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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145516
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/40 20060101AFI20220926BHJP
   B21D 51/26 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B23B31/40
B21D51/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017051
(22)【出願日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】21163197
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520227776
【氏名又は名称】ヒンターコプフ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】カルステン・ブレヒリング
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ヴァイベル
(72)【発明者】
【氏名】アーントル・ミクローシュ・シュティクス
【テーマコード(参考)】
3C032
【Fターム(参考)】
3C032MM03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】均一な面圧でエアロゾル容器素材を把持する把持装置を提供する。
【解決手段】形状安定性の材料から製造され、中心軸線(12)に沿った孔(14)が貫通する、ベース本体(3)を有する、薄肉エアロゾル容器素材を把持する為の把持装置(1)に関し、穿孔部(14)の内側の面は、半径方向において外側へ延在する周溝(5)と、周溝(5)内に収容され、ゴム弾性材料から製造されている把持リング(4)とが、設けられていて、この把持リングは、半径方向内側にある把持面及び半径方向外側にある作用面を有する。作用面は、周溝(5)に、互いに対向する軸方向の面(34)と周溝(5)の半径方向外側周面(44)とを有すると共に、流体作業チャンバ(45)を区切る。把持リング(4)には、作用面に隣接して、円周方向に一体成形されている密閉輪郭部が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状安定性の材料から製造され、中心軸線(12)に沿った孔(14)が貫通する、ベース本体(3;81;98)を有する、薄肉エアロゾル容器素材を把持する為の把持装置(1;71;91)であって、
穿孔部(14)の内側の面には、
半径方向において外側へ延在する周溝(5;87;99)と、周溝(5; 87; 99)内に収容され、ゴム弾性材料から製造されている把持リング(4;72;72)とが、
設けられていて、
この把持リングは、エアロゾル容器素材(2)に当接する為の半径方向内側にある把持面(19;86;102)及び半径方向外側にある作用面(20;74;94)を有し、
作用面(20;74;94)は、周溝(5;87;99)に、互いに対向する軸方向の面(34)と周溝(5; 87; 99)の半径方向外側周面(44)とを有すると共に、流体作業チャンバ(45; 84; 100)、特に圧縮空気作業チャンバを区切る、
当該把持リング(1;71;91)において、
把持リング(4;72;72)には、作用面(20;74;94)に隣接して、円周方向に一体成形されている密閉輪郭部(43;88;103)が形成されている、
ことを特徴とする把持リング(1;71;91)。
【請求項2】
密閉輪郭部(43; 88; 103)は、対称面(16; 75; 95)に対して対称に配置されている2つの輪郭領域(17; 76; 97)を有し、その際、対称面(16; 75; 95)は、中心軸線(12)に対して横方向に配向されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の把持装置(1;71;91)。
【請求項3】
作用面(20)は、軸方向において把持面(19)よりも大きい延在部を有し、及び
中心軸線(12)に沿って把持面(19)を越えて突出する作用面(20)の部分領域は、輪郭領域(17)と共に中心軸線(12)に対して同軸に形成されている環状部分を形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の把持装置(1)。
【請求項4】
輪郭領域(17)は、半径方向において内向きの少なくとも1つの密閉面(26、27)を有し、この密閉面は、半径方向に外向きの、特に円筒形の、ベース本体(3)の支持面(36、38)に密閉して当接する為に形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の把持装置(1)。
【請求項5】
輪郭領域(17)は、第1の内径(28)を有する、半径方向において内向きの第1の密閉面(26)と、第2の内径(29)を有する、半径方向において内向きの第2の密閉面(27)とを有し、その際、第1の内径(28)は、第2の内径(29)よりも大きく、及び
ベース本体(3;81;98)には、第1の密閉面(26)に対向する半径方向に外向きの第1の支持面(36)と、第2の密閉面(27)に対向する半径方向に外向きの第2の支持面(38)とが形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の把持装置(1)。
【請求項6】
第1の密閉面(26)の軸方向の延在部(31)は、第1の支持面(36)の軸方向の延在部(35)よりも大きく、及び/又は
第2の密閉面(27)の軸方向の延在部(32)は、第2の支持面(38)の軸方向の延在部(37)よりも小さい、
ことを特徴とする請求項5に記載の把持装置(1)。
【請求項7】
周溝(5)の互いに対向する軸方向面(34)の間隔(33)が、
把持リング(4;72;72)の、互いに反対側に向いて把持面(19)に隣接し、軸方向面にそれぞれ対向する軸方向リング面からの間隔(30)より大きい、
ことを特徴とする請求項3から6の何れか一項に記載の把持リング(1)。
【請求項8】
各々の輪郭領域(76)は、作用面(74)から始まって半径方向で外側に延びる拡張リング(77)と、拡張リング(77)の半径方向で外側に配置されている保持リング(78)とを有し、
拡張リング(77)と保持リング(78)は、中心軸線(12)に対して同軸に配置されていて、
中心軸(12)に沿った拡張リング(77)の延在部が、保持リング(78)の延長部の50パーセント未満であり、
保持リング(78)が、ベース本体(81)の半径方向で外側に面する支持面(82、83)に、少なくとも部分的に当接し、特に、ベース本体(81)に固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の把持装置(71)。
【請求項9】
拡張リング(77)と保持リング(78)で形成されている輪郭領域(76)は、中心軸線(12)を含む断面平面内において、T字型輪郭部を有し、及び/又は
輪郭領域(76)は、ベース本体(81)の周溝(87)内に収容され、この周溝は、中心軸線(12)を含む断面平面内において、T字型輪郭部を有し、且つ中心軸線(12)に沿って互いに離間して配置されていて、半径方向に外向きで、支持リング(78)の、半径方向に内向きで円筒形の支持面(79、80)のかみ合い係合式に当接するための円筒形の2つの支持面(82、83)を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の把持装置(71)。
【請求項10】
中心軸線(12)を含む断面平面内の輪郭領域(97)が、半径方向において外側へくさび形に先細って形成されていて、及び
把持リング(92)内において、半径方向内側へ加工されている、特に、半円形上の輪郭である溝(96)が、作用面(94)から分離されていて、及び
対向する周溝(99)の軸方向面にシール係合する為に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の把持装置(91)。
【請求項11】
ベース本体(3; 81; 98)は、好ましくは中心軸線に対して回転対称に形成されているインターフェース部(55)を有し、このインターフェース部は、加工機、特に吸い込み機の工作物回転テーブルに収容部と連結するために形成されている、
ことを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の把持装置(1;71;91)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状安定性の材料から製造され、中心軸線に沿った孔が貫通するベース本体を有する、薄肉エアロゾル容器素材を把持する為の把持装置に関するものであって、その際、穿孔部の内側の面は、半径方向において外側へ延在する周溝と、並びに周溝内に収容されていて、ゴム弾性材料から製造されている把持リングとを備えていて、この把持リングは、エアロゾル容器素材に当接する為の半径方向内側にある把持面及び半径方向外側にある作用面を有し、その際、作用面は、周溝の互いに対向する軸方向の面と周溝の半径方向外側周面とを有すると共に、流体作業チャンバ、特に圧縮空気作業チャンバを区切るものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(JPH0919731A)では、ある容器保持要素が知られている。この容器保持要素の場合、ベース本体が、リング状の溝部が内周に設けられていて、このリング状の溝部には、容器保持部材が収容されていて、この容器保持部材は弾性のある材質から製造されていて、半径方向に移動自在であり、その際、容器保持要素と溝部から区切られている通路内に空気を供給することによって、容器保持要素の外奥側は、容器の固定をもたらすために、半径方向の内側に作用する圧縮力が加えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-19731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、均一な面圧でエアロゾル容器素材を把持する把持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、把持リングにおいて、作用面に隣接して、円周方向に一体成形されている密閉輪郭部が形成されていることによって解決される。半径方向の溝内での把持リングのシールした収容が、密閉輪郭部によって保証され、従って、流体作動チャンバを区切ることが保証される。この場合、密閉面が脱落し得るので、把持リングの密閉輪郭部の一体成形に基づいて必要な密閉面の数を減らすことができることが有利であり、そうでなければ、この密閉面は、別個に形成されている密閉リングの場合、従来技術から分かるように、周溝と把持リングの間に設けなければならない。そのため、把持リングの作用面に作用する圧縮力の、一時的に固定すべきエアロゾル容器素材への有利な伝達を生じさせることが可能である。特に、把持リングが把持リングの輪郭部を、把持リングからエアロゾル容器素材の外側の面への所望の均一な力の伝達が保証されるように形成することができる。
【0006】
本発明の有利な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0007】
密閉輪郭部は、対称面に対して対称に配置されている2つの輪郭領域を有する場合に、機能的であり、その際、対称面は、中心軸線に対して横方向に配向されている。各々の輪郭領域は、ベース本体と把持リングとの間の所望の密閉効果を保証するため、少なくとも基本的には軸方向において配向されている、周溝の側面にシール方式で当接するよう形成されている。好ましくは、周溝の互いに対向した側面が互いに平行に配向されていて、且つそれぞれの輪郭領域がシール方式で当接し得る平坦なリング面として各々形成されていることが企図されている。
【0008】
好ましくは、作用面は、軸方向において把持面よりも大きい延在部を有し、及び中心軸線に沿って把持面を越えて突出する作用面の部分領域は、輪郭領域と共に中心軸線に対して同軸に形成されている環状部分を形成することが企図されている。一方では、把持リングのこのような形成では、把持面に対して拡大した作用面を、有利には圧縮力を把持面に導入するために使用される。他方では、軸方向において把持面を超えて突出する作業面のその部分領域は、圧縮力を伝達する為に、従って、それぞれの輪郭領域上へ、半径方向で内向きの力を導入するために使用されることを、企図することができる。
【0009】
本発明の発展形態では、輪郭領域は、半径方向において内向きの少なくとも1つの密閉面を有し、この密閉面は、半径方向に外向きの、特に円筒形の、ベース本体の支持面に密閉して当接する為に形成されていることが企図されている。この場合、それぞれの輪郭領域とベース本体との間の密閉効果は、半径方向において内向きに作用する圧縮力によって引き起こされることが有利である。これによって、密閉リングが大きな内径を有するエアロゾル容器素材のための解放位置と、密閉リングが小さな内径を有するエアロゾル容器素材のための閉塞位置との間の密閉リングの相対的な移動は、摩擦力によってごくわずかに影響を受けるか、又は好ましくは全く影響を受けない。むしろ、密閉リングは、解放位置から圧縮力の作用によって閉塞位置へ、少なくとも大部分が摩擦なしで移送可能であり、その際、ベース本体に対する密閉リングのための完全な密閉効果は、閉塞位置にのみ存在する。しかしながら、密閉リングを解放位置から閉塞位置に移送するために必要である少量の流体を考慮すると、これは実際には重要ではない。さらに、流体作動チャンバ内の流体圧力が、密閉リングが閉塞位置から解放位置へ弾性変形する初期に既に低下する場合、密閉リングの内向きの密封面とベース本体の外向きの支持面との間の密閉効果は、解除され、これによって、戻り変形に基づいて解放される密閉リングとベースベース本体の間の間隙を通って、流体作動チャンバからの作動流体のさらなる漏出が生じ得るので、密閉リングのこの形態によって、一種のバルブ機能が実現される。特に、このような挙動は、圧縮空気が作動流体として使用される場合に有利である。
【0010】
本発明のさらなる実施態様において、輪郭領域は、第1の内径を有する、半径方向において内向きの第1の密閉面と、第2の内径を有する、半径方向において内向きの第2の密閉面とを有し、その際、第1の内径は第2の内径よりも大きく、及びベース本体には、第1の密閉面に対向する半径方向に外向きの第1の支持面と、第2の密閉面に対向する半径方向に外向きの第2の支持面とが形成されていることが企図されている。これによって、流体作動チャンバが加圧された作動流体を受けるときに、密閉リングとベース本体との間に生じる密閉効果も、作動チャンバ内の作動流体に対する圧力が低下した場合の、密閉リングとベース本体との間で負担する密閉効果も、有利な方法であらかじめ設定することができる。例えば、流体作動チャンバを加圧する場合に密閉リングに対する開放位置から始まって、最初に、軸方向において把持面からより離れた位置に配置されている第2の密閉面が、対向して配置されている端面に接触し、一方、把持面からより近い距離に配置されている第1の密閉面は、流体作動チャンバが次第に増加する圧力を受けたときにのみ、対向して配置されている端面に接触することが、企図され得る。この場合、第2の密封面は、流体作動チャンバの一時的なシールを保証し、その際、把持面を含む密閉リングの中央領域の相対的な移動は、最初はまだ大きな影響を受けない。好ましくは、第一の密封面及びベース本体に対向する支持面、並びに把持面及び把持すべきエアロゾル容器素材は、把持面とエアロゾル容器素材との間の全把持面にわたって、可能な限り均一な面圧を保証するために、密閉リングがブロック位置に接近するとき、把持面に対して可能な限り小さな膨張だけを受けるように、互いに調整されている。
【0011】
好ましくは、第1の密閉面の軸方向の延在部は、第1の支持面の軸方向の延在部よりも大きく、及び/又は第2の密閉面の軸方向の延在部は、第2の支持面の軸方向の延在部よりも小さいことが企図されている。この処置は、密閉リングは、解放位置と閉塞位置との間で、及びこの逆でも、ほぼ摩擦なしで常に移動することができる、ことを保証するためである。
【0012】
周溝の互いに対向する軸方向面の間隔が、把持リングの、互いに反対側に向いて把持面に隣接し、軸方向面にそれぞれ対向する軸方向リング面からの間隔より大きい、場合に有利である。この処置により、密閉リングの、解放位置と閉塞位置との間での基本的には摩擦の無い相対的な移動が保証される。
【0013】
本発明の第1の代替的な実施形態では、各々の輪郭領域は、作用面から始まって半径方向で外側に延びる拡張リングと、半径方向で外側にあり、拡張リングに配置されている保持リングとを有し、拡張リングと保持リングは、中心軸線に対して同軸に配置されていて、中心軸に沿った拡張リングの延在部が、保持リングの延長部の50パーセント未満であり、保持リングが、ベース本体の半径方向で外側に面する支持面に、少なくとも部分的に当接し、特に、ベース本体に不動に固定されていることが企図されている。把持装置のこの実施形態では、把持リングが内側リングを有し、内側リングの内側の面が把持面を形成し、及び把持面の外側の面が作用面を形成することが企図されている。好ましくは、内側リングが、周溝の対向する軸方向面間の距離よりも小さい軸方向の延在部を有することが企図されている。一方では、ベース本体の内側リングの確実なセンタリングを保証するために、他方では、把持リングと周溝との間に必要なシールを保障するために、互いに離間して配置されている2つの膨張リングが作用面から延在する。この膨張リングは、それぞれ半径方向の外側に配置されている保持リングと接続されている。この場合、保持リングは、把持リングをベース本体に固定すること、並びに流体作動チャンバに対してシールすることを保証することが、企図されている。拡張リングは、(好ましくは不動で)ベース本体に固定されている保持リングと、ベース本体に対して相対的に移動可能に配置されている内側リングとの間の柔軟な結合に役立つ。
【0014】
本発明の第1の代替的な実施形態の発展形態では、拡張リングと保持リングから形成されている輪郭領域は、中心軸線を含む断面平面内においてT字型輪郭部を有し、及び/又は輪郭領域は、ベース本体の周溝内に収容され、この周溝は、中心軸線を含む断面平面内においてT字型輪郭部を有し、且つ中心軸線に沿って互いに離間して配置されていて、半径方向に外向きで、円筒形の2つの支持面を、支持リングの、半径方向に内向きで円筒形の支持面のかみ合い係合式に当接するために有することが企図されている。輪郭領域のT字型輪郭部およびベース本体内の周溝に対応するT字型輪郭部によって、信頼できるベース本体での把持リングの支持が保証される。これは、内側リングが膨張リングを介し、それぞれ対応づけられた保持リングに作用する引張力が、保持リングからベース本体の対向する円筒状支持面上に、少なくともほぼ対称に伝達することができるということに起因する。このようにして、特に、保持リングのL字型輪郭部で起こり得るように、非対称的に形成されている保持リングの望まれない傾きが回避される。
【0015】
本発明の代替的な第二の実施形態では、中心軸線を含む断面平面内の輪郭領域が、半径方向において外側へくさび形に先細って形成されていて、及び把持リング内において、半径方向内側へ加工されている、特に、半円形上の輪郭である溝によって、作用面から分離されていて、対向する周溝の軸方向面にシール係合する為に形成されていることが企図されている。この場合、輪郭領域は、内側リングで一体的に形成されていて、且つ流体作動チャンバに圧力が加えられると、半径方向外側にある端部領域の旋回運動をする、縁部密閉部によって形成され、これによって、それぞれ隣接して配置されている周溝の軸方向面への輪郭領域のシール係合が保証されている。輪郭領域に隣接して作動面内に作られた溝は、それぞれの輪郭領域が、把持装置を規定通りに使用する際、半径方向外側にある輪郭領域の端部領域に対する所望の旋回運動が、流体作動チャンバに対して信頼性のあるシール効果をもたらすように、作業面から外すという課題がある。
【0016】
本発明の全ての実施形態に対しては、ベース本体が、好ましくは中心軸に対して回転対称に形成されているインターフェース部を有し、この接点部分が、加工機、特に吸い込み機の加工物回転テーブルでの収容部と結合するために形成されているときに、有利である。
【0017】
本発明の有利な実施形態が、図に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】把持装置の第1の実施形態の概略断面図を示す。
図2】把持リングの輪郭部の詳細図を示す。
図3】把持装置の第2の実施形態の一部分の概略断面図を示す。
図4】把持装置の第3の実施形態の一部の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1で単に概略的に記載されている把持装置1の第1の実施形態は、概略的に且つ部分的にのみ記載されているエアロゾル容器素材2を一時的に固定するために用いられる。好ましくは、エアロゾル容器素材2は、片側に底部を設けた円筒状スリーブとしてアルミニウム合金で製造され、0.1mmを十分に下回る肉厚を有する。このようなエアロゾル容器素材2は、例えば吸い込み機上の開口端部領域で塑性変形される。その結果、塑性変形が完了した後に、(不図示の)スプレーバルブを取り付けることができる。吸い込み機上でこのような塑性変形プロセスを実施するためには、エアロゾル容器素材2が、加工中に発生する加工力で支持することができるようにするために、確実に固定することが必要である。モダンなエアロゾル容器素材2の極めてわずかな肉厚では、エアロゾル容器素材2と把持装置1との間の力の伝達が、エアロゾル容器素材2の崩壊を回避するために、可能な限りわずかな面圧で可能な限り大きい面積にわたって必要である。
【0020】
把持装置1は、単なる典型例として、複数の構成要素から構成されているベース本体3を備える。その際、以下で詳細に説明される、ベース本体3の構成要素は、把持装置1の意図した使い方の場合に、寸法的に安定である材料から製造されている。典型的には、鋼鉄及びアルミニウムのような金属材料、並びに例えばPOM(ポリオキシメチレン)又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような合成樹脂材料が、ベース本体3の構成要素に対して使用される。さらに、把持装置1は、例えばNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)などのゴム弾性材料から製造されている把持リング4を備え、この把持リング4はベース本体3に形成されている周溝5に収容されていて、及び加圧流体を周溝5に供給する場合、図1に示されている停止位置から、エアロゾル容器素材2の把持装置1内での固定が保証されている機能位置へ移行することができる。
【0021】
単なる典型例として、把持装置1のベース本体3は、結合部6と、中間リング7と、外輪8と、ガイドリング9と、底部リング10とを備える。この場合、中間リング7、ガイドリング9、底部リング及び把持リング4は、外輪8(この外輪8は、単なる典型例として、2つの取付ねじ11を介して結合部6に固定されている)を使って、それぞれ所定の位置で保持される、ことが企図されていて、その際、把持リング4が中間リング7、外輪8及びガイドリング9で区切られた周溝5内に、一定の移動性を伴って収容されている。結果的に、ベース本体3は、中心軸線12に沿って延在する凹部又はボア14を区切る。さらに、ベース本体3は、結合部6に形成されているインターフェース部55を備え、このインターフェース部55は、加工機、特に吸い込み機の(不図示の)工作物回転テーブルに把持装置を固定するために形成されている。
【0022】
図1の図から理解できるように、周溝5も把持リング4も、図1の表示面内と一致して、中心軸線12を含む断面平面内にそれぞれの輪郭部を有し、この輪郭部は、最も広い意味でW字型と描くことができる。ここで留意すべきは、把持リング4の輪郭部と周溝5の輪郭部が、少なくともほぼ幾何学的に同じように形成されていて、把持リング4の輪郭部と周溝5の輪郭部との間の幾何学的な違いは、以下で詳細に説明される。
【0023】
例えば、図2の詳細図による把持リング4は、鏡面16に対して鏡面対称に内側リング15に取り付けられていてL字型輪郭リング17を持つ矩形断面を有する内側リング15の結合体として形成ことができる。その際、把持リング4の輪郭領域でもある輪郭リング17は、それぞれ半径方向内側へL字型辺を有し、密閉輪郭部43を形成する。
【0024】
単なる典型例として、把持リング4に対する図1及び図2に示されているような解放位置においては、把持面とも呼ばれている把持リング4の内側の面19の内径18が、図1に略示されたエアロゾル容器素材2の外径60よりもわずかかに大きいことが、企図されている。これにより、エアロゾル容器素材2の把持リング4への押し込みは、後者がその解放位置にある場合には、ほとんど摩擦なしにできる。
【0025】
把持リング4の半径方向外側にある外側面20は、作用面とも呼ばれていて、図2に示されている外径21を有し、この外側面が、周溝55の周面44の第1の(小さい方の)内径22に相応する。好ましくは、円柱の側面としての外側面20が形成されている、ことが企図されている。周溝5の周面44の第2の内径23は、外側の面20の外径21よりも大きく、これによって把持リング4の開放位置にも周方向のリング溝24が、外側の面20と中間リング7の内側の面25との間で、空けてある。
【0026】
輪郭リング17の各々には、単なる典型例として円柱の形態で形成されている第1の密閉面26と、単なる典型例として円柱の形態で形成されている第2の密閉面27とが設けられている。その際、第1の密閉面26の第1の内径28は、第2の密閉面27の第2の内径29よりも大きいように選択されている。更に、図2の図から理解できるように、内側リング15は、軸方向延在部30を有する。第1の密閉面26は軸方向延在部31を有する。第2の密閉面27は、軸方向延在部32を有する。
【0027】
例えば、把持リング4の輪郭部に対して幾何学的に同じように形成されている周溝5は、半径方向において生じるベース本体3に対する把持リング4の相対移動中に、摩擦損失ができるだけ生じないように形成されていることが企図されている。これは、例えば、軸方向に配向し、かつ互いに対向してある中間リング7のリング表面34の間の距離33が、内側リング15の軸方向延在部30よりも大きいことによって、保証される。さらに、中間リング7もガイドリング9も同様に形成されている半径方向外向きの第1の支持面36の軸方向延長部35が、第1の密閉面26の軸方向延長部31よりも小さく選択されていることが企図されている。さらに、中間リング7もガイドリング9も同様に形成されている半径方向外向きの第2の支持面38の軸方向延在部37が、第1の密閉面27の軸方向延在部32よりも大きく選択されていることが企図されている。
【0028】
加えて、図1及び図2の図から理解できるように、中間リング7及びガイドリング9に同じように形成されている第1の支持面36の第1の外径40が、第1の密閉面26の第1の内径28よりも小さく選択されていることが企図されている。補足的又は代替的には、図1及び図2の図から理解できるように、中間リング7及びガイドリング9に同じように形成されている第2の支持面38の第2の外径41が、第2の密閉面27の第2の内径29よりも小さく選択されていることが企図されている。
【0029】
この処置により、周溝5と、作業面とも呼ばれる把持リング4の外側の面20とによって区切られる流体作業チャンバ45を作用させたときに、最初に、把持リング4の可能な限り摩擦の無い相対的な運動が、ベース本体3に対して生じ、この相対運動は、収縮運動でもあり、把持リング4の直径の縮小の際に生じることが意図される。この場合、把持リング4及び周溝5の幾何学的な形に基づき、ある程度の漏れが受け入れられることを考慮しなければならない。その結果、流体作動チャンバ45に流入する加圧された作動流体が少なくとも部分的に半径方向において内向きに流れる。しかしながら、原理的には、ある程度の漏れにもかかわらず、把持リング4の所望の半径方向の変位およびそれに伴う把持リング4の直径の減少が起こると仮定される。例えば、把持リング4と周溝5の幾何学的形状が、この縮径の過程で、まず先に、第2の密閉面27が第2の支持面38でシール係合するように、互いに調整されている。これによって、加圧された流体が半径方向において内側へ流出することを止める。内側リング15から第2の密閉面27の軸方向の分離に基づき、さらに流体作動チャンバ45での流体圧力が上昇すると、内側リング15の半径方向に内向きの変位が可能になり、把持面とも呼ばれる内側リング15の内側の面19に望ましくない膨らみが生じない。このように、内側の面19は、エアロゾル容器素材2の外側の面61と平面接触し、従って、エアロゾル容器素材2を把持装置1内において摩擦係合式に固定し得る。
【0030】
しかしながら、把持装置1におけるエアロゾル容器素材2の摩擦係合式のこの固定は、典型的には、エアロゾル容器素材2の底部領域62が底部リング10内で、摩擦係合式で収容されている時にのみ行われ、この底部リングが、単に典型例として、中間リング7内で回転可能に収容されていて、且つこの中間リング7が、詳細には図示されていない針状ころ軸受49を介して、結合部6の軸方向端部50で回転運動可能に支持されている。
【0031】
エアロゾル容器素材2を解放するために、流体作動チャンバ45内で減圧することが企図されている。この目的のために、流体作動チャンバ45と流体連通方式で接続されている(不図示の)換気弁が、加圧された作動流体、特に圧縮空気を流体作動チャンバ45から逃がすことを可能にするために、対応づけられた(同様に不図示の)制御装置によって作動されることが企図され得る。
【0032】
把持リング4のゴム弾性特性に基づいて、不図示の閉塞位置から図1と2における開放位置へ、把持リング4の弾性回復が起こり、この弾性回復は、把持リング4の直径増加をもたらす。従って、エアロゾル容器素材2との摩擦係合式の接続は、不図示の引き抜きツールによって把持装置1から取り外すことができるように解除される。特に有利には、把持リング4および周溝5のより詳細に上述した幾何学的な特性に基づき、流体作動チャンバ内の加圧された作動流体に対する圧力が減少すると、対応づけられた第2の支持面38から27へ、第2の密閉面を持ち上げ、追加の間隙が開放される。この間隙を通って、加圧された作動流体が、流体作動チャンバ45から半径方向で内側へ流出することができ、それによって、把持リング4の更に速い逆変形が可能になる。
【0033】
図1による把持装置の詳細には示されていない発展形態では、把持リング4に対する回転止めを保証する為に、外側リングと接続されているピンが係合する少なくとも一つの半径方向に内向きの凹部が、把持リング4の外側面に形成されていることが企図されている。
【0034】
なお、図1による把持装置の詳細には図示されていない変形例では、底部リングは、中間リングと一体に加工されていて、この場合では、底部リングに対する回転可能な支承は省略する。
【0035】
図3に示した把持装置71の第2の実施形態では、ベース本体81は、ベース本体3とは基本的には同じように構造されている。その結果、ベース本体81の個別の構成要素に対して、重複を避けるために、より詳細には説明しない。把持リング4に対応して、把持リング72は、ほぼ矩形の断面を含む内側リング73を有する。把持リング72の軸方向端部領域において、それぞれ鏡面75に対して鏡面対称に配置されている輪郭領域76は、作用面とも呼ばれる外側面73に隣接する。この輪郭領域は、半径方向において外側に延在し、且つ密閉輪郭部88を形成する。各々の輪郭領域76は、内側リング73に直接接続されている拡張リング77と、拡張リング77の外側に取り付けられている保持リング78とを備える。一例として、外側の面74を起点とした膨張リング77の半径方向の延在部が内側リング73の半径方向の延在部にほぼ相当することが企図されている。さらに、単なる典型例として、膨張リング77の軸方向延在部が、、内側リング73の軸方向延在部の10%未満に相当することが企図されている。これに対して、保持リング78に対する軸方向延在部は、膨張リング77の軸方向延在部の少なくとも2倍に相当するように選択されている。特に好ましくは、保持リング78が膨張リング77に対して基本的に中央に配置されている。その結果、輪郭領域76に対して基本的にT字型輪郭部がもたらされる。把持リング72を収容するために利用される、ベース本体81内の周溝87は、少なくとも特定の領域において、把持リング72と幾何学的に同じように形成されている。
【0036】
図3の描画から理解できるように、半径方向に内向きの、保持リング78の第1および第2の密閉面は、把持装置71のベース本体81に属し、反対側に配置されている第1および第2の支持面に支持されている。それによって、既に図3による解除位置で、流体作動チャンバ84に対する密閉効果が保証されている。膨張リング77および保持リング78の幾何学的な形によって、流体作動チャンバ84に圧力が加えられ、したがって、内側リング73の直径が小さくなると、基本的には膨張リング77の弾性変形が引き起こされるが、保持リング78では少なくとも大半で寸法安定性を維持することができる。膨張リング77は、その幾何学的な形に基づいて、内側リング73と比較して著しく大きな弾性を有するので、流体作動チャンバ84が加圧され、その結果、把持リング71の内径85が小さくなると、把持リング72の内側の面86に対して円柱形態が維持されるので、内側の面86とエアロゾル容器素材との間の面圧に関して望ましくない不均一性が生じることなく、不図示のエアロゾル容器素材に内側の面86が面で接触する。
【0037】
図4に示されている把持装置91の第3の実施の形態では、把持リング92は、図1図2による把持リング4と合致した、略矩形状の断面を有する内側リング93を有する。把持リング92の円形シリンダ状に形成されている外側面94の軸方向端部領域には、それぞれ鏡面95に対して鏡面対称に配置され、半径方向に内向きの周溝96が形成されている。単なる典型例として、周溝96はそれぞれ半円形の断面を有する。この場合、周溝96は、把持リング92の軸方向の端部領域には、くさび形状にテーパが付けられた輪郭領域97が、それぞれ形成されるように設けられていて、この輪郭領域は、減少する材料厚さに基づいて、把持リング92の他の領域よりも明確に高い柔軟性を有し、密閉輪郭部103を形成する。把持リング92とベース本体98内で形成されている周溝99との間に形成されている流体作動チャンバ100に圧力が加えられると、輪郭領域97は、それぞれ隣接して配置され、単なる典型例として円形リング状に形成されている、周溝99のリング面101にシール係合する。その結果、流体作動チャンバ100をシールすることが保証される。流体作動チャンバ100内の圧力が更に発生すると、把持リング92の弾性変形が生じ、この弾性変形は、把持リング92の内径101の縮小を伴うが、把持面とも呼ばれる把持リング92の内側の面102で、エアロゾル容器素材を所望の摩擦係合式で固定することができる。図4の図から理解できるように、周溝99は、図4による表示面内に矩形の断面を有する。その結果、特にベース本体98の低コスト製造を実現することができる。これは、複雑な幾何形状をもたない把持リング92に対しても同様に有効である。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】