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特開2022-145584微小流体試験システム及び微小流体試験方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145584
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】微小流体試験システム及び微小流体試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20220926BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20220926BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G01N27/22 B
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036101
(22)【出願日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】63/163,226
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】110119564
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】63/240,225
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】111101835
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522189034
【氏名又は名称】ナショナル ヤン ミン チャオ タン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、チェン イ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ユン シェン
【テーマコード(参考)】
2G058
2G060
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB11
2G058BB19
2G058CC17
2G058EA14
2G058GB10
2G060AA05
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF10
2G060AG11
2G060AG13
2G060HB06
2G060HC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】微小流体試験システム及び方法を提供する。
【解決手段】微小流体試験システムは、制御装置と微小流体チップとを含む。制御装置は、生物医学的試験の試験プロトコルを記憶する。微小流体チップは、トッププレートと、直列接続された複数の微小電極デバイスを有する微小電極ドットアレイとを含む。制御装置は、位置検知信号を微小流体チップに供給し、各微小電極デバイスはそれに従ってトッププレートと対応する微小流体電極との間の静電容量値を検出する。制御装置は、クロック信号を微小流体チップに供給し、各微小電極デバイスはそれに従って対応する静電容量値を検出する。制御装置は、微小流体チップ内の試験サンプルの大きさ及び位置を判定し、試験プロトコル、大きさ及び位置に従って制御信号を生成し、制御信号を微小流体チップに供給する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物医学的試験の試験プロトコルを記憶する制御装置と、
微小流体チップと
を含む微小流体試験システムであって、
前記微小流体チップは、
トッププレートと、
前記トッププレートの下方に配置される微小電極ドットアレイとを含み、
前記微小電極ドットアレイは、直列接続された複数の微小電極デバイスを含み、
前記微小電極デバイスのそれぞれは、
前記トッププレートの下方に配置される微小流体電極と、
前記微小流体電極の下方に配置される多機能電極と、
前記多機能電極の下方に配置される制御回路とを含み、
前記制御回路は、
前記微小流体電極に結合される微小流体制御及び位置検知回路と、
記憶回路と、
前記多機能電極に結合される温度制御回路とを含み、
前記制御装置は、前記微小流体チップに位置検知信号を供給し、前記位置検知信号は、第1の時間間隔内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第1の静電容量値を検出して、前記第1の静電容量値を前記第1の時間間隔中に対応する前記記憶回路に記憶し、
前記制御装置は、前記微小流体チップにクロック信号を更に供給し、前記クロック信号は、第2の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第2の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第1の静電容量値を出力し、
前記制御装置は更に、前記第1の静電容量値に従って前記微小流体チップ内の試験サンプルの大きさと位置を判定し、前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従って試験制御信号を生成し、前記試験制御信号を前記微小流体チップに供給する、微小流体試験システム。
【請求項2】
前記試験制御信号は、複数の加熱制御構成を含み、前記加熱制御構成は、前記微小電極デバイスに1対1で対応し、
前記クロック信号は、第3の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第3の時間間隔の前記サブ時間間隔中に、前記加熱制御構成を読み込み、前記制御装置は、前記微小流体チップに加熱制御信号を更に供給し、前記加熱制御信号は、第4の時間間隔内にイネーブルされ、前記温度制御回路のそれぞれは、前記第4の時間間隔中に、対応する前記加熱制御構成に従って、対応する前記温度制御回路のオン/オフステータスを判定する、請求項1に記載の微小流体試験システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従って加熱制御パターンを生成し、前記加熱制御パターンに従って前記加熱制御構成を生成する、請求項2に記載の微小流体試験システム。
【請求項4】
前記加熱制御パターンは、加熱領域と、環状の非加熱領域とを含み、前記環状の非加熱領域は、前記加熱領域を取り囲み、前記試験サンプルの前記位置は、前記加熱領域の中心に対応する、請求項3に記載の微小流体試験システム。
【請求項5】
前記試験制御信号は、複数のサンプル操作構成を含み、前記サンプル操作構成は、前記微小電極デバイスに1対1で対応し、
前記クロック信号は、第5の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第5の時間間隔の前記サブ時間間隔中に、前記サンプル操作構成を読み込み、前記制御装置は、前記微小流体チップにサンプル制御信号を更に供給し、前記サンプル制御信号は、第6の時間間隔内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記第6の時間間隔中、対応する前記サンプル操作構成に従って機能する又は機能しない、請求項1に記載の微小流体試験システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従ってサンプル制御パターンを生成し、前記サンプル制御パターンに従って前記サンプル操作構成を生成する、請求項5に記載の微小流体試験システム。
【請求項7】
前記位置検知信号は、第7の時間間隔の第1のサンプリング時間内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第2の静電容量値を検出し、前記第2の静電容量値を前記第1のサンプリング時間中に対応する前記記憶回路に記憶し、前記クロック信号は、第8の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第8の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第2の静電容量値を出力し、
前記位置検知信号は、第9の時間間隔の第2のサンプリング時間内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第3の静電容量値を検出し、前記第3の静電容量値を前記第2のサンプリング時間中に対応する前記記憶回路に記憶し、前記クロック信号は、第10の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路は、前記第10の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第3の静電容量値を出力し、
前記第1のサンプリング時間は、前記第7の時間間隔の第1の開始点から第1の遅延時間分、遅延され、前記第2のサンプリング時間は、前記第9の時間間隔の第2の開始点から第2の遅延時間分、遅延され、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とは互いに異なり、
前記制御装置は、前記第2の静電容量値と前記第3の静電容量値に従って前記試験サンプルの3次元画像を更に生成する、請求項1に記載の微小流体試験システム。
【請求項8】
前記位置検知信号は、第11の時間間隔の第1のサンプリング時間内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第4の静電容量値を検出して、前記第4の静電容量値を前記第1のサンプリング時間中に対応する前記記憶回路に記憶し、前記クロック信号は、第12の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第12の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第4の静電容量値を出力し、
前記位置検知信号は、第13の時間間隔の第2のサンプリング時間内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第5の静電容量値を検出し、前記第5の静電容量値を前記第2のサンプリング時間中に対応する前記記憶回路に記憶し、前記クロック信号は、第14の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路は、前記第14の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第5の静電容量値を出力し、
前記第1のサンプリング時間は、前記第11の時間間隔の第1の開始点から第1の遅延時間分、遅延され、前記第2のサンプリング時間は、前記第13の時間間隔の第2の開始点から第2の遅延時間分、遅延され、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とは互いに異なり、
前記微小電極デバイスのそれぞれについて、前記制御装置は、前記微小電極デバイスに対応する前記第4の静電容量値と前記第5の静電容量値に従って、前記微小電極デバイスのステータスを更に判定する、請求項1に記載の微小流体試験システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記ステータスに従って前記微小流体チップの有効エリアを更に判定する、請求項8に記載の微小流体試験システム。
【請求項10】
微小流体チップを制御するための微小流体試験システムの制御装置において使用される微小流体試験方法であって、前記制御装置は、生物医学的試験の試験プロトコルを記憶し、前記微小流体チップはトッププレートと微小電極ドットアレイとを含み、前記微小電極ドットアレイは前記トッププレートの下方に配置され、前記微小電極ドットアレイは直列接続された複数の微小電極デバイスを含み、前記微小電極デバイスのそれぞれは、微小流体電極、多機能電極及び制御回路を含み、前記微小流体電極のそれぞれは、前記トッププレートの下方に配置され、前記多機能電極のそれぞれは、対応する前記微小流体電極の下方に配置され、前記制御回路のそれぞれは、対応する前記多機能電極の下方に配置され、前記前記制御回路のそれぞれは、微小流体制御及び位置感知回路と、記憶回路と、温度制御回路とを含み、前記微小流体制御及び位置感知回路のそれぞれは、対応する前記微小流体電極に結合され、前記温度制御回路のそれぞれは、対応する前記多機能電極に結合され、前記微小流体試験方法は、次のステップ:
(a)第1の時間間隔内にイネーブルされる位置検知信号を前記微小流体チップに供給し、それにより、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第1の静電容量値を検出して、前記第1の静電容量値を前記第1の時間間隔中に対応する前記記憶回路に記憶するステップと、
(b)第2の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされるクロック信号を前記微小流体チップに供給し、それにより、前記記憶回路はそれぞれ、前記第2の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第1の静電容量値を出力するステップと、
(c)前記微小流体チップから前記第1の静電容量値を受信するステップと、
(d)前記第1の静電容量値に従って、前記微小流体チップ内の試験サンプルの大きさ及び位置を判定するステップと、
(e)前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従って試験制御信号を生成するステップと、
(f)前記試験制御信号を前記微小流体チップに供給するステップとを含む、微小流体試験方法。
【請求項11】
前記試験制御信号は、複数の加熱制御構成を含み、前記加熱制御構成は前記微小電極デバイスに1対1で対応し、前記クロック信号は第3の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第3の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記加熱制御構成を読み込み、前記微小流体試験方法は、次のステップ:
第4の時間間隔内にイネーブルされる加熱制御信号を前記微小流体チップに供給し、それにより、前記温度制御回路のそれぞれは、前記第4の時間間隔中に、対応する前記加熱制御構成に従って、対応する前記温度制御回路のオン/オフステータスを判定するステップを更に含む、請求項10に記載の微小流体試験方法。
【請求項12】
前記ステップ(e)は、以下のステップ:
前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従って加熱制御パターンの生成するステップと、
前記加熱制御パターンに従って前記加熱制御構成を生成するステップとを含む、請求項11に記載の微小流体試験方法。
【請求項13】
前記加熱制御パターンは、加熱領域と、環状の非加熱領域とを含み、前記環状の非加熱領域は、前記加熱領域を取り囲み、前記試験サンプルの前記位置は、前記加熱領域の中心に対応する、請求項12に記載の微小流体試験方法。
【請求項14】
前記試験制御信号は、複数のサンプル操作構成を含み、前記サンプル操作構成は前記微小電極デバイスに1対1で対応し、前記クロック信号は第5の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第5の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記サンプル操作構成を読み込み、前記微小流体試験方法は、次のステップ:
第6の時間間隔内にイネーブルされるサンプル制御信号を前記微小流体チップに供給し、それにより、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記第6の時間間隔中に、対応する前記サンプル操作構成に従って機能する又は機能しない、請求項10に記載の微小流体試験方法。
【請求項15】
前記ステップ(e)は、以下のステップ:
前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従ってサンプル制御パターンを生成するステップと、
前記サンプル制御パターンに従って前記サンプル操作構成を生成するステップとを含む、請求項14に記載の微小流体試験方法。
【請求項16】
前記位置検知信号は、第7の時間間隔の第1のサンプリング時間内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第2の静電容量値を検出して、前記第2の静電容量値を前記第1のサンプリング時間中に対応する前記記憶回路に記憶し、前記クロック信号は、第8の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第8の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第2の静電容量値を出力し、
前記位置検知信号は、第9の時間間隔の第2のサンプリング時間内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第3の静電容量値を検出して、前記第3の静電容量値を前記第2のサンプリング時間中に対応する前記記憶回路に記憶し、前記クロック信号は、第10の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路は、前記第10の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第3の静電容量値を出力し、
前記第1のサンプリング時間は、前記第7の時間間隔の第1の開始点から第1の遅延時間分、遅延され、前記第2のサンプリング時間は、前記第9の時間間隔の第2の開始点から第2の遅延時間分、遅延され、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とは互いに異なり、前記微小流体試験方法は、次のステップ:
前記第2の静電容量値を受信するステップと、
前記第3の静電容量値を受信するステップと、
前記第2の静電容量値と前記第3の静電容量値に従って前記試験サンプルの3次元画像を生成するするステップとを更に含む、請求項10に記載の微小流体試験方法。
【請求項17】
前記位置検知信号は、第11の時間間隔の第1のサンプリング時間内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第4の静電容量値を検出して、前記第4の静電容量値を前記第1のサンプリング時間中に対応する前記記憶回路に記憶し、前記クロック信号は、第12の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路はそれぞれ、前記第12の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第4の静電容量値を出力し、
前記位置検知信号は、第13の時間間隔の第2のサンプリング時間内にイネーブルされ、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の第5の静電容量値を検出して、前記第5の静電容量値を前記第2のサンプリング時間中に対応する前記記憶回路に記憶し、前記クロック信号は、第14の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、前記記憶回路は、前記第14の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記第5の静電容量値を出力し、
前記第1のサンプリング時間は、前記第11の時間間隔の第1の開始点から第1の遅延時間分、遅延され、前記第2のサンプリング時間は、前記第13の時間間隔の第2の開始点から第2の遅延時間分、遅延され、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間とは互いに異なり、前記微小流体試験方法は、次のステップ:
前記第4の静電容量値を受信するステップと、
前記第5の静電容量値を受信するステップと、
対応する前記第4の静電容量値及び対応する前記第5の静電容量値に従って、前記微小電極デバイスのそれぞれのステータスを判定するステップとを更に含む、請求項10に記載の微小流体試験方法。
【請求項18】
以下のステップ:
前記ステータスに従って前記微小流体チップの有効エリアを判定するステップを更に含む、請求項17に記載の微小流体試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年3月19日に出願された米国仮特許出願第63/163,226号、2021年5月28日に出願された台湾特許出願第110119564号、2021年9月2日に出願された米国仮特許出願第63/240,255号、及び、2022年1月17日に出願された台湾特許出願第111101835号の優先権を主張し、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、微小流体試験システム及び微小流体試験方法に関する。より詳細には、正確な測位と適応制御を実現する微小流体試験システム及び微小流体試験方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の生物医学的機器と比較して、生物医学的試験(例えば、蛋白質分析、疾病診断)においてデジタル微小流体生体素子(DMFB)を採用することにより、機器の小型化、反応体積の減少、サンプル及び試薬の消費量の低下、コストの低下、臨床検査室の自動化を含むいくつかの利点がもたらされる。詳細には、電極アレイを備えるDMFBは、核酸ベースの試験及び薬物スクリーニングへの応用などの生物医学的試験のための強力な解析プラットフォームである。
【0004】
従来のDMFBは通常、誘電体上エレクトロウェッティング(EWOD)技術を使用して微小流体操作を行い、臨床検査室自動化の機会となる。しかしながら、従来のDMFB上の電極は、標的特異的な生物医学的試験に合わせた特定のパターンで配置されるため、一旦設計されると、他の生物医学的試験には使用できない。したがって、様々な生物医学的試験に適応するデジタル微小流体試験機器、及び、様々な生物医学的試験に対応して適応制御を提供する微小流体試験技術が依然として早急に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、微小流体試験システムを提供することである。微小流体試験システムは、制御装置と微小流体チップとを含む。前記制御装置は、生物医学的試験の試験プロトコルを記憶する。前記微小流体チップは、トッププレートと微小電極ドットアレイとを含み、前記微小電極ドットアレイは前記トッププレートの下方に配置され、直列接続された複数の微小電極デバイスを含む。前記微小電極デバイスのそれぞれは、微小流体電極と、多機能電極と、制御回路とを含み、前記微小流体電極は前記トッププレートの下方に配置され、前記多機能電極は前記微小流体電極の下方に配置され、前記制御回路は前記多機能電極の下方に配置される。前記制御回路はそれぞれ、微小流体制御及び位置検知回路と、記憶回路と、温度制御回路とを含み、前記微小流体制御及び位置検知回路は対応する前記微小流体電極に結合され、前記温度制御回路は前記多機能電極に結合される。
【0006】
前記制御装置は、前記微小流体チップに位置検知信号を供給し、前記位置検知信号は、第1の時間間隔内にイネーブルされる。前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の静電容量値を検出し、前記静電容量値を前記第1の時間間隔中に対応する前記記憶回路に記憶する。前記制御装置は、前記微小流体チップにクロック信号を更に供給し、前記クロック信号は、第2の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる。前記記憶回路はそれぞれ、前記第2の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記静電容量値を出力する。前記制御装置は更に、前記静電容量値に従って前記微小流体チップ内の試験サンプルの大きさと位置を判定し、前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従って試験制御信号を生成し、前記試験制御信号を前記微小流体チップに供給する。
【0007】
本発明の他の目的は、微小流体チップを制御するための微小流体試験システムの制御装置において使用される微小流体試験方法を提供することである。前記制御装置は、生物医学的試験の試験プロトコルを記憶する。前記微小流体チップはトッププレートと微小電極ドットアレイとを含み、前記微小電極ドットアレイは前記トッププレートの下方に配置され、前記微小電極ドットアレイは直列接続された複数の微小電極デバイスを含む。前記微小電極デバイスのそれぞれは、微小流体電極、多機能電極及び制御回路を含み、前記微小流体電極のそれぞれは、前記トッププレートの下方に配置され、前記多機能電極のそれぞれは、対応する前記微小流体電極の下方に配置され、前記制御回路のそれぞれは、対応する前記多機能電極の下方に配置される。前記制御回路のそれぞれは、微小流体制御及び位置感知回路と、記憶回路と、温度制御回路とを含み、前記微小流体制御及び位置感知回路のそれぞれは、対応する前記微小流体電極に結合され、前記温度制御回路のそれぞれは、対応する前記多機能電極に結合される。
【0008】
前記微小流体試験方法は、以下のステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(c)、ステップ(d)、ステップ(e)及びステップ(f)を含む。ステップ(a)は、前記制御装置により、第1の時間間隔内にイネーブルされる位置検知信号を前記微小流体チップに供給し、それにより、前記微小流体制御及び位置検知回路のそれぞれは、前記トッププレートと対応する前記微小流体電極との間の静電容量値を検出し、前記静電容量値を、前記第1の時間間隔中に、対応する前記記憶回路に記憶する。ステップ(b)は、前記制御装置により、第2の時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされるクロック信号を前記微小流体チップに供給し、それにより、前記記憶回路はそれぞれ、前記第2の時間間隔の前記サブ時間間隔中に前記静電容量値を出力する。ステップ(c)は、前記制御装置により、前記微小流体チップから前記静電容量値を受信する。ステップ(d)は、前記制御装置により、前記静電容量値に従って、前記微小流体チップ内の試験サンプルの大きさ及び位置を判定する。ステップ(e)は、前記制御装置により、前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従って試験制御信号を生成する。ステップ(f)は、前記制御装置により、前記試験制御信号を前記微小流体チップに供給する。
【0009】
本発明により提供される微小流体試験技術によれば、制御装置は、第1の時間間隔内にイネーブルされる位置検知信号を微小流体チップに供給し、それにより、前記微小流体チップの微小流体制御及び位置検知回路はそれぞれ、トッププレートと対応する微小流体電極との間の静電容量値を検出し、前記静電容量値を前記第1の時間間隔中に、対応する記憶回路に記憶してもよい。本発明により提供される微小流体試験技術によれば、前記制御装置は、第2時間間隔の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされるクロック信号を前記微小流体チップに更に供給し、それにより、前記記憶回路はそれぞれ、前記第2の時間間隔の前記サブ時間間隔中に、前記静電容量値を出力してもよい。本発明により提供される微小流体試験技術によれば、前記制御装置は、前記静電容量値に従って、前記微小流体チップ内の試験サンプルの大きさ及び位置を判定し、前記試験プロトコル、前記大きさ及び前記位置に従って試験制御信号を生成し、前記試験制御信号を前記微小流体チップに供給して試験操作を実行してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により提供される微小流体試験技術は、微小流体チップ内の試験サンプルの大きさ及び位置を判定し、次いで、その試験サンプルの大きさと位置、及び、実行しようとする生物医学的試験の試験プロトコルに従って試験制御信号を生成することができるので、本発明により提供される微小流体試験技術は、様々な生物医学的試験について正確に試験操作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】一実施形態における微小流体試験システムのシステムアーキテクチャの概略図である。
図1B】微小流体チップの側面図である。
図1C】微小流体チップの平面図である。
図1D】微小電極デバイスの回路ブロック図である。
図1E】4つの金属層を有する半導体構造の概略図である。
図1F】いくつかの実施形態で採用されるジグザグ形状の多機能電極を示す図である。
図2A】生物医学的試験の試験プロトコルが試験温度要件を含む場合に採用することができるタイミング図である。
図2B】第1の静電容量値に従って試験サンプルの大きさと位置を判定するという概念を示す図である。
図2C】ある特定の実施例において採用される加熱制御パターンを示す図である。
図2D】ある特定の実施例において採用される加熱制御パターンを示す図である。
図3A】生物医学的試験の試験プロトコルがサンプル操作要件を含む場合に採用することができるタイミング図である。
図3B】ある特定の実施例において採用されるサンプル制御パターンを示す図である。
図4A】微小電極デバイスの複数のサンプリングポイントを示す概略図である。
図4B】試験サンプルの3次元画像を生成するために採用することができるタイミング図である。
図5】微小流体チップ2の各微小電極デバイスのステータスを判定するために採用することができるタイミング図である。
図6】ある特定の実施例における制御回路の回路図である。
図7】一実施形態における微小流体試験方法のメインフローチャートである。
図8】一実施形態における微小流体試験方法のメインフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特許請求される本発明の特徴を当業者が十分に理解できるよう、本発明の技術の詳細及び好ましい実施形態を添付の図面と共に以下に説明する。
【0013】
以下の記載では、本発明の微小流体試験システム及び微小流体試験方法を、その特定の実施形態に関して説明する。しかしながら、これらの実施形態は、本発明をこれらの実施形態に記載された特定の環境、用途又は実施に限定することを意図するものではない。したがって、これらの実施形態の記載は、本発明の範囲を限定するためではなく、実例を示すためのものである。なお、以下の実施形態及び添付図面において、本発明と関連のない要素については、説明を省略する。また、添付図面における各要素の寸法及び各要素間の寸法の縮尺は、説明と例示を容易にするためにのみ提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
本発明の一実施形態は、微小流体試験システム100であり、そのシステムアーキテクチャの概略図を図1Aに示す。微小流体試験システム100は、微小流体チップ2と制御装置3とを備え、微小流体チップ2と制御装置3は協働する。以下の記載では、先ず、微小流体チップ2及び制御装置3のハードウェアアーキテクチャを説明し、次に、様々な生物医学的試験に対応して、試験サンプルを正確に測位し、微小流体適応型試験を実現するために微小流体チップ2及び制御装置3が実行する動作について説明する。
【0015】
ここで、微小流体チップ2のハードウェアアーキテクチャについて説明する。図1B及び図1Cはそれぞれ、微小流体チップ2の側面図及び平面図である。微小流体チップ2は、トッププレート10と微小電極ドットアレイ21とを備え、ここで、微小電極ドットアレイ21は、トッププレート10の下方に配置されている。トッププレート10は、導電性の材料、例えば酸化インジウムスズ(ITO)ガラスにより形成できる。トッププレート10の下方かつ微小電極ドットアレイ21の上方には空間が形成され、この空間内で、試験サンプルTSを制御装置3の制御により移動させることができる(詳細は後述する)。いくつかの実施形態では、微小流体チップ2は、2つの疎水性層22、24を更に含んでもよい。疎水性層22は、トッププレート10の下方に配置され、トッププレート10に直接接触する。一方、疎水性層24は、微小電極ドットアレイ21の上方に配置される。疎水性層22、24により、試験サンプルTSが移動する空間が画定され得る。疎水性層22、24はそれぞれ、疎水性材料により形成することができる。
【0016】
微小電極ドットアレイ21は、直列接続された複数の微小電極デバイス1を含み、ここで、微小電極デバイス1は、p×qの大きさの二次元アレイに配列され、ここで、p及びqは共に、1より大きい正の整数である。制御装置3もまた、微小電極デバイス1がp×qの大きさの二次元アレイに配列されていることも認識している。各微小電極デバイス1は、微小流体電極11、多機能電極13(実行中の試験プロトコルにより加熱電極又は絶縁層として使用され得る。詳細は後述する)、及び、制御回路15を備える。各微小流体電極11は、トッププレート10の下方に配置され、各多機能電極13は、対応する微小流体電極11(すなわち、同じ微小電極デバイス1に属する微小流体電極11)の下方に配置され、各制御回路15は、対応する多機能電極13(すなわち、同じ微小電極デバイス1に属する多機能電極13)の下方に配置される。いくつかの実施形態形態では、微小電極ドットアレイ21は、微小電極デバイス1の上方に配置される微小電極インターフェース20を更に含んでもよい。微小電極インターフェース20は、疎水性層24とインターフェース接続するために使用され、SiO絶縁層とすることができる。なお、各微小電極デバイス1の大きさは、本発明において、いかなる特定の大きさにも限定されないことに留意されたい。しかしながら、いくつかの実施形態では、各微小電極デバイス1の上面面積は2,500μmとすることができる。また、任意の隣り合う2つの微小電極デバイス1の間の間隔は、本発明において、いかなる特定の間隔にも限定されないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、ある微小電極デバイス1とその隣の微小電極デバイス1との間隔を1μmとすることができる。
【0017】
図1Cにおいて、正方形はそれぞれ、微小電極デバイス1を表し、ここで、各微小電極デバイス1は、入力端子と出力端子とを有する。先頭の微小電極デバイス1を除き、各微小電極デバイス1の入力端子は、前の微小電極デバイス1の出力端子に結合される。微小流体チップ2の微小電極デバイス1は直列に接続されているため、先頭の微小電極デバイス1を除き、各微小電極デバイス1は、その前方に配置される微小電極デバイス1を介して入力信号DI(例えば、加熱制御構成、サンプル操作構成)を受信し、末尾の微小電極デバイス1を除き、各微小電極デバイス1は、その後方に配置される微小電極デバイス1を介して出力信号DO(例えば、記憶された静電容量値)を供給する。
【0018】
図1Dは、微小電極ドットアレイ21の各微小電極デバイス1の回路ブロック図を示す。より詳細には、各微小電極デバイス1は、微小流体電極11と、多機能電極13と、制御回路15とを含み、各微小電極デバイス1の制御回路15は、微小流体制御及び位置検知回路151と、温度制御回路153と、記憶回路155とを含む。各微小流体制御及び位置検知回路151は、対応する微小流体電極11(すなわち、同じ微小電極デバイス1に属する微小流体電極11)に結合され、各温度制御回路153は、対応する多機能電極13(すなわち、同じ微小電極デバイス1に属する多機能電極13)に結合される。同じ微小電極デバイス1内の微小流体制御及び位置検知回路151と、温度制御回路153と、記憶回路155とは、互いに結合される。各微小流体制御及び位置検知回路151は、サンプル制御信号EN_Fと、位置検知信号EN_Sとを受信してもよい。各記憶回路155は、クロックCLKを受信し、入力信号DI(例えば、加熱制御構成、サンプル操作構成)を受信して記憶し、出力シグナルDO(例えば、記憶された静電容量値)を供給してもよい。各温度制御回路153は、加熱制御信号EN_Tを受信してもよい。さらに、トッププレート10と微小電極ドットアレイ21との間の空間内で試験サンプルを移動させるためのEWOD技術による十分な駆動力を発生させるため、トッププレート10の上面に電圧信号VS(例えば、1kHz 50Vp-p矩形波)を供給することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、図1Eに示す半導体構造を形成することができる半導体プロセス(例えば、台湾半導体製造会社が提供する、0.35μm 2P4M相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術)を採用して微小電極デバイス1を実装することができる。図1Eに示される半導体構造は、基板Sと、基盤S上の4つの金属層とを含み、ここで、4つの金属層は、下から上に、第1の金属層M1、第2の金属層M2、第3の金属層M3及び第4の金属層M4を含む。そのような実施形態では、微小電極デバイス1の制御回路15を第1の金属層M1及び第2の金属層M2に形成することができ、微小電極デバイス1の多機能電極13を第3の金属層M3に形成することができ、微小電極デバイス1の微小流体電極11を第4の金属層M4に形成することができる。いくつかの実施形態では、多機能電極13がより均等に発熱するように(多機能電極13が加熱電極として機能する場合)、各多機能電極13の形を図1Fに示すようなジグザグ形状にすることができる。
【0020】
制御装置3のハードウェアアーキテクチャをここで、図1Aを参照して説明する。制御装置3は、記憶装置31と、少なくとも1つの伝送インターフェース33と、プロセッサ35とを備え、ここで、プロセッサ35は、記憶装置31及び少なくとも1つの伝送インターフェース33に電気的に接続される。記憶装置31は、メモリ、ユニバーサルシリアルバス(USB)ディスク、ポータブルディスク、ハードディスクドライブ(HDD)、又は、同様の機能を有し当業者に周知である任意の他の非一時的な記憶媒体、装置若しくは回路とすることができる。各伝送インターフェース33は、生体素子と通信可能で、当業者に周知であるデジタル入力/出力インターフェースカードとすることができる。プロセッサ35は、種々のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、微小プロセッサユニット(MPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、又は、当業者に周知の他の計算装置のうちの1つとすることができる。いくつかの実施形態では、制御装置3は、デスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ又はモバイル端末(例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン)とすることができる。
【0021】
以下の記載では、どのようにして、微小流体チップ2及び制御装置3が試験サンプルTSを正確に測位し、種々の生物医学的試験に従って対応する微小流体試験を実行するかについて詳細に説明する。
【0022】
この実施形態では、記憶装置31は、複数の試験プロトコルPa、・・・・・・、Pbを記憶しており、ここで、試験プロトコルPa、・・・・・・、Pbはそれぞれ、各生物医学的試験に対応する。実行中の生物医学的試験はいずれも、正確な試験結果を得るには、対応する試験プロトコルに従わなければならないため、生物医学的試験の試験プロトコルは、バイオプロトコルと呼ばれ得る。詳細には、生物医学的試験の試験プロトコルは、試験サンプルのサンプル量、少なくとも1つの試験温度要件(例えば、ある温度に到達する)、少なくとも1つのサンプル操作要件(例えば、試験のためにサンプルを移動、分類、切断、混合する)、及び/又は、生物医学的試験が従う必要のある他の要件を含んでもよい。例えば、試験プロトコルPaが特定の疾病のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験のためのものである場合、試験プロトコルPaは、試験サンプルのサンプル量、脱オキシリボ核酸(DNA)変性段階のための試験温度要件及び対応する時間間隔、アニーリング段階のための試験温度要件及び対応する時間間隔、並びに、増幅段階のための試験温度要件及び対応する時間間隔を含んでもよい。本発明によれば、少なくとも1つの試験プロトコルがありさえすれば、制御装置3の記憶装置31に記憶される試験プロトコルの数に制限はない。制御装置3の記憶装置31に記憶される試験プロトコルが多ければ多いほど、微小流体試験システム100が実行できる生物医学的試験が多くなることを理解されたい。
【0023】
いくつかの実施形態では、微小流体試験システム100により実行中の生物医学的試験に対応する試験プロトコル(例えば、試験プロトコルPa)は、試験温度要件を含む(例えば、試験環境は95℃でなければならない)。そのような実施形態に対して、制御装置3は、図2Aに示すようなタイミング図を採用してもよい。時間間隔T1、T2内に微小流体試験システム100により実行される動作は、試験サンプルTSの大きさ及び位置を判定するためのものであり、時間間隔T3、T4内に微小流体試験システム100により実行される動作は、試験サンプルTSの大きさ、試験サンプルTSの位置及び実行中の生物医学的試験の試験プロトコルに従って試験制御信号S1を供給するためのものである。
【0024】
より詳細には、制御装置3は、微小流体チップ2に伝送インターフェース33を介して位置検知信号EN_Sを供給し、ここで、位置検知信号EN_Sは、時間間隔T1内にイネーブルされる(例えば、位置検知信号EN_Sの電圧レベルは、時間間隔T1内にハイとなり得る)。位置検知信号EN_Sは、時間間隔T1内にイネーブルされるため、各微小電極デバイス1の微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第1の静電容量値を検出し、この第1の静電容量値を、時間間隔T1中に、対応する記憶回路155に記憶する。各第1の静電容量値は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間に試験サンプルがあるかどうかを反映する。検出された静電容量値を示すために数値「0」及び「1」を使用する場合、数値「1」を使用して、トッププレート10と微小流体電極11との間に試験サンプルがあることを示すことができ、数値「0」を使用して、トッププレート10と微小流体電極11との間に試験サンプルがないことを示すことができる。
【0025】
また、制御装置3は、クロック信号CLKを伝送インターフェース33を介して微小流体チップ2に供給し、ここで、クロック信号CLKは、時間間隔T2の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる(例えば、クロック信号CLKの電圧レベルは、時間間隔T2のサブ時間間隔内にハイとなり得る)。時間間隔T2のサブ時間間隔は、微小電極デバイス1の記憶回路155に1対1で対応する。すなわち、微小電極ドットアレイ21がN個の微小電極デバイス1を含む場合、時間間隔T2にはN個のサブ時間間隔が存在することになり、ここで、Nは正の整数である。クロック信号CLKは、時間間隔T2のサブ時間間隔内にイネーブルされるため、記憶回路155は、時間間隔T2の各サブ時間間隔中にそれぞれ第1の静電容量値C1を出力する。本発明は、クロック信号CLKのクロック速度をいずれかの特定の速度に制限するものではない。例えば、記憶回路155は、クロック信号CLKのクロック速度100kHzという設定の下、第1の静電容量値C1を出力してもよい。
【0026】
制御装置3は、伝送インターフェース33を介して第1の静電容量値C1を受信する。制御装置3は、微小電極デバイス1がp×qの大きさの2次元アレイに配置されていることを認識しており、第1の静電容量値C1が微小電極デバイス1に1対1で対応することを認識している。理解を深めるために、図2Bに示す特定の実施例を参照されたい。図2Bは、第1の静電容量値C1がp×qの大きさの2次元アレイに配置されていることを示している。図2Bにおいて、N個の正方形はそれぞれ、N個の微小電極デバイス1の第1の静電容量値を表し、ここで、白色の正方形はそれぞれ、対応する第1の静電容量値が数値「0」のものであることを示し、灰色の正方形はそれぞれ、対応する第1の静電容量値が数値「1」のものであることを示す。微小電極デバイス1がp×qの大きさの2次元アレイに配置されていることがわかっているため、制御装置3のプロセッサ35は、第1の静電容量値C1に従って、微小流体チップ2内の試験サンプルTSの大きさ及び位置を判定することができる。
【0027】
その後、制御装置3のプロセッサ35は、実行中の生物医学的試験の試験プロトコル(例えば、試験プロトコルPa)、試験サンプルTSの大きさ及び試験サンプルTSの位置に従って試験制御信号S1を生成し、対応する試験動作を実行するために、試験制御信号S1を伝送インターフェース33を介して微小流体チップ2に供給する。
【0028】
図2Aに示す特定の実施例では、実行中の生物医学的試験の試験プロトコルは、試験温度要件を含む(例えば、試験環境は95℃でなければならない)。したがって、検査制御信号S1は、複数の加熱制御構成(図示せず)を含み、加熱制御構成は、微小電極デバイス1に1対1で対応する。各加熱制御構成は、対応する微小電極デバイス1の温度制御回路153の加熱時間間隔におけるオン/オフステータス(すなわち、加熱を行うか否か)を示すために使用される。
【0029】
より詳細には、制御装置3が微小流体チップ2に供給するクロック信号CLKは更に、時間間隔T3の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる(例えば、クロック信号CLKの電圧レベルは、時間間隔T3のサブ時間間隔内にハイとなり得る)。時間間隔T3のサブ時間間隔は、微小電極デバイス1の記憶回路155に1対1で対応する。記憶回路155はそれぞれ、時間間隔T3のサブ時間間隔中に加熱制御構成を読み込む。
【0030】
いくつかの実施形態では、制御装置3のプロセッサ35は、試験プロトコルPaの試験温度要件、試験サンプルTSの大きさ、及び、試験サンプルTSの位置に従って加熱制御パターンを生成し、次いで、加熱制御パターンに従って加熱制御構成を生成する。理解を深めるために、図2Cに示す特定の実施例を参照されたい。図2Cに示す加熱制御パターンH1について、N個の正方形はそれぞれ、N個の記憶回路155により読み込まれたN個の加熱制御構成を表し、ここで、灰色の正方形は、加熱を行っていることを表し、白色の正方形は、加熱を行っていないことを表す。次に、制御装置3のプロセッサ35は、加熱制御パターンH1に従って、加熱制御構成を生成する。例えば、白色の正方形に対応する加熱制御構成は、数値「0」のものとすることができ、灰色の正方形に対応する加熱制御構成は、数値「1」のものとすることができる。図2Dは、他の特定の実施例として、他の加熱制御パターンH2を示す。
【0031】
いくつかの実施形態では、制御装置3により生成される加熱制御パターンは、加熱領域と、環状の非加熱領域とを含んでもよく、ここで、環状の非加熱領域は加熱領域を取り囲み、試験サンプルTSの位置は加熱領域の中心に対応する。環状の非加熱領域は、ガードリングと呼ぶことができる。加熱領域を取り囲むガードリングを設けることにより、加熱領域内の加熱効果が外部の環境温度の影響を受けることがなくなる。したがって、より良い温度変化率及びより少ないエネルギー消費で、目標温度に到達できる。
【0032】
図2Cに示す特定の実施例では、加熱制御パターンH1は、ガードリングを有する。より詳細には、加熱制御パターンH1は、加熱領域A1(すなわち、図2Cの試験サンプルTSを覆う灰色の正方形)、環状の非加熱領域A2(すなわち、図2Cの前述の灰色の正方形を取り囲む白色の正方形)、他の加熱領域A3(すなわち、図2Cの前述の白色の正方形を取り囲む灰色の正方形)、及び、他の非加熱領域A6を含む。試験サンプル試液の位置は、加熱領域A1の中心に対応する。環状の非加熱領域A2が加熱領域A1を取り囲み、他の加熱領域A3が環状の非加熱領域A2を取り囲み、残りの領域が非加熱領域A6である。加熱領域A1及び加熱領域A3内の多機能電極(加熱電極として使用される)の個数は、試験プロトコルで指定される試験温度要件(すなわち、到達しなければならない特定温度)により異なる。要求される試験温度が高いほど、加熱領域A1及び加熱領域A3内の多機能電極の数は多くなる。本発明は、加熱制御パターンにおける環状の非加熱領域の数(すなわち、ガードリングの数)をいずれかの特定の数に限定するものではない。図2Dに示す実施例では、加熱制御パターンH2は、2つのガードリング(すなわち、環状の非加熱領域A4、A5)を有する。
【0033】
制御装置3は、伝送インターフェース33を介して微小流体チップ2に加熱制御信号EN_Tを供給し、ここで、加熱制御信号EN_Tは、時間間隔T4内にイネーブルされる(例えば、加熱制御信号EN_Tの電圧レベルは、時間間隔T4内にハイとなり得る)。時間間隔T4は、前述の加熱時間間隔である。加熱制御信号EN_Tは時間間隔T4内にイネーブルされるため、各微小電極デバイス1の温度制御回路153は、時間間隔T4中に、対応する加熱制御構成に従って、温度制御回路153自身のオン/オフステータスを判定する(すなわち、温度制御回路153内に備えられたスイッチがオン又はオフである)。加熱制御構成が、対応する温度制御回路153のオン/オフステータスがオンとなるべきであることを示すとき(例えば、加熱制御構成が数値「1」である)、温度制御回路153は、時間間隔T4(すなわち、加熱時間間隔)の間、スイッチをオンにして、対応する多機能電極13が加熱を実行できるようにする(すなわち、多機能電極13は、使用中の加熱電極とみなすことができる)。加熱制御構成が、対応する温度制御回路153のオン/オフステータスがオフとなるべきであることを示すとき(例えば、加熱制御構成が数値「0」である)、温度制御回路153は、時間間隔T4(すなわち、加熱時間間隔)の間、スイッチをオフにして、対応する多機能電極13が機能しないようにする(すなわち、加熱を行わない。多機能電極13は、使用されていない加熱電極とみなすことができる)。
【0034】
以上のような制御及び動作により、微小流体試験システム100は、微小流体チップ2内の試験サンプルTSの大きさ及び位置を正確に判定し、次いで、試験サンプルTSの大きさ、試験サンプルTSの位置、及び、実行中の生物医学的試験の試験プロトコルに応じた適切な加熱制御構成を供給することができる。このように、微小流体試験システム100は、試験温度要件を含む様々な生物医学的試験に適応する。
【0035】
いくつかの実施形態では、微小流体試験システム100により実行される生物医学的試験に対応する試験プロトコル(例えば、試験プロトコルPb)は、サンプル操作要件(例えば、試験サンプルの切断)を含む。そのような実施形態に対して、制御装置3は、図3Aに示すようなタイミング図を採用してもよい。時間間隔T1、T2内に微小流体試験システム100により実行される動作は、試験サンプルTSの大きさ及び位置を判定するためのものであり、時間間隔T5、T6内に微小流体試験システム100により実行される動作は、試験サンプルTSの大きさ、試験サンプルTSの位置及び実行中の生物医学的試験の試験プロトコルに従って試験制御信号S2を供給するためのものである。
【0036】
前述の実施形態と同様に、制御装置3は、微小流体チップ2に伝送インターフェース33を介して位置検知信号EN_Sを供給し、ここで、位置検知信号EN_Sは、時間間隔T1内にイネーブルされる。各微小電極デバイス1の微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第1の静電容量値を検出し、この第1の静電容量値を、時間間隔T1中に、対応する記憶回路155に記憶する。同様に、制御装置3は、クロック信号CLKを伝送インターフェース33を介して微小流体チップ2に供給し、ここで、クロック信号CLKは、時間間隔T2の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる。時間間隔T2のサブ時間間隔は、微小電極デバイス1の記憶回路155に1対1で対応する。記憶回路155はそれぞれ、時間間隔T2のサブ時間間隔中に第1の静電容量値C1を出力する。同様に、制御装置3は、伝送インターフェース33を介して第1の静電容量値C1を受信し、第1の静電容量値C1に従って、微小流体チップ2内の試験サンプルTSの大きさ及び位置を判定する。
【0037】
その後、制御装置3のプロセッサ35は、実行中の生物医学的試験の試験プロトコル(例えば、試験プロトコルPb)、試験サンプルTSの大きさ及び試験サンプルTSの位置に従って試験制御信号S2を生成し、対応する試験動作を実行するために、試験制御信号S2を伝送インターフェース33を介して微小流体チップ2に供給する。
【0038】
図3Aに示す特定の実施例では、実行中の生物医学的試験の試験プロトコルは、サンプル操作要件を含む(例えば、試験サンプルの切断)。したがって、試験制御信号S2は、複数のサンプル操作構成(図示せず)を含み、サンプル操作構成は、微小電極デバイス1に1対1で対応する。各サンプル操作構成は、対応する微小流体制御及び位置検知回路151がサンプル操作時間間隔内で機能するべきか否かを示すために使用される。
【0039】
より詳細には、制御装置3が微小流体チップ2に供給するクロック信号CLKは、時間間隔T5の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる(例えば、クロック信号CLKの電圧レベルは、時間間隔T5のサブ時間間隔内にハイとなり得る)。時間間隔T5のサブ時間間隔は、微小電極デバイス1の記憶回路155に1対1で対応する。記憶回路155はそれぞれ、時間間隔T5のサブ時間間隔中にサンプル操作構成を読み込む。
【0040】
いくつかの実施形態では、制御装置3のプロセッサ35は、試験プロトコルPbで指定されたサンプル操作要件、試験サンプルTSの大きさ、及び、試験サンプルTSの位置に従ってサンプル制御パターンを生成し、次いで、サンプル制御パターンに従ってサンプル操作構成を生成する。理解を深めるために、図3Bに示す特定の実施例を参照されたい。図3Bに示すサンプル制御パターンO1について、N個の正方形はそれぞれ、N個の記憶回路155により読み込まれたN個のサンプル操作構成を表し、ここで、灰色の正方形は、サンプル操作を行っていることを表し、白色の正方形は、サンプル操作を行っていないことを表す。次に、制御装置3のプロセッサ35は、サンプル制御パターンO1に従って、サンプル操作構成を生成する。例えば、白色の正方形に対応するサンプル操作構成は、数値「0」のものとすることができ、灰色の正方形に対応するサンプル操作構成は、数値「1」のものとすることができる。
【0041】
制御装置3は、伝送インターフェース33を介して微小流体チップ2にサンプル制御信号EN_Fを供給し、ここで、サンプル制御信号EN_Fは、時間間隔T6内にイネーブルされる(例えば、サンプル制御信号EN_Fの電圧レベルは、時間間隔T6内にハイとなり得る)。さらに、トッププレート10の上面に供給された電圧信号VSの電圧レベルは、時間間隔T6内にハイになり得て、トッププレート10の上面に供給された電圧信号VSの電圧レベルは、その他の時間間隔内ではローである。時間間隔T6は、前述のサンプル操作間隔である。トッププレート10の上面に供給された電圧信号VSの電圧レベルは、時間間隔T6内にハイとなり得るので、各微小電極デバイス1の微小流体制御及び位置検知回路155は、時間間隔T6の間、対応するサンプル操作構成に従って機能する又は機能しない。サンプル操作時間間隔(すなわち、時間間隔T6)の間、各多機能電極13は、絶縁層(例えば、低電圧レベルに接続する)である。
【0042】
以上のような制御及び動作により、微小流体試験システム100は、微小流体チップ2内の試験サンプルTSの大きさ及び位置を正確に判定し、次いで、試験サンプルTSの大きさ、試験サンプルTSの位置、及び、実行中の生物医学的試験の試験プロトコルに応じた適切なサンプル操作構成を供給することができる。このように、微小流体試験システム100は、サンプル操作要件を含む様々な生物医学的試験に適応する。
【0043】
いくつかの実施形態では、実行される生物医学的試験の試験プロトコルが、試験サンプルのサンプル量を更に含む場合、制御装置3は、試験サンプルTSの大きさ及び位置を判定した後に、試験サンプルTSの大きさが試験プロトコルで指定されたサンプル量に一致するかどうかを更に判定してもよい。試験サンプルTSの大きさが試験プロトコルで指定されたサンプル量に一致する場合、微小流体試験システム100は、次の動作を実行する。図2Aを例として挙げると、微小流体試験システム100は、試験サンプルTSの大きさが試験プロトコルで指定されたサンプル量に一致すると判定した後、時間間隔T3、T4に対応する動作を実行してもよい。図3Aを別の例として挙げると、微小流体試験システム100は、試験サンプルTSの大きさが試験プロトコルで指定されたサンプル量に一致すると判定した後、時間間隔T5、T6に対応する動作を実行してもよい。
【0044】
上記の実施形態の説明に基づいて、当業者においては、制御装置3が複雑な生物医学的試験に対応する試験プロトコルを記憶してもよいことを理解するであろう(例えば、生物医学的試験の試験プロトコルは、試験サンプルのサンプル量、いくつかのサンプル操作要件、及び、いくつかの試験温度要件を含んでもよく、ここで、サンプル操作要件及び試験温度要件は特定の順序に並べられる)。さらに、当業者であれば、微小流体試験システム100が試験プロトコルに基づいてどのように動作して生物医学的試験を遂行するかを理解するであろう。
【0045】
いくつかの実施形態では、微小流体試験システム100は、試験サンプルTSの3次元画像を更に生成することができる。微小流体試験システム100は、各微小電極デバイス1を個々にk回のサンプリングポイントでサンプリングされるようにしてもよく、ここで、kは1より大きい正の整数である。図4Aを参照すると、微小電極デバイス1上方の空間の一部のみが試験サンプルTS1で覆われている(例えば、試験サンプルTSの一部)。したがって、複数のサンプリングポイントp1、p2、p3、・・・・・・、pkでサンプリングを行うことにより、微小電極デバイス1上方の空間の実際の状況を正確に反映させることができる。より詳細には、微小流体試験システム100は、位置検知信号EN_Sのサンプリングエッジを調整することにより、微小電極デバイス1の複数のサンプリングポイントを決定してもよい。いくつかの実施形態では、微小流体試験システム100は、デジタルプログラマブル遅延発生器(DPDG)を更に備えてもよい。DPDGは、位置検知信号EN_Sのサンプリングエッジを決定し、それにより、サンプリングポイントを決定する。
【0046】
k回の異なるサンプリングポイントでのサンプリングを遂行するには、微小流体試験システム100は繰り返し、試験サンプルの検出を試み、検出結果を出力する。そのような実施形態に対して、制御装置3は、図4Bに示すようなタイミング図を採用してもよい。より詳細には、制御装置3が微小流体チップ2に供給する位置検知信号EN_Sは、時間間隔T7のサンプリング時間t1内にイネーブルされ(例えば、位置検知信号EN_Sの電圧レベルは、サンプリング時間t1内にハイとなり得る)、ここで、サンプリング時間t1は、図4Aに示されるサンプリングポイントp1に対応するように、時間間隔T7の開始点から遅延時間d1の分だけ、遅延される)。位置検知信号EN_Sは、時間間隔T7のサンプリング時間T1内にイネーブルされるため、各微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第2の静電容量値を検出し、この第2の静電容量値を、時間間隔T7のサンプリング時間t1の間に、対応する記憶回路155に記憶する。同様に、各第2の静電容量値は、トッププレート10と、対応する微小流体電極11のサンプリングポイントp1との間に試験サンプルがあるかどうかを反映する。
【0047】
制御装置3が微小流体チップ2に供給するクロック信号CLKは更に、時間間隔T8の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる(例えば、クロック信号CLKの電圧レベルは、時間間隔T8のサブ時間間隔内にハイとなり得る)。時間間隔T8のサブ時間間隔は、微小電極デバイス1の記憶回路の155に1対1で対応する。クロック信号CLKは、時間間隔T8のサブ時間間隔内にイネーブルされるため、記憶回路155は、時間間隔T8の各サブ時間間隔中にそれぞれ第2の静電容量値C2を出力する。制御装置3は、伝送インターフェース33を介して第2の静電容量値C2を受信する。
【0048】
制御装置3が微小流体チップ2に供給する位置検知信号EN_Sはまた、時間間隔T9のサンプリング時間t2内でもイネーブルされ(例えば、位置検知信号EN_Sの電圧レベルは、サンプリング時間t2内にハイとなり得る)、ここで、サンプリング時間t2は、図4Aに示されるサンプリングポイントp2に対応するように、時間間隔T9の開始点から遅延時間d2の分だけ、遅延される。位置検知信号EN_Sは、時間間隔T9のサンプリング時間t2内にイネーブルされるため、各微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第3の静電容量値を検出し、この第3の静電容量値を、時間間隔T9のサンプリング時間t2中に、対応する記憶回路155に記憶する。同様に、各第3の静電容量値は、トッププレート10と、対応する微小流体電極11のサンプリングポイントp2との間に試験サンプルTSがあるかどうかを反映する。
【0049】
制御装置3が微小流体チップ2に供給するクロック信号CLKはまた、時間間隔T10の複数のサブ時間間隔内でもイネーブルされる(例えば、クロック信号CLKの電圧レベルは、時間間隔T10のサブ時間間隔内にハイとなり得る)。時間間隔T10のサブ時間間隔は、微小電極デバイス1の記憶回路の155に1対1で対応する。クロック信号CLKは、時間間隔T10のサブ時間間隔内にイネーブルされるため、記憶回路155は、時間間隔T10の各サブ時間間隔中にそれぞれ第3の静電容量値C3を出力する。制御装置3は、伝送インターフェース33を介して第3の静電容量値C3を受信する。微小電極デバイス1がp×qの大きさの2次元アレイに配置されていること、第2の静電容量値C2が微小電極デバイス1のサンプリングポイントp1に1対1で対応すること、第3の静電容量値C3が微小電極デバイス1のサンプリングポイントp2に1対1で対応することがわかっているため、制御装置3は、第2の静電容量値C2及び第3の静電容量値C3に従って、試験サンプルTSの3次元画像(図示せず)を生成する。
【0050】
上述した論理に従って、微小流体試験システム100は繰り返し、試験サンプルの検出を試み、k回の検出結果を出力する。試験サンプルを検出するk回の時間間隔について、そのサンプリング時間は、k回のサンプリングポイントp1、p2、p3、・・・・・・、pkに対応するように、異なる遅延時間で遅延される。好ましい実施形態では、k回の時間間隔は、同じ時間の長さである。k回実行した後、制御装置3は、k個の2次元1ビット画像を導出する。そして、制御装置3のプロセッサ35は、k個の2次元1ビット画像を合成(例えば、パイルアップ)することにより、試験サンプルTSの3次元画像を生成する。
【0051】
いくつかの実施形態では、微小流体試験システム100は、微小流体チップに試験サンプルが存在しないとき(例えば、微小流体試験システム100が起動しているとき)、各微小電極デバイス1のステータス(すなわち、各微小電極デバイス1が正常に機能可能かどうか)を更に判定してもよい。そのような実施形態に対して、制御装置3は、図5に示すようなタイミング図を採用してもよい。
【0052】
より詳細には、制御装置3が微小流体チップ2に供給する位置検知信号EN_Sは、時間間隔T11のサンプリング時間t3内にイネーブルされ(例えば、位置検知信号EN_Sの電圧レベルは、サンプリング時間t3内にハイとなり得る)、ここで、サンプリング時間t3は、図4Aに示されるサンプリングポイントp1に対応するように、時間間隔T11の開始点から遅延時間d3の分だけ、遅延される)。位置検知信号EN_Sは、時間間隔T11のサンプリング時間t3内にイネーブルされるため、各微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第4の静電容量値を検出し、この第4の静電容量値を、時間間隔T11のサンプリング時間t3中に、対応する記憶回路155に記憶する。さらに、制御装置3が微小流体チップ2に供給するクロック信号CLKが、時間間隔T12の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる(例えば、クロック信号CLKの電圧レベルは、時間間隔T12のサブ時間間隔内にハイとなり得る)。クロック信号CLKは、時間間隔T12のサブ時間間隔内にイネーブルされるため、記憶回路155は、時間間隔T12の各サブ時間間隔中にそれぞれ第4の静電容量値C4を出力する。制御装置3は、伝送インターフェース33を介して第4の静電容量値C4を受信する。
【0053】
制御装置3が微小流体チップ2に供給する位置検知信号EN_Sは、時間間隔T13のサンプリング時間t4内にイネーブルされ(例えば、位置検知信号EN_Sの電圧レベルは、サンプリング時間t4内にハイとなり得る)、ここで、サンプリング時間t4は、図4Aに示されるサンプリングポイントpkに対応するように、時間間隔T13の開始点から遅延時間d4の分だけ、遅延される。好ましい実施形態では、時間間隔T11と時間間隔T13は、同じ時間の長さとすることができる。位置検知信号EN_Sは、時間間隔T13のサンプリング時間t4内にイネーブルされるため、各微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第5の静電容量値を検出し、この第5の静電容量値を、時間間隔T13のサンプリング時間t4中に、対応する記憶回路155に記憶する。さらに、制御装置3が微小流体チップ2に供給するクロック信号CLKが、時間間隔T14の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる(例えば、クロック信号CLKの電圧レベルは、時間間隔T14のサブ時間間隔内にハイとなり得る)。クロック信号CLKは、時間間隔T14のサブ時間間隔内にイネーブルされるため、記憶回路155は、時間間隔T14の各サブ時間間隔中にそれぞれ第5の静電容量値C5を出力する。制御装置3は、伝送インターフェース33を介して第5の静電容量値C5を受信する。
【0054】
そして、微小電極デバイス1のそれぞれについて、制御装置3のプロセッサ35は、微小電極デバイス1に対応する第4の静電容量値C4及び第5の静電容量値C5に従って、微小電極デバイス1のステータスを判定する。より詳細には、微小流体チップ2には試験サンプルTSが存在しないため、トッププレート10と微小電極ドットアレイ21との間の空間の誘電率は、空気の誘電率となる。これらの静電容量値は非常に小さい。位置検知信号EN_Sのサンプリング時間が後の方で実施される場合(例えば、図5のサンプリング時間t4。これは図4Aのサンプリングポイントpkに対応する)、トッププレート10と微小流体電極11との間の電荷は充電される。その結果、微小流体制御及び位置検知回路151がトッププレート10と微小流体電極11との間で検出する静電容量値は1となる。位置検知信号EN_Sのサンプリング時間が早い方で実施される場合(例えば、図5のサンプリング時間t3。これは図4Aのサンプリングポイントp1に対応する)、トッププレート10と微小流体電極11との間の電荷は充電されない。その結果、微小流体制御及び位置検知回路151がトッププレート10と微小流体電極11との間で検出する静電容量値は0となる。したがって、微小電極デバイス1の微小流体制御及び位置検知回路151が2つの異なるサンプリング時間でサンプリングを実行する場合(すなわち、2つの時間間隔内でサンプリングを実行する場合。ここで、2つの時間間隔のサンプリング時間は、異なる時間で遅延される)、異なる静電容量値が検出されるはずである。したがって、微小電極デバイス1について、時間間隔T11で検出された第4の静電容量値と、時間間隔T13で検出された第5の静電容量値が同じであれば、制御装置3のプロセッサ35は、制御装置1に異常があると判定する。逆に、微小電極デバイス1について、時間間隔T11で検出された第4の静電容量値と、時間間隔T13で検出された第5の静電容量値とが異なる場合は、制御装置3のプロセッサ35は、微小電極デバイス1は正常であると判定する。
【0055】
微小電極デバイス1のステータスを判定した後、制御装置3のプロセッサ35は、それらのステータスに従って、微小流体チップ2の有効エリア(すなわち、正常な微小電極デバイス1により形成される領域)を判定してもよい。微小流体チップ2の有効エリアを把握することにより、微小流体試験システム100は、微小流体チップ2の有効エリアで、試験サンプルTSに対して所望の生物医学的試験を実施することができる。微小流体チップ2の有効エリアにおける微小電極デバイス1はすべて正常であるため、微小流体試験システム100は正確な試験結果を得ることができる。
【0056】
本発明の特定の実施例において、微小電極デバイス1の制御回路15の回路図を図6に示す。図6に示す回路図は、本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【0057】
この特定の実施例では、試験プロトコルで指定されたサンプル操作要件を実行しようとする場合、制御信号ENactの値は0であり(イネーブルされるサンプル制御信号EN_Fに等しい)、データ信号Qの値は、微小電極デバイス1により読み込まれるサンプル操作構成であり、クロック信号CLKのクロック速度(例えば、1K~10K Hzに設定できる)は、他の動作に設定されるクロック速度よりも遅くすることができる。微小流体制御及び位置検知回路151は、試験サンプルTSのサンプル操作を遂行するための引張力を発生する。
【0058】
この特定の実施例では、トッププレート10と微小流体電極11との間の静電容量値を検出しようとする場合、制御シグナルENactの値は1であり(イネーブルされる位置検知信号EN_Sに等しい)、クロック信号CLKのクロック速度(例えば、1M~10M Hzに設定できる)は、サンプル操作のために設定されるクロック速度よりも速くすることができる。微小流体制御及び位置検知回路151は、検出した静電容量値(すなわち、静電容量を放電した結果)を検出結果Dsenとして出力し、この検出結果Dsenをデータ信号Dとして記憶回路155(Dフリップフロップでもよい)に記憶する。上述したように、微小電極ドットアレイ21に備えられた微小電極デバイス1は直列接続されているため、記憶回路155は、前方に配置された他の微小電極デバイス1の記憶回路155のデータ信号Q、・・・・・・、Qn-1を受信し、そして、それらを出力する。
【0059】
この特定の実施例では、試験プロトコルで指定された試験温度要件を実行しようとする場合、制御信号ENtempの値は1であり(イネーブルされる加熱制御信号EN_Tに等しい)、データ信号Qの値は、微小電極デバイス1により読み込まれる加熱制御構成である(例えば、数値「0」は加熱を行わないことを表し、数値「1」は加熱を行うことを表す)。温度制御回路153のマルチプレクサは、加熱制御信号EN_T及びデータ信号Qに従って、温度制御回路153内のスイッチを導通させるかどうかを判定する。温度制御回路153のスイッチが導通されると、電流が抵抗RHEAT及び多機能電極13を通過し、これにより、加熱される。
【0060】
本発明の他の実施形態は、微小流体チップ2を制御するために微小流体試験システム100の制御装置3で用いられる微小流体試験方法である。微小流体試験方法のメインフローチャートを図7に示す。このフローチャートは、少なくとも、ステップS701、ステップS703、ステップS705、ステップS707、ステップS709及びステップS711を含む。
【0061】
ステップS701において、制御装置3は、第1の時間間隔(例えば、図2Aに示す時間間隔T1)内にイネーブルされる位置検知信号を微小流体チップ2に供給し、それにより、微小流体チップ2の微小流体制御及び位置検知回路151はそれぞれ、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第1の静電容量値を検出し、この第1の静電容量値を、第1の時間間隔中に、対応する記憶回路155に記憶する。ステップS703において、制御装置3は、第2の時間間隔(例えば、図2Aに示す時間間隔T2)の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされるクロック信号を微小流体チップ2に供給し、それにより、微小流体チップ2の記憶回路155はそれぞれ、第2の時間間隔のサブ時間間隔中に、第1の静電容量値を出力する。なお、ステップS701及びS703を実行する順序は、本発明により限定されない。しかしながら、第2の時間間隔は、第1の時間間隔よりも後に実施される。
【0062】
ステップS705において、制御装置3は、微小流体チップ2から第1の静電容量値を受信する。ステップS707において、制御装置3は、第1の静電容量値に従って、微小流体チップ2内の試験サンプルの大きさ及び位置を判定する。ステップS709において、制御装置3は、記憶されている生物医学的試験の試験プロトコル、大きさ及び位置に従って、試験制御信号を生成する。ステップS711において、制御装置3は、試験動作を行うため、微小流体チップ2に試験制御信号を供給する。
【0063】
いくつかの実施形態では、微小流体試験方法が実行しようとする生物医学的試験の試験プロトコルは、試験温度要件を含む。そのような実施形態では、ステップS709により生成される試験制御信号は、複数の加熱制御構成を含み、ここで、加熱制御構成は、微小流体チップ2の微小電極デバイス1に1対1で対応する。さらに、ステップS703により提供されるクロック信号はまた、第3の時間間隔(例えば、図2Aに示す時間間隔T3)のサブ時間間隔内でもイネーブルされ、それにより、記憶回路155はそれぞれ、第3の時間間隔のサブ時間間隔中に、加熱制御構成を読み込む。前述の第3の時間間隔は、前述の第2の時間間隔よりも後に実施される。そのような実施形態では、微小流体試験方法は、ステップS713を更に含む。ステップS713では、制御装置3は、第4の時間間隔(例えば、図2Aに示す時間間隔T4)内にイネーブルされる加熱制御信号を微小流体チップ2に供給し、それにより、各温度制御回路は、第4の時間間隔中に、対応する加熱制御構成に従って、対応する温度制御回路(すなわち、それ自身)のオン/オフステータスを判定する。前述の第4の時間間隔は、前述の第3の時間間隔よりも後に実施される。
【0064】
いくつかの実施形態では、ステップS713は、試験プロトコル、大きさ及び位置に従って加熱制御パターンを生成し、次いで、加熱制御パターンに従って加熱制御構成を生成してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、加熱制御パターンは、加熱領域と、環状の非加熱領域とを含んでもよく、ここで、環状の非加熱領域は加熱領域を取り囲み、試験サンプルの位置は加熱領域の中心に対応する。前述の環状の非加熱領域は、ガードリングと呼ぶことができる。加熱領域を取り囲むガードリングを設けることにより、加熱領域内の加熱効果が外部の環境温度の影響を受けることがなくなる。したがって、より良い温度変化率及びより少ないエネルギー消費で、目標温度に到達できる。
【0065】
いくつかの実施形態では、微小流体試験方法が実行しようとする生物医学的試験の試験プロトコルは、サンプル操作要件を含み、微小流体試験方法のメインフローチャートを図8に示す。そのような実施形態では、ステップS709により生成される試験制御信号は、複数のサンプル操作構成を含み、ここで、サンプル操作構成は、微小電極デバイスに1対1で対応する。さらに、ステップS703により供給されるクロック信号は、第5の時間間隔(例えば、図3Aに示す時間間隔T5)の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされる。記憶回路はそれぞれ、第5の時間間隔のサブ時間間隔中にサンプル操作構成を読み込む。前述の第5の時間間隔は、前述の第2の時間間隔よりも後に実施される。そのような実施形態では、微小流体試験方法は、ステップS813を更に含む。ステップS813では、制御装置3は、第6の時間間隔(例えば、図3Aに示す時間間隔T6)内にイネーブルされるサンプル制御信号を微小流体チップ2に供給し、それにより、各微小流体制御及び位置検知回路151は、第6の時間間隔中に、対応するサンプル操作構成に従って機能する又は機能しない。前述の第6の時間間隔は、前述の第5の時間間隔よりも後に実施される。いくつかの実施形態では、ステップS813は、試験プロトコル、大きさ及び位置に従ってサンプル制御パターンを生成し、次いで、サンプル制御パターンに従ってサンプル操作構成を生成する。
【0066】
いくつかの実施形態では、微小流体試験方法は、微小流体チップ2内の試験サンプルの3次元画像を更に生成してもよい
【0067】
そのような実施形態では、位置検知信号は、第7の時間間隔の第1のサンプリング時間(例えば、図4Bに示す時間間隔T7のサンプリング時間t1)内にイネーブルされ、それにより、各微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第2の静電容量値を検出し、この第2の静電容量値を、第7の時間間隔の第1のサンプリング時間中に、対応する記憶回路155に記憶する。クロック信号は、第8の時間間隔(例えば、図4Bに示す時間間隔T8)の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、それにより、記憶回路155はそれぞれ、第8の時間間隔のサブ時間間隔中に第2の静電容量値を出力する。また、位置検知信号は、第9の時間間隔の第2のサンプリング時間(例えば、図4Bに示す時間間隔T9のサンプリング時間t2)内でもイネーブルされる。したがって、各微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第3の静電容量値を検出し、この第3の静電容量値を、第9の時間間隔の第2サンプリング時間中に、対応する記憶回路155に記憶する。第1のサンプリング時間は、第1の遅延時間分、第7の時間間隔の第1の開始点から遅延され、第2のサンプリング時間は、第2の遅延時間分、第9の時間間隔の第2の開始点から遅延され、第1の遅延時間と第2の遅延時間とは互いに異なっていることに留意されたい。好ましい実施形態では、第7の時間間隔と第9の時間間隔は、同じ時間の長さとすることができる。また、クロック信号は、第10の時間間隔(例えば、図4Bに示す時間間隔T10)の複数のサブ時間間隔内でもイネーブルされ、それにより、記憶回路155は、第10の時間間隔のサブ時間間隔中に第3の静電容量値を出力する。
【0068】
そのような実施形態では、微小流体試験方法は、制御装置3により第2の静電容量値を受け取るステップと、制御装置3により第3の静電容量値を受け取る別のステップと、制御装置3により第2の静電容量値及び第3の静電容量値に従って試験サンプルの3次元画像を生成する別のステップとを更に含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、微小流体試験方法は、微小流体チップ2に試験サンプルが存在しないとき(例えば、微小流体試験システムが起動しているとき)、各微小電極デバイス1のステータス(すなわち、各微小電極デバイス1が正常に機能可能かどうか)を更に判定してもよい。
【0070】
そのような実施形態では、位置検知信号は、第11の時間間隔の第1のサンプリング時間(例えば、図5に示す時間間隔T11のサンプリング時間t3)内にイネーブルされ、それにより、各微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第4の静電容量値を検出し、この第4の静電容量値を、第11の時間間隔の第1のサンプリング時間中に、対応する記憶回路155に記憶する。クロック信号は、第12の時間間隔(例えば、図5に示す時間間隔T12)の複数のサブ時間間隔内にイネーブルされ、それにより、記憶回路155はそれぞれ、第12の時間間隔のサブ時間間隔中に第4の静電容量値を出力する。また、位置検知信号は、第13の時間間隔の第2のサンプリング時間(例えば、図5に示す時間間隔T13のサンプリング時間t4)内にイネーブルされ、それにより、各微小流体制御及び位置検知回路151は、トッププレート10と対応する微小流体電極11との間の第5の静電容量値を検出し、この第5の静電容量値を、第13の時間間隔の第2のサンプリング時間中に、対応する記憶回路155に記憶する。第1のサンプリング時間は、第1の遅延時間分、第11の時間間隔の第1の開始点から遅延され、第2のサンプリング時間は、第2の遅延時間分、第13の時間間隔の第2の開始点から遅延され、第1の遅延時間は、第2の遅延時間と異なることに留意されたい。好ましい実施形態では、第11の時間間隔と第13の時間間隔は、同じ時間の長さとすることができる。また、クロック信号は、第14の時間間隔(例えば、図5に示す時間間隔T14)の複数のサブ時間間隔内でもイネーブルされ、それにより、記憶回路155は、第14の時間間隔のサブ時間間隔中に第5の静電容量値を出力する。
【0071】
そのような実施形態では、微小流体試験方法は、制御装置3により第4の静電容量値を受け取るステップと、制御装置により第5の静電容量値を受け取る別のステップと、制御装置3により、対応する第4の静電容量値及び対応する第5の静電容量値に従って、各微小電極デバイスのステータスを判定する別のステップとを更に含む。いくつかの実施形態では、微小流体試験方法は、制御装置3により、ステータスに従って、微小流体チップの有効エリアを判定するステップを更に含んでもよい。
【0072】
以上のステップに加えて、本発明により提供される微小流体試験方法は、制御装置3が微小流体チップ2を制御して、第2の実施形態で説明したのと同様の機能を有して同様の技術的効果を奏することができるように、その他のステップを実行することができる。本発明により提供される微小流体試験方法がどのようにそのような動作とステップを実行し、同様の機能を有し、同様の技術的効果を奏するかについては、当業者により、上述した実施形態の説明に基づいて容易に理解されるため、ここではさらなる説明を行わない。
【0073】
本発明の明細書及び特許請求の範囲においては、いくつかの用語(時間間隔、静電容量値、サンプリング時間等を含む)の前に、用語「第1の」、「第2の」、・・・・・・、又は「第14の」が付されている。用語「第1の」、「第2の」、・・・・・・、及び「第14の」は、種々の用語を区別するためにのみ使用されていることに留意されたい。これらの用語の順序が明記されていない場合、又は、これらの用語の順序を文脈から読み取ることができない場合、これらの用語の順序は、先行する「第1の」、「第2の、・・・・・・、又は「第14の」により限定されない。
【0074】
以上の説明によれば、本発明により提供される微小流体試験技術は、微小流体チップ内の試験サンプルの大きさや位置を判定し、次いで、実行しようとする生物医学的試験の試験プロトコル、試験サンプルの大きさ、及び、試験サンプルの位置に従って、試験制御信号を生成することができる。さらに、本発明により提供される微小流体試験技術は、試験サンプルの3次元画像を生成することができる。さらに、正確な試験結果を確実に提供できるようにするために、本発明により提供される微小流体試験技術は、微小流体チップに試験サンプルが存在しないとき、微小流体チップの各微小電極デバイスのステータスを更に判定し、次いで、微小流体チップの有効エリアを判定することができる。よって、発明により提供される微小流体試験技術は、様々な生物医学的試験に対して正確な試験動作を行うことができる。
【0075】
上記の開示は、詳細な技術的内容及びその発明的特徴に関する。当業者は、本発明の特徴から逸脱することなく、記載された本発明の開示及び示唆に基づいて、様々な修正及び置換を実施し得る。しかしながら、そのような修正及び置換は、上記の説明において完全に開示されているわけではないが、添付の特許請求の範囲において実質的に網羅されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8