(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145566
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールおよびそのバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6555 20140101AFI20220926BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220926BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20220926BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20220926BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20220926BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20220926BHJP
H01M 50/191 20210101ALI20220926BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20220926BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220926BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220926BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20220926BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20220926BHJP
H01M 10/0563 20100101ALI20220926BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20220926BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20220926BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220926BHJP
H01M 50/204 20210101ALN20220926BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/653
H01M50/224
H01M50/296
H01M50/191
H01M50/186
H01M10/625
H01M10/052
H01M10/054
H01M10/058
H01M10/0563
H01M10/0565
H01M10/0562
H01M10/04 Z
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033411
(22)【出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】110109698
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】512306818
【氏名又は名称】輝能科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PROLOGIUM TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6-1, Ziqiang 7th Rd., Zhongli Dist., Taoyuan City, Taiwan
(71)【出願人】
【識別番号】512316932
【氏名又は名称】プロロジウム ホールディング インク
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】楊思▲ダン▼
(72)【発明者】
【氏名】呉孟鴻
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA02
5H011FF01
5H011GG01
5H011HH08
5H028AA07
5H028CC01
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC11
5H028EE01
5H028FF09
5H029AJ01
5H029AM01
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ12
5H029BJ22
5H029DJ02
5H029EJ01
5H029HJ12
5H031AA09
5H031EE01
5H031KK01
5H040AA28
5H040AT02
5H040AY08
5H040DD05
(57)【要約】
【課題】冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールおよびそのバッテリシステムを提供すること。
【解決手段】本発明において、冷却カートリッジは、単一の軸に積層されたバッテリユニットの間に配置されるように利用される。冷却カートリッジの支持部は、大面積でバッテリユニットの集電シートに直接接触される。そして、支持部の2つの側面から延在する翼部は、金属ハウジングの内側側壁に直接接触される。したがって、バッテリセルのための大面積の熱放散経路が提供され、バッテリセルの性能および安定性が大幅に改善される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールであって、
単一の軸に沿って積層された複数のバッテリユニットを含むバッテリセルであって、各バッテリユニットは、互いに並列に配置され、前記バッテリユニットのパッケージ構造として機能する2枚の集電シートと、2枚の前記集電シートの間に配置され、電解質体を含む電気化学システムとを含み、前記電解質体は、別のバッテリユニットの前記電解質体と接触しないことを特徴とする、バッテリセルと、
前記バッテリセルを内部にカプセル化し、上部ケースおよび下部ケースを含む金属ハウジングであって、前記上部ケースおよび前記下部ケースは、互いに電気的に絶縁され、前記上部ケースおよび前記下部ケースは、それぞれ異なる極性で前記バッテリセルの出力に電気的に接続され、正端子および負端子を形成することを特徴とする、金属ハウジングと、
支持部と、前記支持部の縁から延在された少なくとも1つの翼部とを含む少なくとも1つの冷却カートリッジであって、前記支持部は、2つの前記バッテリユニットの間に配置され、2つの前記バッテリユニットと同じ極性で前記集電シートと接触し、前記翼部は、前記金属ハウジングの内側側壁に接触することを特徴とする、少なくとも1つの冷却カートリッジとを備えた、
冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール。
【請求項2】
前記翼部が前記バッテリユニットの側面に接触することを回避するために、前記翼部の内側に電気絶縁層が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール。
【請求項3】
前記上部ケースが前記下部ケースに電気的に接続されることを回避するために、前記上部ケースと前記下部ケースとの間に電気絶縁プレートが配置されることを特徴とする、請求項1に記載の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール。
【請求項4】
前記冷却カートリッジの前記支持部の面積は、前記バッテリユニットの前記集電シートのうちのいずれか一方の集電シートの面積よりもわずかに大きいことを特徴とする、請求項1に記載の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール。
【請求項5】
前記電解質体は、ゲル電解質、液体電解質、固体電解質、またはそれらの組合せであることを特徴とする、請求項1に記載の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール。
【請求項6】
前記電解質体は、対応するバッテリユニット内だけで循環し、隣接する2つの前記バッテリユニットの間では、電気化学反応を引き起こすことなく、電荷移動のみが引き起こされることを特徴とする、請求項1に記載の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール。
【請求項7】
前記電気化学システムは、2つの前記集電シートそれぞれと接触する2つの活物質層と、2つの前記活物質層の間に配置されたセパレータと、2つの前記活物質層の間に配置され、前記電気化学システムを取り囲むシーリングフレームとを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール。
【請求項8】
前記シーリングフレームは、シリコン層と、前記シリコン層の2つの側に配置された2つの修正されたシリコン層とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール。
【請求項9】
請求項1に記載の複数のバッテリモジュールからなるバッテリシステムであって、
結合部は、外側に延在され、前記金属ハウジングの前記上部ケースおよび前記下部ケースによって形成され、
2つの隣接するバッテリモジュールの前記結合部は、位置ずれされていることを特徴とする、
バッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月18日に台湾特許庁に出願された台湾特許出願第110109698号の優先権を主張し、その全内容は本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、バッテリモジュール、特に、冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールおよびそのバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、様々な携帯型電子製品、電気自動車、電力貯蔵ステーションの急速な発展に伴い、高いエネルギ貯蔵密度と環境保護との両方を備えたエネルギ貯蔵デバイスに対する高い需要がある。イオン二次バッテリは、これに対し最適なソリューションである。さらに、リチウムイオン二次バッテリ、マグネシウムイオン二次バッテリ、ナトリウムイオン二次バッテリなど、様々な二次バッテリが開発されている。実際には、複数のバッテリユニットを積層して接続し、バッテリセルを形成するのが最も一般的な方法である。様々なデバイスに適用するために、十分な容量が達成される。
【0004】
従来のバッテリセルの熱放散方法は、充電および放電中にバッテリセルによって生成された熱を除去するために、追加の熱伝導性金属プレート/ブロックを使用して、いくつかの積層されたバッテリユニットによって形成された底面に接触するか、あるいは液体または気体によって流れることができる内部金属フローチャネルを使用する。たとえば、特許文献1に開示されているように、バッテリユニットは、バッテリセルを形成するために1つずつ垂直に配置される。バッテリユニットの端子が上部にあるため、熱伝導性金属プレート/ブロックは、バッテリユニットの底部に配置される。しかしながら、バッテリユニットは垂直に配置されているため、熱伝導性金属プレート/ブロックは、対応するバッテリユニットの下端にしか接触できず、対応するバッテリユニットの接触面積は非常に小さい。従って放熱効率は非常に悪く、冷却効果は均一ではない。
【0005】
さらに、熱伝導性金属プレート/ブロックまたは内部金属フローチャネルが追加されるため、バッテリモジュールの全体積が増加し、バッテリモジュール全体の構造がより複雑になる。また、組み立て工程も、より複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国実用新案出願第205992578U号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、次の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール、およびそのバッテリシステムを提供することである。冷却カートリッジは、大面積でバッテリユニットの集電シートに直接接触され、バッテリセルのための大面積の熱放散経路を形成する。
【0008】
本発明の別の目的は、次の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール、およびそのバッテリシステムを提供することである。2つの隣接するバッテリモジュールの結合部は、バッテリシステムの全体積を低減するために、位置ずれされて配置される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記を実施するために、本発明は、バッテリセル、金属ハウジング、および少なくとも1つの冷却カートリッジを含む、冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールを開示する。バッテリセルは、単一の軸に沿って積層された複数のバッテリユニットによって形成される。各バッテリユニットは独立および完結したモジュールであり、2枚の集電シートと、その間に配置された電気化学システムとを含む。冷却カートリッジは、支持部と、支持部の縁から延在する少なくとも1つの翼部とを含む。冷却カートリッジの支持部は、任意の2つのバッテリユニットの間に配置され、2つのバッテリユニットと同じ極性で集電シートと接触する。翼部は、金属ハウジングの内側側壁に接触する。したがって、バッテリセルのための大面積の熱放散経路が提供され、バッテリセルの性能および安定性が大幅に改善される。
【0010】
さらに、本発明は、複数の上記のバッテリモジュールから構成されるバッテリシステムを開示する。結合部は外側に延在され、金属ハウジングの上部ケースおよび下部ケースによって形成される。また、隣接する2つのバッテリモジュールの結合部は、バッテリシステムの全体積を低減するために、位置ずれされる。結合部によって形成されるギャップは、冷却チャネルとして機能する。したがって、バッテリシステムの追加の熱放散システムは、バッテリシステムの全体積をさらに低減する必要がない。
【0011】
本発明のさらなる適用範囲について、以下に与える詳細な説明から明らかにする。しかしながら、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるため、詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示す例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【0012】
本発明は、以下の例示のみとして与えられる詳細な説明からより完全に理解されるが、これは本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの実施形態の概略図である。
【
図1B】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの実施形態の概略図である。
【
図2A】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールのバッテリユニットの実施形態の概略図である。
【
図2B】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールのバッテリユニットの別の実施形態の概略図である。
【
図2C】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールのバッテリユニットの実施形態の分解図である。
【
図3A】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの実施形態の概略図である。
【
図3B】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの実施形態の概略図である。
【
図4A】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの別の実施形態の概略図である。
【
図4B】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの別の実施形態の概略図である。
【
図5A】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの別の実施形態の概略図である。
【
図5B】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの別の実施形態の概略図である。
【
図6A】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの別の実施形態の概略図である。
【
図6B】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールの別の実施形態の概略図である。
【
図7】本発明の冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールから構成されるバッテリシステムの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明は、これに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲における何れの参照符号も、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。記載される図面は、単に概略的であり、限定的ではない。図面では、いくつかの要素のサイズは、説明の目的で誇張されており、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【0015】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、一般的な発明の概念を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、別段の定義がない限り、例示的な実施形態が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈での意味と一致する意味を有していると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されていないのであれば、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが理解される。
【0016】
本明細書全体を通した「1つの実施形態」または「実施形態」への参照は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「1つの実施形態において」または「実施形態において」という語の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らないが、指す場合もある。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方式で組み合わされ得る。
【0017】
本発明の説明において、「設置」、「接続された」、および「配置された」という用語は広く理解されるべきであり、固定または取り外し可能であり得、たとえば、機械的または電気的であることができ、2つのコンポーネント間の内部接続となれる中間媒体を介して、直接または間接的に接続されることが意図される。本発明における上記の用語の特定の意味は、特定の状況において当業者によって理解され得る。
【0018】
図1Aおよび
図1Bを参照されたい。本発明は、冷却カートリッジを備えたバッテリモジュール1を開示し、これは、バッテリセル11、金属ハウジング30、および少なくとも1つの冷却カートリッジ40を含む。バッテリセル11は、
単一の軸に沿って積層された複数のバッテリユニット20によって形成される。
図1Aまたは
図1Bに示されるように、バッテリユニット20は、垂直Z軸に沿って積層され、互いに並列に接続される。さらに、バッテリユニット20は、直列に接続することも、直列および並列の両方に接続することもできる。各バッテリユニット20は、独立および完結したモジュールである。
【0019】
図2Aおよび
図2Cを参照されたい。バッテリセル11は、独立した、シールされた、完結したモジュールを備えたバッテリユニット20で構成される。バッテリユニット20は、2枚の集電シート24、25、電気化学システム201、およびシーリングフレーム26を含む。
電気化学システム201は、セパレータ21、2つの活物質層22、23、および活物質層22、23に含浸または混合された電解質体を含む。セパレータ21は、ポリマまたはガラス繊維によって形成された多孔質薄膜であり得るか、またはセパレータ21は、イオン移動を可能にする細孔を備えた、セラミック材料によって積層または焼結されたセラミックセパレータであり得る。細孔は、貫通孔または蟻孔、すなわち、真っ直ぐではない貫通孔である。さらに、セパレータ21は、セラミック粒子強化層を備えた多孔質積層、またはセラミック粒子およびイオン伝導性ポリマと混合されたセパレータであり得る。セラミック粒子のサイズは、ナノメートルスケール、マイクロメートルスケール、またはナノメートルスケールとマイクロメートルスケールとの混合など、少なくとも2つのより大きな異なるスケールとの混合である。セラミック粒子の材料は、TiO
2、Al
2O
3、SiO
2、アルキル化セラミック粒子、またはLLZO(酸化リチウムランタンジルコニウム、Li
7La
3Zr
2O
12)またはLATP(Li
1+XAl
XTi
2-X(PO
4)
3)などの酸化物ベースの固体電解質である。さらに、セラミック材料は、セラミック絶縁材料および酸化物ベースの固体電解質と混合され得る。
セパレータ21は、セラミック材料によって積層される場合、これらセラミック粒子を結合するために使用されるポリマ接着剤をさらに含み得る。ポリマ接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデンコヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)、ポリテトラフルオロエテン(PTFE)、アクリル酸接着剤、エポキシ樹脂、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、およびポリイミド(PI)であり得る。
【0020】
電解質体は、活物質層22、23に含浸または混合される。電解質体は、ゲル電解質、液体電解質、固体電解質、またはそれらの組合せである。活物質層22、23は、セパレータ21によって分離されて、電気化学システム201を形成する。したがって、化学エネルギが電気エネルギに変換され、放電し、電気エネルギが化学エネルギに変換され、すなわち充電するプロセスが実行されてイオンの移動および輸送が達成される。電荷は、集電シート24、25を介して伝達される。集電シート24、25の材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、またはニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銀(Ag)、金(Au)、または前述の金属のうちの少なくとも1つからなる合金である。
【0021】
また、2枚の集電シート24、25およびシーリングフレーム26は、バッテリユニット10のパッケージ構造として機能する。シーリングフレーム26は、ポリマ材料でできている。集電シート24、25の表面に接着でき、電解質体に対して耐久性がある限り、ポリマ材料に特別な要件はないが、熱硬化性樹脂が好ましい。たとえば、シーリングフレーム26の材料は、エポキシ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、シリコン、アクリル樹脂、および/または紫外線硬化接着剤を含む。
シーリングフレーム26は、2枚の集電シート24、25の縁の間に配置され、電気化学システム201、すなわち、2つの活物質層22、23、およびそれらの間に配置されたセパレータ21を取り囲む。また、シーリングフレーム26は、2枚の集電シート24、25を接着し、漏れを回避するためにそれらの間に電解質体をシールする。したがって、シーリングフレーム26によるシールにより、電解質体は、別のバッテリユニットの電解質体と接触しない。たとえば、電解質体は、隣接するいかなるバッテリユニット20の間も循環しない。言い換えれば、電解質体は、それぞれのバッテリユニット10内だけで循環する。したがって、2枚の集電シート24、25およびシーリングフレーム26は、バッテリユニット20のパッケージ構造として機能し、独立して電力を生成できる、独立した、シールされた、完結したモジュールを形成する。
【0022】
シーリングフレーム26の接着を高めるために、シリコンが利用される場合、シーリングフレーム26は、2つの修正されたシリコン層261、262と、2つの修正されたシリコン層261、262の間に配置されたシリコン層263とを含み得る。
図2Bを参照されたい。修正されたシリコン層261、262は、異なる材料、すなわち、集電シート24、25の材料の接着を高めるために、シリコン層263と比較して、凝縮型シリコンおよび付加型シリコンの比率を調整することによって修正される。したがって、集電シート24、25と、シーリングフレーム26との界面間の接着が高められる。全体的な外観は、より完結し、これによって生産歩留まりが向上する。
【0023】
図1Aおよび
図1Bを参照されたい。金属ハウジング30は、上部ケース31および下部ケース32を含む。上部ケース31が下部ケース32に電気的に接続されることを回避するために、上部ケース31と下部ケース32との間に電気絶縁プレート33が配置される。言い換えれば、上部ケース31と下部ケース32とは、互いに電気的に絶縁される。
電気絶縁プレート33は、電気絶縁材料でできており、Oリングまたはワッシャであり得る。金属ハウジング30は、内部のバッテリセル11をカプセル化またはシールするために利用される。上部ケース31および下部ケース32は、それぞれ異なる極性でバッテリセル11の出力に電気的に接続され、正端子および負端子を形成する。図に示されるように、正端子は上部ケース31によって形成され、負端子は下部ケース32によって形成される。冷却カートリッジ40は、大面積の熱放散経路を提供するために、任意の2つのバッテリユニット20の間に挿入および配置される。
図3Aを参照されたい。冷却カートリッジ40は、支持部41と、支持部41の縁から延在された少なくとも1つの翼部42とを含む。この図に示されるように、2つの翼部42は、支持部41の2つの相対する縁部から延在されて、U字形の冷却カートリッジ40を形成する。また、
図3Bを参照されたい。支持部41のすべての縁から延在する4つの翼部42があり得る。図中の翼部42の形状および量は、例示のみを目的として使用されているが、これらの形状および量に限定されない。
【0024】
図1Aおよび
図3Aを参照されたい。冷却カートリッジ40は、高熱伝導性金属材料でできている。冷却カートリッジ40の支持部41の面積は、バッテリユニット20の集電シート24、25のうちのいずれか一方の集電シートの面積よりもわずかに大きい。したがって、バッテリユニット20は、冷却カートリッジ40の支持部41に支持され、冷却カートリッジ40の支持部41は、バッテリユニット20の集電シート24、25に大面積で直接接触される。
翼部42は、図の上方などに垂直に延在し、図の上部ケース31などの金属ハウジング30の内側側壁に直接接触する。したがって、充電および放電中にバッテリセル11によって生成された熱エネルギは、冷却カートリッジ40および金属ハウジング30を介して外部に放散される。バッテリユニット20は、集電シート24、25を介して、冷却カートリッジ40の支持部41によって支持される。したがって、その接触面積は非常に大きい。また、冷却カートリッジ40の翼部42は、垂直方向に延在され、上向きまたは下向きに延在している。したがって、翼部42は、最大面積を有するそれらの表面によって、すなわち、端面または縁面によってではなく、金属ハウジング30の内側側壁と接触される。したがって、冷却カートリッジ40の熱放散効率は非常に良好である。
【0025】
また、
図1Aに示されるように、バッテリユニット20は、垂直に積層され、バッテリセル11を形成する。冷却カートリッジ40の支持部41の両側は、バッテリユニット20と接触される。冷却カートリッジ40は導電性である。したがって、冷却カートリッジ40の支持部41の両側は、バッテリユニット20と同じ極性で集電シート24、25と接触しなければならず、冷却カートリッジ40の翼部42は、同じ極性で上部ケース31または下部ケース32と接触しなければならない。言い換えれば、冷却カートリッジ40は、導電体として使用可能である。また、翼部42がバッテリユニット20の側面に接触することを回避するために、翼部42の内側に電気絶縁層401が配置される。
【0026】
たとえば、
図1Aの実施形態を取り上げると、冷却カートリッジ40は、正側に配置され、すなわち、上部ケース31の内側側壁に接触される。冷却カートリッジ40の支持部41の両側は、同じ極性で集電シート24、25と接触される。また、バッテリユニット20は、後ろから前への積層関係で互いに接触される。接続プレート51は、同じ極性で集電シート24、25に接続し、並列接続構成を形成するために使用される。
図1Bを参照されたい。冷却カートリッジ40は、負側に配置され得る。配置と接続は類似しているため、繰り返しの説明は省略する。
【0027】
図4Aおよび
図4Bを参照されたい。一方の側に、上部ケース31または下部ケース32のいずれかである複数の冷却カートリッジ40が存在する場合もある。図示されるように、上部ケース31の正側または下部ケース32の負側内にそれぞれ2つの冷却カートリッジ40が存在する。並列に接続されたバッテリユニット20の2つのセットは、接続プレート51を介して接続され、並列接続を構成する。接続プレート51は、冷却カートリッジ40の翼部42のない側を通過する。
図3Aに示されるように、接続プレート51は、右上側または左下側を通過し得る。また、
図3Bに示すように、冷却カートリッジ40が、4つすべての側面の翼部42を有する場合、翼部42のうちの1つは、接続プレート51が通過することを可能にするためのスロットを有し得る。図中の冷却カートリッジ40の量および位置は、例示のみを目的として使用されているが、これらの量および位置に限定されない。
【0028】
また、同じ向きにおける前述の積層を除いて、バッテリユニット20は、直列接続および並列接続の両方で積層される。
図5Aを参照されたい。バッテリユニット20は、直列接続および並列接続の両方で積層される。3つのバッテリユニット20はグループを形成し、各グループは、対応する冷却カートリッジ40を有する。グループ内で、3つのバッテリユニット20は、後ろから前への積層関係で配置される。接続プレート51はまた、グループ内で並列接続を形成するように適合される。その後、3つのグループを同じ向きに積層して、グループの外側で直列接続を形成する。グループ内の並列接続は、このグループ内の3つのバッテリユニット20が並列に接続されていることを意味することに留意されたい。また、グループ外の直列接続は、3つのグループが直列に接続されていることを意味する。最も低いグループの場合、それは負側、つまり下部ケース32に配置される。したがって、冷却カートリッジ40の場所および向きは、他のグループのものとは異なる。
また、
図5Bを参照されたい。金属ハウジング30には4つのグループがある。2つのグループが正側、つまり上部ケース31に配置され、別の2つのグループが負側、つまり下部ケース32に配置される。接続は、上記の接続と同じであるため、繰り返しの説明は省略する。
【0029】
一方、
図6Aおよび
図6Bを参照されたい。3つのバッテリユニット20がグループを形成している。そして、3つのバッテリユニット20は、このグループ内で直列接続を形成するために同じ向きに積層される。次に、3つのグループが後ろから前への積層関係で配置され、接続プレート51は、グループの外側で並列接続を形成するように適合される。さらに、バッテリユニット20は、単一の軸に沿って積層され、バッテリセル20’を形成する。この構成は、上記の構成に限定されない。
【0030】
図7を参照されたい。本発明のバッテリシステムは、複数の上記のバッテリモジュール1から構成される。電気絶縁プレート33は、上部ケース31と下部ケース32との間に配置される。上部ケース31および下部ケース32は互いに電気的に絶縁される。結合部301は、外側に延在され、金属ハウジング30の上部ケース31および下部ケース32と、電気絶縁プレート33とによって形成される。
2つの隣接するバッテリモジュール1の結合部301は、バッテリシステムの全体積を低減するために、位置ずれされる。また、体積エネルギ密度が増加される。バッテリセル11のために冷却カートリッジ40によって提供される大面積の熱放散経路を除いて、バッテリモジュール1の外側の結合部301によって形成されるギャップは、冷却チャネル71として機能する。したがって、バッテリシステムの追加の熱放散システムは、バッテリシステムの全体積をさらに減少させる必要はない。なお、この図には、2つのバッテリモジュール1しかないが、実際には、要件に応じて水平方向に配置されるバッテリモジュール1がさらにある場合がある。
【0031】
本発明は、冷却カートリッジを備えたバッテリモジュールおよびそのバッテリシステムを提供する。冷却カートリッジは、大面積でバッテリユニットの集電シートに直接接触され、バッテリセルのための大面積の熱放散経路を形成する。バッテリセルによって生成された熱エネルギは、バッテリセルの最適化された性能を維持するために放散される。
上記の複数のバッテリモジュールからなるバッテリシステムでは、隣接する2つのバッテリモジュールの結合部は、バッテリシステムの全体積を低減させるために、位置ずれされる。結合部によって形成されるギャップは、冷却チャネルとして機能する。したがって、バッテリシステムの追加の熱放散システムは、バッテリシステムの全体積をさらに減少させる必要がない。さらに、本発明の冷却カートリッジは、積層されたバッテリユニットとケースとの間で電気を伝達するための導電体としても使用できる。
【0032】
以上説明した本発明において、同じことが多くの手法で変更され得ることは明らかであろう。そのような変更は、本発明の精神および範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、当業者に明らかであるようなすべてのそのような修正は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。