(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145425
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】マイクロ飛沫中のウイルス等の除去および除菌を行う空気処理装置および空気処理方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20220926BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20220926BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20220926BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20220926BHJP
A61L 9/00 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F8/22
F24F8/80 300
A61L9/015
F24F8/80 216
A61L9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134894
(22)【出願日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2021044318
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 富彦
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180CA10
4C180CC03
4C180DD03
4C180EA17X
4C180EA54X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
(57)【要約】
【課題】主として人と人との間に仕切板として配設され、かつ、マイクロ飛沫中のウイルス等の除去および除菌を行う空気処理装置を提供する。
【解決手段】
空気処理装置10を、透光性板材12と空気処理機14とで構成する。透光性板材12を、内部空間28と、内部空間28および外部を連通する吸気孔26と、内部空間28および空気処理機14を連通する送気孔30とで構成する。そして、空気処理機14では、吸気孔26から内部空間28を通って送気孔30を通過してきた空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された空気を排出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性板材と、
空気処理機とを備えており、
前記透光性板材は、
内部空間と、
前記内部空間および外部を連通する吸気孔と、
前記内部空間および前記空気処理機を連通する送気孔とを有しており、
前記空気処理機は、
前記吸気孔から前記内部空間を通って前記送気孔を通過してきた空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された前記空気を排出する
空気処理装置。
【請求項2】
前記吸気孔は、前記透光性板材における少なくとも一方の表面中央部に複数形成されており、
前記送気孔は、前記透光性板材における少なくともひとつの縁面に形成されている
請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記吸気孔は、前記透光性板材における表面中央部および裏面中央部にそれぞれ複数形成されており、
前記送気孔は、前記透光性板材における少なくともひとつの縁面に形成されている
請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項4】
送風管をさらに備えており、
前記送風管の一端は、前記送気孔に接続されており、
前記送風管の他端は、前記空気処理機に接続されている
請求項1から3のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項5】
透光性板材と、
前記透光性板材の上部に配設された空気処理機とを備えており、
前記空気処理機は、空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された前記空気を排出する
空気処理装置。
【請求項6】
透光性板材と、空気処理機と、フードと、送風管とを備えており、
前記フードは、前記透光性板材の上部に配設されており、
前記送風管の一端は、前記フードに接続されており、
前記送風管の他端は、前記空気処理機に接続されており、
前記空気処理機は、前記送風管からの空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された前記空気を排出する
空気処理装置。
【請求項7】
透光性板材と、一対の空気導入板と、空気処理機とを備えており、
前記透光性板材の上端部に対して下端部を向かい合わせるようにして互いに所定の間隔を空けて配置された一対の前記空気導入板の間に空気導入空間が形成されており、
前記空気処理機は、前記空気導入空間の上側に設けられており、
前記空気処理機は、前記空気導入空間からの空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された前記空気を排出する
空気処理装置。
【請求項8】
前記透光性板材の下端部には、前記空気導入空間の下端中央部に向けて送風を行う送風装置が配設されている
請求項7に記載の空気処理装置。
【請求項9】
前記送風装置の本体ケースには、複数の送風孔が形成されており、
一部の前記送風孔から送り出された空気は前記透光性板材における一方の表面の近傍を通って前記空気導入空間の下端中央部に入り、残部の前記送風孔から送り出された空気は前記透光性板材における他方の表面の近傍を通って前記空気導入空間の下端中央部に入る
請求項8に記載の空気処理装置。
【請求項10】
前記空気処理機は、紫外線、光触媒、オゾン、あるいはヒドロキシラジカルを用いてウイルス等の除去および除菌を行う
請求項1から9のいずれか1項に記載の空気処理装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の空気処理装置を用いてマイクロ飛沫に含まれるウイルス等の除去および除菌を行う空気処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として人と人との間に仕切板として配設され、かつ、マイクロ飛沫中のウイルス等の除去および除菌を行う空気処理装置および空気処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等(本明細書において、単に「ウイルス等」という)の感染のほとんどは、鼻や咽頭を介して発生している。この感染経路は、主に飛沫による感染(飛沫感染)であると言われている。
【0003】
このような感染の防止のため、密閉空間を避ける、密接を避ける、マスクを付けるといった対応により一定の効果はあがっている。そのため、多種多様のマスクが開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、食事をする際等のようにマスクを外さざるを得ない場合はもちろんのこと、マスクを付けた状態であっても他人と対面する際にはさらなる感染対策が求められる。
【0006】
その感染対策の一例として、人と人との間に透明なアクリル板等を仕切板(衝立)として配設する対策が採用されている。
【0007】
しかしながら、人と人との間に仕切板を配設したとしても通常の飛沫とは異なり空間を長時間漂うようなマイクロ飛沫には対応することができず、このマイクロ飛沫がクラスターの発生原因の一つになっている。
【0008】
例えば、マイクロ飛沫は、5μm以下の大きさであり、発生すると20分以上空中を漂い続けると言われている。
【0009】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、主として人と人との間に仕切板として配設され、かつ、マイクロ飛沫中のウイルス等の除去および除菌を行う空気処理装置および空気処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に従うと、
透光性板材と、
空気処理機とを備えており、
前記透光性板材は、
内部空間と、
前記内部空間および外部を連通する吸気孔と、
前記内部空間および前記空気処理機を連通する送気孔とを有しており、
前記空気処理機は、
前記吸気孔から前記内部空間を通って前記送気孔を通過してきた空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された前記空気を排出する
空気処理装置が提供される。
【0011】
好適には、
前記吸気孔は、前記透光性板材における少なくとも一方の表面中央部に複数形成されており、
前記送気孔は、前記透光性板材における少なくともひとつの縁面に形成されている。
【0012】
好適には、
前記吸気孔は、前記透光性板材における表面中央部および裏面中央部にそれぞれ複数形成されており、
前記送気孔は、前記透光性板材における少なくともひとつの縁面に形成されている。
【0013】
好適には、
送風管をさらに備えており、
前記送風管の一端は、前記送気孔に接続されており、
前記送風管の他端は、前記空気処理機に接続されている。
【0014】
本発明の他の局面に従うと、
透光性板材と、
前記透光性板材の上部に配設された空気処理機とを備えており、
前記空気処理機は、空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された前記空気を排出する
空気処理装置が提供される。
【0015】
本発明の別の局面に従うと、
透光性板材と、空気処理機と、フードと、送風管とを備えており、
前記フードは、前記透光性板材の上部に配設されており、
前記送風管の一端は、前記フードに接続されており、
前記送風管の他端は、前記空気処理機に接続されており、
前記空気処理機は、前記送風管からの空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された前記空気を排出する
空気処理装置が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の局面に従うと、
透光性板材と、一対の空気導入板と、空気処理機とを備えており、
前記透光性板材の上端部に対して下端部を向かい合わせるようにして互いに所定の間隔を空けて配置された一対の前記空気導入板の間に空気導入空間が形成されており、
前記空気処理機は、前記空気導入空間の上側に設けられており、
前記空気処理機は、前記空気導入空間からの空気中に含まれているウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された前記空気を排出する
空気処理装置が提供される。
【0017】
好適には、
前記透光性板材の下端部には、前記空気導入空間の下端中央部に向けて送風を行う送風装置が配設されている。
【0018】
好適には、
前記送風装置の本体ケースには、複数の送風孔が形成されており、
一部の前記送風孔から送り出された空気は前記透光性板材における一方の表面の近傍を通って前記空気導入空間の下端中央部に入り、残部の前記送風孔から送り出された空気は前記透光性板材における他方の表面の近傍を通って前記空気導入空間の下端中央部に入る。
【0019】
好適には、
前記空気処理機は、紫外線、光触媒、オゾン、あるいはヒドロキシラジカルを用いてウイルス等の除去および除菌を行う。
【0020】
本発明の別の局面に従うと、
上述した空気処理装置を用いてマイクロ飛沫に含まれるウイルス等の除去および除菌を行う方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る装置によれば、透光性板材を主として人と人との間に仕切板として配置することにより、人が発するマイクロ飛沫を含む空気を透光性板材の吸気孔から取り込んだ後、空気処理機にて当該空気中のマイクロ飛沫に含まれるウイルス等の除去および除菌を行うことができるので、新型コロナウイルス等が原因となる感染症の拡大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明が適用された空気処理装置10の一例を示す正面図である。
【
図2】本発明が適用された空気処理装置10の一例を示す平面図である。
【
図3】本発明が適用された空気処理装置10の一例を示す左側面図である。
【
図6】変形例3に係る空気処理装置10の一例を示す断面図である。
【
図7】変形例4に係る空気処理装置10の一例を示す左側面図である。
【
図8】変形例5に係る空気処理装置10の一例を示す左側面図である。
【
図9】変形例6に係る空気処理装置10の一例を示す断面図である。
【
図10】変形例7に係る空気処理装置10の一例を示す断面図である。
【
図11】変形例8に係る空気処理装置10の一例を示す斜視図である。
【
図12】
図11における送風装置60周辺を拡大した図である。
【
図13】
図12の送風装置60における本体ケース62の図中手前側を外した状態を示す図である。
【
図14】変形例8の別の例に係る空気処理装置10における送風装置60周辺を拡大した図である。
【
図15】
図14の送風装置60における本体ケース62の図中手前側を外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(空気処理装置10の構成)
本発明が適用された空気処理装置10は、
図1から
図5に示すように、大略、透光性板材12と、空気処理機14とで構成されている。なお、本実施形態に係る空気処理装置10は、例えば、レストランや、会社の会議室等のあらゆる場所に設置することができ、とりわけ、人と人とが対面で会話を行うような場所に適している。
【0024】
本実施形態に係る透光性板材12は、大略、一対の板材20と、一対の枠材22と、底板24とで構成されている。
【0025】
板材20は、略正方形状の透明アクリル製の板材であり、その表面(裏面)中央部に多数の吸気孔26が穿設されている。
【0026】
板材20の材質は、透明アクリル製に限定されることはなく、例えば、石英ガラス、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、硬質塩化ビニル樹脂板等を用いることができる。また、板材20には用途に応じた透明性があればよく、少なくとも透光性があればよい。さらに、吸気孔26の数や穿設位置も特に限定されるものではない。
【0027】
このような一対の板材20が離間した状態で互いに対向する位置に配置されている。一対の板材20によって挟まれた空間が、透光性板材12の内部空間28となる。
【0028】
本実施形態に係る枠材22は、角棒状の部材であり、一対の板材20における両側面にそれぞれ取り付けられている。枠材22の材質は特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、硬質塩化ビニル樹脂、あるいは、ステンレス、アルミ等の金属でもよい。
【0029】
底板24は、矩形状の板材であり、一対の板材20における底面に取り付けられている。底板24の長手方向の長さは、板材20に取り付けられた一方の枠材22の外端から他方の枠材22の外端までの長さよりも長く設定されている。また、底板24の長手方向に直交する方向の長さは、一方の板材20における外表面から他方の板材20における外表面までの厚さよりも長く設定されている。なお、底板24の形状はこれらに限定されるものではない。
【0030】
また、底板24の材質は特に限定されるものではないが、例えば、アクリルが考えられる。
【0031】
なお、本実施形態において、一対の板材20における天面には空気処理機14が取り付けられるようになっており、一対の板材20における天面の隙間が内部空間28と空気処理機14とを連通する送気孔30となっている。これに変えて、空気処理機14を一対の板材20の側面(あるいは底面)に取り付けてもよい。この場合、空気処理機14が取り付けられた側面(あるいは底面)が送気孔30となる。本明細書を通して、板材20(透光性板材12)の天面・側面・底面を総称して「縁面」という。
【0032】
空気処理機14は、透光性板材12の吸気孔26から内部空間28を通って送気孔30を通過してきた空気中に含まれているマイクロ飛沫Xに付着したウイルス等の除去および除菌を行った後、浄化された当該空気を排出するものである。
【0033】
本実施形態に係る空気処理機14は、特に
図4および
図5に示すように、本体32と、ランプ34と、排気ファン36とを備えている。また、上述のように、空気処理機14は、透光性板材12の一対の板材20における天面に取り付けられている。
【0034】
本体32は、略四角筒状となっており、例えば、当該本体32の天面左右端部にそれぞれ排気ファン36が配設されており、かつ、本体32内の中央部にランプ34が配設されている。また、本体32の下面の一部が開口しており、当該開口は透光性板材12の送気孔30に対応する位置に形成されている。
【0035】
ランプ34は、例えば、254nmの殺菌線(紫外線)を放出する水銀灯が使用される。このような水銀灯としては、GL15,GL30,GL40等が存在するが、254nmの光を効率よく放射するランプであればいずれを使用してもよい。さらに言えば、254nm付近の波長の光を放出ものであれば、水銀灯に替えて、LED、エキシマランプ、あるいは無電極放電ランプ等を使用してもよい。
【0036】
排気ファン36を作動させることにより、マイクロ飛沫Xを含む空気が透光性板材12に形成された吸気孔26および内部空間28を通って、送気孔30から空気処理機14内に吸引される。そして、吸引された空気が本体32内を通過する際に、ランプ34から放射される254nmの紫外線により、除菌およびウイルス等の除去が行われる。然る後、浄化された空気が排気ファン36を通って本体32の天面左右端部から放出される。
【0037】
なお、浄化された空気の放出先としては、当該空気処理装置10を設置した部屋内に放出してもよいし、排気ファン36の天面に図示しないダクトの端を取り付けて、浄化された空気を屋外や別の部屋等の外部(本明細書では、「屋外等」という。)に放出してもよい。
【0038】
(空気処理装置10の特徴)
本実施形態に係る空気処理装置10によれば、透光性板材12を主として人と人との間に仕切板として配置することにより、人が発するマイクロ飛沫Xを含む空気を透光性板材12の吸気孔26から取り込んだ後、空気処理機14にて当該空気中のマイクロ飛沫Xに含まれるウイルス等の除去および除菌を行うことができる。
【0039】
このように、浄化した空気を排出するので、空気処理機14からの排出先を空気処理装置10を設置した部屋内にした場合であっても閉じられた同部屋内での感染症を防ぐことができ、空気処理機14からの排出先を屋外等の外部にした場合であっても感染症の拡大を防ぐことができる。
【0040】
(変形例1)
上述した実施形態では、透光性板材12を一対の板材20と一対の枠材22と底板24とで構成していたが、ひとつの部材に吸気孔26、内部空間28および送気孔30を形成することにより、当該部材のみで透光性板材12を構成してもよい。
【0041】
(変形例2)
上述した実施形態では、殺菌線(紫外線)を用いて空気中の除菌およびウイルス等の除去を行っていたが、これに変えて、光触媒、オゾン、あるいはヒドロキシラジカル(OHラジカル)を用いて空気中の除菌およびウイルス等の除去を行ってもよい。
【0042】
(変形例3)
また、上述した実施形態では、透光性板材12の上端に空気処理機14が接続されていたが、これに変えて、
図6に示すように、透光性板材12の送気孔30に送風管40の一端を接続するとともに、当該送風管40の他端を空気処理機14に接続して、空気処理機14を透光性板材12から離間した位置に配置してもよい。なお、送風管40の材質は、ビニルのような軟質材料であってもよいし、鋼管のような硬質材料であってもよい。また、送風管40の断面形状は円形でも角形でもよい。
【0043】
(変形例4)
さらに、
図7に示すように、吸気孔26や内部空間28が形成されていない単純な板材で透光性板材12を構成し、当該透光性板材12の上端に空気処理機14を載置してもよい。
【0044】
この場合、人が発するマイクロ飛沫Xを含む空気は、透光性板材12の表面近傍に沿って上方に移動した後、空気処理機14に吸い込まれて除菌およびウイルス等の除去が行われる。
【0045】
(変形例5)
また、単純な板材で透光性板材12を構成する場合、
図8に示すように、透光性板材12の上端部における両方の面にそれぞれ空気処理機14を設けてもよい。もちろん、必要に応じて、透光性板材12の上端部におけるいずれか一方の面にのみ空気処理機14を設けてもよい。
【0046】
(変形例6)
また、単純な板材で透光性板材12を構成する場合において、
図9に示すように、下向きに開いているフード42を透光性板材12の上端に設けるとともに、当該フード42の例えば頭頂部に送風管40の一端を接続し、当該送風管40の他端を空気処理機14に接続して、空気処理機14を透光性板材12から離間した位置に配置してもよい。
【0047】
(変形例7)
さらに、
図10に示すように、吸気孔26や内部空間28が形成されていない単純な板材で透光性板材12を立ち上げて、当該透光性板材12の上端部に対して、その下端部を向かい合わせるようにして互いに所定の間隔を空けて一対の空気導入板50を設けてもよい。一対の空気導入板50の間の空間が空気導入空間52となり、この空気導入空間52の上側の送気孔30に空気処理機14が設けられている。
【0048】
透光性板材12の表裏面の近傍を通って当該空気導入空間52に入り、送気孔30を通過してきた空気中に含まれているマイクロ飛沫Xに付着したウイルス等の除去および除菌が空気処理機14において行われた後、浄化された空気が外部へ排出される。
【0049】
(変形例8)
また、変形例7の態様に加えて、
図11に示すように、透光性板材12の下端両側部に送風装置60を設けてもよい。これら送風装置60は、それぞれ、空気導入空間52の下端中央部に向けて所定量の送風を行う装置であり、
図12および
図13に示すように、大略、本体ケース62と、送風ファン64とを備えている。
【0050】
本体ケース62は、略直方体状の中空部材であり、その上面には空気を送り出す複数の送風孔66が形成されている。本変形例の場合、1列あたり5つの送風孔66が2列形成されており、各列の間に透光性板材12の下端部が配設されている。加えて、各送風孔66における本体ケース62の内部空間70側には、それぞれ、送風孔66から出た空気が空気導入空間52の下端中央部に向かうように風向きを規定するための風向規定板72が取り付けられている。
【0051】
また、本体ケース62の側面には、複数の空気取入用孔68が形成されている。
【0052】
送風ファン64は本体ケース62内に収容されており、送風ファン64によって本体ケース62の内部空間70は、送風孔66を臨む空間と、空気取入用孔68を臨む空間とに仕切られている。
【0053】
これにより、送風ファン64を作動させると、外部の空気が空気取入用孔68を通って本体ケース62の内部空間70に入り、送風ファン64を通過後、風向規定板72によって風向きが規定された後、送風孔66から外部(透光性板材12における表面の近傍)に向けて送風される。
【0054】
そして、一方の列の送風孔66から送り出された空気は透光性板材12における一方の表面の近傍を通って空気導入空間52の下端中央部に入り、他方の列の送風孔66から送り出された空気は透光性板材12における他方の表面の近傍を通って空気導入空間52の下端中央部に入る。
【0055】
なお、送風装置60の本体ケース62の形状や送風孔66の配置については、上述したものに限定されず、例えは、
図14および
図15に示す態様であってもよいし、他の態様であってもよい。
【0056】
図14および
図15に示す本体ケース62は、その天面74の一部が透光性板材12の中央部に向けて高さが低くなるように傾斜している。これにより、当該天面74に形成された送風孔66が空気導入空間52の下端中央部に向かうようになっている。
【0057】
このため、本図に示す本体ケース62であれば、風向規定板72を設ける必要なく、送風孔66から出た空気が空気導入空間52の下端中央部に向かうようになっている。
【0058】
さらに、本体ケース62を省いて送風ファン64のみで送風装置60を構成してもよい。この場合、送風ファン64の送風方向が空気導入空間52の下端中央部に向かうようになっているのが好適である。
【0059】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
10…空気処理装置、12…透光性板材、14…空気処理機
20…板材、22…枠材、24…底板、26…吸気孔、28…内部空間、30…送気孔、32…(空気処理機14の)本体、34…ランプ、36…排気ファン
40…送風管、42…フード
50…空気導入板、52…空気導入空間
60…送風装置、62…本体ケース、64…送風ファン、66…送風孔、68…空気取入用孔、70…(本体ケース62の)内部空間、72…風向規定板、74…(本体ケース62の)天面、
X…マイクロ飛沫