部112a、113aは、必ずしもブレードの外形形状に沿うように滑らかでなくてもよい。例えば、凹凸があってもよい。その他の主導体および補助導体の露出部分についても同様である。
【0059】
7-6.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてよい。
【0060】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点はブレードである。このため、ブレードを中心に説明する。
【0061】
1.ブレード
図5は、第2の実施形態の風力発電装置200のブレードおよび導体を示す図である。風力発電装置200は、第1ブレード210と第2ブレード220と第3ブレード230とを有する。第1ブレード210は、主導体211と補助導体212、213、214、215とを有する。第2ブレード220は、主導体221と補助導体222、223、224、225とを有する。第3ブレード230は、主導体231と補助導体232、233、234、235とを有する。
【0062】
主導体211は、第1ブレード210の根本から先端に向かう向きに配置されている。主導体211は、第1ブレード210の径方向に配置されている。補助導体212、213、214、215は、主導体211に対して60°の角度で交差するように配置されている。補助導体212、213、214、215は、主導体211に電気的に接続されている。
【0063】
第2ブレード220および第3ブレード230についても、第1ブレード210と同様である。
【0064】
2.ブレードの対称性
第1ブレード210の主導体211および補助導体212、213、214、215と、第2ブレード220の主導体221および補助導体222、223、224、225と、第3ブレード230の主導体231および補助導体232、233、234、235とは、第1ブレード210および第2ブレード220および第3ブレード230の回転軸に対して互いに回転対称に配置されている。
【0065】
図5に示すように、第1ブレード210の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード210および第2ブレード220および第3ブレード230をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレード220の補助導体223、225および射影後の第3ブレード230の補助導体232、234は、射影後の第1ブレード210の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0066】
図5に示すように、第2ブレード220の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード210および第2ブレード220および第3ブレード230をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第3ブレード230の補助導体233、235および射影後の第1ブレード210の補助導体212、214は、射影後の第2ブレード220の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0067】
図5に示すように、第3ブレード230の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード210および第2ブレード220および第3ブレード230をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第1ブレード210の補助導体213、215および射影後の第2ブレード220の補助導体222、224は、射影後の第3ブレード230の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0068】
第2の実施形態では、第1ブレード210と第2ブレード220と第3ブレード230とがブレードの回転軸に対して120°の回転対称(3回対称)である。このため、雷雲が風力発電装置200の近くに存在する場合には、第1ブレード210と第2ブレード220と第3ブレード230とのうちの一つのブレードについて地面から最も離れた位置に位置するように停止させればよい。
【0069】
3.第2の実施形態の効果
第1の実施形態と同様に、第1ブレード210の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第1ブレード210の主導体211と補助導体212、213、214、215が主に雷を受け止める。また、第1ブレード210の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第2ブレード220の補助導体223、225および第3ブレード230の補助導体232、234が、雷を受け止める。このため、ブレードの絶縁体部分が雷撃を受けるおそれがほとんどない。
【0070】
また、落雷が第1ブレード210と第2ブレード220と第3ブレード230とに分散される。そのため、第1ブレード210に落雷が集中するおそれがほとんどない。
【0071】
4.変形例
第1の実施形態の変形例と組み合わせてもよい。また、補助導体の本数やレイアウトは、静止状態においてブレード内で最大長をとることができるように、ブレードの形状や大きさに応じて最適化することが可能である。補助導体212-215、222-225、232-235の本数を増減してもよい。
【0072】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点はブレードである。このため、ブレードを中心に説明する。
【0073】
1.ブレード
図6は、第3の実施形態の風力発電装置300のブレードおよび導体を示す図である。風力発電装置300は、第1ブレード310と第2ブレード320と第3ブレード330とを有する。第1ブレード310は、主導体311と補助導体312、313、314、315とを有する。第2ブレード320は、主導体321と補助導体322、323、324、325とを有する。第3ブレード330は、主導体331と補助導体332、333、334、335とを有する。
【0074】
主導体311は、第1ブレード310の根本から先端に向かう向きに配置されている。主導体311は、第1ブレード310の径方向に配置されている。補助導体312、313、314、315は、主導体311に対して60°の角度で交差するように配置されている。補助導体312、313、314、315は、主導体311に電気的に接続されている。
【0075】
第2ブレード320および第3ブレード330についても、第1ブレード310と同様である。
【0076】
2.ブレードの対称性
第1ブレード310の主導体311および補助導体312、313、314、315と、第2ブレード320の主導体321および補助導体322、323、324、325と、第3ブレード330の主導体331および補助導体332、333、334、335とは、第1ブレード310および第2ブレード320および第3ブレード330の回転軸に対して互いに回転対称に配置されている。
【0077】
図6に示すように、第1ブレード310の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード310および第2ブレード320および第3ブレード330をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレード320の補助導体323、325および射影後の第3ブレード330の補助導体332、334は、射影後の第1ブレード310の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0078】
図6に示すように、第2ブレード320の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード310および第2ブレード320および第3ブレード330をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第3ブレード330の補助導体333、335および射影後の第1ブレード310の補助導体312、314は、射影後の第2ブレード320の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0079】
図6に示すように、第3ブレード330の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード310および第2ブレード320および第3ブレード330をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第1ブレード310の補助導体313、315および射影後の第2ブレード320の補助導体322、324は、射影後の第3ブレード330の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0080】
第3の実施形態では、第1ブレード310と第2ブレード320と第3ブレード330とがブレードの回転軸に対して120°の回転対称(3回対称)である。このため、雷雲が風力発電装置300の近くに存在する場合には、第1ブレード310と第2ブレード320と第3ブレード330とのうちの一つのブレードについて地面から最も離れた位置に位置するように停止させればよい。
【0081】
3.第3の実施形態の効果
第1の実施形態と同様に、第1ブレード310の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第1ブレード310の主導体311と補助導体312、313、314、315が主に雷を受け止める。また、第1ブレード310の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第2ブレード320の補助導体323、325および第3ブレード330の補助導体332、334が、雷を受け止める。このため、ブレードの絶縁体部分が雷撃を受けるおそれがほとんどない。
【0082】
また、落雷が第1ブレード310と第2ブレード320と第3ブレード330とに分散される。そのため、第1ブレード310に落雷が集中するおそれがほとんどない。
【0083】
4.変形例
第1の実施形態の変形例と組み合わせてもよい。また、補助導体の本数やレイアウトは、静止状態においてブレード内で最大長をとることができるように、ブレードの形状や大きさに応じて最適化することが可能である。補助導体312-315、322-325、332-335の本数を増減してもよい。
【0084】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点はブレードである。このため、ブレードを中心に説明する。
【0085】
1.ブレード
図7は、第4の実施形態の風力発電装置400のブレードおよび導体を示す図である。風力発電装置400は、第1ブレード410と第ブレード420と第3ブレード430とを有する。第1ブレード410は、主導体411と補助導体412a、412b、412c、412d、412e、413a、413b、413c、413d、413eとを有する。第2ブレード420は、主導体421と補助導体422a、422b、422c、422d、422e、423a、423b、423c、423d、423eとを有する。第3ブレード430は、主導体431と補助導体432a、432b、432c、432d、432e、433a、433b、433c、433d、433eとを有する。
【0086】
主導体411は、第1ブレード410の根本から先端に向かう向きに配置されている。主導体411は、第1ブレード410の径方向に配置されている。補助導体412aは、主導体411に対して30°の角度で配置されている。補助導体412bは、補助導体412aに対して30°の角度で配置されている。補助導体412cは、補助導体412bに対して30°の角度で配置されている。補助導体412dは、補助導体412cに対して30°の角度で配置されている。補助導体412eは、補助導体412dに対して30°の角度で配置されている。補助導体412a、412b、412c、412d、412eは、主導体411から順次30°の角度で交差するように配置されている。
【0087】
補助導体413a、413b、413c、413d、413eは、補助導体412a、412b、412c、412d、412eよりも第1ブレード410の根本側にある。補助導体413a、413b、413c、413d、413eのそれぞれが互いになす角の角度は、補助導体412a、412b、412c、412d、412eと同様である。補助導体412a、412b、412c、412d、412e、413a、413b、413c、413d、413eは、主導体411に電気的に接続されている。
【0088】
補助導体412a、412b、412c、412d、412eは、1箇所で主導体411に交差している。すなわち、補助導体412aと主導体411とが交差する交差点で補助導体412aと主導体411と交差する補助導体412b、412c、412d、412eを有する。補助導体413a、413b、413c、413d、413eは、1箇所で主導体411に交差している。すなわち、補助導体413aと主導体411とが交差する交差点で補助導体413aと主導体411と交差する補助導体413b、413c、413d、413eを有する。
【0089】
第2ブレード420および第3ブレード430についても、第1ブレード410と同様である。
【0090】
2.ブレードの対称性
第1ブレード410の主導体411および補助導体412a、412b、412c、412d、412e、413a、413b、413c、413d、413eと、第2ブレード420の主導体421および補助導体422a、422b、422c、422d、422e、423a、423b、423c、423d、423eと、第3ブレード430の主導体431および補助導体432a、432b、432c、432d、432e、433a、433b、433c、433d、433eとは、第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430の回転軸に対して互いに回転対称に配置されている。
【0091】
図7に示すように、第1ブレード410の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレード420の補助導体422d、423dおよび射影後の第3ブレード430の補助導体432b、433bは、射影後の第1ブレード410の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0092】
図7に示すように、第2ブレード420の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第3ブレード430の補助導体432d、433dおよび射影後の第1ブレード410の補助導体412b、413bは、射影後の第2ブレード420の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0093】
図7に示すように、第3ブレード430の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第1ブレード410の補助導体412d、413dおよび射影後の第2ブレード420の補助導体422b、423bは、射影後の第3ブレード430の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0094】
第4の実施形態では、第1ブレード410と第2ブレード420と第3ブレード430とがブレードの回転軸に対して120°の回転対称(3回対称)である。このため、雷雲が風力発電装置400の近くに存在する場合には、第1ブレード410と第2ブレード420と第3ブレード430とのうちの一つのブレードについて地面から最も離れた位置に位置するように停止させればよい。
【0095】
さらに、第4の実施形態では、ブレードの回転を停止させなくても、回転中の各ブレードのいずれかの補助導体が、地面に対して鉛直上方または鉛直上方に近い方向を向くように構成されるため、ブレードの回転を停止させずに運用することも可能である。
【0096】
3.第4の実施形態の効果
第1の実施形態と同様に、第1ブレード410の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第1ブレード410の主導体411と補助導体412a、412b、412c、412d、412e、413a、413b、413c、413d、413eが主に雷を受け止める。また、第1ブレード410の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第2ブレード420の補助導体422a、422b、422c、422d、422e、423a、423b、423c、423d、423eおよび第3ブレード430の補助導体432a、432b、432c、432d、432e、433a、433b、433c、433d、433eが、雷を受け止める。このため、ブレードの絶縁体部分が雷撃を受けるおそれがほとんどない。
【0097】
また、第4の実施形態では、第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、ブレードの回転位置によらず、各ブレードのいずれかの補助導体は、地面に対して鉛直上方、または鉛直上方に近い方向を向くことになる。このため、この回転羽根を有する風力発電装置では、ブレードの回転中、およびブレードの回転の減速中においても、ブレードの絶縁体部分に着雷することを抑制することができる。したがって、この回転羽根を有する風力発電装置は、雷雲が近づいた状態であっても、ブレードの回転を停止させることなく運用することが可能である。
【0098】
4.変形例
第1の実施形態の変形例と組み合わせてもよい。また、補助導体の本数やレイアウトは、静止状態においてブレード内で最大長をとることができるように、ブレードの形状や大きさに応じて最適化することが可能である。補助導体の本数を増減してもよい。補助導体の本数が増減すると、補助導体同士または補助導体と主導体との間の相対角度は変化する。また、ブレードの根本に近づくほど、補助導体の本数を減らしてもよい。また、補助導体と主導体とが交差する交差点の個数を増減してもよい。また、補助導体と主導体とが交差する交差点とずれた位置で他の補助導体と主導体とが交差してもよい。また、主導体は必ずしも直線状でなくてもよい。
【0099】
(付記)
第1の態様における風力発電装置の回転羽根は、第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとを有する。第1ブレードは、第1ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第1主導体と、第1主導体と電気的に接続されている第1補助導体と、を有する。第2ブレードは、第2ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第2主導体と、第2主導体と電気的に接続されている第2補助導体と、を有する。第3ブレードは、第3ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第3主導体と、第3主導体と電気的に接続されている第3補助導体と、を有する。第1ブレードの先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレードおよび第2ブレードおよび第3ブレードをこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレードの第2補助導体は、射影後の第1ブレードの根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いており、射影後の第3ブレードの第3補助導体は、射影後の第1ブレードの根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0100】
第2の態様における風力発電装置の回転羽根においては、第2ブレードの第2補助導体は、第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、第2ブレードを貫通している。第2ブレードの第2補助導体の第1先端部および第2先端部は、第2ブレードの外部に露出している。第2補助導体は、第2主導体に対して55°以上65°以下の角度をもつ方向を向いて配置されている。第3ブレードの第3補助導体は、第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、第3ブレードを貫通している。第3ブレードの第3補助導体の第1先端部および第2先端部は、第3ブレードの外部に露出している。第3補助導体は、第3主導体に対して55°以上65°以下の角度をもつ方向を向いて配置されている。
【0101】
第3の態様における風力発電装置の回転羽根においては、第1ブレードの第1補助導体は、第1ブレードの先端に向かうにつれて第1主導体から離れている。第1ブレードの第1補助導体は、第1ブレードの第1主導体に対して3°以上45°以下で配置されている。
【0102】
第4の態様における風力発電装置の回転羽根においては、第1ブレードの第1主導体および第1補助導体と、第2ブレードの第2主導体および第2補助導体と、第3ブレードの第3主導体および第3補助導体とは、第1ブレードおよび第2ブレードおよび第3ブレードの回転軸に対して互いに回転対称に配置されている。
【0103】
第5の態様における風力発電装置の回転羽根においては、第1補助導体と第1主導体とが交差する交差点で第1補助導体と第1主導体と交差する補助導体と、第2補助導体と第2主導体とが交差する交差点で第2補助導体と第2主導体と交差する補助導体と、第3補助導体と第3主導体とが交差する交差点で第3補助導体と第3主導体と交差する補助導体と、を有する。
【0104】
第6の態様における風力発電装置は、上記の風力発電装置の回転羽根を有する。
【0105】
第7の態様における風力発電装置の制御方法においては、雷雲位置情報取得部が雷雲の位置情報を取得する。雷雲位置判断部が、雷雲が風力発電装置の位置から予め定めた範囲内にあるか否かを判断する。回転制御部が第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとの回転位置を制御する。雷雲位置判断部が、雷雲が風力発電装置の位置から予め定めた範囲内にあると判断した場合に、回転制御部は、第1ブレードの先端が地面から最も離れた位置に位置する状態で第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとの回転を停止させる。
【符号の説明】
【0106】
100…風力発電装置
110…第1ブレード
120…第2ブレード
130…第3ブレード
140…ローターハブ
150…ナセル
160…タワー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとを有する風力発電装置の回転羽根において、
前記第1ブレードは、
前記第1ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第1主導体と、
前記第1主導体と電気的に接続されている第1補助導体と、
を有し、
前記第2ブレードは、
前記第2ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第2主導体と、
前記第2主導体と電気的に接続されている第2補助導体と、
を有し、
前記第3ブレードは、
前記第3ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第3主導体と、
前記第3主導体と電気的に接続されている第3補助導体と、
を有し、
前記第1ブレードの前記先端が地面から最も離れた位置に位置するときに前記第1ブレードおよび前記第2ブレードおよび前記第3ブレードをこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、
射影後の前記第2ブレードの前記第2補助導体は、
射影後の前記第1ブレードの前記根本から前記先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いており、
射影後の前記第3ブレードの前記第3補助導体は、
射影後の前記第1ブレードの前記根本から前記先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いており、
前記第2ブレードの前記第2補助導体は、
第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、
前記第2ブレードを貫通しており、
前記第2ブレードの前記第2補助導体の前記第1先端部および前記第2先端部は、
前記第2ブレードの外部に露出しており、
前記第3ブレードの前記第3補助導体は、
第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、
前記第3ブレードを貫通しており、
前記第3ブレードの前記第3補助導体の前記第1先端部および前記第2先端部は、
前記第3ブレードの外部に露出していること
を含む風力発電装置の回転羽根。
【請求項2】
請求項に記載の風力発電装置の回転羽根において、
前記第1ブレードの前記第1補助導体は、
前記第1ブレードの前記先端に向かうにつれて前記第1主導体から離れており、
前記第1ブレードの前記第1補助導体は、
前記第1ブレードの前記第1主導体に対して3°以上45°以下で配置されていること
を含む風力発電装置の回転羽根。
【請求項3】
請求項に記載の風力発電装置の回転羽根において、
前記第1ブレードの前記第1主導体および前記第1補助導体と、
前記第2ブレードの前記第2主導体および前記第2補助導体と、
前記第3ブレードの前記第3主導体および前記第3補助導体とは、
前記第1ブレードおよび前記第2ブレードおよび前記第3ブレードの回転軸に対して互いに回転対称に配置されていること
を含む風力発電装置の回転羽根。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の風力発電装置の回転羽根
を含む風力発電装置。
【請求項5】
請求項に記載の風力発電装置を制御する風力発電装置の制御方法において、
雷雲位置情報取得部が雷雲の位置情報を取得し、
雷雲位置判断部が、雷雲が前記風力発電装置の位置から予め定めた範囲内にあるか否かを判断し、
回転制御部が前記第1ブレードと前記第2ブレードと前記第3ブレードとの回転位置を制御し、
前記雷雲位置判断部が、雷雲が前記風力発電装置の位置から予め定めた範囲内にあると判断した場合に、
前記回転制御部は、
前記第1ブレードの前記先端が地面から最も離れた位置に位置する状態で前記第1ブレードと前記第2ブレードと前記第3ブレードとの回転を停止させること
を含む風力発電装置の制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、落雷対策を施した風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガスを排出しない太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスに代表される再生可能エネルギーが注目されている。これらの再生可能エネルギーを効果的に利用すべく研究開発が活発になってきている。
【0003】
例えば、風力発電装置においては、ブレードへの落雷対策がなされてきている。特許文献1には、雷撃を受けるレセプタと、レセプタ同士を連結する導体層と、ブレードの内部に設けられたダウンコンダクタと、を有する風力発電装置が開示されている(特許文献1の段落[0047]-[0052])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2011/077970
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、雷がブレードの絶縁体部分に落ちるおそれがある。この場合には、ブレードの絶縁体部分が破損することがある。このため、ブレードの絶縁体部分に着雷することは、可能な限り抑制することが好ましい。
【0006】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、ブレードの絶縁体部分に着雷することを抑制する風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様における風力発電装置の回転羽根は、第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとを有する。第1ブレードは、第1ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第1主導体と、第1主導体と電気的に接続されている第1補助導体と、を有する。第2ブレードは、第2ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第2主導体と、第2主導体と電気的に接続されている第2補助導体と、を有する。第3ブレードは、第3ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第3主導体と、第3主導体と電気的に接続されている第3補助導体と、を有する。第1ブレードの先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレードおよび第2ブレードおよび第3ブレードをこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレードの第2補助導体は、射影後の第1ブレードの根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いており、射影後の第3ブレードの第3補助導体は、射影後の第1ブレードの根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。第2ブレードの第2補助導体は、第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、第2ブレードを貫通している。第2ブレードの第2補助導体の第1先端部および第2先端部は、第2ブレードの外部に露出している。第3ブレードの第3補助導体は、第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、第3ブレードを貫通している。第3ブレードの第3補助導体の第1先端部および第2先端部は、第3ブレードの外部に露出している。
【0008】
この風力発電装置は、第1ブレードの先端が地面から最も離れた位置に位置する状態では、第1ブレードの第1主導体に着雷しやすく、第2ブレードおよび第3ブレードに落雷することを抑制する。第1ブレードの第1主導体に着雷したときの雷電流は、主としてダウンコンダクタを介して大地に流れる。第1ブレードの第1主導体または第1補助導体から逸れた雷撃は、第2ブレードの第2補助導体または第3ブレードの第3補助導体に着雷する。それとともに、雷電流は、第2ブレードの第2補助導体または第3ブレードの第3補助導体から大気を伝って大地に流れることができる。
【発明の効果】
【0009】
本明細書では、ブレードの絶縁体部分に着雷することを抑制する風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の風力発電装置100の概略構成図である。
図2】第1の実施形態の風力発電装置100の導体の構造を説明するための図である。
図3】第1の実施形態の風力発電装置100のナセル150の内部を示す図である。
図4】第1の実施形態の風力発電装置100のナセル150および制御部CT10を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態の風力発電装置200のブレードおよび導体を示す図である。
図6】第3の実施形態の風力発電装置300のブレードおよび導体を示す図である。
図7】第4の実施形態の風力発電装置400のブレードおよび導体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施形態について、風力発電装置とその回転羽根および風力発電装置の制御方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。なお、ブレードの縦横比等は、実際の比と異なっていることがある。導体の配置を分かりやすくするために、縦横比をデフォルメしていることがある。
【0012】
(第1の実施形態)
1.風力発電装置
図1は、第1の実施形態の風力発電装置100の概略構成図である。風力発電装置100は、第1ブレード110と、第2ブレード120と、第3ブレード130と、ローターハブ140と、ナセル150と、タワー160と、を有する。第1ブレード110と、第2ブレード120と、第3ブレード130とを、まとめて、ブレードということがある。第1ブレード110と、第2ブレード120と、第3ブレード130との一組は、風力発電装置100の回転羽根である。
【0013】
第1ブレード110と、第2ブレード120と、第3ブレード130とは、風を受けて回転するブレードである。ローターハブ140は、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130と、ナセル150の内部の発電機の回転軸とを接続する部材である。ナセル150は、発電機と増速機とを有する。タワー160は、上記の各部を支持する支柱である。
【0014】
2.ブレード
2-1.第1ブレード
第1ブレード110は、主導体111と、補助導体112、113と、を有する。主導体111は、第1ブレード110の根本から先端に向かう向きに延伸している第1主導体である。すなわち、第1ブレード110の径方向に配置されている。主導体111は、第1ブレード110の内部に配置されている。
【0015】
主導体111は棒状である。主導体111は、先端部111aを有する。主導体111の先端部111aは、第1ブレード110の先端に露出している。主導体111においては、先端部111aが第1ブレード110の外部に露出しており、先端部111a以外の部分が第1ブレード110の内部に収容されている。主導体111の先端部111aは、第1ブレード110の外形形状にならって滑らかな形状をしている。ブレードの空気抵抗を減らすためである。主導体111は、金属またはその他の導体である。
【0016】
補助導体112、113は、主導体111に対して、所定の角度だけ回転して配置されている第1補助導体である。補助導体112、113と主導体111とがなす角の角度は、3°以上45°以下である。好ましくは、5°以上30°以下である。第1ブレード110の補助導体112、113は、第1ブレード110の先端に向かうにつれて主導体111から離れている。補助導体112、113は、第1ブレード110の根本の側で主導体111に電気的に接続されている。補助導体112、113は、その接続箇所において主導体111と合流している。
【0017】
補助導体112、113は、棒状である。補助導体112、113は、それぞれ、先端部112a、113aを有する。補助導体112、113の先端部112a、113aは、第1ブレード110の端に露出している。補助導体112、113においては、先端部112a、113aが第1ブレード110の外部に露出しており、先端部112a、113a以外の部分が第1ブレード110の内部に収容されている。補助導体112、113の先端部112a、113aは、第1ブレード110の外形形状にならって滑らかな形状をしている。補助導体112、113は、金属またはその他の導体である。
【0018】
2-2.第2ブレード
第2ブレード120は、主導体121と、補助導体122、123、124、125、126と、を有する。主導体121は、第2ブレード120の根本から先端に向かう向きに延伸している第2主導体である。すなわち、第2ブレード120の径方向に配置されている。主導体121は、第2ブレード120の内部に配置されている。
【0019】
主導体121は棒状である。主導体121は、先端部121aを有する。主導体121の先端部121aは、第2ブレード120の先端に露出している。主導体121においては、先端部121aが第2ブレード120の外部に露出しており、先端部121a以外の部分が第2ブレード120の内部に収容されている。主導体121の先端部121aは、第2ブレード120の外形形状にならって滑らかな形状をしている。主導体121は、金属またはその他の導体である。
【0020】
補助導体122、123、124、125、126は、主導体121に対して、所定の角度だけ回転して配置されている第2補助導体である。補助導体122、123、124、125、126と主導体121とがなす角の角度は、55°以上65°以下である。好ましくは、57°以上63°以下である。最も好ましくは、60°である。補助導体122、123、124、125、126は、主導体121に電気的に接続されている。
【0021】
補助導体122は、先端部122a、122bを有する。補助導体122の先端部122a、122bは、第2ブレード120の端に露出している。補助導体122においては、先端部122a、122bが第2ブレード120の外部に露出しており、先端部122a、122b以外の部分が第2ブレード120の内部に収容されている。補助導体122は、棒状であり、第2ブレード120を貫通している。補助導体122の先端部122a、122bは、第2ブレード120の外形形状にならって滑らかな形状をしている。
【0022】
補助導体122は、主導体121と交差している。補助導体122は、直線形状であるとともに、第2ブレード120を貫通している。第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置する場合には、補助導体122は主導体121と平行かまたはそれに近い方向を向いている。補助導体122は、金属またはその他の導体である。
【0023】
補助導体123、124、125、126は、補助導体122と平行に配置されている。補助導体123、124、125、126は、それぞれ、先端部123a、123bと、先端部124a、124bと、先端部125a、125bと、先端部126a、126bと、を有する。その他の点において、補助導体123、124、125、126は、補助導体122と同様である。
【0024】
2-3.第3ブレード
第3ブレード130は、主導体131と、補助導体132、133、134、135、136と、を有する。主導体131は、第3ブレード130の根本から先端に向かう向きに延伸している第3主導体である。すなわち、第3ブレード130の径方向に配置されている。主導体131は、第3ブレード130の内部に配置されている。
【0025】
主導体131は棒状である。主導体131は、先端部131aを有する。主導体131の先端部131aは、第3ブレード130の先端に露出している。主導体131においては、先端部131aが第3ブレード130の外部に露出しており、先端部131a以外の部分が第3ブレード130の内部に収容されている。主導体131の先端部131aは、第3ブレード130の外形形状にならって滑らかな形状をしている。主導体131は、金属またはその他の導体である。
【0026】
補助導体132、133、134、135、136は、主導体131に対して、所定の角度だけ回転して配置されている第3補助導体である。補助導体132、133、134、135、136と主導体131とがなす角の角度は、55°以上65°以下である。好ましくは、57°以上63°以下である。最も好ましくは、60°である。補助導体132、133、134、135、136は、主導体131に電気的に接続されている。
【0027】
補助導体132は、先端部132a、132bを有する。補助導体132の先端部132a、132bは、第3ブレード130の端に露出している。補助導体132においては、先端部132a、132bが第3ブレード130の外部に露出しており、先端部132a、132b以外の部分が第3ブレード130の内部に収容されている。補助導体132は、棒状であり、第3ブレード130を貫通している。補助導体132の先端部132a、132bは、第3ブレード130の外形形状にならって滑らかな形状をしている。
【0028】
補助導体132は、主導体131と交差している。補助導体132は、直線形状であるとともに、第3ブレード130を貫通している。第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置する場合には、補助導体132は主導体131と平行かまたはそれに近い方向を向いている。補助導体132は、金属またはその他の導体である。
【0029】
補助導体133、134、135、136は、補助導体132と平行に配置されている。補助導体133、134、135、136は、それぞれ、先端部133a、133bと、先端部134a、134bと、先端部135a、135bと、先端部136a、136bと、を有する。その他の点において、補助導体133、134、135、136は、補助導体132と同様である。
【0030】
2-4.主導体および補助導体の効果
図2は、第1の実施形態の風力発電装置100の導体の構造を説明するための図である。図2において、ブレードは破線で描かれている。図2において、第1ブレード110の先端は地面から最も離れた位置に位置する。第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード110および第2ブレード120および第3ブレード130をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合であって回転軸が水平面と平行である場合には、射影後の第1ブレード110の先端は地面に対して鉛直上方を向く。
【0031】
図2に示すように、第2ブレード120の補助導体122、123、124、125、126は、第2ブレード120の主導体121に対して55°以上65°以下の角度で配置されている。
【0032】
図2に示すように、第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード110および第2ブレード120および第3ブレード130をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレード120の補助導体122、123、124、125、126は、射影後の第1ブレード110の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0033】
図2に示すように、第3ブレード130の補助導体132、133、134、135、136は、第3ブレード130の主導体131に対して55°以上65°以下の角度で配置されている。
【0034】
図2に示すように、第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード110および第2ブレード120および第3ブレード130をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第3ブレード130の補助導体132、133、134、135、136は、射影後の第1ブレード110の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0035】
雷撃L1は、第1ブレード110の主導体111に落ちている。この場合には、雷撃L1による電流は、第1ブレード110の主導体111からローターハブ140、ナセル150、タワー160のダウンコンダクタを介して大地に流れる。なお、ダウンコンダクタについては後述する。
【0036】
雷撃L2は、第1ブレード110の補助導体112に落ちている。この場合には、雷撃L2による電流は、第1ブレード110の補助導体112から主導体111、ローターハブ140、ナセル150、タワー160のダウンコンダクタを介して大地に流れる。
【0037】
雷撃L3aは、第2ブレード120の補助導体122に落ちている。この場合には、雷撃L3aによる電流は、補助導体122の先端部122aから主に第2ブレード120の主導体121、ローターハブ140、ナセル150、タワー160のダウンコンダクタを介して大地に流れる。なお、雷撃L3aの電流の一部が補助導体122の先端部122aから122bまで流れた後、雷撃L3bとして補助導体122の先端部122bから大気を伝って大地に流れることもある。
【0038】
第1ブレード110の先端からわずかに外れた位置に落雷する場合には、第1ブレード110の補助導体112、113が雷を受け止める。
【0039】
第1ブレード110から逸れて第2ブレード120に落雷する場合には、例えば、第2ブレード120の補助導体122が雷を受け止める。この落雷による電流は、タワー160または大気を伝って大地に流れる。雷撃がさらに逸れて第2ブレード120に落ちる場合には、第2ブレード120のその他の補助導体123、124、125、126が雷撃を受け止める。
【0040】
同様に、第3ブレード130に落雷する場合には、第3ブレード130の補助導体132、133、134、135、136が雷を受け止める。
【0041】
このように、風力発電装置100における最も高い位置である第1ブレード110の先端以外に雷撃が落ちた場合であっても、その雷電流を好適に流すことができる。
【0042】
3.ナセル
図3は、第1の実施形態の風力発電装置100のナセル150の内部を示す図である。図3に示すように、ナセル150は、発電機151と、増速機152と、制御部CT10と、を有する。
【0043】
発電機151は、風を受けたブレードが回転することにより発電する発電部である。増速機152は、ブレードの回転により回転する回転軸の回転を増加させる。軸AX2は、ブレードとともに回転する回転軸である。軸AX2は、ブレードと増速機152とに連結されている。軸AX1は、増速機152と発電機151とに連結されている。増速機152は、軸AX2から入力された回転を増加させて軸AX1に伝達する。
【0044】
制御部CT10については後述する。
【0045】
4.制御系
図4は、第1の実施形態の風力発電装置100のナセル150および制御部CT10を示すブロック図である。制御部CT10は、雷雲位置情報取得部CT11と、雷雲位置判断部CT12と、回転制御部CT13と、を有する。
【0046】
雷雲位置情報取得部CT11は、雷雲の位置情報を取得する。例えば、気象庁の雷ナウキャストから、推定された雷雲位置の情報を取得する。雷雲位置情報取得部CT11は、電気通信回線等に接続されている。
【0047】
雷雲位置判断部CT12は、雷雲位置情報取得部CT11により取得された雷雲の位置情報と風力発電装置100の位置とを比較する。そして、風力発電装置100の位置から予め定めた範囲内に雷雲が存在するか否かを判断する。
【0048】
回転制御部CT13は、ブレードの回転および位置を制御する。回転制御部CT13は、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130との回転位置を制御する。回転制御部CT13は、発電機151の回転状態を制御することができる。また、ブレードと連結されている軸AX2にエンコーダ等の回転位置センサーを設けてもよい。回転制御部CT13は、ブレードの位置を高い精度で制御することができる。
【0049】
5.風力発電装置の動作および制御方法
雷雲位置情報取得部CT11は、通信回線から雷雲位置情報を取得し続ける。雷雲位置判断部CT12は、取得した雷雲位置情報から雷雲が風力発電装置100の近くに位置しているか否かを判断する。雷雲位置判断部CT12が、雷雲が風力発電装置100の位置から予め定めた範囲内に存在すると判断した場合に、回転制御部CT13がブレードの回転を減速する。回転制御部CT13が、第1ブレード110の先端が地面から最も離れた位置に位置する状態で、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130との回転を停止させる。
【0050】
雷雲位置判断部CT12が、雷雲が風力発電装置100から離れたと判断した場合に、回転制御部CT13がブレードの回転の停止を解除する。これにより、ブレードが回転し始め、風力発電装置100は、再び発電を開始する。
【0051】
6.第1の実施形態の効果
第1の実施形態の風力発電装置100は、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130とを有する。雷雲が風力発電装置100の近くに存在する場合には、第1ブレード110が地面から最も離れた位置に位置するようにブレードを停止させる。第1ブレード110は主導体111の他に補助導体112、113を有する。このため、雷撃が第1ブレード110の先端から外れた場合であっても、第1ブレード110の補助導体112、113に雷撃が落ちる。このため、第1ブレード110の絶縁体部分に落雷するおそれがほとんどない。
【0052】
また、第2ブレード120は、主導体121と補助導体122とを有する。補助導体122は、先端部122a、122bを有する。先端部122a、122bは、第2ブレード120の外側に露出している。風力発電装置100は、雷雲からの雷撃を先端部122aで受け止めるとともに、雷電流を先端部122bから大気を伝達させて大地に流すことができる。したがって、ブレードの絶縁体部分が雷撃を受けるおそれがほとんどない。
【0053】
また、第1ブレード110と第2ブレード120と第3ブレード130とが回転を停止しているため、ブレードに落ちた雷撃の雷電流をダウンコンダクタから大地に流すことが容易である。
【0054】
7.変形例
7-1.制御部
制御部CT10は、ナセル150の外部にあってもよい。制御部CT10は、例えば、風力発電装置100の外部のコントロールセンターの内部にあってもよい。コントロールセンターは、例えば、複数の風力発電装置100を一括して管理することができる。
【0055】
7-2.モーター
風力発電装置は、図4に示すように、軸AX1または軸AX2を回転可能な回転部153を有するとよい。回転部153は、例えば、モーターである。回転制御部CT13が回転部153の回転を制御することにより、第1ブレード110が地面から最も離れた位置に位置するように第1ブレード110を制止させることができる。
【0056】
7-3.補助導体
補助導体の本数やレイアウトは、ブレードの形状や大きさに応じて最適化することが可能である。例えば、補助導体112、113の本数を3本以上とし、主導体111に対して上下方向の位置をずらして配置したり、主導体111を取り囲むように配置したりしてもよい。
【0057】
7-4.ダウンコンダクタ
風力発電装置100は、第1ブレード110の主導体111と、第2ブレード120の主導体121と、第3ブレード130の主導体131と、導通するダウンコンダクタを有するとよい。ダウンコンダクタは、接地されている。
【0058】
7-5.主導体および補助導体の露出部分
第1の実施形態では、補助導体112、113の先端部112a、113aは、ブレードの外形形状に沿うように滑らかな形状をしている。しかし、ブレードの外部に露出する先端部112a、113aは、必ずしもブレードの外形形状に沿うように滑らかでなくてもよい。例えば、凹凸があってもよい。その他の主導体および補助導体の露出部分についても同様である。
【0059】
7-6.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてよい。
【0060】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点はブレードである。このため、ブレードを中心に説明する。
【0061】
1.ブレード
図5は、第2の実施形態の風力発電装置200のブレードおよび導体を示す図である。風力発電装置200は、第1ブレード210と第2ブレード220と第3ブレード230とを有する。第1ブレード210は、主導体211と補助導体212、213、214、215とを有する。第2ブレード220は、主導体221と補助導体222、223、224、225とを有する。第3ブレード230は、主導体231と補助導体232、233、234、235とを有する。
【0062】
主導体211は、第1ブレード210の根本から先端に向かう向きに配置されている。主導体211は、第1ブレード210の径方向に配置されている。補助導体212、213、214、215は、主導体211に対して60°の角度で交差するように配置されている。補助導体212、213、214、215は、主導体211に電気的に接続されている。
【0063】
第2ブレード220および第3ブレード230についても、第1ブレード210と同様である。
【0064】
2.ブレードの対称性
第1ブレード210の主導体211および補助導体212、213、214、215と、第2ブレード220の主導体221および補助導体222、223、224、225と、第3ブレード230の主導体231および補助導体232、233、234、235とは、第1ブレード210および第2ブレード220および第3ブレード230の回転軸に対して互いに回転対称に配置されている。
【0065】
図5に示すように、第1ブレード210の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード210および第2ブレード220および第3ブレード230をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレード220の補助導体223、225および射影後の第3ブレード230の補助導体232、234は、射影後の第1ブレード210の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0066】
図5に示すように、第2ブレード220の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード210および第2ブレード220および第3ブレード230をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第3ブレード230の補助導体233、235および射影後の第1ブレード210の補助導体212、214は、射影後の第2ブレード220の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0067】
図5に示すように、第3ブレード230の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード210および第2ブレード220および第3ブレード230をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第1ブレード210の補助導体213、215および射影後の第2ブレード220の補助導体222、224は、射影後の第3ブレード230の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0068】
第2の実施形態では、第1ブレード210と第2ブレード220と第3ブレード230とがブレードの回転軸に対して120°の回転対称(3回対称)である。このため、雷雲が風力発電装置200の近くに存在する場合には、第1ブレード210と第2ブレード220と第3ブレード230とのうちの一つのブレードについて地面から最も離れた位置に位置するように停止させればよい。
【0069】
3.第2の実施形態の効果
第1の実施形態と同様に、第1ブレード210の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第1ブレード210の主導体211と補助導体212、213、214、215が主に雷を受け止める。また、第1ブレード210の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第2ブレード220の補助導体223、225および第3ブレード230の補助導体232、234が、雷を受け止める。このため、ブレードの絶縁体部分が雷撃を受けるおそれがほとんどない。
【0070】
また、落雷が第1ブレード210と第2ブレード220と第3ブレード230とに分散される。そのため、第1ブレード210に落雷が集中するおそれがほとんどない。
【0071】
4.変形例
第1の実施形態の変形例と組み合わせてもよい。また、補助導体の本数やレイアウトは、静止状態においてブレード内で最大長をとることができるように、ブレードの形状や大きさに応じて最適化することが可能である。補助導体212-215、222-225、232-235の本数を増減してもよい。
【0072】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点はブレードである。このため、ブレードを中心に説明する。
【0073】
1.ブレード
図6は、第3の実施形態の風力発電装置300のブレードおよび導体を示す図である。風力発電装置300は、第1ブレード310と第2ブレード320と第3ブレード330とを有する。第1ブレード310は、主導体311と補助導体312、313、314、315とを有する。第2ブレード320は、主導体321と補助導体322、323、324、325とを有する。第3ブレード330は、主導体331と補助導体332、333、334、335とを有する。
【0074】
主導体311は、第1ブレード310の根本から先端に向かう向きに配置されている。主導体311は、第1ブレード310の径方向に配置されている。補助導体312、313、314、315は、主導体311に対して60°の角度で交差するように配置されている。補助導体312、313、314、315は、主導体311に電気的に接続されている。
【0075】
第2ブレード320および第3ブレード330についても、第1ブレード310と同様である。
【0076】
2.ブレードの対称性
第1ブレード310の主導体311および補助導体312、313、314、315と、第2ブレード320の主導体321および補助導体322、323、324、325と、第3ブレード330の主導体331および補助導体332、333、334、335とは、第1ブレード310および第2ブレード320および第3ブレード330の回転軸に対して互いに回転対称に配置されている。
【0077】
図6に示すように、第1ブレード310の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード310および第2ブレード320および第3ブレード330をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレード320の補助導体323、325および射影後の第3ブレード330の補助導体332、334は、射影後の第1ブレード310の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0078】
図6に示すように、第2ブレード320の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード310および第2ブレード320および第3ブレード330をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第3ブレード330の補助導体333、335および射影後の第1ブレード310の補助導体312、314は、射影後の第2ブレード320の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0079】
図6に示すように、第3ブレード330の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード310および第2ブレード320および第3ブレード330をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第1ブレード310の補助導体313、315および射影後の第2ブレード320の補助導体322、324は、射影後の第3ブレード330の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0080】
第3の実施形態では、第1ブレード310と第2ブレード320と第3ブレード330とがブレードの回転軸に対して120°の回転対称(3回対称)である。このため、雷雲が風力発電装置300の近くに存在する場合には、第1ブレード310と第2ブレード320と第3ブレード330とのうちの一つのブレードについて地面から最も離れた位置に位置するように停止させればよい。
【0081】
3.第3の実施形態の効果
第1の実施形態と同様に、第1ブレード310の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第1ブレード310の主導体311と補助導体312、313、314、315が主に雷を受け止める。また、第1ブレード310の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第2ブレード320の補助導体323、325および第3ブレード330の補助導体332、334が、雷を受け止める。このため、ブレードの絶縁体部分が雷撃を受けるおそれがほとんどない。
【0082】
また、落雷が第1ブレード310と第2ブレード320と第3ブレード330とに分散される。そのため、第1ブレード310に落雷が集中するおそれがほとんどない。
【0083】
4.変形例
第1の実施形態の変形例と組み合わせてもよい。また、補助導体の本数やレイアウトは、静止状態においてブレード内で最大長をとることができるように、ブレードの形状や大きさに応じて最適化することが可能である。補助導体312-315、322-325、332-335の本数を増減してもよい。
【0084】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点はブレードである。このため、ブレードを中心に説明する。
【0085】
1.ブレード
図7は、第4の実施形態の風力発電装置400のブレードおよび導体を示す図である。風力発電装置400は、第1ブレード410と第2ブレード420と第3ブレード430とを有する。第1ブレード410は、主導体411と補助導体412a、412b、412c、412d、412e、413a、413b、413c、413d、413eとを有する。第2ブレード420は、主導体421と補助導体422a、422b、422c、422d、422e、423a、423b、423c、423d、423eとを有する。第3ブレード430は、主導体431と補助導体432a、432b、432c、432d、432e、433a、433b、433c、433d、433eとを有する。
【0086】
主導体411は、第1ブレード410の根本から先端に向かう向きに配置されている。主導体411は、第1ブレード410の径方向に配置されている。補助導体412aは、主導体411に対して30°の角度で配置されている。補助導体412bは、補助導体412aに対して30°の角度で配置されている。補助導体412cは、補助導体412bに対して30°の角度で配置されている。補助導体412dは、補助導体412cに対して30°の角度で配置されている。補助導体412eは、補助導体412dに対して30°の角度で配置されている。補助導体412a、412b、412c、412d、412eは、主導体411から順次30°の角度で交差するように配置されている。
【0087】
補助導体413a、413b、413c、413d、413eは、補助導体412a、412b、412c、412d、412eよりも第1ブレード410の根本側にある。補助導体413a、413b、413c、413d、413eのそれぞれが互いになす角の角度は、補助導体412a、412b、412c、412d、412eと同様である。補助導体412a、412b、412c、412d、412e、413a、413b、413c、413d、413eは、主導体411に電気的に接続されている。
【0088】
補助導体412a、412b、412c、412d、412eは、1箇所で主導体411に交差している。すなわち、補助導体412aと主導体411とが交差する交差点で補助導体412aと主導体411と交差する補助導体412b、412c、412d、412eを有する。補助導体413a、413b、413c、413d、413eは、1箇所で主導体411に交差している。すなわち、補助導体413aと主導体411とが交差する交差点で補助導体413aと主導体411と交差する補助導体413b、413c、413d、413eを有する。
【0089】
第2ブレード420および第3ブレード430についても、第1ブレード410と同様である。
【0090】
2.ブレードの対称性
第1ブレード410の主導体411および補助導体412a、412b、412c、412d、412e、413a、413b、413c、413d、413eと、第2ブレード420の主導体421および補助導体422a、422b、422c、422d、422e、423a、423b、423c、423d、423eと、第3ブレード430の主導体431および補助導体432a、432b、432c、432d、432e、433a、433b、433c、433d、433eとは、第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430の回転軸に対して互いに回転対称に配置されている。
【0091】
図7に示すように、第1ブレード410の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレード420の補助導体422d、423dおよび射影後の第3ブレード430の補助導体432b、433bは、射影後の第1ブレード410の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0092】
図7に示すように、第2ブレード420の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第3ブレード430の補助導体432d、433dおよび射影後の第1ブレード410の補助導体412b、413bは、射影後の第2ブレード420の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0093】
図7に示すように、第3ブレード430の先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第1ブレード410の補助導体412d、413dおよび射影後の第2ブレード420の補助導体422b、423bは、射影後の第3ブレード430の根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0094】
第4の実施形態では、第1ブレード410と第2ブレード420と第3ブレード430とがブレードの回転軸に対して120°の回転対称(3回対称)である。このため、雷雲が風力発電装置400の近くに存在する場合には、第1ブレード410と第2ブレード420と第3ブレード430とのうちの一つのブレードについて地面から最も離れた位置に位置するように停止させればよい。
【0095】
さらに、第4の実施形態では、ブレードの回転を停止させなくても、回転中の各ブレードのいずれかの補助導体が、地面に対して鉛直上方または鉛直上方に近い方向を向くように構成されるため、ブレードの回転を停止させずに運用することも可能である。
【0096】
3.第4の実施形態の効果
第1の実施形態と同様に、第1ブレード410の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第1ブレード410の主導体411と補助導体412a、412b、412c、412d、412e、413a、413b、413c、413d、413eが主に雷を受け止める。また、第1ブレード410の先端が地面から最も離れた位置に位置するときには、第2ブレード420の補助導体422a、422b、422c、422d、422e、423a、423b、423c、423d、423eおよび第3ブレード430の補助導体432a、432b、432c、432d、432e、433a、433b、433c、433d、433eが、雷を受け止める。このため、ブレードの絶縁体部分が雷撃を受けるおそれがほとんどない。
【0097】
また、第4の実施形態では、第1ブレード410および第2ブレード420および第3ブレード430をこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、ブレードの回転位置によらず、各ブレードのいずれかの補助導体は、地面に対して鉛直上方、または鉛直上方に近い方向を向くことになる。このため、この回転羽根を有する風力発電装置では、ブレードの回転中、およびブレードの回転の減速中においても、ブレードの絶縁体部分に着雷することを抑制することができる。したがって、この回転羽根を有する風力発電装置は、雷雲が近づいた状態であっても、ブレードの回転を停止させることなく運用することが可能である。
【0098】
4.変形例
第1の実施形態の変形例と組み合わせてもよい。また、補助導体の本数やレイアウトは、静止状態においてブレード内で最大長をとることができるように、ブレードの形状や大きさに応じて最適化することが可能である。補助導体の本数を増減してもよい。補助導体の本数が増減すると、補助導体同士または補助導体と主導体との間の相対角度は変化する。また、ブレードの根本に近づくほど、補助導体の本数を減らしてもよい。また、補助導体と主導体とが交差する交差点の個数を増減してもよい。また、補助導体と主導体とが交差する交差点とずれた位置で他の補助導体と主導体とが交差してもよい。また、主導体は必ずしも直線状でなくてもよい。
【0099】
(付記)
第1の態様における風力発電装置の回転羽根は、第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとを有する。第1ブレードは、第1ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第1主導体と、第1主導体と電気的に接続されている第1補助導体と、を有する。第2ブレードは、第2ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第2主導体と、第2主導体と電気的に接続されている第2補助導体と、を有する。第3ブレードは、第3ブレードの根本から先端に向かう向きに配置されている第3主導体と、第3主導体と電気的に接続されている第3補助導体と、を有する。第1ブレードの先端が地面から最も離れた位置に位置するときに第1ブレードおよび第2ブレードおよび第3ブレードをこれらの回転軸に垂直な面に射影した場合に、射影後の第2ブレードの第2補助導体は、射影後の第1ブレードの根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いており、射影後の第3ブレードの第3補助導体は、射影後の第1ブレードの根本から先端に向かう向きに対して0°以上5°以下の角度をもつ方向を向いている。
【0100】
第2の態様における風力発電装置の回転羽根においては、第2ブレードの第2補助導体は、第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、第2ブレードを貫通している。第2ブレードの第2補助導体の第1先端部および第2先端部は、第2ブレードの外部に露出している。第2補助導体は、第2主導体に対して55°以上65°以下の角度をもつ方向を向いて配置されている。第3ブレードの第3補助導体は、第1先端部と第2先端部とを有する棒状であるとともに、第3ブレードを貫通している。第3ブレードの第3補助導体の第1先端部および第2先端部は、第3ブレードの外部に露出している。第3補助導体は、第3主導体に対して55°以上65°以下の角度をもつ方向を向いて配置されている。
【0101】
第3の態様における風力発電装置の回転羽根においては、第1ブレードの第1補助導体は、第1ブレードの先端に向かうにつれて第1主導体から離れている。第1ブレードの第1補助導体は、第1ブレードの第1主導体に対して3°以上45°以下で配置されている。
【0102】
第4の態様における風力発電装置の回転羽根においては、第1ブレードの第1主導体および第1補助導体と、第2ブレードの第2主導体および第2補助導体と、第3ブレードの第3主導体および第3補助導体とは、第1ブレードおよび第2ブレードおよび第3ブレードの回転軸に対して互いに回転対称に配置されている。
【0103】
第5の態様における風力発電装置の回転羽根においては、第1補助導体と第1主導体とが交差する交差点で第1補助導体と第1主導体と交差する補助導体と、第2補助導体と第2主導体とが交差する交差点で第2補助導体と第2主導体と交差する補助導体と、第3補助導体と第3主導体とが交差する交差点で第3補助導体と第3主導体と交差する補助導体と、を有する。
【0104】
第6の態様における風力発電装置は、上記の風力発電装置の回転羽根を有する。
【0105】
第7の態様における風力発電装置の制御方法においては、雷雲位置情報取得部が雷雲の位置情報を取得する。雷雲位置判断部が、雷雲が風力発電装置の位置から予め定めた範囲内にあるか否かを判断する。回転制御部が第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとの回転位置を制御する。雷雲位置判断部が、雷雲が風力発電装置の位置から予め定めた範囲内にあると判断した場合に、回転制御部は、第1ブレードの先端が地面から最も離れた位置に位置する状態で第1ブレードと第2ブレードと第3ブレードとの回転を停止させる。
【符号の説明】
【0106】
100…風力発電装置
110…第1ブレード
120…第2ブレード
130…第3ブレード
140…ローターハブ
150…ナセル
160…タワー