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特開2022-145577オープン外部単位を有するベンゾピナコールをベースとするビスホスファイトリガンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145577
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】オープン外部単位を有するベンゾピナコールをベースとするビスホスファイトリガンド
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6574 20060101AFI20220926BHJP
   C07C 47/02 20060101ALI20220926BHJP
   C07C 45/50 20060101ALI20220926BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20220926BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
C07F9/6574 Z CSP
C07C47/02
C07C45/50
B01J31/22 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022034983
(22)【出願日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】21163482.9
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンナ キアラ サレー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フランケ
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー ブレヒャー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク フリダッグ
(72)【発明者】
【氏名】アナ マルコビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クマイヤーチク
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス クノサラ
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ ゼレント
(72)【発明者】
【氏名】アルミン ベルナー
(72)【発明者】
【氏名】ケルスティン ロマイケ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H050
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27B
4G169BC71B
4G169BD01B
4G169BD02B
4G169BD04B
4G169BE03B
4G169BE11B
4G169BE37B
4G169CB51
4G169CB72
4G169DA02
4H006AA02
4H006AC45
4H006BA24
4H006BA32
4H006BA48
4H006BA82
4H006BC10
4H006BC11
4H006BE20
4H006BE40
4H039CA62
4H039CF10
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オレフィンのヒドロホルミル化における収率の向上をもたらす新規化合物を提供する。
【解決手段】式(I)の化合物。

(式中、R~R14は、それぞれ独立して、-H、-(C-C12)-アルキル等)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立して、-H、-(C-C12)-アルキル、-O-(C-C12)-アルキル、-(C-C12)-アリールから選択され、
ラジカルR、R、R、R、RおよびラジカルR、R、R、R、R10は、互いに、縮合系を形成してもよい。)
の化合物。
【請求項2】
11およびR14が-(C-C12)-アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
11およびR14が-tertBuである、請求項1および請求項2記載の化合物。
【請求項4】
12、R13が-(C-C12)-アルキル、-O-(C-C12)-アルキルから選択される、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
12およびR13が-OCHまたは-tertBuである、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10が-H、-(C-C12)-アルキル、-(C-C12)-アリールから選択される、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10が-H、-tertBu、-(C-C)-アリールから選択される、請求項1~請求項8のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
構造(1)~(3):
【化2】
のうちの1つを有する、請求項1~請求項7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
a)最初にエチレン性不飽和化合物を投入し、
b)請求項1~請求項8のいずれか1項記載の化合物と、Rhを含む物質と、を添加し、
c)HおよびCOを投入し、
d)前記工程a)~前記工程c)の反応混合物を加熱し、前記オレフィンをアルデヒドに転化する工程
を有する方法。
【請求項10】
前記工程a)の前記エチレン性不飽和化合物が、エテン、プロペン、1-ブテン、シス-および/またはトランス-2-ブテン、イソブテン、1,3-ブタジエン、1-ペンテン、シス-および/またはトランス-2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ヘキセン、テトラメチルエチレン、ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、ジ-n-ブテン、またはそれらの混合物から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記Rhを含む物質が、Rh(acac)(CO)、[(acac)Rh(COD)](Umicore、acac=アセチルアセトナートアニオン、COD=1,5-シクロオクタジエン)、RhCO12から選択される、請求項9または請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記工程c)において、COが1~6MPa(10~60バール)の範囲の圧力で投入される、請求項9~請求項11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記工程d)において、前記反応混合物を80℃~160℃の範囲の温度に加熱する、請求項9~請求項12のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープン外部単位を有するベンゾピナコールをベースとするビスホスファイトリガンドと、ヒドロホルミル化におけるその使用と、に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ビスホスファイトリガンドを使用するヒドロホルミル化方法を記載している。 とりわけ、リガンド(D-1)の使用を記載している。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号第2008/071508A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、先行技術から知られている化合物と比較して、オレフィンのヒドロホルミル化における収率の向上をもたらす新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1記載の化合物によって解決される。
式(I)の化合物:
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立して、-H、-(C-C12)-アルキル、-O-(C-C12)-アルキル、-(C-C12)-アリールから選択され、
ラジカルR、R、R、R、RおよびラジカルR、R、R、R、R10は、互いに、縮合系を形成してもよい。)
【0009】
したがって、ラジカルR、R、R、R、Rは、1つまたは複数の環を介して互いに結合されてよく、その結果、新しい芳香族系を形成してよい。同じことが、ラジカルR、R、R、R、R10にも対応して当てはまる。対照的に、例えば、ラジカルRとRとの間に縮合系は形成されない。ラジカルRとRは、同じフェニルラジカル上にはない。
【0010】
表現「-(C-C12)-アルキル」および「-O-(C-C12)-アルキル」は、1~12個の炭素原子を有する直鎖状および分岐鎖状アルキル基を包含する。これらは、好ましくは、-(C-C)-アルキル基または-O-(C-C)-アルキル基、特に好ましくは、-(C-C)-アルキル基または-O-(C-C)-アルキル基である。
【0011】
一実施形態では、R11およびR14は、-(C-C12)-アルキルである。
【0012】
一実施形態では、R11およびR14は、-tertBuである。
【0013】
一実施形態では、R12、R13は、-(C-C12)-アルキル、-O-(C-C12)-アルキルから選択される。
【0014】
一実施形態では、R12およびR13は、-OCHまたは-tertBuである。
【0015】
一実施形態では、R12およびR13は-OCHである。
一実施形態では、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、-H、-(C-C12)-アルキル、-(C-C12)-アリールから選択される。
【0016】
一実施形態では、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、-H、-tertBu、-(C-C)-アリールから選択される。
【0017】
一実施形態では、化合物は、構造(1)~構造(3)のうちの1つを有する。
【0018】
【化3】
【0019】
化合物自体に加えて、当該化合物を使用する方法も特許請求されている。
a)最初にエチレン性不飽和化合物を投入し、
b)上記の化合物と、Rhを含む物質と、を添加し、
c)HおよびCOを投入し、
d)工程a)~工程c)の反応混合物を加熱し、エチレン性不飽和化合物をアルデヒドに転化する工程
を有する方法。
【0020】
この方法では、工程a)、b)およびc)は、任意の順序で実施することができる。ただし、通常、COは、工程a)およびb)で共反応物が最初に投入された後に添加される。さらに、COは、例えば、COの一部を最初に投入し、次に混合物を加熱し、次に残りのCOを投入するように、2つ以上の工程で投入されることもできる。
【0021】
本発明に係る方法において反応物として使用されるエチレン性不飽和化合物は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を有している。これらの化合物は、簡略化のために、以下、オレフィンとも呼ばれる。二重結合は、末端または内部にあってよい。
【0022】
方法の一変形例では、エチレン性不飽和化合物は、炭素-炭素二重結合の他に、さらなる官能基を含まない。
【0023】
方法の一変形例では、エチレン性不飽和化合物は、エテン、プロペン、1-ブテン、シス-および/またはトランス-2-ブテン、イソブテン、1,3-ブタジエン、1-ペンテン、シス-および/またはトランス-2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ヘキセン、テトラメチルエチレン、ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、ジ-n-ブテン、またはそれらの混合物から選択される。
【0024】
方法の一変形例では、Rhを含む物質は、Rh(acac)(CO)、[(acac)Rh(COD)](Umicore、acac=アセチルアセトナートアニオン、COD=1,5-シクロオクタジエン)、RhCO12から選択される。
【0025】
方法の一変形例では、COは、工程c)において、1~6MPA(10~60バール)の範囲の圧力で投入される。
【0026】
方法の一変形例では、反応混合物は、工程d)において、80℃~160℃の範囲の温度に加熱される。
本発明は、実施例を用いて、以下により詳細に説明されるものとする。
【実施例0027】
ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)(3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスファイト(1)の合成
【0028】
【化4】
【0029】
トルエン10mL中の2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-2’-((ジクロロホスファニル)オキシ)-5,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ-4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン(0.7254g、0.8496ミリモル)の溶液に、室温で、トルエン8mL中の4-tert-ブチルフェノール(0.2808g、1.8691ミリモル)とトリエチルアミン(2.39mL)の混合物を滴下して加える。この混合物を一晩撹拌し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾固する。得られた固体を60℃/0.1ミリバールで2時間乾燥させる。収量:0.869g(0.8036ミリモル、94%)。
元素分析(C6874の計算値=1081.273g/モル)、C=75.43(75.53)、H=7.06(6.90)、P=5.79(5.73)。
ESI-TOF HRMS:m/z=1103.4775;[M+Na]、m/zの計算値=1103.4756。
31P NMR(CDCl):δ132.2(d,JPP=49Hz);145.3(d,JPP=49Hz)。
H NMR(CDCl):δ1.15(s,9H);1.33(s,9H); 1.35(s,9H);1.53(s,9H);3.55(s,3H);3.76(s,3H);6.71-7.43(m,32H)ppm。
【0030】
3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル-ジ(ナフタレン-1-イル)ホスファイト(2)の合成
【0031】
【化5】
【0032】
トルエン8mL中の2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-2’-((ジクロロホスファニル)オキシ)-5,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ-4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン(0.5622g、0.6585ミリモル)に、室温で、トルエン6mL中の1-ナフトール(0.2088g、1.4487ミリモル)とトリエチルアミン(1.85mL)の混合物を滴下して加える。混合物を一晩撹拌し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾固する。得られた固体を60℃/0.1ミリバールで2時間乾燥させ、次に熱アセトニトリル6mL中に入れる。この溶液を-29℃で保管した後に得られた固体を分離し、少量の冷アセトニトリルで洗浄し、乾燥させる。収量:0.480g(0.449ミリモル、68%)。
元素分析(C6862の計算値=1069.178g/モル):C=76.36(76.39)、H=5.95(5.85)、P=5.67(5.79)。
ESI-TOF HRMS:m/z=1091.3801;[M+Na]、m/zの計算値=1091.3817。
31P NMR(CDCl):δ135.5(d,JPP=30Hz);146.2(d,JPP=30Hz)ppm。
H NMR(CDCl):δ1.14(s,9H);1.63(s,9H);2.94(s,3H);3.87(s,3H);6.33(d,HH=3.1Hz;1H);6.74(d,HH=3.1Hz;1H);6.89-7.84(m,35H);8.12(m,1H)ppm。
【0033】
3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-2’-((4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-イル)オキシ)-の[1,1’-ビフェニル]-2-イルジ(ナフタレン-2-イル)ホスファイト(3)の合成
【0034】
【化6】
【0035】
トルエン8mL中の2-((3,3’-ジ-tert-ブチル-2’-((ジクロロホスファニル)オキシ)-5,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)オキシ-4,4,5,5-テトラフェニル-1,3,2-ジオキサホスホラン(0.5971g、0.6993ミリモル)に、室温で、トルエン6mL中の2-ナフトール(0.2218g、1.5386ミリモルとトリエチルアミン(1.96mL)の混合物を滴下して加える。混合物を一晩撹拌し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮乾固する。得られた固体を60℃/0.1ミリバールで2時間乾燥させ、次に熱アセトニトリル6.5mL中に入れる。この溶液を-29℃で保管した後に得られた固体を分離し、少量の冷アセトニトリルで洗浄し、乾燥させる。収量:0.470g(0.439ミリモル、63%)。
元素分析(C6862の計算値=1069.178g/モル):C=76.18(76.39)、H=5.88(5.85)、P=5.74(5.79)。
ESI-TOF HRMS:m/z=1091.3811;[M+Na]、m/zの計算値=1091.3817。
31P NMR(CDCl):δ131.8(d,JPP=56Hz);145.0(d,JPP=56Hz)ppm。
H NMR(CDCl):δ1.15(s,9H);1.58(s,9H);3.48(s,3H);3.77(s,3H);6.78(m,1H);6.83(m,1H);6.86(m,1H);6.93-7.03(m,8H);7.07-7.23(m,11);7.35-7.52(m,10H);7.66(m,1H);7.72-7.85(m,5H)ppm。
【0036】
触媒実験
圧力保持バルブ、ガス流量計、スパージングスターラー、および圧力ピペットを備えた、Premex Reactor AG社(スイス レンガウ)製の200mLオートクレーブでヒドロホルミル化を実施した。水分と酸素の影響を最小限に抑えるために、溶媒として使用するトルエンをPure Solv.MD-7システムで精製し、アルゴン下で保管した。基質として使用するオレフィンシス/トランス-2-ペンテン(Aldrich社)を、ナトリウムを用いて還流加熱し、アルゴン下で蒸留した。触媒前駆体とリガンドのトルエン溶液をアルゴン雰囲気下、オートクレーブ内で混合した。[(acac)Rh(COD)](Umicore、acac=アセチルアセトナートアニオン;COD=1,5-シクロオクタジエン)を触媒前駆体として使用した。オートクレーブを撹拌しながら(1,500rpm)、12バール、最終的には20バールの圧力で加熱した。反応温度に達した後、圧力ピペット内で保たれる陽圧により、オレフィンをオートクレーブに注入した。反応を定圧(Bronkhorst社(オランダ)の閉ループ圧力制御装置)で4時間にわたって行った。反応時間の終わりに、オートクレーブを室温に冷却し、撹拌しながら減圧し、アルゴンでパージした。スターラーのスイッチを切った直後に各反応混合物1mLを取り出し、ペンタン10mLで希釈し、ガスクロマトグラフィーで分析した。HP5890シリーズIIプラス、PONA、50m×0.2mm×0.5μm。
【0037】
本発明に係る化合物(1)~(3)と、比較リガンド(D-1)を用いて反応を行った。
【0038】
【化7】
【0039】
反応条件
オレフィン:2-ペンテン、溶媒:トルエン、ロジウムの質量比:100ppm、圧力(p):20バール、温度(T):120℃、時間(t):4時間、Rh:リガンド比=1:2。
結果を次の表にまとめている。
【0040】
【表1】
* 本発明に係る化合物
【0041】
実験結果が示すように、課題は本発明に係る化合物によって解決される。
【外国語明細書】