IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Ronkジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-点滴終了検出装置 図1
  • 特開-点滴終了検出装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014547
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】点滴終了検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61M5/14 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116910
(22)【出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】513196289
【氏名又は名称】Ronkジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】高山 建
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066EE10
4C066QQ01
4C066QQ42
4C066QQ43
4C066QQ54
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】 本発明は、点滴の実施に伴って変化する他の要因に基づいて点滴の終了を検出することができる点滴終了検出装置を提供することにある。
【解決手段】 本発明の点滴終了検出装置100は、軟質材料から形成され、内部に輸液が充填された輸液バッグ1の対向する面の一方の面2に着脱自在に固定される第1のプレート部4及び前記面の他方の面3に着脱自在に固定される第2のプレート部5によって構成され、前記第1のプレート部4及び第2のプレート部5の間隔によって前記対向する面2,3の間隔を検出する検出手段10と、前記検出手段10によって検出された間隔dに基づいて点滴の終了を判定する判定手段23とを具備することにある。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質材料から形成され、内部に輸液が充填された輸液バッグの対向する面の一方に着脱自在に固定される第1のプレート部及び前記面の他方に着脱自在に固定される第2のプレート部によって構成され、前記第1のプレート部及び第2のプレート部の間隔によって前記対向する面の間隔を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された間隔に基づいて点滴の終了を判定する判定手段とを具備することを特徴とする点滴終了検出装置。
【請求項2】
前記第1のプレート部は、パルスの発信手段であり、前記第2のプレート部は、前記発信手段から発信されるパルスに対応して電圧を発生させる受信手段であり、
前記検出手段は、発信手段から発信されるパルスに対応して受信手段に生じる電圧の変化に基づいて前記輸液バッグの対向する面の一方に位置する第1のプレート部及び前記輸液バッグの対向する面の他方に位置する第2のプレート部の間の間隔を検出することを特徴とする請求項1記載の点滴終了検出装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記検出手段によって検出された間隔が、点滴の進行に伴って減少し、所定値以下となった時に点滴の終了を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の点滴終了検出装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記検出手段によって検出された間隔が、点滴の進行に伴って減少し、所定値以下となって所定時間経過した場合に、点滴の終了を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の点滴終了検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療の点滴施療時において、特に点滴液を収容する容器がビニル製などの柔軟な材料からなる場合適用可能な点滴が終了したことを検出して通知する点滴終了検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開昭62-275469号公報)は、点滴用輸液溶液を被秤量物として支持できるようにしたバネ秤機構と、点滴終了時点をバネ秤機構における輸液量の変化として電気的に検出し、その検出信号で、バネ秤機構のある場所に設けた警報器又はナースコール装置の警報器あるいはその双方を選択的に作動させることのできる装置とで構成されている点滴用警報装置を開示する。
【0003】
特許文献2(特開平4-150867号公報)は、振動検出器と、信号処理回路部とを有し、点滴の進行状態を監視し、点滴の終了や以上の発生等を検知する点滴状態センサであって、振動検出器は、点滴器具の液滴筒の外周に密着され、液滴筒内への液滴の滴下供給により該液滴筒に生じる振動を検知するものであり、信号処理回路部は、振動検出器からの振動検出信号に基づいて液滴の有無を検出することにより点滴の進行状態を判定する点滴状態センサを開示する。
【0004】
特許文献3(特開2005-224418号公報)は、使用前の点滴容器を装置に吊り下げて、該点滴容器の重量を前記装置で自動的に測定するとともに、該重量を基に点滴終了予告時の重量を前記装置で自動的に演算で求めてこれを基準重量とし、その後も前記装置で点滴容器の重量測定を継続すると同時に該測定した重量と前記基準重量を比較演算し、点滴施療により点滴容器の重量が減量して前記基準重量になったときに点滴の残量が終わりに近いと定めて、前記装置から自動的に点滴終了予告信号を出力して、ナースコール装置又は有線式や無線式の専用装置によって距離を限定することなく、医師や看護師に報知することができる点滴施療時の点滴終了報知方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62-275469号公報
【特許文献2】特開平4-150867号公報
【特許文献3】特開2005-224418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献から明らかなように、点滴施療時に患者自身が点滴の終了を知らせることは非常に困難であることから、点滴の終了を自動的に検出して看護師や医師に通知することは従来からの課題である。
【0007】
このため、特許文献1及び特許文献3では、点滴容器の重量を検出することによって点滴の終了を検出するようにしたものであるが、点滴容器には、点滴筒、ローラクレンメ及び静脈輸液針並びにそれらの間を連結するチューブからなる輸液ラインの重量が荷重としてかかるとともに、患者が腕を動かした場合にも荷重が変動するという問題点がある。
【0008】
また、特許文献2に開示される例では、点滴筒内を滴下する輸液の振動を検出するが、輸液ラインは患者が腕を動かす毎に移動するため、検出誤差が生じる恐れがある。また点滴筒を滴下する輸液を光学的に検出する例もあるが、同様の不具合を生じる。
【0009】
以上のように、輸液ライン自体に検出装置を付加することは検出誤差を生じる可能性が大きい。このため、本発明は、点滴の実施に伴って変化する他の要因に基づいて点滴の終了を検出することができる点滴終了検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る点滴終了装置は、軟質材料から形成され、内部に輸液が充填された輸液バッグの対向する面の一方に着脱自在に固定される第1のプレート部及び前記面の他方に着脱自在に固定される第2のプレート部によって構成され、前記第1のプレート部及び第2のプレート部の間隔によって前記対向する面の間隔を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された間隔に基づいて点滴の終了を判定する判定手段とを具備するものである。尚、軟質材料としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等がある。
【0011】
これにより、点滴が進行すると軟質材料からなる輸液バッグは、内部の輸液の減少に伴いその厚さを減少させるので、対向する面の間隔もそれに伴って減少することから、検出手段によって検出された感覚に基づいて点滴の終了を判定することが可能となるものである。
【0012】
また、本発明において、前記第1のプレート部は、パルスの発信手段であり、前記第2のプレート部は、前記発信手段から発信されるパルスに対応して電圧を発生させる受信手段であり、前記検出手段は、発信手段から発信されるパルスに対応して受信手段に生じる電圧の変化に基づいて前記輸液バッグの対向する面の一方に位置する第1のプレート部及び前記輸液バッグの対向する面の他方に位置する第2のプレート部の間の間隔を検出することが望ましい。また、輸液バックの対向する面の幅の減少に伴って変化する第1のプレート部及び第2のプレート部の間の静電容量の変化を検出するものであってもよい。尚、前記第1のプレート部及び第2のプレート部は、前記輸液バッグの対向する面の下方であって、輸液が流出する流出孔の近傍に配されることが好ましい。
【0013】
さらに、前記第1のプレート部は、磁石を具備し、前記第2のプレート部は前記磁石に対応する磁性体プレートを具備することが好ましい。また、前記第1及び第2のプレート部は、粘着手段によって前記輸液バッグに貼り付けても良いものである。このように、第1のプレート部及び第2のプレート部を、前記輸液バッグの対向する面のそれぞれに固定するものであれば特にその手段は限定されるものではない。
【0014】
さらにまた、前記判定手段は、前記検出手段によって検出された間隔が、点滴の進行に伴って減少し、所定値以下となった時に点滴の終了を判定することが好ましい。
【0015】
また、前記判定手段は、前記検出手段によって検出された間隔が、点滴の進行に伴って減少し、所定値以下となって所定時間経過した場合に、点滴の終了を判定することが好ましい。
【0016】
このように、検出手段によって検出された間隔が、所定値以下となった場合又は所定値以下となって所定時間経過した場合に、点滴の終了を判定することにより、簡易な構造、簡易な方法で点滴の終了を検出することができるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、軟質材料からなる溶液バッグの対向する面に溶液バッグの幅を検出する検出手段を設け、検出手段によって検出された溶液バッグの幅の減少に基づいて点滴の終了を検出するようにしたので、簡易な構造で確実に点滴の終了を検出することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)は、点滴の開始時の輸液バッグに、輸液バッグの対向する面の幅を検出する検出装置を装着した場合を示した説明図であり、図1(b)は、点滴の終了時の輸液バッグの状態を示した説明図である。
図2図2は、本発明の実施例の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、例えば図1(a)で示すように、点滴用の輸液を封入した輸液バッグ1は、点滴を開始すると輸液バッグ1内の輸液が減少し、図1(b)で示すように、輸液バッグ1の幅が狭くなる。このため、この幅を検出することによって点滴の終了が検出できるものである。以下、本発明の実施例について、図面により説明する。
【実施例0020】
本発明に係る点滴終了検出装置100は、例えば図2に示すように、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の軟質材料から形成され、内部に輸液が充填された輸液バッグ1の対向する面の一方の面2に着脱自在に固定される第1のプレート部4及び前記面の他方の面3に着脱自在に固定される第2のプレート部5によって構成され、前記第1のプレート部4及び第2のプレート部5の間隔dによって前記対向する面2,3の間隔を検出する検出装置10と、前記検出装置10によって検出された間隔dに基づいて点滴の終了を判定する判定装置を具備する。
【0021】
前記検出装置10の一方を構成する前記第1のプレート部4は、所定周波数のパルスを発信する発信コイル6を具備し、さらに本実施例では、前記検出装置10の第1のプレート部4を一方の面2に接着する接着手段の一部を構成する永久磁石7を具備する。また前記検出装置10の他方を構成する前記第2のプレート部5は、前記発信コイル6から出力されるパルスを受信して所定の電圧を検出するための受信コイル8を具備し、さらに前記接着手段の他方として前記永久磁石7に対応する磁性体プレート9を具備するものである。尚、この実施例では、接着手段として永久磁石と磁性体プレートを用いたが、第1および第2のプレート部の前記面2,3への接着面に所定の粘着力を有する粘着剤を塗布するようにしても良いものである。
【0022】
また、コントロールユニット20は、前記発信コイル6と接続され、前記発信コイル6に接続され、前記発信コイル6にパルスを供給する発信ユニット21と、前記受信コイル8に接続され、電磁誘導により前記受信コイル8に発生したパルスを検出する検出ユニット22と、検出ユニット22によって検出された信号、特に電圧に基づいて前記輸液バッグ1の幅dの幅の減少を検出し、点滴の終了を判定し、点滴の終了を報知するための判定ユニット23とを少なくとも具備するものである。これによって、点滴の終了を判定し、点滴が終了した場合に、ブザーをならしたり、看護師、医師の携帯に通知したり、看護師センターに通知したりすることが可能となるものである。
【0023】
以上の構成により、図1(a)に示すように、点滴が開始される以前の輸液バッグ1の間隔d1であり、点滴が開始されると、輸液バッグ1内の輸液が減少していくのに対応して前記間隔dは、図1(b)で示すように、d2まで減少していく。前記間隔dがd1からd2へ減少していく場合、第1のプレート部5の発信コイル6から出力されるパルスに基づいて受信コイル8において受信されるパルスの電圧は大きくなることから、間隔dの減少に伴って受信コイル8で受信されるパルスによる電圧は高くなる。このため、前記電圧の増加を検出することによって前記間隔dの減少を検出することが可能となるものである。
【0024】
これによって、この実施例において、前記受信コイル8において発生する電圧が所定の大きさ以上となり、前記間隔dが所定値以下の値d2となることが検出された場合、点滴の終了を検出することができるものである。
【0025】
また、点滴の終了を検出するために、前記間隔dが所定値以下となり、所定時間経過した場合に、点滴の終了を検出するようにしてもよく、また前記間隔dが所定値以下で所定時間変化をしなくなった場合に、点滴の終了を停止するようにしても良いものである。
【符号の説明】
【0026】
1 輸液バッグ
2 一方の面
3 他方の面
4 第1のプレート部
5 第2のプレート部
6 発信コイル
7 永久磁石
8 受信コイル
9 磁性体プレート
10 検出装置
20 コントロールユニット
21 発信ユニット
22 検出ユニット
23 判定ユニット
100 点滴終了検出装置
図1
図2