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特開2022-145581通信システム、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145581
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】通信システム、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/16 20090101AFI20220926BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20220926BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20220926BHJP
   H04W 80/02 20090101ALI20220926BHJP
   H04W 84/12 20090101ALN20220926BHJP
【FI】
H04W28/16
H04W16/28 150
H04W88/12
H04W80/02
H04W84/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035631
(22)【出願日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2021045792
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「高ノイズ環境における周波数共用のための適応メディアアクセス制御に関する研究開発、技術課題ア(4)無線局連携送受信技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の摘用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 良久
(72)【発明者】
【氏名】四方 博之
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067AA41
5K067CC04
5K067DD17
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】同期を必要とせず、広域をカバー可能な通信システムを提供する。
【解決手段】複数の基地局1~5は、送信元である端末装置20との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、相互に同期せずに、端末装置20からブロードキャストされたパケットを受信する。制御装置6は、複数の基地局1~5から有線通信によってパケットを受信し、その受信したパケットに対して受信処理を実行して受信パケットを生成し、その生成した受信パケットをネットワークNWを介して送信先である端末装置30へ送信する。受信処理は、符号化パケットを復号すること、重複パケットを解消すること、およびシーケンス番号の順序にパケットを並べることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、前記送信元からブロードキャストされたパケットを受信する複数の基地局と、
前記複数の基地局から前記パケットを受信し、その受信したパケットに対して受信処理を実行して受信パケットを生成し、その生成した受信パケットをネットワークを介して送信先へ送信する制御装置とを備える通信システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数の基地局から受信したパケットが符号化パケットからなるとき、前記受信処理において、前記符号化パケットを復号して複数の単体パケットを取得し、前記複数の単体パケットの重複を解消し、前記重複を解消した複数の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて前記受信パケットを生成する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御装置は、複数の前記符号化パケットを表す複数の連立方程式を解いて前記複数の単体パケットを取得する、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の基地局から受信したパケットが第1の単体パケットに符号化パケットを付与した結合パケットからなるとき、前記受信処理において、前記結合パケットの前記符号化パケットを復号して複数の第2の単体パケットを取得し、前記第1の単体パケットおよび前記複数の第2の単体パケットの重複を解消し、前記重複を解消した複数の第3の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて前記受信パケットを生成する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記複数の第2の単体パケットのシーケンス番号は、前記第1の単体パケットのシーケンス番号よりも小さい、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記符号化パケットがn(nは、1以上の整数である。)個の前記第2の単体パケットを含むとき、相互に異なるn個の前記結合パケットを受信した時点において、前記n個の結合パケットに含まれるn個の前記符号化パケットを表すn個の式からなる連立方程式を解いて前記複数の第2の単体パケットを取得する、請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記複数の基地局から受信したパケットが複数の単体パケットからなるとき、前記受信処理において、前記複数の単体パケットの重複を解消し、前記重複を解消した複数の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて前記受信パケットを生成する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記複数の基地局は、相互に同期せずに、前記送信元からブロードキャストされたパケットを受信する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
送信元からネットワークを介して送信されたパケットを受信し、その受信したパケットを符号化して符号化パケットを生成し、その生成した符号化パケットを複数の基地局に割り振る割振処理を実行する制御装置と、
送信先との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、前記制御装置から前記割振処理によって割り振られたパケットをそれぞれ受信し、その受信したパケットを前記送信先へブロードキャストする複数の基地局とを備える通信システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記割振処理において、前記符号化パケットを前記複数の基地局に等分に割り振る、請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記割振処理において、前記複数の基地局の全てによる前記符号化パケットの送信数の総和が最小になるように前記符号化パケットを前記複数の基地局に割り振る、請求項9に記載の通信システム。
【請求項12】
前記制御装置は、前記割振処理において、1個の基地局の周辺における基地局の密度が第1の密度であるとき第1の個数の前記符号化パケットを前記1個の基地局に割り振り、前記基地局の密度が前記第1の密度よりも高い第2の密度であるとき、前記第1の個数よりも少ない第2の個数の前記符号化パケットを前記1個の基地局に割り振ることを前記複数の基地局の全てについて実行して前記符号化パケットを前記複数の基地局に割り振る、請求項9に記載の通信システム。
【請求項13】
前記第1および第2の密度の各々は、前記1個の基地局が自己の周辺における基地局から信号を受信したときの受信信号強度に基づいて決定される、請求項12に記載の通信システム。
【請求項14】
送信元からブロードキャストされたパケットを受信して送信先へ送信する通信システムにおいて実行されるプログラムであって、
前記通信システムは、前記送信元との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、前記送信元からブロードキャストされたパケットを受信する複数の基地局とを備え、
前記プログラムは、
受信手段が、前記複数の基地局から前記パケットを受信する第1のステップと、
処理手段が、前記第1のステップにおいて受信されたパケットに対して受信処理を実行して受信パケットを生成する第2のステップと、
送信手段が、前記第2のステップにおいて生成された受信パケットをネットワークを介して前記送信先へ送信する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
前記処理手段は、前記第1のステップにおいて前記複数の基地局から受信されたパケットが符号化パケットからなるとき、前記第2のステップの前記受信処理において、前記符号化パケットを復号して複数の単体パケットを取得し、前記複数の単体パケットの重複を解消し、前記重複を解消した複数の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて前記受信パケットを生成する、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
前記処理手段は、前記第2のステップの前記受信処理において、複数の前記符号化パケットを表す複数の連立方程式を解いて前記複数の単体パケットを取得する、請求項15に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記処理手段は、前記第1のステップにおいて前記複数の基地局から受信されたパケットが第1の単体パケットに符号化パケットを付与した結合パケットからなるとき、前記第2のステップの前記受信処理において、前記結合パケットの前記符号化パケットを復号して複数の第2の単体パケットを取得し、前記第1の単体パケットおよび前記複数の第2の単体パケットの重複を解消し、前記重複を解消した複数の第3の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて前記受信パケットを生成する、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
前記複数の第2の単体パケットのシーケンス番号は、前記第1の単体パケットのシーケンス番号よりも小さい、請求項17に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
前記処理手段は、前記符号化パケットがn(nは、1以上の整数である。)個の前記第2の単体パケットを含むとき、前記第2のステップの前記受信処理において、相互に異なるn個の前記結合パケットを受信した時点において、前記n個の結合パケットに含まれるn個の前記符号化パケットを表すn個の式からなる連立方程式を解いて前記複数の第2の単体パケットを取得する、請求項18に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
前記処理手段は、前記第1のステップにおいて前記複数の基地局から受信されたパケットが複数の単体パケットからなるとき、前記第2のステップの前記受信処理において、前記複数の単体パケットの重複を解消し、前記重複を解消した複数の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて前記受信パケットを生成する、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項21】
前記複数の基地局は、相互に同期せずに、前記送信元からブロードキャストされたパケットを受信する、請求項14から請求項20のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項22】
送信元からパケットを受信して送信先へブロードキャストする通信システムにおいて実行されるプログラムであって、
前記通信システムは、前記送信先との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、パケットを前記送信先へブロードキャストする複数の基地局とを備え、
受信手段が、前記送信元からネットワークを介してパケットを受信する第1のステップと、
処理手段が、前記第1のステップにおいて受信されたパケットを符号化して符号化パケットを生成する第2のステップと、
前記処理手段が、前記符号化パケットを複数の基地局に割り振る割振処理を実行する第3のステップと、
送信手段が、前記割振処理によって割り振られた前記符号化パケットを前記複数の基地局へ送信する第4のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項23】
前記処理手段は、前記第3のステップの前記割振処理において、前記符号化パケットを前記複数の基地局に等分に割り振る、請求項22に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
前記処理手段は、前記第3のステップの前記割振処理において、前記複数の基地局の全てによる前記符号化パケットの送信数の総和が最小になるように前記符号化パケットを前記複数の基地局に割り振る、請求項22に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項25】
前記処理手段は、前記第3のステップの前記割振処理において、1個の基地局の周辺における基地局の密度が第1の密度であるとき第1の個数の前記符号化パケットを前記1個の基地局に割り振り、前記基地局の密度が前記第1の密度よりも高い第2の密度であるとき、前記第1の個数よりも少ない第2の個数の前記符号化パケットを前記1個の基地局に割り振ることを前記複数の基地局の全てについて実行して前記符号化パケットを前記複数の基地局に割り振る、請求項22に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項26】
前記第1および第2の密度の各々は、前記1個の基地局が自己の周辺における基地局から信号を受信したときの受信信号強度に基づいて決定される、請求項25に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項27】
請求項14から請求項26のいずれか1項に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信システム、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
製造や物流等の現場におけるIoT技術の導入や生産効率の向上に関連し、現場の様々なアプリケーションを無線化することに対する期待が大きい。その中には、Automated Guided Vehicle (AGV)、物流倉庫の移動トレイ、もしくは作業者といった現場を動き回る物や人から、動画像や音声等をリアルタイムで伝送し、画像診断や作業支援に使用したいといったニーズも含まれる。
【0003】
通信速度の側面から言えば、一般的なIEEE 802.11ax等の通信技術によってこれらのアプリケーションを動作させることは決して困難ではない。しかし、製造や物流の現場においては、これらのアプリケーションの停止が生産や作業のスループットに直接影響するため、単純に動作する以上の高い安定性が要求される。
【0004】
製造や物流の現場に対し、LTE(Long Time Revolution)や5G等の広域通信技術やミリ波帯を用いた広帯域通信など、様々な通信技術の適用が試みられている。その中でも、いわゆるWi-Fiとしても世に普及したIEEE 802.11による無線LAN(Local Area Network)は、機器の入手性やコスト、自前でのメンテナンスが比較的容易であるといった観点から、現場の要求に合致する利点も多く、導入の候補に挙げられることの多い通信技術であると考えられる。
【0005】
従来、複数のアクセスポイントを協調運用するために、実際の自動倉庫システムにおいて、荷物を出し入れするための可動部からリアルタイム通信を模擬した信号を送信し、それをアクセスポイントを模擬した複数の受信点で同時受信させる実験を行い、複数のアクセスポイントによる同時受信の実用可能性が検討されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】近藤 良久,“複数無線LANアクセスポイント協調運用に向けた自動倉庫システムにおける基礎実験”,電子情報通信学会RCS研究会,RCC2018-95.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、非特許文献1に記載のように、複数のアクセスポイントによる同時受信には、アクセスポイント間の高精度の同期が必要であるという問題がある。
【0008】
また、Wi-Fiは、カバレッジが狭く、複数の基地局を切り替えることによって広域をカバーする必要があり、ネットワークのエッジ付近の通信品質が悪く、エッジの通信品質を改善するためには、基地局を密に配置する必要があるという問題がある。
【0009】
そこで、この発明の実施の形態によれば、同期を必要とせず、広域をカバー可能な通信システムを提供する。
【0010】
また、この発明の実施の形態によれば、同期を必要とせず、広域をカバー可能な通信システムにおいて実行されるプログラムを提供する。
【0011】
更に、この発明の実施の形態によれば、同期を必要とせず、広域をカバー可能な通信システムにおいて実行されるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、通信システムは、複数の基地局と、制御装置とを備える。複数の基地局は、送信元との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、送信元からブロードキャストされたパケットを受信する。制御装置は、複数の基地局からパケットを受信し、その受信したパケットに対して受信処理を実行して受信パケットを生成し、その生成した受信パケットをネットワークを介して送信先へ送信する。
【0013】
(構成2)
構成1において、制御装置は、複数の基地局から受信したパケットが符号化パケットからなるとき、受信処理において、符号化パケットを復号して複数の単体パケットを取得し、複数の単体パケットの重複を解消し、その重複を解消した複数の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0014】
(構成3)
構成2において、制御装置は、複数の符号化パケットを表す複数の連立方程式を解いて複数の単体パケットを取得する。
【0015】
(構成4)
構成1において、制御装置は、複数の基地局から受信したパケットが第1の単体パケットに符号化パケットを付与した結合パケットからなるとき、受信処理において、結合パケットの符号化パケットを復号して複数の第2の単体パケットを取得し、第1の単体パケットおよび複数の第2の単体パケットの重複を解消し、その重複を解消した複数の第3の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0016】
(構成5)
構成4において、複数の第2の単体パケットのシーケンス番号は、第1の単体パケットのシーケンス番号よりも小さい。
【0017】
(構成6)
構成5において、制御装置は、符号化パケットがn(nは、1以上の整数である。)個の第2の単体パケットを含むとき、相互に異なるn個の結合パケットを受信した時点において、n個の結合パケットに含まれるn個の符号化パケットを表すn個の式からなる連立方程式を解いて複数の第2の単体パケットを取得する。
【0018】
(構成7)
構成1において、制御装置は、複数の基地局から受信したパケットが複数の単体パケットからなるとき、受信処理において、複数の単体パケットの重複を解消し、その重複を解消した複数の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0019】
(構成8)
構成1から構成7のいずれかにおいて、複数の基地局は、相互に同期せずに、送信元からブロードキャストされたパケットを受信する。
【0020】
(構成9)
また、この発明の実施の形態によれば、通信システムは、制御装置と、複数の基地局とを備える。制御装置は、送信元からネットワークを介して送信されたパケットを受信し、その受信したパケットを符号化して符号化パケットを生成し、その生成した符号化パケットを複数の基地局に割り振る割振処理を実行する。複数の基地局は、送信先との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、制御装置から割振処理によって割り振られたパケットをそれぞれ受信し、その受信したパケットを送信先へブロードキャストする。
【0021】
(構成10)
構成9において、制御装置は、割振処理において、符号化パケットを複数の基地局に等分に割り振る。
【0022】
(構成11)
構成9において、制御装置は、割振処理において、複数の基地局の全てによる符号化パケットの送信数の総和が最小になるように符号化パケットを複数の基地局に割り振る。
【0023】
(構成12)
構成9において、制御装置は、割振処理において、1個の基地局の周辺における基地局の密度が第1の密度であるとき第1の個数の符号化パケットを1個の基地局に割り振り、基地局の密度が第1の密度よりも高い第2の密度であるとき、第1の個数よりも少ない第2の個数の符号化パケットを1個の基地局に割り振ることを複数の基地局の全てについて実行して符号化パケットを複数の基地局に割り振る。
【0024】
(構成13)
構成12において、第1および第2の密度の各々は、1個の基地局が自己の周辺における基地局から信号を受信したときの受信信号強度に基づいて決定される。
【0025】
(構成14)
更に、この発明の実施の形態によれば、プログラムは、送信元からブロードキャストされたパケットを受信して送信先へ送信する通信システムにおいて実行されるプログラムであって、
通信システムは、送信元との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、送信元からブロードキャストされたパケットを受信する複数の基地局とを備え、
プログラムは、
受信手段が、複数の基地局から前記パケットを受信する第1のステップと、
処理手段が、第1のステップにおいて受信されたパケットに対して受信処理を実行して受信パケットを生成する第2のステップと、
送信手段が、第2のステップにおいて生成された受信パケットをネットワークを介して送信先へ送信する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0026】
(構成15)
構成14において、処理手段は、第1のステップにおいて複数の基地局から受信されたパケットが符号化パケットからなるとき、第2のステップの受信処理において、符号化パケットを復号して複数の単体パケットを取得し、複数の単体パケットの重複を解消し、重複を解消した複数の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0027】
(構成16)
構成15において、処理手段は、第2のステップの受信処理において、複数の符号化パケットを表す複数の連立方程式を解いて複数の単体パケットを取得する。
【0028】
(構成17)
構成14において、処理手段は、第1のステップにおいて複数の基地局から受信されたパケットが第1の単体パケットに符号化パケットを付与した結合パケットからなるとき、第2のステップの受信処理において、結合パケットの符号化パケットを復号して複数の第2の単体パケットを取得し、第1の単体パケットおよび複数の第2の単体パケットの重複を解消し、その重複を解消した複数の第3の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0029】
(構成18)
構成17において、複数の第2の単体パケットのシーケンス番号は、第1の単体パケットのシーケンス番号よりも小さい。
【0030】
(構成19)
構成18において、処理手段は、符号化パケットがn(nは、1以上の整数である。)個の第2の単体パケットを含むとき、第2のステップの受信処理において、相互に異なるn個の結合パケットを受信した時点において、n個の結合パケットに含まれるn個の符号化パケットを表すn個の式からなる連立方程式を解いて複数の第2の単体パケットを取得する。
【0031】
(構成20)
構成14において、処理手段は、第1のステップにおいて複数の基地局から受信されたパケットが複数の単体パケットからなるとき、第2のステップの受信処理において、複数の単体パケットの重複を解消し、その重複を解消した複数の単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0032】
(構成21)
構成14から構成20のいずれかにおいて、複数の基地局は、相互に同期せずに、送信元からブロードキャストされたパケットを受信する。
【0033】
(構成22)
更に、この発明の実施の形態によれば、プログラムは、送信元からパケットを受信して送信先へブロードキャストする通信システムにおいて実行されるプログラムであって、
通信システムは、送信先との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有するように配置され、パケットを送信先へブロードキャストする複数の基地局とを備え、
受信手段が、送信元からネットワークを介してパケットを受信する第1のステップと、
処理手段が、第1のステップにおいて受信されたパケットを符号化して符号化パケットを生成する第2のステップと、
処理手段が、符号化パケットを複数の基地局に割り振る割振処理を実行する第3のステップと、
送信手段が、割振処理によって割り振られた符号化パケットを複数の基地局へ送信する第4のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0034】
(構成23)
構成22において、処理手段は、第3のステップの割振処理において、符号化パケットを複数の基地局に等分に割り振る。
【0035】
(構成24)
構成22において、処理手段は、第3のステップの割振処理において、複数の基地局の全てによる符号化パケットの送信数の総和が最小になるように符号化パケットを複数の基地局に割り振る。
【0036】
(構成25)
構成22において、処理手段は、第3のステップの割振処理において、1個の基地局の周辺における基地局の密度が第1の密度であるとき第1の個数の符号化パケットを1個の基地局に割り振り、基地局の密度が第1の密度よりも高い第2の密度であるとき、第1の個数よりも少ない第2の個数の符号化パケットを1個の基地局に割り振ることを複数の基地局の全てについて実行して符号化パケットを複数の基地局に割り振る。
【0037】
(構成26)
構成25において、第1および第2の密度の各々は、1個の基地局が自己の周辺における基地局から信号を受信したときの受信信号強度に基づいて決定される。
【0038】
(構成27)
更に、この発明の実施の形態によれば、記録媒体は、構成14から構成26のいずれかに記載されたプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0039】
同期を必要とせず、広域をカバーできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】この発明の実施の形態による通信システムの概略図である。
図2図1に示す制御装置の概略図である。
図3図1に示す端末装置20の概略図である。
図4】画像の送信を示す概念図である。
図5】パケットのフォーマットを示す概略図である。
図6図3に示すバッファの概略図である。
図7】パケットを符号化する方法を説明するための図である。
図8】MBurst個のパケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)を送信するときの符号化パケットの生成方法を説明する図である。
図9】バーストを構成するパケットの送信方法を説明するための図である。
図10】バーストを構成するパケットの別の送信方法を説明するための図である。
図11】バーストを構成するパケットの更に別の送信方法を説明するための図である。
図12】バーストを構成するパケットの更に別の送信方法を説明するための図である。
図13図3に示す端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図14図13に示すステップS8の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図15図3に示す端末装置の動作を説明するための別のフローチャートである。
図16図1に示す通信システム10の動作を説明するためのフローチャートである。
図17図16に示すステップS27の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図18図16に示すステップS29の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図19図16に示すステップS30の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図20】バーストを構成するパケットの受信時におけるNバッファおよびCバッファの変遷を示す図である。
図21】この発明の実施の形態による別の通信システムの概略図である。
図22図21に示す制御装置の概略図である。
図23】対応表TBL1の概略図である。
図24】対応表TBL2の概略図である。
図25】対応表TBL3の概略図である。
図26図21に示す通信システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図27図26に示すステップS101の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図28図26に示すステップS101の詳細な動作を説明するための別のフローチャートである。
図29図26に示すステップS103の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0042】
図1は、この発明の実施の形態による通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による通信システム10は、基地局1~5と制御装置6とを備える。基地局1~5および制御装置6は、無線通信空間に配置される。
【0043】
基地局1~5は、有線ケーブルを介して制御装置6に接続される。また、基地局1~5は、パケットの送信元である端末装置20との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーするように相互に異なる位置に配置される。
【0044】
アプリケーション(図示せず)は、例えば、カメラによって画像を撮影し、その撮影した画像の画像データをペイロードに含むパケットを端末装置20へ伝送する。そして、端末装置20は、アプリケーションからパケットを受けると、その受けたパケットを単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケット(単体パケットPKT_Nに符号化パケットPKT_Cを付与した構成からなる。)のいずれかによってブロードキャストする。
【0045】
基地局1~5は、端末装置20からブロードキャストされたパケットを無線通信によって受信し、その受信したパケットを有線通信によって制御装置6へ送信する。
【0046】
なお、基地局1~5が端末装置20から受信するパケットは、単体パケット、符号化パケットおよび結合パケットのいずれかからなる。
【0047】
制御装置6は、パケット(単体パケット、符号化パケット、および結合パケットのいずれか)を有線通信によって基地局1~5から受信する。
【0048】
そして、制御装置6は、基地局1~5からパケット(単体パケット、符号化パケット、および結合パケットのいずれか)を受信すると、その受信したパケット(単体パケット、符号化パケット、および結合パケットのいずれか)に対して受信処理を実行する。
【0049】
より具体的には、制御装置6は、基地局1~5から単体パケットを受信したとき、受信処理において、単体パケットの重複を解消し、その重複を解消した単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0050】
また、制御装置6は、基地局1~5から結合パケットを受信したとき、受信処理において、後述する方法によって結合パケットの符号化パケットを復号して単体パケットを取得し、その取得した単体パケットと結合パケットの単体パケットとの重複を解消し、その重複を解消した単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0051】
更に、制御装置6は、基地局1~5から符号化パケットを受信したとき、受信処理において、後述する方法によって符号化パケットを復号して単体パケットを取得し、その取得した単体パケットの重複を解消し、その重複を解消した単体パケットをシーケンス番号の順番になるように並び替えて受信パケットを生成する。
【0052】
制御装置6は、受信パケットを生成すると、ネットワークNWを介して受信パケットを送信先の端末装置30へ送信する。
【0053】
図2は、図1に示す制御装置6の概略図である。図2を参照して、制御装置6は、受信手段61と、処理手段62と、Nバッファ63と、Cバッファ64とを備える。
【0054】
受信手段61は、有線通信によってパケットPKT(単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_CBのいずれか)を基地局1~5から受信し、その受信したパケットPKT(単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_CBのいずれか)を処理手段62へ出力する。
【0055】
処理手段62は、単体パケットPKT_Nを受信手段61から受けると、後述する方法によって、単体パケットPKT_Nに対してNパケット受信処理を実行する。この場合、処理手段62は、Nパケット受信処理において、単体パケットPKT_Nが受信済でないとき、単体パケットPKT_NをNバッファ63に格納する。そして、処理手段62は、Nバッファ63に格納された全ての単体パケットPKT_NをネットワークNWを介して端末装置30へ送信する。
【0056】
一方、処理手段62は、結合パケットPKT_CBを受信手段61から受けると、結合パケットPKT_CBの符号化パケットPKT_Cと単体パケットPKT_Nとを分離する分離処理を実行する。そして、処理手段62は、その分離した単体パケットPKT_Nに対してNパケット受信処理を実行する。また、処理手段62は、Nバッファ63に格納済の単体パケットPKT_N(即ち、受信済の単体パケットPKT_N)の情報を符号化パケットPKT_Cから除去する除去処理を実行し、その除去処理後の符号化パケットPKT_C’が複数の単体パケットPKT_Nを含むとき、符号化パケットPKT_C’をCバッファ64に格納する。その後、処理手段62は、Cバッファ64に格納された符号化パケットPKT_C’に対して後述する復号処理を実行する。この場合、処理手段62は、復号処理において復号された単体パケットPKT_Nに対してNパケット受信処理を実行する。
【0057】
処理手段62は、符号化パケットPKT_Cを受信手段61から受けると、上述した分離処理を実行せずに、上述した除去処理および復号処理を順次実行する。
【0058】
端末装置20は、単体パケットPKT_Nをアプリケーションから受信する。そして、端末装置20は、後述する方法によって、単体パケットPKT_Nをリアルタイムトラフィックを構成するパケットとして無線通信によって基地局1~5へ送信する。
【0059】
図3は、図1に示す端末装置20の概略図である。図3を参照して、端末装置20は、バッファ21と、処理手段22と、送信手段23と、アンテナ24とを備える。
【0060】
バッファ21は、アプリケーション(図示せず)から到着した複数のパケットPKT_N(1)~PKT_N(V)を格納する。複数のパケットPKT_N(1)~PKT_N(V)の各々は、アプリケーションによって生成された生(Native)のパケットからなる。また、Vは、整数からなる。
【0061】
処理手段22は、タイマーを内蔵している。そして、処理手段22は、パケットが到着したか否かを判定する。そして、処理手段22は、パケットが到着したと判定したとき、到着したパケットPKT_N(v)(vは、1~Vの整数)のコピーをバッファ21に格納し、元のパケットPKT_N(v)を送信手段23へ出力する。また、処理手段22は、パケットが到着したと判定したとき、複数のパケットがバッファ21に格納されていれば、複数のパケットをバッファ21から取り出し、その取り出した複数のパケットに基づいて後述する方法によって符号化パケットPKT_Cを生成し、その生成した符号化パケットPKT_Cを送信手段23へ出力する。更に、処理手段22は、バッファ21から複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを符号化して符号化パケットPKT_Cを生成し、その生成した符号化パケットを単体パケットPKT_Nに付与して結合パケットPKT_CBを生成する。そして、処理手段22は、結合パケットPKT_CBを送信手段23へ出力する。なお、処理手段22は、タイマーを参照して、単体パケットPKT_N(v)、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_CBのいずれかを送信手段23へ出力する。
【0062】
送信手段23は、単体パケットPKT_N(v)、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_CBのいずれかを処理手段22から受けると、その受けた単体パケットPKT_N(v)、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_CBのいずれかを無線通信によってアンテナ24を介して基地局1~5へブロードキャストする。
【0063】
図4は、画像の送信を示す概念図である。図4を参照して、リアルタイム動画伝送の場合の特徴を説明する。Iピクチャは、前後のピクチャの差分を用いない圧縮画像からなり、サイズが大きい。Pピクチャは、前のピクチャとの差分を伝送するため、サイズが小さい。
【0064】
IピクチャおよびPピクチャは、周期的に送信される。そして、周期的な送信の際の送信パケット数は、異なり、バースト的に一度にパケットを送信する場合もある。また、Iピクチャは、IPPPIPPPIPのように周期的に生成されて送信される。
【0065】
Iピクチャを伝送する際にバーストが発生し、バーストのサイズは、一定でない。また、バーストを構成するパケットは、一度に到着せずに逐次到着する。
【0066】
更に、図4に示すPピクチャ、Pピクチャ、Pピクチャ、Iピクチャ、Pピクチャ、Pピクチャ、Pピクチャ、IピクチャおよびPピクチャにおいて、Pピクチャをペイロードに含むパケットおよびIピクチャをペイロードに含むパケットがアプリケーションから端末装置20に到着する時間間隔は、Tinterval_1であり、Iピクチャをペイロードに含む複数のパケットがアプリケーションから連続して端末装置20に到着する時間間隔は、Tinterval_1よりも短いTinterval_2である。
【0067】
図5は、パケットのフォーマットを示す概略図である。図5を参照して、パケットPKTは、ヘッダと、ペイロードとを含む。ヘッダは、送信先のIPアドレスを含む。
【0068】
ペイロードは、Packet Infoと、領域REG1と、Coded Infoと、領域REG2とを含む。領域REG1は、1個のパケットPKT_Nのペイロードを含む。領域REG2は、N個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(N)を符号化した符号化パケットPKT_Cを含む。領域REG1の長さは、Lであり、領域REG2の長さは、L~Lの最大値である。Lは、1個の単体パケットPKT_Nのデータ長であり、L~Lは、それぞれ、単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(N)のデータ長である。
【0069】
Packet Infoは、識別子N/Cと、シーケンス番号SNと、データ長Lとを含む。識別子N/Cは、領域REG1に含まれるパケットが単体のパケットPKT_Nであるか符号化パケットPKT_Cであるかを識別する識別子であり、“N”または“C”からなる。“N”は、単体パケットPKT_Nであることを表し、“C”は、符号化パケットPKT_Cであることを表す。シーケンス番号SNは、領域REG1に含まれるパケットの端末装置20への到着順序を表す。データ長Lは、領域REG1の長さを表す。
【0070】
Coded Infoは、識別子N/Cと、Num coded(N)と、Packet Info 1~Packet Info Nとを含む。識別子N/Cは、領域REG2に含まれるパケットが単体パケットPKT_Nであるか符号化パケットPKT_Cであるかを識別する識別子であり、“N”または“C”からなる。Num coded(N)は、領域REG2に含まれる符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_Nの個数を表す。
【0071】
Packet Info 1は、シーケンス番号SNと、データ長Lと、符号Cとを含む。以下、同様にして、Packet Info Nは、シーケンス番号SNと、データ長Lと、符号Cとを含む。
【0072】
Packet Info 1において、シーケンス番号SNは、符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_N(1)の端末装置20への到着順序を表し、データ長Lは、符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_N(1)のデータ長であり、符号Cは、N個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(N)を符号化したときのパケットPKT_N(1)の係数である。
【0073】
以下、同様にして、Packet Info Nにおいて、シーケンス番号SNは、符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_N(N)の端末装置20への到着順序を表し、データ長Lは、符号化パケットPKT_Cを構成する単体パケットPKT_N(N)のデータ長であり、符号Cは、N個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(N)を符号化したときの単体パケットPKT_N(N)の係数である。
【0074】
1個のパケットPKT_Nは、ペイロードがPacket Infoと領域REG1とを含む構成からなる。
【0075】
バースト的に一度に送信するためのパケットがMBurst(MBurstは、2≦MBurst<Vを満たす整数である。)個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)からなるとすると、MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)のうちの最初に端末装置20に到着した単体パケットPKT_N(1)以外の(MBurst-1)個の単体パケットPKT_N(2)~PKT_N(MBurst)から選択されたa(aは、1以上の整数である。)個の所定の単体パケットPKT_N(m)の各々が端末装置20に到着すると、所定の単体パケットPKT_N(m)よりも早く端末装置20に到着した単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(m-1)を符号化して符号化パケットPKT_C1を生成し、その生成した符号化パケットPKT_C1を所定のパケットPKT_N(m)に付与した結合パケットPKT_N/PKT_C1を生成することになる。
【0076】
従って、結合パケットPKT_N/PKT_C1は、ペイロードが[Packet Info/PKT_Nのデータ/Coded Info/PKT_N(1)のデータ~PKT_N(m-1)のデータ]を含む構成からなる。
【0077】
また、MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)が連続して端末装置20に到着したとき、MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)を符号化した符号化パケットPKT_C2を生成することになる。
【0078】
従って、符号化パケットPKT_C2は、ペイロードが[Coded Info/PKT_N(1)のデータ~PKT_N(MBurst)のデータ]を含む構成からなる。
【0079】
図6は、図3に示すバッファ21の概略図である。なお、図6は、バースト的に一度に送信するためのパケットの個数MBurstよりもバッファ21のサイズが大きい場合についてバッファ21の概略図を示す。
【0080】
図6を参照して、バッファ21は、例えば、リングバッファからなる。そして、バッファ21は、シーケンス番号SNが小さい順(即ち、古い順)にMBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)を格納する。単体パケットPKT_N(MBurst)は、現在時刻においてバッファ21に格納されたパケットであり、単体パケットPKT_N(1)~パケットPKT_N(MBurst-1)は、過去にバッファ21に格納されたパケットである。
【0081】
また、バッファ21は、パケット数が最大数を超えると、古いパケットから順に上書きする構成からなる。その結果、バッファ21は、常に、最大数のパケットを格納できる。
【0082】
単体パケットPKT_N(1),PKT_N(2),・・・,PKT_N(MBurst)が格納されたMBurst個の領域には、それぞれ、単体パケットPKT_N(1)のシーケンス番号SNおよびデータ長L、単体パケットPKT_N(2)のシーケンス番号SNおよびデータ長L、・・・、単体パケットPKT_N(MBurst)のシーケンス番号SNMBurstおよびデータ長LMBurstも格納される。
【0083】
即ち、アプリケーションから端末装置20に到着した単体パケットPKT_N(PKT_N(1)~PKT_N(MBurst)のいずれか)がペイロードを構成し、バッファ21の各領域には、[SN/L/ペイロード/パディング(全て“0”)]が格納される。なお、パディング(全て“0”)は、[SN/L/ペイロード]の長さが最大長にならない場合に追加される。
【0084】
図7は、パケットを符号化する方法を説明するための図である。図7においては、パケットX(iは、1,2,3,・・・)と符号化パケットYi-1とを符号化する方法を説明する。
【0085】
図7を参照して、パケットXは、Lバイトのデータ長を有するので、パケットXは、L×8/n個の成分Xi,1,Xi,2,Xi,3,Xi,4,・・・,Xi,Li×8/nと、“0”からなるパディングとを含む。成分Xi,1,Xi,2,Xi,3,Xi,4,・・・,Xi,Li×8/nの各々は、n(nは、正の整数である。)ビットの長さを有する。符号Cは、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなる。ここで、nは、例えば、8からなる。
【0086】
符号化パケットYi-1は、成分Yi-1,1,Yi-1,2,Yi-1,3,Yi-1,4,・・・,Yi-1,Li×8/n,Yi-1,Max×8/nからなる。成分Yi-1,1,Yi-1,2,Yi-1,3,Yi-1,4,・・・,Yi-1,Li×8/n,Yi-1,Max×8/nの各々は、nビットの長さを有する。
【0087】
符号Cを成分Xi,1,Xi,2,Xi,3,Xi,4,・・・,Xi,Li×8/nの各々に乗算して乗算結果C・Xi,1,C・Xi,2,C・Xi,3,C・Xi,4,・・・,C・Xi,Li×8/nを生成する。この場合、符号Cと、成分Xi,1,Xi,2,Xi,3,Xi,4,・・・,Xi,Li×8/nの各々との乗算は、ガロア体GF(2)上の乗算として実行される。
【0088】
その後、乗算結果C・Xi,1と成分Yi-1,1との排他的論理和を演算して成分Yi,1を生成し、乗算結果C・Xi,2と成分Yi-1,2との排他的論理和を演算して成分Yi,2を生成し、乗算結果C・Xi,3と成分Yi-1,3との排他的論理和を演算して成分Yi,3を生成し、乗算結果C・Xi,4と成分Yi-1,4との排他的論理和を演算して成分Yi,4を生成し、以下、同様にして、乗算結果C・Xi,Li×8/nと成分Yi-1,Li×8/nとの排他的論理和を演算して成分Yi,Li×8/nを生成し、更に、“0”からなるパディングと成分Yi-1,Max×8/nとの排他的論理和を演算して成分Yi,Max×8/nを生成する。これによって、符号化パケットY=[Yi,1,Yi,2,Yi,3,Yi,4,・・・,Yi,Li×8/n,・・・,Yi,Max×8/n]が生成される。
【0089】
図8は、MBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)を送信するときの符号化パケットの生成方法を説明する図である。
【0090】
図8においては、パケットP,P,P,Pが端末装置20に到着したタイミングで符号化パケットを基地局1~5へ送信すると判定するものとする。
【0091】
図8の(a)を参照して、バーストを構成するMBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)は、パケットP~Pからなる。そして、バッファ21に格納できるパケットの最大数は、6個である。即ち、バーストを構成するパケットの個数MBurstは、バッファ21のサイズMBuffer以下である。
【0092】
端末装置20の処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーする(図8の(a)(i)参照)。そして、処理手段22は、バッファ21からパケットPを取り出し、その取り出したパケットP図7において説明した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。
【0093】
より具体的には、処理手段22は、nビット長の“0”からなる符号化パケットY={000・・・0}を生成し、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなる符号Cを生成する。そして、処理手段22は、パケットX(=P)と符号化パケットY={000・・・0}と符号Cとに基づいて、図7において説明した方法によって、符号化パケットY(=C)を生成する。
【0094】
その後、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーする(図8の(a)(ii)参照)。そして、処理手段22は、バッファ21からパケットPを取り出す。その後、処理手段22は、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなる符号Cを生成する。そうすると、処理手段22は、パケットX(=P)と符号化パケットYと符号Cとに基づいて、図7において説明した方法によって、符号化パケットY(=C)を生成する。
【0095】
以下、同様にして、パケットP~Pが端末装置20に到着したタイミングで、それぞれ、符号化パケットY~Y(=C~C)を順次生成する(図8の(a)(iii)~(vi)参照)。この場合、パケットPが端末装置20に到着し、パケットPをバッファ21にコピーした段階で、バッファ21は、最大数MBufferのパケットを格納する。
【0096】
処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし(図8の(a)(iii)参照)、符号化パケットを送信すると判定する。そして、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着したタイミングで生成した符号化パケットY(=C)をパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。なお、結合パケットP/Cによって情報を送信することは、Piggybackによる情報の送信である。
【0097】
また、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし(図8の(a)(v)参照)、符号化パケットを送信すると判定する。そして、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着したタイミングで生成した符号化パケットY(=C)をパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。
【0098】
そして、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着し、符号化パケットY(=C)を生成した後、後述する方法によって、パケットPがバーストを構成するパケットP~Pのうちの最後のパケットPであると判定した後、未送信の符号化パケットY(=C)を送信手段23へ出力して符号化パケットY(=C)を単独で基地局1~5へ送信する。
【0099】
また、処理手段22は、バッファ21からパケットP~Pを取り出し、その取り出したパケットP~Pを符号化して符号化パケットY(=C)を生成する。そして、処理手段22は、符号化パケットY(=C)を送信手段23へ出力して符号化パケットY(=C)を単独で基地局1~5へ送信する。
【0100】
このように、処理手段22は、バーストを構成するパケットの個数MBurstがバッファ21のサイズMBuffer以下であるとき、バーストを構成する全てのパケットP~Pを含む符号化パケットY(=C)を生成して基地局1~5へ送信する。
【0101】
図8の(b)を参照して、バーストを構成するMBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)は、パケットP~P10からなる。そして、バッファ21に格納できるパケットの最大数は、6個である。即ち、バーストを構成するパケットの個数MBurstは、バッファ21のサイズMBufferよりも大きい。
【0102】
処理手段22は、パケットP~Pが端末装置20に到着したとき、図8の(a)において説明した処理を実行する(図8の(b)(i),(ii)参照)。
【0103】
そして、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーする(図8の(b)(iii)参照)。その結果、パケットPが端末装置20に到着した段階でバッファ21に格納されていたパケットP~P6は、それぞれ、パケットP~Pによって上書きされる。
【0104】
処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーした後、バッファ21からパケットPを取り出す。そして、処理手段12は、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなる符号Cを生成する。そうすると、処理手段22は、パケットX(=P)と符号化パケットYと符号Cとに基づいて、図7において説明した方法によって、符号化パケットY(=C)を生成する。
【0105】
その後、処理手段22は、パケットP~P10が端末装置20に到着したタイミングで、同様にして、それぞれ、符号化パケットY(=C)~Y10(=C10)を生成する(図8の(b)(iv)~(vi)参照)。
【0106】
そして、パケットP10をバッファ21にコピーした段階で、バッファ21は、パケットP~P10を格納する。
【0107】
処理手段22は、パケットP10が端末装置20に到着し、符号化パケットY10(=C10)を生成した後、後述する方法によって、パケットP10がバーストを構成するパケットP~P10のうちの最後のパケットP10であると判定した後、未送信の符号化パケットY10(=C10)を送信手段23へ出力して符号化パケットY10(=C10)を単独で基地局1~5へ送信する。
【0108】
また、処理手段22は、バッファ21からパケットP~P10を取り出し、その取り出したパケットP~P10を符号化して符号化パケットY11(=C11)を生成する。そして、処理手段22は、符号化パケットY11(=C11)を送信手段23へ出力して符号化パケットY11(=C11)を単独で基地局1~5へ送信する。
【0109】
このように、処理手段22は、バーストを構成するパケットの個数MBurstがバッファ21のサイズMBufferよりも大きいとき、バーストを構成するパケットP~P10のうちのパケットP~P10を含む符号化パケットY11(=C11)を生成して基地局1~5へ送信する。
【0110】
図8において説明したように、単独で送信される符号化パケットは、バーストを構成するパケットの個数MBurstとバッファ21のサイズMBufferとの大小関係によって異なるパケットを含む。
【0111】
なお、処理手段22は、バーストを構成するMBurst個の単体パケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)のうちの最後の単体パケットPKT_N(MBurst)がバッファ21に到着したか否かを次の方法によって判定する。
【0112】
処理手段22は、バーストを構成する先頭の単体パケットに含まれるバーストの個数MBurstに基づいてバーストの最後の単体パケットがバッファ21に到着したか否かを判定する。
【0113】
より具体的には、処理手段22は、単体パケットが到着する毎に、到着した単体パケットがバーストの個数MBurstを含むか否かを判定し、到着した単体パケットがバーストの個数MBurstを含むとき、到着した単体パケットからバーストの個数MBurstを検出する。そして、処理手段22は、バーストの個数MBurstを含む単体パケットからMBurst個目の単体パケットが到着すると、バーストの最後の単体パケットがバッファ21に到着したと判定する。
【0114】
また、処理手段22は、単体パケットが到着する毎に、到着した単体パケットがバーストの最後の単体パケットであることを示すフラグを含むか否かを判定し、到着した単体パケットがバーストの最後の単体パケットであることを示すフラグを含むとき、バーストの最後の単体パケットがバッファ21に到着したと判定する。
【0115】
図8においては、端末装置20は、符号化パケットPKT_Cを単体パケットPKT_Nに付与して基地局1~5へ送信すると説明したが、この発明の実施の形態においては、端末装置20は、1個の単体パケットPKT_Nがバッファ21に到着する毎に、バッファ21に格納された単体パケットPKT_Nを符号化して符号化パケットPKT_Cを生成し、その生成した符号化パケットPKT_Cを基地局1~5へ送信してもよい。
【0116】
より具体的には、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーすると、バッファ21に格納されたパケットPを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する(図8の(a)(i)参照)。また、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーすると、バッファ21に格納されたパケットP,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する(図8の(a)(ii)参照)。更に、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーすると、バッファ21に格納されたパケットP,P,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する(図8の(a)(iii)参照)。更に、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーすると、バッファ21に格納されたパケットP,P,P,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する(図8の(a)(iv)参照)。更に、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーすると、バッファ21に格納されたパケットP,P,P,P,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する(図8の(a)(v)参照)。更に、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーすると、バッファ21に格納されたパケットP,P,P,P,P,Pを符号化して符号化パケットCを生成し、その生成した符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する(図8の(a)(vi)参照)。なお、処理手段22は、図8の(b)に示す場合も、同様にして、1個の単体パケットPKT_Nが到着する毎に、バッファ21に格納されたパケットに基づいて符号化パケットPKT_Cを生成し、その生成した符号化パケットPKT_Cを送信手段23へ出力して符号化パケットPKT_Cを単独で基地局1~5へ送信する。
【0117】
また、端末装置20は、バーストを構成しない単体パケットPKT_N、およびバーストを構成する単体パケットPKT_Nをそのまま基地局1~5へ送信してもよい。この場合、処理手段22は、単体パケットPKT_Nが到着する毎に、到着した単体パケットPKT_Nをバッファ21にコピーし、元の単体パケットPKT_Nを送信手段23へ出力して元の単体パケットPKT_Nを単独で基地局1~5へ送信する。
【0118】
このように、この発明の実施の形態においては、端末装置20は、アプリケーションから単体パケットPKT_Nが到着すると、単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかを基地局1~5へ送信する。
【0119】
図9は、バーストを構成するパケットの送信方法を説明するための図である。図9においては、バーストを構成するMBurst個のパケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)がパケットP~Pである場合において、バーストを構成するMBurst個のパケットPKT_N(1)~PKT_N(MBurst)の送信方法を説明する。この場合、処理手段22は、例えば、パケットP,Pのいずれかが端末装置20に到着したタイミングで符号化パケットを送信すると判定し、パケットP,P,P,Pのいずれかが端末装置20に到着したタイミングでは符号化パケットを送信しないと判定するものとする。また、パケットP,Pが送信先へ送信できなかったものとする。
【0120】
図9を参照して、パケットP~Pは、バースト的に一度に送信するパケットを構成する。
【0121】
処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPがバーストの個数MBurstを含むと判定し、パケットPから個数MBurstを検出する。そして、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーし、パケットPがパケットP,P以外のパケットであるので(即ち、パケットPがm=1である単体パケットPKT_N(1)であるので)、符号化パケットを送信しないと判定する。そして、処理手段22は、元のパケットPを送信手段23へ出力してパケットPを基地局1~5へ送信する。その後、処理手段22は、バッファ21からパケットPを取り出し、その取り出したパケットPを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0122】
【数1】
【0123】
引き続いて、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、バーストを構成する2個目のパケットが到着したことを検知する。そして、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーし、パケットPがパケットP,P以外のパケットであるので(即ち、パケットPがm=2である単体パケットPKT_N(2)であるので)、符号化パケットを送信しないと判定する。そして、処理手段22は、元のパケットPを送信手段23へ出力してパケットPを基地局1~5へ送信する。その後、処理手段22は、パケットP,Pをバッファ21から取り出し、その取り出したパケットP,Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0124】
【数2】
【0125】
引き続いて、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、バーストを構成する3個目のパケットが到着したことを検知する。そして、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーし、パケットPがパケットP,Pのいずれかに該当するパケットであるので(即ち、パケットPがm=3である単体パケットPKT_N(3)であるので)、符号化パケットを送信すると判定する。そうすると、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着したタイミングで生成した符号化パケットCを元のパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。その後、処理手段22は、パケットP~Pをバッファ21から取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0126】
【数3】
【0127】
引き続いて、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、バーストを構成する4個目のパケットが到着したことを検知する。そして、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーし、パケットPがパケットP,P以外のパケットであるので(即ち、パケットPがm=4である単体パケットPKT_N(4)であるので)、符号化パケットを送信しないと判定する。そうすると、処理手段22は、元のパケットPを送信手段23へ出力してパケットPを基地局1~5へ送信する。そして、処理手段22は、パケットP~Pをバッファ21から取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0128】
【数4】
【0129】
その後、パケットPが端末装置20に到着すると、処理手段22は、バーストを構成する5個目のパケットが到着したことを検知する。そして、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーし、パケットPがパケットP,Pのいずれかに該当するパケットであるので(即ち、パケットPがm=5である単体パケットPKT_N(5)であるので)、符号化パケットを送信すると判定する。そうすると、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着したタイミングで生成した符号化パケットCを元のパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。その後、処理手段22は、パケットP~Pをバッファ21から取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0130】
【数5】
【0131】
引き続いて、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、バーストを構成する6個目のパケット(即ち、バーストを構成する最後のパケット)が到着したことを検知する。そして、処理手段22は、パケットPをバッファ21にコピーし、パケットPがパケットP,P以外のパケットであるので(即ち、パケットPがm=6である単体パケットPKT_N(6)であるので)、符号化パケットを送信しないと判定する。そうすると、処理手段22は、元のパケットPを送信手段23へ出力してパケットPを基地局1~5へ送信する。その後、処理手段22は、パケットP~Pをバッファ21から取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0132】
【数6】
【0133】
なお、符号化パケットCをパケットPに付与して基地局1~5へ送信しないのは、符号化パケットを単体パケットに付与して基地局1~5へ送信するタイミングがパケットP,Pのいずれかがバッファ21に到着したタイミングであると決定されているので、パケットPがバッファ21に到着したタイミングが符号化パケットを単体パケットに付与して基地局1~5へ送信するタイミングでないからである。
【0134】
その後、処理手段22は、バーストを構成するパケットP~Pのうちの最後のパケットPがバッファ21に到着した後、Tミリ秒が経過したか否かを判定する。ここで、Tは、T<T_interval_1を満たす時間であり、例えば、5ミリ秒である。
【0135】
処理手段22は、最後のパケットPがバッファ21に到着した後、Tミリ秒が経過したと判定したとき、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを基地局1~5へ送信する。
【0136】
そして、処理手段22は、符号化パケットの送信数がK個であるか否かを判定する。Kは、例えば、3である。また、Kは、バッファ21に格納されるパケット数に応じて変更されてもよい。この場合、Kは、K=A+B/Mによって決定される。Mは、バッファ21に格納されるパケット数であり、A,Bは、定数である。そして、A,B,Mの各々は、正の整数である。また、A+B/Mの演算結果が正の整数でないときは、小数点以下、第1位を四捨五入したものをA+B/Mの演算結果とする。K=A+B/Mによれば、バッファ21に格納されるパケット数Mが多くなれば、Kは、小さくなり、バッファ21に格納されるパケット数Mが少なくなれば、Kは、大きくなる。従って、符号化パケットの送信数KをK=A+B/Mによって決定することによって、バッファ21に格納されるパケット数Mが第1の個数であるとき、符号化パケットの送信数Kを第1の送信数に設定し、バッファ21に格納されるパケット数Mが第1の個数よりも多い第2の個数であるとき、符号化パケットの送信数Kを第1の送信数よりも少ない第2の送信数に設定する。つまり、バッファ21に格納されるパケット数Mが少なくなれば、より多くの符号化パケットを送信することになる。
【0137】
処理手段22は、符号化パケットの送信数がK個でないと判定したとき、バッファ21に格納されたパケットP~Pを取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0138】
【数7】
【0139】
そして、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを基地局1~5へ送信する。
【0140】
その後、処理手段22は、符号化パケットの送信数がK個(=3個)でないと判定する。そして、処理手段22は、バッファ21に格納されたパケットP~Pを取り出し、その取り出したパケットP~Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。符号化パケットCは、次式によって表される。
【0141】
【数8】
【0142】
そして、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを基地局1~5へ送信する。
【0143】
このように、処理手段22は、符号化パケットを単体で送信するとき、バッファ21に格納されている全てのパケットP~Pを用いて符号化パケットC~Cを生成する。
【0144】
引き続いて、処理手段22は、符号化パケットの送信数がK個(=3個)であると判定し、バッファ21をクリアする。
【0145】
式(6)~(8)に示すように、符号化パケットC,C,Cは、同じパケットP~Pを含み、係数Cのみが異なる符号化パケットである。係数Cは、ガロア体GF(2)上のnビット長の乱数からなるので、例えば、式(6)における係数a62,a64が零であることもある。この場合、符号化パケットCは、実質的に、パケットP,P,P,Pを含むことになる。符号化パケットC,Cについても同様である。
【0146】
基地局1~5は、端末装置20から送信されたパケットPの受信に失敗し、端末装置20から送信されたパケットPを受信する。また、基地局1~5は、端末装置20から送信された結合パケットP/Cの受信に失敗し、端末装置20から送信されたパケットP、結合パケットP/C、パケットPおよび符号化パケットC,C,Cを順次受信する。
【0147】
そして、基地局1~5は、受信したパケットP,P,P、結合パケットP/C、および符号化パケットC,C,Cを制御装置6へ有線通信によって送信する。
【0148】
制御装置6は、パケットP,P,P、結合パケットP/C、および符号化パケットC,C,Cを基地局1~5から受信する。
【0149】
制御装置6は、パケットP,Pおよび符号化パケットCを受信できなかったので、受信できなったパケットP,Pを符号化パケットC,Cから復号するために、符号化パケットC,Cから受信済のパケットP,Pの情報を除去する。
【0150】
より具体的には、制御装置6は、次式によって、符号化パケットCから受信済のパケットP,Pの情報を除去する。
【0151】
【数9】
【0152】
また、制御装置6は、次式によって、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,P,Pの情報を除去する。
【0153】
【数10】
【0154】
その結果、符号化パケットCから受信済のパケットP,Pの情報を除去した後の符号化パケットC’および符号化パケットCから受信済のパケットP,P,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC’は、共に、パケットP,Pを含む。
【0155】
そして、式(9)の左辺は、符号化パケットCとパケットPとの排他的論理和を演算し、その排他的論理和の演算結果とパケットPとの排他的論理和を演算することによって得られる。また、式(10)の左辺は、符号化パケットCとパケットPとの排他的論理和を演算し、その排他的論理和の演算結果とパケットPとの排他的論理和を演算し、その排他的論理和の演算結果とパケットPとの排他的論理和を演算し、その排他的論理和の演算結果とパケットPとの排他的論理和を演算することによって得られる。従って、制御装置6は、式(9)および式(10)の左辺の値を取得できる。
【0156】
また、式(9)の符号a41,a43は、符号化パケットCの“Coded Infoに含まれており、式(10)の符号a61,a63は、符号化パケットCの“Coded Infoに含まれているので(図5参照)、既知である。
【0157】
従って、制御装置6は、式(9)および式(10)の連立方程式を解くことによって、受信できなかったパケットP,Pを復号できる。
【0158】
また、制御装置6は、同様にして、符号化パケットC~Cから任意に選択した2つの符号化パケットに基づいて、受信できなかったパケットP,Pを復号できる。
【0159】
このように、制御装置6が受信できなかったパケットが2個のパケットP,Pである場合、端末装置20は、制御装置6が受信できなかったパケットの個数(=2個)以上の符号化パケットを送信することによって、受信できなかった2個のパケットP,Pを復号できる。
【0160】
制御装置6が結合パケットP/Cに代えて結合パケットP/Cを受信できなかった場合について、上記の方法によって、受信できなかった2個のパケットを復号できることを説明する。この場合、制御装置6は、2個のパケットP,Pを受信できなかったことになる。
【0161】
そこで、制御装置6は、符号化パケットCから受信済のパケットPの情報を除去した後の符号化パケットC’と、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC”とを次式によって算出する。
【0162】
【数11】
【0163】
従って、制御装置6は、式(11A),(11B)の連立方程式を解くことによって、受信できなかった2個のパケットP,Pを復号できる。
【0164】
符号化パケットC,Cがそれぞれ付与されるパケットP,P以外のパケットP,P,Pを制御装置6へ送信できなくても、制御装置6は、3個の符号化パケットC,C,Cを受信できる。
【0165】
そこで、制御装置6は、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC (3)と、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC (3)と、符号化パケットCから受信済のパケットP,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC (3)とを算出する。その結果、次式が得られる。
【0166】
【数12】
【0167】
制御装置6は、式(12A),(12B),(12C)の連立方程式を解くことによってパケットP,P,Pを復号できる。
【0168】
なお、制御装置6は、符号化パケットから受信済のパケットの情報を除去した後の符号化パケットCが1個のパケットのみを含むとき、次式によって符号化パケットCを1個のパケットPKT_Nに変換する。
【0169】
【数13】
【0170】
この場合、制御装置6は、受信済のパケットの情報を除去した符号化パケットCを式(13)の“Y”に代入し、受信済のパケットの情報を除去した符号化パケットCのいずれかに含まれる1個の符号Cを式(13)の“C”に代入する。なお、式(13)の演算は、ガロア体GF(2)上の演算である。
【0171】
図10は、バーストを構成するパケットの別の送信方法を説明するための図である。図10を参照して、処理手段22は、図9において説明したように、パケットP~Pをそれぞれバッファ21にコピーする毎に、それぞれ、符号化パケットC~Cを生成する。
【0172】
処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、符号化パケットCをパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。
【0173】
その後、処理手段22は、符号化パケットCを生成し、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、符号化パケットCをパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。
【0174】
更に、処理手段22は、符号化パケットCを生成し、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、符号化パケットCをパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。
【0175】
更に、処理手段22は、符号化パケットCを生成し、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、符号化パケットCをパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。
【0176】
更に、処理手段22は、符号化パケットCを生成し、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、符号化パケットCをパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。なお、符号化パケットCは、パケットP~Pを含むが(式(5)参照)、バーストを構成するパケットP~Pのうちの最後に端末装置20に到着したパケットPに符号化パケットCを付与して結合パケットを生成する場合、符号化パケットCは、バッファ21に格納された全てのパケットP~Pを含む。従って、結合パケットP/Cにおける符号化パケットCは、上記の式(5)ではなく、図10に示すようにパケットP~Pの全てを含む。
【0177】
このように、Piggybackによる符号化パケットの送信は、バーストを構成するパケットP~PのうちのパケットP~Pの各々において実行されてもよい。
【0178】
結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信した後、処理手段22は、図9において説明したように、符号化パケットC~Cをそれぞれ単独で基地局1~5へ送信する。
【0179】
図11は、バーストを構成するパケットの更に別の送信方法を説明するための図である。
【0180】
図11を参照して、処理手段22は、図9において説明したように、パケットP~Pをそれぞれバッファ21にコピーする毎に、それぞれ、符号化パケットC~Cを生成する。
【0181】
処理手段22は、パケットP~Pがそれぞれ端末装置20に到着したタイミングでは、それぞれ符号化パケットC~CをパケットP~Pに付与せずに、パケットP~Pをそれぞれ単独で基地局1~5へ送信する。
【0182】
そして、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、符号化パケットCをパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成し、その生成した結合パケットP/Cを送信手段23へ出力して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。この場合も、符号化パケットPは、上記の式(5)ではなく、図11に示すようにパケットP~Pの全てを含む。
【0183】
このように、Piggybackによる符号化パケットの送信は、バーストを構成するパケットP~Pのうちの最後のパケットPのみにおいて実行されてもよい。
【0184】
結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信した後、処理手段22は、図9において説明したように、符号化パケットC~Cをそれぞれ単独で基地局1~5へ送信する。
【0185】
図9から図11において説明したように、この発明の実施の形態においては、結合パケットによる符号化パケットの送信(即ち、Piggybackによる符号化パケットの送信)は、バーストを構成するパケットP~Pのうち、パケットP~Pから選択された1個以上のパケットがそれぞれ端末装置20に到着したタイミングで実行されればよい。
【0186】
図12は、バーストを構成するパケットの更に別の送信方法を説明するための図である。図12においては、バーストを構成する各パケットが端末装置20に到着する毎に符号化パケットPKT_Cを生成して基地局1~5へ送信する場合について、バーストを構成するパケットの送信方法を説明する。
【0187】
図12を参照して、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーする。そして、処理手段22は、バッファ21からパケットPを取り出し、その取り出したパケットPを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。その後、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する。
【0188】
また、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、バッファ21からパケットP,Pを取り出し、その取り出したパケットP,Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。そして、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する。
【0189】
更に、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、バッファ21からパケットP,P,Pを取り出し、その取り出したパケットP,P,Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。そして、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する。
【0190】
更に、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、バッファ21からパケットP,P,P,Pを取り出し、その取り出したパケットP,P,P,Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。そして、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する。
【0191】
更に、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、バッファ21からパケットP,P,P,P,Pを取り出し、その取り出したパケットP,P,P,P,Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。そして、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する。
【0192】
更に、処理手段22は、パケットPが端末装置20に到着すると、パケットPをバッファ21にコピーし、バッファ21からパケットP,P,P,P,P,Pを取り出し、その取り出したパケットP,P,P,P,P,Pを上述した方法によって符号化して符号化パケットCを生成する。そして、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力して符号化パケットCを単独で基地局1~5へ送信する。
【0193】
その後、処理手段22は、符号化パケットC~Cを生成し、その生成した符号化パケットC~Cをそれぞれ単独で基地局1~5へ送信する。
【0194】
このように、端末装置20は、バーストを構成する各パケットが到着する毎に、符号化パケットPKT_Cを生成し、その生成した符号化パケットPKT_Cを単独で基地局1~5へ送信する。
【0195】
なお、特に、図示しないが、端末装置20は、バーストを構成する各パケットをそのまま(即ち、符号化パケットPKT_Cを生成せずに)基地局1~5へ送信する。
【0196】
図13は、図3に示す端末装置20の動作を説明するためのフローチャートである。
【0197】
図13を参照して、端末装置20の動作が開始されると、処理手段22は、シーケンス番号SNをSN=0に設定する(ステップS1)。そして、処理手段22は、パケットがバッファ21に到着したか否かを判定する(ステップS2)。
【0198】
ステップS2において、パケットPKT_Nがバッファ21に到着したと判定されたとき、処理手段22は、SN=SN+1を設定し(ステップS3)、シーケンス番号SNとパケット長LとをパケットPKT_Nに追加し、シーケンス番号SN、パケット長LおよびパケットPKT_Nをバッファ21にコピーする(ステップS4)。なお、ステップS3が実行されることによって、バッファ21(即ち、端末装置20)に到着した順番を示すシーケンス番号SNがパケットPKT_Nおよびパケット長Lと共にバッファ21に格納される。
【0199】
その後、処理手段22は、符号化パケットCを送信するか否かを判定する(ステップS5)。図9から図11において説明したように、結合パケットによる符号化パケットの送信(即ち、Piggybackによる符号化パケットの送信)は、バーストを構成するパケットP~Pのうち、パケットP~Pから選択された1個以上のパケットがそれぞれ端末装置20に到着したタイミングで実行されるので、結合パケットによる符号化パケットの送信(即ち、Piggybackによる符号化パケットの送信)を実行するパケットPPiggybackを予め決定しておき、その決定したパケットPPiggybackがバッファ21(即ち、端末装置20)に到着すると、処理手段22は、符号化パケットCを送信すると判定し、パケットPPiggyback以外のパケットがバッファ21(即ち、端末装置20)に到着すると、符号化パケットCを送信しないと判定する。
【0200】
ステップS5において、符号化パケットCを送信すると判定されたとき、符号化パケットをNパケットPKT_Nに付与し(ステップS6)、結合パケットを生成する。
【0201】
そして、ステップS5において、符号化パケットCを送信しないと判定されたとき、またはステップS6の後、処理手段22は、パケットを送信手段23へ出力し、送信手段23は、処理手段22からのパケットをアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する(ステップS7)。
【0202】
その後、処理手段22は、上述した方法によって、バッファ21に格納されたパケットから符号化パケットCを生成する(ステップS8)。
【0203】
そして、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0204】
一方、ステップS2において、パケットがバッファ21に到着しなかったと判定されたとき、処理手段22は、最後のパケットがバッファ21に到着してからTミリ秒が経過したか否かを判定する(ステップS9)。
【0205】
ステップS9において、最後のパケットがバッファ21に到着してからTミリ秒が経過したと判定されたとき、処理手段22は、符号化パケットCを送信手段23へ出力し、送信手段23は、処理手段22から受けた符号化パケットCをアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する(ステップS10)。
【0206】
その後、処理手段22は、符号化パケットCの送信数がKであるか否かを判定する(ステップS11)。
【0207】
ステップS11において、符号化パケットCの送信数がKでないと判定されたとき、処理手段22は、バッファ21に格納されたパケットから符号化パケットCを生成する(ステップS12)。その後、一連の動作は、ステップS10へ移行し、ステップS11において、符号化パケットCの送信数がKであると判定されるまで、ステップS10~ステップS12が繰り返し実行される。
【0208】
そして、ステップS11において、符号化パケットCの送信数がKであると判定されると、処理手段22は、バッファ21をクリアする(ステップS13)。その後、一連の動作は、ステップS2へ移行する。また、ステップS9において、最後のパケットがバッファ21に到着してからTミリ秒が経過していないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0209】
図14は、図13に示すステップS8の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0210】
図14を参照して、図13のステップS7の後、処理手段22は、i=1を設定する(ステップS81)。ここで、iは、図13のステップS8が実行される時点においてバッファ21に格納された各パケットのシーケンス番号SNを示す引数である。そして、i=1は、バッファ21に格納されたパケットのうち、最も古いパケットを表す。
【0211】
ステップS81の後、処理手段22は、nビットの長さを有する“0”からなる符号化パケットY={000・・・0}を生成する(ステップS82)。
【0212】
そして、処理手段22は、バッファ21からパケットXを取得する(ステップS83)。
【0213】
その後、処理手段22は、ガロア体(GF(2))によってnビット長の乱数を生成し、その生成したnビット長の乱数をCに格納する(ステップS84)。
【0214】
そうすると、処理手段22は、パケットXの各要素Xi,1~Xi,Li×8/nにCを掛け、C・XとYi-1との排他的論理和を演算する。即ち、処理手段22は、次式によってYを算出する(ステップS85)。
【0215】
【数14】
【0216】
引き続いて、処理手段22は、パケットXのシーケンス番号SN、パケット長Lおよび符号CをCoded infoに追加する(ステップS86)。
【0217】
そして、処理手段22は、i=Iであるか否かを判定する(ステップS87)。ここで、Iは、図13のステップS8が実行される時点においてバッファ21に格納されたパケットのシーケンス番号SNの最大値を示す。
【0218】
ステップS87において、i=Iでないと判定されたとき、処理手段22は、i=i+1を設定する(ステップS88)。その後、一連の動作は、ステップS83へ移行し、ステップS87において、i=Iであると判定されるまで、ステップS83~ステップS88が繰り返し実行される。
【0219】
そして、ステップS87において、i=Iであると判定されると、処理手段22は、YとCoded infoとからなる符号化パケットを生成する(ステップS89)。
【0220】
その後、一連の動作は、図13のステップS2へ移行する。
【0221】
なお、図13のステップS12の詳細な動作も、図14に示すフローチャートによって実行される。この場合、図13のステップS11において、符号化パケットの送信数がKでないと判定されたとき、ステップS81~ステップS89が順次実行され、ステップS89の後、一連の動作は、図13のステップS10へ移行する。
【0222】
端末装置20は、駆動されている限り、図13に示すステップS1~ステップS13(図14に示すフローチャートを含む)を繰り返し実行する。
【0223】
図13に示すフローチャート(図14に示すフローチャートを含む)においては、ステップS1が実行された後に、処理手段22は、ステップS2において、バーストを構成しないパケットPKT_N(1)(図4に示すPピクチャを示すパケット)がバッファ21に到着したと判定すると、上述したステップS3,S4を順次実行した後、ステップS5において符号化パケットCを送信しないと判定し、ステップS7において、パケットPKT_N(1)を送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。
【0224】
その後、処理手段22は、ステップS8において、符号化パケットCを生成し、ステップS8の後、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0225】
そして、処理手段22は、ステップS2において、バーストを構成しないパケットPKT_N(図4に示すPピクチャを示すパケット)がバッファ21に到着したと判定する毎に、ステップS3,S4、ステップS5の“NO”およびステップS7を順次実行して単体のパケットPKT_Nを基地局1~5へ送信し、ステップS8において、符号化パケットCを生成する。その後、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0226】
なお、ステップS8において、バーストを構成しないパケットPKT_N(1)を符号化して符号化パケットを生成し、ステップS2において、パケットが到着しなかったと判定され、ステップS9において、最後のパケットがバッファ21に到着してからTミリ秒が経過したと判定された場合、符号化パケット(ほぼ、Nパケットからなる。)がK回送信されることになる(ステップS10~ステップS12参照)。
【0227】
なお、端末装置20は、バーストを構成する各パケットを単独で基地局1~5へ送信する場合も、バーストを構成しない各パケットを単独で基地局1~5へ送信する場合と同様に、ステップ3,S4、ステップS5の“NO”およびステップS7を順次実行してバーストを構成する各パケットを単独で基地局1~5へ送信する。
【0228】
次に、バーストを構成するパケット(例えば、図9に示すパケットP~Pのいずれか)がバッファ21に到着したときの端末装置20の動作を説明する。
【0229】
処理手段22は、ステップS2において、パケットPがバッファ21に到着したと判定し、上述したステップS3,S4を順次実行した後、ステップS5において符号化パケットCを送信しないと判定し、ステップS7において、パケットPを送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。
【0230】
そして、処理手段22は、ステップS8において、パケットPを含む符号化パケットCを生成し、その後、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0231】
その後、処理手段22は、ステップS2において、パケットPがバッファ21に到着したと判定し、上述したステップS3,S4を順次実行した後、ステップS5において符号化パケットCを送信しないと判定し、ステップS7において、パケットPを送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。そして、処理手段22は、ステップS8において、パケットP,Pを含む符号化パケットCを生成する。その後、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0232】
引き続いて、処理手段22は、ステップS2において、パケットPがバッファ21に到着したと判定し、上述したステップS3,S4を順次実行した後、ステップS5において符号化パケットC(=符号化パケットC)を送信すると判定し、ステップS6において、符号化パケットCをパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成する。そして、処理手段22は、ステップS7において、送信手段23およびアンテナ24を介して結合パケットP/Cを基地局1~5へ送信する。その後、処理手段22は、ステップS8において、パケットP~Pを含む符号化パケットCを生成する。そして、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0233】
処理手段22は、符号化パケットCを生成した後、ステップS2において、パケットPがバッファ21に到着したと判定し、上述したステップS3,S4を順次実行した後、ステップS5において符号化パケットCを送信しないと判定し、ステップS7において、パケットPを送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。そして、処理手段22は、ステップS8において、パケットP~Pを含む符号化パケットCを生成する。その後、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0234】
処理手段22は、符号化パケットCを生成した後、ステップS2において、パケットPがバッファ21に到着したと判定し、上述したステップS3,S4を順次実行した後、ステップS5において符号化パケットCを送信すると判定し、ステップS6において、符号化パケットCをパケットPに付与して結合パケットP/Cを生成する。そして、処理手段22は、ステップS7において、結合パケットP/Cを送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。
【0235】
その後、処理手段22は、ステップS8において、パケットP~Pを含む符号化パケットCを生成する。そして、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0236】
処理手段22は、符号化パケットCを生成した後、ステップS2において、パケットPがバッファ21に到着したと判定し、上述したステップS3,S4を順次実行した後、ステップS5において符号化パケットCを送信しないと判定し、ステップS7において、パケットPを送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。そして、処理手段22は、ステップS8において、パケットP~Pを含む符号化パケットCを生成する。その後、一連の動作は、ステップS2へ移行する。
【0237】
引き続いて、処理手段22は、ステップS2において、パケットがバッファ21に到着しなかったと判定し、ステップS9において、最後のパケット(=パケットP)がバッファ21に到着した後、Tミリ秒が経過したと判定し、ステップS10において、符号化パケットCを送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。そして、処理手段22は、ステップS11において、符号化パケットCの送信数がK(=3)でないと判定し、ステップS12において、バッファ21に格納されたパケットP~PからパケットP~Pを含む符号化パケットCを生成する。
【0238】
その後、処理手段22は、ステップS10において、符号化パケットCを送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。
【0239】
引き続いて、処理手段22は、ステップS11において、符号化パケットCの送信数がK(=3)でないと判定し、ステップS12において、バッファ21に格納されたパケットP~PからパケットP~Pを含む符号化パケットCを生成する。
【0240】
その後、処理手段22は、ステップS10において、符号化パケットCを送信手段23およびアンテナ24を介して基地局1~5へ送信する。
【0241】
そして、処理手段22は、ステップS11において、符号化パケットCの送信数がK(=3)であると判定し、ステップS13において、バッファ21をクリアする。
【0242】
図13に示すフローチャートにおいては、ステップS11における符号化パケットの送信数は、ステップS10において送信された符号化パケットの個数であり、ステップS7において、結合パケットによって送信された符号化パケットの個数を含まない。
【0243】
また、図8の(a)において説明したように、バーストを構成するパケットの個数MBurstがバッファ21のサイズMBuffer以下である場合、図13のステップS2においてパケットが到着しなかったと判定されたとき、パケットP~Pがバッファ21に格納されているので、処理手段22は、ステップS12において、パケットP~Pの全てを含む符号化パケットC,Cを生成することができる。その結果、ステップS7において、符号化パケット(符号化パケットC~Cの少なくとも1つ)を含む結合パケットまたは単体のパケット(図9のパケットP,P,P,P等)が基地局1~5によって受信できなくても、ステップS10において、基地局1~5が受信できなかったパケット(パケットP~Pのうちの一部のパケット)の個数以上の個数の符号化パケット(符号化パケットC,C等)を基地局1~5へ送信するように“K”を決定することによって、基地局1~5が受信できなかったパケット(パケットP~Pのうちの一部のパケット)を復号できる。
【0244】
更に、図8の(b)において説明したように、バーストを構成するパケットの個数MBurstがバッファ21のサイズMBufferよりも大きい場合、図10に示すように、パケットP~P10がそれぞれ端末装置20に到着したタイミングで、パケットP~P10に、それぞれ、符号化パケットC~Cを付与した結合パケットP/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P10/Cを基地局1~5へ送信するようにすると、符号化パケットC~Cは、次式によって表される。
【0245】
【数15】
【0246】
式(15)において、符号化パケットC~Cに含まれるパケットの個数が6個であるのは、バッファ21に格納できるパケットの最大数MBufferが“6”であるので、パケットPがバッファ21にコピーされると、パケットP~PがパケットP~Pによって上書きされ、パケットPがバッファ21にコピーされると、パケットP~PがパケットP~Pによって上書きされ、パケットPがバッファ21にコピーされると、パケットP~PがパケットP~Pによって上書きされるからである。
【0247】
そして、単体のパケットPおよび結合パケットP/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P10/Cは、図13のステップS7において送信される。
【0248】
単体のパケットPおよび結合パケットP/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P10/Cの個数(=10個)のうちの半分が基地局1~5によって受信できなかった場合、9個の結合パケットP/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P/C,P10/Cのうち、少なくとも4個の結合パケットが基地局1~5によって受信できる。
【0249】
この場合、基地局1~5がパケットPと、4個の結合パケットP/C,P/C,P/C,P/Cとを受信でき、5個の結合パケットP/C,P/C,P/C,P/C,P10/Cを受信できなかったとすると、基地局1~5は、パケットP~P10を受信できず、パケットP~Pを受信できたことになる。
【0250】
しかし、端末装置20は、図13のステップS10~S12を5回繰り返し実行することによって、パケットP~P10を含む5個の符号化パケットC10~C14を基地局1~5へ送信できる。5個の符号化パケットC10~C14は、次式によって表される。
【0251】
【数16】
【0252】
そして、制御装置6は、5個の符号化パケットC10~C14から受信済のパケットPの情報を除去して符号化パケットC10’,C11’,C12’,C13’,C14’を生成する。符号化パケットC10’,C11’,C12’,C13’,C14’の各々は、5個のパケットP~P10を含むので、次式の連立方程式を解くことによってパケットP~P10を復号できる。
【0253】
【数17】
【0254】
また、基地局1~5がパケットPと、5個の結合パケットP/C,P/C,P/C,P/C,P10/Cとを受信でき、4個の結合パケットP/C,P/C,P/C,P/Cを受信できなかったとすると、パケットP~Pを受信できなかったことになる。
【0255】
そうすると、制御装置6は、受信できなかったパケットの個数が“4個”であるので、式(15)の符号化パケットC~Cから4個の符号化パケットC~Cを選択し、符号化パケットC~Cから受信済のパケットP,P~Pの情報を除去し、受信済のパケットP,P~Pの情報を除去した符号化パケットC’~C’を示す連立方程式を解くことによってパケットP~Pを復号できる。
【0256】
このように、バーストを構成するパケットの個数MBurstがバッファ21のサイズMBufferよりも大きい場合においても、制御装置6は、基地局1~5が受信できなかったパケットを復号できる。
【0257】
更に、図13に示すフローチャート(図14に示すフローチャートを含む)においては、端末装置20は、バーストを構成するパケットP~Pの各パケットが端末装置20に到着する毎に、単体のパケットまたは結合パケット(符号化パケットを含む。)を基地局1~5へ送信するので、バーストを構成する複数のパケットP~Pを低遅延で基地局1~5へ送信できる。
【0258】
端末装置20は、バーストを構成するパケット(図9に示すパケットP~Pの全て)を基地局1~5へ送信した後、バーストを構成しないパケットPKT_N(図4に示すPピクチャを示すパケット)がバッファ21に到着したと判定すると、上述した方法によって、バーストを構成しないパケットPKT_N(図4に示すPピクチャを示すパケット)を基地局1~5へ送信する。
【0259】
このように、端末装置20は、図13に示すフローチャート(図14に示すフローチャートを含む)に従って、バーストを構成しないパケットおよびバーストを構成するパケットを基地局1~5へ送信する。
【0260】
図15は、図3に示す端末装置20の動作を説明するための別のフローチャートである。
【0261】
図15に示すフローチャートは、図13に示すフローチャートのステップS6~ステップS8をステップS14,S15に変えたものであり、その他は、図13に示すフローチャートと同じである。
【0262】
図15を参照して、端末装置20の動作が開始されると、上述したステップS1~ステップS5が順次実行される。
【0263】
そして、ステップS5において、符号化パケットPKT_Cを送信すると判定されると、処理手段22は、バッファ21に格納されたパケットを取り出し、その取り出したパケットを上述した方法によって符号化して符号化パケットPKT_Cを生成する(ステップS14)。
【0264】
そうすると、ステップS5において、符号化パケットPKT_Cを送信しないと判定されたとき、またはステップS14の後、処理手段22は、パケットを送信手段23へ出力してパケットを基地局1~5へ送信する。
【0265】
その後、一連の動作は、ステップS2へ移行する。処理手段22は、ステップS2において、パケットが到着したと判定される毎に、ステップS1~S5,S14,S15を順次実行することを繰り返し実行する。
【0266】
そして、ステップS2において、パケットが到着しなかったと判定されたとき、上述したステップS9~ステップS13が順次実行される。
【0267】
図15に示すフローチャートにおいて、ステップS12,S14の詳細な動作は、図14に示すフローチャートに従って実行される。
【0268】
図15に示すフローチャートにおいては、バーストを構成しない単体パケットPKT_Nが端末装置20に到着すると、ステップS2において、パケットが到着したと判定され、その後、ステップS3,S4が順次実行された後、ステップS5において、符号化パケットを送信しないと判定され、ステップS15において、バーストを構成しない単体パケットPKT_Nが基地局1~5へ送信される。
【0269】
一方、図12に示すように、バーストを構成するパケットPが端末装置20に到着すると、ステップS2において、パケットが到着したと判定され、その後、ステップS3,S4が順次実行された後、ステップS5において、符号化パケットを送信すると判定され、ステップS14において、バッファ21に格納されたパケットを上述した方法によって符号化して符号化パケットCが生成される。
【0270】
そして、ステップS15において、符号化パケットPKT_Cは、基地局1~5へ送信される。
【0271】
また、バーストを構成するパケットPが端末装置20に到着すると、ステップS2において、パケットが到着したと判定され、その後、ステップS3,S4が順次実行された後、ステップS5において、符号化パケットを送信すると判定され、ステップS14において、バッファ21に格納されたパケットを上述した方法によって符号化して符号化パケットCが生成される。
【0272】
そして、ステップS15において、符号化パケットPKT_Cは、基地局1~5へ送信される。
【0273】
更に、バーストを構成するパケットPが端末装置20に到着すると、ステップS2において、パケットが到着したと判定され、その後、ステップS3,S4が順次実行された後、ステップS5において、符号化パケットを送信すると判定され、ステップS14において、バッファ21に格納されたパケットを上述した方法によって符号化して符号化パケットCが生成される。
【0274】
そして、ステップS15において、符号化パケットPKT_Cは、基地局1~5へ送信される。
【0275】
更に、同様にして、バーストを構成するパケットP~Pが端末装置20に到着する毎に、ステップS2の“YES”、ステップS3、ステップS4、ステップS5の“YES”、ステップS14およびステップS15が順次実行され、符号化パケットPKT_C~Cが基地局1~5へ順次送信される。
【0276】
そして、ステップS15において、符号化パケットPKT_Cが基地局1~5へ送信された後の、ステップS2において、パケットが到着しなかったと判定されると、ステップS10~ステップS12において、図12に示す符号化パケットPKT_C~Cが基地局1~5へ順次送信される。
【0277】
このように、図15に示すフローチャート(図14に示すフローチャートを含む。)においては、バーストを構成しない単体パケットPKT_Nを単独で基地局1~5へ送信し、バーストを構成する単体パケットPKT_Nを符号化して符号化パケットC~Cを単独で基地局1~5へ送信できる。
【0278】
上述したように、端末装置20は、バーストを構成しないパケットを単独で基地局1~5へ送信し、バーストを構成するパケットを単体パケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットPKT_N/PKT_Cのいずれかによって基地局1~5へ送信する。
【0279】
端末装置20がパケットを基地局1~5へ送信(ブロードキャスト)することによって、以下の効果を得ることができる。
【0280】
[誤り率の改善]
複数の基地局1~5がパケットを同時に受信することによって、パケットの誤り率を低減することができる。
【0281】
複数の基地局1~5のうちのいずれか1つの基地局がパケットを受信すれば、パケットの受信に成功するため、トータルのパケット誤り率PER_TOTALは、次式によって表される。
【0282】
【数18】
【0283】
なお、式(18)におけるjは、各基地局を示す引数であり、PERは、基地局jのパケット誤り率である。
【0284】
式(18)より、基地局の個数を増やすほど、トータルのパケット誤り率PER_TOTALを低減できる。
【0285】
[ノイズ・干渉に強い]
一部の基地局がノイズ・干渉の影響を受けたとしても、影響の小さい他の離れた基地局でパケットを受信すれば良く、ノイズ・干渉に強くなる。
【0286】
[低遅延]
パケットの再送数または符号化率を下げられるので、低遅延になる。
【0287】
[基地局の切り替え不要]
基地局の切り替えが発生しないので、切り替えによる瞬断が発生しない。
【0288】
[容易なエリア拡張]
作業エリアに沿って基地局を配置することにより、シームレスに作業エリアを拡張できる。つまり、基地局の個数を単に増加するだけで作業エリアを拡張できる。
【0289】
図16は、図1に示す通信システム10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0290】
図16を参照して、通信システム10の動作が開始されると、基地局1~5は、端末装置20からパケット(単体パケット、符号化パケットおよび結パケットのいずれか)を受信し、その受信したパケット(単体パケット、符号化パケットおよび結パケットのいずれか)を有線通信によって制御装置6へ送信する(ステップS21)。
【0291】
制御装置6の受信手段61は、パケットを受信すると(ステップS22の“YES”)、その受信したパケットを処理手段62へ出力する。
【0292】
処理手段62は、パケットPKTを受信手段61から受け、その受けたパケットPKTがNパケットPKT_Nであるか否かを判定することによってNパケットPKT_Nを受信したか否かを判定する(ステップS23)。この場合、処理手段23は、パケットPKTのPacket infoの識別子N/Cが“N”からなり、かつ、パケットPKTがCoded infoおよび領域REG2を含んでいないとき、NパケットPKT_Nを受信したと判定し、パケットPKTのPacket infoの識別子N/Cが“C”からなるとき、またはパケットPKTのPacket infoの識別子N/Cが“N”からなり、かつ、Coded infoの識別子N/Cが“C”からなるとき、NパケットPKT_Nを受信しなかったと判定する。
【0293】
ステップS23において、NパケットPKT_Nを受信しなかったと判定されたとき、処理手段62は、結合パケット(Piggybackによって送信されたパケット)を受信したか否かを判定する(ステップS24)。この場合、処理手段62は、パケットPKTのPacket infoの識別子N/Cが“N”からなり、かつ、パケットPKTのCoded infoの識別子N/Cが“C”からなるとき、結合パケットを受信したと判定し、パケットPKTのPacket infoの識別子N/Cが“C”からなるとき、結合パケットを受信しなかったと判定する。
【0294】
ステップS24において、結合パケットを受信したと判定されたとき、処理手段62は、NパケットとCパケット(=符号化パケット)とを分離する(ステップS25)。
【0295】
その後、処理手段62は、NパケットPKT_Nが有るか否かを判定する(ステップS26)。
【0296】
ステップS26において、NパケットPKTが有ると判定されたとき、またはステップS23において、NパケットPKT_Nを受信したと判定されたとき、処理手段62は、Nパケット受信処理を実行する(ステップS27)。
【0297】
その後、処理手段62は、Cパケット(=符号化パケット)が有るか否かを判定する(ステップS28)。
【0298】
そして、ステップS24において、結合パケットを受信しなかったと判定されたとき、またはステップS26において、NパケットPKT_Nが無いと判定されたとき、またはステップS28において、Cパケット(=符号化パケット)が有ると判定されたとき、処理手段62は、Cパケット(=符号化パケット)から受信済のNパケットPKT_Nの情報を除去する(ステップS29)。
【0299】
引き続いて、処理手段62は、復号処理を実行する(ステップS30)。そして、処理手段62は、復号できたか否かを判定する(ステップS31)。
【0300】
ステップS31において、復号できたと判定されたとき、ステップS31において、復号できなかったと判定されるまで、ステップS30,S31が繰り返し実行される。
【0301】
そして、ステップS28において、Cパケット(=符号化パケット)が無いと判定されたとき、またはステップS31において、復号できなかったと判定されたとき、一連の動作は、ステップS21へ移行する。以後、基地局1~5および制御装置6は、駆動されている限り、ステップ21~ステップS31を繰り返し実行する。
【0302】
なお、ステップS24において、結合パケットを受信しなかったと判定されたときに、一連の動作がステップS29へ移行するのは、制御装置6によって受信されるパケットは、NパケットPKT_N、符号化パケットPKT_Cおよび結合パケットの3種類であり、ステップS23において、NパケットPKT_Nを受信しなかったと判定され、更に、ステップS24において、結合パケットを受信しなかったと判定されているので、制御装置6が受信したパケットは、符号化パケットPKT_Cであるからである。
【0303】
図17は、図16に示すステップS27の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0304】
図17を参照して、図16のステップS23において、NパケットPKT_Nを受信したと判定されたとき、または図16のステップS26において、NパケットPKT_Nが有ると判定されたとき、処理手段62は、受信したNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNrxが受信済、かつ、アプリケーションへ送信済のNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsent(即ち、Nバッファ63に格納されたNパケットのシーケンス番号)以下であるか否か、または受信したNパケットPKT_NがNバッファ63に格納済であるか否かを判定する(ステップS271)。
【0305】
ステップS271において、受信したNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNrxが受信済、かつ、アプリケーションへ送信済のNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsent以下であると判定されたとき、または受信したNパケットPKT_NがNバッファ63に格納済であると判定されたとき、処理手段62は、受信したNパケットPKT_Nを破棄する(ステップS272)。
【0306】
一方、ステップS271において、受信したNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNrxが受信済、かつ、アプリケーション30へ送信済のNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsent以下でなく、かつ、受信したNパケットPKT_NがNバッファ63に格納済でないと判定されたとき、処理手段62は、受信したNパケットPKT_N(SNrx)をNバッファ63に格納する(ステップS273)。
【0307】
そして、処理手段62は、i=1を設定し(ステップS274)、シーケンス番号SNsent+iを有するパケットPKT_NがNバッファ63に存在するか否かを判定する(ステップS275)。なお、iは、1,2,3,・・・の整数である。
【0308】
ステップS275において、シーケンス番号SNsent+iを有するパケットPKT_NがNバッファ63に存在すると判定されたとき、処理手段62は、シーケンス番号SNsent+iを有するパケットPKT_NをネットワークNWを介して端末装置30へ伝送する(ステップS276)。そして、処理手段62は、i=i+1を設定する(ステップS277)。その後、一連の動作は、ステップS275へ移行し、ステップS275において、シーケンス番号SNsent+iを有するパケットPKT_NがNバッファ63に存在しないと判定されるまで、ステップS275~ステップS277が繰り返し実行される。
【0309】
そして、ステップS275において、シーケンス番号SNsent+iを有するパケットPKT_NがNバッファ63に存在しないと判定されると、処理手段62は、SNsent=SNsent+i-1を設定する(ステップS278)。
【0310】
そして、ステップS272またはステップS278の後、一連の動作は、図16のステップS28へ移行する。
【0311】
図17に示すステップS273~ステップS277は、新たに受信したNパケットPKT_NをNバッファ63に格納するとともに端末装置30に伝送するステップである。そして、i≧2であるときに、ステップS275においてシーケンス番号SNsent+iを有するパケットPKT_NがNバッファ63に存在しないと判定されると、ステップS278において、Nバッファ63における受信済のNパケットPKT_Nの最新のシーケンス番号SNsentが更新される。
【0312】
また、図17に示すステップS271において、受信パケットがNバッファ63に格納済であると判定され、ステップS272において、受信パケットを破棄することは、受信パケットの重複チェックを行い、受信パケットが重複するとき、重複を解消することに相当する。
【0313】
更に、図17に示すステップS271の“NO”→ステップS273→ステップS274→ステップS275の“NO”→ステップS278を実行することは、シーケンス番号の順番になるように、Nパケット(単体パケット)を並び替えることに相当する。
【0314】
図18は、図16に示すステップS29の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0315】
図18を参照して、図16のステップS24において、結合パケットを受信しなかったと判定されたとき、または図16のステップS26において、Nパケットが無いと判定されたとき、または図16のステップS28において、Cパケット(符号化パケット)が有ると判定されたとき、処理手段62は、i=1を設定し(ステップS291)、Nバッファ63からパケットXを取得する(ステップS292)。ここで、iは、Nバッファ63に格納された各パケットXを表し、1~Iである。そして、Iは、Nバッファ63に格納されたパケットXの総数である。
【0316】
ステップS292の後、処理手段62は、パケットXのシーケンス番号SNが符号化パケットYのCoded infoに含まれるか否かを判定する(ステップS293)。
【0317】
ステップS293において、パケットXのシーケンス番号SNが符号化パケットYのCoded infoに含まれると判定されたとき、処理手段62は、符号化パケットYとパケットXとの排他的論理和を演算することによって符号化パケットYから受信済のパケットXの情報を除去する(ステップS294)。
【0318】
そして、ステップS293において、パケットXのシーケンス番号SNが符号化パケットYのCoded infoに含まれていないと判定されたとき、またはステップS294の後、処理手段62は、i=Iであるか否かを判定する(ステップS295)。
【0319】
ステップS295において、i=Iでないと判定されたとき、処理手段62は、i=i+1を設定する(ステップS296)。その後、一連の動作は、ステップS292へ移行し、ステップS295において、i=Iであると判定されるまで、ステップS292~ステップS296が繰り返し実行される。
【0320】
そして、ステップS295において、i=Iであると判定されると、処理手段62は、符号化パケットYに含まれていた情報の全てを受信済であるか否かを判定する(ステップS297)。この場合、処理手段62は、符号化パケットYがY={000・・・0}であるとき、符号化パケットYに含まれていた情報の全てを受信済であると判定し、符号化パケットYがY={000・・・0}でないとき、符号化パケットYに含まれていた情報の全てを受信済であることは無い(即ち、符号化パケットYに含まれていた情報の一部を受信済でない)と判定する。
【0321】
ステップS297において、符号化パケットYに含まれていた情報の全てを受信済であることは無いと判定されたとき、処理手段62は、符号化パケットYに含まれるNパケット数が“1”であるか否かを判定する(ステップS298)。
【0322】
ステップS298において、符号化パケットYに含まれるNパケット数が“1”でないと判定されたとき、処理手段62は、符号化パケットYをCバッファ64に保存する(ステップS299)。
【0323】
一方、ステップS298において、符号化パケットYに含まれるNパケット数が“1”であると判定されたとき、処理手段62は、式(13)によって符号化パケットYをパケットXに変換し、その変換したパケットXに対して、上述した「Nパケット受信処理」(図17に示すフローチャート)を実行する(ステップS300)。
【0324】
そして、ステップS297において、符号化パケットYに含まれていた情報の全てを受信済であると判定されたとき、またはステップS299の後、またはステップS300の後、一連の動作は、図16のステップS30へ移行する。
【0325】
図18に示すフローチャートにおいては、ステップS295において、i=Iであると判定されるまで、ステップS292~ステップS296が繰り返し実行されることによって、符号化パケットYから受信済の全てのパケットX~Xの情報が除去される。即ち、ステップS295において、i=Iであると判定されるまで、ステップS292~ステップS296が繰り返し実行されることによって、Nバッファ63に格納されていない1個以上のパケット(=受信済でない複数のパケット)のみを含む符号化パケットCが生成される。
【0326】
図19は、図16に示すステップS30の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0327】
図19を参照して、図16のステップS29の後、またはステップS31において復号できたと判定されたとき、処理手段62は、2個以上の符号化パケットYがCバッファ64に存在するか否かを判定する(ステップS301)。
【0328】
ステップS301において、2個以上の符号化パケットYがCバッファ64に存在しないと判定されたとき、一連の動作は、図16のステップS21へ移行する。
【0329】
一方、ステップS301において、2個以上の符号化パケットYがCバッファ64に存在すると判定されたとき、処理手段62は、i=1を設定する(ステップS302)。ここで、iは、Cバッファ64に格納された各符号化パケットYを表し、1~Iである。そして、Iは、Cバッファ64に格納された符号化パケットYの総数である。
【0330】
ステップS302の後、処理手段62は、Cバッファ64から符号化パケットYを取得する(ステップS303)。
【0331】
そして、処理手段62は、符号化パケットYに対して「符号化パケットから受信済のパケットXの情報を除去」(図18のフローチャート)を実行する(ステップS304)。
【0332】
その後、処理手段62は、符号化パケットYに含まれるNパケット数が“1”以下であるか否かを判定する(ステップS305)。
【0333】
ステップS305において、符号化パケットYに含まれるNパケット数が“1”以下であると判定されると、処理手段62は、符号化パケットYをCバッファ64から消去する(ステップS306)。
【0334】
そして、ステップS305において、符号化パケットYに含まれるNパケット数が“1”以下でないと判定されたとき、またはステップS306の後、処理手段62は、i=Iであるか否かを判定する(ステップS307)。
【0335】
ステップS307において、i=Iでないと判定されたとき、処理手段62は、i=i+1を設定する(ステップS308)。その後、一連の動作は、ステップS303へ移行し、ステップS307において、i=Iであると判定されるまで、ステップS303~ステップS308が繰り返し実行される。
【0336】
そして、ステップS307において、i=Iであると判定されると、処理手段62は、複数のNパケットを含む符号化パケットCがCバッファ64に複数存在するか否かを判定する(ステップS309)。
【0337】
ステップS309において、複数のNパケットを含む符号化パケットCがCバッファ64に複数存在すると判定されたとき、処理手段62は、Cバッファ64から複数の符号化パケットYを取得し、その取得した複数の符号化パケットYを表す連立方程式を解いてCパケット(符号化パケット)を復号する(ステップS310)。
【0338】
そして、ステップS309において、複数のNパケットを含む符号化パケットCがCバッファ64に複数存在しないと判定されたとき、またはステップS310の後、処理手段62は、i=1を設定し(ステップS311)、復号できたNパケット数が“i”以上であるか否かを判定する(ステップS312)。
【0339】
ステップS312において、復号できたNパケット数が“i”以上であると判定されたとき、処理手段62は、復号されたNパケットに対して「Nパケット受信処理」(図17のフローチャート)を実行する(ステップS313)。そして、処理手段62は、i=i+1を設定する(ステップS314)。その後、一連の動作は、ステップS312へ移行し、ステップS312において、復号できたNパケット数が“i”以上でないと判定されるまで、ステップS312~ステップS314が繰り返し実行される。
【0340】
そして、ステップS312において、復号できたNパケット数が“i”以上でないと判定されると、一連の動作は、図16のステップS31へ移行する。
【0341】
図19に示すフローチャートにおいては、図18のステップS297において、符号化パケットYに含まれていた情報の全てを受信済であると判定された後に、またはステップS300の後にステップS301へ移行した場合、ステップS301において、2個以上の符号化パケットYがCバッファ64に存在しないと判定され、一連の動作は、図16のステップS21へ移行する。
【0342】
一方、図18のステップS299の後にステップS301へ移行した場合において、ステップS301において、2個以上の符号化パケットYがCバッファ64に存在すると判定されたとき、上述したステップS302~ステップS314が順次実行され、ステップS301において、2個以上の符号化パケットYがCバッファ64に存在しないと判定されたとき、一連の動作は、図16のステップS21へ移行する。
【0343】
また、図19に示すフローチャートにおいては、ステップS312において、復号できたNパケット数がi以上でないと判定されるまで、ステップS312~ステップS314が繰り返し実行されるのは、符号化パケットCを復号することによって取得された全てのNパケットに対して「Nパケット受信処理」(図17のフローチャート)を実行するためである。
【0344】
図16から図19において説明した通信システム10の動作によれば、複数の基地局1~5は、端末装置20から受信したパケットを制御装置6へ送信し、制御装置6は、基地局1~5から受信したパケットに対して受信処理を実行して受信パケットを生成し、その生成した受信パケットを端末装置30へ伝送する。そして、受信処理においては、符号化パケットPKT_Cの復号、重複パケットの解消およびパケットのシーケンス番号順への並び替えが実行される。また、複数の基地局は、相互に異なる通信空間をカバーする通信範囲を有する。
【0345】
従って、複数の基地局1~5の間で同期を必要とせず、広域をカバーできる。
【0346】
図20は、バーストを構成するパケットの受信時におけるNバッファ63およびCバッファ64の変遷を示す図である。
【0347】
なお、図20は、バーストを構成するパケットが図9に示すパケットP~Pからなる場合において、バーストを構成するパケットの受信時におけるNバッファ63およびCバッファ64の変遷を示す。
【0348】
図20を参照して、端末装置20がパケットPを送信すると、制御装置6は、パケットPの受信に失敗するので、図16のステップS22においては、制御装置6の受信手段61は、パケットPを受信しない。その結果、Nバッファ63およびCバッファ64には、パケットが格納されない(図20の(a)参照)。
【0349】
その後、端末装置20がパケットPを送信すると、制御装置6の受信手段61は、パケットPを受信し(図16のステップS22の“YES”参照)、その受信したパケットPを処理手段62へ出力する。
【0350】
処理手段62は、パケットPを受信手段61から受けると、パケットPのPacket infoの識別子N/Cが“N”からなることを確認してNパケットを受信したと判定する(図16のステップS23の“YES”参照)。そして、処理手段62は、パケットPに対してNパケット受信処理を実行し(図16のステップS27参照)、パケットPのシーケンス番号SNrxが受信済、かつ、アプリケーションへ送信済のNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsent(即ち、Nバッファ63に格納されたNパケットのシーケンス番号)よりも大きく、かつ、受信パケットがNバッファ63に格納済でないと判定し(図17のステップS271の“NO”参照)、パケットPをNバッファ63に格納するとともにパケットPを端末装置30へ伝送する(図17のステップS273~S276参照)。そして、処理手段62は、i=2であるときに、SNsent+i(=SNsent+2)のパケットがNバッファ63に存在しないと判定し(図17のステップS275の“NO”参照)、SNsent=SNsent+i-1=SNsent+2-1=SNsent+1によってNバッファ63に格納されたNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsentを更新する(図17のステップS278参照)。その後、処理手段62は、Cパケットが無いと判定し(図16のステップS28の“NO”参照)、制御装置6の動作は、図16のステップS21へ移行する。この段階で、パケットPがNバッファ63に格納される(図20の(b)参照)。
【0351】
引き続いて、端末装置20が結合パケットP/Cを送信すると、制御装置6は、結合パケットP/Cの受信に失敗するので、図16のステップS22においては、制御装置6の受信手段61は、結合パケットP/Cを受信しない。その結果、Nバッファ63およびCバッファ64の状態は、変化しない(図20の(c)参照)。
【0352】
その後、端末装置20がパケットPを送信すると、制御装置6は、上述したパケットPの受信時における動作と同じ動作を実行する。その結果、パケットPがNバッファ63に格納される(図20の(d)参照)。
【0353】
そして、端末装置20が結合パケットP/Cを送信すると、制御装置6の受信手段61は、結合パケットP/Cを受信し(図16のステップS22の“YES”参照)、その受信した結合パケットP/Cを処理手段62へ出力する。
【0354】
処理手段62は、結合パケットP/Cを受信手段61から受けると、結合パケットP/CのPacket infoの識別子N/Cが“N”からなり、かつ、Coded infoの識別子N/Cが“C”からなることを確認し、NパケットPKT_Nを受信しなかったと判定するとともに(図16のステップS23の“NO”参照)、結合パケットを受信したと判定する(図16のステップS24の“YES”参照)。
【0355】
その後、処理手段62は、結合パケットP/CのNパケットPと符号化パケットCとを分離し(図16のステップS25参照)、Nパケットが有ると判定し(図16のステップS26の“YES”参照)、パケットPに対してNパケット受信処理を実行する(図16のステップS27参照)。そして、処理手段62は、Nパケット受信処理において、パケットPのシーケンス番号SNrxが受信済、かつ、端末装置30へ送信済のNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsent(即ち、Nバッファ63に格納されたNパケットのシーケンス番号)よりも大きく、かつ、受信パケットがNバッファ63に格納されていないと判定し(図17のステップS271の“NO”参照)、パケットPをNバッファ63に格納するとともにパケットPを端末装置30へ伝送する(図17のステップS273~S276参照)。そして、処理手段62は、i=2であるときに、Nバッファ63にSNsent+i(=SNsent+2)のパケットが存在しないと判定し(図17のステップS275の“NO”参照)、SNsent=SNsent+i-1=SNsent+2-1=SNsent+1によってNバッファ63に格納されたNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsentを更新する(図17のステップS278参照)。その後、処理手段62は、Cパケットが有ると判定し(図16のステップS28の“YES”参照)、Cパケットから受信済のNパケットの情報を除去する(図16のステップS29参照)。この時点で、Nバッファ63には、パケットP,P,Pが格納されており(図20の(e)参照)、符号化パケットCは、パケットP~Pを含むので、処理手段62は、符号化パケットCとパケットP,Pとの排他的論理和を順次演算して符号化パケットCから受信済のパケットP,Pの情報を除去する(図18のステップS292~ステップS296参照)。
【0356】
符号化パケットCから受信済のパケットP,Pの情報を除去した後の符号化パケットC’は、式(9)によって表わされる。その結果、処理手段62は、符号化パケットCに含まれていた情報の全てを受信済であることは無いと判定し(図18のステップS297の“NO”参照)、符号化パケットC’に含まれるNパケット数が“1”でないと判定し(図18のステップS298の“NO”参照)、符号化パケットC’をCバッファ64に格納する(図18のステップS299参照)。これによって、Nバッファ63には、3個のパケットP,P,Pが格納され、Cバッファ64には、1個の符号化パケットC’が格納される(図20の(e)参照)。
【0357】
図18のステップS299の後、制御装置6の動作は、図16のステップS30へ移行し、図16のステップS30の詳細な動作を示す図19のステップS301において、処理手段62は、2個以上の符号化パケットYがCバッファ64に存在しないと判定し、制御装置6の動作は、図16のステップS21へ移行する。
【0358】
その後、端末装置20がパケットPを送信すると、制御装置6は、上述したパケットPの受信時における動作と同じ動作を実行する。その結果、パケットPがNバッファ63に格納される(図20の(f)参照)。そして、パケットPがNバッファ63に格納された後、処理手段62は、Cパケットが無いと判定するので(図16のステップS28の“NO”参照)、制御装置6の動作は、図16のステップS21へ移行する。
【0359】
引き続いて、端末装置20が符号化パケットCを送信すると、制御装置6の受信手段61は、符号化パケットCを受信し(図16のステップS22の“YES”参照)、その受信した符号化パケットCを処理手段62へ出力する。
【0360】
処理手段62は、符号化パケットCを受信手段61から受けると、符号化パケットC6のPacket infoの識別子N/Cが“C”からなるので、Nパケットを受信しなかったと判定し(図16のステップS23の“NO”参照)、結合パケットを受信しなかったと判定する(図16のステップS24の“NO”参照)。
【0361】
従って、処理手段62は、符号化パケットCから受信済のパケットの情報を除去する(図16のステップS29参照)。この段階では、Nバッファ63には、パケットP,P,P,Pが格納されており、符号化パケットCは、パケットP~Pを含むので(式(6)参照)、処理手段62は、符号化パケットCとパケットP,P,P,Pとの排他的論理和を順次演算して符号化パケットCから受信済のパケットP,P,P,Pの情報を除去する(図18のステップS292~ステップS296参照)。
【0362】
符号化パケットCから受信済のパケットP,P,P,Pの情報を除去した後の符号化パケットC’は、式(10)によって表わされる。その結果、処理手段62は、符号化パケットCに含まれていた情報の全てを受信済であることは無いと判定し(図18のステップS297の“NO”参照)、符号化パケットC’に含まれるNパケット数が“1”でないと判定し(図18のステップS298の“NO”参照)、符号化パケットC’をCバッファ64に格納する(図18のステップS299参照)。これによって、Nバッファ63には、4個のパケットP,P,P,Pが格納され、Cバッファ64には、2個の符号化パケットC’,C’が格納される(図20の(g)参照)。
【0363】
そうすると、処理手段62は、複数のNパケットを含む符号化パケットが複数存在すると判定し(図19のステップS309の“YES”参照)、符号化パケットC’を表す式(9)と符号化パケットC’を表す式(10)との連立方程式を解いてCパケットを復号する(図19のステップS310参照)。これによって、2つのNパケットP,Pが得られる。
【0364】
その後、処理手段62は、i=1を設定し(図19のステップS311参照)、復号できたNパケット数がi(=1)以上であると判定し(図19のステップS312の“YES”参照)、NパケットPに対して「Nパケット受信処理」(図17に示すフローチャート)を実行する(図19のステップS313参照)。そして、処理手段62は、Nパケット受信処理において、パケットPのシーケンス番号SNrxが受信済、かつ、アプリケーションへ送信済のNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsent(即ち、Nバッファ63に格納されたNパケットのシーケンス番号)よりも大きく、かつ、受信パケット(=パケットP)がNバッファ63に格納済でないと判定し(図17のステップS271の“NO”参照)、パケットPをNバッファ63に格納するとともにパケットPを端末装置30へ伝送する(図17のステップS273~S276参照)。そして、処理手段62は、i=2であるときに、Nバッファ63にSNsent+i(=SNsent+2)のパケットが存在しないと判定し(図17のステップS275の“NO”参照)、SNsent=SNsent+i-1=SNsent+2-1=SNsent+1によってNバッファ63に格納されたNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsentを更新する(図17のステップS278参照)。
【0365】
図19のステップS313において、「Nパケット受信処理」(図17に示すフローチャート)が実行される場合、図17のステップS278の後、制御装置6の動作は、図19のステップS314へ移行するので、処理手段62は、i=i+1=2を設定し(図19のステップS314参照)、復号できたNパケット数がi(=2)以上であると判定し(図19のステップS312の“YES”参照)、NパケットPに対して「Nパケット受信処理」(図17に示すフローチャート)を実行する(図19のステップS313参照)。そして、処理手段62は、Nパケット受信処理において、パケットPのシーケンス番号SNrxが受信済、かつ、アプリケーション30へ送信済のNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsent(即ち、Nバッファ63に格納されたNパケットのシーケンス番号)よりも大きく、かつ、受信パケット(=パケットP)がNバッファ63に格納済でないと判定し(図17のステップS271の“NO”参照)、パケットPをNバッファ63に格納するとともにパケットPを端末装置30へ伝送する(図17のステップS273~S276参照)。そして、処理手段62は、i=2であるときに、SNsent+i(=SNsent+2)のパケットがNバッファ63に存在しないと判定し(図17のステップS275の“NO”参照)、SNsent=SNsent+i-1=SNsent+2-1=SNsent+1によってNバッファ63に格納されたNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsentを更新する(図17のステップS278参照)。その後、処理手段62は、i=i+1=3を設定し(図19のステップS314参照)、復号できたNパケット数がi(=3)以上でないと判定する(図19のステップS312の“NO”参照)。そうすると、制御装置6の動作は、図16のステップS31へ移行し、処理手段62は、復号できたと判定し(図16のステップS31の“YES”)、図16のステップS30の詳細な動作を示す図19のフローチャートのステップS301において、2個以上の符号化パケットがCバッファ64に存在しないと判定し(図19のステップS301の“NO”参照)、制御装置6の動作は、図16のステップS21へ移行する。
【0366】
この段階で、Nバッファ63およびCバッファ64には、パケットが格納されていない(図20の(h)参照)。これによって、バーストを構成するパケット(パケットP~P)の受信処理が終了する。
【0367】
パケットの受信処理を示す図16に示すフローチャート(図17から図19に示すフローチャートを含む)においては、図16のステップS29において、「Cパケットから受信済のNパケットの情報を除去」することを実行した後に、ステップS30における復号処理の詳細な動作を示す図19のフローチャートのステップS304において「符号化パケットから受信済のパケットXの情報を除去」することを実行するのは、次の理由による。
【0368】
端末装置20の動作を示す図13のフローチャートにおいては、ステップS9において、最後のパケットがバッファ21に到着した後、Tミリ秒が経過したと判定されると、端末装置20は、ステップS11において、符号化パケットの送信数がKであると判定されるまで符号化パケットCを基地局1~5へ送信する(ステップS10~ステップS12参照)。この場合、上述したように、端末装置20は、符号化パケットC(=a61+a62+a63+a64+a65+a66)、符号化パケットC(=a71+a72+a73+a74+a75+a76)および符号化パケットC(=a81+a82+a83+a84+a85+a86)を基地局1~5へ送信する。そして、ここでは、符号化パケットCにおける符号a63は、零であるとする。即ち、符号化パケットCは、実質的に、C=a61+a62+a64+a65+a66からなるものとする。
【0369】
その結果、基地局1~5は、図13のステップS7において送信された符号化パケットC(例えば、符号化パケットC)を受信できなくても、ステップS10において送信された符号化パケットC~Cを受信できる。
【0370】
そうすると、制御装置6の処理手段62は、Nパケットを受信しなかったと判定し(図16のステップS23の“NO”参照)、かつ、結合パケットを受信しなかったと判定し(図16のステップS24の“NO”参照)、符号化パケットCから受信済のNパケットP,P,P,Pの情報を除去する(図16のステップS29(図18のフローチャートのステップS291~ステップS296)参照)。その結果、処理手段62は、符号化パケットC’=a61を取得する。
【0371】
そして、処理手段62は、符号化パケットYに含まれていた情報の全てを受信済でないと判定し(図18のステップS297の“NO”参照)、符号化パケットC’に含まれるNパケット数が“1”であると判定し(図18のステップS298の“YES”参照)、符号化パケットC’=a61を式(13)によってPに変換して「Nパケット受信処理」(図17に示すフローチャート)を実行する(図18のステップS300参照)。
【0372】
この場合、「Nパケット受信処理」は、パケットPに対して初めて実行されるので、処理手段62は、パケットPのシーケンス番号SNrxが受信済、かつ、アプリケーションへ送信済のNパケットPKT_Nのシーケンス番号SNsent(即ち、Nバッファ63に格納されたNパケットのシーケンス番号)よりも大きく、かつ、受信パケット(パケットP)がNバッファ63に格納済でないと判定し(図17のステップS271の“NO”参照)、パケットPをNバッファ63に格納する(図17のステップS273参照)。この段階で、パケットP,P,P,P,PがNバッファ63に格納されている。
【0373】
そして、処理手段62は、図18のステップS300の後に、復号処理(図16のステップS30参照)の詳細な動作を示す図19のフローチャートにおいてステップS303~ステップS308を複数回繰り返し実行することによって、ステップS304において、符号化パケットC’(=a41+a43)からパケットPの情報を除去し、符号化パケットC(=a71+a72+a73+a74+a75+a76)からパケットP,P,P,P,Pの情報を除去し、符号化パケットC(=a81+a82+a83+a84+a85+a86)からパケットP,P,P,P,Pの情報を除去する。
【0374】
このように、新たに取得されたパケットP(Nパケット)の情報を符号化パケットC’,C,Cから除去するために、図16のステップS29において、「Cパケットから受信済のNパケットの情報を除去」することを実行した後に、ステップS30における復号処理の詳細な動作を示す図19のフローチャートのステップS304において「符号化パケットから受信済のパケットXの情報を除去」することを実行することにしたのである。
【0375】
この発明の実施の形態においては、端末装置20の動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、端末装置20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMは、図13に示すフローチャート(図14に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Aまたは図15に示すフローチャート(図14に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Bを記憶する。
【0376】
CPUは、ROMからプログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを読み出し、その読み出したプログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを実行して、パケットを基地局1~5へ送信する動作を実行する。RAMは、上述したバッファ21の機能を果たす。
【0377】
また、プログラムProg_AまたはプログラムProg_Bは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを読み出して実行し、パケットを基地局1~5へ送信する動作を実行する。
【0378】
従って、プログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0379】
また、この発明の実施の形態においては、通信システム10の動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、通信システム10は、基地局1~5と、パーソナルコンピュータとを備える。パーソナルコンピュータは、CPU、ROMおよびRAMを備える。そして、ROMは、図16に示すフローチャート(図17から図19に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Cを記憶する。
【0380】
CPUは、ROMからプログラムProg_Cを読み出し、その読み出したプログラムProg_Cを実行して、パケットの受信処理を実行する。RAMは、上述したNバッファ63およびCバッファ64の機能を果たす。
【0381】
また、プログラムProg_Cは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Cを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Cを読み出して実行し、パケットの受信処理を実行する。
【0382】
従って、プログラムProg_Cを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0383】
図21は、この発明の実施の形態による別の通信システムの概略図である。この発明の実施の形態による通信システムは、図21に示す通信システム10Aであってもよい。
【0384】
図21を参照して、通信システム10Aは、制御装置7と、基地局11~15とを備える。
【0385】
制御装置7および基地局11~15は、無線通信空間に配置される。制御装置7は、有線ケーブルを介して基地局11~15に接続される。また、基地局11~15は、パケットの送信先である端末装置50との間の通信空間において、相互に異なる通信空間をカバーするように相互に異なる位置に配置される。
【0386】
制御装置7は、リアルタイムトラフィックを構成する単体パケットPKT_Nを端末装置40からネットワークNWを介して受信する。リアルタイムトラフィックを構成する単体パケットPKT_Nは、図4に示すPピクチャをペイロードに含むパケットおよびIピクチャをペイロードに含むパケットからなる。そして、リアルタイムトラフィックを構成する単体パケットPKT_Nは、例えば、同じデータを同時に多数台の端末装置50に伝送する放送からなる。
【0387】
制御装置7は、端末装置40から受信した単体パケットPKT_Nのうち、バーストを構成しない単体パケットPKT_Nをそのまま複数の基地局11~15へ有線通信によって送信する。
【0388】
また、制御装置7は、端末装置40から受信した単体パケットPKT_Nのうち、バーストを構成する単体パケットPKT_Nを上述した方法によって符号化して符号化パケットを生成する。そして、制御装置7は、後述する方法によって、符号化パケットPKT_Cを基地局11~15に割り振り、その割り振った符号化パケットPKT_Cを基地局11~15へ有線通信によって送信する。
【0389】
基地局11~15は、制御装置7から単体パケットPKT_Nを受信すると、その受信した単体パケットPKT_Nを複数の端末装置50へブロードキャストする。また、基地局11~15は、制御装置7から符号化パケットPKT_Cを受信すると、その受信した符号化パケットPKT_Cを複数の端末装置50へブロードキャストする。
【0390】
通信システム10Aにおいても、上述した通信システム10における効果(誤り率の改善、低遅延、基地局の切り替え不要、容易なエリア拡張)と同じ効果を得ることができる。
【0391】
図22は、図21に示す制御装置7の概略図である。図22を参照して、制御装置7は、受信手段71と、処理手段72と、バッファ73と、送信手段74とを備える。
【0392】
受信手段71は、端末装置40からネットワークNWを介して単体パケットPKT_Nを受信し、その受信した単体パケットPKT_Nを処理手段72へ出力する。
【0393】
処理手段72は、各基地局11~15に割り振るパケット(単体パケットPKT_N、結合パケットPKT_N/PKT_Cおよび符号化パケットPKT_Cのいずれか)の個数N_ALCを後述する方法によって決定し、その決定した個数N_ALCを送信手段74へ出力する。
【0394】
また、処理手段72は、受信手段71から単体パケットPKT_Nを受ける。そして、処理手段72は、その受けた単体パケットPKT_Nがバーストを構成しないパケットであるとき、単体パケットPKT_Nをバッファ73にコピーし、元の単体パケットPKT_Nを送信手段74へ出力する。
【0395】
一方、処理手段72は、受信手段71から受けた単体パケットPKT_Nがバーストを構成するパケットであるとき、単体パケットPKT_Nをバッファ73にコピーする。そして、処理手段72は、バッファ73に格納された単体パケットPKT_Nを読み出し、その読み出した単体パケットPKT_Nを上述した方法によって符号化して符号化パケットPKT_Cを生成する。その後、処理手段72は、次の2つの方法のいずれかによって符号化パケットPKT_Cを送信する。
【0396】
[符号化パケットの送信方法]
(I)処理手段72は、受信手段71から受けた単体パケットPKT_Nをバッファ73にコピーする前に生成された符号化パケットPKT_Cを、受信手段71から受けた単体パケットPKT_Nに付与して結合パケットPKT_N/PKT_Cを生成し、その生成した結合パケットPKT_N/PKT_Cを送信手段74へ出力する。
(II)処理手段72は、受信手段71から受けた単体パケットPKT_Nをバッファ73にコピーした後に生成された符号化パケットPKT_Cを送信手段74へ出力する。
【0397】
送信手段74は、各基地局11~15に割り振るパケット(単体パケットPKT_N、結合パケットPKT_N/PKT_Cおよび符号化パケットPKT_Cのいずれか)の個数N_ALCを処理手段72から受ける。
【0398】
そして、送信手段74は、処理手段72からパケットPKT(単体パケットPKT_N、結合パケットPKT_N/PKT_Cおよび符号化パケットPKT_Cのいずれか)を受けると、各基地局11~15に割り振るパケットPKTの個数N_ALCに応じて、処理手段72から受けたパケットPKT(単体パケットPKT_N、結合パケットPKT_N/PKT_Cおよび符号化パケットPKT_Cのいずれか)を基地局11~15へ有線通信によって送信する。
【0399】
[パケットの割振方法]
処理手段72は、各基地局11~15に割り振るパケット(単体パケットPKT_N、結合パケットPKT_N/PKT_Cおよび符号化パケットPKT_Cのいずれか)の個数N_ALCを次の割振方法(A)~(C)のいずれかによって決定する。
(A)各基地局11~15に割り振るパケット(単体パケットPKT_N、結合パケットPKT_N/PKT_Cおよび符号化パケットPKT_Cのいずれか)の個数N_ALCを均等にする。
(B)各基地局11~15に割り振るパケット(単体パケットPKT_N、結合パケットPKT_N/PKT_Cおよび符号化パケットPKT_Cのいずれか)の個数N_ALCを動的に決定する。
(C)各基地局11~15に割り振るパケット(単体パケットPKT_N、結合パケットPKT_N/PKT_Cおよび符号化パケットPKT_Cのいずれか)の個数N_ALCを各基地局11~15の周辺基地局の密度に応じて決定する。
【0400】
[パケットの割振方法(A)]
図23は、対応表TBL1の概略図である。図23を参照して、対応表TBL1は、基地局とパケットの割振個数とを含む。基地局およびパケットの割振個数は、相互に対応付けられる。基地局11~15に対応するパケットの割振個数は、同じ個数N_ALCからなる。
【0401】
処理手段72は、パケットの割振方法(A)によって個数N_ALCを決定したとき、対応表TBL1を作成し、その作成した対応表TBL1を送信手段74へ出力する。
【0402】
[パケットの割振方法(B)]
処理手段72は、パケットの割振方法(B)によって個数N_ALCを決定するとき、全ての端末装置50と全ての基地局11~15との間のパケット誤り率PERj,sを管理する。パケット誤り率PERj,sにおいて、“j”は、基地局11~15の各々を表す引数であり、“s”は、端末装置50を表す引数である。
【0403】
制御装置7の受信手段71は、基地局AP(基地局11~15のいずれか)を介して、基地局APによるパケットPKTの送信数N_TRと、各端末装置50において計測された直近(“直近”は、現在時刻を基準として、1秒から30秒の時間長だけ前の期間であり、典型的には、10秒の時間長だけ前の期間である。)のパケットPKTの受信数N_RCVとを受信し、送信数N_TRと受信数N_RCVとを処理手段72へ出力する。
【0404】
処理手段72は、受信手段71から送信数N_TRと受信数N_RCVとを受ける。そして、処理手段72は、受信数N_RCVを送信数N_TRで除算することによってパケット誤り率PERj,sを算出する。
【0405】
そして、処理手段72は、次式によって、各基地局11~15に割り振るパケットPKTの個数Tの組み合わせCBNを決定する。
【0406】
【数19】
【0407】
式(19)において、式(19B)は、「複数の端末装置50における期待受信数の合計E_Totalがしきい値E_Total_Thre以上でなければならない」との条件式である。そして、しきい値E_Total_Threは、例えば、R1・Nであり、R1は、1.0以上の実数(例えば、1,5)であり、Nは、符号化パケットPKT_Cに含まれる単体パケットPKT_Nの個数である。また、式(19A)において、“AP”は、基地局11~15の集合を表す。
【0408】
式(19)によってパケットPKTの個数Tの組み合わせCBNを決定することは、複数の基地局11~15の全てによるパケットの送信数の総和が最小になるようにパケットを複数の基地局11~15に割り振ることに相当する。
【0409】
図24は、対応表TBL2の概略図である。図24を参照して、対応表TBL2は、基地局とパケットの割振個数とを含む。基地局およびパケットの割振個数は、相互に対応付けられる。パケットの割振個数N_ALC11~N_ALC15は、それぞれ、基地局11~15に対応付けられる。そして、N_ALC11~N_ALC15は、式(19)によって算出されたCBN(Tの組み合わせ)からなる。
【0410】
処理手段72は、式(19)によって、各基地局11~15に割り振るパケットPKTの個数Tの組み合わせCBNを決定すると、対応表TBL2を作成し、その作成した対応表TBL2を送信手段74へ出力する。
【0411】
なお、パケットの割振方法(B)においては、処理手段72は、端末装置50における各基地局11~15からの信号の受信信号強度RSSIに基づいてパケット誤り率PERj,sを算出してもよい。この場合、処理手段72は、次の方法によってパケット誤り率PERj,sを算出する。
【0412】
処理手段72は、しきい値RSSI_THRE_1,RSSI_THRE_2を保持する。しきい値RSSI_THRE_1は、例えば、-80dBmであり、しきい値RSSI_THRE_2は、例えば、-60dBmである。しきい値RSSI_THRE_1,RSSI_THRE_2は、これらの値に限らず、しきい値RSSI_THRE_1がしきい値RSSI_THRE_2よりも小さければよい(即ち、RSSI_THRE_1<RSSI_THRE_2の関係を満たせばよい)。
【0413】
処理手段72は、端末装置sにおける基地局jからの受信信号強度RSSIj,sに基づいて式(20)によってパケット誤り率PERj,sを算出する。
【0414】
より具体的には、処理手段72は、受信信号強度RSSIj,sがしきい値RSSI_THRE_1よりも小さいとき、式(20A)によってパケット誤り率PERj,sを算出し、受信信号強度RSSIj,sがしきい値RSSI_THRE_1以上であり、かつ、しきい値RSSI_THRE_2よりも小さいとき、式(20B)によってパケット誤り率PERj,sを算出し、受信信号強度RSSIj,sがしきい値RSSI_THRE_2以上であるとき、式(20C)によってパケット誤り率PERj,sを算出する。
【0415】
【数20】
【0416】
[パケットの割振方法(C)]
基地局11~15の各々は、自己の周辺に配置された基地局からの信号をモニターし、自己の周辺に配置された基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIを計測する。そして、基地局11~15の各々は、計測した受信信号強度RSSIを制御装置7へ送信する。
【0417】
制御装置7の受信手段71は、基地局11~15の各々から受信信号強度RSSIを受信し、その受信した受信信号強度RSSIを処理手段72へ出力する。
【0418】
制御装置7の処理手段72は、各基地局11~15の受信信号強度RSSIを受信手段71から受けると、受信信号強度RSSIに基づいて、受信信号強度が-60dBm以上である周辺の基地局の個数Xと、受信信号強度が-80dBm~-60dBmである周辺の基地局の個数Yと検出する。
【0419】
そして、処理手段72は、次式によって、各基地局11~15に割り振るパケットの個数Tを算出する。
【0420】
【数21】
【0421】
式(21C)は、「各基地局11~15に割り振るパケット数Tが最小値T_Min以上でなければならない」との条件式であり、T_Minは、1以上の整数である。また、式(21A)におけるa,bの各々は、0~1の実数であり、a>bの関係を有する。更に、式(21B)におけるR2は、例えば、1.2である。
【0422】
1個の基地局の周辺の基地局の個数がNAPであるとする。1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-60dBm以上であるとき、Y=0であるので、式(21A)の分母は、aXとなる。
【0423】
また、1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-80dBm~-60dBmであるとき、X=0であるので、式(21A)の分母は、bYとなる。
【0424】
更に、1個の基地局が周辺の基地局の一部から信号を受信したときの受信信号強度RSSIが-60dBm以上であり、かつ、1個の基地局が周辺の残りの基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIが-80dBm~-60dBmであるとき、式(21A)の分母は、aX+bYとなる。
【0425】
式(21A)の分母がaXである場合と、式(21A)の分母がbYである場合とを比較すると、a>bおよびX=Y=NAPであるので、aX>bYとなる。従って、Tは、1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-60dBm以上である場合の方が1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-80dBm~-60dBmである場合よりも小さくなる。
【0426】
式(21A)の分母がaXである場合と、式(21A)の分母がaX+bYである場合とを比較する。式(21A)の分母がaXである場合、式(21A)の分母は、aX=aNAPとなる。
【0427】
一方、式(21A)の分母がaX+bYである場合、X+Y=NAPが成立するので、式(21A)の分母は、aX+bY=aNAP+(b-a)Yとなる。その結果、a>bであるので、(b-a)Yは、負の値になり、aX+bYは、aNAPよりも小さくなる。
【0428】
次に、式(21A)の分母がbYである場合と、式(21A)の分母がaX+bYである場合とを比較する。式(21A)の分母がbYである場合、式(21A)の分母は、bY=bNAPとなる。
【0429】
一方、式(21A)の分母がaX+bYである場合、X+Y=NAPが成立するので、式(21A)の分母は、aX+bY=bNAP+(a-b)Xとなる。その結果、a>bであるので、(a-b)Xは、正の値になり、aX+bYは、bNAPよりも大きくなる。
【0430】
従って、式(21A)の分母は、1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-60dBm以上であるとき、最も大きく、1個の基地局が周辺の基地局の一部から信号を受信したときの受信信号強度RSSIが-60dBm以上であり、かつ、1個の基地局が周辺の残りの基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIが-80dBm~-60dBmであるとき、2番目に大きく、1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-80dBm~-60dBmであるとき、最も小さい。
【0431】
以上をまとめると、表1のようになる。
【0432】
【表1】
【0433】
表1において、周辺基地局の密度は、1個の基地局における受信信号強度RSSIが-80dBm以上である基地局の個数からなる。そして、周辺基地局の密度が、全ての受信信号強度RSSIが-60dBm以上であるとき、最も高くなり、全ての受信信号強度RSSIが-80~-60dBmであるとき、最も低くなるのは、受信信号強度RSSIが大きい方が1個の基地局の近くにより多くの周辺基地局が存在し、受信信号強度RSSIが小さい方が1個の基地局の近くにより少ない周辺基地局が存在するからである。
【0434】
表1に示すように、周辺基地局の密度は、1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-60dBm以上であるとき、最も高く、1個の基地局が周辺の基地局の一部から信号を受信したときの受信信号強度RSSIが-60dBm以上であり、かつ、1個の基地局が周辺の残りの基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIが-80dBm~-60dBmであるとき、2番目に高く、1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-80dBm~-60dBmであるとき、最も低い。
【0435】
そして、1個の基地局に割り振るパケット送信数Tは、1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-60dBm以上であるとき、最も少なく、1個の基地局が周辺の基地局の一部から信号を受信したときの受信信号強度RSSIが-60dBm以上であり、かつ、1個の基地局が周辺の残りの基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIが-80dBm~-60dBmであるとき、2番目に少なく、1個の基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度RSSIの全てが-80dBm~-60dBmであるとき、最も多い。
【0436】
従って、処理処理72は、周辺基地局の密度が第1の密度であるとき、パケット送信数Tを第1の値に決定し、周辺基地局の密度が第1の密度よりも低い第2の密度であるとき、パケット送信数Tを第1の値よりも大きい第2の値に決定する。
【0437】
図25は、対応表TBL3の概略図である。図25を参照して、対応表TBL3は、対応表TBL2と同じ構成からなる。そして、対応表TBL3においては、N_ALC11~N_ALC15の各々は、式(21)によって算出されたTからなる。
【0438】
処理手段72は、式(21)によって、各基地局11~15に割り振るパケットPKTの個数Tを決定すると、対応表TBL3を作成し、その作成した対応表TBL3を送信手段74へ出力する。
【0439】
図26は、図21に示す通信システム10Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0440】
図26を参照して、通信システム10Aの動作が開始されると、制御装置7は、各基地局11~15に割り振るパケットの個数を決定する(ステップS101)。この場合、制御装置7は、上述したパケットの割振方法(A)~(C)のいずれかによって各基地局11~15に割り振るパケットの個数を決定する。
【0441】
そして、ステップS101の後、制御装置7は、ネットワークNWを介して端末装置40からパケットを受信する(ステップS102)。その後、制御装置7は、ステップS101において決定したパケットの個数に応じてパケットを有線通信によって複数の基地局11~15へ送信する(ステップS103)。
【0442】
複数の基地局11~15は、制御装置7からパケットを受信し(ステップS104)、その受信したパケットを端末装置50へブロードキャストする(ステップS105)。
【0443】
そうすると、制御装置7は、各基地局11~15に割り振るパケットの個数を新たに決定するか否かを判定する(ステップS106)。この場合、制御装置7は、各基地局11~15に割り振るパケットの個数を上述したパケットの割振方法(A),(C)のいずれかによって決定するとき、各基地局11~15に割り振るパケットの個数を新たに決定しないと判定し、各基地局11~15に割り振るパケットの個数を上述したパケットの割振方法(B)によって決定するとき、各基地局11~15に割り振るパケットの個数を新たに決定すると判定する。
【0444】
ステップS106において、各基地局11~15に割り振るパケットの個数を新たに決定しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS102へ移行し、その後、ステップS102~ステップS106が順次実行される。
【0445】
一方、ステップS106において、各基地局11~15に割り振るパケットの個数を新たに決定すると判定されたとき、一連の動作は、ステップS101へ移行し、その後、ステップS101~ステップS106が順次実行される。
【0446】
なお、通信システム10Aは、駆動されている限り、ステップS101~ステップS106を繰り返し実行する。
【0447】
図27は、図26に示すステップS101の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。なお、図27に示すフローチャートは、上述したパケットの割振方法(B)を用いるときのステップS101の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0448】
図27を参照して、図26の“開始”の後、またはステップS106において、各基地局に割り振るパケットの個数を新たに決定すると判定されたとき、制御装置7の処理手段72は、全ての端末装置STA_1~STA_Sにおける全ての基地局AP_1~AP_Jから受信したパケットの受信数N_RCV1,1~N_RCV1,J;N_RCV2,1~N_RCV2,J;・・・;N_RCVS,1~N_RCVS,Jと、全ての基地局AP_1~AP_Jによるパケットの送信数T1,1~TS,1;T1,2~TS,2;・・・;T1,J~TS,Jとを受信する(ステップS101-1)。ここで、Sは、端末装置50の総数であり、Jは、基地局11~15の総数である。
【0449】
そして、処理手段72は、全ての基地局AP_1~AP_Jの符号化パケットの送信数T~Tを同じ値T_Minに設定する(ステップS101-2)。
【0450】
その後、処理手段72は、s=1を設定し(ステップS101-3)、j=1を設定する(ステップS101-4)。
【0451】
引き続いて、処理手段72は、端末装置STA_sが基地局AP_jから受信したパケットの受信数N_RCVs,jを基地局AP_jから端末装置STA_sへのパケットの送信数Tj,sで除算してパケット誤り率PERj,sを算出する(ステップS101-5)。
【0452】
そして、処理手段72は、端末装置STA_sが基地局AP_jから符号化パケットを受信する期待受信数Ej,s(=Tj,s・PERj,s)を算出する(ステップS101-6)。
【0453】
その後、処理手段72は、E_Total_j_s=E_Total_j_s+Ej,sによって端末装置STA_sにおける基地局AP_jからのパケットの期待受信数E_Total_j_sを更新する(ステップS101-7)。
【0454】
そして、処理手段72は、j=Jであるか否かを判定する(ステップS101-8)。ステップS101-8において、j=Jでないと判定されたとき、処理手段72は、j=j+1を設定する(ステップS101-9)。その後、一連の動作は、ステップS101-5へ移行し、ステップS101-8において、j=Jであると判定されるまで、ステップS101-5~ステップS101-9が繰り返し実行される。
【0455】
そして、ステップS101-8において、j=Jであると判定されると、処理手段72は、端末装置STA_sにおける全ての基地局AP_1~AP_Jからのパケットの期待受信数の総和E_Total_sを取得する(ステップS101-10)。
【0456】
その後、処理手段72は、s=Sであるか否かを判定する(ステップS101-11)。
【0457】
ステップS101-11において、s=Sでないと判定されたとき、処理手段72は、s=s+1を設定する(ステップS101-12)。その後、一連の動作は、ステップSステップS101-4へ移行し、ステップS101-11において、s=Sであると判定されるまで、ステップS101-4~ステップS101-12が繰り返し実行される。
【0458】
そして、ステップS101-11において、s=Sであると判定されると、処理手段72は、全ての端末装置STA_1~STA_Sにおける全ての基地局AP_1~AP_Jからのパケットの期待受信数の総和E_Total_1~E_Total_Sのうちの最小値E_Total_minを検出する(ステップS101-13)。
【0459】
そうすると、処理手段72は、最小値E_Total_minがしきい値E_Total_Thre以上であるか否かを判定する(ステップS101-14)。
【0460】
ステップS101-14において、最小値E_Total_minがしきい値E_Total_Thre以上でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS101-1へ移行し、ステップS101-14において、最小値E_Total_minがしきい値E_Total_Thre以上であると判定されるまで、ステップS101-1~ステップS101-14が繰り返し実行される。
【0461】
そして、ステップS101-14において、最小値E_Total_minがしきい値E_Total_Thre以上であると判定されると、処理手段72は、最小値E_Total_minが得られるときの端末装置STA_pについて、パケット誤り率PERj,pが最も小さい基地局AP_qを選択し、基地局AP_qの符号化パケットの送信数Tを“1”だけ増やす(T=T+1)(ステップS101-15)。その後、一連の動作は、図26のステップS102へ移行する。
【0462】
なお、ステップS101-7が1回目に実行されるとき、E_Total_j_s=E_Total_j_s+Ej,sの右辺における“E_Total_j_s”には、T_Minが代入される。
【0463】
また、全ての基地局AP_1~AP_Jについて、ステップS101-5~ステップS101-9が実行されることによって、1個の端末装置STA_sが全ての基地局AP_1~AP_Jから符号化パケットを受信する期待受信数の総数E_Total_sが取得される(ステップS101-10参照)。
【0464】
更に、全ての端末装置STA_1~STA_Sについて、ステップS101-4~ステップS101-12が実行されることによって、全ての端末装置STA_1~STA_Sの総和E_Total_1~E_Total_Sが取得される(ステップS101-13参照)。
【0465】
更に、ステップS101-13においては、全ての端末装置STA_1~STA_Sにおける全ての基地局AP_1~AP_Jからのパケットの期待受信数の総和E_Total_1~E_Total_Sのうちの最小値が複数存在するとき、複数の最小値のうちの任意の最小値が最小値E_Total_minとして検出される。
【0466】
更に、ステップS101-5においては、端末装置STA_sが基地局AP_jから受信した受信信号強度RSSIj,sに基づいて式(20)によってパケット誤り率PERj,sを算出してもよい。
【0467】
図28は、図26に示すステップS101の詳細な動作を説明するための別のフローチャートである。なお、図28に示すフローチャートは、上述したパケットの割振方法(C)を用いるときのステップS101の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0468】
図28を参照して、図26の“開始”の後、制御装置7の処理手段72は、全ての基地局AP_1~AP_Jにおける受信信号強度RSSI_1~RSSI_J(RSSI_1~RSSI_Jの各々は、各基地局が周辺の基地局から信号を受信したときの受信信号強度からなる。)を基地局AP_1~AP_Jから受信する(ステップS101-21)。
【0469】
そして、処理手段72は、j=1を設定し(ステップS101-22)、受信信号強度RSSI_1_j~RSSI_NAP_j(NAPは、基地局AP_jの周辺基地局の総数である。)のうち、-60dBm以上の受信信号強度の個数Xと、-80~-60dBmの受信信号強度の個数Yとをカウントする(ステップS101-23)。
【0470】
その後、処理手段72は、個数X,Yに基づいて、式(21)によって、基地局AP_jに割り振るパケットの個数Tを算出する(ステップS101-24)。
【0471】
そして、処理手段72は、j=Jであるか否かを判定する(ステップS101-25)。
【0472】
ステップS101-25において、j=Jでないと判定されたとき、処理手段72は、j=j+1を設定する(ステップS101-26)。その後、一連の動作は、ステップS101-23へ移行し、ステップS101-25において、j=Jであると判定されるまで、ステップS101-23~ステップS101-26が繰り返し実行される。
【0473】
そして、ステップS101-25において、j=Jであると判定されると、処理手段72は、基地局AP_1~AP_Jにそれぞれ割り振るパケットの個数T~Tを取得する(ステップS101-27)。その後、一連の動作は、図26のステップS102へ移行する。
【0474】
図29は、図26に示すステップS103の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0475】
図29を参照して、図26のステップS102の後、制御装置7の処理手段72は、符号化パケットをPiggybackで送信するか否かを判定する(ステップS103-1)。
【0476】
ステップS103-1において、符号化パケットをPiggybackで送信すると判定されたとき、処理手段72は、図13に示すフローチャート(図14に示すフローチャートを含む。)に従って、個数T~Tに応じてパケットをそれぞれ基地局AP_1~AP_Jへ送信する(ステップS103-2)。
【0477】
一方、ステップS103-1において、符号化パケットをPiggybackで送信しないと判定されたとき、処理手段72は、図15に示すフローチャート(図14に示すフローチャートを含む。)に従って、個数T~Tに応じてパケットをそれぞれ基地局AP_1~AP_Jへ送信する(ステップS103-3)。
【0478】
そして、ステップS103-2またはステップS103-3の後、一連の動作は、図26のステップS104へ移行する。
【0479】
図29に示すフローチャートにおいては、ステップS103-2において、パケットを基地局AP_1~AP_Jへ送信する場合、図13のステップS7において、単体パケットまたは結合パケットPKT_N/PKT_Cが個数T~Tに応じてそれぞれ基地局AP_1~AP_Jへ送信され、図13のステップS10において、符号化パケットPKT_Cが個数T~Tに応じてそれぞれ基地局AP_1~AP_Jへ送信される。
【0480】
また、図29に示すフローチャートにおいては、ステップS103-3において、パケットを基地局AP_1~AP_Jへ送信する場合、図15のステップS15において、単体パケットまたは符号化パケットPKT_Cが個数T~Tに応じてそれぞれ基地局AP_1~AP_Jへ送信され、図15のステップS10において、符号化パケットPKT_Cが個数T~Tに応じてそれぞれ基地局AP_1~AP_Jへ送信される。
【0481】
複数の端末装置50の各々は、基地局AP_1~AP_Jによってブロードキャストされたパケットを受信し、その受信したパケットの受信処理(Nパケット受信処理、分離処理、除去処理および復号処理)を図16に示すフローチャート(図17から図19に示すフローチャートを含む)に従って実行し、受信処理後のパケットをアプリケーション(図示せず)へ伝送する。
【0482】
通信システム10Aにおいては、制御装置7は、端末装置40から受信した単体パケットPKT_Nのうち、バーストを構成しない単体パケットPKT_Nを基地局AP_1~AP_Jへ送信し、バーストを構成する単体パケットPKT_Nを符号化して符号化パケットPKT_Cを生成し、その生成した符号化パケットPKT_CをPiggybackまたは単独で基地局AP_1~AP_Jへ送信し、基地局AP_1~AP_Jは、制御装置7から受信した単体パケットPKT_Nまたは符号化パケットPKT_Cを複数の端末装置50へブロードキャストする。
【0483】
その結果、基地局AP_1~AP_Jは、相互に同期せずに、単体パケットPKT_Nまたは符号化パケットPKT_Cを複数の端末装置50へブロードキャストする。
【0484】
従って、基地局AP_1~AP_J間で同期せずに、広域をカバーできる。
【0485】
この発明の実施の形態においては、通信システム10Aの動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、通信システム10Aは、基地局11~15と、パーソナルコンピュータとを備える。パーソナルコンピュータは、CPU、ROMおよびRAMを備える。そして、ROMは、プログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを記憶する。
【0486】
CPUは、ROMからプログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを読み出し、その読み出したプログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを実行して、パケットの送信処理を実行する。RAMは、上述したバッファ73の機能を果たす。
【0487】
また、プログラムProg_AまたはプログラムProg_Bは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを読み出して実行し、パケットの送信処理を実行する。
【0488】
従って、プログラムProg_AまたはプログラムProg_Bを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0489】
この発明の実施の形態においては、Nパケットは、「単体パケット」を構成し、符号化パケットC,Cの各々は、「第1の符号化パケット」を構成し、符号化パケットC~Cの各々は、「第2の符号化パケット」を構成し、符号化パケットC’,C’等の符号化パケットC,Cから受信済のパケットの情報を除去した後の符号化パケットは、「第3の符号化パケット」を構成する。
【0490】
また、この発明の実施の形態においては、P/C,P/C,P/C,P/C,P/Cの各々は、「結合パケット」を構成する。
【0491】
更に、この発明の実施の形態においては、Nパケットを送信する処理は、「第1の送信処理」を構成し、P/C,P/C,P/C,P/C,P/Cの各々を送信する処理は、「第2の送信処理」を構成し、符号化パケットC~Cの各々を単独で送信する処理は、「第3の送信処理」を構成する。
【0492】
更に、この発明の実施の形態においては、Tミリ秒は、「しきい値」を構成する。
【0493】
更に、この発明の実施の形態においては、Nバッファ63は、「第1の受信バッファ」を構成し、Cバッファ64は、「第2の受信バッファ」を構成する。
【0494】
更に、この発明の実施の形態においては、P/CをパケットPと符号化パケットCに分離し、P/CをパケットPと符号化パケットCに分離し、P/CをパケットPと符号化パケットCに分離する処理手段23は、「分離手段」を構成する。
【0495】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0496】
この発明は、通信システム、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に適用される。
【符号の説明】
【0497】
1~5,11~15 基地局、6,7 制御装置、10,10A 通信システム、20,30,40,50 端末装置、21,73 バッファ、22,62,72 処理手段、23,74 送信手段、24 アンテナ、61,71受信手段、63 Nバッファ、64 Cバッファ。
図1
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