(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145440
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】測量情報管理システム、測量情報管理方法、及び測量情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20220926BHJP
G06T 17/05 20110101ALI20220926BHJP
【FI】
G01C15/00 103Z
G01C15/00 103A
G06T17/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160901
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2021045446
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
(72)【発明者】
【氏名】柴田 憲克
(72)【発明者】
【氏名】深谷 暢之
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA01
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA19
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA09
5B050FA17
5B050GA08
(57)【要約】
【課題】現場において効率よくスキャニングを行うことができ、また視覚的にスキャニングの状況、データの取得の確認結果を行うこと。
【解決手段】情報表示端末と、三次元空間の点群を測定する測量装置と、を用いて、測量装置から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する測量情報取得部と、点群の表示範囲を設定する範囲設定部と、表示範囲を所定の単位区分に分割する区分設定部と、単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する点群量算出部と、表示範囲の各区分について点群量算出部が算出した単位区分ごとの点群量に応じて情報表示端末に表示させる点群量表示部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表示端末と、三次元空間の点群を測定する測量装置と、を用いて測量情報を表示させるための測量情報管理システムであって、
前記測量装置から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する測量情報取得部と、
前記点群の表示範囲を設定する範囲設定部と、
前記表示範囲を所定の単位区分に分割する区分設定部と、
前記単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する点群量算出部と、
前記表示範囲の各区分について前記点群量算出部が算出した前記単位区分ごとの点群量に応じて前記情報表示端末に表示させる点群量表示部と、
を含む測量情報管理システム。
【請求項2】
前記表示範囲内の各区分のうち、前記点群量が所定の必要点群量に達していない区分があるときは、点群の不足を示す情報を前記情報表示端末に表示させる点群量管理部、をさらに備える請求項1に記載の測量情報管理システム。
【請求項3】
前記点群量算出部は、前記単位区分ごとの所定の標高範囲内の空間に含まれる点群量を算出し、
前記点群量表示部は、各区分について、所定の標高範囲内の空間に含まれる点群量に応じて前記情報表示端末に表示させる、請求項1又は2に記載の測量情報管理システム。
【請求項4】
前記点群量算出部は、前記表示範囲又は前記単位区分の必要点群量に対する充足に関する指標を算出し、
前記点群量表示部は、前記充足に関する指標を前記情報表示端末に表示させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の測量情報管理システム。
【請求項5】
前記測量情報取得部は、前記測量装置の位置情報を取得し、
前記点群量算出部は、前記測量装置の位置に基づき、その位置において点群の測量を行った場合に取得できる範囲及び点群量の予測値を算出し、
前記点群量表示部は、各区分について、前記予測値に応じて前記情報表示端末に表示させる請求項1から4のいずれか一項に記載の測量情報管理システム。
【請求項6】
前記点群量算出部は、前記予測値の算出時において、予測される範囲内に、既に測量情報に基づき点群量を算出済で既存値としている区分が重複してあるときは、前記重複する区分について、前記算出済の点群量と、前記予測値の点群量とを加算した加算値を算出し、
前記点群量表示部は、各区分について、前記加算値に応じて前記情報表示端末に表示させる請求項5に記載の測量情報管理システム。
【請求項7】
前記点群量算出部は、前記測量情報取得部にて取得した点群データのうち、所定の条件を満たす点群データのみを前記点群量の算出の対象とする請求項1から6のいずれか一項に記載の測量情報管理システム。
【請求項8】
複数の設置位置から測定した点群データに基づいて、前記測量装置の器械設置の精度を算出して、当該器械設置の精度に関する情報を前記情報表示端末に表示させる点群量管理部、をさらに備える請求項1から7のいずれか一項に記載の測量情報管理システム。
【請求項9】
情報表示端末と、測量装置と、を用いて測量情報を表示させるための測量情報管理方法であって、
測量情報取得部が、前記測量装置から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する測量情報取得ステップと、
範囲設定部が、点群の表示範囲を設定する範囲設定ステップと、
区分設定部が、前記表示範囲を所定の単位区分に分割する区分設定ステップと、
点群量算出部が、前記単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する点群量算出ステップと、
点群量表示部が、前記表示範囲の各区分について前記点群量算出ステップで算出された前記単位区分ごとの点群量に応じて前記情報表示端末に表示させる点群量表示ステップと、
を含む測量情報管理方法。
【請求項10】
情報表示端末と、測量装置と、を用いて測量情報を表示させるための測量情報管理プログラムであって、
測量情報取得部が、前記測量装置から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する測量情報取得ステップと、
範囲設定部が、点群の表示範囲を設定する範囲設定ステップと、
区分設定部が、前記表示範囲を所定の単位区分に分割する区分設定ステップと、
点群量算出部が、前記単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する点群量算出ステップと、
点群量表示部が、前記表示範囲の各区分について前記点群量算出ステップで算出された前記単位区分ごとの点群量に応じて前記情報表示端末に表示させる点群量表示ステップと、
をコンピュータに実行させるための測量情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測量情報管理システム、測量情報管理方法、及び測量情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設現場においてもICT技術を活用した工事が行われている。人手不足や、また最近の伝染病の感染対策なども含めてICT技術による作業の効率化、省人化が求められている。
【0003】
このようなICT技術を活用した地形、地物等の三次元データを取得するシステムとして、地上設置型の三次元スキャナ装置を用いて複数地点から対象物を測定し、三次元点群データを取得し、それを端末に表示するシステムが知られている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような三次元点群データの取得状況を確認する方法としては、平面地図上の点群データの分布を確認するか、また三次元空間を模した仮想空間等への描画により三次元点群データの確認をするしかなかった。しかしながら、平面地図上の点群データの分布を確認する方法では、三次元的に必要な点群量を満たしているか分からないし、三次元空間を模した描画により確認する方法では、一度に描画及び確認する空間に限りがあり、全ての領域を確認するのは負担であった。
【0006】
以上により、本発明の目的は、三次元空間の点群を測定する測量情報管理システムにおいて、現場において効率よくスキャニングを行うことができ、また視覚的にスキャニングの状況、データの取得の確認結果を行うことができる、測量情報管理システム、測量情報管理方法、及び測量情報管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示の実施形態に係る測量情報管理システムは、情報表示端末と、三次元空間の点群を測定する測量装置と、を用いて、測量装置から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する測量情報取得部と、点群の表示範囲を設定する範囲設定部と、表示範囲を所定の単位区分に分割する区分設定部と、単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する点群量算出部と、表示範囲の各区分について点群量算出部が算出した単位区分ごとの点群量に応じて情報表示端末に表示させる点群量表示部と、を含む。
【0008】
また、上記した目的を達成するために、本開示の実施形態に係る測量情報管理方法は、情報表示端末と、測量装置と、を用いて、測量情報取得部が、測量装置から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する測量情報取得ステップと、範囲設定部が、点群量の表示範囲を設定する範囲設定ステップと、区分設定部が、表示範囲を所定の単位区分に分割する区分設定ステップと、点群量算出部が、単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する点群量算出ステップと、点群量表示部が、表示範囲の各区分について点群量算出ステップで算出された単位区分ごとの点群量に応じて情報表示端末に表示させる点群量表示ステップと、を含む。
【0009】
また、上記した目的を達成するために、本開示の実施形態に係る測量情報管理方法は、情報表示端末と、測量装置と、を用いて測量情報を表示させるために、測量情報取得部が、測量装置から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する測量情報取得ステップと、範囲設定部が、点群の表示範囲を設定する範囲設定ステップと、区分設定部が、表示範囲を所定の単位区分に分割する区分設定ステップと、点群量算出部が、単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する点群量算出ステップと、点群量表示部が、表示範囲の各区分について点群量算出ステップで算出された単位区分ごとの点群量に応じて情報表示端末に表示させる点群量表示ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現場において効率よくスキャニングを行うことができ、また視覚的にスキャニングの状況、データの取得の結果を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る測量情報管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【
図2】処理の流れを説明するフローチャートを示す図である。
【
図3】情報表示端末に表示される画面の一例を示すものである。
【
図4】情報表示端末に表示される画面の一例を示すものである。
【
図5】情報表示端末に表示される画面の一例を示すものである。
【
図6】情報表示端末に表示される画面の一例を示すものである。
【
図7】情報表示端末に表示される画面の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<概要>
例えば土木工事等の屋外の現場においては、工事の開始前や起工などの逐次において三次元スキャナ等の測量装置を用いて三次元点群データ(以下、点群データと言う場合もある)を取得し、現場の状況を確認する作業が行われている。このような現場の状況は例えば報告書のような所定の形式で、報告が必要な機関に対して成果物として提出される。現場における点群の取得は、典型的には測量装置を設置して、その位置における周囲の点群を取得するという作業を場所を変えて複数回行うことになる。または、移動体に三次元スキャナ等を搭載して管理エリア内を移動しながら点群を取得するということも可能である。
【0013】
三次元点群データの取得状況の確認は、作業者が手元で閲覧できるスマートフォン、タブレット、PC等の情報表示端末を用いて行われる。その際に、点群量、三次元空間を模した仮想空間への点群描画により表示させる方法では、一度に描画及び確認する空間に限りがあり、全ての領域を確認するのに時間がかかり、それらを一覧的に確認することができなかった。
【0014】
また、作業者が現場で点群の取得状況の確認作業を終えるには、管理すべき範囲の全ての領域内において必要な点群量を満たしているかということが要求されるが、それが定量的に確認できるということも必要である。
【0015】
また、別の問題として、取得された三次元点群データが、全て表示されてしまうというのも好ましくない。工事を行う上では管理すべき領域が定められており、管理範囲外の領域についても点群が表示、計数されてしまうことは計算資源の無駄であるし、負荷も大きい。
【0016】
以上のような事象の各々の側面に対応する方策として、本開示に係る発明者らは、点群量の管理というコンセプトを発想し、それを所定の管理エリア内について行い、現場にてスキャニングを行う際に効率よくスキャニングが行え、視覚的にスキャニング状況の予測及びデータ取得の結果を確認できるようになり、作業が効率的となることを企図した。
【0017】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本開示の実施形態に係る測量情報管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【0018】
<システムの構成>
測量情報管理システム1は、作業者2が使用する情報表示端末100と、測量装置200と、を備えている。作業者2はこれらの構成を備えた測量情報管理システム1を用いて、例えば土木工事現場等の屋外において取得した三次元点群データの確認を行う。
【0019】
三次元点群データを測定して取得するための測量装置200の一実施例は、例えば三次元スキャナ装置であり、より具体的には例えば三次元レーザスキャナ装置である。測量装置200は、測量器記憶部220、スキャナ部260、姿勢駆動部281、姿勢検出部282、測量器表示部250、測量器操作部240、測量器通信部230、測量器処理部210、位置取得部270を有し、これらの各構成はそれぞれ電気的に接続されている。その他に、図示しないが現場におけるパノラマ写真を撮影するカメラ部等を備えていてもよい。
【0020】
測量器記憶部220は、メモリや磁気ディスクによる記憶装置であり、現場における各種設計情報が記憶されている。この設計情報としては例えばBIM(Building Information Modeling)等が含まれている。なお、設計情報は、BIMに限られず、例えば三次元CADデータであってもよい。また、画像ファイルにスケールが付加された画像的な図面であってもよい。
【0021】
スキャナ部260は、例えばレーザスキャナであり、測距部261と偏向部262を有している。測距部261は測距光であるレーザ光を照射して、その反射光を受光することで測距及び測角行う機能を有している。
【0022】
姿勢駆動部281は、スキャナ部260を水平方向及び鉛直方向に回転駆動するアクチュエータである。当該姿勢駆動部281を駆動することでスキャナ部の向きを変更可能である。
【0023】
姿勢検出部282は、姿勢駆動部281により駆動した水平角及び鉛直角を検出可能な回転角センサ(エンコーダ)である。また、姿勢検出部282は測量装置200の傾斜角を検出する傾斜測定器(チルトセンサ)を有していてもよい。当該姿勢検出部282により、スキャナ部260が指向している向きを検出可能である。
【0024】
測量器表示部250は、測量器記憶部220に記憶された設計情報に基づく仮想空間、スキャナ部260にて測定した結果、測量器処理部210にて解析した結果、等の各種情報を表示可能なディスプレイである。
【0025】
測量器操作部240は、スキャナ部260による測定、姿勢駆動部281の駆動等の設定や操作が可能な部分である。この測量器操作部240は物理的なボタン等でもよいし、測量器表示部250と一体のタッチスクリーンであってもよい。
【0026】
測量器通信部230は、少なくとも種々の情報端末と相互に通信可能な通信機である。例えば通信部はインターネット等のネットワークと接続可能な通信機や、無線や有線で情報表示端末100と接続して通信を行うものであってもよい。
【0027】
位置取得部270は、測量装置200が静止又は移動中の位置を取得する機能を有する。具体的には例えば測量装置200の器械点設置により位置を取得する機能を有し、既知の位置に設置された再帰性反射プリズム等のターゲットを測量することにより自身の位置を測量することができる。または、位置取得部270はGNSS受信装置であってもよい。
【0028】
測量器処理部210は、測量装置200における各種制御を行う中央演算処理装置にあたる部分であり、測量器記憶部220に記憶されているプログラムにより実現する機能として、点群データ生成部221、実測位置算出部222、表示制御部223を有している。
【0029】
表示制御部223は、測量器記憶部220に記憶された設計情報に基づいて、建築現場の三次元の仮想空間表示を生成し、仮想空間上に表示された点群データや、実測位置算出部222にて算出された実測位置等を測量器表示部250に表示させる機能を有する。
【0030】
点群データ生成部221は、スキャナ部260により測定した各測距点(点群)の距離や、姿勢検出部282により検出された水平角、鉛直角、から三次元点群データを生成する機能を有している。
【0031】
実測位置算出部222は、点群データ生成部221により生成された三次元点群データの実測位置を算出する機能を有している。
【0032】
測量装置200は、その他の測量機能を有するものであってもよい。例えば、トータルステーション(TS)に三次元スキャナ機能を有するものであってもよい。また、自律して所定の航路を航行する移動機能を有していてもよいし、遠隔操作により移動経路を操作可能なものであってもよい。移動機能を有する場合の移動体の例をあげると、車両、ロボット、無人航空機(UAV)等である。車両には現場内を行き来する重機も含まれる。
【0033】
情報表示端末100は、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例として、PDA(Personal Digital Assistant)等)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、等を含む。汎用の端末にアプリケーションソフトウェアをインストールすることで本実施形態にかかる情報表示端末として用いることができる。これらの情報表示端末100は、端末表示部150を備え、工事現場に携帯して容易に持ち運びできる。また、ハンズフリーや、片手での保持により端末表示部150を視認することができる。また、電池等の内部電源を備え、外部電源を必要とすることなく一定時間動作することができる。
【0034】
情報表示端末100は、端末通信部130、端末記憶部120、端末処理部110、端末入力部140、端末表示部150を有している。
【0035】
端末処理部110は、図示しないが端末記憶部120に記憶されるプログラムに含まれるコード又は命令によって実現する機能、及び/又は方法を実行する。端末処理部110は、例として、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含み、集積回路等に形成された論理回路や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、図示しないが、端末記憶部120から読み出したプログラムを一時的に記憶し、端末処理部110に対して作業領域を提供する主記憶部を備えてもよい。
【0036】
端末通信部130は、測量装置200の測量器通信部230と通信可能であり、測量装置200により測定され算出された三次元点群データ、及び測量装置200の位置情報を受信可能である。三次元点群データについての実測位置情報の演算は、測量装置200側で行ってもよく、情報表示端末100側で行ってもよい。通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0037】
端末入力部140は、ユーザすなわち作業者2からの入力を受け付けて、その入力に係る情報を端末処理部110に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、又は、その組み合わせにより実現される。例えば、ボタン等によるハードウェア入力手段に加え、タッチパネル等の表示部上に表示されたソフトウェア入力手段、リモートコントローラ、マイク等の音声入力手段を含む。
【0038】
端末表示部150は、画面を表示することができる全ての種類の装置のいずれか又はその組み合わせにより実現される。例えば、液晶やOLED等の平面ディスプレイ、曲面ディスプレイ、折畳可能なフォルダブル端末に設けられた折畳画面、ヘッドマウントディスプレイ、又は小型プロジェクタを用いた物質への投影により表示可能な装置を含む。
【0039】
端末記憶部120は、必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。その他、端末通信部130にて受信した測量情報(三次元点群データ、測量装置200の位置情報)を記憶可能である。例えば、端末記憶部120には、建築現場において使用する土地の情報(標高等)や法面の設計情報を含む設計情報等が記憶されている。端末記憶部120は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。
【0040】
設計情報は、建築工事において必要な設計図を含む情報である。建築工事とは、例えば建築物、道路、線路、トンネル、橋梁、溝、水路、河川等の構造物の工事である。設計図には、平面図、縦断面図、横断面図、及びこれらに含まれる線形データ、点のデータ、各点や線分の位置、座標等、標高等が含まれている。
【0041】
端末記憶部120には、アプリケーションソフトウェアのプログラムとして、各種機能を実現する測量情報取得部121、範囲設定部122、区分設定部123、点群量算出部124、点群量表示部125、点群量管理部126、が記憶されている。また、端末記憶部120には、測量装置200に記憶されている点群データ生成部221、実測位置算出部222の機能を実現プログラムが記憶されていてもよく、それらを端末処理部110で実行することにより機能を実現してもよい。
【0042】
測量情報取得部121は、測量装置200から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する機能を有する。より具体的には、測量装置200のスキャナ部260の測定により、点群データ生成部221で三次元点群データが生成される。その三次元点群データの各点群に、その点群の位置情報が実測位置算出部222において付与され紐づけられる。その位置情報が紐づけられた点群データを、測量器通信部230と、端末通信部130との通信により取得する。
【0043】
範囲設定部122は、点群の表示範囲を設定する機能を有する。より具体的には、建設現場の地図上の所定の範囲を、点群量を管理すべき表示範囲として設定する。範囲の設定は作業者2が情報表示端末100の端末入力部140を用いて点群の表示範囲を指定する入力を行うことにより指定してもよいし、情報表示端末100が端末通信部130により通信してアクセスすることができる、所定の情報処理管理サーバにインストールされ、実行することができる、現場を管理するソフトウェア等を用いて入手してもよい。又は範囲設定部122が端末記憶部120に記憶されている設計情報等に含まれている管理エリア情報を読み込んで指定してもよい。表示範囲は、例えば地図上で範囲内と範囲外とを仕切る境界線で囲まれるように指定することができる。また、設定された表示範囲については、地図上に範囲が設定され、地図、又は設計図とリンクして表示できるように地図、又は設計図上における位置情報も付与される。
【0044】
区分設定部123は、表示範囲を所定の単位区分に分割する機能を有する。より具体的には、範囲設定部122によって設定された表示範囲を所定の単位面積区分によって区切られた複数の単位区分の集合に分割する。限定ではなく最も典型的な例としては同じ面積の正方形の区画、いわゆるグリッド単位に区切ることができる。正方形以外にも六角形や三角形など、表示範囲内を隙間なく連続した複数の単位区分に分割することができる全ての形状を採用することができる。また、各単位区分のサイズも自由に設定することができる。境界線と交差する各単位区分は、境界線をはみ出すものを含んでいてもよいし、境界線をはみ出さないように一部が欠けた形状になっていてもよい。また、各単位区分については、表示範囲に付与された地図上の位置情報を用いて、位置情報が付与される。
【0045】
点群量算出部124は、単位区分ごとの空間に含まれる点群量を算出する機能を有する。より具体的には、点群量算出部124は、取得した三次元点群データに紐づけられている位置情報を用いて、各単位区分の位置情報と比較して、各単位区分の空間内に含まれる点群量を算出することができる。「点群量」とは、点群の数、単位面積当たりの点群の数、単位体積当たりの点群の数、単位区分に含まれる点群の標高値の平均値その他統計量、を含む、点群に関する量的な指標であり、単なる点群の数に限られるものではない。
【0046】
また、点群量の算出には所定の条件の点群のみを算出の対象にすることができる。具体的には、測量装置200から所定の距離以内の点群のみを算出するように用いることができ、例えば、測量装置200から半径30m以内の点群のみを算出の用に供する、といったことができる。ここでの所定の距離は、例えば所定の検定方法を用いて、測量装置200が現場にて使用できる測定距離を算出して設定する。所定の検定方法としては、例えばトータルステーション等で2箇所以上の既知点間の距離を計測した結果と、測量装置200を用いて計測した結果から得られる2点間の距離を比較し、この較差が所定範囲に収まっているかを確認する精度確認試験等がある。また、測量装置200は一般的に路面に対するレーザ光の入射角が浅くなるほど測定精度が低下することから、所定の入射角以上の点群のみを点群量の算出に用いるようにしてもよい。
【0047】
また、点群量算出部124は、単位区分ごとの所定の標高範囲内の空間に含まれる点群量を算出する機能を有していてもよい。より具体的には、標高値の上限値と下限値を設定し、その標高範囲内の単位区分の空間に含まれる点群量を算出する。
【0048】
また、点群量算出部124は、さらに表示範囲又は単位区分の必要点群量に対する充足に関する指標(充足率等)を算出する機能を有していてもよい。より具体的には、端末記憶部120の設計情報に含まれて記憶されている単位区分あたりの必要点群量を読み込み、それと実際に算出された点群量とを比較して、必要点群量に対する充足に関する指標を算出することができる。必要点群量に対する充足に関する指標とは、必要点群量に対する充足率(例えば「80%充足する」)であってもよいし、必要点群量に対する不足率(例えば「20%不足する」)であってもよい。数字で示すものであってもよいし、高、中、低などランクで示すもの、所定の閾値を設け充足か不足のみを示すもの、であってもよい。また、全ての単位区分について充足率等を算出して、表示範囲全体の充足率等を算出してもよい。表示範囲全体の充足率等は、例えば全単位区分についての充足率等の平均値であってもよいし、必要な充足率等を満たしている単位区分の数を、全単位区分数で割ったものでもよい。
【0049】
また、点群量算出部124は、さらに、取得した点群の位置に基づいて、その位置において点群の測量を行った場合に取得できる範囲及び点群量の予測値を算出する機能を有していてもよい。より具体的には、測量装置200を表示範囲内のある場所に設置し、これから点群を取得しようという場合、その測量装置200の位置情報を、上記したように取得して、その測量装置200の周囲から取得できる三次元点群データ量のいわば見積もりを算出する。取得できる点群の範囲及び点群量については、その測量装置200後の性能に関する情報が予め単位記憶部に記憶されており、その測量装置200の設置された位置を中心として、装置の性能に基づく取得範囲と点群数を算出することができる。
【0050】
また、点群量算出部124は、さらに、予測値を算出時において、予測される範囲内に、既に測量情報に基づき点群量を算出済で既存値としている区分が重複してあるときは、前記重複する区分について、算出済の点群量と、予測値の点群量とを加算した加算値を算出する機能を有していてもよい。より具体的には、既に測定済みの三次元点群データの測量情報を既存値として端末記憶部120から呼び出すとともに、上記のように算出した予測値のうち、既存値と観測範囲が重複するエリア、すなわち観測範囲が重複する単位区分があるときは、その単位区分について既存値と予定値とを加算して、これから測量をするとどのように点群量が増えていくかの見積もりを示す加算値を算出することができる。
【0051】
また、点群量算出部124は、上記の観測範囲が重複する単位区分における加算値の算出を、既存値と予測値だけでなく、既に測定済の既存値と既存値による加算値を算出してもよい。
【0052】
点群量表示部125は、表示範囲の各区分について、算出された単位区分ごとの点群量に応じて情報表示端末100に表示させる機能を有する。より具体的には、点群量が点群数や、単位面積あたりの点群数、単位体積あたりの点群数である場合は、上記した算出された点群量、点群量の予測値、算出された点群量の既存値に予測値を加算した加算値について、点群量の高低がわかるように点群量の高低に応じて異なる表示することができる。限定ではなく最も典型的には色分け表示であり、例えば、点群量の高い単位区分を赤く、点群量の低い単位区分を青く、間に黄色などとなるような色の分布により表示させることができる。また、点群量が点群の標高値、単位区分に含まれる点群の標高値の平均値等、又はこれらの統計量である場合は、標高の高い単位区分を赤く、標高の低い部分を青く、間に黄色などとなるように色の分布により表示させることができる。
【0053】
また、点群量表示部125は、さらに、単位区分ごとの所定の標高範囲内に含まれる点群量、表示範囲又は単位区分の必要点群量に対する充足に関する指標、各区分について予測値に応じた点群量の表示、算出済の既存値に予測値を加算した加算値に応じた点群量の表示、既存値と既存値を加算した加算知に応じた点群量の表示、をする機能を有していてもよい。より具体的には、上記した色分け表示のように指標の高低がわかる表示の仕方を、単位区分ごとの所定の標高範囲内に含まれる点群量、表示範囲又は単位区分の必要点群量に対する充足に関する指標、各区分について予測値に応じた点群量の表示、算出済の既存値に予測値を加算した加算値に応じた点群量についても適用することができる。
【0054】
点群量管理部126は、表示範囲内の各区分のうち、点群量が所定の必要点群量に達していない区分があるときは、点群量の不足を示す情報を情報表示端末100に表示させる機能を有する。より具体的には、上記した一例のように、予め端末記憶部120に記憶されている、点群量について所定の閾値を用いて、点群量が充足しているか不足しているかを単位区分ごとに判断し、不足している単位区分について、不足している旨の表示を、いわゆるアラートとして作業者2にわかるように情報表示端末100の端末表示部150に表示させる。また、点群量が点群の標高値、標高値の平均値、又はこれらの統計量である場合には、比較対象となる設計情報の設計標高値のような、基準となる他の三次元データと比較し、基準値よりも高いか低いかを単位区分ごとに判断し、基準から外れている単位区分について、その旨の表示をアラートとして作業者2にわかるように同様に表示してもよい。
【0055】
また、点群量管理部126は、複数の設置位置から測定した点群データに基づいて、測量装置200の器械設置の精度を算出して、当該器械設置の精度に関する情報を情報表示端末100に表示させる機能を有する。より具体的には、異なる方向から測定された複数の点群データを含む単位区分において、複数の点群データごとに平均標高や中央値等の比較指標を算出し、当該比較指標同士の差に基づき器械設置の精度を算出する。
【0056】
例えば、同一単位区分内に3カ所の設置位置から測定された点群データ(第1点群データDa、第2点群データDb、第3点群データDc)がある場合に、各点群データから算出した平均標高(Ea、Eb、Ec)の差(Ea-Eb、Ea-Ec、Eb-Ec)をそれぞれの器械設置の精度として算出する。点群量管理部126は、この差が所定値未満であれば、いずれの器械設置も問題なしと判定する。一方、いずれか2つの差が所定値以上である場合は、器械設置に問題ありと判定する。例えば、第1点群データDaが関わらない差Eb-Ecが所定値未満であるのに対して、第1点群データDaが関わる差Ea-Eb及び差Ea-Ecがいずれも所定値以上である場合は、第1点群データDaを測定した地点における器械設置に問題ありと判定する。なお、器械設置の精度は、同一単位区分内に含まれる点群データの種類の数は3つに限られず4つ以上でもよいし、他の単位区分において問題なしと判定されている点群データがあれば2つでもよい。
【0057】
そして、点群量管理部126は、器械設置の精度に関する情報として、単位区分ごとに上述した比較指標同士の差を情報表示端末100に表示させる。例えば比較指標同士の差が所定値未満である単位区分は青、所定値以上である単位区分は赤、同一単位区分内に少なくとも3カ所以上から測定した点群データがない場合には白、等で表示してもよいし、比較指標同士の差の数値を各単位区分に表示してもよい。この器械設置の精度の表示は上述の点群量の表示と合わせて表示してもよいし、別画面に切り替えて表示してもよい。また、問題ありと判定された単位区分については、詳細表示として当該点群データを測定した測量装置200の測量位置、設置方法等を再度検証し、再計測を求めるアラートを表示してもよい。なお、必ずしも重複が生じている単位区分ごとに算出する必要はなく、他の点群データの比較指標との差が所定値以上である単位区分の割合を示す等、点群データが重複する部分全体で器械設置の精度を算出して表示してもよい。また、点群データの測定時に、同一単位区分において他の設置位置から取得した点群データがある場合は、今回測定した点群データと他の点群データの比較指標(例えば平均標高)との差が所定値以上であったら、その時点でアラート表示を行い、測量位置、設置方法等を再度検証し、再計測を求めてもよい。
【0058】
<処理の流れ>
図2に本開示の実施形態にかかる測量情報管理システムを用いた測量情報管理方法、測量情報管理プログラムの処理の流れを説明するフローチャートを示す。
【0059】
まず、ステップS101では、測量情報取得部121が、測量装置200から、位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する。なお、この点群データの取得は、後述するステップS102の範囲設定、及びステップS103の区分設定の後に行っても構わない。
【0060】
ステップS102では、範囲設定部122が、前記点群の表示範囲を設定する。
図3は、情報表示端末100の端末表示部150に表示される画面の一例を示すものである。この図の例において、情報表示端末100はいわゆるタブレット端末であり、端末表示部150は例えば液晶ディスプレイ又はOLEDディスプレイ、端末入力部140はこれらのディスプレイのタッチパネル機能により実現される入力部である。この図において、端末表示部150には地図又は航空写真等の地図表示(不図示)が表示されている。この地図表示の上に、作業者2は地図表示を参考にしながら表示範囲を入力して、範囲設定部122がその入力をもとに表示範囲を設定する。入力は指やタッチペン等を用いて境界線を自由に描画してもよいし、対角線となる2点を設定して矩形範囲を設定する等の種々の方法により可能である。この図においては、地図表示上に表示範囲DAが表示されている。そして、この時点で表示範囲DAにも位置情報が付与される。
【0061】
ステップS103では、区分設定部123が、表示範囲を所定の単位区分に分割する。
図4は、情報表示端末100の端末表示部150に表示される画面の一例を示すものである。この図の例において、表示範囲DAが複数の単位区分GUに分割され区切られている。なお、図面ではわかりやすさのために単位区分は誇張して大きめに表現しているが、実際には1ドットや1ピクセルといった単位で高精細とするとわかりやすくなる。また、この図においては、表示範囲DAの境界線が交差する領域について、境界線よりも外側の単位区分を表示しているが、境界線の外側は表示しなくてもよい。なお、表示範囲で囲まれているか囲まれていないかに関わらず、取得した三次元点群データは管理可能である。
【0062】
ステップS104では、点群量算出部124が、単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する。点群量は上記した単位区分の全てについて算出される。
【0063】
ステップS105では、点群量表示部125が、表示範囲の各区分について、算出された単位区分ごとの点群量に応じて、情報表示端末100に表示させる。
図5は、情報表示端末100の端末表示部150に表示される画面の一例を示すものである。この図の例において、測量装置200が位置SPの単位区分に設置されて測量済であり、この測量装置位置SPにおいて取得した三次元点群データによる点群量が、位置SPの周囲の単位区分が点群量に応じて濃淡色分け表示で示されている。なお、実際には測量装置200が設置されている位置やその直下の点群は取得されないので点群量は低くなるが、この図においては、わかりやすさのために測量装置位置SPに近いほど点群量が高いように表示させている。例えば、単位区分GU2と、単位区分GU1では、単位区分GU2のほうが濃い色で表示されており、取得した点群量が高いことが直感的に理解できる。また、同じように器械設置の精度に関する情報として複数設置位置からの点群データに基づく標高等の比較指標の差も表示可能である。このように、点群の取得状況や比較指標の差を色分けなどでわかりやすく表示し、表示範囲が一覧できるので、作業者2は、三次元点群データの点群量や器械設置の精度が、点群量を管理すべき表示範囲内の各区分において必要な数、必要な精度で取得できているかどうかを容易に確認することができ、現場において効率よくスキャニングを行うことができ、また視覚的にスキャニングの状況、データの取得の確認結果を行うことができる。
【0064】
図6は、情報表示端末100の端末表示部150に表示される画面の一例を示すものである。この図において説明するのは、既に点群を取得した既存値に対して、次に測定して取得できる点群量の予測値を加算し、加算値として表示する例である。例えばこの図の前段階は、
図5のように、ある位置SPに測量装置200が既に設置され、点群を取得した状態であるとする。それに対し、新たな位置NSPに測量装置200を設置すると、どのように点群が取得され、加算されるかの予測値を算出し、観測範囲が重複するエリアについては、既存値に予測値を加算して加算値を算出している。そして、加算値の点群量に応じて表示範囲内の単位区分について表示をしている。例えば、単位区分GU3は、位置SPにおける測量装置200の観測範囲と、位置NSPにおける測量装置200の観測範囲とが重複する単位区分である。このような単位区分GU3においては、位置SPにおいて測定済の既存値である点群量と、位置NSPにおいてこれから測定することにより取得がよそくされる予測値である点群量とが加算され、加算値として表示されている。そのため、単位区分GU3の点群量は、2点の観測範囲が重複していない単位区分GU4よりも濃い色で表示されている。これにより、作業者2は、どこに測量装置200を設置して点群を取得すれば効率よく作業を進めることができるか考えながら測量を行うことができる。
【0065】
図7は、情報表示端末100の端末表示部150に表示される画面の一例を示すものである。この図において説明するのは、充足率等に関するいわゆるアラート表示の例である。この図に示された表示範囲DAに含まれる単位区分は、領域のほぼ全体で点群量が高くなっているが、画面の左上に「抜け5%」と示されるように、いくつかの区分で点群量が低くなっている。例えば単位区分GU5は点群量が必要点群量に達していない単位区分であり、このような単位区分を他の単位区分とは異なるように、例えばハッチングによるアラート表示を行っている。アラート表示を行うかどうかは上記したように予め記憶されている必要点群量と比較してこの単位区分の点群量の高低により点群量管理部126により判断される。このように、必要な点群量に達していない単位区分についていわゆるアラート表示を行うことにより、作業者2は抜け漏れなく点群取得作業を行うことができる。また、同一単位区分において他の設置位置から取得した点群データの比較指標(例えば平均標高)との差が所定値以上である点群データがあった場合に、アラート表示を行い、測量位置、設置方法等を再度検証し、再計測を求めることで、容易に点群データの精度向上を図ることができる。
【0066】
このように、本開示の実施形態に係る測量情報管理システムによれば、情報表示端末100と、三次元空間の点群を測定する測量装置200と、を用いて、測量装置200から位置情報が紐づけられた点群データを含む測量情報を取得する測量情報取得部121と、点群の表示範囲を設定する範囲設定部122と、表示範囲を所定の単位区分に分割する区分設定部123と、単位区分ごとに空間に含まれる点群量を算出する点群量算出部124と、表示範囲の各区分について点群量算出部が算出した単位区分ごとの点群量に応じて情報表示端末に表示させる点群量表示部125と、を含むことにより、三次元点群データの点群量が、点群量を管理すべき表示範囲内の各区分において必要な数を取得できているかどうかを容易に確認することができるので、現場において効率よくスキャニングを行うことができ、また視覚的にスキャニングの状況、データの取得の結果確認を行うことができる。
【0067】
また、表示範囲内の各区分のうち、点群量が所定の必要点群量に達していない区分があるときは、点群の不足を示す情報を情報表示端末に表示させる点群量管理部126、をさらに備えることにより、作業者2は抜け漏れなく点群取得作業を行うことができる。
【0068】
また、点群量算出部124は、単位区分ごとの所定の標高範囲内の空間に含まれる点群量を算出し、点群量表示部125は、各区分について、所定の標高範囲内の空間に含まれる点群量に応じて情報表示端末100に表示させることにより、所望の標高範囲内における点群の取得状況を確認することができる。
【0069】
また、点群量算出部124は、表示範囲又は単位区分の必要点群量に対する充足に関する指標を算出し、点群量表示部125は、充足に関する指標を情報表示端末100に表示させることにより、点群の取得状況を定量的に確認することができる。
【0070】
また、測量情報取得部121は、測量装置200の位置情報を取得し、点群量算出部124は、測量装置200の位置に基づき、その位置において点群の測量を行った場合に取得できる範囲及び点群量の予測値を算出し、点群量表示部125は、各区分について、予測値に応じて情報表示端末に表示させることにより、作業者2は、その位置に測量装置200を設置させたときにどのように点群を取得できるか理解することができ、点群取得作業を効率よく進めることができる。
【0071】
また、点群量算出部124は、予測値の算出時において、予測される範囲内に、既に測量情報に基づき点群量を算出済で既存値としている区分が重複してあるときは、重複する区分について、算出済の点群量と、予測値の点群量とを加算した加算値を算出し、点群量表示部125は、各区分について、加算値に応じて情報表示端末100に表示させることにより、既に測定済みの過去の実績を踏まえて、その位置に測量装置200を設置させたときにどのように点群を取得できるか理解することができ、点群取得作業を効率よく進めることができる。
【0072】
また、点群量算出部124は、測量情報取得部121にて取得した点群データのうち、測定距離や入射角等に基づく所定の条件を満たす点群データのみを点群量の算出の対象とすることで、不要なデータを削減し、点群データの処理を効率化することができる。
【0073】
また、点群量管理部126は、複数の設置位置から測定した点群データに基づいて、測量装置200の器械設置の精度を算出して、当該器械設置の精度に関する情報を情報表示端末100に表示させることで、器械設置の良し悪しを容易に確認及び修正でき、スキャニングのさらなる効率化を図ることができる。
【0074】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、上記実施形態では、測量装置200のスキャナ部260をレーザスキャナとしているが、三次元点群データを取得するための測定を行うスキャナ部はこれに限られるものではない。例えば、スキャナ部として、パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定することで測距を行うLIDAR(Light Detection and Ranging)を用いてもよい。又は、スキャナ部としてカメラ等の撮像部を備え、点群データ生成部がいわゆるSfM(Structure from Motion)や写真測量の手法を用いて、撮像部により撮像した1又は複数の画像から点群データを生成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 測量情報管理システム
2 作業者
100 情報表示端末
110 端末処理部
120 端末記憶部
121 測量情報取得部
122 範囲設定部
123 区分設定部
124 点群量算出部
125 点群量表示部
126 点群量管理部
130 端末通信部
140 端末入力部
150 端末表示部
200 測量装置
210 測量器処理部
220 測量器記憶部
221 点群データ生成部
222 実測位置算出部
223 表示制御部
230 測量器通信部
240 測量器操作部
250 測量器表示部
260 スキャナ部
261 測距部
262 偏向部
270 位置取得部
281 姿勢駆動部
282 姿勢検出部
DA 表示範囲
GU 単位区分
SP 測量装置位置