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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145498
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/19 20060101AFI20220926BHJP
   B62D 1/181 20060101ALI20220926BHJP
   B62D 1/185 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B62D1/19
B62D1/181
B62D1/185
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002531
(22)【出願日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2021045539
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テレスコ
(71)【出願人】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】本間 太輔
(72)【発明者】
【氏名】馬場 洋光
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DD02
3D030DD12
3D030DD63
3D030DE05
3D030DE06
3D030DE35
3D030DE37
3D030DE54
(57)【要約】
【課題】所望の衝撃吸収性能を確保し易いステアリング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の一態様に係るステアリング装置1において、荷重吸収機構15は、EAブロック101に設けられた大径軸部106dと、ハウジングに設けられ、二次衝突時において大径軸部106dを案内する長孔140、及び長孔内140に張り出し、二次衝突時に大径軸部106dによって塑性変形させられる抵抗部を有するガイドプレート103と、前後方向から見てガイドプレート103に重ね合わされるとともに、二次衝突時においてガイドプレート103に摺動可能にEAブロック101に設けられ、EAブロック101よりも摩擦係数が小さい材料により形成されたEAブロック101と、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿う軸線回りに回転可能にステアリングシャフトが支持されるシャフト支持部と、
車体に支持されるとともに、前記シャフト支持部を前後方向に移動可能に支持するハウジングと、
前記シャフト支持部及び前記ハウジングの間に配置された荷重吸収機構と、を備え、
前記荷重吸収機構は、
前記シャフト支持部及び前記ハウジングのうち第1部材に設けられた摺動部と、
前記シャフト支持部及び前記ハウジングのうち第2部材に設けられ、二次衝突時において前記第2部材に対する前記第1部材の前後方向への相対移動に伴い前記摺動部を案内するガイド孔及び前記ガイド孔内に張り出し、前記二次衝突時に前記摺動部によって塑性変形させられる抵抗部を有するガイドプレートと、
前後方向から見て前記軸線に交差する径方向で前記ガイドプレート及び前記第1部材に重ね合わされた状態で、前記ガイドプレート及び前記第1部材のうち一方の部材に設けられた低摺動部材と、を備え、
前記低摺動部材は、前記一方の部材よりも摩擦係数が小さい材料により形成されるとともに、前記二次衝突時において前記ガイドプレート及び前記第1部材のうち他方の部材に摺動可能に構成されているステアリング装置。
【請求項2】
前記低摺動部材は、前記第1部材に設けられるとともに、前記ガイドプレートに摺動可能に構成されている請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記第1部材が前記シャフト支持部であり、
前記第2部材が前記ハウジングであり、
前記シャフト支持部は、
前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するパイプと、
前記パイプから前記径方向の外側に突出する台座部と、を備え、
前記摺動部は、前記径方向の外側に突出した状態で前記台座部に固定され、
前記ハウジングには、前記台座部が収容されるとともに、前記二次衝突時に前記台座部が前方に移動可能なスリットが形成され、
前記低摺動部材は、
前記径方向において前記ガイドプレート及び前記台座部間に配置された第1軽減部と、
前記台座部の周囲に配置され、前記スリットの内面と向かい合う第2軽減部と、を備えている請求項2に記載のステアリング装置。
【請求項4】
前記低摺動部材は、前記径方向から見て枠状に形成され、
前記低摺動部材の内側に前記台座部が嵌め込まれている請求項3に記載のステアリング装置。
【請求項5】
前記低摺動部材のうち、前記摺動部に対して後方に位置する部分には、前記第1軽減部に対して前記径方向に内側に位置する逃げ部が形成されている請求項3又は請求項4に記載のステアリング装置。
【請求項6】
前記低摺動部材は、前記ガイドプレートに設けられるとともに、前記第1部材に摺動可能に構成されている請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項7】
前記荷重吸収機構と前記ハウジングとの間に設けられ、前記ハウジングに対して前記荷重吸収機構及び前記シャフト支持部を前後方向に移動させるテレスコ機構を備え、
前記テレスコ機構は、
前記ハウジングに連結されたアクチュエータと、
前記アクチュエータに連結された係合部及び前記荷重吸収機構に連結されて前記係合部に前後方向で係合する被係合部を有し、前記係合部及び前記被係合部を介して前記アクチュエータの駆動力を前記シャフト支持部に伝達させる送り機構と、を備えている請求項1から請求項6の何れか1項に記載のステアリング装置。
【請求項8】
前記摺動部のうち、前記径方向で前記第1部材と反対側に位置する部分には、前記ガイドプレートに前記径方向で重なり合い、前記摺動部に対する前記ガイドプレートの前記径方向への移動を規制する規制部材が設けられている請求項1から請求項7の何れか1項に記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリング装置として、ステアリングシャフトを回転可能に支持するインナコラムと、インナコラムを前後方向に移動可能に支持するアウタコラムと、を備えた構成が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
この種のステアリング装置では、二次衝突時等、所定の荷重がステアリングシャフトに作用した場合に、インナコラムがアウタコラムに対して前方に移動(いわゆる、コラプスストローク)することで、運転者に加わる衝撃荷重を緩和する構成が搭載されている。例えば、下記特許文献1では、二次衝突時において、インナコラム側に設けられたガイド突起が、アウタコラムに形成されたガイド溝を拡幅しながらインナコラムが前方に移動する。これにより、ガイド突起とガイド溝の内周面との間で摺動抵抗を発生させ、二次衝突時に運転者に加わる衝撃荷重を緩和するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-347243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ステアリング装置では、二次衝突時に予期せぬ場所で摺動抵抗が発生すると、所望の荷重変動が得られなくなり、所望の衝撃吸収性能を確保し難い可能性があった。
【0006】
そこで、本開示は、所望の衝撃吸収性能を確保し易いステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
本開示の一態様に係るステアリング装置は、前後方向に沿う軸線回りに回転可能にステアリングシャフトが支持されるシャフト支持部と、車体に支持されるとともに、前記シャフト支持部を前後方向に移動可能に支持するハウジングと、前記シャフト支持部及び前記ハウジングの間に配置された荷重吸収機構と、を備え、前記荷重吸収機構は、前記シャフト支持部及び前記ハウジングのうち第1部材に設けられた摺動部と、前記シャフト支持部及び前記ハウジングのうち第2部材に設けられ、二次衝突時において前記第2部材に対する前記第1部材の前後方向への相対移動に伴い前記摺動部を案内するガイド孔、及び前記ガイド孔内に張り出し、前記二次衝突時に前記摺動部によって塑性変形させられる抵抗部を有するガイドプレートと、前後方向から見て前記軸線に交差する径方向で前記ガイドプレート及び前記第1部材に重ね合わされた状態で、前記ガイドプレート及び前記第1部材のうち一方の部材に設けられた低摺動部材と、を備え、前記低摺動部材は、前記一方の部材よりも摩擦係数が小さい材料により形成されるとともに、前記二次衝突時において前記ガイドプレート及び前記第1部材のうち他方の部材に摺動可能に構成されている。
【0008】
本態様によれば、二次衝突時において、他方の部材上を低摺動部材が摺動することで、ガイドプレートとシャフト支持部とが摺動する場合に比べ、第1部材と第2部材との間に発生する摺動抵抗を軽減できる。これにより、所望の箇所(例えば、抵抗部と摺動部との間)で所望の摺動抵抗を発生させることができる。その結果、二次衝突時における荷重変動を安定させることができ、所望の衝撃吸収性能を確保し易い。
【0009】
上記態様のステアリング装置において、前記低摺動部材は、前記第1部材に設けられるとともに、前記ガイドプレートに摺動可能に構成されていることが好ましい。
本態様によれば、二次衝突時において、ガイドプレート上を低摺動部材が摺動することで、ガイドプレートとシャフト支持部とが摺動する場合に比べ、第1部材と第2部材との間に発生する摺動抵抗を軽減できる。
【0010】
上記態様のステアリング装置において、前記第1部材が前記シャフト支持部であり、前記第2部材が前記ハウジングであり、前記シャフト支持部は、前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するパイプと、前記パイプから前記径方向の外側に突出する台座部と、を備え、前記摺動部は、前記径方向の外側に突出した状態で前記台座部に固定され、前記ハウジングには、前記台座部が収容されるとともに、前記二次衝突時に前記台座部が前方に移動可能なスリットが形成され、前記低摺動部材は、前記径方向において前記ガイドプレート及び前記台座部間に配置された第1軽減部と、前記台座部の周囲に配置され、前記スリットの内面と向かい合う第2軽減部と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、二次衝突時には、第1軽減部によってガイドプレートとの間で発生する摺動抵抗を軽減できる。二次衝突時において、第2軽減部の外側面がスリットの内面上を摺動することで、台座部の外側面がスリットの内側面上を摺動する場合に比べ、ハウジングとの間で発生する摺動抵抗も軽減できる。しかも、第2軽減部の外側面がスリットの内面に接触することで、二次衝突時において、シャフト支持部の軸線回りの回転を抑制することができる。これにより、二次衝突時において、低摺動部材がスリットの内面に引っ掛かるのを抑制し、コラプスストロークをスムーズに行うことができる。
テレスコ動作時には、第2軽減部の外側面がスリットの内面上を摺動する。これにより、台座部の外側面がスリットの内面上を摺動する場合に比べ、テレスコ動作時に発生する異音や摺動抵抗を軽減できる。
【0011】
上記態様のステアリング装置において、前記低摺動部材は、前記径方向から見て枠状に形成され、前記低摺動部材の内側に前記台座部が嵌め込まれていることが好ましい。
本態様によれば、低摺動部材のがたつきや脱落等を抑制し、長期に亘って安定したテレスコ動作やコラプスストロークを実現させることができる。
【0012】
上記態様のステアリング装置において、前記低摺動部材のうち、前記摺動部に対して後方に位置する部分には、前記第1軽減部に対して前記径方向に内側に位置する逃げ部が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、摺動部が抵抗部を塑性変形させることによって発生する変形痕(バリ等)が低摺動部材に接触するのを抑制できる。これにより、変形痕によってコラプスストロークが阻害されるのを抑制できる。
【0013】
上記態様のステアリング装置において、前記低摺動部材は、前記ガイドプレートに設けられるとともに、前記第1部材に摺動可能に構成されていることが好ましい。
本態様によれば、二次衝突時において、シャフト支持部上を低摺動部材が摺動することで、ガイドプレートとシャフト支持部とが摺動する場合に比べ、第1部材と第2部材との間に発生する摺動抵抗を軽減できる。
【0014】
上記態様のステアリング装置において、前記荷重吸収機構と前記ハウジングとの間に設けられ、前記ハウジングに対して前記荷重吸収機構及び前記シャフト支持部を前後方向に移動させるテレスコ機構を備え、前記テレスコ機構は、前記ハウジングに連結されたアクチュエータと、前記アクチュエータに連結された係合部及び前記荷重吸収機構に連結されて前記係合部に前後方向で係合する被係合部を有し、前記係合部及び前記被係合部を介して前記アクチュエータの駆動力を前記シャフト支持部に伝達させる送り機構と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、二次衝突時において、係合部と被係合部とが接触することで、アクチュエータに対する送り機構の前後方向への移動が規制される。これにより、二次衝突時において、送り機構とともにガイドプレートが前方に移動するのを抑制できる。そのため、抵抗部と摺動部との間に効果的に荷重を発生させることができる。その結果、所望の衝撃吸収性能を確保できる。
【0015】
上記態様のステアリング装置において、前記摺動部のうち、前記径方向で前記第1部材と反対側に位置する部分には、前記ガイドプレートに前記径方向で重なり合い、前記摺動部に対する前記ガイドプレートの前記径方向への移動を規制する規制部材が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、二次衝突時において、摺動部と抵抗部との間に作用する荷重が大きくなると、ガイドプレートが摺動部によって径方向の外側に押し退けられる。すると、ガイドプレートは、摺動部がガイド孔から離脱しようとする。この際、ガイドプレートが規制部材に接触する。これにより、ハウジングに対するガイドプレートの径方向の外側への移動が規制される。その結果、摺動部がガイドプレートから離脱するのを抑制し、荷重吸収機構による吸収エネルギーを、コラプスストローク全域に亘って安定させることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記各態様によれば、所望の衝撃吸収性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係るステアリング装置の斜視図である。
図2図1のII-II線に対応する断面図である。
図3図1のIII-III線に対応する断面図である。
図4】第1実施形態に係るステアリング装置の分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係るEAブロック及びEAガイドの斜視図である。
図6図3のVI-VI線に対応する断面図である。
図7図3のVII矢視図である。
図8】第1実施形態に係るステアリング装置において、二次衝突時の動作を説明するための説明図である。
図9】第2実施形態に係るステアリング装置において、図7に対応する底面図である。
図10】第2実施形態に係るステアリング装置において、図6に対応する断面図である。
図11図10のXI-XI線に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0019】
(第1実施形態)
[ステアリング装置1]
図1は、ステアリング装置1の斜視図である。
図1に示すように、ステアリング装置1は、車両に搭載される。ステアリング装置1は、ステアリングホイール2の回転操作に伴って車輪の舵角を調整する。
【0020】
ステアリング装置1は、ハウジング11と、パイプ(シャフト支持部)12と、ステアリングシャフト13と、駆動機構14と、荷重吸収機構15と、を備えている。パイプ12及びステアリングシャフト13は、それぞれ軸線O1に沿って延びる筒状に形成されている。したがって、以下の説明では、パイプ12及びステアリングシャフト13の軸線O1の延びる方向を単にシャフト軸方向といい、軸線O1に直交する方向をシャフト径方向といい、軸線O1回りの方向をシャフト周方向という場合がある。
【0021】
本実施形態のステアリング装置1は、軸線O1が前後方向に対して交差した状態で車両に搭載される。具体的に、ステアリング装置1の軸線O1は、後方に向かうに従い上方に延びている。以下の説明では、便宜上、ステアリング装置1において、シャフト軸方向でステアリングホイール2に向かう方向を単に後方とし、ステアリングホイール2とは反対側に向かう方向を単に前方(矢印FR)とする。また、シャフト径方向のうち、ステアリング装置1が車両に取り付けられた状態での上下方向を単に上下方向(矢印UPが上方)とし、左右方向を単に左右方向(矢印LHが左側)とする。
【0022】
<ハウジング11>
図2は、図1のII-II線に対応する断面図である。
図1図2に示すように、ハウジング11は、チルトブラケット21と、ハウジング本体22と、を備えている。
チルトブラケット21は、前後方向から見た正面視において、下方に開口するU字状に形成されている。チルトブラケット21は、左右一対の側部フレーム23a,23bと、各側部フレーム23a,23bに形成された取付ステー24と、各側部フレーム23a,23b同士を架け渡す架け渡し部25と、を備えている。
図1に示すように、側部フレーム23a,23bは、左右方向に向かい合った状態で、前後方向に延びている。
【0023】
取付ステー24は、側部フレーム23a,23bの上端部から、それぞれ左右方向の外側に張り出している。ハウジング11は、取付ステー24を介して車体に支持される。
図2に示すように、架け渡し部25は、各側部フレーム23a,23bの上端部同士を一体に架け渡している。架け渡し部25は、側部フレーム23a,23bにおける前後両端部にそれぞれ設けられている。
【0024】
ハウジング本体22は、チルトブラケット21の内側に配置されている。ハウジング本体22は、保持筒31と、前側延出部32と、を有している。
【0025】
保持筒31は、シャフト軸方向(前後方向)に延びている。保持筒31内の前端部には、前側軸受35が嵌合(圧入)されている。保持筒31の下部には、下方に向けて開口するスリット36が形成されている。スリット36は、前側軸受35の後方において、前後方向に延びている。
【0026】
図3は、図2のIII-III線に対応する断面図である。
図3に示すように、保持筒31のうち、スリット36の開口縁には、突出壁(第1突出壁38及び第2突出壁39)が形成されている。第1突出壁38は、スリット36の開口縁のうち、右側開口縁から下方に突出している。第1突出壁38は、スリット36の右側開口縁に沿って前後方向に延びている。
第2突出壁39は、スリット36の開口縁のうち、左側開口縁から下方に突出している。第2突出壁39は、スリット36の左側開口縁に沿って前後方向に延びている。第2突出壁39には、下方に向けて開口する凹部39aが形成されている。
【0027】
図1に示すように、前側延出部32は、保持筒31から前方に突出している。前側延出部32は、正面視において下方に開口するU字状に形成されている。前側延出部32は、チルトブラケット21のうち、向かい合う側部フレーム23a,23bにピボット軸40を介してそれぞれ連結されている。これにより、ハウジング本体22は、ピボット軸40回り(左右方向に延びる軸線O2回り)に回動可能にチルトブラケット21に支持されている。
【0028】
<パイプ12>
パイプ12は、シャフト軸方向に延びる筒状に形成されている。パイプ12は、保持筒31内に挿入されている。パイプ12は、保持筒31に対してシャフト軸方向に移動可能に構成されている。図2に示すように、パイプ12の後端部には、後側軸受41が嵌合(圧入)されている。
【0029】
<ステアリングシャフト13>
ステアリングシャフト13は、インナシャフト42及びアウタシャフト43を備えている。
インナシャフト42は、シャフト軸方向に延びる筒状に形成されている。インナシャフト42は、パイプ12内に挿入されている。インナシャフト42の後端部は、パイプ12内において後側軸受41に圧入されている。これにより、インナシャフト42は、パイプ12内で軸線O1回りに回転可能に支持されている。インナシャフト42のうち、パイプ12から後方に突出した部分には、ステアリングホイール2が連結される。インナシャフト42は中実でもよい。
【0030】
アウタシャフト43は、シャフト軸方向に延びる筒状に形成されている。アウタシャフト43は、パイプ12内に挿入されている。アウタシャフト43の後端部には、パイプ12内において、インナシャフト42が挿入されている。アウタシャフト43の前端部は、保持筒31内において前側軸受35に圧入されている。これにより、アウタシャフト43は、保持筒31内で軸線O1回りに回転可能に支持されている。
【0031】
インナシャフト42及びパイプ12は、アウタシャフト43及びハウジング11に対してシャフト軸方向に移動可能に構成されている。インナシャフト42の外周面には、例えば雄スプラインが形成されている。雄スプラインは、アウタシャフト43の内周面に形成された雌スプラインに係合している。これにより、インナシャフト42は、アウタシャフト43に対する相対回転が規制された上で、アウタシャフト43に対してシャフト軸方向に移動する。但し、ステアリングシャフト13の伸縮構造や回転規制の構造は、適宜変更が可能である。本実施形態では、アウタシャフト43がインナシャフト42に対して前方に配置された構成について説明したが、この構成のみに限らず、アウタシャフト43がインナシャフト42に対して後方に配置された構成であってもよい。
【0032】
<駆動機構14>
図1に示すように、駆動機構14は、チルト機構45と、テレスコ機構46と、を備えている。チルト機構45は、例えばハウジング11の左側に配置されている。テレスコ機構46は、例えばハウジング11の右側に配置されている。ステアリング装置1は、駆動機構14を備えない構成でもよく、駆動機構14のうちチルト機構45及びテレスコ機構46の何れかを備える構成でもよい。
【0033】
チルト機構45は、いわゆる送りねじ機構である。チルト機構45は、チルトモータユニット51と、チルト連結部52と、チルト可動部53と、を備えている。チルト機構45は、チルトモータユニット51の駆動によって軸線O2回りのステアリング装置1の回動の規制及び許容を切り替える。
チルトモータユニット51は、側部フレーム23aの前端部に、側部フレーム23aから左右方向の外側に張り出した状態で取り付けられている。
【0034】
チルト連結部52は、チルトワイヤ61と、チルトシャフト62と、チルトワイヤ61及びチルトシャフト62同士を連結するチルトカップリング63と、を備えている。
チルトカップリング63は、左右方向に延びる軸線回りに回転可能に側部フレーム23aに支持されている。
【0035】
チルトワイヤ61は、チルトモータユニット51とチルトカップリング63との間を架け渡している。チルトワイヤ61は、チルトモータ56の駆動に伴い回転可能に構成されている。チルトワイヤ61は、撓み変形可能に構成されている。チルトギヤボックス55とチルトカップリング63との間を接続する接続部材は、チルトワイヤ61のような撓み変形するものに限られない。
チルトシャフト62は、チルトカップリング63とチルト可動部53との間を架け渡している。チルトシャフト62は、チルトモータユニット51の駆動に伴い、チルトワイヤ61と共回りする。チルトシャフト62の外周面には、雄ねじ部が形成されている。
【0036】
チルト可動部53は、リンク部材70と、チルトナット71と、を備えている。
リンク部材70は、上方に開口するU字状に形成されている。リンク部材70は、チルトブラケット21及びハウジング本体22のそれぞれに連結されている。具体的に、リンク部材70は、前端部においてチルトブラケット21(側部フレーム23a,23b)に回動可能に連結されている。リンク部材70は、後端部においてハウジング本体22(保持筒31)に回動可能に連結されている。これにより、リンク部材70は、チルトブラケット21及びハウジング本体22の間で左右方向に沿う軸線回りに回動可能に構成されている。
【0037】
チルトナット71は、リンク部材70の下部において、左右方向の外側(左側)に向けて取り付けられている。チルトナット71の内周面には、雌ねじ部が形成されている。チルトナット71には、チルトシャフト62が噛み合っている。チルトナット71は、チルトシャフト62の回転に伴いチルトシャフト62上の位置が変更可能に構成されている。
【0038】
図4は、ステアリング装置1の分解斜視図である。
図4に示すように、テレスコ機構46は、いわゆる送りねじ機構である。テレスコ機構46は、テレスコモータユニット(アクチュエータ)81と、テレスコ連結部82と、テレスコ可動部(送り機構)83と、を備えている。テレスコ機構46は、テレスコモータユニット81の駆動によってハウジング11に対するパイプ12(ステアリングシャフト13)の前後動の規制及び許容を切り替える。
テレスコモータユニット81は、前側延出部32に左右方向の外側に張り出した状態で取り付けられている。したがって、テレスコモータユニット81は、チルト機構45の駆動力によってハウジング本体22と一体で軸線O2回りに回動可能に構成されている。但し、テレスコモータユニット81は、ワイヤ等を介してチルトブラケット21に支持されていてもよい。
【0039】
図4に示すように、テレスコ連結部82は、テレスコモータユニット81から後方に延びている。テレスコ連結部82は、テレスコモータユニット81の駆動に伴い、軸線回りに回転する。テレスコ連結部82の外周面には、雄ねじ部(係合部)82aが形成されている。
【0040】
テレスコ可動部83は、荷重吸収機構15を介してパイプ12に接続されている。テレスコ可動部83の内周面には、雌ねじ部(被係合部)83aが形成されている。テレスコ可動部83には、テレスコ連結部82の雄ねじ部82aが噛み合っている。テレスコ可動部83は、雌ねじ部83a及び雄ねじ部82aを介してテレスコ連結部82に前後方向で係合している。テレスコ可動部83は、テレスコ連結部82の回転に伴いテレスコ連結部82上を移動可能に構成されている。
【0041】
<荷重吸収機構15>
図3図4に示すように、荷重吸収機構15は、テレスコ可動部83とパイプ12との間を接続している。荷重吸収機構15は、テレスコ動作時等(パイプ12に作用する前後方向の荷重が所定値未満の場合)、テレスコ機構46の駆動力をパイプ12に伝達して、テレスコ可動部83とともにパイプ12をハウジング11に対して前後方向に移動させる。一方、荷重吸収機構15は、二次衝突時等(パイプ12に作用する荷重が所定値以上の場合)、テレスコ機構46とは独立してパイプ12をハウジング11に対して前方に移動させる。具体的に、荷重吸収機構15は、EA(Energy Absorbing)ブロック(シャフト支持部)101と、EAボルト102と、EAプレート(ガイドプレート)103と、EAカバー104と、EAガイド105と、を備えている。
【0042】
図5は、EAブロック101及びEAガイド105の斜視図である。図6は、図3のVI-VI線に対応する断面図である。
図5図6に示すように、EAブロック101は、例えばSS400等の炭素鋼により一体に形成されている。EAブロック101は、パイプ12の前部において、下向きに固定されている。具体的に、EAブロック101は、嵌め込み部110と、台座部111と、を備えている。
嵌め込み部110は、パイプ12に設けられた貫通孔109(図6参照)に嵌め込まれている。嵌め込み部110のうち、シャフト径方向の内側を向く面は、パイプ12の内周面に倣って延びる湾曲面に形成されている。
【0043】
台座部111は、嵌め込み部110の下方に連なっている。台座部111は、上下方向から見た平面視外形が嵌め込み部110よりも大きい矩形状に形成されている。台座部111の下面は、シャフト径方向に直交する平坦面に形成されている。台座部111は、パイプ12から下方に突出した状態で配置されている。台座部111は、スリット36を通じてハウジング本体22の外部に露出している。図3の例において、台座部111の下面は、突出壁38,39よりも下方に位置している。EAブロック101は、例えば嵌め込み部110及び台座部111の境界部分において、パイプ12に溶接等されることで、パイプ12に固定されている。但し、EAブロック101とパイプ12との固定方法は、適宜変更が可能である。
【0044】
図3図6に示すように、EAブロック101には、EAブロック101をシャフト径方向に貫通する取付孔113が形成されている。取付孔113は、左右方向に2つ並んでいる。以下の説明では、一方の取付孔113を例に、取付孔113の詳細について説明する。
【0045】
取付孔113は、小径部113a及び大径部113bを備える段付き孔である。
小径部113aは、EAブロック101において、嵌め込み部110及び台座部111に跨って形成されている。小径部113aの内周面には、雌ねじ部が形成されている。
大径部113bは、小径部113aに対して内径が拡大している。大径部113bは、小径部113aに対してシャフト径方向の外側に連なっている。大径部113bは、台座部111の下面上で開口している。大径部113bと小径部113aとの間を接続する孔段差面113cは、シャフト径方向に交差(例えば、直交)する平坦面に形成されている。
【0046】
EAボルト102は、台座部111から下方に突出した状態で各取付孔113に各別に締結されている。EAボルト102は、EAブロック101よりも硬質な材料により形成されている。EAボルト102は、いわゆる段付きボルトである。EAボルト102の軸部102aは、先端部に位置する小径軸部106bと、ボルト段差面106cを介して小径軸部106bの基端部に連なる大径軸部(摺動部)106dと、を備えている。
【0047】
小径軸部106bの外周面には、雄ねじ部が形成されている。小径軸部106bは、EAブロック101の小径部113a内で締結されている。
ボルト段差面106cは、小径軸部106bの基端縁からEAボルト102の径方向(ボルト径方向)の外側に環状に張り出している。小径軸部106bが小径部113aに締結された状態において、ボルト段差面106cは、孔段差面113cに近接又は当接している。EAボルト102は、ボルト段差面106cが孔段差面113cに当接することで、EAブロック101に対する上下方向の位置決めがなされている。
【0048】
大径軸部106dは、上端部が大径部113b内に収容された状態で、EAブロック101から下方に突出している。大径軸部106dは、小径軸部106bと同軸に配置された円柱状である。大径軸部106dの上端部は、大径部113bによって取り囲まれている。EAボルト102は、大径軸部106dの外周面が大径部113bの内周面に当接することで、二次衝突時やテレスコ動作時におけるEAボルト102のボルト径方向の変位(倒れ)を規制する。図示の例において、大径軸部106dのうち台座部111の下面からの突出量は、大径部113b内に収容されている部分の寸法よりも大きい。
【0049】
EAボルト102の頭部(規制部材)102bは、大径軸部106dの基端部からボルト径方向の外側に張り出している。
【0050】
図3図4に示すように、EAプレート103は、メインプレート130とサブプレート131とを備えている。
メインプレート130は、前後方向から見た正面視でクランク状に形成されている。メインプレート130は、EAボルト102よりも硬度が低い材料(例えば、SPHC等)により形成されている。具体的に、メインプレート130は、取付片132と、動作片134と、支持片135と、を備えている。
【0051】
取付片132は、テレスコ可動部83に上方から取り付けられている。すなわち、EAプレート103は、テレスコ可動部83と一体で前後動可能に構成されている。
動作片134は、取付片132の下端縁から左右方向の内側に延びている。動作片134は、パイプ12の下方に配置されている。具体的に、動作片134の後端部は、EAボルト102と平面視で重なり合っている。動作片134には、長孔(第1長孔140及び第2長孔141)が形成されている。
【0052】
支持片135は、動作片134のうち、連結片133とは反対側に位置する端縁から上方に延びている。支持片135の上端部は、凹部39a内に収容されている。凹部39a内には、ガイドレール144が設けられている。ガイドレール144は、下方に向けて開口するU字状に形成されるとともに、凹部39a内を前後方向に延びている。ガイドレール144は、凹部39a内に嵌め込まれている。ガイドレール144は、凹部39aの内面よりも摩擦係数の小さい材料(例えば、樹脂材料等)により形成されている。ガイドレール144の内側には、支持片135が収容されている。すなわち、ガイドレール144は、ハウジング本体22に対するメインプレート130(EAプレート103)の左右方向の移動を規制しつつ、前後方向の移動を案内する。
【0053】
サブプレート131は、テレスコ可動部83と動作片134との間を接続している。具体的に、サブプレート131のうち、左右方向の外側端部は、テレスコ可動部83に下方から取り付けられている。すなわち、サブプレート131は、取付片132との間にテレスコ可動部83を上下方向で挟み込んでいる。サブプレート131における左右方向の内側端部は、動作片134に接続されている。
【0054】
図7は、図3のVII矢視図である。
ここで、図7に示すように、上述した各長孔(ガイド孔)140,141は、動作片134を上下方向に貫通するとともに、前後方向に延びている。各長孔140,141は、平面視において左右対称に形成されている。動作片134のうち、各長孔140,141間に位置する部分は、前後方向に沿って延びる延在部150を構成している。延在部150は、前側括れ部151と、後側括れ部152と、幅広部153と、を備えている。
前側括れ部151は、延在部150の前端部に位置している。前側括れ部151は、幅広部153に対して左右方向の内側に窪んでいる。
後側括れ部152は、延在部150の後端部に位置している。後側括れ部152は、幅広部153に対して左右方向の内側に窪んでいる。各括れ部151,152における左右方向の幅は、各EAボルト102(大径軸部106d)間の距離L1以下に設定されている。なお、前側括れ部151は、必須の構成ではない。
【0055】
各長孔140,141内の後端部(後側括れ部152に対応する部分)には、EAボルト102がそれぞれ配置されている。EAボルト102は、各長孔140,141内に対して下方から挿通された後、EAブロック101に締結されている。EAボルト102は、二次衝突時において、EAプレート103に対して前方に移動する際、長孔140,141に沿って案内される。図6に示すように、EAボルト102がEAブロック101に締結された状態において、長孔140,141内には大径軸部106dが配置されている。EAボルト102がEAブロック101に締結された状態において、頭部102bはEAプレート103との間に隙間Sをあけた状態で、EAプレート103と平面視で重なり合っている。具体的に、頭部102bは、EAプレート103(動作片134)のうち、長孔140,141の周辺部分に重なり合っている。
【0056】
図7に示すように、幅広部153は、左右方向の幅L2が各EAボルト102(大径軸部106d)間の距離L1よりも大きく設定されている。幅広部153のうち、各括れ部151,152に対して左右方向の外側に膨出した部分は、長孔140,141内に張り出す抵抗部155を構成している。抵抗部155は、各EAボルト102(大径軸部106d)のうち、左右方向の内側端部と正面視で重なり合っている。抵抗部155は、二次衝突時等、パイプ12に対して前方に向けて所定の荷重が入力された際に、各大径軸部106dが摺動することで塑性変形可能に構成されている。抵抗部155は、パイプ12を介してEAブロック101に作用する荷重が所定未満の場合(例えば、テレスコ動作時等)には変形不能になっている。すなわち、パイプ12に作用する荷重が所定値未満の場合には、各EAボルト102が各長孔140,141内(後側括れ部152)に嵌まり込んだ状態で、EAプレート103に対するEAブロック101の相対移動が規制されている。
【0057】
動作片134のうち、各長孔140,141に対して延在部150とは反対側(左右方向の外側)に位置する部分は、前後方向に沿って延びるガイド156を構成している。ガイド156は、各EAボルト102に対して左右方向の外側に位置して、各EAボルト102の左右方向の外側への変位を規制する。
【0058】
図3図4に示すように、EAカバー104は、ハウジング本体22(EAボルト102)に対するEAプレート103の下方への移動を規制する。EAカバー104は、ハウジング本体22の下部において、軸線O1に対してテレスコ機構46側とは反対側(左側)に配置されている。EAカバー104は、EAプレート103の一部を下方から覆っている。
【0059】
EAカバー104は、規制プレート161と、摺動プレート162と、を備えている。
規制プレート161は、摺動プレート162よりも剛性の高い材料(例えば、金属材料)により形成されている。規制プレート161は、上下方向を厚さ方向として、前後方向に延びている。規制プレート161は、重なり片161aと、取付片161bと、を備えている。
【0060】
重なり片161aは、第2突出壁39の下方において、前後方向に延びている。重なり片161aは、動作片134の左側端部(テレスコ機構46とは反対側の端部)に下方から重なり合っている。図示の例において、重なり片161aは、延在部150に対して左側のガイド156に重なり合っている 。重なり片161aの前後方向の寸法は、EAプレート103(動作片134)よりも長い。
【0061】
取付片161bは、重なり片161aから左右方向の外側や前方に張り出している。取付片161bは、テレスコ動作時におけるEAプレート104の動作軌跡から外れた部分において、ハウジング本体22に固定されている。取付片161bは、例えばボルト等によってハウジング本体22に固定されている。
【0062】
摺動プレート162は、重なり片161aの上面に重なり合っている。摺動プレート162は、摩擦係数が規制プレート161よりも小さい材料(例えば、樹脂材料等)により形成されている。摺動プレート162は、重なり片161aに固定されている。摺動プレート162の固定方法は、ピンを重なり片161a等に圧入したり、かえし爪を有するピンを重なり片161a等に係止したりして固定してもよく、接着等によって固定してもよい。
【0063】
摺動プレート162は、重なり片161aと動作片134との間に位置している。摺動プレート162の上面は、動作片134の下面に近接又は当接している。EAカバー104は、摺動プレート162を備えない構成であってもよい。
【0064】
図4に示すように、EAガイド105は、EAブロック101とハウジング本体22との間、並びにEAブロック101とEAプレート103との間に配置されている。EAガイド105は、テレスコ動作時や二次衝突時における摺動抵抗を軽減する。EAガイド105は、少なくともEAブロック101よりも摩擦係数が小さい材料により構成されている。このような材料として、本実施形態のEAガイド105は、樹脂材料(例えば、POMやPA66等)により一体に形成されている。なお、EAガイド105は、EAブロック101よりも摩擦係数が小さい材料として、例えばEAブロック101やEAボルト102、EAプレート103よりも硬度が低い材料であれば、樹脂材料以外にも採用可能である。
【0065】
図3図6に示すように、EAガイド105は、枠部171と、側方張出部(第2軽減部)172と、下側張出部(第1軽減部)173と、を備えている。
枠部171は、EAブロック101(台座部111)の周囲を取り囲む矩形枠状に形成されている。枠部171は、台座部111に対して左右方向の両側に位置する側桟部171aと、台座部111の前方において側桟部171aの前端部同士を接続する前桟部171bと、台座部111の後方において側桟部171aの後端部同士を接続する後桟部171cと、を備えている。枠部171の角部(各桟部171a~171cの境界部分)は、丸みを帯びている。
【0066】
枠部171のうち、側桟部171aの前部及び前桟部171bは、台座部111の下面よりも下方に突出している。
枠部171のうち、側桟部171aの後部から後桟部171cに至る部分には、逃げ部171dが形成されている。逃げ部171dは、側桟部171aの後部から後桟部171cに至る部分の上下方向の高さが前桟部171bに対して低く形成された部分である。具体的に、逃げ部171dは、側桟部171aの後部から後桟部171cの下端縁が、後方に向かうに従い上方に延びる傾斜面に形成されて構成されている。したがって、後桟部171cの下端縁は、枠部171の下端縁のうち、最も上方に位置している。図示の例において、後桟部171cの下端縁は、EAブロック101の下面と面一、若しくはEAブロック101の下面よりも上方に位置している。なお、逃げ部171dは、前桟部171bよりも上方に位置していれば、傾斜面に限らず、段差状等に形成されていてもよい。また、逃げ部171dは、必須の構成ではない。
【0067】
図3図5に示すように、側方張出部172は、側桟部171aの前部外側面から左右方向の外側にそれぞれ張り出している。側方張出部172は、スリット36の内側面に対し左右方向で近接又は当接している。側方張出部172は、EAガイド105がスリット36内を前後方向に移動する際に、スリット36の内面に摺動可能に構成されている。
【0068】
一方、図5図7に示すように、側桟部171aの後部外側面は、側方張出部172に対して左右方向の内側に位置している。したがって、側桟部171aの後部外側面とスリット36の内面との間には、EAガイド105とスリット36の内面との接触を避ける隙間Pが形成されている。側方張出部172の後端部は、後方に向かうに従い左右方向の内側に延び、側桟部171aの後部外側面に連なる傾斜面に形成されている。但し、側方張出部172は、側桟部171aに対して前後方向の全体に亘って形成されていてもよい。
【0069】
図5図6に示すように、下側張出部173は、側桟部171aの前部及び前桟部171bから枠部171の内側に向けて張り出している。具体的に、下側張出部173は、平面視において、EAブロック101の下面と重なり合っている。下側張出部173、側方張出部172、側桟部171aの前部及び前桟部171bの上面は、動作片134の上面に近接又は当接する摺動面176を構成している。摺動面176は、台座部111の下面と動作片134の上面との間に位置して、二次衝突時において動作片134の上面に摺動可能に設けられている。
【0070】
[作用]
次に、上述したステアリング装置1の作用を説明する。以下の説明では、チルト動作、テレスコ動作及び二次衝突時のコラプスストロークについて主に説明する。
【0071】
<チルト動作>
図1に示すように、チルト動作は、チルトモータユニット51の駆動力がリンク部材70を介してハウジング本体22に伝達されることで、ハウジング本体22が軸線O2回りに回動する。具体的に、ステアリングホイール2を上向きに調整する場合には、チルトモータユニット51が駆動することで、チルトワイヤ61及びチルトシャフト62が例えば第1方向(チルトナット71の緩み方向)に回転する。チルトシャフト62が第1方向に回転すると、チルトナット71がチルトシャフト62に対して後方に移動する。チルトナット71が後方に移動することで、ハウジング本体22がチルトブラケット21に対して軸線O2回りの上方に向けて回動する。その結果、ステアリングホイール2が、ハウジング本体22やパイプ12、ステアリングシャフト13等とともに軸線O2回りの上方に回動する。
【0072】
一方、ステアリングホイール2を下向きに調整する場合には、チルトシャフト62を第2方向(チルトナット71の締め付け方向)に回転させる。すると、チルトナット71がチルトシャフト62に対して前方に移動する。チルトナット71が前方に移動することで、ハウジング本体22がチルトブラケット21に対して軸線O2回りに下方へ向けて回動する。その結果、ステアリングホイール2が、ハウジング本体22やパイプ12、ステアリングシャフト13等とともに軸線O2回りの下方に回動する。
【0073】
<テレスコ動作>
テレスコ動作は、テレスコモータユニットの駆動力がEAプレート103及びEAブロック101を介してパイプ12に伝達されることで、パイプ12及びインナシャフト42がハウジング11及びアウタシャフト43に対して前後動する。具体的に、ステアリングホイール2を後方に移動させる場合には、テレスコモータユニット81の駆動により、テレスコ連結部82を例えば第1方向(テレスコ可動部83の緩み方向)に回転させる。テレスコ連結部82が第1方向に回転すると、テレスコ可動部83及びEAプレート103がテレスコ連結部82に対して後方に移動する。EAプレート103の駆動力は、EAボルト102に伝達される。この際、各EAボルト102が後側括れ部152に嵌まり込んだ状態で、EAプレート103に対するEAボルト102の相対移動が規制されている。
そのため、EAボルト102の駆動力がEAブロック101を介してパイプ12に伝達される。その結果、パイプ12がインナシャフト42とともに後方に移動することで、ステアリングホイール2が後方に移動する。
【0074】
一方、ステアリングホイール2を前方に移動させる場合、テレスコ連結部82を例えば第2方向に回転させる。テレスコ連結部82が第2方向(テレスコ可動部83の締め付け方向)に回転すると、テレスコ可動部83及びEAプレート103がテレスコ連結部82に対して前方に移動する。EAプレート103の前方移動に伴い、EAプレート103の駆動力がEAボルト102及びEAブロック101を介してパイプ12に伝達される。これにより、パイプ12が前方に移動することで、ステアリングホイール2が前方に移動する。
【0075】
<二次衝突時>
次に、二次衝突時の動作について説明する。
図6図7に示すように、二次衝突時(衝突荷重が所定値以上の場合)には、パイプ12やEAブロック101、EAボルト102、インナシャフト42とともに、ステアリングホイール2がハウジング本体22及びアウタシャフト43に対して前方に移動する。
【0076】
図8は、二次衝突時の動作を説明するための説明図である。
図7図8に示すように、二次衝突時には、ステアリングホイール2を介してパイプ12に前方への衝突荷重が作用する。この際、衝突荷重は、EAブロック101及びEAボルト102を介してEAプレート103に作用する。しかし、本実施形態では、テレスコ可動部83の雌ねじ部83aとテレスコ連結部82の雄ねじ部82aとが前後方向で係合しているため、ハウジング11に対するEAプレート103の前方移動が規制されている。したがって、ステアリングシャフト13、パイプ12、EAブロック101及びEAボルト102は、EAプレート103及びハウジング11に対して前方に移動しようとする。
【0077】
本実施形態において、各EAボルト102の大径軸部106d間の距離L1は、幅広部153の幅L2よりも狭い。そのため、EAボルト102は、大径軸部106dによって延在部150をしごきながらEAプレート103に対して前方に移動する。具体的に、大径軸部106dは、幅広部153の外側面上を摺動する際、抵抗部155を左右方向の内側に塑性変形(圧壊)させる。このように、ステアリングシャフト13等が、EAプレート103及びハウジング11に対して前方に移動する過程で、大径軸部106dが延在部150をしごく際に発生する荷重によって、二次衝突時に運転者に加わる衝撃荷重が緩和される。
【0078】
なお、EAボルト102とEAプレート103との間で発生する荷重は、各大径軸部106d間の距離L1と幅広部153の幅L2との差分や、幅広部153の厚さ等を変更することで調整できる。二次衝突時には、各大径軸部106dによって延在部150をしごく際の荷重に加え、例えばパイプ12の外周面と保持筒31の内周面との間の摺動抵抗等で衝撃荷重を緩和してもよい。なお、パイプ12の外周面と保持筒31の内周面との摺動部分に高摩擦係数の塗料を塗布したり、凹凸加工等を施したりしてもよい。
【0079】
ここで、本実施形態では、EAブロック101よりも摩擦係数が小さい材料により形成されたEAガイド105(摺動面176)が、EAブロック101とEAプレート103との間に設けられた構成とした。
この構成によれば、二次衝突時において、動作片134の上面上を摺動面176が摺動することで、EAブロック(一方の部材)101とEAプレート(他方の部材)103とが摺動する場合に比べ、EAプレート103との間に発生する摺動抵抗を軽減できる。これにより、所望の箇所(例えば、抵抗部155と大径軸部106dとの間)で所望の摺動抵抗を発生させることができる。その結果、二次衝突時における荷重変動を安定させることができ、所望の衝撃吸収性能を確保し易い。
【0080】
本実施形態では、EAガイド105が、EAプレート103と台座部111との間に配置された摺動面176と、台座部111の周囲においてスリット36の内面と向かい合う側方張出部172と、を備える構成とした。
この構成によれば、二次衝突時には、上述したように摺動面176によってEAプレート103との間で発生する摺動抵抗を軽減できる。二次衝突時において、側方張出部172の外側面がスリット36の内面上を摺動することで、EAブロック101の外側面がスリット36の内面上を摺動する場合に比べ、ハウジング本体22との間で発生する摺動抵抗も軽減できる。しかも、側方張出部172の外側面がスリット36の内面に接触することで、二次衝突時において、パイプ12の軸線O1回りの回転を抑制することができる。
これにより、二次衝突時において、EAガイド105がスリット36の内面に引っ掛かるのを抑制し、コラプスストロークをスムーズに行うことができる。
一方、テレスコ動作時においても、側方張出部172の外側面がスリット36の内面上を摺動する。これにより、EAブロック101の外側面がスリット36の内面上を摺動する場合に比べ、テレスコ動作時に発生する異音や摺動抵抗を軽減できる。
特に、本実施形態では、摺動面176及び側方張出部172がEAガイド105に一体に形成されているため、構成の簡素化や低コスト化を図ることができる。
【0081】
本実施形態では、EAガイド105の内側に台座部111が嵌め込まれている構成とした。
この構成によれば、EAガイド105のがたつきや脱落等を抑制し、長期に亘って安定したテレスコ動作やコラプスストロークを実現させることができる。
【0082】
本実施形態では、EAガイド105のうち、EAボルト102に対して後方に位置する部分に、摺動面176に対して上方に位置する逃げ部171dが形成されている構成とした。
この構成によれば、大径軸部106dが延在部150をしごくことによって発生する変形痕(バリ等)がEAガイド105に接触するのを抑制できる。これにより、変形痕によってコラプスストロークが阻害されるのを抑制できる。
【0083】
本実施形態では、テレスコモータユニット81に連結されたテレスコ連結部82と、EAプレート103に連結されてテレスコ連結部82の雄ねじ部82aに前後方向で係合する雌ねじ部83aを有し、雄ねじ部82a及び雌ねじ部83aを介してテレスコモータユニット81の駆動力をシャフト支持部(EAブロック101やパイプ12)に伝達させるテレスコ可動部83と、を備えている構成とした。
この構成によれば、二次衝突時において、テレスコ連結部82の雄ねじ部82aと、テレスコ可動部83の雌ねじ部83aと、が接触することで、テレスコ連結部82に対するテレスコ可動部83の前方への移動が規制される。これにより、二次衝突時において、テレスコ連結部82とともにEAプレート103が前方に移動するのを抑制できる。そのため、延在部150と大径軸部106dとの間に効果的に荷重を発生させることができる。
その結果、所望の衝撃吸収性能を確保できる。
【0084】
本実施形態では、EAプレート103に上下方向で重なり合い、EAボルト102に対する下方への移動を規制するEAカバー104を備える構成とした。
この構成によれば、二次衝突時において、大径軸部106dと延在部150との間に作用する荷重が大きくなると、EAプレート103が各大径軸部106dによって下方に押し退けられる。すると、EAプレート103は、大径軸部106dが長孔140,141から離脱しようとする。この際、動作片134が摺動プレート162を介してEAカバー104に接触する。これにより、ハウジング本体22(大径軸部106d)に対するEAプレート103の下方への移動が規制される。その結果、大径軸部106dがEAプレート103から離脱するのを抑制し、荷重吸収機構15による吸収エネルギーを、コラプスストローク全域に亘って安定させることができる。
しかも、本実施形態では、EAボルト102の頭部102bがEAプレート103に平面視で重なり合っている。そのため、二次衝突時において、EAボルト102に対するEAプレート103の下方への移動を頭部102bによっても規制できる。
【0085】
(第2実施形態)
第2実施形態では、下側張出部173(図5参照)に替えて、EAプレート103に低摺動部材200が設けられている点で、第1実施形態と相違している。図9は、第2実施形態に係るステアリング装置1において、図7に対応する底面図である。図10は、第2実施形態に係るステアリング装置1において、図6に対応する断面図である。図11は、図10のXI-XI線に対応する断面図である。
図9図11に示すステアリング装置1において、低摺動部材200は、上下方向から見てパイプ12、EAブロック101及びEAプレート103に重ね合わされた状態で、EAプレート103の上面に取り付けられている。具体的に、低摺動部材200は、対向部200aと、取付部200bと、を備えている。
【0086】
対向部200aは、上下方向を厚さ方向とし、前後方向に延びる板状に形成されている。対向部200aは、EAプレート103(動作片134)のうち、延在部150の上面を含む部分で前後方向に延びている。図示の例において、対向部200aの前端部は、動作片134の上面のうち延在部150よりも前方に位置する部分に達している。対向部200aの後端部は、動作片134の上面のうち延在部よりも後方に位置する部分に達している。
【0087】
対向部200aは、動作片134とEAブロック101との間に位置している。対向部200aは、二次衝突時においてEAブロック101の下面に摺動可能に構成されている。したがって、対向部200aにおける前後方向の範囲は、二次衝突時におけるEAブロック101の移動軌跡上に少なくとも設けられていればよい。
【0088】
対向部200aにおける左右方向の幅は、延在部150の最小幅(括れ部151,152)よりも狭くなっていることが好ましい。すなわち、対向部200aは、抵抗部155に対して左右方向の内側に位置している。これにより、二次衝突時において、対向部200aと大径軸部106dとの干渉を抑制できる。
しかも、抵抗部155とEAブロック101の下面との間には、上下方向に隙間を有している。これにより、抵抗部155を塑性変形させることによって発生する変形痕(バリ等)が低摺動部材200やEAブロック101に接触するのを抑制できる。その結果、変形痕によってコラプスストロークが阻害されるのを抑制できる。
【0089】
取付部200bは、対向部200aにおける前後方向の両端部に設けられている。取付部200bは、対向部200aから上方に向けて突出している。取付部200bは、動作片134を上下方向に貫通した状態で、動作片134に保持されている。
【0090】
第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果を奏することに加え、以下の作用効果を奏する。
すなわち、板状のEAプレート(一方の部材)103に対して低摺動部材200を設けることで、EAブロック(他方の部材)101とEAプレート103との間の摺動抵抗を軽減できる。そのため、構成の簡素化や低コスト化を図ることができる。
【0091】
第2実施形態では、低摺動部材200に加え、EAブロック101(側方張出部172)を備える構成について説明したが、この構成に限られない。第2実施形態のステアリング装置1では、少なくとも低摺動部材200が設けられていればよい。
第2実施形態では、延在部150の下面に低摺動部材200が設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。低摺動部材200は、EAプレート103とEAブロック101(又はパイプ12)との間で、EAプレート103に摺動可能に設けられていればよい。
【0092】
以上、本開示の好ましい実施例を説明したが、本開示はこれら実施例に限定されることはない。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、軸線O1が前後方向に交差している構成について説明していたが、この構成のみに限られない。軸線O1は、車両の前後方向に一致していてもよい。
【0093】
上述した実施形態では、テレスコ機構46が送りねじ機構である場合について説明したが、この構成のみに限られない。テレスコ機構46は、例えば歯車等を用いてもよい。
上述した実施形態では、モータユニット51,81によってテレスコ動作及びチルト動作が可能な、いわゆる電動式のステアリング装置1について説明したが、この構成に限られない。本開示に係るステアリング装置1は、パイプとハウジングとの間の締付荷重によって、パイプ12の前後方向の移動及び規制を切り替える手動式のステアリング装置1に採用してもよい。
上述した実施形態では、EAボルト102がEAブロック(シャフト支持部)101を介してパイプ(シャフト支持部)12に固定された構成について説明したが、この構成に限られない。EAボルト102は、パイプ(シャフト支持部)12に直接固定されていてもよい(EAブロック101を有さない構成であってもよい。)。
上述した実施形態では、シャフト支持部を構成するパイプ12の内側(挿入孔)に、ステアリングシャフト13が回転可能に挿入された構成について説明について説明したが、この構成に限られない。シャフト支持部は、ステアリングシャフト13を回転可能に支持する構成であれば、筒状に限られない。例えば、シャフト支持部は、ステアリングシャフト13が挿入される挿入孔を有し、ステアリングシャフト13を回転可能に支持する構成であればよい。この場合、シャフト支持部は、挿入孔を有する直方体形状等であってもよい。
【0094】
上述した実施形態では、EAガイド105が矩形枠状に形成された構成について説明したが、EAガイド105は少なくとも二次衝突時において、EAプレート103との摺動抵抗を軽減する構成であれば、形状等について適宜変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、第1軽減部として下側張出部173を備え、第2軽減部として側方張出部172を備える構成について説明したが、これに限られない。
上述した実施形態では、EAブロック101に固定されたEAボルト102によって延在部150を塑性変形させる構成について説明したが、この構成に限られない。延在部150を変形させる摺動部は、EAブロック101と一体に形成されていてもよい。
【0095】
上述した実施形態では、摺動部としてのEAボルト102(大径軸部106d)がパイプ12側(第1部材)に設けられ、ガイドプレートとしてのEAプレート103がハウジング11側(第2部材)に設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。
摺動部がハウジング11側(第2部材)に設けられ、ガイドプレートがパイプ12側(第1部材)に設けられてもよい。
【0096】
上述した実施形態では、抵抗部155が延在部150の両側縁に沿って前後方向に亘って延びる構成について説明したが、この構成に限られない。抵抗部は、摺動部の移動軌跡上における一部に塑性変形可能に設けられていてもよい。抵抗部として、例えば延在部150の両側縁に間欠的に設けられた複数の突起等であってもよい。
上述した実施形態では、大径軸部106dの断面形状が円形状に形成された場合について説明したが、この構成に限られない。大径軸部106dの断面形状は、長円形状や多角形状等であってもよい。
【0097】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1:ステアリング装置
11:ハウジング(第1部材、第2部材)
12:パイプ(シャフト支持部、第2部材、第1部材)
13:ステアリングシャフト
15:荷重吸収機構
36:スリット
46:テレスコ機構
81:テレスコモータユニット(アクチュエータ)
82a:雄ねじ部(係合部)
83a:雌ねじ部(被係合部)
83:テレスコ可動部(送り機構)
101:EAブロック(シャフト支持部、一方の部材、他方の部材)
102b:頭部(規制部材)
103:EAプレート(ガイドプレート、他方の部材、一方の部材)
104:EAカバー(規制部材)
105:EAガイド(低摺動部材)
106d:大径軸部(摺動部)
111:台座部
140,141:長孔(ガイド孔)
155:抵抗部
171d:逃げ部
172:側方張出部(第2軽減部)
173:下側張出部(第1軽減部)
200:低摺動部材
O1:軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11