(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145484
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】流動検知装置
(51)【国際特許分類】
G01L 19/00 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
G01L19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206321
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2021044291
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】野邉 彩子
(72)【発明者】
【氏名】篠原 陽子
(72)【発明者】
【氏名】内山 武
(72)【発明者】
【氏名】大海 学
(72)【発明者】
【氏名】須田 正之
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB14
2F055CC14
2F055DD04
2F055EE13
2F055FF11
2F055GG49
(57)【要約】
【課題】流路の振動によるノイズを低減し、微小流量でも流路内の流動状態を精度よく検知できる流動検知装置の提供。
【解決手段】流動検知装置1は、内部を流れる流体の圧力変化によって変位する外壁11を有する流路10と、外壁11の変位に伴い圧力を受ける受圧部30を有する圧力検出部2と、圧力検出部2に対し流路10の上流側及び下流側の少なくとも一方に設けられた流路固定部3と、を備え、流路固定部3は、圧力検出部2から離隔した位置で流路10を固定する内側固定部60と、内側固定部60よりもさらに圧力検出部2から離隔した位置で流路10を固定する外側固定部70と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流れる流体の圧力変化によって変位する外壁を有する流路と、
前記外壁の変位に伴い圧力を受ける受圧部を有する圧力検出部と、
前記圧力検出部に対し前記流路の上流側及び下流側の少なくとも一方に設けられた流路固定部と、を備え、
前記流路固定部は、
前記圧力検出部から離隔した位置で前記流路を固定する内側固定部と、
前記内側固定部よりもさらに前記圧力検出部から離隔した位置で前記流路を固定する外側固定部と、を備える、ことを特徴とする流動検知装置。
【請求項2】
前記内側固定部は、前記圧力検出部の前記受圧部に前記外壁を押し付けるように前記流路を固定している、ことを特徴としている請求項1に記載の流動検知装置。
【請求項3】
前記内側固定部における前記流路の中心線は、前記圧力検出部における前記流路の中心線よりも前記受圧部側に位置している、ことを特徴とする請求項2に記載の流動検知装置。
【請求項4】
前記内側固定部は、前記外側固定部よりも前記外壁を押圧する力が大きい、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の流動検知装置。
【請求項5】
前記流路固定部は、前記外壁を押圧する弾性体を備える、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の流動検知装置。
【請求項6】
前記内側固定部が備える前記弾性体は、前記外側固定部が備える前記弾性体よりも硬度が高い、ことを特徴とする請求項5に記載の流動検知装置。
【請求項7】
前記圧力検出部から前記内側固定部までの第1距離と、前記内側固定部から前記外側固定部までの第2距離は、互いに異なる、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の流動検知装置。
【請求項8】
前記圧力検出部と前記内側固定部との間に形成される第1隙間は、前記内側固定部と前記外側固定部との間に形成される第2隙間よりも狭い、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の流動検知装置。
【請求項9】
前記外壁に接触する前記流路固定部の接触面は、円弧またはV字状に形成されている、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の流動検知装置。
【請求項10】
前記流路、前記圧力検出部、及び前記流路固定部を挟んで配置されたアッパープレート及びボトムプレートを備える、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の流動検知装置。
【請求項11】
前記アッパープレートは、少なくとも前記圧力検出部の前記受圧部と前記流路を挟んで対向する部分に、窓部を備える、ことを特徴とする請求項10に記載の流動検知装置。
【請求項12】
前記アッパープレートは、透明部材から形成されている、ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の流動検知装置。
【請求項13】
前記アッパープレートには、平面視で前記圧力検出部の前記受圧部の中心を通る基準線が設けられている、ことを特徴とする請求項11に記載の流動検知装置。
【請求項14】
前記アッパープレート及び前記ボトムプレートは、少なくとも互いの対向面側が円弧状に形成されている、ことを特徴とする請求項10~13のいずれか一項に記載の流動検知装置。
【請求項15】
前記アッパープレート及び前記ボトムプレートの少なくとも一方は、前記流路固定部と一体的に形成されている、請求項10~14のいずれか一項に記載の流動検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流動検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、管の変形を検出することにより、管内の圧力変化を電気信号に変換して検知する管内圧力変化検知変換器が開示されている。この変換器は、測定素子にパイモルフ構造を有する圧電素子を使用し、この圧電素子が圧電体と圧電体との間に中間層を設けた構造であり、圧電素子を保持材によって管表面上に押し当てるように構成されている。保持材は、管の周方向に沿う圧電素子の両端部が、管の外周面に弾発的に当たるような弾性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、微小流量の流動状態を検知する場合、管の変位は非常に小さく、例えば1μm以下の場合もある。上記従来技術のように、管に圧電素子を押し付けてその変位を測定するセンサにおいては、信号レベルが小さくなり、外力や風などで流路が振動するとその変位による影響が相対的に大きくなる。そうすると、これがノイズ源となって、管の変位を精度よく検出できなくなる虞がある。つまり、センサそのものが高性能で高分解能であっても、外乱によりSN比が劣化して測定が困難なるという問題があった。
【0005】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、流路の振動によるノイズを低減し、微小流量でも流路内の流動状態を精度よく検知できる流動検知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一態様に係る流動検知装置は、内部を流れる流体の圧力変化によって変位する外壁を有する流路と、前記外壁の変位に伴い圧力を受ける受圧部を有する圧力検出部と、前記圧力検出部に対し前記流路の上流側及び下流側の少なくとも一方に設けられた流路固定部と、を備え、前記流路固定部は、前記圧力検出部から離隔した位置で前記流路を固定する内側固定部と、前記内側固定部よりもさらに前記圧力検出部から離隔した位置で前記流路を固定する外側固定部と、を備える。
【0007】
本態様に係る流動検知装置によれば、流路が振動した場合に、圧力検出部に対し流路の上流側及び下流側の少なくとも一方において流路を固定する流路固定部が、圧力検出部への流路の振動の伝播を抑制する。この流路固定部は、圧力検出部から離れて配置された外側固定部と、圧力検出部の近くに配置された内側固定部と、を有し、外側固定部で大きな振動を取り除き、内側固定部で残った小さな振動を取り除く。すなわち、流路を1か所で固定しても流路の振動は伝搬される場合があるため、本態様に係る流路固定部は、流路を外側固定部と内側固定部の少なくとも2か所で固定する。このように流路を少なくとも2か所で固定することで、流路の振動によるノイズが低減され、微小流量でも流路内の流動状態を精度よく検知できるようになる。
【0008】
(2)(1)の態様の流動検知装置において、前記内側固定部は、前記圧力検出部の前記受圧部に前記外壁を押し付けるように前記流路を固定していてもよい。
【0009】
この場合には、圧力検出部の受圧部に対し、流路の外壁が押し付けられるため、外壁の変位を受圧部が感度良く検知できるようになる。
【0010】
(3)(2)の態様の流動検知装置において、前記内側固定部における前記流路の中心線は、前記圧力検出部における前記流路の中心線よりも前記受圧部側に位置していてもよい。
【0011】
この場合には、内側固定部によって流路が受圧部側に引っ張られ、流路の張力によって受圧部に外壁を押し付けることができる。これにより、外壁の変位を受圧部が感度良く検知できるようになる。
【0012】
(4)(1)から(3)のいずれかの態様の流動検知装置において、前記内側固定部は、前記外側固定部よりも前記外壁を押圧する力が大きくてもよい。
【0013】
この場合には、外側固定部によって流路を緩く固定し、外側固定部で大まかな流路の振動を取り除くと共に、内側固定部において残った小さな振動を取り除き、内側固定部で圧力検出部の近傍で強く流路を固定することができる。このように、外側固定部において流路を緩く固定することで、振動によって流路が強く当たる外側固定部における流路内の流動への影響を抑制できる。また、内側固定部において流路を強く固定することで、圧力検出部の近傍において流路の振動を確実に抑制し、流体の圧力変化に伴う流路の変位を高精度に検知できるようになる。
【0014】
(5)(1)から(4)のいずれかの態様の流動検知装置において、前記流路固定部は、前記外壁を押圧する弾性体を備えてもよい。
【0015】
この場合には、流路固定部において流路を弾性的に支持できるため、流路を強く固定せずに済み、流路の損傷や詰まりを抑制できる。また、弾性体の弾性変形によって、流路の振動を減衰させることができる。
【0016】
(6)(5)の態様の流動検知装置において、前記内側固定部が備える前記弾性体は、前記外側固定部が備える前記弾性体よりも硬度が高くてもよい。
【0017】
この場合には、弾性部材の硬度の選定によって、内側固定部において外壁を押圧する力を外側固定部よりも簡単に大きくすることができる。これにより、外側固定部によって流路を緩く固定し、外側固定部で大まかな流路の振動を取り除くと共に、内側固定部において残った小さな振動を取り除き、圧力検出部の近傍で強く流路を固定することができる。
【0018】
(7)(1)から(6)のいずれかの態様の流動検知装置において、前記圧力検出部から前記内側固定部までの第1距離と、前記内側固定部から前記外側固定部までの第2距離は、互いに異なっていてもよい。
【0019】
この場合には、圧力検出部から内側固定部までの第1距離と、内側固定部から外側固定部までの第2距離とが不一致であるため、流路の定常波のような振動を抑制し易くなる。
【0020】
(8)(1)から(7)のいずれかの態様の流動検知装置において、前記圧力検出部と前記内側固定部との間に形成される第1隙間は、前記内側固定部と前記外側固定部との間に形成される第2隙間よりも狭くてもよい。
【0021】
この場合には、圧力検出部の近傍で強く流路を固定する内側固定部に対し、その手前側で流路の振動を取り除く外側固定部が遠くに配置されるため、圧力検出部に流路の振動が伝播され難くなる。
【0022】
(9)(1)から(8)のいずれかの態様の流動検知装置において、前記外壁に接触する前記流路固定部の接触面は、円弧またはV字状に形成されていてもよい。
【0023】
この場合には、流路固定部が流路の外壁を安定して固定できるため、流路の振動の抑制効果が高くなる。
【0024】
(10)(1)から(9)のいずれかの態様の流動検知装置において、前記流路、前記圧力検出部、及び前記流路固定部を挟んで配置されたアッパープレート及びボトムプレートを備えてもよい。
【0025】
この場合には、アッパープレート及びボトムプレートによって、流路、圧力検出部、及び流路固定部の固定作業及び位置決めが容易になる。
【0026】
(11)(10)の態様の流動検知装置において、前記アッパープレートは、少なくとも前記圧力検出部の前記受圧部と前記流路を挟んで対向する部分に、窓部を備えてもよい。
【0027】
この場合には、圧力検出部の受圧部に流路を挟んで対向するアッパープレートに窓部を設けることで、受圧部と流路の位置関係や、受圧部上の流路内の気泡有無の確認が可能となる。つまり、流路の位置ずれや流路内の気泡による圧力誤検出なのか、圧力検出部自体の故障なのかを判断することができる。
【0028】
(12)(10)または(11)の態様の流動検知装置において、前記アッパープレートは、透明部材から形成されていてもよい。
【0029】
この場合には、アッパープレートが透明部材になるため、流路を確認できる範囲が広くなり、受圧部の上流側及び下流側における流路内の気泡有無の確認も可能となる。
【0030】
(13)(11)の態様の流動検知装置において、前記アッパープレートには、平面視で前記圧力検出部の前記受圧部の中心を通る基準線が設けられていてもよい。
【0031】
この場合には、圧力検出部の受圧部を中心とした基準線を透明なアッパープレートに設けることで、流路の位置ずれによる余分な負荷がないかどうかを確認することができる。
【0032】
(14)(10)から(13)のいずれかの態様の流動検知装置において、前記アッパープレート及び前記ボトムプレートは、少なくとも互いの対向面側が円弧状に形成されていてもよい。
【0033】
この場合には、アッパープレート及びボトムプレートの互いの対向面側が流路と同様のチューブ状になるため、少なくとも対向面側のデッドスペースが小さくなり、装置全体を小型化することができる。
【0034】
(15)(10)から(14)のいずれかの態様の流動検知装置において、前記アッパープレート及び前記ボトムプレートの少なくとも一方は、前記流路固定部と一体的に形成されていてもよい。
【0035】
この場合には、アッパープレート及びボトムプレートの少なくとも一方に、流路固定部の機能を持たせることで、部品数の削減と小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0036】
上記本開示の一態様によれば、流路に対する外力や振動によるノイズを低減し、微小流量でも流路内の流動状態を精度よく検知できる流動検知装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1実施形態に係る流動検知装置の平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る流動検知装置の正面図である。
【
図3】
図2に示す矢視III-III断面図である。
【
図4】第1実施形態に係るカンチレバーの構成例を示す平面図である。
【
図5】第1実施形態に係るアナログ回路部の構成例を示す回路図である。
【
図7】
図2に示す矢視VII-VII断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る流路固定部による流路の振動抑制作用を説明するための模式図である。
【
図9】第1実施形態に係る流動検知装置の出力波形データの一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係る流動検知装置の正面図である。
【
図11】第3実施形態に係る流動検知装置の圧力検出部と内側固定部と外側固定部70との位置関係を示す模式図である。
【
図12】第4実施形態に係る流動検知装置の平面図である。
【
図16】第5実施形態に係る流動検知装置の縦断面図である。
【
図18】第6実施形態に係る流動検知装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。
【0039】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る流動検知装置1の平面図である。
図2は、第1実施形態に係る流動検知装置1の正面図である。
流動検知装置1は、
図1及び
図2に示すように、流路10内の圧力を検出する圧力検出部2と、圧力検出部2の上流側及び下流側の少なくとも一方(本実施形態では両方)で流路10を固定する流路固定部3と、を備えている。なお、以下の説明では、
図1及び
図2において紙面左側を流路10の上流側、紙面右側を流路10の下流側とする。圧力検出部2及び流路固定部3は、ボトムプレート4に取り付けられている。
【0040】
図3は、
図2に示す矢視III-III断面図である。
流路10は、内部を流れる流体の圧力変化によって変位する外壁11を有する。本実施形態の流路10は、可撓性及び弾性を少なくとも有する、いわゆる送液用チューブであって、一定の内径(断面積)で長尺に形成されている。なお、流体の種類や用途等に応じて、必要に応じて外壁11に酸化処理等の各種処理を施しても構わないし、耐熱性、透明性等の各種の特性を付加しても構わない。
【0041】
流路10は、例えば、図示しない脈動ポンプに接続されている。脈動ポンプは、給水タンク内に貯留されている流体を吸込み、既知の基準周波数で脈動させながら吐出する、いわゆるローラポンプを例示できる。流路10は少なくとも可撓性及び弾性を有しているので、外壁11は、流体の脈動に応じて波打つように膨縮(変位)する。
【0042】
圧力検出部2は、流路保持部20と、受圧部30と、を備えている。
流路保持部20は、外壁11の周囲を取り囲む筒状部21と、受圧部30に対して筒状部21を固定する固定部22と、を備えている。筒状部21には、流路10の長手方向に延びるスリット23が形成されている。すなわち、筒状部21は、周方向の一部が、流路10の長手方向に沿って端から端まで割れている。
【0043】
筒状部21のスリット23を挟んだ一方側には、係合爪24が設けられている。係合爪24には、摘み部24aが形成されている。筒状部21のスリット23を挟んだ他方側には、係合爪24が係合可能な係合突起25が形成されている。係合突起25に対する係合爪24の係合を解除すると、筒状部21のスリット23を広げることができ、当該スリット23を通して流路保持部20内に流路10を挿入することができる。
【0044】
筒状部21には、スリット23と周方向で異なる位置に連通孔26が形成されている。連通孔26は、固定部22を貫通し、筒状部21の内側と受圧部30の受圧室30Aと連通させている。筒状部21の内壁面の連通孔26と反対側には、第1弾性体27が設けられている。第1弾性体27は、例えば、ポリウレタンフォームであり、外壁11の膨縮に応じて弾性変形する。
【0045】
筒状部21の内壁面の連通孔26の開口周縁部には、気密性のある第2弾性体28が設けられている。第2弾性体28は、外壁11に密着し、連通孔26の周囲を気密に囲っている。第2弾性体28としては、ゲル体を例示できる。固定部22は、平板状に形成され、その下面が接続部材29を介して受圧部30のセンサ基板31に気密に接続されている。接続部材29は、例えば、両面テープや接着剤などである。
【0046】
受圧部30は、センサ基板31と、カンチレバー32と、アナログ回路部33と、デジタル処理部34と、キャビティ筐体35と、を備えている。
センサ基板31は、例えば、プリント回路基板である。センサ基板31には、厚み方向に貫通する貫通孔31aが形成されている。貫通孔31aは、流路保持部20の連通孔26と連通している。
【0047】
キャビティ筐体35は、有底筒状に形成され、センサ基板31において固定部22が接続される側の面と反対側の面に、貫通孔31aを囲うように接続されている。カンチレバー32は、キャビティ筐体35の内側に配置されている。カンチレバー32は、キャビティ筐体35の内側において、貫通孔31aを囲うように接続された筒状のレバー支持部36の開口端に取り付けられている。
【0048】
キャビティ筐体35は、カンチレバー32を挟んで、受圧室30Aと差圧室30Bとに区画されている。受圧室30Aと差圧室30Bとは、カンチレバー32に設けられた連通孔42を介して互いに連通している。流路保持部20の連通孔26及びセンサ基板31の貫通孔31aは、受圧室30Aに連通している。差圧室30Bは、カンチレバー32を挟んで受圧室30Aと連通する気密室となっている。
【0049】
この構成によれば、流路10の外壁11が、内部を流れる流体の圧力変化によって膨らんだ場合、第1弾性体27及び第2弾性体28が圧縮され、連通孔26に連通する受圧室30Aの圧力が高くなる。そうすると、カンチレバー32が受圧室30Aと差圧室30Bと差圧を撓み変形によって検出し、流路10の内圧の高まりに伴う流路10の形状変化を検知できる。
【0050】
図4は、第1実施形態に係るカンチレバー32の構成例を示す平面図である。
カンチレバー32は、例えば、SOI基板など半導体基板40に形成されている。半導体基板40には、ギャップG1およびギャップG2が設けられ、カンチレバー32のレバー本体41及びレバー支持部43が形成されている。なお、ギャップG1およびギャップG2は、受圧室30Aと差圧室30Bとを連通する連通孔42となる。
【0051】
レバー本体41は、その基端部41bがレバー支持部43に接続されて片持ち支持されており、その先端部41aが自由端とされている。レバー本体41は、基端部41bから先端部41aに向けて一方向に延びる板状であり、キャビティ筐体35の受圧室30Aと差圧室30Bとの圧力差に応じて撓み変形する。
【0052】
ギャップG1は、半導体基板40とレバー本体41の外周縁との間に形成された、半導体基板40を厚さ方向に貫通する平面視コ形状(C形状)の溝である。また、ギャップG2は、レバー本体41の基端部41bにおいて形成された、レバー本体41を厚さ方向に貫通する平面視コ形状(C形状)の溝である。ギャップG2は、レバー本体41の基端部41bにおいてレバー本体41の幅方向の中央部に配置されている。
【0053】
レバー支持部43は、ギャップG2を挟んでレバー本体41の幅方向に並ぶように二個配置され、レバー本体41と半導体基板40とを接続すると共にレバー本体41を片持ち状態で支持している。2つのレバー支持部43のレバー本体41の幅方向における支持幅は、同等とされている。したがって、レバー本体41が撓み変形した際、一方のレバー支持部43に作用する単位面積当たりの応力と、他方のレバー支持部43に作用する単位面積当たりの応力とは同等となっている。
【0054】
半導体基板40には、レバー本体41を含むようにピエゾ抵抗(抵抗素子)であるドープ層44(不純物半導体層)が形成されている。このドープ層44は、例えばリン等のドープ材(不純物)がイオン注入法や拡散法等の各種の方法によりドーピングされることで形成されている。ドープ層44のうち、レバー本体41が形成された部分(レバー支持部43に形成されている部分を含む)は、抵抗R1(差圧検出抵抗Rsen1)として機能する。
【0055】
抵抗R1は、レバー支持部43の撓み量に応じて抵抗値が変化する。また、図示を省略するが、ドープ層44の上面には、ドープ層44よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えば、Au(金)等)からなる電極が形成されている。この電極は、抵抗R1(差圧検出抵抗Rsen1)の第1端および第2端として機能する。
【0056】
図3に戻り、アナログ回路部33は、レバー本体41の撓み変形に応じた変位を検出するアナログ処理を行う回路である。このアナログ回路部33は、AFE(アナログフロントエンド)である。アナログ回路部33は、キャビティ筐体35の内部、すなわち、差圧室30Bに配置されている。
【0057】
図5は、第1実施形態に係るアナログ回路部33の構成例を示す回路図である。
図5に示すように、アナログ回路部33は、ホイートストンブリッジ回路51と、差動増幅回路52と、を備えている。ホイートストンブリッジ回路51は、カンチレバー32が有する抵抗R1(差圧検出抵抗Rsen1)と、抵抗R2と、抵抗R3と、抵抗R4とを備えている。
【0058】
抵抗R1(差圧検出抵抗Rsen1)は、第1端が基準電圧回路Vrefに、第2端がノードN1に接続されており、受圧室30Aと差圧室30Bとの差圧に応じて抵抗が変化する。抵抗R1は、例えば、ピエゾ抵抗(ドープ層44)である。また、抵抗R2は、第1端がノードN1に、第2端が電源GNDに接続されている。
【0059】
抵抗R3は、第1端が基準電圧回路Vrefに、第2端がノードN2に接続されている。抵抗R4は、第1端がノードN2に、第2端が電源GNDに接続されている。抵抗R1は、カンチレバー32内に構成されており、抵抗R3および抵抗R4は、カンチレバー32の外部に備えられた外付け抵抗である。
【0060】
抵抗R2(参照抵抗Rref1)は、例えば、抵抗R1と温度特性が同一になるように形成された抵抗であり、カンチレバー32内に構成されてもよいし、カンチレバー32の近傍の外部に備えられてもよい。なお、抵抗R1と抵抗R2との温度特性を一致させることにより、アナログ回路部33は、温度変動による検出結果への影響を低減することができる。
【0061】
差動増幅回路52は、例えば、計測アンプ(インスツルメンテーションアンプ)であり、ノードN1とノードN2との電位差を増幅して出力信号として出力する。この電位差は、ピエゾ抵抗の抵抗値変化に応じた値、すなわちカンチレバー32の変位に基づいた値となる。差動増幅回路52は、反転入力端子(-端子)がノードN1に接続され、非反転入力端子(+端子)がノードN2に接続されている。
【0062】
図3に示すデジタル処理部34は、例えば、マイクロコントローラなどのデジタル処理回路であり、アナログ回路部33が検出した差圧に対応した出力波形データを、圧力変動情報に変換する。デジタル処理部34は、例えば、センサ基板31に実装(配置)されており、キャビティ筐体35の外部に配置されている。
【0063】
図1及び
図2に戻り、流路固定部3は、圧力検出部2から離隔した位置で流路10を固定する内側固定部60と、内側固定部60よりもさらに圧力検出部2から離隔した位置で流路10を固定する外側固定部70と、を備えている。なお、流路固定部3は、内側固定部60及び外側固定部70の他に、さらに複数か所で流路10を固定する固定部を備えていても構わない。すなわち、流路固定部3は、外側固定部70と内側固定部60の少なくとも2か所で流路10を固定していればよい。また、本実施形態の流路固定部3は、圧力検出部2の上流側及び下流側の両方に設けられているが、流路10の振動の伝播の方向が予め分かっていれば、圧力検出部2の上流側及び下流側のうち片方のみに設けられていてもよい。
【0064】
図6は、
図2に示す矢視VI-VI断面図である。
図6に示すように、外側固定部70は、ボトムプレート4に固定された第1外側挟持片71と、第1外側挟持片71との間で流路10を挟み込む第2外側挟持片72と、を備えている。
【0065】
第1外側挟持片71は、流路10の外壁11に接触する第1接触面71aを有する。第1接触面71aは、流路10の長手方向から視てV字状に形成されている。第1接触面71aは、外壁11の周面に対し少なくとも2か所で接触している。
【0066】
第2外側挟持片72は、流路10を挟んで第1接触面71aと対向する位置に、流路10の外壁11に接触する第2接触面72aを有する。第2接触面72aは、流路10の長手方向から視て円弧状に形成されている。第2接触面72aは、外壁11の周面に沿って密着している。
【0067】
第1外側挟持片71及び第2外側挟持片72の少なくとも一方は、外壁11の膨縮を妨げないように弾性体から形成されている。弾性体としては、ウレタンフォーム等を例示できる。なお、外側固定部70は、第1接触面71aもしくは第2接触面72aを形成する部分のみが弾性体であり、当該弾性体が剛体に支持されている構成であっても構わない。
【0068】
図7は、
図2に示す矢視VII-VII断面図である。
図7に示すように、内側固定部60は、ボトムプレート4に固定された第1内側挟持片61と、第1内側挟持片61との間で流路10を挟み込む第2内側挟持片62と、を備えている。
【0069】
第1内側挟持片61は、流路10の外壁11に接触する第1接触面61aを有する。第1接触面61aは、流路10の長手方向から視て円弧状に形成されている。第1接触面61aは、外壁11の周面に沿って密着している。
【0070】
第2内側挟持片62は、流路10を挟んで第1接触面61aと対向する位置に、流路10の外壁11に接触する第2接触面62aを有する。第2接触面62aは、流路10の長手方向から視て円弧状に形成されている。第2接触面62aは、外壁11の周面に沿って密着している。
【0071】
第1内側挟持片61及び第2内側挟持片62の少なくとも一方は、外壁11の膨縮を妨げないように弾性体から形成されている。弾性体としては、ウレタンフォーム等を例示できる。なお、内側固定部60は、第1接触面61aもしくは第2接触面62aを形成する部分のみが弾性体であり、当該弾性体が剛体に支持されている構成であっても構わない。
【0072】
内側固定部60は、外側固定部70よりも外壁11に対する接触面積が多く、外側固定部70よりも外壁11を押圧する力が大きい。なお、内側固定部60の外壁11に対する接触面積が、外側固定部70と同じ(あるいは接触面形状が同じ)であっても、内側固定部60が備える弾性体が、外側固定部70が備える弾性体よりも硬度が高ければ、外側固定部70よりも内側固定部60の外壁11を押圧する力を大きくすることができる。もちろん、内側固定部60は、外側固定部70よりも外壁11に対する接触面積が多く、且つ、外側固定部70が備える弾性体よりも硬度が高い弾性体を備えていても構わない。
【0073】
次に、内側固定部60と外側固定部70との位置関係について説明する。
図1に示すように、圧力検出部2から内側固定部60までの第1距離D1と、内側固定部60から外側固定部70までの第2距離D2は、互いに異なっている。なお、第1距離D1は、圧力検出部2の流路保持部20における流路10の長手方向の中心位置と、内側固定部60における流路10の長手方向の中心位置とを、基準に規定している。また、第2距離D2は、内側固定部60における流路10の長手方向の中心位置と、外側固定部70における流路10の長手方向の中心位置とを、基準に規定している。本実施形態では、第1距離D1は、第2距離D2よりも長くなっている。
【0074】
また、圧力検出部2と内側固定部60との間に形成される第1隙間S1は、内側固定部60と外側固定部70との間に形成される第2隙間S2よりも広い。なお、第1隙間S1とは、圧力検出部2の流路保持部20から内側固定部60までの、流路10が固定されておらず遊んでいる空間の長さを規定している。また、第2隙間S2は、内側固定部60から外側固定部70までの、流路10が固定されておらず遊んでいる空間の長さを規定している。
【0075】
また、
図2に示すように、内側固定部60における流路10の中心線O1は、圧力検出部2における流路10の中心線Oよりも受圧部30側(下側)に位置している。つまり、内側固定部60は、圧力検出部2の受圧部30に外壁11を押し付けるように流路10を固定している。なお、外側固定部70における流路10の中心線O2は、圧力検出部2における流路10の中心線Oよりも受圧部30側(下側)且つ内側固定部60における流路10の中心線O1よりも上側に位置しているが、圧力検出部2における流路10の中心線Oよりも上側に位置してもよく、また、内側固定部60における流路10の中心線O1よりも下側に位置していても構わない。
【0076】
続いて、上記構成の流路固定部3による流路10の振動抑制作用について説明する。
【0077】
図8は、第1実施形態に係る流路固定部3による流路10の振動抑制作用を説明するための模式図である。
図8に示すように、流路固定部3は、圧力検出部2から離れて配置された外側固定部70と、圧力検出部2の近くに配置された内側固定部60と、を有している。流路10が振動した場合、外側固定部70は、圧力検出部2から離れた位置で大きな振動を取り除き、内側固定部60は、圧力検出部2の近くで残った小さな振動を取り除く。すなわち、流路10を1か所(例えば、外側固定部70のみ)で固定しても流路10の振動は、
図8において点線で示すように伝搬される場合があるため、流路固定部3は、外側固定部70と内側固定部60の少なくとも2か所で流路10を固定する。このように流路10を少なくとも2か所で固定することで、流路10の振動によるノイズが低減され、微小流量でも流路10内の流動状態を精度よく検知できるようになる。
【0078】
図9は、第1実施形態に係る流動検知装置1の出力波形データの一例を示す図である。
図9において、縦軸は電圧[V]であり、横軸は時間[sec]である。
図9に示すように、脈動ポンプが作動した初期流動状態では、脈動ポンプによる脈流の影響で流路10の内圧が変化し、外壁11が脈動するため、その脈動に同期した周期的な圧力変化の出力波形データが得られる。
【0079】
一方、流動検知装置1の下流側において流路10に詰まりが発生した場合、詰まり発生直後から流路10の内圧が上昇し、脈動の出力波形データも大きくなる。この出力波形データの大きさを見ることにより、流路10の詰まりの有無や流動状態を推定することが可能となる。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る流動検知装置1は、内部を流れる流体の圧力変化によって変位(膨縮)する外壁11を有する流路10と、外壁11の変位に伴い圧力を受ける受圧部30を有する圧力検出部2と、圧力検出部2に対し流路10の上流側及び下流側の少なくとも一方に設けられた流路固定部3と、を備え、流路固定部3は、圧力検出部2から離隔した位置で流路10を固定する内側固定部60と、内側固定部60よりもさらに圧力検出部2から離隔した位置で流路10を固定する外側固定部70と、を備える。この構成によれば、流路10の振動によるノイズが低減され、微小流量でも流路10内の流動状態を精度よく検知できるようになる。
【0081】
また、本実施形態の流動検知装置1において、内側固定部60は、
図2に示すように、圧力検出部2の受圧部30に外壁11を押し付けるように流路10を固定している。この構成によれば、圧力検出部2の受圧部30に対し、流路10の外壁11が強く押し付けられるため、外壁11の変位を受圧部30が感度良く検知できるようになる。
【0082】
また、本実施形態の流動検知装置1において、内側固定部60における流路10の中心線O1は、圧力検出部2における流路10の中心線Oよりも受圧部30側に位置している。この構成によれば、内側固定部60によって流路10が受圧部30側に引っ張られ、流路10の張力によって受圧部30に外壁11を押し付けることができる。これにより、外壁11の変位を受圧部30が感度良く検知できるようになる。
【0083】
また、本実施形態の流動検知装置1において、内側固定部60は、外側固定部70よりも外壁11を押圧する力が大きくなっている。この構成によれば、外側固定部70によって流路10を緩く固定し、外側固定部70で大まかな流路10の振動を取り除くと共に、内側固定部60において残った小さな振動を取り除き、内側固定部60で圧力検出部2の近傍で強く流路10を固定することができる。このように、外側固定部70において流路10を緩く固定することで、振動によって流路10が強く当たる外側固定部70における流路10内の流動への影響を抑制できる。また、内側固定部60において流路10を強く固定することで、圧力検出部2の近傍において流路10の振動を確実に抑制し、流体の圧力変化に伴う流路10の変位を高精度に検知できるようになる。
【0084】
また、本実施形態の流動検知装置1において、流路固定部3は、外壁11を押圧する弾性体を備える。この構成によれば、流路固定部3において流路10を弾性的に支持できるため、流路10を強く固定せずに済み、流路10の損傷や詰まりを抑制できる。また、弾性体の弾性変形によって、流路10の振動を減衰させることができる。
【0085】
また、本実施形態の流動検知装置1において、内側固定部60が備える弾性体は、外側固定部70が備える弾性体よりも硬度が高い。この構成によれば、弾性部材の硬度の選定によって、内側固定部60において外壁11を押圧する力を外側固定部70よりも簡単に大きくすることができる。これにより、外側固定部70によって流路10を緩く固定し、外側固定部70で大まかな流路10の振動を取り除くと共に、内側固定部60において残った小さな振動を取り除き、圧力検出部2の近傍で強く流路10を固定することができる。
【0086】
また、本実施形態の流動検知装置1において、圧力検出部2から内側固定部60までの第1距離D1と、内側固定部60から外側固定部70までの第2距離D2は、互いに異なっている。この構成によれば、圧力検出部2から内側固定部60までの第1距離D1と、内側固定部60から外側固定部70までの第2距離D2とが不一致であるため、流路10の定常波のような振動を抑制し易くなる。
【0087】
また、本実施形態の流動検知装置1において、圧力検出部2と内側固定部60との間に形成される第1隙間S1は、内側固定部60と外側固定部70との間に形成される第2隙間S2よりも広い。この構成によれば、圧力検出部2の近傍において作業スペースを確保し易くなり、例えば、流路保持部20への流路10の挿入が容易になる。
【0088】
また、本実施形態の流動検知装置1において、外壁11に接触する流路固定部3の接触面は、
図6及び
図7に示すように、円弧またはV字状に形成されている。この構成によれば、流路固定部3が流路10の外壁11を安定して固定できるため、流路10の振動の抑制効果が高くなる。
【0089】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0090】
図10は、第2実施形態に係る流動検知装置1の正面図である。
図10に示すように、第2実施形態の流動検知装置1においては、内側固定部60の第2内側挟持片62と、外側固定部70の第2外側挟持片72とが、アッパープレート5に取り付けられている。
【0091】
アッパープレート5は、ボトムプレート4と略同じ大きさを有している。このように、アッパープレート5に、内側固定部60の第2内側挟持片62と、外側固定部70の第2外側挟持片72とを取り付けることで、内側固定部60及び外側固定部70における流路10の固定作業が同時に行えるようになる。
【0092】
なお、
図10に示す例では、圧力検出部2の流路保持部20が下半分になっており、アッパープレート5には、流路10を下半分の流路保持部20に押圧する押圧片80が取り付けられている。この構成によれば、圧力検出部2における流路10の固定作業も同時に行えるようになる。
【0093】
このように、第2実施形態の流動検知装置1によれば、流路10、圧力検出部2、及び流路固定部3を挟んで配置されたアッパープレート5及びボトムプレート4を備えている。この構成によれば、アッパープレート5及びボトムプレート4によって、流路10、圧力検出部2、及び流路固定部3の固定作業及び位置決めが容易になる。
【0094】
また、第2実施形態の流動検知装置1においては、圧力検出部2と内側固定部60との間に形成される第1隙間S1は、内側固定部60と外側固定部70との間に形成される第2隙間S2よりも狭くなっている。この構成によれば、圧力検出部2の近傍で強く流路10を固定する内側固定部60に対し、その手前側で流路10の振動を取り除く外側固定部70が遠くに配置されるため、圧力検出部2に流路10の振動が伝播され難くなる。
【0095】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0096】
図11は、第3実施形態に係る流動検知装置1の圧力検出部2と内側固定部60と外側固定部70との位置関係を示す模式図である。
図11に示すように、第3実施形態の流動検知装置1においては、圧力検出部2から内側固定部60までの第1距離D1が、内側固定部60から外側固定部70までの第2距離D2と同じになっている。
【0097】
この構成によれば、仮に、
図11に示すように、外側固定部70及び内側固定部60を節とする定常波のような流路10の振動が生じた場合であっても、圧力検出部2においては同じ様に振動の節となるため、流路固定部3によって流路10の振動の伝播を完全に防止できなくても、圧力検出部2におけるノイズを低減することができる。
【0098】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0099】
図12は、第4実施形態に係る流動検知装置1の平面図である。
図13は、
図12に示す矢視XIII-XIII断面図である。
図14は、
図13に示す矢視XIV-XIV断面図である。
図15は、
図13に示す矢視XV-XV断面図である。
図12に示すように、第4実施形態の流動検知装置1においては、アッパープレート5が窓部90を備えている。
【0100】
窓部90は、アッパープレート5において、圧力検出部2の受圧部30と流路10を挟んで対向する部分に形成されている。窓部90は、アッパープレート5を厚み方向で貫通する矩形の貫通孔によって形成されている。なお、窓部90は、アッパープレート5の圧力検出部2の受圧部30と流路10を挟んで対向する部分に限らず、例えば、内側固定部60と外側固定部70の間にも形成し、その間における流路10の撓み等を確認できるようにする構成であってもよい。なお、後述するようにアッパープレート5が透明部材である場合、窓部90は、貫通孔として形成しなくても構わない。また、アッパープレート5が非透明部材である場合、窓部90は、貫通孔として形成してもよいし、当該貫通孔に透明部材を嵌めた構成であってもよい。
【0101】
第4実施形態のアッパープレート5は、透明部材から形成されている。アッパープレート5は、例えば、アクリル樹脂等の透明性の高い樹脂材若しくはガラス等の透明部材から形成されている。アッパープレート5には、
図12に示す平面視で、圧力検出部2の受圧部30の中心を通る基準線91が設けられている。基準線91は、例えばマーカーペン等で点線を引くことで形成されている。なお、基準線91は、流路10の配置の基準となる線であれば、その線種や形成方法は問わない。
【0102】
図13に示すように、アッパープレート5には、内側固定部60の第2内側挟持片62と、外側固定部70の第2外側挟持片72とが取り付けられている。また、ボトムプレート4には、内側固定部60の第1内側挟持片61と、外側固定部70の第1外側挟持片71とが取り付けられている。なお、
図14に示すように、ボトムプレート4は、非透明部材から形成されている。
【0103】
図13に示すように、第4実施形態のボトムプレート4の上面には、圧力検出部2の一部を収容する収容溝4aが形成されている。
図15に示すように、収容溝4aには、受圧部30のキャビティ筐体35が収容されている。また、収容溝4aの開口周縁部には、受圧部30のセンサ基板31が載置されて固定されている。
【0104】
また、第4実施形態では、窓部90から流路10を確認するために、上述した流路保持部20(
図3参照)を備えておらず、センサ基板31の貫通孔31aを覆う第3弾性体38に、流路10の外壁11が直接押し当てられている。第3弾性体38は、外壁11の変位に応じて弾性変形する弾性を有する。第3弾性体38は、外壁11よりも軟質な材料且つ貫通孔31aを密閉できるシール性を有するゲル体等から形成することが好ましい。
【0105】
このように、上述した第4実施形態によれば、アッパープレート5は、
図12に示すように、少なくとも圧力検出部2の受圧部30と、流路10を挟んで対向する部分に、窓部90を備える。この構成によれば、アッパープレート5に窓部90を設けることで、受圧部30と流路10の位置関係や、受圧部30上の流路10内の気泡有無の確認が可能となる。つまり、流路10の位置ずれや流路10内の気泡による圧力誤検出なのか、圧力検出部2自体の故障なのかを判断することができる。
【0106】
また、第4実施形態においては、アッパープレート5は、透明部材から形成されている。この構成によれば、アッパープレート5が透明部材になるため、流路10を確認できる範囲が広くなり、受圧部30の上流側及び下流側における流路10内の気泡有無の確認も可能となる。
【0107】
また、第4実施形態においては、アッパープレート5には、平面視で圧力検出部2の受圧部30の中心を通る基準線91が設けられている。この構成によれば、圧力検出部2の受圧部30を中心とした基準線91に基づいて、流路10の位置ずれによる余分な負荷がないかどうかを確認することができる。
【0108】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0109】
図16は、第5実施形態に係る流動検知装置1の縦断面図である。
図17は、
図16に示す矢視XVII-XVII断面図である。
図17に示すように、第5実施形態の流動検知装置1においては、アッパープレート5及びボトムプレート4が円弧状に形成されている。なお、
図16に示すように、第5実施形態においても、アッパープレート5に窓部90が設けられている。
【0110】
図17に示すように、アッパープレート5及びボトムプレート4の互いの対向面側は、円弧状に形成されており、それに対応するように内側固定部60(外側固定部70も同様)の外形も円筒状に形成されている。ちなみに、第5実施形態では、圧力検出部2のセンサ基板31が、ボトムプレート4の円弧両端の平面部4bに載置されて固定されている。
【0111】
なお、アッパープレート5及びボトムプレート4の非対向面(外面)側は、図示しない設置面に設置し易いようにブロック状であっても構わない。但し、流動検知装置1の小型化により、アッパープレート5及びボトムプレート4が架設等されて、設置面に対して浮いて設置されている場合は、
図17に示すように、アッパープレート5及びボトムプレート4の非対向面(外面)側も円弧状に形成してもよい。
【0112】
このように、上述した第5実施形態によれば、アッパープレート5及びボトムプレート4は、少なくとも互いの対向面側が円弧状に形成されていている。この構成によれば、アッパープレート5及びボトムプレート4の互いの対向面側が流路10と同様のチューブ状になるため、少なくとも対向面側のデッドスペースが小さくなり、装置全体を小型化することができる。さらに、アッパープレート5及びボトムプレート4の互いの非対向面側も円弧状にすることで、装置全体のデッドスペースが小さくなり、装置全体をより小型化することができる。
【0113】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0114】
図18は、第6実施形態に係る流動検知装置1の縦断面図である。
図19は、
図18に示す矢視XIX-XIX断面図である。
図18に示すように、第6実施形態の流動検知装置1においては、アッパープレート5及びボトムプレート4の少なくとも一方が、流路固定部3と一体的に形成されている。なお、第6実施形態においても、アッパープレート5に窓部90が設けられている。
【0115】
図18に示すように、ボトムプレート4は、内側固定部60の第1内側挟持片61と一体で形成されている。ボトムプレート4は、第1内側挟持片61と同じく硬度が高い材料から形成されている。また、アッパープレート5は、内側固定部60の第2内側挟持片62と同じ機能を有しており、第2内側挟持片62と同じく硬度が高い材料から形成されている。なお、
図18に示す例では、アッパープレート5の下面で流路10を直接固定しているが、アッパープレート5の下面に凸部を設け、その凸部で流路10を固定しても構わない。
【0116】
ボトムプレート4の上面には、内側固定部60よりも硬度が低い外側固定部70の第1外側挟持片71(弾性体)が取り付けられている。アッパープレート5の下面における第1外側挟持片71との対向部分には、上方に窪む挟持片取付部5aが形成されている。挟持片取付部5aには、内側固定部60よりも硬度が低い外側固定部70の第2外側挟持片72(弾性体)が嵌合等により取り付けられている。これにより、アッパープレート5とボトムプレート4との隙間において、第2外側挟持片72の厚み分を削減することができ、第1内側挟持片61との対向部分において、流路10をアッパープレート5の下面で直接固定することができる。
【0117】
このように、上述した第6実施形態によれば、アッパープレート5及びボトムプレート4の少なくとも一方は、流路固定部3と一体的に形成されていている。この構成によれば、アッパープレート5及びボトムプレート4の少なくとも一方に、流路固定部3の機能を持たせることで、部品数の削減と小型化が可能となる。なお、内側固定部60だけでなく、外側固定部70も、例えば二色成形等することで、アッパープレート5及びボトムプレート4の少なくとも一方に、一体的に形成しても構わない。
【0118】
以上、本開示の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本開示の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本開示の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本開示は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0119】
例えば、上記実施形態では、ホイートストンブリッジ回路51を利用して、カンチレバー32の抵抗値変化を検出したが、この場合に限定されるものではない。カンチレバー32の抵抗値変化を検出できれば、検出回路をどのように構成しても構わない。
また、上記実施形態では、受圧部30がキャビティ筐体35を備える構成を例示したが、例えば流動検知装置1が外気の影響が殆ど無い空間に配置される場合には、キャビティ筐体35が無くても構わない。
さらに、圧力検出部2の受圧部30は、カンチレバー32を備える差圧センサに限らず、外壁11に押し当てられる歪ゲージや圧電素子などのセンサであっても構わない。
さらに、流路固定部3は、内側固定部60及び外側固定部70を少なくとも含む3つ以上の固定部を備えていても構わない。また、内側固定部60と外側固定部70とが分離していれば、互いに当接している状態であっても構わない。
また、圧力検出部2に対し、上流側の流路固定部3と、下流側の流路固定部3の構成が対称でなくても構わない。例えば、第1距離D1が、上流側の流路固定部3と下流側の流路固定部3とで異なっていてもよい。また、例えば、第2距離D2が、上流側の流路固定部3と下流側の流路固定部3とで異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…流動検知装置
2…圧力検出部
3…流路固定部
4…ボトムプレート
5…アッパープレート
10…流路
11…外壁
30…受圧部
60…内側固定部
61…第1内側挟持片
61a…第1接触面
62…第2内側挟持片
62a…第2接触面
70…外側固定部
71…第1外側挟持片
71a…第1接触面
72…第2外側挟持片
72a…第2接触面
90…窓部
91…基準線
D1…第1距離
D2…第2距離
O…中心線
O1…中心線
O2…中心線
S1…第1隙間
S2…第2隙間