(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145511
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】線量調整方法及びX線システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A61B6/03 330B
A61B6/03 360D
A61B6/03 360T
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013103
(22)【出願日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】17/206,866
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン バウムガルト
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マナーク
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA21
4C093AA24
4C093CA04
4C093CA15
4C093DA02
4C093DA10
4C093EA02
4C093EB28
4C093FA16
4C093FA18
4C093FA20
4C093FA32
4C093FA44
4C093FA52
4C093FD12
4C093FF28
4C093FG04
4C093FG13
4C093FG16
(57)【要約】
【課題】より適切なX線線量を設定すること。
【解決手段】実施形態の線量調整方法は、被検体の部位を撮像して当該部位のX線画像を取得し、前記X線画像に関連する関心領域のリストを作成し、前記関心領域のリストに対応する画素の測定範囲のリストを作成し、前記測定範囲のリストから測定範囲を選択するインタフェースをユーザに提示し、選択された測定範囲に基づいて前記被検体の部位にX線を照射する際のX線線量を決定し、決定した線量のX線を前記被検体の部位に照射すること、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の部位を撮像して当該部位のX線画像を取得し、
前記X線画像に関連する関心領域のリストを作成し、
前記関心領域のリストに対応する画素の測定範囲のリストを作成し、
前記測定範囲のリストから測定範囲を選択するインタフェースをユーザに提示し、
選択された測定範囲に基づいて前記被検体の部位にX線を照射する際のX線線量を決定し、
決定した線量のX線を前記被検体の部位に照射すること、
を含む、線量調整方法。
【請求項2】
前記関心領域のリストは、機械学習プロセスを介して作成される、請求項1に記載の線量調整方法。
【請求項3】
前記関心領域のリストは、前記X線画像中に存在する対象についての所定の知識に基づいて作成される、請求項1に記載の線量調整方法。
【請求項4】
前記関心領域のリストは、前記X線線量を調整するための前記測定範囲を設定するために使用されている関心領域に関する表示と共に、前記X線画像と同時に表示される、請求項1~3のいずれか1つに記載の線量調整方法。
【請求項5】
特定の関心領域に対応する測定範囲が一時的または永続的に前記X線画像上に表示される、請求項1~4のいずれか1つに記載の線量調整方法。
【請求項6】
マウス、ジョイスティック、ジョグホイール、タッチパネル、または音声制御を含む入力インタフェースを介して、現在の関心領域の選択が変更される、請求項1~5のいずれか1つに記載の線量調整方法。
【請求項7】
前記機械学習プロセスは、対象検出、ローカライゼーション、セグメンテーション、または追跡処理である、請求項2に記載の線量調整方法。
【請求項8】
前記画素の測定範囲のリストは、前記機械学習プロセスに基づいて作成される、請求項2に記載の線量調整方法。
【請求項9】
ユーザによる新しい関心領域の選択に応じて、新しいX線線量を決定するために、新たな対応する測定範囲を決定することをさらに含む、請求項6に記載の線量調整方法。
【請求項10】
前記関心領域はメニューを介して名称によって選択される、請求項4に記載の線量調整方法。
【請求項11】
特定の関心領域に対応する前記画素の測定範囲の寸法は、前記特定の関心領域内に存在する対象の種類に基づいて決定される、請求項1~10のいずれか1つに記載の線量調整方法。
【請求項12】
前記被検体の部位の撮像は、前記部位に対してX線を照射して前記部位のX線画像を取得することを含む、請求項1~11のいずれか1つに記載の線量調整方法。
【請求項13】
被検体の部位に対してX線を照射して前記部位のX線画像を取得するX線管と、
前記X線画像に関連する関心領域のリストを作成し、
前記関心領域のリストに対応する画素の測定範囲のリストを作成し、
前記測定範囲のリストから測定範囲を選択するインタフェースをユーザに提示し、
選択された測定範囲に基づいて前記被検体の部位にX線を照射する際のX線線量を決定する処理回路と、
を備え、
前記X線管は、調整された線量のX線を前記被検体の部位に照射する、X線システム。
【請求項14】
前記処理回路は、機械学習プロセスを介して前記関心領域のリストの作成を行う、請求項13に記載のX線システム。
【請求項15】
前記処理回路は、前記X線画像中に存在する対象についての所定の知識に基づいて前記関心領域のリストを作成する、請求項13に記載のX線システム。
【請求項16】
ターゲット対象を選択する操作を受け付け、
被検体の部位を撮像して前記部位のX線画像を取得し、
取得したX線画像に関連する前記ターゲット対象に対応する関心領域を決定し、
決定した関心領域に基づいて画素の測定範囲を作成し、
作成した測定範囲に基づいて前記被検体の部位にX線を照射する際のX線線量を決定し、
決定した線量のX線を前記被検体の部位に照射すること、
を含む、線量調整方法。
【請求項17】
前記X線線量は、さらに、前記作成した測定範囲に関連する前記選択されたターゲット対象に基づいて決定される、請求項16に記載の線量調整方法。
【請求項18】
前記関心領域は、機械学習プロセスを介して決定される、請求項16又は17に記載の線量調整方法。
【請求項19】
前記画素の測定範囲は、前記機械学習プロセスに基づいて作成される、請求項18に記載の線量調整方法。
【請求項20】
特定の関心領域に対応する前記画素の測定範囲の寸法は、前記特定の関心領域内に存在する対象の種類に基づいて決定される、請求項16~19のいずれか1つに記載の線量調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、線量調整方法及びX線システムに関する。
【0002】
具体的には、本開示は、X線線量調整のための関心領域の表示と選択とを行う線量調整方法及びX線システムに関し、X線イメージングにおけるX線線量の調整に関する。
【背景技術】
【0003】
X線画像において、解剖学的マーカー或いは特徴、埋込みデバイス、およびインターベンションに関するデバイスなどの、ユーザにとって関心のある対象が一時に複数存在することがある。いずれの対象も被検体に当てるX線の線量を当該対象に関して最適化することで視認性が左右されるが、画像内の他の対象の視認性を損ねることになりかねない。また、主要な関心対象物が不明であると、X線線量が画像中の特定の対象を十分に解像するのに必要な量よりも過少または過多のいずれかになる可能性がある。
【0004】
現行の方式では、取得された画像の全体または重み付けされた一部の測定結果に基づいて適正なX線線量が決定されているが、ユーザが実際の画像内容に関して画像内の何を見ることに関心があるかについては無視されている。さらに、現行の方式では、固定された関心領域であって、被検体の解剖学的構造またはその構造中の関心対象に関係のあるものを含むまたは全く含まない固定された関心領域が用いられている。一般に、X線画像が撮影される人体の部位には、他の小部位と混ざり合った複数の小部位が存在しており、各部位は隣接部位とは異なる強度レベルを有している。このようなことから、選択されたX線線量が、ユーザが高画質で観察したいと考える特定の部位の表示に適した線量ではない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6990171号明細書
【特許文献2】米国特許第7725163号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0014586号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2018/0338742号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、より適切なX線線量を設定することを可能にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の線量調整方法は、被検体の部位を撮像して当該部位のX線画像を取得し、前記X線画像に関連する関心領域のリストを作成し、前記関心領域のリストに対応する画素の測定範囲のリストを作成し、前記測定範囲のリストから測定範囲を選択するインタフェースをユーザに提示し、選択された測定範囲に基づいて前記被検体の部位にX線を照射する際のX線線量を決定し、決定した線量のX線を前記被検体の部位に照射すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るフォトン計数型X線CT装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、本実施形態に係る関心領域を選択するための選択メニューを模式的に示す図である。
【
図3B】
図3Bは、本実施形態に係る関心領域を選択するための選択メニューを模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るユーザによって選択された特定の関心領域に適正なX線線量を割り振るプロセスの諸ステップを示すブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、本実施形態に係る選択された関心領域を含むX線画像を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、本実施形態に係る選択された関心領域を含むX線画像を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るインタフェースフローチャートである。
【
図7】
図7は、他の実施形態に係るインタフェースフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書全体にわたって「ある実施形態」または「一実施形態」との表現は、その実施形態に関連して述べた特定の特徴、構造、材料、または性質が本出願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味し、それらが全ての実施形態に含まれていることを意味するものではない。
【0010】
したがって、本明細書全体にわたって様々な箇所に出現する「ある実施形態において」または「一実施形態において」とのフレーズは、必ずしも本出願の同一の実施形態を指すものではない。さらに、前記特定の特徴、構造、材料、または性質は、1つ以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせることができる。
【0011】
また、本出願は、添付図面に付随した以下の説明によってより十分に理解されるが、以下の説明に限定されるものではない。
【0012】
本実施形態は、複数の関心領域または関心対象であって、それら関心領域または関心対象からユーザが主要な関心領域または関心対象を選択することができる、複数の関心領域または関心対象をX線画像内に表示することができるシステムと方法とを提供する。該複数の領域または対象の識別は、例えば神経回路網を用いたシステムにより行われる。それら領域または対象が識別されると、システムはユーザに所望の領域または対象を選択させ、選択された領域または対象に適したX線線量を設定する。なお、関心対象は、対象そのものであり、関心領域は、画像において対象に対応する領域である。
【0013】
本実施形態に係るX線システム及び線量調整方法は、X線により撮像する医用画像診断装置に適用可能である。以下、具体的な例について説明する。
【0014】
本実施形態の動作環境はコンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)システムとの関連で説明できる。また、本実施形態はX線の検出と変換との関連で説明できる。しかし、当業者に明らかなように、本実施形態は他の高周波電磁エネルギーの検出と変換に対しても同様に適用可能であり、さらに多様なCTシステムに等しく適用可能なものである。すなわち、本実施形態は、エネルギー統合型CT検出器システム、光子計数型(Photon Counting:PC)CT検出器システム、および/または光子エネルギー識別(Photon Energy Discriminating:ED)型CT検出器システムにも適用可能なものになっている。
【0015】
図1は、フォトン計数型X線CT装置1の構成の一例を示す図である。
図1に示すとおり、フォトン計数型X線CT装置1はガントリ10と、寝台装置20と、コンソール30とを備えている。
【0016】
ガントリ10は、X線を被検体P(患者)に向けて出射して、被検体Pを透過したX線を検出し、検出結果をコンソール30に出力する装置であり、X線照射制御回路11と、X線発生装置12と、検出器13と、データ取得回路(データ取得システム(Data Acquisition System:DAS))14と、回転フレーム15と、ガントリ駆動回路16とを備えている。
【0017】
回転フレーム15は、被検体Pを挟んでX線発生装置12と検出器13とを対向するように支持して、かつガントリ駆動回路16によって被検体Pの周囲の円軌道上を高速回転させられる環状フレームである。
【0018】
X線照射制御回路11は、高電圧発生ユニットとして機能すると共に高電圧をX線管12aに供給する装置である。X線管12aは、X線照射制御回路11から供給された高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御回路11は、スキャン制御回路33の制御の下で、X線管12aに供給される管電圧または管電流を調整して、それにより被検体Pに向けて出射されるX線の量を調整する。
【0019】
また、X線照射制御回路11はウェッジ12bの切替えを行う。さらに、X線照射制御回路11はコリメータ12cの開口数を調整して、それによりX線の照射範囲(ファン角または円錐角)を調整する。また、複数の種類のウェッジが操作者によって手動で切替えられる場合もある。
【0020】
X線発生装置12はX線を発生してそのX線を被検体Pに向けて出射する装置であり、X線管12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを備えている。
【0021】
X線管12aは、X線照射制御回路11によって供給された高電圧を用いて被検体Pに向けてX線ビームを出射する真空管であり、回転フレーム15の回転に伴って被検体Pに向けてX線ビームを出射する。X線管12aは、ファン角と円錐角とを有して広がるX線ビームを発生する。例えば、X線管12aは、X線照射制御回路11の制御の下で、被検体Pの周囲全体にX線を連続出射してフル再構成が行われるようにする、あるいはハーフ再構成を行い得る出射範囲(180°+ファン角)内でX線を連続出射してハーフ再構成を可能にすることもできる。さらに、X線管12aは、X線照射制御回路11の制御の下で、あらかじめ設定された位置(管位置)でX線を断続出射する(パルスX線)ことができる。さらに、X線照射制御回路11は、X線管12aから出射されたX線の強度を変化させることができる。例えば、X線照射制御回路11は、特定の管位置でX線管12aから出射されたX線の強度を高め、その特定の管位置以外の領域ではX線管12aから出射されたX線の強度を弱める。
【0022】
ウェッジ12bは、X線管12aから出射されたX線のX線量を調整するX線フィルタである。具体的には、ウェッジ12bは、X線管12aから出射されたX線を透過および減衰させて、X線管12aから被検体Pに向けて出射されたX線が所定の分布を示すようにするフィルタである。例えば、ウェッジ12bは、所定のターゲット角または所定の厚さを有するようにアルミニウムを加工することによって得られるフィルタである。ウェッジはウェッジフィルタまたはボウタイ型フィルタとも呼ばれる。
【0023】
コリメータ12cは、X線照射制御回路11の制御の下で、ウェッジ12bによってX線量が調整された、X線の照射範囲を狭めるスリットである。
【0024】
検出器13は、X線光子が入射する度に信号を出力し、この信号を用いてX線光子のエネルギー値が計測される。X線光子は、例えば、X線管12aから出射されて被検体Pを透過したX線光子である。検出器13は、複数の検出素子であって、X線光子が入射する度に1パルスの電気信号(アナログ信号)を出力する検出素子を備えている。フォトン計数型X線CT装置1は、電気信号(パルス)の数を計数することで各検出素子に入射するX線光子の数を計数する。さらに、フォトン計数型X線CT装置1は上記信号に演算処理を施すことで信号出力の因となるX線光子のエネルギー値を計測する。
【0025】
DAS14は、検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。
【0026】
ガントリ駆動回路16は、回転フレーム15を回転駆動して、X線発生装置12と検出器13とが被検体Pの周囲の円軌道上を回転するようにする。
【0027】
寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、
図1に示すように、寝台駆動装置21と、天板22とを有する。寝台駆動装置21は、天板22をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム15内に移動させる。天板22は、被検体Pが載置される板である。
【0028】
コンソール30は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、ガントリ10によって収集された投影データを用いてCT画像データを再構成する装置である。コンソール30は、
図1に示すように、入力インタフェース31と、ディスプレイ32と、スキャン制御回路33と、前処理回路34と、メモリ35と、画像再構成回路36と、処理回路37とを有する。
【0029】
入力インタフェース31は、X線CT装置1の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路37に転送する。
【0030】
ディスプレイ32は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路37による制御のもと、CT画像データから生成されたCT画像を操作者に表示したり、入力インタフェース31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
【0031】
スキャン制御回路33は、処理回路37による制御のもと、X線照射制御回路11、ガントリ駆動回路16、DAS14及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、ガントリ10における投影データの収集処理を制御する。
【0032】
前処理回路34は、DAS14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。
【0033】
メモリ35は、前処理回路34により生成された投影データを記憶する。
【0034】
画像再構成回路36は、メモリ35が記憶する投影データを用いてCT画像データを再構成する。
【0035】
処理回路37は、ガントリ10、寝台装置20及びコンソール30の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。また、処理回路37は、以下で説明する種々の処理を実行することができる。
【0036】
また、本実施形態の動作環境は、X線診断装置との関連で説明することもできる。
図2は、本実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、X線診断装置2は、X線高電圧装置110と、X線管100と、X線絞り器120と、天板130と、Cアーム140と、X線検出器200と、メモリ150と、ディスプレイ160と、入力インタフェース170と、処理回路180とを備える。
【0037】
X線高電圧装置110は、処理回路180による制御の下、X線管100に高電圧を印加する。
【0038】
X線管100は、X線高電圧装置110から印加される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。
【0039】
X線絞り器120は、X線管100により発生されたX線の照射範囲を絞り込むX線絞りと、X線管100から曝射されたX線を調節するフィルタとを有する。
【0040】
天板130は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。
【0041】
Cアーム140は、X線管100及びX線絞り器120と、X線検出器200とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。
【0042】
X線検出器200は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器200は、X線管100から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路180へと出力する。
【0043】
メモリ150は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子により実現される。メモリ150は、処理回路180による処理結果を記憶する。例えば、メモリ150は、処理回路180によって収集されたX線画像などの各種データを受け付けて記憶する。また、メモリ150は、処理回路180によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。
【0044】
ディスプレイ160は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ160は、処理回路180による制御の下、操作者の指示を受け付けるためのGUIや、各種のX線画像を表示する。また、ディスプレイ160は、処理回路180による処理結果を表示する。
【0045】
入力インタフェース170は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路180に出力する。例えば、入力インタフェース170は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース170は、装置本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース170は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路180へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース170の例に含まれる。
【0046】
処理回路180は、X線診断装置2全体の動作を制御する。また、処理回路180は、メモリ150に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、以下で説明する種々の機能として機能する。以下、処理回路180によって実行される各種機能について説明する。
【0047】
一実施形態では、まず、ユーザは、画像の内容に関する情報であって、当該情報によりX線線量の選択が影響を受ける情報が提供される。次いで、ユーザは、画像中に存在することが検出された複数の対象から主要な関心領域(Region Of Interest:ROI)を選択するインタフェース(フィードバック機構)が提供される。次いで、ユーザは、複数の対象からターゲットとする対象を選択することにより線量調整の設定の際に考慮される新しい計測領域(すなわち、一連の画素)を作成することができる。すなわち、処理回路180は、ユーザに対してターゲットを選択するインタフェース(関心対象のリスト)を提示し、選択された関心領域に応じて、計測領域を作成する。なお、本実施形態は、CT画像及びX線画像に対して適用可能である。また、本実施形態は、撮影画像、透視画像、3次元画像、及び、2次元画像の各種画像に対して適用可能である。
【0048】
ここで、一実施形態において、関心対象のリストが、対象検出、ローカライゼーション、セグメンテーション、または(神経回路網を含む)追跡処理から、あるいは(対象検出における深層学習ベースの手法の1つである)You Only Look Once(YOLO)処理から作成される。
【0049】
上記した対象検出においては、対象は画像シーケンスまたはビデオシーケンスにて識別される。対象は、一部が視界から遮られた場合でも認識できる。このタスクは未だコンピュータビジョンシステムにおける課題である。このタスクに対して、エッジ検出や、外観ベースの方法や、特徴ベースの方法などの多くの手法を有効活用することができる。特徴ベースの手法では、画像における画像特徴に対して対象(デバイス又は被検体の部位)を対応付けた情報が使用される。通常、対象検出法として機械学習ベースの手法または深層学習ベースの手法のいずれかが用いられる。機械学習ベースの手法または深層学習ベースの手法では、複数種類の対象を検出可能なトレーニング済みのモデルが使用される。
【0050】
上記した画像セグメンテーションにおいて、画像は、同質性基準に基づいて複数の領域に分割される。医用イメージングでは、多くの場合これらのセグメントは種々の組織種別、器官、病理、または他の生物学関連の構造に対応している。形状ベースのセグメンテーション、画像ベースのセグメンテーション、インタラクティブ画像セグメンテーション、および主観的表面セグメンテーションなどの種々の手法が、画像セグメンテーションのために開発されている。
【0051】
上記した関心対象のリストは、線量調整のための測定範囲を設定するために現在使用されている対象に関する表示と共に、X線画像と同時に表示される。なお、必要に応じて、対象に対応する測定範囲が一時的または永続的に画像に表示される。測定範囲を含む複数の画素が、対象検出、ローカライゼーション、セグメンテーション、または追跡処理によって決定される。通常、測定範囲は全てのROIを含むように設定されるが、これに限定されない。
【0052】
通常、測定範囲は関心領域とは異なる。しかしながら、測定範囲と関心領域とが同一の画素で構成された場合でも、測定範囲における各画素は重要度に基づいて重み付けされる。また、測定範囲の画素は、その画素がどれくらいの頻度でまたはどれだけ直近に測定範囲に寄与したかによっても重み付けされる。
【0053】
画像中の対象とは画像中の領域すなわち「ゾーン」であり、全体的な強度レベルが他の画像ゾーン(領域)とは異なる領域(ゾーン)のことである。例えば、冠動脈造影図において、脊柱と横隔膜とを含むゾーンを低い強度レベルによって画定し、別のゾーン(例えば、心臓)を中間の強度レベルによって画定し、さらに別のゾーン(例えば、肺)を高い強度レベルによって画定することができる。上記ゾーンは、機械学習(ML)プロセスによって決定された輪郭部分、または境界ボックス、または他の定型化された関心領域からなる。各ゾーンは、一次画像にオーバレイされるか、または別のグラフィック描写により表示される。
【0054】
測定範囲の寸法は、ROIの領域における対象の存在(または非存在)に基づいてROIから導かれる。測定範囲は、当該測定範囲に含まれる対象に応じて大小いずれかのマージンを有する。マージンの大きさは、絶対値(例えば、ミリメータなど)または相対値(例えば、測定範囲に含まれた対象と比べての値)のいずれかで規定される。以下にマージンに関する種々の例を示す。
【0055】
ガイドワイヤは非常に小さく、かつ、頻繁に動きやすいため、ガイドワイヤを含む測定範囲は通常かなり大きいマージンを有する。例えば、大きいマージンの場合、測定範囲の正確な決定に影響を与えることなく上記動きを許容することができる。
【0056】
ステントを含む測定範囲は、通常、ステントの周囲にステント自体の大きさにほぼ等しいマージンを有する。一般にステントは一度配置されると被検体内で動き回ることがないため、ステントに隣接した画像情報が不安定になることはない。
【0057】
脊柱は安定でかつそれだけで十分信頼性のある大きさの測定範囲をもたらすサイズを有しているので、脊柱の部位を含む測定範囲における脊柱の周囲のマージンは通常比較的小さい。
【0058】
埋込みデバイス(例えば、心臓ペースメーカーの電池、人工股関節、歯科用ワークなど)を含む測定範囲は、通常、ほとんどまたは全くマージンを有さない。これは、この埋込みデバイスが、ごく近傍の測定範囲を含む線量計算に影響を与えないことが一般に望まれるためである。
【0059】
周期的動作が存在する心臓の画像では、特定の対象の周囲の小さい測定範囲がフレームごとに画像の周囲を動く。この場合、測定範囲は、線量を安定に保つために、複数の画像からの測定範囲を集積したものになる。
【0060】
ユーザは、限定はしないが、マウス、ジョイスティック、ジョグホイール、タッチパネル、または音声制御などの入力インタフェースを用いて、現在の主要な関心対象(または関心領域)の選択を変更することができる。新しい主要な関心対象(または関心領域)が選択されると、新しい測定範囲についての対象追跡プロセスがクエリされる。新しい主要な関心対象(または関心領域)が選択されたことがユーザに示され、次いで新しい測定範囲がX線線量調整プロセスに与えられて、選択された新しい関心対象(または関心領域)に対する適正なX線線量が決定される。
【0061】
ユーザは、必要に応じて手動で関心対象(または関心領域)を選択することができる。この場合の関心対象(または関心領域)は、タブレットに表示された静止画フレームまたはライブシーケンスからテーブルサイドに選択される(ユーザは提示された画像に対してジェスチャ入力やROI選択を行うことができる)。
【0062】
例えば、ROIは(ドロップダウンメニューまたは一連の無線ボタンなどの)メニューを介して名称によって選択することができる(
図3A、3B参照)。あるいは、ROIがタッチパッドに表示されてユーザがいずれか1つを選択することができる。
【0063】
図4は、ユーザによって選択された特定のROIに適正なX線線量を割り振るプロセスの一実施形態における諸ステップを示すブロック図である。
図4においては、破線は測定範囲を示し、実線は画像データと制御情報とを示す。まず、X線管100が、被検体における対象にX線を照射すると、X線検出器200を介して画像300が表示される。また、画像300に基づいて、MLプロセス400を用いてROIと対応する各測定範囲とのリスト500、すなわち画像300内の特定のROIの輪郭が形成される。次いで、ユーザは、ユーザインタフェース(UI)600を介して、特定のROIの測定範囲を選択し、ディスプレイ700が、特定の選択されたROIがユーザによって視認されやすいように輪郭付けされた画像800を表示する。例えば、画像800において、関心領域(関心対象)が右冠動脈(RCA)であり、RCAに対応する測定範囲が白い曲線によって表示される。ROIが選択されると、その情報が線量調整ユニット900に送られる。線量調整ユニット900は、X線線量を特定のROIに対応するように設定し、その情報をX線発生器1000に送って調整済みのX線が対象に照射されるようにする。例えば、線量調整ユニット900は、測定範囲における画素値の統計値に基づいて、X線線量を調整する。なお、
図4における機械学習プロセス400による輪郭形成、ユーザインタフェース600及び画像800の表示、および、線量調整ユニット900によるX線線量の制御は、処理回路180によって、それぞれ実行される。また、X線発生器1000は、X線高電圧装置110に対応する。
【0064】
以下、X線画像中の特定のROIの選択の一例を、
図5A及び
図5Bに示す。
図5A及び
図5Bは人体の同じ領域からのX線画像を示している。
図5Aに、特定のROIに対応する測定範囲(白輪郭)、すなわち右冠動脈(Right Coronary Artery:RCA)、をX線画像に重畳して示す。
図5Bに、特定のROIに対応する測定範囲(白輪郭)、すなわち脊柱、をX線画像に重畳して示す。画面の右上隅のインジケータが、選択されたROI、すなわちRCAまたは脊柱の固有情報をユーザに示している。ユーザが一方のROIを選択し、線量調整ユニット900がX線発生器1000に該情報を送ると、X線発生器1000が選択されたROI、すなわちRCAまたは脊柱、に対する適切なX線線量を選択する。これにより、特定のROI、すなわちRCA(
図5A)または脊柱(
図5B)に対して最良の視認性を有するX線画像が形成される。
【0065】
図7のインタフェースフローチャートに示すように、本実施形態では、処理回路が画像源から画像データを受け取って、その画像に関連する情報、すなわち測定範囲のリストを作成する。なお、画像源は処理回路から画像のクエリを受け取る。
【0066】
別の実施形態では、現在取得している画像内に存在すると予想される対象の構成リストから、関心対象のリストが作成される。具体的には、ターゲット対象のリストが選択される。このリストは、診療記録中の同一ユーザまたは他のユーザの医用画像の稠密なデータベースからユーザにより選択される。
【0067】
画像内容は、例えば、検査種別(例えば、心臓カテーテル、電気生理学、神経、腹部など)、被検体の性別、または以前の検査記録(例えば、デバイスの埋込みや血管移植を示す記録など)から推察することができる。検査種別では、例えば、下記のようにROIが示される。
【0068】
(1)心臓
冠状動脈
右冠動脈
回旋動脈
左前下行枝
下行後動脈
冠動脈ステント
カテーテル
ガイドワイヤ
椎骨
横隔膜
【0069】
(2)電気生理学
(心臓と同一)
アブレーションカテーテル
ペースメーカー
【0070】
(3)神経
頚動脈
大脳動脈
椎骨動脈
動脈瘤コイル
【0071】
(4)腹部
カテーテル
ガイドワイヤ
大動脈
肋骨
横隔膜
脊柱
ステント
腎動脈
腸間膜動脈
肝動脈
【0072】
次いで、選択されたターゲット対象に基づいて、ROIが、例えば機械学習を介して検出され、検出されたROIに基づく画素の測定範囲が、例えば機械学習プロセスを介して決定される。最後に、決定された測定範囲に基づいて、選択されたターゲット対象に対応する被検体の身体の部位を照射するX線の線量が調整される。
【0073】
図6のインタフェースフローチャートに示すように、本実施形態では、ユーザインタフェースが処理回路にユーザ情報(例えば、被検体識別子)を送り、処理回路がその被検体IDに関するROIのデータベースを検索する。被検体に関する情報(例えば、1.位置xに存在するステント、または、2.位置yに存在する心臓弁など)が処理回路に送られ、処理回路は、位置xのステントまたは位置yの心臓弁に輪郭が付けられた測定範囲のリストを作成する。
【0074】
本提示の実施形態のシステムは血管造影X線システムに配置されるものであるが、他のX線の用途にも有効なものである。以上示した構成要素間の接続は現行の同様のシステムに備わる接続と同様であるが、他のハードウェアまたはソフトウェアベースの接続にも適応し得るものである。
【0075】
このシステムの利点として、X線線量調整のための関心領域が、任意の領域のヒストグラム解析を用いてではなく、画像内容に基づいて決定されるという点が挙げられる。この方式により、X線線量を視野内の所望の対象または領域の可視化に最適なものにすることができる。
【0076】
本記載の種々の実施形態により、X線画像内の特定のROIを決定および選択して該特定のROIに対するX線線量を調整する方法が提供される。
【0077】
一実施形態によれば、被検体の身体の部位にX線が照射されてその部位のX線画像が取得され、次いでそのX線画像からROIのリストが作成され、次いで作成されたROIのリストに対応する画素の測定範囲のリストが作成および選択され、選択された測定範囲に基づいて被検体の当該身体の部位にX線を照射する際の線量が調整される。
【0078】
一実施形態によれば、ROIのリストの作成は機械学習プロセスを介して行われる。
【0079】
別の実施形態によれば、ROIのリストの作成はX線画像中に存在する対象についての所定の知識に基づいて行われる。
【0080】
さらに別の実施形態によれば、ROIのリストの作成は、診療記録中に存在するターゲット対象および/またはユーザによって選択されたターゲット対象のリストに基づいて行われる。
【0081】
一実施形態によれば、画素の測定範囲のリストの作成は機械学習プロセスに基づいて行われる。
【0082】
本記載の種々の実施形態により、X線画像内の特定のROIを決定および選択して該特定のROIに対するX線線量を調整するシステムが提供される。
【0083】
一実施形態によれば、本システムは、被検体の身体の部位を照射してその部位のX線画像を取得するX線管と、X線画像からのROIのリストを作成し、作成されたROIのリストに対応する画素の測定範囲のリストを作成し、選択された測定範囲に基づいて被検体の当該身体の部位にX線を照射する際のX線線量を調整するように構成された処理回路とを備えている。
【0084】
さらに本開示の実施形態は、以下の付記に記載するようなものであってもよい。
【0085】
(1)イメージングパラメータを調整する方法であって、被検体の身体の部位をイメージング(照射)してその部位の画像を取得することと、その画像に関連する(その画像から)関心領域(ROI)のリストを作成することと、作成されたROIのリストに対応する画素の測定範囲のリストを作成することと、作成された測定範囲のリストから測定範囲を選択するフィードバック機構をユーザに与えることと、選択された測定範囲に基づいて被検体の当該身体の部位にX線を照射する際のX線線量を調整(決定)することと、調整(決定)された線量のX線を被検体の当該身体の部位に照射することと、を含む方法。
【0086】
(2)ROIのリストの作成は、機械学習プロセスを介して行われる、(1)の方法。
【0087】
(3)ROIのリストの作成は、画像中に存在する対象についての所定の知識に基づいて行われる、(1)の方法。
【0088】
(4)ROIのリストは、線量調整のための測定範囲を設定するために現在使用されているROIに関する表示と共に、画像と同時に示される、(1)-(3)のいずれか1つの方法。
【0089】
(5)特定のROIに対応する測定範囲が一時的または永続的に画像上に表示される、(1)-(4)のいずれか1つの方法。
【0090】
(6)ユーザは、マウス、ジョイスティック、ジョグホイール、タッチパネル、または音声制御などの入力装置を用いて、現在のROIの選択を変更する、(1)-(5)のいずれか1つの方法。
【0091】
(7)機械学習プロセスは、対象検出、ローカライゼーション、セグメンテーション、または追跡処理である、(2)の方法。
【0092】
(8)画素の測定範囲のリストの作成が機械学習プロセスに基づいて行われる、(2)の方法。
【0093】
(9)前記方法はさらに、ユーザによる新しいROIの選択に応じて新しいX線の調整(決定)を決定するために、新たな対応する測定範囲を決定することを含む、(6)の方法。
【0094】
(10)ROIはメニューを介して名称によって選択される、(4)の方法。
【0095】
(11)特定のROIに対応する画素の測定範囲の寸法は、その特定のROI内に存在する対象の種類に基づくものである、(1)-(10)のいずれか1つの方法。
【0096】
(12)被検体の身体の部位のイメージングは、その部位を照射して該部位のX線画像を取得することを含む、(1)-(11)のいずれか1つの方法。
【0097】
(13)X線画像中の特定の関心領域(ROI)を決定および選択して、該特定のROIに対するX線線量を調整するシステムであって、被検体の身体の部位を照射してその部位のX線画像を取得するX線管と、回路であって、そのX線画像から(そのX線画像に関連する)ROIのリストを作成し、作成されたROIのリストに対応する画素の測定範囲のリストを作成し、作成された測定範囲のリストから測定範囲を選択するフィードバック機構をユーザに与え、選択された測定範囲に基づいて被検体の当該身体の部位にX線を照射する際のX線線量を調整するように構成された回路と、を備え、X線管は調整された線量のX線を被検体の当該身体の部位に照射する、システム。
【0098】
(14)前記回路は機械学習プロセスを介してROIのリストの作成を行う、(13)のシステム。
【0099】
(15)前記回路は、X線画像中に存在する対象についての所定の知識に基づいてROIのリストを作成する、(13)のシステム。
【0100】
(16)ROIのリストは、線量調整のための測定範囲を設定するために現在使用されているROIに関する表示と共に、X線画像と同時に示される、(13)-(15)のいずれか1つのシステム。
【0101】
(17)特定のROIに対応する測定範囲が一時的または永続的にX線画像に表示される、(13)-(16)のいずれか1つのシステム。
【0102】
(18)ユーザは、マウス、ジョイスティック、ジョグホイール、タッチパネル、または音声制御などの、入力装置を用いて、現在のROIの選択を変更する、(13)-(17)のいずれか1つのシステム。
【0103】
(19)機械学習プロセスは、対象検出、ローカライゼーション、セグメンテーション、または追跡処理である、(14)のシステム。
【0104】
(20)前記回路は、機械学習プロセスに基づいて測定範囲のリストの作成を行う、(14)のシステム。
【0105】
(21)前記回路はさらに、ユーザによる新しいROIの選択に応じて新しいX線調整を決定するための、新たな対応する測定範囲を決定する、(16)のシステム。
【0106】
(22)ROIはメニューを介して名称によって選択される、(16)のシステム。
【0107】
(23)画像中の特定の関心領域(ROI)を決定および選択して、該特定ROIに対するX線線量を調整してイメージングパラメータを調整する方法であって、ターゲット対象を選択する操作を受け付けることと、被検体の身体の部位を照射(イメージング)してその部位の画像を取得することと、取得された画像から(画像に関連する)ターゲット対象に対応する関心領域(ROI)を検出(決定)することと、検出されたROIに基づいて画素の測定範囲を作成することと、作成された測定範囲に基づいて被検体の当該身体の部位にX線を照射する際のX線線量を調整(決定)することと、調整(決定)された線量のX線を被検体の当該身体の部位に照射することと、を含む方法。
【0108】
(24)ROIのリストは、線量の調整(決定)のための測定範囲を設定するために現在使用されているROIに関する表示と共に、画像と同時に示される、(23)の方法。
【0109】
(25)特定のROIに対応する測定範囲が一時的または永続的に画像上に表示される、(23)または(24)のいずれかの方法。
【0110】
(26)ユーザは、マウス、ジョイスティック、ジョグホイール、タッチパネル、または音声制御などの、入力装置を用いて、現在のROIの選択を変更する、(23)-(25)のいずれか1つの方法。
【0111】
(27)前記方法はさらに、ユーザによる新しいROIの選択に応じて新しいX線調整を決定するための、新たな対応する測定範囲を決定することを含む、(26)の方法。
【0112】
(28)ROIはメニューを介して名称によって選択される、(24)の方法。
【0113】
(29)ターゲット対象はユーザによって選択および/または診療記録から選択される、(23)の方法。
【0114】
(30)X線線量の調整(決定)はさらに、作成された測定範囲に関連する選択されたターゲット対象に基づいている、(23)の方法。
【0115】
(31)ROIの検出は機械学習プロセスを介して行われる、(23)の方法。
【0116】
(32)画素の測定範囲の作成は機械学習プロセスに基づいて行われる、(31)の方法。
【0117】
(33)特定のROIに対応する画素の測定範囲の寸法は、その特定のROI内に存在する対象の種類に基づいている、(23)の方法。
【0118】
(34)被検体の身体の部位のイメージングは、その部位を照射して該部位のX線画像を取得することを含む、(23)の方法。
【0119】
上記したように、実施形態によれば、より適切なX線線量を設定することを可能にする。
【0120】
ここに示した実施形態の多くの修正および変更を以上の知見を踏まえて行うことができる。したがって、本請求の範囲の範囲内で、本明細書で具体的に述べた以外の方法で本開示を実施可能なことは明らかである。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。