(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145454
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】酸素バリア性が向上したエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 29/04 20060101AFI20220926BHJP
C08F 6/06 20060101ALI20220926BHJP
C08F 216/06 20060101ALI20220926BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C08L29/04 S
C08F6/06
C08F216/06
C08K3/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178559
(22)【出願日】2021-11-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】17/205,324
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591057290
【氏名又は名称】長春石油化學股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】蘇 世淵
(72)【発明者】
【氏名】梁 志傑
(72)【発明者】
【氏名】林 文星
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BE031
4J002DA116
4J002DA117
4J002DA118
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002GG02
4J100AA02Q
4J100AG04P
4J100CA04
4J100CA31
4J100DA24
4J100DA36
4J100DA37
4J100HA09
4J100JA58
(57)【要約】 (修正有)
【課題】酸素バリア性が向上したエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を提供する。
【解決手段】エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物は、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、約0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量とを備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン-ビニルアルコール共重合体と、
約0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量とを備えるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの含有量は、約24mol%~約48mol%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの含有量は、約24mol%~約35mol%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
60wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した2.5gの前記エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を含む溶液は、5.10~7.20のpHを有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記溶液は、5.30~6.90のpHを有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項6】
請求項1に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの含有量は、約36mol%~約48mol%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項7】
請求項1、2又は6に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
80wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した2.5gの前記エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を含む溶液は、5.10~7.20のpHを有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項8】
請求項7に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記溶液は、5.30~6.90のpHを有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
約50ppm~300ppmのホウ素の含有量をさらに備えるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
約50ppm~400ppmのアルカリ金属の含有量をさらに備えるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体は、99.5mol%以上のけん化度を有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の前記マンガンの含有量は、約0.01ppm~0.38ppmであるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体の融点は、150℃~200℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の吸湿性は、1wt%未満であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項15】
(a)約24mol%~約48mol%のエチレンの含有量及び99.5mol%以上のけん化度を有するエチレン-ビニルアルコール共重合体と、
(b)約0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量と、
(c)約50ppm~300ppmのホウ素の含有量と、
(d)約50ppm~400ppmのアルカリ金属の含有量とを備えるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、向上した酸素バリア性を有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物及びそのペレットに関する。
【背景技術】
【0002】
EVOH共重合体は、生鮮品を保存するラミネートにおいて広く使われている。例えば、EVOH共重合体及びラミネートは、食品包装産業、医療装置及び医療用品産業、製薬産業、エレクトロニクス産業並びに農薬産業によって一般に使用されている。EVOH共重合体は、酸素バリア層として機能するようにラミネートに別個の層として、しばしば組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
低エチレン含有量のEVOH共重合体は、結晶化度が高く、気体遮断性が高い一方、概して機械的特性が劣る。逆に言えば、高エチレン含有量のエチレンEVOH共重合体は、一般に機械的特性が高い一方、気体遮断性が劣る。それに加えて、EVOH共重合体は、従来より、押し出し中のゲル化の総量の制御という問題を有している。大きなゲル化量又はゲルスポットの個数は、そのようなEVOH共重合体から形成されるフィルムに悪影響を及ぼし得る。
【0004】
そのうえ、より高い酸素バリア性を提供するEVOH共重合体組成物の継続的な必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の側面は、向上した酸素バリア性(即ち、酸素遮断性)を有するエチレン-ビニルアルコール(“EVOH”)共重合体組成物及びそのペレットに関する。発明者は、EVOH共重合体組成物のマンガン含有量を制御することによって、気体遮断性、即ち、気体バリア性とEVOH共重合体組成物におけるゲルの態様とが向上し得ることを見出した。EVOH共重合体組成物のマンガンの量を制御することは、EVOH共重合体の間での相互作用を改善させ、それから形成されるフィルムの気体バリア性を向上させると考えられる。特定の理論に制限されることなく、EVOH共重合体組成物における或るマンガン量は、EVOH架橋結合連鎖におけるOH基の数を増加させ、EVOH共重合体の間のイオン結合を強くし、及び/又は、EVOH共重合体の間の水素結合を強くする。
【0006】
本開示の側面に係るEVOH共重合体組成物は、一般的に、EVOH共重合体と、約0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量とを備える。EVOH共重合体は、約24mol%~約48mol%のエチレンの含有量を有してもよい。例えば、EVOH共重合体は、約24mol%~約35mol%、又は約36mol%~約48mol%のエチレンの含有量を有してもよい。ある場合には、EVOH共重合体は、約24mol%~約35mol%のエチレンの含有量を有し、60wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した2.5gのEVOH共重合体組成物を含む溶液は、5.1~7.2、好ましくは、5.3~6.9のpHを有してもよい。別の場合には、EVOH共重合体は、約36mol%~約48mol%のエチレンの含有量を有し、80wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した2.5gのEVOH共重合体組成物を含む溶液は、5.1~7.2、好ましくは、5.3~6.9のpHを有してもよい。
【0007】
EVOH共重合体組成物は、約50ppm~300ppmのホウ素の含有量を備えていてもよい。それに加えて、又は、それに代えて、EVOH共重合体組成物は、約50ppm~400ppmのアルカリ金属の含有量を備えていてもよい。ある場合には、EVOH共重合体のマンガンの含有量は、約0.01ppm~0.38ppmである。
【0008】
好ましくは、EVOH共重合体は、99.5mol%以上のけん化度を有する。少なくとも1つの例では、EVOH共重合体組成物の吸湿性は、1%未満である。EVOH共重合体組成物は、融点が150℃~200℃のEVOH共重合体を有していてもよい。
【0009】
本開示の別の側面によれば、EVOH共重合体組成物は、概して、
(a)約24mol%~約48mol%のエチレンの含有量及び99.5mol%以上のけん化度を有するエチレン-ビニルアルコール共重合体と、
(b)約0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量と、
(c)約50ppm~300ppmのホウ素の含有量と、
(d)約50ppm~400ppmのアルカリ金属の含有量とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の側面は、向上した酸素バリア性を有するエチレン-ビニルアルコール(“EVOH”)共重合体組成物及びそのペレットに関連する。本開示の側面によれば、EVOH共重合体組成物は、概して、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、約0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量とを有している。
【0011】
EVOH共重合体組成物は、約24mol%~約48mol%のエチレンの含有量を備えたEVOH共重合体を有してもよい。EVOH共重合体組成物は、2以上、3以上、4以上、5以上又は6以上のように、1以上のEVOH共重合体を有していてもよい。EVOH共重合体のエチレンの含有量は、約24mol%~約35mol%であってもよい。例えば、1以上のEVOH共重合体のエチレンの含有量は、約24mol%~約35mol%、約25mol%~約35mol%、約27mol%~約35mol%、約29mol%~約35mol%;約24mol%~約33mol%、約25mol%~約33mol%、約27mol%~約33mol%、約29mol%~約33mol%;約24mol%~約32mol%、約25mol%~約32mol%、約27mol%~約32mol%、又は、約29mol%~約32mol%であってもよく、それらの間の任意の範囲又は部分的な範囲も含み得る。さらなる実施形態では、1以上のEVOH共重合体のエチレンの含有量は、約36mol%~約48mol%である。ある場合には、EVOH共重合体のエチレンの含有量は、約36mol%~約48mol%、約37mol%~約48mol%、約38mol%~約48mol%;約36mol%~約46mol%、約37mol%~約46mol%、約38mol%~約46mol%;約36mol%~約44mol%、約37mol%~約44mol%、又は、約38mol%~約44mol%であってもよく、それらの間の任意の範囲又は部分的な範囲も含み得る。
【0012】
1以上のEVOH共重合体は、約90mol%以上のけん化度を有していてもよい。或るケースでは、EVOH共重合体のけん化度は、約90.5mol%以上、約91mol%以上、約91.5mol%以上、約92mol%以上、約92.5mol%以上、約93mol%以上、約93.5mol%以上、約94mol%以上、約94.5mol%以上、約95mol%以上、約95.5mol%以上、約96mol%以上、約96.5mol%以上、約97mol%以上、約97.5mol%以上、約98mol%以上、約99mol%以上、約99.5mol%以上、約99.6mol%以上、約99.7mol%以上、約99.8mol%以上、約99.9mol%以上、又は、それらの間の任意の範囲であり得る。好ましくは、EVOH共重合体は、少なくとも99.5mol%のけん化度を有する。
【0013】
EVOH共重合体組成物は、概して、約0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量を有している。EVOH共重合体組成物のマンガンの含有量は、或るケースでは、EVOH共重合体組成物の総重量に基づいて、約0.01ppm~0.49ppm、約0.01ppm~約0.45ppm、約0.01ppm~約0.40ppm、約0.01ppm~約0.35ppm、約0.01ppm~約0.3ppm、約0.01ppm~約0.27ppm、約0.01ppm~約0.25ppm、約0.01ppm~約0.22ppm、約0.01ppm~約0.2ppm、約0.01ppm~約0.18ppm、約0.01ppm~約0.16ppm、約0.01ppm~約0.14ppm、約0.01ppm~約0.12ppm、約0.01ppm~約0.1ppm;約0.05ppm~約0.49ppm、約0.05ppm~約0.45ppm、約0.05ppm~約0.4ppm、約0.05ppm~約0.35ppm、約0.05ppm~約0.30ppm、約0.05ppm~約0.27ppm、約0.05ppm~約0.25ppm、約0.05ppm~約0.22ppm、約0.05ppm~約0.2ppm、約0.05ppm~約0.18ppm、約0.05ppm~約0.16ppm、約0.05ppm~約0.14ppm、約0.05ppm~約0.12ppm、約0.05ppm~約0.1ppm;約0.1ppm~約0.49ppm、約0.1ppm~約0.45ppm、約0.1ppm~約0.4ppm、約0.01ppm~約0.38ppm、約0.1ppm~約0.35ppm、約0.1ppm~約0.3ppm、約0.1ppm~約0.27ppm、約0.1ppm~約0.25ppm、約0.1ppm~約0.22ppm、約0.1ppm~約0.2ppm、約0.1ppm~約0.18ppm、約0.1ppm~約0.16ppm、約0.1ppm~約0.14ppm;約0.15ppm~約0.49ppm、約0.15ppm~約0.45ppm、約0.15ppm~約0.4ppm、約0.15ppm~約0.35ppm、約0.15ppm~約0.3ppm、約0.15ppm~約0.27ppm、約0.15ppm~約0.25ppm、約0.15ppm~約0.22ppm、約0.15ppm~約0.2ppm;約0.2ppm~約0.49ppm、約0.2ppm~約0.45ppm、約0.2ppm~約0.4ppm、約0.2ppm~約0.35ppm、約0.2ppm~約0.3ppm、約0.2ppm~約0.27ppm、約0.2ppm~約0.25ppm;約0.25ppm~約0.49ppm、約0.25ppm~約0.45ppm、約0.25ppm~約0.4ppm、約0.25ppm~約0.35ppm、約0.25ppm~約0.3ppm、又は、それらの間の任意の範囲若しくは部分的な範囲であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、EVOH共重合体組成物のマンガンの含有量は、約0.01ppm~約0.38ppmである。
【0014】
場合によっては、EVOH共重合体組成物は、EVOH共重合体組成物の総重量に基づいて、約30ppm~約300ppm、約30ppm~約275ppm、約30ppm~約250ppm、約30ppm~約225ppm、約30ppm~約200ppm、約30ppm~約175ppm;約50ppm~約300ppm、約50ppm~約275ppm、約50ppm~約250ppm、約50ppm~約225ppm、約50ppm~約200ppm、約50ppm~約175ppm;約70ppm~約300ppm、約70ppm~約275ppm、約70ppm~約250ppm、約70ppm~約225ppm、約70ppm~約200ppm、約70ppm~約175ppm;約90ppm~約300ppm、約90ppm~約275ppm、約90ppm~約250ppm、約90ppm~約225ppm、約90ppm~約200ppm、約90ppm~約175ppm;約110ppm~約300ppm、約110ppm~約275ppm、約110ppm~約250ppm、約110ppm~約225ppm、約110ppm~約200ppm、約110ppm~約175ppm;約130ppm~約300ppm、約130ppm~約275ppm、約130ppm~約250ppm、約130ppm~約225ppm、約130ppm~約200ppm、約130ppm~約175ppm、又は、それらの間の任意の範囲若しくは部分的な範囲のホウ素の含有量を有していてもよい。
【0015】
それに加えて、又は、代わりに、EVOH共重合体組成物は、EVOH共重合体組成物の総重量に基づいて、約50ppm~約400ppm、約50ppm~約350ppm、約50ppm~約300ppm、約50ppm~約275ppm、約50ppm~約250ppm、約50ppm~約225ppm、約50ppm~約200ppm、約50ppm~約175ppm;約75ppm~約400ppm、約75ppm~約350ppm、約75ppm~約300ppm、約75ppm~約275ppm、約75ppm~約250ppm、約75ppm~約225ppm、約75ppm~約200ppm、約75ppm~約175ppm;約100ppm~約400ppm、約100ppm~約350ppm、約100ppm~約300ppm、約100ppm~約275ppm、約100ppm~約250ppm、約100ppm~約225ppm、約100ppm~約200ppm、約100ppm~約175ppm;約125ppm~約400ppm、約125ppm~約350ppm、約125ppm~約300ppm、約125ppm~約275ppm、約125ppm~約250ppm、約125ppm~約225ppm、約125ppm~約200ppm、約125ppm~約175ppm;約140ppm~約400ppm、約140ppm~約350ppm、約140ppm~約300ppm、約140ppm~約275ppm、約140ppm~約250ppm、約140ppm~約225ppm、約140ppm~約200ppm;約160ppm~約400ppm、約160ppm~約350ppm、約160ppm~約300ppm、約160ppm~約275ppm、約160ppm~約250ppm、約160ppm~約225ppm、又は、それらの間の任意の範囲若しくは部分的な範囲のアルカリ金属の含有量を有していてもよい。
【0016】
EVOH共重合体組成物は、好ましくは、メタノール水溶液に溶かした場合に、約5.1~約7.2のpH値を有していてもよい。メタノール水溶液中のEVOH共重合体の溶解度は、少なくとも部分的に、EVOH共重合体組成物に含まれるEVOH共重合体のエチレンの含有量に依存している。場合によっては、EVOH共重合体は、約24mol%~約35mol%のエチレンの含有量を有し、60wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した2.5gのEVOH共重合体組成物を含む溶液は、約5.1~約7.2のpHを有する。好ましくは、60wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した場合の、約24mol%~約35mol%のエチレンの含有量を含む2.5gのEVOH共重合体組成物を含む溶液のpHは、約5.10~約7.20、約5.10~約7.10、約5.10~約7.00、約5.10~約6.90、約5.10~約6.80、約5.10~約6.70;約5.30~約7.20、約5.30~約7.10、約5.30~約7.00、約5.30~約6.90、約5.30~約6.80、約5.30~約6.70;約5.60~約7.20、約5.60~約7.10、約5.60~約7.00、約5.60~約6.90、約5.60~約6.80、約5.60~約6.70;約5.90~約7.20、約5.90~約7.10、約5.90~約7.00、約5.90~約6.90、約5.90~約6.80、又は、約5.90~約6.70であり、それの範囲及び部分的な範囲を含む。
【0017】
別の場合では、EVOH共重合体は、約36mol%~約48mol%のエチレンの含有量を有していてもよく、80wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した2.5gのEVOH共重合体組成物を含む溶液は、約5.1~約7.2のpHを有する。好ましくは、84gの80wt%メタノール水溶液に溶解した場合の、約36mol%~約48mol%のエチレンの含有量を備えるEVOH共重合体を含む2.5gのEVOH共重合体組成物を含む溶液のpHは、約5.10~約7.20、約5.10~約7.10、約5.10~約7.00、約5.10~約6.90、約5.10~約6.80、約5.10~約6.70;約5.30~約7.20、約5.30~約7.10、約5.30~約7.00、約5.30~約6.90、約5.30~約6.80、約5.30~約6.70;約5.60~約7.20、約5.60~約7.10、約5.60~約7.00、約5.60~約6.90、約5.60~約6.80、約5.60~約6.70;約5.90~約7.20、約5.90~約7.10、約5.90~約7.00、約5.90~約6.90、約5.90~約6.80、又は、約5.90~約6.70であり、それの範囲及び部分的な範囲を含む。
【0018】
それに加えて、又は、代わりに、EVOH共重合体組成物は、例えばペレットの形状において、EVOH共重合体組成物の総重量に基づいて約1wt%未満の吸湿性を有している。例えば、EVOH共重合体は、EVOH共重合体組成物の総重量に基づいて、約0.9wt%以下、約0.8wt%以下、約0.7wt.%以下、約0.6wt%以下、約0.5wt%以下、約0.4wt%以下、約0.3wt%以下、約0.2wt%以下、又は、約0.1wt%以下の吸湿性を有していてもよい。
【0019】
場合によっては、EVOH共重合体組成物のEVOH共重合体の融点は、150℃~200℃である。例えば、EVOH共重合体組成物の1以上のEVOH共重合体は、約150℃~約200℃、約150℃~約195℃、約150℃~約190℃、約150℃~約185℃、約150℃~約180℃、約150℃~約175℃、約150℃~約170°C;約155℃~約200℃、約155℃~約195℃、約155℃~約190℃、約155℃~約185℃、約155℃~約180℃、約155℃~約175℃、約155℃~約170°C;約160℃~約200℃、約160℃~約195℃、約160℃~約190℃、約160℃~約185℃、約160℃~約180℃、約160℃~約175°C;約165℃~約200℃、約165℃~約195℃、約165℃~約190℃、約165℃~約185℃、約165℃~約180°C;約170℃~約200℃、約170℃~約195℃、約170℃~約190℃、又は、約170℃~約185℃の融点(尚、それらの間の任意の範囲又は部分的な範囲を含む)を有していてもよい。
【0020】
本開示のEVOH共重合体組成物は、当業者に知られた方法を含む様々な方法で製造され得る。それに加えて、EVOH共重合体組成物は、本開示に従ったEVOH共重合体組成物を製造する方法の以下の非限定的な例に従って製造され得る。
【0021】
非限定的な実施形態によれば、EVOH共重合体組成物の製造方法は、(a)EVOH共重合体を製造すること、(b)前記EVOH共重合体からEVOH粒子を形成すること、(c)前記EVOH粒子を第1金属と接触している第1溶液内に浸す及び/又は該第1溶液内で洗浄すること、(d)前記EVOH粒子を前記第1溶液から取り除くこと、(e)前記EVOH粒子を第2金属と接触している第2溶液内に浸す及び/又は該第2溶液内で洗浄すること、(f)前記EVOH粒子を前記第2溶液から取り除くこと、(g)前記EVOH粒子を、ホウ素を含んで第3金属と接触し且つ7.7以下のpHを有している第3溶液内に浸す及び/又は該第3溶液内で洗浄し、前記EVOH粒子を乾燥させてEVOHペレットを得ることを含む。好ましくは、第1溶液及び第2溶液の一方は、3.4~3.8のpHを有し、第1溶液及び第2溶液の他方は、10.8~11.5のpHを有する。
【0022】
当業者は、一般的なEVOH共重合体、EVOH共重合体組成物、及び、そのペレットの製造の仕方を、当該技術分野における知識及び米国特許出願第16/729984号明細書(本明細書に参照して引用する)に基づいて容易に理解するだろう。
【0023】
EVOH共重合体は、当該技術分野で知られた任意の適切な手段によって、第1溶液に浸され、又は、第1溶液中で洗浄され得る。第1溶液は、概して、第1金属に接触している。例えば、第1金属は、第1容器を収容する容器の形状であってもよく、EVOH共重合体は、第1金属の容器内で第1溶液に浸され、又は、第1溶液で洗浄される。EVOH共重合体は、約64分~約144分の間、第1溶液内に滞留してもよく、例えば、約70分~約140分、約80分~約135分、約90分~約130分、約90分~約125分、約100分~約125分、約110分~約125分、約115分~約125分、又はそれらの間の任意の範囲の間、第1溶液内に滞留してもよい。EVOH共重合体は、所望の時間だけ第1溶液内に滞留した後に、第1溶液から取り除かれる。
【0024】
EVOH共重合体は、概して、第2溶液に浸漬され、又は、第2溶液で洗浄され、第2溶液は、第2金属と接触している。第1金属と同様に、第2金属は、金属容器の形状をとり得る。例えば、EVOH共重合体は、第2金属の容器内で第2溶液に浸漬され、又は、第2溶液で洗浄され得る。EVOH共重合体は、約80分~約144分の間、第2溶液内に滞留してもよく、例えば、約85分~140分、約90分~135分、約95分~約130分、約100分~約125分、約105分~約125分、約110分~約125分、約115分~約125分、又はそれらの間の任意の範囲の間、第2溶液内に滞留してもよい。EVOH共重合体は、所望の時間だけ第2容器内に滞留した後に、第2溶液から取り除かれる。
【0025】
典型的には、第1溶液及び第2溶液の一方は、3.4~3.8のpHを有し、第1溶液及び第2溶液の他方は、10.8~11.5のpHを有する。あるケースでは、第1溶液及び第2溶液の一方は、3.4~3.8、3.42~3.7、3.44~3.6、又は、それらの間の任意の範囲のpHを有し得る。第1溶液及び第2溶液の他方は、10.8~11.5、10.85~11.4、10.85~11.3、10.85~11.2、10.85~11.1、又は、それらの間の任意の範囲のpHを有し得る。
【0026】
EVOH共重合体は、ホウ素を含み且つ7.7以下のpHを有する第3溶液に浸漬され、又は、第3溶液で洗浄され、第3溶液は、第3金属に接触している。好ましくは、第3金属は、金属容器の形状をしており、EVOH共重合体は、第3金属の容器内で第3溶液に浸漬され、又は、第3溶液で洗浄されてもよい。好ましくは、第3溶液のpHは、3.3~7.7である。例えば、第3溶液のpHは、3.3から7.7、3.3~7.6、3.3~7.5、3.3~7.4、3.3~7.3、3.3~7.2、3.3~7.1、又は、それらの間の任意の範囲であり得る。EVOH共重合体は、約430分~約720分の間、第3溶液内に滞留し得る。あるケースでは、EVOH共重合体は、約430分~約720分、約460分~約700分、約490分~約680分、約520分~約660分、約550分~約640分、約570分~約630分、約580分~約620分、約590分~約610分、又はそれらの間の任意の範囲の間、第3溶液内に滞留する。EVOH共重合体は、所望の時間だけ第3容器内に滞留した後に、第3溶液から取り除かれる。
【0027】
第1金属、第2金属及び/又は第3金属は、概して、マンガンを含んでおり、そのため、金属容器内の特定範囲のpH値を有する溶液に粒子が接触した場合に、最終的なペレットは、マンガンを含有するようになる。ある場合には、第1金属、第2金属及び第3金属の1以上は、約1wt%~約3wt%のマンガン、約5wt%~約11wt%のニッケル、約13wt%~約23wt%のクロム、又は、それらの結合を含んでいる。ある場合には、第1金属、第2金属及び第3金属の1以上は、約2wt%未満のマンガン、約8wt%~約10.5wt%のニッケル、約18wt%~約20wt%のクロム、又は、それらの結合を含んでいる。上述のように、場合によっては、第1金属、第2金属及び/又は第3金属は、容器の形状をしている。好ましくは、第1金属、第2金属及び/又は第3金属のそれぞれは、容器の形状をしている。少なくとも1つの実施形態では、第1金属、第2金属及び第3金属は、304ステンレス鋼(SUS304)である。
【0028】
非限定的な別の実施形態によれば、EVOH共重合体組成物の製造方法は、第3溶液は、マンガンも含有し、より広範囲のpH値を有する以外は、上述の非限定的な実施形態の方法と同様である。例えば、第3溶液は、第3溶液の総重量に基づいて、約5ppm~約40ppm、約10ppm~約35ppm、約15ppm~約30ppm、又は、約20ppm~約28ppmのマンガンの含有量を有している。少なくとも1つのケースでは、第3溶液は、第3溶液の総重量に基づいて、約25ppmのマンガンの含有量を有している。この非限定的な実施形態に係る第3溶液は、7.7より大きいpHを有し得る。例えば、第3溶液は、約12以下、約11以下、約10以下、約9以下、約8以下、約7以下、約6以下、約5以下等のpHを有していてもよい。場合によっては、非限定的な実施形態の第3溶液のpHは、約2~約12、約2~約11、又は、約3.3~約10.9であり得る。第3溶液がマンガンをさらに含む場合、第3溶液は、約2~約12、約2~約11、又は、約3.3~約10.9のpHを有し得る。
【0029】
《実施例》
本発明の態様に係る、以下の非限定的な実施例は、主に、本発明の態様及びそこから派生する効果を説明する目的で提供される。
【0030】
=製造例1=
エチレン-ビニルアルコール(“EVOH”)共重合体組成物及びそのペレットは、下記の例示的な方法に従って製造された。具体的に、14の実施例のEVOH共重合体組成物(実施例EVOH1~14)及びそのペレットと、17の比較例のEVOH共重合体組成物(比較例EVOH1~17)及びそのペレットが、下記の方法に従って製造された。
【0031】
-実施例EVOH1-
エチレンモノマとビニルアセテートモノマとを重合することによって、エチレン酢酸ビニル(“EVA”)共重合体が製造された。EVA共重合体は、99.5mol%までけん化され、EVOH共重合体が製造された。実施例EVOH1に用いられたEVOH共重合体は、32mol%のエチレンの含有量を有していた。
【0032】
次に、EVOH共重合体は、重量比が60:40のメタノールと水とを含む溶液に溶かされた。メタノール及び水の溶液へのEVOH共重合体の溶解を促進するために、溶液は、60℃の温度に1時間維持された。EVOH共重合体がメタノール及び水の溶液に溶解した後、溶液は、41wt%のEVOH共重合体の固形分を有していた。
【0033】
メタノール、水及びEVOH共重合体の溶液は、続いて、水中造粒を用いてペレット化される。具体的には、メタノール、水及びEVOH共重合体の溶液は、120L/minの流量で供給管へポンプで注入された。溶液は、2.8mmの直径を有する入口管へ運ばれた後、1.5℃の水が加えられることによって冷却された。冷却しながら、EVOH共重合体は、1500rpmの回転速度の回転刃で切断され、EVOH粒子が製造された。
【0034】
EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.08のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0035】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.5のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0036】
第3に、EVOHは、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸(boron acid)、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.4のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの最終製品が得られた。最終的な実施例EVOH1に係るEVOHペレットは、86ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0037】
-実施例EVOH2-
実施例EVOH2に係るEVOHペレットは、実施例EVOH2に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0038】
実施例EVOH2では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.08のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で80分間維持された。
【0039】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.5のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に100分間漬かったままにされた。
【0040】
第3に、EVOHは、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、7.61のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に540分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH2に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH2に係る最終的なEVOHペレットは、118ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0041】
-実施例EVOH3-
実施例EVOH3に係るEVOHペレットは、実施例EVOH3に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0042】
実施例EVOH3では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.88のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0043】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.42のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0044】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、7.58のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH3に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH3に係る最終的なEVOHペレットは、169ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0045】
-実施例EVOH4-
実施例EVOH4に係るEVOHペレットは、実施例EVOH4に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0046】
実施例EVOH4では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.18のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0047】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.45のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0048】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、3.46のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH4に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH4に係る最終的なEVOHペレットは、230ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0049】
-実施例EVOH5-
実施例EVOH5に係るEVOHペレットは、実施例EVOH5に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0050】
実施例EVOH5では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.41のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0051】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.02のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0052】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、7.01のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH5に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH5に係る最終的なEVOHペレットは、53ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0053】
-実施例EVOH6-
実施例EVOH6に係るEVOHペレットは、実施例EVOH6におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH6に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0054】
実施例EVOH6では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.2のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0055】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.56のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0056】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、3.57のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH6に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH6に係る最終的なEVOHペレットは、128ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0057】
-実施例EVOH7-
実施例EVOH7に係るEVOHペレットは、実施例EVOH7におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH7に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0058】
実施例EVOH7では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.41のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0059】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.01のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0060】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、6.88のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH7に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH7に係る最終的なEVOHペレットは、138ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0061】
-実施例EVOH8-
実施例EVOH8に係るEVOHペレットは、実施例EVOH8におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH8に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0062】
実施例EVOH8では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、10.99のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0063】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.54のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0064】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、3.47のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH8に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH8に係る最終的なEVOHペレットは、59ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0065】
-実施例EVOH9-
実施例EVOH9に係るEVOHペレットは、実施例EVOH9におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH9に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0066】
実施例EVOH9では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.61のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0067】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.12のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0068】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、6.98のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH9に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH9に係る最終的なEVOHペレットは、238ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0069】
-実施例EVOH10-
実施例EVOH10に係るEVOHペレットは、実施例EVOH10におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH10に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、44mol%であった。
【0070】
実施例EVOH10では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.85のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0071】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.52のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0072】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.42のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH10に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH10に係る最終的なEVOHペレットは、158ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0073】
-実施例EVOH11-
実施例EVOH11に係るEVOHペレットは、実施例EVOH11におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH11に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、44mol%であった。
【0074】
実施例EVOH11では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.85のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0075】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.54のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0076】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、7.22のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH11に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH11に係る最終的なEVOHペレットは、210ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0077】
-実施例EVOH12-
実施例EVOH12に係るEVOHペレットは、実施例EVOH12におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH12に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、38mol%であった。
【0078】
実施例EVOH12では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.02のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0079】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.42のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0080】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.45のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH12に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH12に係る最終的なEVOHペレットは、102ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0081】
-実施例EVOH13-
実施例EVOH13に係るEVOHペレットは、実施例EVOH13におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH13に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、38mol%であった。
【0082】
実施例EVOH13では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.02のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0083】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.44のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0084】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、7.35のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH13に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH13に係る最終的なEVOHペレットは、258ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0085】
-実施例EVOH14-
実施例EVOH14に係るEVOHペレットは、実施例EVOH14に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH14に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、38mol%であった。
【0086】
実施例EVOH14では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.42のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0087】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.88のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0088】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.48のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH14に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。実施例EVOH14に係る最終的なEVOHペレットは、200ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0089】
-比較例EVOH1-
比較例EVOH1に係るEVOHペレットは、比較例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0090】
比較例EVOH1では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.46のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0091】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.46のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0092】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.5のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH1に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH1に係る最終的なEVOHペレットは、135ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0093】
-比較例EVOH2-
比較例EVOH2に係るEVOHペレットは、比較例EVOH2に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0094】
比較例EVOH2では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.42のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で100分間維持された。
【0095】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.41のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に100分間漬かったままにされた。
【0096】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.45のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に540分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH2に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH2に係る最終的なEVOHペレットは、85ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0097】
-比較例EVOH3-
比較例EVOH3に係るEVOHペレットは、比較例EVOH3に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0098】
比較例EVOH3では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.08のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0099】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.5のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0100】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.9のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH3に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH3に係る最終的なEVOHペレットは、158ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0101】
-比較例EVOH4-
比較例EVOH4に係るEVOHペレットは、比較例EVOH4に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0102】
比較例EVOH4では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.6のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0103】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.23のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0104】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.84のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH4に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH4に係る最終的なEVOHペレットは、289ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0105】
-比較例EVOH5-
比較例EVOH5に係るEVOHペレットは、比較例EVOH5に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0106】
比較例EVOH5では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.08のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0107】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.97のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0108】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.32のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH5に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH5に係る最終的なEVOHペレットは、159ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0109】
-比較例EVOH6-
比較例EVOH6に係るEVOHペレットは、比較例EVOH6に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0110】
比較例EVOH6では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.51のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0111】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.51のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0112】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、3.51のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH6に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH6に係る最終的なEVOHペレットは、119ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0113】
-比較例EVOH7-
比較例EVOH7に係るEVOHペレットは、比較例EVOH7に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0114】
比較例EVOH7では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.56のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0115】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.01のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0116】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、10.98のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH7に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH7に係る最終的なEVOHペレットは、127ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0117】
-比較例EVOH8-
比較例EVOH8に係るEVOHペレットは、比較例EVOH8に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。
【0118】
比較例EVOH8では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.18のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0119】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、11のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0120】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、11.3のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH8に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH8に係る最終的なEVOHペレットは、68ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0121】
-比較例EVOH9-
比較例EVOH9に係るEVOHペレットは、比較例EVOH9におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH9に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0122】
比較例EVOH9では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.44のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0123】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.52のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0124】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.46のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH9に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH9に係る最終的なEVOHペレットは、258ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0125】
-比較例EVOH10-
比較例EVOH10に係るEVOHペレットは、比較例EVOH10におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH10に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0126】
比較例EVOH10では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.45のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0127】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0128】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.12のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH10に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH10に係る最終的なEVOHペレットは、68ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0129】
-比較例EVOH11-
比較例EVOH11に係るEVOHペレットは、比較例EVOH11におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH11に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0130】
比較例EVOH11では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.05のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0131】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.98のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0132】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.12のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH11に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH11に係る最終的なEVOHペレットは、210ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0133】
-比較例EVOH12-
比較例EVOH12に係るEVOHペレットは、比較例EVOH12におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH12に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0134】
比較例EVOH12では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.62のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0135】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.5のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0136】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、3.58のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH12に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH12に係る最終的なEVOHペレットは、115ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0137】
-比較例EVOH13-
比較例EVOH13に係るEVOHペレットは、比較例EVOH13におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH13に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0138】
比較例EVOH13では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.46のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0139】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.21のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0140】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、10.92のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH13に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH13に係る最終的なEVOHペレットは、123ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0141】
-比較例EVOH14-
比較例EVOH14に係るEVOHペレットは、比較例EVOH14におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH14に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0142】
比較例EVOH14では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.07のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0143】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水にリン酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.08のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0144】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、11.2のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH14に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH14に係る最終的なEVOHペレットは、208ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0145】
-比較例EVOH15-
比較例EVOH15に係るEVOHペレットは、比較例EVOH15に係るEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1に係るEVOH粒子を洗浄する工程と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH15に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、32mol%であった。
【0146】
比較例EVOH15では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.18のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0147】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、2.51のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0148】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、2.51のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH15に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH15に係る最終的なEVOHペレットは、230ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0149】
-比較例EVOH16-
比較例EVOH16に係るEVOHペレットは、比較例EVOH16におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH16に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0150】
比較例EVOH16は、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化カリウムが加えられ、3.41のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0151】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化カリウムが加えられ、12.01のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0152】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、6.88のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH16に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH16に係る最終的なEVOHペレットは、189ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0153】
-比較例EVOH17-
比較例EVOH17に係るEVOHペレットは、比較例EVOH17におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量及びEVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH1と異なる点以外は、実施例EVOH1に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH17に係るEVOH共重合体のエチレンの含有量は、29mol%であった。
【0154】
比較例EVOH17は、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、11.8のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0155】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に塩酸及び水酸化カリウムが加えられ、4.5のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0156】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化カリウムが加えられ、4.5のpHを有する第3溶液が作られた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH17に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH17に係る最終的なEVOHペレットは、200ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0157】
=製造例2=
2つの実施例のEVOH共重合体組成物(実施例EVOH15、16)及びそのペレット、並びに、3つの比較例のEVOH共重合体組成物(比較例EVOH18~20)及びそのペレットが以下の方法で製造された。
【0158】
-実施例EVOH15-
エチレンモノマとビニルアセテートモノマとを重合することによって、エチレン酢酸ビニル(“EVA”)共重合体が製造された。エチレン酢酸ビニル共重合体は、99.5mol%までけん化され、EVOH共重合体が製造された。実施例EVOH15に用いられたEVOH共重合体は、32mol%のエチレンの含有量を有していた。
【0159】
次に、EVOH共重合体は、重量比が60:40のメタノールと水とを含む溶液に溶かされた。メタノール及び水の溶液へのEVOH共重合体の溶解を促進するために、溶液は、60℃の温度に1時間維持された。EVOH共重合体がメタノール及び水の溶液に溶解した後、溶液は、41wt%のEVOH共重合体の固形分を有していた。
【0160】
メタノール、水及びEVOH共重合体の溶液は、続いて、水中造粒を用いてペレット化される。具体的には、メタノール、水及びEVOH共重合体の溶液は、120L/minの流量で供給管へポンプで注入された。溶液は、2.8mmの直径を有する入口管へ運ばれた後、1.5℃の水が加えられることによって冷却された。冷却しながら、EVOH共重合体は、1500rpmの回転速度の回転刃で切断され、EVOH粒子が製造された。
【0161】
EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.08のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0162】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.5のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0163】
第3に、EVOHは、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸(boron acid)、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、10.9のpHを有する第3溶液が作られた。第3溶液が第3溶液に対して25ppmの酢酸マンガンを含むように、酢酸マンガンが第3溶液に加えられた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、実施例EVOH15に係るEVOHペレットの最終製品が得られた。最終的な実施例EVOH15に係るEVOHペレットは、148ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0164】
-実施例EVOH16-
実施例EVOH16に係るEVOHペレットは、第3溶液に加えられる酢酸マンガンの量が、第3溶液に対する酢酸マンガンの濃度が10ppmになるような量である点以外は、実施例EVOH15において用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。実施例EVOH16に係る最終的なEVOHペレットは、150ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0165】
-比較例EVOH18-
比較例EVOH18に係るEVOHペレットは、酢酸マンガンが第3溶液に加えられておらず、第3溶液の酢酸マンガンの濃度が0ppmである点以外は、実施例EVOH15に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH18の最終的なEVOHペレットは、150ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0166】
-比較例EVOH19-
比較例EVOH19に係るEVOHペレットは、第3溶液に対する濃度が50ppmとなる量だけ酢酸マンガンが第3溶液に加えられた点以外は、実施例EVOH15に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH19の最終的なEVOHペレットは、139ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0167】
-比較例EVOH20-
比較例EVOH20に係るEVOHペレットは、比較例EVOH20におけるEVOH共重合体のエチレンの含有量、酢酸マンガン濃度、及び、EVOH粒子を洗浄する工程が実施例EVOH15におけるそれらと異なる点以外は、実施例EVOH15に係るEVOHペレットの製造に用いられた方法と同様の方法を用いて製造された。比較例EVOH20に係るEVOH共重合体のエチレン含有量は、29mol%であった。
【0168】
比較例EVOH20では、EVOH粒子は、3つの異なる溶液で別々に洗浄された。第1に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第1樽内の水に漬けられた。それから、水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、3.45のpHを有する第1溶液が作られた。EVOH粒子は、第1溶液内で120分間維持された。
【0169】
第2に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第2樽内の水に漬けられた。水に酢酸及び水酸化ナトリウムが加えられ、11のpHを有する第2溶液が作られた。EVOH粒子は、第2溶液に120分間漬かったままにされた。
【0170】
第3に、EVOH粒子は、304ステンレス鋼の第3樽内の水に漬けられた。水にボロン酸、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが加えられ、11.12のpHを有する第3溶液が作られた。第3溶液が第3溶液に対して25ppmの酢酸マンガンを含むように、酢酸マンガンが第3溶液に加えられた。EVOH粒子は、第3溶液に600分間漬かったままにされた。EVOH粒子は、乾燥され、比較例EVOH20に係るEVOHペレットの最終製品が製造された。比較例EVOH20に係る最終的なEVOHペレットは、50ppmのホウ素の含有量を有していた。
【0171】
=試験例1=
実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20に係るEVOHペレットは、評価され、そのようなペレットの或る特性が判定された。特に、ホウ素の含有量、マンガンの含有量、溶解性、pH及びアルカリ金属の含有量が、実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20に関して評価された。
【0172】
ホウ素の含有量及びマンガンの含有量を評価するために、濃縮した10mLの硝酸内で実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20のそれぞれに係るペレット0.2gを粉砕すると共にマイクロ波で加熱することによって、各例のペレットによってサンプル溶液が準備された。得られたサンプル溶液は、50mLまで純水で希釈された。準備された溶液に含まれるホウ素及びマンガンの量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析(ICP-OES)を使って測定された。ICP発光分光分析に使用された具体的な装置は、THERMOFISHER SCIENTIFICによって製造されたThermoFisher iCAP7000であった。測定値としてのホウ素及びマンガンの量は、実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20に係るEVOHペレットのそれぞれに含まれるホウ素及びマンガンの化合物に由来するホウ素及びマンガンの量に相当する。
【0173】
実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20のペレットの溶解性及びpHを評価するために、実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20のそれぞれの2.5gのペレットが、84gのメタノール水溶液に混合された。ペレットが24mol%~35mol%のエチレン含有量のEVOH共重合体を有する場合には、メタノール水溶液は、60wt%のメタノールと40wt%の水とを含んでいた。ペレットが36mol%~48mol%のエチレン含有量のEVOH共重合体を有する場合には、メタノール水溶液は、80wt%のメタノールと20wt%の水とを含んでいた。EVOHペレット及びメタノール水溶液の混合物は、250℃まで加熱されて、250℃に維持され、その溶液が2時間還流された。還流のあと、メタノール水溶液の温度が65℃まで低下させられた。実施例EVOH及び比較例EVOHの何れかのEVOHペレットが還流の間にメタノール水溶液に溶解して、温度が65℃まで下がったときに溶液が澄んで透明な場合には、実施例EVOH又は比較例EVOHのEVOHペレットは、良好な溶解性を有すると分類された。正確なpHの値を得るために、異なるメタノール濃度を有するメタノール溶液が高エチレン含有量及び低エチレン含有量のEVOH共重合体にそれぞれ使用され、EVOHペレットがメタノール溶液に十分に溶かされた。一旦、メタノール水溶液の温度が65℃になると、メタノール水溶液のpHが電極GST-5841Cを備えたMM43X pHメータによって評価された。
【0174】
EVOH共重合体の融点は、DSC Q200(Tzeroリッドは、TA Instrument T 170607であり、Tzeroパンは、TA Instrument T 170620であった。)を用いて、ISO 11357-3-2011の方法で判定された。
【0175】
EVOH共重合体組成物の吸湿性は、ISO 14663-2 Annex Aの方法に従って判定された。
【0176】
各EVOH共重合体のけん化度は、JIS K 6726の方法に従って判定された。
【0177】
アルカリ金属含有量も、実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20の各EVOHペレットについて判定された。特に、2gのEVOHが白金皿の上に置かれ、5mLの硫酸が加えられ、EVOH及び硫酸を含む白金皿がガスバーナで加熱された。EVOH粒子が炭化され、硫酸の白煙が消えるのを確認した後、数滴の硫酸が加えられ、炭化した粒子と硫酸とが再び加熱された。有機物が消えるまでこの作業が繰り返され、得られた物質は完全に灰になった。それから、白金皿は、放置されて冷却され、1mLの塩酸が加えられ、灰が溶かされた。灰を含む塩酸溶液は、超純水で洗浄され、50mLまで希釈された。サンプル溶液内のアルカリ金属含有量は、誘導結合プラズマ分光装置(ICP-AES)(Agilent Technologies社製 Model:720-ES)を用いて測定された。最終的に、溶液中のアルカリ金属濃度は、EVOH組成物のペレット中のアルカリ金属含有量に変換された。
【0178】
実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20のホウ素含有量、マンガン含有量、pH及びアルカリ金属含有量のまとめが下記の表1である。“ND”は、そのようなEVOH共重合体組成物において、マンガンの量に関して値が検出されなかったことを示す。
【0179】
【0180】
=試験例2=
実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20の単分子層フィルムが評価され、単分子層フィルムのゲル化及び酸素透過率(“OTR”)が評価された。具体的には、実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20のペレットが単層のTダイキャストフィルム押出機へ供給され、実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20のそれぞれの厚さ25μmの単分子層フィルムが製造された。単層のTダイキャストフィルム押出機は、OCS社製のME25/5800V4押出機であり、ゲルを観察するためのFSA100検出器が連結されていた。
【0181】
実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20の単分子層フィルムのOTRは、国際標準化機構の基準ISO14663-2に従って評価され、MOCON社製の測定装置OXTRAN 2/21を使って23℃、65%RHの環境下で測定された。29mol%~32mol%のエチレン含有量のEVOH共重合体を有するEVOH共重合体組成物から作られた単分子層フィルムについては、0.4cc/(m2×24hrs)以下である場合に、単分子層フィルムは優れたOTRを有すると評価され(表2では“〇”と記されている)、0.4cc/(m2×24hrs)よりも大きい場合に、単分子層フィルムは劣ったOTRを有すると評価された(表2では“×”と記されている)。38mol%~44mol%のエチレン含有量のEVOH共重合体を有するEVOH共重合体組成物から作られた単分子層フィルムについては、2cc/(m2×24hrs)以下である場合に、単分子層フィルムは優れたOTRを有すると評価され(表2では“〇”と記されている)、2cc/(m2×24hrs)よりも大きい場合に、単分子層フィルムは劣ったOTRを有すると評価された(表2では“×”と記されている)。
【0182】
単分子層フィルムのゲル化は、モジュール式の表面検査システム、具体的には、検出装置FSA 100を使って評価された。単分子層フィルムは、評価され、単分子層フィルムの1平方メートル当たりの、100μm(例えば、ゲルスポットが卵形状をしている場合には長径)未満の直径を有するゲルスポットの個数が判定された。単分子層フィルムの評価平方メートル当たり(1/m2)の100μm未満の直径(例えば、卵形状の場合は長径)を有するゲルスポットの個数が100未満の場合、単分子層フィルムは、優れたゲル化値を有するものと分類された(表2では“〇”と記されている)。単分子層フィルムの評価平方メートル当たり(1/m2)の100μm未満の直径(例えば、卵形状の場合は長径)を有するゲルスポットの個数が100~500の場合、単分子層フィルムは、十分なゲル化値を有するものと分類された(表2では“△”と記されている)。単分子層フィルムの評価平方メートル当たり(1/m2)の100μm未満の直径(例えば、卵形状の場合は長径)を有するゲルスポットの個数が500よりも多い場合、単分子層フィルムは、劣ったゲル化値を有するものと分類された(表2では“×”と記されている)。
【0183】
実施例EVOH及び比較例EVOHの両方から製造された単分子層フィルムは、各単分子層フィルムにおける1平方メートルの部分当たり、100μmより大きな直径を有する50個未満のゲルスポットを有していた。しかしながら、多くの適用においては、単分子層フィルムの1平方メートルの部分当たりの、100μmよりも大きな直径を有するゲルスポットが50個未満の単分子層フィルムは、使用することもできる。したがって、100μm未満の直径を有するゲルスポットの個数がより一般的であり、単分子層フィルムの外観に主として影響を与えるので、本発明における100μm未満の直径を有するゲルスポットの個数について説明する。100μmより大きな直径を有するゲルスポットの適切な個数に加えて、実施例EVOHの単分子層フィルムは、100μm未満の直径を有するゲルスポットの好ましい個数を有利に、有する。
【0184】
実施例EVOH1~16及び比較例EVOH1~20の単分子層フィルムのOTR及びゲル化の評価のまとめは、下記の表2に示される。
【0185】
【0186】
とりわけ、実施例のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物(実施例EVOH1~16)から製造された単分子層フィルムのそれぞれは、優れたOTR率を有し、優れた又は十分なゲル化の結果を示した。比較例のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物(比較例EVOH1~20)から製造された単分子層フィルムはそれぞれ、OTR、ゲル化、又は、OTR及びゲル化の両方について劣った特性を示した。それに加えて、比較例EVOH1~20から製造された単分子層フィルムに、優れたゲル化を示すものはなかった。
【0187】
さらに、特別な理論への限定なしに、発明者は、マンガン含有量が好ましい範囲である場合に、水素結合及び不純物が制御され、優れたOTR率及びゲル化の挙動の両方を得ることができると考えている。ペレットのpH値が5.30~6.90の範囲にさらに制御された場合、OTR率及びゲル化の両方とも優れている。マンガン含有量が好ましい範囲に制御されることによって、pH値が低すぎる場合には、加工機の内部が腐食して不純物が製品に含まれるためゲル化性能が影響を受けると共に、pH値が高すぎる場合には、加工中に分子鎖が破断するためゲル化性能が影響を受けると、発明者は考えている。
【0188】
ここで用いられたように、開示された全ての範囲は、所定の範囲に含まれる全ての特定範囲、及び、所定の範囲の間の部分的な範囲の結合を含む。それに加えて、ここで開示された範囲は、特段の断りが無い限り、該範囲の両端の点を含む。そのため、1~5の範囲は、具体的には、2~5、3~5、2~3、2~4及び1~4等の部分的な範囲と同様に、1,2,3,4,5を含む。
【0189】
本明細書で引用された全ての刊行物及び特許明細書は、参照により援用され、いかなる目的においても、個々の刊行物又は特許明細書が具体的且つ個別的に参照により援用される。本開示とここに援用された何れかの刊行物又は特許明細書との間に不一致がある場合には、本開示が優先される。
【0190】
ここで用いられたように、“備える”、“有する”及び“含む”という文言は、オープンエンドで非限定的な意味で用いられている。“1つの”等の単数での表現は、単数だけでなく複数も含むものと理解される。“1又は複数”という表現は、“少なくとも1つ”を意味し、個別特性又は混合/結合を含み得る。
【0191】
動作例を除いて、又はほかの言及がされた場合を除いて、成分及び/又は反応条件の量を表現する全ての数字は、全ての場合において、示された数値の+/-5%以内を意味する“約”という文言によって変更され得る。ここで用いられる“実質的に含まない”又は“本質的に含まない”という文言は、約2%未満の特定の性質を含み得る。本開示において肯定的に説明された全ての要素又は特性は、請求項において否定的に排除され得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン-ビニルアルコール共重合体と、
0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量とを備えるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの含有量は、24mol%~48mol%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの含有量は、24mol%~35mol%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
60wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した2.5gの前記エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を含む溶液は、5.10~7.20のpHを有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記溶液は、5.30~6.90のpHを有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項6】
請求項1に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のエチレンの含有量は、36mol%~48mol%であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項7】
請求項1、2又は6に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
80wt%のメタノールを含む84gのメタノール水溶液に溶解した2.5gの前記エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を含む溶液は、5.10~7.20のpHを有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項8】
請求項7に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記溶液は、5.30~6.90のpHを有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
50ppm~300ppmのホウ素の含有量をさらに備えるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
50ppm~400ppmのアルカリ金属の含有量をさらに備えるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体は、99.5mol%以上のけん化度を有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の前記マンガンの含有量は、0.01ppm~0.38ppmであるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体の融点は、150℃~200℃であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1つに記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物において、
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の吸湿性は、1wt%未満であるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。
【請求項15】
(a)24mol%~48mol%のエチレンの含有量及び99.5mol%以上のけん化度を有するエチレン-ビニルアルコール共重合体と、
(b)0.01ppm~0.49ppmのマンガンの含有量と、
(c)50ppm~300ppmのホウ素の含有量と、
(d)50ppm~400ppmのアルカリ金属の含有量とを備えるエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物。