(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145576
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】ベンゾピナコール系ビスホスファイトリガンド
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6571 20060101AFI20220926BHJP
C07C 45/50 20060101ALI20220926BHJP
C07C 47/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C07F9/6571 CSP
C07C45/50
C07C47/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022034982
(22)【出願日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】21163474.6
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンナ キアラ サレー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フランケ
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー ブレヒャー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク フリダッグ
(72)【発明者】
【氏名】アナ マルコビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クマイヤーチク
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス クノサラ
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ ゼレント
(72)【発明者】
【氏名】アルミン ベルナー
(72)【発明者】
【氏名】ケルスティン ロマイケ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H050
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC45
4H006BA24
4H006BE20
4H006BE40
4H050AA01
4H050AB84
4H050AC90
4H050WA15
4H050WA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オレフィンのヒドロホルミル化において収率の増加をもたらす新規化合物を提供する。
【解決手段】下記(I)で表される化合物による。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8は、それぞれ独立して、-H、-(C
1-C
12)-アルキル、-O-(C
1-C
12)-アルキルから選択される。)
の化合物。
【請求項2】
前記R5および前記R8は-(C1-C12)-アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記R5および前記R8は-tertBuである、請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項4】
前記R6、前記R7は-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキルから選択される、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
前記R6および前記R7は-OCH3または-tertBuである、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
前記R1、前記R2、前記R3、前記R4は、-H、-(C1-C12)-アルキルから選択される、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
前記R1、前記R2、前記R3、前記R4は、-Hまたは-tertBuである、請求項1~請求項8のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
構造(1)~構造(6):
【化2】
のうちの1つを有する、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
a)最初にエチレン性不飽和化合物を投入し、
b)請求項1~請求項8のいずれか一項記載の化合物と、Rhを含む物質と、を添加し、
c)H2とCOを投入し、
d)前記a)~前記c)からの反応混合物を加熱し、前記オレフィンをアルデヒドに転化する
工程を有する方法。
【請求項10】
前記工程a)の前記エチレン性不飽和化合物は、エテン、プロペン、1-ブテン、シス-および/またはトランス-2-ブテン、イソブテン、1,3-ブタジエン、1-ペンテン、シス-および/またはトランス-2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ヘキセン、テトラメチルエチレン、ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、ジ-n-ブテン、またはそれらの混合物から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記Rhを含む物質は、Rh(acac)(CO)2、[(acac)Rh(COD)](Umicore社、acac=アセチルアセトナートアニオン、COD=1,5-シクロオクタジエン)、Rh4CO12から選択される、請求項9または請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記工程c)において、前記COを1~6MPa(10~60バール)の範囲の圧力で投入する、請求項9~請求項11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記工程d)において、前記反応混合物を80℃~160℃の範囲の温度に加熱する、請求項9~請求項12のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾピナコール系ビスホスファイトリガンドと、ヒドロホルミル化におけるその使用と、に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ビスホスファイトリガンドを使用するヒドロホルミル化方法を記載している。とりわけ、リガンド(D-1)の使用が記載されている。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号第2008/071508A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、先行技術から知られている化合物と比較して、オレフィンのヒドロホルミル化において収率の増加をもたらす新規化合物を提供することである。
【0006】
本課題は、請求項1記載の化合物によって解決される。
式(I):
【0007】
【0008】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、それぞれ独立して、-H、-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキルから選択される。)
の化合物。
【0009】
表現「-(C1-C12)-アルキル」および「-O-(C1-C12)-アルキル」は、1~12個の炭素原子を有する直鎖状および分岐鎖状アルキル基を包含する。これらは、好ましくは、-(C1-C8)-アルキル基または-O-(C1-C8)-アルキル基、特に好ましくは、-(C1-C4)-アルキル基または-O-(C1-C4)-アルキル基である。
【0010】
一実施形態では、R5およびR8は、-(C1-C12)-アルキルである。
一実施形態では、R5およびR8は、-tertBuである。
一実施形態では、R6、R7は、-(C1-C12)-アルキル、-O-(C1-C12)-アルキルから選択される。
一実施形態では、R6およびR7は、-OCH3または-tertBuである。
一実施形態では、R1、R2、R3、R4は、-H、-(C1-C12)-アルキルから選択される。
一実施形態では、R1、R2、R3、R4は、-Hまたは-tertBuである。
一実施形態では、化合物は、構造(1)~構造(6):
【0011】
【0012】
のうちの1つを有する。
化合物自体に加えて、当該化合物を用いる方法も特許請求されている。
【0013】
a)最初にエチレン性不飽和化合物を投入し、
b)上記の化合物と、Rhを含む物質と、を添加し、
c)H2とCOを投入し、
d)工程a)~工程c)からの反応混合物を加熱し、エチレン性不飽和化合物をアルデヒドに転化する
工程を有する方法。
【0014】
この方法では、工程a)、b)およびc)を任意の順序で実施できる。ただし、通常、COについては、工程a)およびb)で共反応物をまず投入した後に添加する。さらに、COは、例えば、COの一部を最初に投入し、次いで当該混合物を加熱し、次いでCOの他の部分を投入するように、2つ以上の工程で投入されてもよい。
【0015】
本発明に係る方法で反応物として使用されるエチレン性不飽和化合物は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を有している。これらの化合物は、簡略化のために、以下、オレフィンとも呼ばれる。二重結合は、末端または内部にあってよい。
【0016】
方法の一変形例では、エチレン性不飽和化合物は、炭素-炭素二重結合の他に、それ以上の官能基を含まない。
【0017】
方法の一変形例では、エチレン性不飽和化合物は、エテン、プロペン、1-ブテン、シス-および/またはトランス-2-ブテン、イソブテン、1,3-ブタジエン、1-ペンテン、シス-および/またはトランス-2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ヘキセン、テトラメチルエチレン、ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、ジ-n-ブテン、またはそれらの混合物から選択される。
【0018】
方法の一変形例では、Rhを含む物質は、Rh(acac)(CO)2、[(acac)Rh(COD)](Umicore、acac=アセチルアセトナートアニオン;COD=1,5-シクロオクタジエン)、Rh4CO12から選択される。
【0019】
方法の一変形例では、COは、工程c)において、1~6MPa(10~60バール)の範囲の圧力で投入される。
【0020】
方法の一変形例では、反応混合物を、工程d)において80℃~160℃の範囲の温度に加熱する。
【0021】
本発明は、実施例を参照して、以下により詳細に説明されるものとする。
【実施例0022】
2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスホール(1)の合成
【0023】
【0024】
トルエン(6mL)中の2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-2’-((ジクロロホスファニル)オキシ)-5,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ-4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン(0.639g、0.7483ミリモル)溶液に対し、トルエン(3mL)中のカテコール(0.0824g、0.7483ミリモル)およびトリエチルアミン(0.42mL)の混合物を、室温で滴下する。混合物を一晩撹拌して濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾固する。得られた固体を60℃/0.1ミリバールで2時間乾燥させ、熱アセトニトリル(6.5mL)中に取り入れる。冷却後に形成された固体を濾別し、少量の冷アセトニトリルで洗浄し、減圧下で乾燥させる。収量:0.426g(0.5537ミリモル、74%)。
元素分析(C54H52O8P2の計算値=890.945g/モル):C=72.79(72.80);H=5.93(5.88);P=6.98(6.95)。
ESI-TOF HRMS:m/z=891.3212;[M++H]、m/zの計算値=891.3215。
31P NMR(CD2Cl2):d 136.0(d,JPP=55Hz);146.9(d,JPP=55Hz)。
1H NMR(CD2Cl2):d 1.29(s,9H);1.35(s,9H);3.74(s,3H);3.80(s,3H);6.75(m,1H);6.82(m,1H);6.95-7.16(m,22H);7.32(m,4H)ppm。
【0025】
5-(tert-ブチル)-2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスホール(2)の合成
【0026】
【0027】
トルエン(4mL)中の2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-2’-((ジクロロホスファニル)オキシ)-5,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン(0.4384g、0.5135ミリモル)溶液に対し、トルエン(2mL)中の4-tert-ブチルカテコール(0.0853g、0.5135ミリモル)およびトリエチルアミン(0.29mL)の混合物を、室温で滴下する。混合物を一晩撹拌して濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾固する。得られた固体を60℃/0.1ミリバールで2時間乾燥させ、次いで熱アセトニトリル(4.3mL)中に取り入れる。冷却後に形成された固体を濾別し、少量の冷アセトニトリルで洗浄し、減圧下で乾燥させる。収量:0.201g(0.261ミリモル、51%)。
元素分析(C58H60O8P2の計算値=947.052g/モル):C=73.51(73.56);H=6.63(6.39);P=6.81(6.54)。
ESI-TOF HRMS:m/z=696.3655;[M++Na]、m/zの計算値=696.3660。
31P NMR(CD2Cl2):d 135.7(d,JPP=44Hz);136.0(d,JPP=55Hz);145.0(d,JPP=55Hz);145.1(d,JPP=44Hz)ppm。
1H NMR(CD2Cl2):d 1.29+1.31(2s,9H);1.33+1.34(2s,9H);1.35(s;4.5H);1.38(s,4.5H);3.73(s,1.5H);3.74(s,1.5H);3.77(s,1.5H);3.80(s,1.5H);6.73(m,1H);6.82(m,1H);6.90-7.13(m,21H);7.27-7.37(m,4H)ppm。
【0028】
4,6-ジ-tert-ブチル-2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスホール(3)の合成
【0029】
【0030】
THF(4mL)中のL1溶液に対し、-BuLi溶液を-20℃で滴下する。混合物をさらに20分間撹拌し、次に室温に温め、そしてTHF(1.8mL)に溶解したベンゾピナコールホスホロクロリダイトを滴下する。反応混合物を一晩撹拌する。続いてトリエチルアミンAを添加し、次にTHF(1.5mL)中の三塩化リン溶液を、0℃に冷却した反応混合物に滴下する。混合物を室温に温め、6時間撹拌する。
揮発性成分を減圧下で混合物から除去し、残留物を60℃かつ0.1~0.5ミリバールで2時間乾燥させる。得られた固体をトルエン(8mL)中に取り入れる。得られた懸濁液に対し、3,5-ジ-tert-ブチルカテコールとトリエチルアミンBとトルエン(3mL)とからなる混合物を室温で滴下する。混合物を一晩撹拌し、濾過し(G4)、減圧下で溶媒を除去し、固体を60℃かつ0.1~0.5ミリバールで乾燥させる。粗収量:1.03g(95%)。
粗生成物を沸騰アセトニトリル(11mL)に溶解する。混合物をまずゆっくりと室温まで冷却し、次に-30℃で一晩保管する。-30℃に冷却しながら、浸漬フリットを使用して上澄み母液を取り除くことによって、堆積した固体を単離し、次いで、減圧下、60℃で5時間乾燥させる。収量:0.786g(72%)。
元素分析(C62H68O8P2の計算値=1,003.16g/モル):C=74.24(74.23);H=6.85(6.83);P=6.07(6.18)。
ESI-TOF HRMS:m/z=1025.4309;[M++H]、m/zの計算値=1025.4287。
31P NMR(CD2Cl2):d 134.1(s,br);134.5(d,JPP=77.3Hz);144.6(d,JPP=77.3Hz);145.2(d,JPP=24.7Hz)、2つのジアステレオマーの混合物。
1H NMR(CD2Cl2):d 1.22(s);1.27(s);1.33(s);1.34(s);1.36(s);1.44(s);1.46(s);1.47(s)ppm;S=36H。3.68(s);3.69(s);3.77(s);3.87(s)ppm;S=12H。6.59-7.43ppm(m,26H)。
【0031】
2-((3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスホール(4)の合成
【0032】
【0033】
トルエン(5mL)の4,4,5,5-テトラフェニル-2-((3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-2’-((ジクロロホスファニル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)-1,3,2-ジオキサホスホラン(0.7936g、0.8760ミリモル)溶液に対し、トルエン(3mL)中のカテコール(0.0964g、0.8760ミリモル)およびトリエチルアミン(0.49mL)の混合物を室温で滴下する。混合物を一晩撹拌して濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾固する。得られた固体を60℃/0.1ミリバールで2時間乾燥させ、次にアセトニトリル(7mL)中で1時間撹拌する。残った固体を濾別し、少量の冷アセトニトリルで洗浄し、減圧下で乾燥させる。収量:0.6197g(0.657ミリモル、75%)。
元素分析(C60H64O6P2の計算値=943.1076g/モル):C=76.48(76.41);H=6.84(6.84);P=6.57(6.57)。
ESI-TOF HRMS:m/z=965.4076;[M++Na]、m/zの計算値=965.4070。
31P NMR(CD2Cl2):d 134.4(d,JPP=13Hz);145.6(d,JPP=13Hz)ppm。
1H NMR(CD2Cl2):d 1.25(s,9H);1.38(s,9H); 1.46(s,9H);1.48(s,9H);6.64(m,2H);6.85(m,1H);6.99-7.13(m,19H);7.33-7.38(m,3H);7.44(m,1H)、7.67(m,2H)ppm。
【0034】
5-(tert-ブチル)-2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスホール(5)の合成
【0035】
【0036】
トルエン(5mL)中の4,4,5,5-テトラフェニル-2-((3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-2’-((ジクロロホスファニル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)-1,3,2-ジオキサホスホラン(0.618g、0.682ミリモル)溶液に対し、トルエン(3mL)中の4-tert-ブチルカテコール(0.1133g、0.6818ミリモル)およびトリエチルアミン(0.38mL)の混合物を室温で滴下する。混合物を一晩撹拌して濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾固する。得られた固体を60℃/0.1ミリバールで2時間乾燥させ、熱アセトニトリル(6mL)中に取り入れる。溶液を冷凍庫で保管した後に形成された固体を濾別し、少量の冷アセトニトリルで洗浄し、減圧下で乾燥させる。収量:0.416g(0.477ミリモル、70%)。
元素分析(C64H72O6P2の計算値=999.215g/モル):C=76.75(76.93);H=7.20(7.26);P=6.15(6.20)。
ESI-TOF HRMS:m/z=1021.4708;[M++Na]、m/zの計算値=1021.4696。
31P NMR(CD2Cl2):d 136.2(d,JPP=10Hz);136.3(d、JPP=10Hz);145.7(d,JPP=10Hz);145.8(d,JPP=10Hz)ppm。2つのジアステレオマー。
1H NMR(CD2Cl2):d 1.24+1.25(2s,9H);1.35+1.37+1.38(3s,18H);1.45+1.48+1.49(3s,18H);6.53(m,2H);6.79(m,1H);6.96-7.18(m,18H);7.31-7.46(m,4H);7.64(t;JHH=2.3Hz; 1H)、7.67(d;JHH=2.5Hz;1H)ppm。
【0037】
4,6-ジ-tert-ブチル-2-((3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスホール(6)の合成
【0038】
【0039】
トルエン(5mL)中の4,4,5,5-テトラフェニル-2-((3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-2’-((ジクロロホスファニル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ)-1,3,2-ジオキサホスホラン(0.6529g、0.7207ミリモル)溶液に対し、トルエン(3mL)中の3,5-ジ-tert-ブチルカテコール(0.1602g、0.7207ミリモル)およびトリエチルアミン(0.40mL)の混合物を室温で滴下する。混合物を一晩撹拌して濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾固する。得られた固体を60℃/0.1ミリバールで2時間乾燥させ、次にアセトニトリル(7mL)中で1.5時間撹拌し、濾過後、減圧下で乾燥させる。収量:0.5345g(0.5064ミリモル、70%)。
元素分析(C68H80O6P2の計算値=1055.322g/モル):C=77.49(77.39);H=7.57(7.64);P=5.90(5.87)。
ESI-TOF HRMS:m/z=1077.5305;[M++Na]、m/zの計算値=1077.5322。
31P NMR(CD2Cl2):d 132.5(d,JPP=20Hz);134.4(s,br);144.3(d,JPP=20Hz);145.3(d,JPP=11Hz)ppm。2つのジアステレオマー。
1H NMR(CD2Cl2):d 1.19(s;4.5H);1.24(s;4.5H);1.31(s;4.5H);1.33(s;4.5H);1.34(s;4.5H);1.37(s;4.5H);1.41(s;4.5H);1.44(s;4.5H);1.45(s,9H);1.47(s;4.5H);1.49(s,4.5H);6.42(m,1H);6.73(m;0.5H);6.85(dd,JHH=20.3Hz;JHH=1.99Hz;1H);6.96-7.16(m,16H);7.23-7.30(m;1.5H);7.31-7.43(m,4H);7.60(dd,JHH=12.5Hz;JHH=2.4Hz;1H)、7.66(dd,JHH=8.5Hz;JHH=2.5Hz;1H)ppm。
【0040】
触媒実験
圧力保持バルブ、ガス流量計、スパージングスターラー、および圧力ピペットを備えた200mLオートクレーブ(Premex Reactor AG社製、スイス レンガウ)でヒドロホルミル化を実施した。水分と酸素の影響を最小限に抑えるために、溶媒として用いられるトルエンをピュアソルブMD-7システム(Pure Solv. MD-7 System)で精製し、アルゴン下で保管した。基質として用いられるオレフィンシス/トランス-2-ペンテン(アルドリッチ)をナトリウム上で還流加熱し、アルゴン下で蒸留した。触媒前駆体とリガンドのトルエン溶液を、アルゴン雰囲気下、オートクレーブ内で混合した。[(acac)Rh(COD)](Umicore、acac=アセチルアセトネートアニオン;COD=1,5-シクロオクタジエン)を触媒前駆体として使用した。オートクレーブを撹拌(1,500rpm)しながら12バールで最終圧力20バールに加熱した。反応温度に達した後、圧力ピペットで準備された陽圧によって、オレフィンをオートクレーブに注入した。定圧(オランダのBronkhorst社製の閉ループ圧力コントローラー)で4時間にわたって反応を実施した。反応時間の終わりに、オートクレーブを室温に冷却し、撹拌しながら減圧し、アルゴンでパージした。スターラーのスイッチを切った直後に各反応混合物1mLを取り出し、ペンタン10mLで希釈し、ガスクロマトグラフィーで分析した。HP5890シリーズIIプラス、PONA、50m×0.2mm×0.5 μm。
【0041】
本発明に係る化合物(1)~(6)および比較リガンド(D-1)を用いて反応を行った。
【0042】
【0043】
反応条件
オレフィン:2-ペンテン、溶媒:トルエン、ロジウムの質量比:100ppm、圧力(p):20バール、温度(T):120℃、時間(t):4時間、Rh:リガンド比=1:2。
結果を次の表にまとめる。
【0044】
【0045】
実験結果が示すように、課題は本発明に係る化合物によって解決される。